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競馬回顧 2023年5回京都

第68回京阪杯(GⅢ)

トウシンマカオ

前後肢にバンテージ。+4kg。骨格がしっかりして、馬を大きく見せていた。このメンバーだと、垢抜けた印象が強い。好発も、外枠だけに無理せず好位直後。壁がなかったことも有るが、少し良過ぎる位の行き振り。それでもコーナーで何とか馬を前に置いて脚を矯められたのが良かった。直線に向いて、大外から1頭だけ脚が違っていた。完勝。最終週で、各馬が内ラチ沿いを開けていた馬場状態だったとはいえ、ずっと外を回って勝ったのだから強い。当然、年明けは中京戦が目標になるが、今年は道悪に泣いただけに良馬場でやりたいところ。

ルガル

前後肢にバンテージ。例に依って、古馬相手でも馬は負けていない。気配も良かったが、若い分、馬体に柔軟性が有って、その分も良く見せる。半馬身出負け。出脚で挽回して好位。出して行った割には、そこ迄行きたがっている感じではなかった。直線に向いてからもしっかり脚を使えているが、トウシンマカオの決め手が違っていた。ゲートさえ決まれば、このメンバーでも楽に勝てる馬だが、そのゲートがどうもアテにならない。出脚が速いので前さえ開いていれば、比較的挽回は容易だが、今後塞がって惨敗というケースも有るだろう。

エイシンスポッター

寸詰まりの体型だが、デキは良さそう。馬体に張りが有って、完歩は小さいながらもキビキビと歩けていた。出脚もなかったが、行く気もなく、例によって後方から。枠なりに乗られて、動くに動けない位置。直線に向いてからは馬群の中を不利なく捌いて来れたが、前に2頭。上がり32.2秒の脚を使っていた以上、馬は責められない。これもゲートは出るに越したことはないのだが...。ただ、こういう武器が有る馬はGⅠでも通用するケースが多い。ルガル同様、現状は賞金面が怪しいが、中京なら届いても不思議はない。

トゥラヴェスーラ

+8kg。馬体に張りが有って、デキは問題なさそう。ただ、今日は珍しく少し気負い気味。ゲートは出たが、無理せず中段。最初からの決め打ちだったか、トウシンマカオをマークする形で乗られていた。道中の手応えは悪くなかったが、直線半ばでトウシンマカオに一瞬で数馬身離されたのが痛恨。この差が最後迄詰まらなかった。衰えがないこともないだろうが、戦績が示す通り、坂の有るコースの方がいい。

ビッグシーザー

+2kg。全体にイマイチ。馬体の張りが甘い上に、少し太い。気配に乏しいのは何時ものことだが、歩様の硬さも気になった。ゲート五分。枠の利を生かし、押してハナ。ヴァトレニにピタッとマークされて、息の入り辛い展開では有ったが、前半600m33.7秒だから、もっと飛ばせば良かっただけのこと。それでも馬場が良ければ、まだ違ったが、最終週ともなると、尚更苦しい。これ迄は、2歳時からの成長が感じられず、少し淡白な印象も有ったが、これでも良く頑張っている方だろう。来年への望みが持てる敗戦。もう少し出脚が有れば尚いいが。

ジャパン・オータムインターナショナル ロンジン賞 第43回ジャパンカップ(GⅠ)

イクイノックス

2人曳き。+4kg。今日は少し気負っていたが、許容範囲。歩様も硬さはなく、前走からのデキは維持している。ゲート五分。リバティアイランドの方が出脚は速かったが、少し出して好位のイン。前がバラける展開になったのは鞍上も想定していただろうが、揉まれない位置迄出しての競馬。パンサラッサが大逃げを打ち、直線に向いた段階でもまだ10馬身近いリード。ただ、一瞬の内に差が詰まり、坂下では勝ったかの勢いだった。抜け切ってからも危なげなく、リバティアイランド以下に4馬身差を付ける快勝。今春のUAE戦で先行させて勝ったのがいい経験になった印象。今日は引っ掛かる馬が多かった中で、自信を持って前攻めが出来る様になって死角がなくなった。これで引退とのことだが、キタサンブラック同様、クレバーな面が産駒に遺伝して欲しいところ。

リバティアイランド

前後肢にバンテージ。前走京都戦がデビュー以来、最低の状態だったが、逆に今日は最高の状態。馬体に張りが出て、歩様も何の問題もなかった。ゲート五分。出脚も負けておらず、枠の利でイクイノックスより前で闘えた筈だが、引いてマークする形。スターズオンアースと番手競りの形になり、向正面で少し頭を上げる場面は有ったが、直線に向いて並ぶ場面すら造らせて貰えなかった。4kg差有って、デキも完璧。完敗という外ない。スターズオンアースとの番手競りは少し痛かったにせよ、距離も少し長いのだろう。これで年内は休養。来年の始動は未定だが、気性面で苦しい部分が出て来ようとも、世界一を目指すなら、鍛え直す必要が有る。古馬になっての活躍が少ない厩舎だけに、これからは厩舎技量も問われる。

スターズオンアース

前後肢にバンテージ。+12kg。今季初戦となるが、数字分だけ全体に緩い印象。歩様にも頼りなさが残った。好発。距離に不安はなく、外からジワッと行かせて好位。前述した様に、リバティアイランドと並走しながらイクイノックスをマークする形。道中で行きたがったことで、少し消極的にも見えたリバティアイランドに対し、こちらは真っ向勝負。イクイノックスに対し、追い出すと頭が上がって、苦しくなっていたが、それでも何とか3着を確保した辺りが底力。現時点では次走中山戦となりそうだが、叩いてデキは良くなる筈で、圏内の1頭に。

ドゥデュース

-8kg。前走も満点をやれるデキだったが、叩いて更に良くなった。何より馬体の雰囲気がいい。今日は120点をやれる。下見所の外をキビキビと歩いており、活気も有った。半馬身程の出負け。折り合い面も考慮しつつ、中段から。これも少し行きたがる場面は有ったが、前走を考えたら良く堪えた方。ただ、いざ追ってから、前も止まらず、ここ迄。これも完敗と表現する以外にない4着。イクイノックスの様に、攻める競馬が出来ないのは痛い。本来の鞍上に戻して、中山戦に向かう様だが、折り合いがカギ。今日は評価が下がる一戦。

タイトルホルダー

前肢にバンテージ。前走中山戦は、陣営も半信半疑だったが、今日はしっかり仕上げて来た様で、馬体に張りが出た。歩様もスムーズ。例に依ってパンサラッサの方が出脚が速く、2番手から。パンサラッサが1000m通過57.6秒のハイペースで飛ばし、一時は10馬身以上も離れていた。4角から前を追い掛けて行ったが、直線入口でイクイノックスに捕まってしまい、決め手の差は如何ともし難かった。ただ、東京ならこれで仕方がないところ。これも中山戦に向かう様で、そちらなら有力馬の1頭に。

第10回ラジオNIKKEI杯京都2歳ステークス(GⅢ)

シンエンペラー

+6kg。どちらかといえば、骨格としては薄いタイプの馬だろうが、筋肉量が豊富。歩様にも力強さが有った。ただ、気配的にはギリギリ。イレ込み一歩手前。ゲートをアオり気味に出て、出脚が付かず、後方から。ただ、道中の行き振りが怪しく、オッツケ気味。向正面から出入りの激しい競馬にもなり、この馬も1000m地点でひと脚使っていたが、あまりいい位置でもなかった。コーナーはずっと馬群の中で、直線に向いてから何とか捌いて外へ。それでも、そこからの脚が違った。能力が高いというより、メンタルが強いのがいい。道悪で狙ってみたいタイプ。ただ、まだフォームがバラバラで、見た目には良く出来ているが、相当の鍛錬は必要。

プレリュードシチー

前後肢にバンテージ。このメンバーの中では、骨格のしっかりしたタイプ。まだ緩さは残っているが、歩幅が広く、踏み込みの力強さも目立っていた。ゲートは五分に出たが、出脚がなく、押して何とか中段。これも道中はオッツケ気味だったが、早目早目の立ち回り。追って一瞬の脚が有った訳ではないが、ジリジリ伸びて2着確保。道中もそうだが、追ってからもトビが大きいのがセールスポイント。馬がしっかりすれば機動力も来る筈。先々楽しみ。

サトノシュトラーセ

512kgの馬としては、造りが軽い。いいことでも有るが、まだ若いのも確かだろう。とはいえ、キビキビ歩けていた点は好印象。カズゴルティスには叩かれたが、それでも積極的に乗られて好位。こちらは行き振りも良く、4角も勝ったかの手応え。ただ、追ってからがフラフラで伸び切れない。頭も上がり気味になっていた。これだけ動けたのだから、かなりの素質は有るのだろうが、これも相当鍛えないと重賞では厳しい。

ダノンデサイル

シープスキンノーズバンド。-6kg。数字は減ったが、微妙にマシになった程度。まだ全体に緩い。歩様も甘い。出遅れ1馬身不利。挽回する間もなく、そのまま後方から。これはこれで仕方がないが、4角でスペースを見付けて、割って来ようとした際の回り脚が甘く、ディスペランツァに被されたのが痛かった。直線に向いて、立て直してからは猛追。外回りなら際どくなっていた。今日のメンバーは若さを残す馬が多く、この馬もその1頭だが、これも化ける可能性は有る馬。

キープカルム

馬体に大物感はないが、メリハリが利いて、完成度が高い。歩様も特にブレはなく、実にスムーズ。ゲートは決めたが、鞍上に行く気がなく、出脚もなくて、中段やや後方。出入りの激しい競馬になった中で、動くに動けない位置でジッとする外なかった形。今日の展開だと、これはこれで脚を矯める形になったか。直線に向いて、一瞬は突き抜けるかの脚だったが、先頭に立ったところで甘くなった。ここ2走は先行していただけに、新味を見せたともいえるが、いい脚が長く続かない。ベストはマイル?

ギャンブルルーム

このメンバーなら馬のスケールでは一枚抜けている。ただ、歩様がもう少ししっかりしてくれないと。ゲート五分。出たなりで中段から。ただ、これも少しオッツケ気味の追走。直線に向いて、前は開いていたが、右手前のままで全く伸びなかった。やはり小回りはダメ。広いコースで改めて。

ジャパン・オータムインターナショナル 第40回マイルチャンピオンシップ(GⅠ)

ナミュール

2人曳き。何度も述べているが、古馬になって、線の細さが解消。3歳時とは別馬になった。今日は毛ヅヤも冴えて、デキも抜群。歩様にもブレがない。ゲートでアオッたことも有るが、この枠だけに行く気もなく、後方から。急遽の乗り替わりながら、打ち合わせはしっかりやれたとのことだが、慌てず乗られていた。この馬としては珍しく、基本的には外に馬を置かない状態だったが、坂の下りでシュネルマイスターに被される場面。見た目には前にズラっと馬が居て、苦しい位置だったが、鞍上の落ち着き振りがここで生きた。直線に向いてから追い出され、ラスト250mで一瞬狭くなり掛けたが、脚でコジ開け、ラスト200mは他馬が止まっていたかの様な決め手だった。今日も危なっかしい競馬だったが、前走東京戦,今回とたまたまハマった。無論、馬が良くなっているからこそ、この芸当が出来るのだが、今後もアテにはし辛い。

ソウルラッシュ

遮眼革。+2kg。前走中山戦から大きく変わった雰囲気はない。このメンバーに入ると馬が上ということはないが、スッキリと出来ていた。歩様もスムーズ。今日は出負け。1馬身近く、分が悪かった。その分、前走中山戦と違って、何とか中段から。それでも、中山戦で行かせたことは間違いなく正解だっただろう。出して行っても、我慢が利いていた。直線に向いて進路を探す形になったが、前が開いてからの脚が強烈で、一旦は完全に抜け切ったのだが、ナミュールにあの鬼脚を使われてはお手上げ。ゲートを五分に出ていたら違っていた可能性も有ったが、ナミュールもスタートは失敗しており、今日は相手を称える外ない。それでも前述した様に、前走で59kgを背負って頑張ったことが今回に生きている。今後もチャンスは続く。

ジャスティンカフェ

シープスキンノーズバンド。+4kg。一度叩いて、順当に良化。特にトモの張りが良くなった。テンションが高いのは何時ものこと。ゲートは出たが、出脚がなくて後方から。以前は引っ掛かるイメージの馬だったが、今日はむしろオッツケ気味。それでも前に追い付いてからは脚を矯める間が有り、直線もスムーズに前が開いたが、頭が高い走法故にいい脚が長く続かない。これも今迄工夫して来たことが、今日に生きたことは間違いないのだが、その上でこれが限界という気もしないでもない。

エルトンバローズ

前肢にバンテージ。+8kg。腹回りがボテッとしていたのは、前走東京戦も一緒。太いのだろうが、デキがいいのでそこ迄気にならない。ただ、歩様の力強さは有っても、重たい分、完歩が小さい。ゲートは分がいい方だったが、マイルだとそこ迄出脚が速い訳ではなさそうで、中段から。この枠だと仕方がないのだが、向正面で少しガチャガチャする場面は有った。それでも馬は健気に走っており、3角で外に馬が居ない状態。そこからはスムーズに回って来れたが、マイルの相手で真っ向勝負となると、瞬発力が足りなかった。展開ひとつの馬では有るが、もっと器用さを生かす格好にならないとこの相手では厳しい。

ダノンザキッド

2人曳き。+8kg。デビュー以来、最高体重。少し重いだろうが、馬体に張りは有った。歩様に力強さが有って、何とか気配も堪えてくれていた。ゲートでの駐立が悪く、出脚が鈍って後方から。マイルより長い距離をずっと使っていたことも有るが、課題の折り合い面は問題なく、我慢が利いていた。ただ、直線で外に進路を取って、中々前が開かなかった。ジャスティンカフェの後追いとなり、ここ迄。ジャスティンカフェの位置ならもう少し際どくなっていただろう。惜しい競馬。

シュネルマイスター

+4kg。前走東京戦も明らかに太い状態だったが、更に増えてしまったのは頂けない。明らかに腹回りがタプついていた。ゲート内でガタついて、痛恨の出遅れ。ソーヴァリアントに寄られ、挽回のしようもなく、最後方から。鞍上の話では4角で滑ったとのことだが、直線に向いて直ぐの反応が悪く、ナミュールに1頭分しかないスペースを取られてしまった。最後は脚を使っているものの、後の祭り。今日はメンバー的にもチャンスだったが、それを生かせず。これで引退とのことだが、今日は最初から進退を懸けていたのだろう。

セリフォス

前後肢にバンテージ。中間一頓挫が有った割には仕上がっていたが、毛ヅヤが一息。気配はこれでいいが...。ゲート五分。スタートさえ決めれば、出脚は有る馬で好位に居たが、今日は最初から力んでしまっていた。こうなるとダメ。次走香港遠征だそうだが、一回叩いて折り合いが付けばいいが...。

第28回東京スポーツ杯2歳ステークス(GⅡ)

シュトラウス

前肢にバンテージ。前のガイアメンテよりはマシだが、これも小走りが入る場面が有った。ただ、馬は本当にいい。踏み込みの深さも含めて、素材は一級品。ゲート五分。テリオスルルに叩かれる形になったが、それでも少し出して行って、バラけた3番手。前にシュバルツクーゲルを置いていたとはいえ、それでも結構力んでいた様に見えた。直線はこの馬が抜け出したというより、後続が誰も差して来なかった印象の方が強い。前走はまだ真っ直ぐ走れていたが、今日は少し内にモタれていた点も気になった。馬がいいので、折り合いさえ付けば、GⅠ級なのだが、課題の残る一戦に。

シュバルツクーゲル

シープスキンノーズバンド。毛ヅヤは良かったが、全体に力が付き切っておらず、馬体にメリハリがない。歩様も微妙に甘い。出脚が抜群に速いということもなさそうだが、枠の利を生かして2番手。向正面半ば辺り迄、頭が上がりそうになっていたが、3角ではスムーズに走れていた。直線に向いて、シュトラウスと一緒に、離しての逃げだったテリオスルルを捕まえに行き、その段階でシュトラウスの方がクビ程度出ていたのだが、そこからが渋太かった。最後の最後こそ甘くなったものの、200m程粘れていた分の2着。馬がまだ出来上がっていない中の頑張りだから、素質そのものは高い。気性的にも大きな癖はなさそうで、成長すれば。

ファーヴェント

2人曳き。-10kg。新馬の新潟戦が余裕残しだっただけに、これは好材料。見た目にも馬体が締まった印象。歩様にはブレも有ったが、集中力が有って、気配も良かった。好発も、出脚を使わず、前から4番手。前はバラバラの展開だったが、シュトラウスを見ながら絶好の形。折り合いも全く問題なかったが、いざ追い出すと内へモタれて、前へ飛ばず、上へだけ飛んで行く様な走法で、推進力がなかった。典型的なトモが甘い馬の症状。500万でも微妙に怪しい。

ショウナンラプンタ

まだ腹回りに少し余裕が有って、520kgの割に迫力がない。歩様も硬さこそないが、少し甘さが有った。ゲートを真っ直ぐ出ず、出脚が鈍ったことも有るが、鞍上に行く気もなく、最後方から。道中はリラックスして走れていた。基本的にはコースロスなく回すことを心掛けて、直線もインから。追い込んでは来ているが、競馬が終わった後だった。この内容だと高く評価し辛い。次走は中山戦とのことだが、自己条件からやり直した方がいい気もしないでもない。

ミカエルパシャ

+22kg。新馬の中京戦は仕上がり過ぎていた位だったが、この馬体増は歓迎材料。緩い印象もなく、ほぼ成長分。ゲート自体も分が悪かったが、ファーヴェントに寄られて出脚が付かず、後方から。これも道中はリズム良く走れていた。直線に向いて、ショウナンラプンタとの併せ馬。一瞬の反応も有り、ショウナンラプンタより前に出る場面も有ったが、眼前にファーヴェントが居て、最後に逡巡する場面が有った分、最後に差し返された。逆にいえば、力負けではない。これも自己条件なら何とかなる筈。

ガイアメンテ

前後肢にバンテージ。+8kg。1人で曳いていたことも有るが、今日もイレ込みがキツい。シュトラウスと並んで、馬体の良さはこのメンバーでも断然だが...。最初からの決め打ちで、抑えて後方から。それでも結構力みながらの追走。他馬も序盤は似た様なモノだが、この馬だけは一度も落ち着く場面がなく、直線迄来てしまった。それで伸びないのは仕方がないところ。トビの高さに1年に1頭クラスの素質は感じるが...。現状は宝の持ち腐れ。

フォルラーニ

2人曳き。トモのボリューム感が有って、素質は高そうだが、前駆が薄く、まだ成長途上。踏み込みもまだ浅い。ゲートを真っ直ぐ出ず、出脚が付かず後方から。道中も何度かオッツケる場面が有り、行き振りが悪かった。ただ、直線は鞍上も全く追っておらず、今日は人馬共に競馬を投げていた。気性的な問題なのか、ゲートで脚をヒネったか、良く分からないが、何れにしても参考外。

ジャパン・オータムインターナショナル 第48回エリザベス女王杯(GⅠ)

ブレイディヴェーグ

2人曳き。増減なしの数字が示す通り、前走阪神戦から劇的に良くなった印象はない。品が有って、いい馬で有ることは確かだが。歩様も問題ない。今日もゲートはヨレ気味だったが、最内枠だったことが救いとなり、他馬と接触せず、立て直しが利いて好位を確保。道中の折り合いも付いていた。坂の下りでの手応えはイマイチに見えたが、直線に向いてから伸び出すと、アッサリと抜け出した。直線は最後迄、右手前のまま。それだけ楽だった。ただ、あまりに上手く行き過ぎて、能力判定のしようがないところ。メンバー的にも牡馬相手で勝てるだけの迫力を感じさせる馬も少なく、次走が本当の試金石。

ルージュエヴァイユ

-2kg。少し細い位の造りにも見えたが、良くいえばキッチリ仕上がっていた。歩様もそこ迄悪くない。好発。最初からの決め打ちだったのだろうが、鞍上に行く気がなく、押さえてブレイディヴェーグをマークする形。道中は我慢して走ってくれていたが、油断すると引っ掛かりそうな気配は有った。4角の手応えはブレイディヴェーグより上で、ラスト200mの地点では並び掛けるところ迄行けたのだが、そこから突き放された。少なくとも鞍上の仕事にケチを付ける部分はない。経験の問題も有るにせよ、現状は微妙に距離が長い。

ハーパー

オーストラリアンブリンカー。+2kg。前走より良くなっている。例に依って迫力を感じさせる馬体ではないが、馬に活気が出て、デキ自体がいい。ゲートを決めて、そのままジワッと先行。基本的にはズブい位の馬で、決め手不足を考慮しながら、早目早目の競馬。これも鞍上の意図通りの競馬は出来たが、それでも追ってからの反応が鈍く、ブレイディヴェーグに交わされてからエンジンが掛かった格好。最後の最後は微妙に差を詰めていた様に見えた。現状はもっと距離が有った方がいいが、ハーツクライ産駒だけにリスグラシューの様に古馬になったら化けるのかも知れないが。

ライラック

-6kg。下見は目立つタイプではないが、それでもキッチリ出来ていた。キビキビ歩けていた点も好感が持てる。ゲートは出たが、出脚は速い方ではなく、後方に近い位置。馬群の中で矯めて一発を狙う競馬。これも何か不利が有った訳ではなく、スムーズに回って来れたが、ハーパーが交わせそうで交わせなかった。ただ、枠の関係で微妙に外を回されたことは少なからず影響していただろう。個性の差は有っても、力そのものは互角。今年のメンバーなら馬券圏内が欲しかったところなのも確かだが。

ジェラルディーナ

イレ込みは毎度。時々落ち着いている時も有るが、成績とは直結せず、気にしなくていい。ただ、馬体の充実は目立った。マトモにアオってしまい、出遅れ2馬身不利。それでも最後方待機ではなく、馬群には取り付いていたが、ずっと外を回る形。下見のチャカつきの割に、本来は折り合いの付く馬だが、流石にこれだけ鞍上が慌てると、馬も少し行きたがるのは仕方がないところ。今日のスローでこれだけ外を回って、スムーズさを欠けば、直線で伸びないのは当然。これでも良く踏ん張っている方だろう。マトモなら勝っていたか。

ゴールドエクリプス

-6kg。小走りが入って少し煩いのは何時ものこと。馬振りの良さはこのメンバーでも際立っていた。ゲートは少し分が悪かったが、積極的に乗られて好位。壁がない分、少し力んでいた様に見えたが、4角で既にアラアラ。ここ迄負ける馬ではない筈だが...。距離が長いのか。

第58回デイリー杯2歳ステークス(GⅡ)

ジャンタルマンタル

-6kg。新馬は新馬で立派だったが、馬体に張りが有った。絞れたというより、馬が緩くなった。歩様も含めて、いい馬なのは確かだが...。ゲートは少し後手に回ったが、枠の利も有って中段。そこ迄、押して行った訳ではないが、道中は少し力んでいた。とはいえ、内枠のスローだったが故に前に壁が有ったのが不幸中の幸い。何とか我慢させて、直線もインから。道中でロスが有った割には、最後迄しっかり脚が使えていた。内枠が味方したことは間違いないだろうが、それでも力が違った。折り合いさえスムーズならGⅠ級。それが中々難しいのも確かだが...。

エンヤラヴフェイス

+2kg。前走新潟戦と比較して、数字こそ変わりはないものの、トモにボリューム感が出た。明らかに馬が良くなっている。歩様の力強さも増した。好発も、出脚を使わず、内の出方を窺いながら中段。ジューンブレアを前に置いて、折り合いを付ける形だったが、前に馬を置くことに拘り過ぎて少し窮屈そうにも見えた。坂の下りが下手なのか、4角での反応も少し悪く、置かれ気味だったが、直線に向いてから馬群を捌いて伸びて来た。前走新潟戦が案外だったが、鞍上の話では他馬を気にして怯む場面が有ったとのこと。能力は有るのだろうが、乗り方や今後の調教に工夫が要る。

ナムラフッカー

寸が詰まって、小ぢんまりとした馬体。ただ、毛ヅヤは冴えており、現状のデキはいい。馬体の柔軟性も有りそう。半馬身出遅れ。そのまま最後方。馬群にも取り付いていなかった。兎に角リラックスさせて走らせ、4角を回り切ってから大外へ。追い出して、少し内にモタれていた様にも見えたが、ナムラエイハブとの併せ馬を精して3着確保。このスローで、全馬が伸びている展開だったが、末脚の持続力がモノをいった。前述した様に、馬体はどちらかといえば小ぢんまりとしたタイプだが、全身を使えてトビが大きいのが長所。上手くやれば化けるかも。

ナムラエイハブ

2人曳き。-6kg。数字分だけスッキリした感。それで居て、トモに丸みが有って、メリハリも有った。キビキビと周回出来ていた点も好印象。ゲートは出たが、行く気がなく後方から。前に馬を置きたかった様だが、その場面すらなく、ずっと外を回されていた。それでも直線に向いてからの手応えは有った方で、ジリジリ伸びていたが、ナムラフッカーに伸び負け。今日は内枠がアダ。力そのものはそこ迄、ヒケを取らない。

メイショウサチダケ

+10kg。成長過程として、馬体増自体は歓迎材料だが、今日は少し緩い。全体に力が付き切っておらず、歩様も甘い。ゲート五分。単騎で逃げたかった様だが、出脚でテイエムチュラサンにやられて、向正面は並走。ペース自体は大して速くなかったが、キツい形になってしまった。それでも、直線に向いて一旦は突き放す場面。最後は外へモタれていたが、バタッとは止まっておらず、渋太い一面は見せた。出脚が欲しいところ。

第28回東京中日スポーツ杯武蔵野ステークス(GⅢ)

ドライスタウト

前後肢にバンテージ。+11kg。元々が重心の低い重戦車タイプとはいえ、少し立派だった様にも見えた。歩様も些か重苦しい。ゲートは五分程度も、芝での出脚が速く、スッと好位。ただ、真横に居たステラヴェローチェが内にモタれ気味で、3角手前で接触する場面。どうしようもないという程ではないが、少し馬が怒る場面は有った。その分、4角での位置取りが少し後ろになったが、それでも直線で少し外へ持ち出して進路を確保すると、ラスト200mで先頭。最後は馬が遊んでいた様にも見えた程で、完勝。春のGⅠではスムーズさを欠いた分、4着に敗れたが、流石にGⅢなら力が違った印象。中京戦へ向かう様で、距離経験の少なさは課題になるが、有力馬の1頭に。

タガノビューティー

前を歩くドライスタウトがボテッとしていたことも有ったが、こちらはバランスの取れた造り。スカッと見せて、動きにキレが有った。微妙に出負け。芝での出脚もなく、後方から。道中の手応えもいい方ではなかったが、直線だけ外へ持ち出されると、前を猛追。ドライスタウトには敵わなかったが、強い内容の2着。この後は一息入れて、年明けの東京戦迄待機する様だが、本命級。中々重賞に手が届かないが、そろそろ出番が有りそう。

レッドルゼル

前後肢にバンテージ。3月のUAE戦帰りだが、少し緩い程度。それでも皮膚を薄く見せて、デキ自体はそこ迄悪くない。歩様もこんなモノ。ゲートはこれも少し分が悪い程度。行こうと思えば行ける出脚は有る筈だが、鞍上に行く気がなく、最後方から。しかし、ガツンと引っ掛かってしまい、鞍上が持って行かれそうになっていた。それでも直線はひと脚使えたのが底力か。タガノビューティーには並ぶ間もなく交わされていたが、渋太く最後迄諦めずに走っていたのは好印象。マイルは微妙に長いのだろうが、経験を積んだことで頑張りが利く様になっている。

ケイアイシェルビー

前後肢にバンテージ。このメンバーに入ると、少し迫力負けしている感も。歩様もスムーズだが、ダート馬としてはパワフルさがない。スタート直後に直ぐ外のメイショウウズマサに寄られ、手綱を引っ張る場面も有ったが、立て直して2番手。コーナーでズブいのは何時ものことで、ステッキが入るのも早かったが、それでも4角でメイショウウズマサに並び掛け、ラスト300mで競り落として先頭。そこからは脚が続かなかったが、見せ場充分の内容だった。ズブさがなくなれば、重賞でも勝ち負けになりそう。あとは経験の問題。

ペースセッティング

胴長で雄大な馬体の持ち主。2歳時から馬振りの良さは際立っていたが、ダートのメンバーでも迫力上位。ケチを付ける部分は何ひとつない。ゲートを決め、外からこの馬の出脚で好位直後。流れには乗れていたが、ずっと外を回されていたのが痛かった。その分、直線も大して伸びず。とはいえ、最後迄、諦めずに走っていた点は好印象。工夫ひとつでこのメンバーでも足りる。

第13回みやこステークス(GⅢ)

セラフィックコール

シープスキンノーズバンド。後肢にバンテージ。+6kg。明らかに重かった阪神の新馬の数字に近付いて来たが、大分実になって来た印象。ゆったりと歩けており、歩様も伸びやか。出遅れたというより、2完歩目が遅く、直後に躓いて、後方から。道中もオッツケ気味で、行き振りはイマイチ。重賞ともなると、マクる形に持ち込めず、ズブさを出している間に更に外を回されて、余計に置かれてしまった。通常ならまず消えるケースだが、それでも直線に向いてエンジンが掛かると、別次元の決め手でアッサリ突き抜け、最後は3馬身差。圧勝といえる内容だった。次走は年明けの中京戦とのことだが、中京は外から追い込み一気が利き辛いコース。条件的にはかなり苦しいが...。

メイクアリープ

遮眼革。前肢にバンテージ。ダート馬としては大きく見せない方だが、緩んだところがなく、トモが張って、デキ自体はいい。出脚が抜群に速く、一瞬はハナに立つ位だったが、主張した馬に譲って好位。1角で包まれそうになってゴチャつきかけたが、何とかクリア。道中はずっとリズム良く運べた。4角の回り脚も速く、手応え十分に直線へ向き、追ってからもこの馬の脚はしっかり使っているが、セラフィックコールにあの脚を使われては仕方がないところ。とはいえ、2着確保して、賞金を加算出来たことは大きい。器用さが有るだけに、交流重賞で息長く稼げる存在になりそう。

ウィリアムバローズ

+10kg。胴長でスラッとした体型だけに、然程目立たないが、少し腹回りは緩いか。それでも下見所の外をキビキビと周回して、気配は良かった。ゲートが微妙に分が悪く、外から一気に来られてキツい形になったが、外枠だけにリカバーが利いて、何とか中段。今日のペースなら悪い展開ではなかった筈だが、4角の回り脚はメイクアリープの方が余裕が有り、微妙に突き放されたのが痛かった。それでもハナ切ってナンボの馬が控える形で競馬になったのは収穫。チャンスは近い。

ペプチドナイル

シープスキンノーズバンド。-6kg。530kgの馬としては、胴長でキリッとした馬体。踏み込みの深さも印象的。好発。出脚自体が速い訳ではなさそうだが、外からアイオライトに来られ、抵抗する形でハナへ。ただ、この馬が1角で先行争いに決着を付けてからはマイペースとなり、1000m通過61.2秒と平均ペースに落とせた。後続を待たず、早目スパートに出て突き放しに掛かったが、メイクアリープに機動力が有り、ラスト200mで並ばれて苦しくなった。とはいえ、これが鞍上の思い通りの競馬だった筈。苦しくなったといっても、勝ったセラフィックコールから0.6秒差。今後も展開ひとつだろう。

ゲンパチルシファー

前後肢にバンテージ。今は単純にデキがいい。馬体にメリハリが有って、歩幅が広く、下見の周回にも勢いを感じさせる。ゲートが開いて外へヨレ、出脚が付かず後方から。道中はセラフィックコールと並走。4角の手応えは流石にセラフィックコールの方が分が良かったが、ジリジリとは伸びて来ていた。一時の不振は完全に脱した。差し一手だけに展開に左右される面は有るが、何処かでもう一発有っても驚けない。

タイセイドレフォン

毛ヅヤは悪くないが、本当にいい時のこの馬ではなさそう。いい時はもっと馬を大きく見せる。少し完歩の小さい歩様は毎度だが。好発も、思ったより出脚がなく、好位直後。道中も何度かオッツケる場面が有った。4角手前でアラアラの手応えで、下がる一方。全く見せ場がなかった。こんなに負ける馬ではない筈だが...。砂を被るとダメ?

ワールドタキオン

前後肢にバンテージ。-6kg。馬体が締まって、更に良く見せたが...。ただ、何時もより少し煩いのは気になった。外のペプチドナイルやアイオライトに抵抗しつつ、好位の外。出脚が有って、労せず流れに乗れていた。セラフィックコールを意識したか、全体に仕掛けが早かったことも確かだが、これも4角で終わっていた。良く分からない負け方。デキが本当ではなかったか。

アスクドゥラメンテ

-4kg。もっと絞った方がいい。一歩一歩にブレがない歩様も含めて、パワフルさは感じるが...。要はキレがない。好発も、他に速い馬が居て、急かさず好位。少し内にモタれながらの追走。タイセイドレフォンやワールドタキオンよりも4角の手応えはマシだった様に見えたが、追って案外。雨中で走っている方が多い馬だが、締まった馬場の方がいいのか...。

第61回アルゼンチン共和国杯(GⅡ)

ゼッフィーロ

馬体はキリッとしてこれでいいが、今日は気合が乗り過ぎ。小走りが入っていた上に、眼が血走っていた。ゲート五分。下見の気配が気配だけに、最初から行く気はなく、ジックリ乗られて中段やや後方のイン。折り合いを付けて、只管ジッとする形。直線に向いても暫く前が開かず、苦しい位置だったが、ラスト400mで一瞬のスペースを見逃さずに進路を確保。抜け切ってからは皆似た様な脚色になっていたが、決め手を生かし切った。お世辞にも単勝1番人気の馬とは思えないギャンブル騎乗だったが、今週11勝の鞍上が見事だったという外ない。次走は香港遠征とのこと。再度、今日の競馬がハマるとは思えないが、平坦の方が向いていることは確かだろう。

マイネルウィルトス

シープスキンノーズバンド。今季は最初からそこ迄悪くなかったが、今日もデキにケチを付けるところはない。今日は歩様に柔らか味が有ったのも良かった。ゲートは出たが、外枠ということも有り、一旦は後方に下げる形。徐々に内へ寄せて行った。引っ掛かるという程ではないが、行き振りが良過ぎて、無理に控えず、外を少しずつ上がって行く形。3角で中段位に居た。直線に向くのを待たず、4角を勢い付けて回って坂下でほぼ先頭。かなり強引だったが、ゼッフィーロのギャンブルに負けただけで勝ちに等しい2着。昨年も2着だったが、それ以上の好内容。明らかに強くなっている。GⅠには頑として使わない馬だが、今なら2,3着有っても不思議ではない。

チャックネイト

2人曳き。遮眼革。小ぢんまりとした、如何にも長距離向きといった体型。皮膚を薄く見せて、淡々と歩いていた点も好印象。ゲート五分。出脚は使わず、中段待機。4番枠だったが、内ラチ沿いを取られて、道中は揉まれ込む場面も有った。直線に向いて、少し外へ持ち出したが、エンジンが遅く、更に外から来たヒートオンビートに被されそうになりながらも、勝負根性を発揮して3着同着。今日はお世辞にも上手く乗れたとはいい難いのだが、馬が渋太かった。これで今年5走、全て馬券圏内。兎に角相手なり。

ヒートオンビート

-8kg。前走京都戦よりは明らかにいい。数字分も有るが、緩んだところがなくなってスカッとした印象。踏み込みも深い。ゲート五分も、スタート直後から引っ掛かりそうになっており、下げて後方に近い位置。折り合いは直ぐに付いた。直線に向く迄、待ってから進路を探し、結果的に外へ。例に依って、追い出すと少し頭が上がっていたが、59kgを背負って楽ではない形になりながらも、良く伸びて3着同着。出来れば単独の3着が欲しかったところだが、これも能力を証明したといえる内容。

セファーラジエル

少し馬体の張りが甘い印象も有るが、柔軟性は有りそう。この距離を考えると、524kgの馬としてはスカッと見せている点もいい。歩様も悪くない。スタート直後は進みが悪く、何度も促して行き脚を付けて好位。その分、道中は少し力んでいたが、以前と比較すれば折り合いはマシになった。ただ、道中で力んでいる分、追ってからの反応が鈍い。そこでゼッフィーロに1頭分しかない進路を入られてしまい、更に待たされてしまった。もう少し俊敏に動ける様になるといいが...。とはいえ、まだ成長の余地は残している。本格化すれば重賞を勝てる馬。

ハーツイストワール

シープスキンノーズバンド。前肢にバンテージ。約1年振りだが、全体に緩慢。歩様にもキレを欠く。ゲートで少し後手に回り、後方から。一息入って、デキに自信がなかったとのことで、ジックリ乗られた。小細工せず、外を回って、コースロスは有っても、スムーズに回って来れた。結果的に早仕掛けした格好になり、最後は失速。とはいえ、休み明けの競馬としては悪くない内容。GⅡ以下なら次走狙い目。

第28回KBS京都賞ファンタジーステークス(GⅢ)

カルチャーデイ

数字通りの馬で、馬体は兎に角地味。それでも動きはキビキビ。如何にも決め手一本で飯が食えるタイプ。ゲートで少し後手に回ったが、出脚で挽回して好位のイン。暫くの間でも、行きたがるのは仕方がないところ。ただ、前がバラける展開になり、揉まれず運べたのは良かったか。直線に向いて追い出されると、1頭だけ違う脚。末脚の持続力という点ではそこ迄威張れないだろうが、可動域が広く、トビが大きいので踏ん張りが利く。新馬の小倉戦の内容が強かったが、重賞でそれを証明出来た。ただ、決め手一本だけにアテにはし辛い。ガサがないので、成長力も期待出来ず、厩舎技量が問われる。

ドナベティ

馬体は札幌戦時とそこ迄変わらず、数字の割に良く出来ているが、煩いのがマイナス。もう少し落ち着いて欲しい。ゲートは五分に出たが、出脚を使わず中段から。カルチャーデイの直後から。出脚を使わなかった分、道中の折り合いは付いていた。直線に向いて、カルチャーデイは少し外に持ち出したが、こちらは徹頭徹尾最内から。シカゴスティングとの併せ馬になったが、外へヨレて過怠金の対象になりながらも、何とか凌いで2着確保。ただ、今日は枠の利が大きい。メンバー的にも然程揃っていたとはいえず、今後は苦しい。その中でこれだけ賞金を稼いだことは高く評価出来るともいえるが。

シカゴスティング

2人曳き。背丈が低いことも影響しているが、428kgの馬としては幅が有って、迫力を感じさせる。ただ、如何せん煩過ぎる。ゲートは速い方だったが、これも急かさず乗られ、中段。少しずつ内へ潜って、3角でドナベティの真横。ただ、下見の印象程ではないが、道中は少し力んでいた様に見えた。直線に向いて、直ぐに反応出来た訳ではないが、ラスト200m位から馬がソノ気になってドナベティとの併せ馬。伸びているが、道中のスムーズさを欠いた分、相手に粘られた格好。経験で変わって来る範疇だろうが、現状のベストは1200mか。

セントメモリーズ

-4kg。マイラー寄りの造りとはいえ、470kgの馬体はこのメンバーに入れば上の方。ただ、頭が高く、所作に力強さを欠く。ゲートは五分に出たが、出脚が速い方ではなく、中段やや後方から。今の京都で後手に回ると、どうしても外を回らざるを得ず、直線入口で内の馬との距離が広がってしまったのが痛かった。最後は猛追したが、勿体ない競馬に。とはいえ、馬格から先々はこの馬が一番期待出来そう。一先ず500万からやり直すことになるが、確勝級。

ヒヒーン

前後肢にバンテージ。トモが薄い割に、腹回りがボテッと映る。まだ馬が若い。一歩一歩の歩幅が狭く、歩様も甘い。出遅れ1馬身不利。そのまま後方から。これ自体は仕方がないが、4角で少し待たされ、直線もラスト100mの辺りで、ドナベティを起点としてゴチャついて、前の馬を避けようとして、外の馬と接触する場面。これも全能力を発揮出来たとはいい難い。ただ、少し頭は高いものの、トビが高く、潜在能力は高い。何時か大化けしても不思議はない。

第58回京王杯2歳ステークス(GⅡ)

コラソンビート

下見は最後方を周回。+8kg。スッキリと見せるタイプだけに、増えて出て来たのはいい傾向。手先のスナップも利いていた。ただ、もっと増えてもいい。完成すれば+20kg位になりそうなタイプ。ゲートは半馬身程、分が悪かったが、何とか中段。道中で行きたがる面は有る馬だが、それ迄ガッチリと抑えて乗られていたことも有り、我慢出来ていた。直線に向いても少し追い出しを我慢。ラスト400mから追い出して、特にラスト200mの加速力が違った。唯一の牝馬で強い内容。レコードとなった時計も好印象。ただ、次走は阪神へ向かう様だが、コース経験のなさがどう出るか。圏内の1頭なのは確かだが。

ロジリオン

寸が詰まったマイラー体型だが、トモが張って、馬は目立つ。気合も乗って、気配も良かった。ゲートは速い方だったが、最初から鞍上が手綱を抑えて、中段やや後方から。それでも力んでいた様に見えた。直線に向いて、最初に狙った進路が直ぐに閉まってしまい、外と前が壁になってブレーキを踏む場面も有ったが、外の壁役だったコラソンビートが抜けてから、あとを追う形で伸びて来た。着差が着差だけに惜しい。これも折り合い面はネックになりそうだが、もう少しリラックスして走れる様になれば、勝ち切れる筈。

オーキッドロマンス

前を歩くロジリオンは馬体にメリハリが有ったが、こちらは平凡。数字の割に馬が薄い。歩様に非力さはないが。好発。出脚も有って、一瞬は2馬身近く抜けたが、外のジャスパーノワールが何が何でもの構えで行って、離れた2番手から。自分のリズムを守って、直線に向いてからの反応も良かったが、追って頭が高く、その分最後が甘くなった。センスは高く、距離はマイルでも大丈夫だろうが、どちらかといえば小回りコース向き。

バンドシェル

前後肢にバンテージ。これも寸詰まりの馬だが、緩い印象はなく、馬の完成度はそれなり。歩様もしっかりしていた。ゲートは五分程度だったが、これでも新馬の京都戦を思えばマシな方。少し出して、コースロスを最小限に留めつつ好位。上手くコーナーでインに潜れたが、少し行きたがっていた。その分、直線は最初から進路が確保出来ていたにも関わらず、ジリジリとしか伸びず。新馬即重賞だったことを考えれば充分なのだが、とはいえ現段階では500万も心許ない。

ミルテンベルク

前後肢にバンテージ。垢抜けた馬だが、まだ全体に力が付き切っていない。馬体に柔軟性は有りそうだが、歩様も非力。ゲート五分。内外の様子を窺っている間に、外のジャスパーノワールが一気にハナへ行ったが、頭を上げる場面も有り、行きたがっていた。これでは追って伸びないのも仕方がないところ。ただ、直線のフォームに素質の一旦は示した。馬体の成長と気性面が解決出来れば、重賞でも。