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競馬回顧 2024年5回京都

第75回毎日王冠(GⅡ)

シックスペンス

シープスキンノーズバンド。+14kg。成長分も有るだろうが、もうひと絞り有っても良さそう。少し歩様が窮屈に見えるのは前走同様。ゲートは少し分がいい程度。出脚を使わず、4番手から。前にエルトンバローズを置いて、道中の折り合いは付いていた。恐らくはそのエルトンバローズが直線で動けなかったのは誤算だっただろうが、追い出して直ぐの反応は他馬と似た様なモノでも、ラスト150m辺りからジリジリ伸びて快勝。加速してからは余裕が有った。トビのいい馬で、走ることに対しての才能が有り、クビ差でも、力が一枚上と言わんばかりの勝ち振り。ただ、レース後に脚元の不安が出たとのこと。無事でない馬では名馬ではない。

ホウオウビスケッツ

2人曳き。前走函館戦と比較して、今日の方が歩様がスムーズ。ただ、前走の方が馬体の張りは有った気もしないでもない。好発。出脚は怪しいが、押してハナ。出して行った分、ハナでも鞍上が手綱をかなり引っ張っていた。それでも土曜日の2歳戦と違い、最初に主張しているので、ペースは落とせた。直線に向いて、突き放す脚こそなかったが、2番手に居たエルトンバローズが中々交わせず、最後はむしろ突き放し気味。シックスペンスには屈したものの、大健闘の2着だった。尤も、この鞍上の手腕有ってこそ。次走も東京戦だが、乗り替わりとなりそうで、些か厳しい。

エルトンバローズ

前肢にバンテージ。下見で少し頭が高いのは元々。その分、トモが付いて来ない様な感じも有るのは仕方がないところ。ただ、馬体の張りは人気馬の中では一番良かった。ゲート五分。外枠とはいえ、今日は意外に出脚が鈍く、押して押して2番手。その分、道中は力み気味の追走。直線に向いてからも中々ホウオウビスケッツが交わせず、梃子摺っている間に競馬が終わってしまった。内枠なら結果は違ったか。ただ、先週GⅠ勝ちの鞍上にも、ひと工夫が欲しかったところ。積極的に乗れる点はいいのだが...。

ヤマニンサルバム

前肢にバンテージ。-2kg。ひと息入ったが、馬体の張りが微妙に甘い程度。数字通り、ほぼ出来ていた。歩様も悪くない。ゲート五分。急かさず、3列目のイン。全体では5番手辺り。道中の折り合いも付いていたが、直線はずっと前が壁。最終的にはシックスペンスの後追いで4着迄、来たが、もう少し早く抜け切って欲しかったところ。完全に脚を余した。尤も、一瞬だけだが、脚が有ればコジ開けられる場面も有った。新潟だと何とかなるが、東京のスローだと、その点はネックになる。

シルトホルン

-8kg。数字分だけスッキリ。前走新潟戦は尻尾を矢鱈と振ってイラつき気味だったが、今日は落ち着いていた。歩様がバラつくのは毎度。ゲートは少し怪しい位だったが、少し押して2番手。道中はエルトンバローズと並走する形。ただ、直線でホウオウビスケッツとエルトンバローズが似た様な脚色だった為、前が開かないまま終わってしまった。強引なジョッキーなら、内ラチ沿いへ突っ込む手も有っただろうが、事故になっていた可能性も高い。今日はこれで仕方がない。

ヨーホーレイク

前走阪神戦は抜群の気配だったが、今日は物見もして、大人しい。馬体も少し緩さが有り、全体に前走の7掛け程度。ゲート五分。出脚を使わず中段の外。道中は壁がなくて、少し力んでいた様にも見えた。今日はその分、伸びなかった。ここなら地力は上位だろうが、今日はデキも甘かったことも有り、力を出し切れなかった。叩いて改めて。

第59回農林水産省賞典京都大賞典(GⅡ)

シュヴァリエローズ

+10kg。数字の割に馬体重の増減が大きいタイプで、これはこれで悪くない。少なくとも馬は張っていた。今日は歩様にキレが有ったのも良かった。ゲート五分。出脚自体は微妙だったが、行く気もなく、中段やや後方から。ケイアイサンデラが引っ張って、1000m58.7秒。バラバラの展開になったことも有るが、折り合いが付いて、リズム良く運べた。開幕週だが、雨の影響も有ったか、変に内に入れず、ストライド重視で乗られ、直線も最後迄ジワジワ伸びて、最後はアタマ差。ネジ伏せるかの様な強い勝ち方だった。競馬も上手だが、単純に強くなっている。当然、東京戦ということになるが、20年前なら本命級。あとはGⅠ限定で走っているワンランク上の馬との比較がどうか。もう少し瞬発力が欲しい気もしないでもない。

ディープボンド

前後肢にバンテージ。+8kg。また馬体増。緩い印象はないが、明らかに太い。歩様にも硬さが有った。ゲート五分。もう少し出脚の有る馬だが、重いのか、行き振りが悪く、押して好位。今日は太くて機動力がなくなっていることが前提の立ち回り。その中で、ケイアイサンデラを追い掛けてくれたバビットはいい目標になったか。そのバビットが中々捕まらなかったが、ラスト150mで交わして先頭。やったかの場面は演出したが、最後にシュヴァリエローズ。この競馬で負けたら仕方がない。太い分、息が長いのだろうが、絞れていれば勝っていただろう。もうひとつ、追わせる馬は得意ではなかった鞍上がこの競馬を出来たのは注目に値する。

メイショウブレゲ

+6kg。数字分だけフックラとした程度。前走東京戦と比較しても、大きくは変わらないが、今日は毛ヅヤが良かった。歩様も力強い。出遅れ1馬身不利。恐らくはサトノグランツを意識しつつ、まず内へ寄せてマークする形。ただ、器用なタイプではないだけに、4角で少し外へ持ち出し、直線も外へ。ドクタードリトルと接触しながらも、馬群をコジ開け、際どく追い込んで来た。追い出すと頭が高いのだが、その割にはいい脚が長く使える。特に恵まれた感じもなかっただけに、これが純粋に能力なのだろう。

スマートファントム

+8kg。休養前も太かったが、流石に重いか。ただ、馬は張っていて、デキ自体は良さそう。少し歩幅の狭い歩様は毎度。2馬身近い出遅れ。そのまま最後方から。1周目の決勝線の時点で、前とは既に20馬身近い差が有った。途中、ブローザホーンと並走する場面も有ったが、基本的には前走同様、内ラチ沿いを回って来る形。内も開いており、一瞬は突き抜けるかの勢いだったが、最後の最後で甘くなった。ゲートが出るに越したことはないのだが、これも太かった影響が最後に出たかも。展開の助けは要るにせよ、これも充分通用する馬。

サトノグランツ

+8kg。機動力がネックの馬で、500kgは切った方がいいと思うが、見た目にはこれでもスカッと映る。歩様も悪くない。ゲート五分。意外と出脚は有る馬だが、行く気なく後方から。シュヴァリエローズの一歩後ろから。何時もはズブい馬だが、今日は4角の手応えもそこ迄悪くなく、セコい競馬も出来たが、直線に向いてからが案外。昨秋の阪神戦は強かったが、それからは期待程走れていない印象。最後のギアがない。脚元か何か怪しい部分が有りそう。

ブローザホーン

前後肢にバンテージ。攻め馬はサッパリだったが、見た目には馬が張って、良く見せた。歩様は少し硬いタイプで、こんなモノ。気配も問題ない。ゲートは出たが、最初から行き振りが悪く、後方から。道中もオッツケオッツケで、最後は追っていなかった。昨年も競走中止だったが、今日は競馬になっておらず、参考外。

第10回サウジアラビアロイヤルカップ(GⅢ)

アルテヴェローチェ

+10kg。数字は太目感もなく、ほぼ成長分。骨格のしっかりした馬で、良く出来ていた。ただ、歩様はもうひとつ。新馬の札幌戦よりはマシになったが、まだブレが有る。ゲート五分。出脚も悪くなく、行こうと思えば行けた筈だが、控えて好位。ただ、好位では行きたがっていたことも有り、結局は横に馬が居ない位置迄下げていた。直線に向いてから、中々エンジンが掛からなかったが、馬場の4分どころへ持ち出して、ラスト200mから猛追。ダイナミックな走法で突き抜け、快勝。ここではモノが違った。今日は相手関係が些か微妙で、GⅠとなると微妙だが、インパクトは充分。この時期に真っ直ぐ走れていた点も好印象。時計も優秀。

タイセイカレント

当然、初コースということになるが、物見もせず、集中して歩けていた。マイラー体型だが、ドッシリと見せて、完成度が高い。一完歩目が躓き気味になり、腹を括って最後方から。向正面では行き振りが悪く、この時点では圏外かに思えた程。4角の手応えも決して良くなかったが、馬群の真ん中が開いており、そこを渋太く伸びて2着。左右にヨレながらの走りで、課題の残る内容だったが、新馬で逃げて勝った馬が、差して来たのは収穫。行き振りの悪さは馬場状態の影響も有った筈で、先々楽しみ。

マイネルチケット

馬体は迫力こそないが、纏まりが有って、如何にもマイネルの馬といった印象。あとは、もう少し歩様に柔軟性が有るといいが、左右差が目立つ。序盤はハナの譲り合いになっていたが、最終的にシンフォーエバーが行ってくれて、その番手から。ここで矯めが利いたのは大きかった。直線に向いて、坂下辺りでシンフォーエバーに並び掛け、激しい併せ馬。これは何とか競り落としたものの、外から2頭。まだ完成度が低く、ちょっと能力差は有る。それだけに、変に重賞2着で賞金を加算してしまうよりも、これはこれで良かったと思う外ない。500万なら何とかなる馬。

シンフォーエバー

前後肢にバンテージ。+4kg。今日の見た目だけで判断すれば、少し立派だが、2歳馬だけに増えるのはいい傾向。ただ、煩いというより、集中力に欠く。歩様も微妙に甘い。ゲート五分。誰も行く気がなく、一旦はマイネルチケットがハナへ立ったものの、そこで極端に抑えてしまい、馬と喧嘩するよりはとハナへ。1000m通過57.7秒と、譲り合いだった割にはペースが速かったが、ハナへ行ってからの折り合いが付いたことで、中弛みの形には出来た。直線に向いて、突き放す脚も有ったが、マイネルチケットに抵抗するのがやっとで、そのマイネルチケットにも最後は競り負けての4着。最初から逃げていれば、もう少し序盤が楽だった気もしないでもないが、それはあくまで結果論。もう少しパワーアップが必要。

アルレッキーノ

シープスキンノーズバンド。落ち着きが有って、気配は良かった。大物感はないが、緩い印象もなく、馬体にも気になる点はない。歩様も前走新潟戦を考えれば、甘さがマシになっている。ゲートは少し分が悪い程度。それよりも、出脚が少し甘そうで、鞍上にも行く気がなく、一旦は後方から。ただ、行きたがって、3角でフードマンの直後。ここで何とか我慢させて、直線も一瞬は反応しているのだが、ラスト200mで脚が上がった。尤も、折り合い面に関しては、他馬も似た様なモノ。競馬が上手くなるに越したことはないが、力が足りないという外ない。

フードマン

新馬の中京戦も煩かったが、今日もテンションが高い。馬体は数字の割に迫力が有っていいが、トモが甘い歩様のも気になった。好発。出脚も有ったが、これも逃げる気はなく、あくまで好位。ただ、ずっと壁がない状態で、力んでしまっていた。直線に向いた段階でアラアラ。全く競馬にならず。気性面がネック。能力評価としては参考外。