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競馬回顧 2023年6回阪神

第40回ホープフルステークス(GⅠ)

レガレイラ

2人曳き。牡馬相手だけに、迫力で見劣るのは仕方がないが、それでも前走東京戦よりは大きく見せる。一歩一歩の歩幅が広いのも好印象。出遅れ1馬身不利。そのまま後方からジックリと。道中の折り合いは付いていた。向正面迄、脚を矯めて、3角から徐々に馬群の中を進出。4角で中段迄、押し上げ、直線に向き切ってから大外へ。鞍上も自信が有ったのだろうが、坂下で既に勝ったかの勢いで、最後は抑える余裕が有った。性能が違った。この世代は小ぢんまりとしたタイプの馬が多かったが、漸く規格外の馬が現れた印象。ただ、次走も中山戦が有力とのことだが、馬格がないので、揉まれた時がどうか...。連戦も利く様には見えず、色々注文は付く。

シンエンペラー

イラついていた前走京都戦と違い、今日は落ち着いていた。馬のスケールだけをいえば上が居るが、歩様にもブレがなく、非力さがなくなっていた。ゲート五分。出脚は速くなさそうだが、押して先行。道中は好位のイン。今日は優等生で、しっかり折り合いが付いていた。GⅠらしく、4角で10頭近く横に広がる激戦となったが、内で脚を矯めていた利は大きく、一旦は完全に抜け切ったのだが、最後はレガレイラに無抵抗でやられてしまった。最後は苦しがって外にヨレて過怠金の対象になっていたが、絶対値の差を見せ付けられた格好。ただ、確実に馬は良くなっている。馬力がもう少し付けば、道中の頭の高さもマシになる筈で、今後も手堅く走ってくれそう。

サンライズジパング

雄大な馬体の持ち主で、馬振りの良さならこのメンバーでもトップクラス。ただ、前走東京戦もそうだったが、少しテンションが高い。ゲート五分。出脚が速い訳ではないだろうが、押して好位を確保。折り合いというよりは、芝のスピードに少し戸惑い気味にも見えたが、シンエンペラーをマークする形から、最後迄渋太く食い下がっていた。今日はスタミナを生かして頑張った格好。尤も、これが続くかどうかは何ともいえないのだが...。

アドミラルシップ

2人曳き。良くも悪くも、新馬の京都戦から特に変わった様子はない。歩様は悪くないが、少し腹回りがボテッと映る。ゲートをアオり気味に出たことも有るが、出脚もなく後方から。これも道中は少しオッツケ気味にも見えた。4角で馬群が広がったことで、自然と前との差が詰まり、直線に向いた段階でシンエンペラーの直後。距離ロスなく回って来れたことが大きかった。伸びていた様にも見えなかったが、最後迄渋太く粘って4着。1戦1勝の馬としては大健闘といえる部類。ただ、ゲートが開いてからのフォームがバラバラ。もう少し体幹がしっかりしないと上では通用しない。

ミスタージーティー

馬体そのものは新馬の京都戦から大きな変化はないが、幾らかでも締まって来た印象。ただ、歩様は明らかにしっかりして来た。ゲートを真っ直ぐ出ず、出遅れ1馬身不利。ならばと、少しずつ内へ入れつつ、後方から。道中は手応え良く追走出来ていた。前述した様に、4角で馬群が広がってあまりにも外が遠く、内へ突っ込んたが、行くところが全て前が壁。完全に脚を余した。とはいえ、大外枠で戦法が限られていた中で、最悪の結果と迄はいえないか。何れにしても馬は頑張っている。500万は勝てる馬。

センチュリボンド

後肢にバンテージ。+2kg。絞れて欲しかったが、またしてもプラス体重。やはり少し重いだろう。それでも、トモにボリューム感が有って、搭載エンジンの違いを感じさせる。少しイレ込み気味なのは前走京都戦も同様。ゲートを決めて、ジワッと中段。序盤は少し行きたがっていた様にも見えたが、向正面で何とか宥めたか。しかし、4角で既にアラアラの手応え。直線はロクに追っていないにせよ、下がる一方だった。競馬を投げた様な負け方。馬はいいにせよ、気性的な問題が有るのか...。次走試金石。

第68回有馬記念(GⅠ)

ドウデュース

今季は最初の東京戦から馬は良かった。活気が有って、キビキビと歩けており、下見でも目立っていたが、これは前走でもそうだった。逆にいえば、特に上積みは感じない。出遅れ1馬身不利。そのまま後方から。序盤は少し力んだが、鞍上が何とか我慢させた。結果的に折り合い面で出遅れはいい方に出たか。向正面で余程手応えに自信が有ったか、3角から一気に動いて、4角で2番手。この回り脚はハーツクライ産駒とは思えぬ速さ。内から抜けて来たスターズオンアースも渋太かったが、最後はネジ伏せる様に押し切った。過去2戦、特に前走に案外感が有ったのだが、今日はそれを払拭する内容。この鞍上と海外で勝つのはオーナーの悲願だが、この内容なら可能性も出て来たか。「ドウデュースも私も帰ってきました! 状態は凄くいいと思ったので、この馬のいいところを出すことだけを考えていました。前半この馬のリズムでゆっくりと行って、ラストの脚はいい脚を持っているので、そこに賭けていました。道中、少し元気が良過ぎたところがありましたが、何とか我慢はできたし、ラスト700mあたりから末脚を生かすだけ生かそうと思いました。4角を回る時の感じが良かったので、何とかなるかなと思いましたよ。ダービーの後は苦しい思いをしましたが、こんなものではないと思ってここまできて、今日の強いメンバーでもドウデュースが一番強いと思って乗りました。素晴らしい馬に恵まれて、ドウデュースという名馬と有馬記念に挑めて幸せです。メリークリスマス! (武豊騎手・週刊競馬ブック)」

スターズオンアース

前後肢にバンテージ。-2kg。数字はほぼ変化ないが、叩いて順当に良化。馬体が締まって来た。キビキビ歩けていて、デキにケチを付けるところはない。半馬身以上の好発。出脚も有り、ハーパーには少し抵抗されながらも、少し出した程度で2番手。大方の想定通りだが、この段階で枠の不利が消えた。鞍上の思い切りも流石だが、これで折り合いが付くのだから、馬も大したモノ。ドウデュースのマクりは仕方がないとはいえ、来ない方が楽だったが、間に数頭噛んでいたことで、少し待てたのは大きかったか。ドウデュースとの併せ馬は少し内にモタれ気味だったが、何とか2着は確保。これでデビュー以来、12戦連続馬券圏内。しかも6戦目から全てGⅠ。これが厩舎技量の高さ。恐らく馬券から外れた時が引退の時なのだろう。

タイトルホルダー

前肢にバンテージ。前走東京戦と比較して、今日の方が歩様がスムーズ。これが引退レースだが、緩んだところもなく、キッチリ仕上げてられていた。ゲート五分。出脚は分がいい方ではないが、押して押してハナ。単騎で逃げて1000m通過60.3秒だから、想定の範囲だろう。2000m通過時点でも121.0秒。直線で突き放す形も造れたが...。最後は2頭が併せ馬だった分の3着。1頭だけだったら勝っていたか。とはいえ、今春の競走中止以降は、僅かでも往時の力がなくなっていた気もしないでもない。

ジャスティンパレス

+6kg。数字分だけ微妙に余裕残しだった気もしないでもないが、前走東京戦と大きくは変わらず。落ち着いていた点は好印象。ゲート内の駐立が悪く、半馬身程出負け。そのまま最後方から。道中はドウデュースをマークする形だったが、結果的にドウデュースとは勝負どころの機動力が違い、結果的に仕掛け遅れる形になった分の4着。コーナーでズブいのは最初から分かっていたことで少なくとも馬は責められない。上位3頭がそれぞれ自分の持ち味を生かして勝ちに行ったのに対し、あまりにも消極的過ぎた。この鞍上は条件戦だといいのだが、GⅠだと手が出し辛い。

シャフリヤール

前肢にバンテージ。香港で一頓挫有った影響なのかどうか何ともいえないが、トモが甘い様な歩様は気になった。馬体は小ぢんまりと見せるタイプで、良くも悪くもこんなモノだが。ゲートは微妙に分が悪かった様にも見えたが、この馬の出脚と枠の利で好位を確保。前にスターズオンアースを置いて、セコい競馬は出来たが、4角の手応えがスターズオンアースとは違い過ぎた。内に居て雪崩れ込んだだけ。首が使えていない走法も気になるところ。デキが有ればまた違うのだろうが、今日は評価が下がる一戦。

タスティエーラ

2人曳き、+18kg。前走京都戦がスッキリと見せていたことも有るが、そこ迄緩い印象はない。デキ自体は良さそうだが、腹回りは流石に少し太いか。これもゲートが怪しかったが、外枠の分、リカバーが利いて中段を確保。そこ迄、外を回されてはいない筈だが、3角過ぎから手応えが怪しくなって置かれそうになっていた。脚がなくてジャスティンパレスに寄られて手綱を引っ張る場面も痛かったところだろうが、そこから盛り返しての6着は能力の片鱗を示したともいえる。馬体さえ絞れれば、来年は楽しみ。

ソールオリエンス

馬体は例に依って見栄えがする。466kgの馬としては実に雄大。毛ヅヤも良かった。ただ、季節的な要因も有るだろうが、今日のほうが少し歩様が硬い。ゲートも悪かったが、枠の利が有っても如何ともし難い出脚で後方から。意外と流れに乗れていた様には見えたが、不器用なタイプだけに内目で動くに動けない展開ではどうしようもない。しかも今日は物理的に前が開かなかった。今春の当地戦は馬場が渋ってたまたま大外ブン回しがいい方に出たが、基本的には中山は不向き。今日は参考外。

スルーセブンシーズ

前肢にバンテージ。前々走阪神戦の方が歩様にキビキビ感が有った。馬体の張りも前々走の方が明らかに良かった。ゲートは決まったが、出脚がなく後方に近い位置。道中は外ながら、スムーズに運べていた。今日は妙に人気になっていたが、実際には勝ち負けの馬ではないだけに、勝負どころでマクりに来たドウデュースを一旦行かせてからの追い上げ。今夏の阪神戦に近い戦法だが、直線はサッパリだった。レース後、故障が判明して引退だそうだが、そこに原因を求める外なさそう。

第18回阪神カップ(GⅡ)

ウインマーベル

+6kg。近走案外だった割に人気になっていたが、馬は大きく変わった雰囲気はない。ただ、今日の方が歩様だけは明らかに力強い。ゲートのアテにならない馬だが、今日は好発。出脚が抜群に速いという訳でもないが、好位で流れに乗れた。4角で自然と外に馬が居なくなり、捌く必要がなかったのも大きかった。坂の上り掛け迄は右手前だったが、そこから左手前になってグイッとひと伸び。ゲートが決まって、スムーズに運べた分は有るにせよ、意外な好走。前走京都戦は同じ1400mでも少し行きたがっていたが、大分慣れて来たか。

グレナディアガーズ

前後肢にバンテージ。+8kg。前走京都戦が緩かったが、今日も腹回りがボテッと映る。歩様や気配は悪くないが。ゲートは出ているが、出脚がサッパリで後方から。道中は何ひとつ工夫が出来ず、腹を括って4角から大外を進出。ここでララクリスティーヌが回り切れずに1馬身のロス。このクラスのメンバーとはいえ、ペース的には流れた方だが、大外から敢然と追い込んであと一歩届かずの惜しい2着。4角のロスがなければ勝っていただろうが、今年は取り溢しといわれても仕方がないところ。これで引退、種牡馬入りとのことだが、成績以上の能力が持っていたことは間違いない。

アグリ

+10kg。腹帯が食い込み気味で、今日は流石に太い。歩様も硬い訳ではないが、太い分、少し窮屈に映る。ゲート五分。出脚は速い方ではないが、今日は馬群の切れ目を生かして上手く内へ潜り込めた。直線に向いてスペースは1頭分しかなかったが、脚が有ったので直ぐに割って来れた。逆にいえば、それで3着なのだから、グレナディアガーズとの能力差は相当有りそう。今日は太かった影響も大きいだろうが、かといってグレナディアガーズも完調ではなかった。今後は少し割り引きたい。

グレイイングリーン

+12kg。これ位でも走っていた時期が有り、見た目にもこの馬体増は気にならない。歩様も含めて、特に疑問点は感じなかった。ゲートも微妙に分が悪かったが、出脚もなく、後方から。道中はグレナディアガーズと並走。この馬がこの位置に居たことで、グレナディアガーズが外を回らされる羽目になったが、この馬から見ればグレナディアガーズが壁になり、直線は馬群に突っ込んで行く外なかった。手綱を引っ張る場面こそなかったが、捌きながらの形となり、ここ迄。こちらは惜しいといえる内容。重賞でも足りる。

ママコチャ

-4kg。一息入れてGⅠの後だけに、少し緩いのは仕方がないところ。歩様も悪くなかった。下見で煩いのは何時ものこと。外からジワッと先行。馬群の外だったことも有るが、少し力んでいた様にも見えた。それでも4角の手応えは悪くなく、直線に向いてからも反応は有ったが、ウインマーベルとの併せ馬で追い負け、坂を上り切る手前で脚が上がって、5着止まり。ただ、これで評価が下がるというよりは、前走中山戦は上手く行き過ぎた感も。少しでもスムーズさを欠くとこんなモノか。

ララクリスティーヌ

首でリズムを取って、歩様もキビキビ。馬体も452kgの数字以上に大きく見せる。前走京都戦も良かったが、今日も文句なし。ゲートを決め、出脚も負けていなかったが、外のママコチャが掛かり気味だった影響も有ったか、一旦は引いて中段。ただ、4角での手応えが悪く、鞍上が慌てたのか、コーナーでフクれ気味。7着とはいえ、僅差だけに馬は頑張っている。今日は鞍上のミス。

第75回朝日杯フューチュリティステークス(GⅠ)

ジャンタルマンタル

2人曳き。体型かも知れないが、まだ腹回りは余裕残しにも見える。前走京都戦より、馬体の張りはマシになったが、仕上げが明らかに手緩い。それでこの歩様なら、余程体幹はしっかりしているのだろうが。好発も、直ぐ内のミルテンベルクと接触。一瞬だけ行きたがりそうになったが、そこで無理しなかったことが奏功。位置取りは少し悪くなったが、中段位置で直ぐに折り合いは付いた。前の馬が4角で内を開けてくれて、進路が出来、直線に向いて先頭に立ってから馬場のいいド真ん中へ。坂を上る途中で右手前になり、フラフラになっていたが、それでも後続には充分なアドバンテージが有り、快勝。戦前からいわれていたことだが、競馬が上手いのがいい。馬はまだ良くなる余地を残しているが、これも牝馬のアスコリピチェーノ同様、別規格の馬が現れると厳しい。

エコロヴァルツ

+14kg。この時期だけに成長分も有るだろうが、少し腹回りがボテッと映ったのも確か。歩様にも力強さを感じない。ゲートが微妙に悪く、押して前に取り付こうとしたが、行きたがって更に他馬と接触する等、ゴチャついてしまい、結局は最後方から。直線は大外。ジャンタルマンタルが外へ張り出して来る馬場状態だけに、馬場のいいところを通れたともいえるが、コースロスは相当。それでこの2着は強い。過去2戦は先行していたが、初めて差す競馬を余儀なくされて、いきなり結果を出した点も好印象。重賞は勝てる馬。

タガノエルピーダ

-2kg。数字は新馬の京都戦より減っているが、明らかに中身が良くなっていた。ただ、今日の方が少しテンションが高い。好発。出脚という訳ではなさそうだが、馬がソノ気になって宥めつつ好位。前に馬を置いてからは折り合えていた。4角から動いて、直線は馬場の6分どころ。ジューンテイクとの併せ馬となり、この馬だけ右手前になって苦しそうだったが、一杯一杯凌ぎ切った。中々渋太いが、結果的にもう少し矯めても良かった気もしないでもない。先週の限定戦を除外されてこちらに回って来たが、今日は能力の高さを示した競馬。次走、一発で権利が取れると、クラシックでも楽しみな存在に。

ジューンテイク

前後肢にバンテージ。垢抜けた馬体の持ち主で、前走中京戦とほぼ変わらず。歩様も特に落ちていない。出遅れ1馬身不利。出脚もサッパリで最後方から。押して行って、3角手前から距離損は構わず外を徐々に進出、4角で中段。前述した様に、最後はタガノエルピーダに追い負けただけに課題も残ったが、トビが大き過ぎて切れるタイプではないのも確か。当然ながら、距離はもっと伸びた方がいい。ただ、この手のタイプがこの時期に活躍するのは難しいのだが。

タガノデュード

-6kg。前走京都戦は下見のテンションが高かったが、今日は落ち着いていた。馬体も今日の方が纏まっていて、歩様を含めて、確実に良くなっている。ゲートも半馬身程、分が悪かったが、出脚もなく、後方から。外でも我慢して走れていた。4角でジューンテイクに先を越され、ワンテンポ待たされる形になったが、これが結果的に良かったか。ラスト200mで右手前になって止まりそうになっていたが、坂を上り切ってもうひと伸びが有った分の5着。ここに来て馬が良くなっている。未勝利脱出にかなり苦労した馬だが、500万は勝てる馬。

シュトラウス

2人曳き。-10kg。数字分だけスッキリと見せていた。これはこれで悪くない。前走東京戦と違って、2人で曳いている分、気性的に堪えている印象も有った。出遅れ1馬身不利。人気を背負っていただけに、少し押して位置を取りに行ったが、引っ掛かってしまい、3角でハナ。ハナへ行ってからは何とか我慢して走れていた様にも見えたが、この形は最後迄保たないのは仕方がないところ。気性的に問題に問題が有ることは戦前から分かっていたとはいえ、今日は参考外。

第9回ターコイズステークス(GⅢ)

フィアスプライド

シープスキンノーズバンド。-8kg。牝馬にしてはドッシリと見せる方の馬だが、今日は数字分だけスッキリ。歩様にはまだ非力さが残るが、キレは出て来た。ゲート五分も、少し出して好位。出して行った割には、折り合いも付いていた。4角で2,3番手の手応えが怪しくなって来た中で、こちらは持ったまま。直線に向いてジワジワ差を詰め、登坂力の違いで先頭に立って押し切った。完勝。限定戦GⅢとしては、ソコソコメンバーが揃っていた中での勝利は価値が有る。ここに来て馬が良くなっていたのが大きい。今後も有望だが、馬はまだ良化の余地を残しており、もう一段成長すればGⅠでも。

フィールシンパシー

シープスキンノーズバンド。+8kg。細身の馬だけに、この馬体増は好印象。緩い印象もなく、歩様も悪くなかった。好発を決めてハナ。1000m58.4秒だから、極端に遅い訳ではないが、内枠からすんなり先手を取ったことで、早々に自分のペースに持ち込めたことが大きかった。序盤が楽だったが故に、後続を待たず早目早目の競馬。通常なら好位勢が追っ掛けバテし易い形だが、フィアスプライドの底力が一枚違った。とはいえ、今日は枠を生かして最高の競馬。ハンデ戦でも有り、それで2着は評価が下がる。

ミスニューヨーク

今回が引退レースとのことだが、馬体はキッチリ出来ていた。この時期にしては毛ヅヤもいい。歩様もこんなモノといえば、こんなモノだが、左右のバランスが少し悪いか。今日はゲート五分。出脚は速い方ではないが、出して中段。この馬としては前での競馬。中山マイルの内枠を生かしたセコい競馬は出来た。直線に向いてからも内ラチ沿いに1頭分のスペースが残っていたが、フィールシンパシーが交わせそうで交わせなかった。3連覇は中々難しいとしても、あそこ迄行けば連は確保したかったところ。案外の内容。鞍上の話では外から差した方がいい馬とのことだが...。

ソーダズリング

-6kg。この一族独特の胴長で見栄えのする馬体。馬体に張りも有った。歩様も一歩一歩力強くしっかりと踏めていた。ゲートは五分程度だが、外枠で無理せず中段やや後方から。スタート直後にルージュリナージュと軽く接触した以外、道中は揉まれずに運べたが、道中は少し力んでいた様にも見えた。その分、直線も伸びず。前走京都戦からマイルなら何とか我慢してくれるかと思っていたが、今日は課題の残る敗戦。気性面を何とかしないと、重賞では通用しない。

ライトクオンタム

相変わらず細身。数字の上で春からの成長はないが、それでも馬体のバランスは良くなった。キビキビと歩けていて、デキはいい。ゲート五分。出たなりで好位直後。序盤は少し行きたがっていたが、前に馬を置いて向正面では馬も納得して走っていた様にも見えた。直線に向いてからも最後迄、渋太く脚を使えていた。春はサッパリだったが、収穫の大きい一戦。ただ、オープンで走るには余りにも馬が貧相。もう30kgは増えないと厳しい。

ヒップホップソウル

-10kg。見た目だけをいえば、生涯最高のデキ。馬体をスカッと見せて、所作にもキレが有った。集中力も有って、気配も抜群。出遅れ1馬身不利。そのまま後方から。ただ、マイルに替わって、意外と折り合いが付いた。慌てて4角で外へ持ち出す様なこともなく、回り切ってから進路を探す形。この捌きも上手く行った方だが、前と脚色が一緒だった。内有利の馬場状態だったとはいえ、もう少し差を詰めて欲しかった。今日の内容だと弱いといわざるを得ない。

サウンドビバーチェ

前肢にバンテージ。+8kg。全体に重苦しい印象が有った。歩様も何となく鈍い。ゲートを決めて、この馬の出脚で好位。道中は少し行きたがっていた様にも見えたが、それにしても負け過ぎ。4角手前で既にアラアラの手応えで、直線は下がる一方だった。デキが本当ではなかった様。

第75回農林水産省賞典阪神ジュベナイルフィリーズ(GⅠ)

アスコリピチェーノ

-4kg。下見所の外をキビキビと周回。気配が良かった。馬振りは元々垢抜けていたが、歩様の力強さが増した。ゲート五分。この馬の出脚で好位直後。枠は枠だけに仕方がないのだが、3角手前辺りで内外前と壁になり、少し狭くなる場面は有った。それでも馬は健気に走れており、直線で少し外に進路を確保すると、最初は外からコラソンビート、坂を上って内からステレンボッシュと、次々と迫る追手を振り切って快勝。新潟戦時は感心出来なかったが、今日は明らかに馬が良くなっていた。決してスムーズな競馬ではなかった中で、この時計も速い。今後、規格が違う馬が現れるとまた別だが、勝負強いのが何より。

ステレンボッシュ

シープスキンノーズバンド。後肢にバンテージ。今日のメンバーでは、完成度の高い方。まだ歩様に甘さは有るが、ドッシリと見せていた。ゲートは五分に出たが、出脚で差が有って中段から。丁度、アスコリピチェーノを前に置く形。枠の並びも有るが、鞍上はアスコリピチェーノが強いと信じてマークしていた様に見えた。直線に向いて坂下辺り迄進路に迷っていたが、アスコリピチェーノの内へ進路を切り替えてからは一気の伸び。一瞬は勝ったかの勢いだったが、アスコリピチェーノがもうひと踏ん張り。ちょっと登坂力が甘いかも。

コラソンビート

-4kg。出来れば数字は増えて出て来て欲しかったところ。見た目にも少し細い。手先のスナップが利いて、落ち着いていた点もいいのだが...。ゲートは微妙に後手も、スタート直後から馬が行きたがって、3角で好位。3〜4角の間はまだ我慢が利いていたが、4角でミライテーラーを避ける際に、1馬身程のロスが有ったのも勿体なかった。直線は坂が上り切れず、右手前になっていた。前走が1400mでなかったら、馬体が維持出来ていれば、ゲートが決まっていれば、4角のロスがなければ、何かひとつが違っていただけで勝っていただろうが...。

サフィラ

この一族は、若馬の時代にそういう傾向が有るが、この馬もまだトモが甘い。442kgの馬としては良く出来ているが。ゲート五分。出脚もそこ迄速くなさそうだが、外枠だけに無理させる気もなく、後方に近い位置。折り合いは全く問題なかった。ただ、今日はずっと外を回される展開。勝負どころの反応も鈍かったが、4着でもフォームが最後迄乱れなかった点は好印象。来春に活躍出来るかどうかは微妙だが、素質は高そう。再来年辺りは大化けしているかも。

シカゴスティング

2人曳き。数字の割に馬を大きく見せて、迫力が有る。背丈が低いだけなのだろう。歩様も力強い。ゲートは少し分がいい程度だったが、出脚に余裕が有って、スッとハナ。1000m通過58.2秒だから、そこ迄速くはない。坂下迄は先頭。坂を上る途中で甘くなったが、1分33秒4はひと昔前の勝ち時計。もう少し出脚が有れば楽になるが、現状でもGⅡ以下ならチャンスは有る。

第16回カペラステークス(GⅢ)

テイエムトッキュウ

気配は文句なし。前を歩くメタマックスと比較すると馬が少し軽い印象も有るが、トモに張りが有った。芝での出脚が速く、スッとハナ。前半600m33.5秒だから、このレースとしては平均的な流れだが、単騎で行けたのが大きかった。直線入口で突き放し、坂を上り切って少し苦しくなった様にも見えたが、後続も似た様な脚色となり、誰も差して来ずそのまま押し切った。内枠を引いて、持ち前の出脚とスピードを生かし切れたのが最大の勝因。今後も展開ひとつ。現状だと中山に良績が集中しているが、他場でも問題はない筈。

チェイスザドリーム

胸がい。-8kg。余計な肉がなく、キリッと仕上がっていた。曳き手に甘えていたが、踏み込みもしっかりしていた。好発。テイエムトッキュウに対し、出脚もそこ迄負けていなかったが、無理することなく2番手から。これはこれで楽に行けていたが、テイエムトッキュウに対して、追い付きそうな気配がなく、そのまま雪崩込んだ形の2着。それなりの能力差は有りそうだが、この形は意外と追っ掛けバテし易く、踏ん張れたことは評価したい。安定感が有るということはいえる。

メタマックス

前後肢にバンテージ。小走りは入っていたがが、スプリントなら許容範囲。528kgも有る雄大な馬体の持ち主で、筋骨隆々。出脚で差が有って、中段。砂を被りたくないタイプの馬だが、2番枠ながら、馬群の切れ目が有り、上手く外へ持ち出せた。実質的には競馬が決まった後とはいえ、直線に向いてからも、最後迄伸びていた。今日はこれ以上なくスムーズに運べた感も有るのだが、一応はこの内容ならオープンにはメドは立ったといえるか。

リュウノユキナ

シープスキンノーズバンド。遮眼革。+5kg。微妙に腹回りは余裕が有った。歩様も左右のバランスがイマイチ。何時もこんなモノだが、満点はやれない。好発。外枠とはいえ、もう少し出脚の有る筈の馬だが、チェイスザドリームに全く歯が立たず、前から5番手辺り。4角手前辺りから早目に押し上げようとしているのだが、中々前に進んで行かず、最後は止まり気味だった。太目が祟ったか、デキがイマイチなのか...。ただ、これで引退とのこと。

タガノクリステル

遮眼革。シープスキンノーズバンド。+10kg。数字分だけ立派だが、デキ自体は良さそう。ただ、流石に少し煩過ぎるか。ゲート五分。出脚は大して速くなく、出して行って中段。バラける展開で、4角の勢いは悪くなかったが、坂を上った辺りで止まった。重賞で勝ち負けに持ち込むには、もう少しパワーアップが必要。

第59回中日新聞杯(GⅢ)

ヤマニンサルバム

前肢にバンテージ。マイラー寄りの体型では有るが、充実した馬体。ただ、少しテンションが高い。ゲート五分。出脚が抜群に速いという訳ではなかったが、押して好位。序盤は少し行きたがっていたが、鞍上に自信が有ったのか、強気に乗られた印象。ただ、ユニコーンライオンとホウオウビスケッツがやり合っていた割に、1000m通過が60.2秒と、ペースが上がらず、今日は位置を取ったのが正解。坂下で先頭に立って抜け出すと、後続の追い上げを振り切って初重賞制覇。これで中京は7戦6勝。気で走るタイプなのだろうが、前々で闘えて渋太いのが長所。今日のメンバーでこれならGⅡ級は有りそうだが、この手のタイプは落ち込むと難しいので、大敗した時が見限り時。

ハヤヤッコ

下見は最後方を周回。白毛で分かり辛いが、馬体に張りは有った。歩様もスムーズで、下見からは特に減点材料はない。ゲートでアオったことも有るが、元々が出脚もなく、後方から。丁度ピンハイに付いて行く形。トビが大きいので、終始外を回るしかないのだが、同馬主4頭出しだった中で、4角でユーキャンスマイルが遠慮してくれて、コースロスが減ったのは地味に大きかったか。直線は一番外から。ジリっぽいイメージの馬だったが、スムーズに運べたにせよ、上がり33.9秒の脚が使えたのは驚き。昨年5着、今春この条件のGⅡで4着だったが、細かい部分でハマった部分は有るにせよ、中京2000mは合うということか。

ピンハイ

2人曳き。-8kg。ガサがないだけに、減るのはいい傾向ではないが、見た目にはトモの丸みが残っていた。歩様も問題なく、落ち着いていた点も好印象。出遅れ1馬身不利も、外枠だけにリカバーが利いて、中段やや後方。ハヤヤッコの一歩前から。これでもずっと外を回さられた形となったが、直線に向いてから明らかにハヤヤッコの方がいい脚を使えており、伸び負けてしまった。差して届かずの形なら分からないでもないが、負けるにしても意外な内容。もっと矯めないとダメなのか、一時の力がないのか...。

キラーアビリティ

+8kg。デビュー以来、最高体重。数字分だけ重いだろうが、それでも馬体に張りは有った。デキ自体は昨年と同レベル。歩様も悪くない。ゲート内の駐立が悪く、微妙に出遅れも、今日は最初から馬がソノ気になっており、自然と中段。馬群の外だったが、前に馬を置いて宥める形。向正面に入ってからは折り合えていた。小細工せず、外を回ってジワジワ伸びて来たが、59kgは流石にキツかった様で、外の馬に伸び負けて、明らかに最後は甘くなった。ただ、昨年の様に、内から来るパターンだったらまた違っただろう。まだまだこのメンバーなら充分やれる。

シュヴァリエローズ

前肢にバンテージ。-4kg。良くいえばスカッと見せていたということになるが、オープンだと少し貧相という気もしないでもない。それでも一歩一歩しっかり歩けていたので、中身は有りそう。出脚の速い方ではなさそうで、オッツケ気味で何とか中段。四方八方に馬が居て、少し窮屈にも見えたが、馬は特に気にする素振りもなく、健気に走っていた。直線に向いてからも、一瞬は反応していたが、最後は直ぐ外のキラーアビリティに追い負け。ハンデ差を考えると、能力差はそれなりに有る。重賞だとワンパンチ足りないか。

ジャパン・オータムインターナショナル 第24回チャンピオンズカップ(GⅠ)

レモンポップ

前後肢にバンテージ。トモが張って、筋骨隆々。距離面への不安は別にして、歩様も力強く、デキは文句なし。外枠を引いたことで腹を括るしかなかったのだろうが、ゲートを決めて一気にハナ。この出脚は速かった。1000m通過60.9秒だから、ソコソコのペースだが、流石にスピードは有って、これでマイペース。直線に向いて、後続を突き放し、ウィルソンテソーロを除いて、皆脚色が一緒になっていたが、楽々押し切った。鞍上が決め打ちしたのが結果的にいい方に出た印象。とはいえ、これが中々2回続かないのが競馬。出脚が速い分、自分の形に持ち込み易いことは確かだが、今後は競られる可能性も高い。マイル以下は別にして、再度この距離を使って来た時が試金石。

ウィルソンテソーロ

シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。芝馬の様に、胴長でスカッとした体型。歩様が伸びやかなのもダート馬には少ないタイプ。ゲートをアオり気味に出たことも有るが、鞍上に行く気もなく、後方から。恐らくはこれも決め打ちだったのだろうが、4角迄は徹底してインに拘る策。4角を回り切ってから、外へ持ち出し、前が開いてからは一気の伸び。ウェスタールンド等、中京1800mはこの形が良く突っ込んで来る。アテには出来ないが、交流重賞3連勝は伊達ではなかった。今後も立ち回りひとつ。

ドゥラエレーデ

前後肢にバンテージ。-14kg。前走中山戦が太かった。数字分だけ絞れたと見て良さそう。まだ若いだけ有って、馬体に柔軟性を感じさせる。歩様もスムーズ。戦前はハナへ行く想定も有ったが、レモンポップには出脚で負けて2番手から。道中も明らかにレモンポップの方が行き振りが良く、スピードの差は感じさせたが、それでも直線に向いて前へ並び掛ける場面こそなかったものの、渋太く粘って3着は確保。落ち目とはいえ、テーオーケインズに競り負けなかった点は高く評価したい。決め手がないので、ダートの方が誤魔化しが利く。もう少し出脚が有るともっと楽だが、前で頑張れる点も強みといえそうで、海外遠征向きといえるかも。

テーオーケインズ

+8kg。ダート馬としては、細身に見せるタイプ。その点で、今日の馬体増は悪くないが、少し腹回りがタプついて見えた。完歩の狭い歩様は毎度。この馬の出脚でジワッと好位。内枠を生かした絶好の形で、流れに乗れた。眼前のドゥラエレーデが少し早仕掛けにも見えたが、そこをワンテンポ待っての追い出し。一瞬はドゥラエレーデより前に出たかに見えたが、最後はネジ伏せられた様な格好で4着。一昨年の覇者として、あまりにもダラしなかった。依然として手堅いが、往時の力はなくなっている。これで引退とのことだが、仕方がないところ。

メイショウハリオ

前肢にバンテージ。+5kg。微妙に余裕残し。ただ、歩様にブレがなく、オープンに上がって来た当初よりも大分馬がしっかりした印象。スタート直後から少し押していたが、出脚がなく、枠の利が有っても、何とか中段のイン。好位勢が固まる形となり、それを見ながら、この馬としては悪くない位置に見えた。直線もインはガラ開きで、展開的には絶好だったが、いざ追ってからがジリジリ。ウィルソンテソーロの様に馬が若いと融通が利くが、地方ばかりを走っていたことで馬がズブくなっていたか。レモンポップのスピードに対応出来なかった印象。

セラフィックコール

後肢にバンテージ。-8kg。ダート馬としては、前走京都戦の方が迫力が有った。今日はかなり気負っていた点もマイナス。ゲートをソロッと出したことで、この馬としては出遅れはマシも、最後方から。直線も迷わず大外。前走もマクる形にならず、直線だけで追い込む形だったが、今日はサッパリ。上がり3Fの時計がレモンポップより遅いのだからどうしようもない。やはり中京は向かないが、メンタルの問題なのか、この手の馬が一度負けると、立て直しが利かないことも少なくない。これこそ次走が試金石。

第74回チャレンジカップ(GⅢ)

べラジオオペラ

シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。+20kg。微妙に太いだろうが、成長分が大半。ただ、少し寸詰まりにも見える。歩様はしっかり伸びて、問題はないのだが。出脚は一番速かったが、行きたい馬に行かせて好位馬群の中。中山と違い、道中は一団の展開だったが、特に苦にせず走れていた。4角で外へ持ち出し、自力で勝ちに行く競馬。坂下で先頭に立ち、内からボッケリーニの猛追は有ったが、ハナ差凌ぎ切った。3歳馬がそれなりの古馬相手にこの形で勝つのは、意外と難しい。馬に底力が有るからこそ出来る芸当。GⅠはまた別の話だが、競馬も上手く、非の打ちどころがない。今後も馬主孝行してくれそう。サマー2000シリーズ辺りを狙うのも手か。

ボッケリーニ

+4kg。この馬のこの数字としてはスカッと見せていた方。歩様も悪くないが、気配だけをいえば前走京都戦の方が活気が有った。ベラジオオペラに出脚でやられたが、立て直して中段。元々が動くに動けない位置で、この馬自身も前走が2400mだったことも有るのか、4角の反応は鈍かったが、直線でインを突くとスルスルと伸びて来た。最後は微妙に甘くなった様にも見えたが、惜しい2着。例に依ってGⅢなら役者が違うということもいえるが、今日の展開で新興勢力にやられた点は疑問符が付く。終わりの始まりという気もしないでもない。

イズジョーノキセキ

距離がバラバラで、馬が戸惑っていた部分も多く、デキに関しては変わらず問題ない。歩様に力強さが有って、落ち着いていた点も好印象。ゲートは五分に出たが、最近は引っ掛かるパターンが多く、最初から押さえて後方のイン。前述した様に、馬群が固まって動くに動けない位置では有ったが、それでも引っ張り気味の追走。4角でもまだ引っ張っていた様に見えたが、直線に向いて前が開くと、久々にこの馬らしい一瞬の脚を繰り出し、ここ迄。坂を上り切った辺りで苦しくなった辺りはまだまだだが、競馬になったことが何より。尤も、これで引退とのこと。一回落ちた牝馬を上手く立て直すのは、案外難しく、厩舎技量の高さを証明したといえる。

エピファニー

+12kg。数字分だけ太い。全体にもっとスッキリした方がいい。この時期にしては発汗が目立ち、馬が気負っていた点も気になった。ゲートを真っ直ぐに出ず、出脚が鈍り、後方から。1角で頭を上げる場面が有る等、折り合いは怪しかった。行き振りが良過ぎて、4角も外を早目に追い上げて行く形。一団の展開だっただけに、尚のことキツかっただろうが、4着でも最後は諦めずに走っていた点は好印象。距離は1800mの方が楽だろうが、折り合いさえ付けば問題ない範囲。何れにしても重賞でも足りる馬。

マテンロウレオ

+14kg。どちらかといえば、ボテッと見せる方だが、今日は馬体に張りが有った。最近、馬体重の変動が激しいが、これ位の方がいいのかも。歩様にも窮屈さはない。この鞍上らしく、極端な乗られ方をすることの多い馬だが、今日はジワッと行かせて中段から。折り合いも付いて、スムーズには運べたが、開幕週で団子の展開となると、外を回されてしまうのは仕方がないところ。直線に向いてからも前の馬が邪魔になって右往左往する場面も有った。とはいえ、今季3走の中では一番いい内容。一応は復調気配。

ガイアフォース

元々がそこ迄、迫力の有るタイプではなく、前走東京戦から大きく変わった部分はない。完歩の小さい歩様も毎度。ゲートがヨレ気味だったが、立て直して好位。道中も折り合いは付いて、流れに乗れていたが、直線に向いて案外。見た目には悪くなかったが、東京戦の反動か。立て直して改めて。

第57回スポーツニッポン賞ステイヤーズステークス(GⅡ)

アイアンバローズ

前後肢にバンテージ。-10kg。元々が見栄えのするタイプだが、絞れた分、更に良く見せた。歩様にも活気が有った。ゲート五分。出脚はアフリカンゴールドの方が速く、一旦は2番手。ただ、2番手で我慢し切れず、1000m通過地点でハナへ。そのまま馬の気に任せて行かせ、一時は15馬身以上の大逃げだったが、2周目の3〜4角で引き付け、直線に向いて二の脚を使って突き放し、そのまま押し切った。気性的な問題でムラ駆け傾向だが、今日は鞍上の好騎乗。尤も、馬振りのいい馬で馬に基礎体力が有るからこれが出来るのだが。

テーオーロイヤル

下見所の草を食べた前科が有るとのことで口籠。前後肢にバンテージ。-4kg。1年振りの東京戦を叩いて順当に良化。長距離向きのスカッとした馬体。もう少し歩様に柔らか味が有ると尚いいが。一完歩目が真っ直ぐ出ず、出遅れ気味だったが、出脚は速く、スッと好位。序盤は前2頭が飛ばして、馬群の前から3番手。無論、道中の折り合いは完璧に付いていた。途中で動いた馬も多かったが、折り合いが付いていた分、ジッと待って直線勝負。良く伸びていたが、アイアンバローズが二の脚で突き放しているだけに、どうしようもなかった。折り合い面に苦労しないから、出来る芸当では有るが、勝ちに行かなかった分の2着。

マイネルウィルトス

シープスキンノーズバンド。+6kg。これだと少し重いか。距離面を考慮しても470kg台がベスト。歩様は伸びやか。この距離でも出脚で分が悪く、後方から。1周目の1角で外へ持ち出し、少しずつ前へ。2周目に入った辺りで中段に付けていた。これも折り合いはスムーズ。勝負どころの反応も悪くなく、直線に向いて2番手の態勢だったが、アイアンバローズに突き放されてしまい、坂が上り切れず、最後はテーオーロイヤルに捕まって3着。距離はこなせるが、マトモに乗られた分、甘くなった形。むしろ意外に回り脚が有った点が好印象。馬は責められない。

ワープスピード

遮眼革。前後肢にバンテージ。スッキリと出来ていた。淡々と、それでいて集中して歩けていた点も好印象。好発も出脚は鈍かったが、枠を生かすべく、押して好位。これも折り合い面はピタリと付いていた。ただ、勝負どころの反応がイマイチで、マイネルウィルトスにマクられそうになっていた。内ラチ一杯を雪崩込んだだけ。前走京都戦が好時計だったことも有り、ソコソコ人気になっていたが、このメンバーだと少し足りないか。

キングズレイン

486kgも有る馬だが、コンパクトに纏まって、如何にも長距離向き。この時期にしては毛ヅヤもいい。直ぐ外のワープスピードに対し、ゲートで分が悪かったが、押して好位。折り合いも完璧ではないが、我慢して走っていた。勝負どころの反応はそこ迄悪い様には見えなかったが、追って頭が高く、最後は止まった。馬体は長距離向きだが、走法が合っていない。