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競馬回顧 2024年3回中京

第58回スプリンターズステークス(GⅠ)

ルガル

前後肢にバンテージ。骨折明けになるが、緩んだところもなく、キッチリ造り込まれていた。歩様も悪くない。年明けの京都戦程ではないが、好発。スッと好位。ピューロマジックが飛ばしに飛ばし、前半3F32.1秒は、1991年サクラミライが逃げた32.2秒を上回るスプリンターズステークス史上最速。当時は前半3F33.3秒で入ったダイイチルビーの追い込みがハマったが、現代競馬は32.8秒だったこの馬の位置でも踏ん張りが利く。最後は明らかに脚が上がったものの、何とか粘り切った。逆にいえば、能力云々が評価し辛い。器用なのは間違いないのだが...。次走は香港遠征が視野に入っている様だが、決め手勝負になると分が悪い面は否めないだろう。

トウシンマカオ

前後肢にバンテージ。中京戦と変わらず、馬は良かった。太く見せないのが何より。歩様もしっかりしていた。ゲート五分。少し押して中段。前走時にも触れた様に、トビが大きいので最内枠がどうかと思っていたが、このハイペースでバラバラの展開になったことが奏功。いい形で流れに乗れた。直線は少し狭くなりそうな場面も有ったが、そこを抜け切って猛追し、最後はクビ差。惜しい競馬になった。今日は仕方がないが、直線に関しては外から行った方が伸びたことは確かだろう。力はGⅠでも足りる。

ナムラクレア

-4kg。休み明けは何時も微妙に太いのだが、今日は仕上げキッチリ。歩様に硬さもなく、デキは文句なし。微妙に出負けして、後方。300m程、走ったところで手綱を引っ張る場面が有り、余計に位置取りを悪くしたのが痛かった。直線も外へ行くしかなく、向いた段階で前と10馬身差。1頭だけ違う脚で追い込んで来たが、それでも届かず3着止まり。一番強いのは明白なのだが、ゲートが悪いので、位置取りが鍵になってしまう。一時、これで引退という話も有ったが、現役続行とのこと。いい加減に何とかしたいところだが...。

ママコチャ

前走中京戦同様、下見でケチを付ける部分はない。見た目は少しフックラとした程度。落ち着きも有って、歩様も滑らかだった。ゲート五分。少し出して中段やや前辺り。前走も掛かったが、本来の鞍上に戻った今日も行きたがっていた。このハイペースも有り、その分、前が追えなかった印象。最後迄、ジリジリ伸びているが、この馬の決め手ではこれが一杯だった。失速していた可能性も高いが、勝ちに行くなら4角でルガルの直後には居たかったところ。乗り替わりだった前走で余計なことをしたのが、今回に尾を引いたか。

ウインマーベル

迫力の有るタイプではないが、今日もスッキリと見せて、これでほぼベストの状態。歩様もキビキビとしていた。ゲート五分。ピューロマジックの出脚は2F目が9.9秒だったが、こうなるとこの馬の出脚では少し厳しく、何とか中段。折り合いは付く馬で、行き脚が付いてからは流れに乗れていたが、これもこの馬の脚ではこれがやっと。器用さで立ち回る馬だけに、今日のハイペースではキツかった。これで評価が下がることはないが、1200mなら33秒台で行かないと厳しい。

サトノレーヴ

+4kg。前走札幌戦は馬が緩かったが、今日は良かった。数字は増えていても、馬体に張りがてて、動きも軽快。1馬身出遅れ。これも痛かったが、スタートしてからの行き振りも悪かった。更にコーナーはロクに曲がれず、外へ逃げ加減。直線も大して伸びず、今日は競馬にならなかった。函館戦でも序盤の行き振りが悪かったが、戦績の割に細かい部分で安定しない部分が有る。こういったチャンピオン決定戦だと、そういった弱点がモロに出てしまう。

マッドクール

前肢にバンテージ。+6kg。馬体はこれでいいが、この歩様では話にならない。最近では一番硬さが有った。この馬の出脚でやや前辺り。本当に速い馬が相手だとこれが一杯で、道中の行き振りも悪く、3角過ぎには絶望的な手応えになってしまっていた。1週間前に攻め馬をやり過ぎたという話も有ったが、それも有って今日は競馬になっていない。立て直して改めて。

第28回シリウスステークス(GⅢ)

ハギノアレグリアス

ダート馬としてはスカッと見せるタイプ。今日も何時も通りの状態。逆にいえば、下見からは走り時が良く分からないのだが...。ゲート五分。出脚はオメガギネスの方が速く、この直後。全体では6番手辺りから。59.5kgを背負って、行き振りが懸念されていたが、意外とスムーズに走れていた。4角の反応はオメガギネスの方が良さそうにも見えたが、鞍上が必死で追いまくり、エンジンが掛かってからは力強く伸びて快勝。負ける時は淡泊な面も有る馬だが、今日は最後迄、集中力が続いた。そもそも59.5kgでも使って来るのだから、余程上手く立て直せたのだろう。次走も注目。

オメガギネス

前後肢にバンテージ。ハギノアレグリアスよりも、更に小ぢんまりとした馬だが、トモに柔軟性が有って、踏み込みが深い。発馬は五分程度だったが、出脚が速く、労せず好位。道中もリズム良く走れていた。内で詰まるよりはと、4角で外へ持ち出し、少し早目のスパート。手応え通りに抜け出す形は造れたが、坂を上がって甘くなった分の2着。ハギノアレグリアスのいい目標にされた面は有ったが、最後は距離適性の差が出た気もしないでもない。57kg程度なら踏ん張れるのだろうが、59kgならもう少し大事に乗っても良かったか。

フタイテンロック

+4kg。前走と大きくは変わらず。数字分だけ微妙にフックラとした程度。ただ、気配は今日の方がシャキッとしていた。最軽量50kgでも、出脚が苦しく、ステッキを入れて何とか中段。砂は被っても気にしない様で、行き脚が付いてからの行き振りは良かったが、前が壁で動くに動けない状態が直線迄、続く形。ただ、結果的に脚が矯められた様で、直線はジリジリ伸びて3着浮上。中々ない条件だが、左回りで2000m前後なら手堅い。

カンピオーネ

後肢にバンテージ。ダートで走らせるのは勿体ない位、馬体の柔軟性が有る。手先のスナップも利いていた。馬体も均整が取れて、むしろ芝馬にしか見えない。出たなりで中段。馬群の中だったが、首を下げた走りで、マトモに砂を被っていた筈だが、嫌がる素振りも見せず、一生懸命走っていた。直線に向いてからもジリジリ伸びていたが、左手前のままで、その分か、最後の最後に甘くなった。ただ、前走札幌戦でも手前が替わっておらず、本当の能力はもう少し高いのだろう。力そのものはこのメンバーでも足りる。

ロコポルティ

しっかり踏めていて、気配が良かった。ただ、少し腹袋が目立つ。一息入った分も有って、少し緩い。少し脚元が怪しいとのことだが...。五分の発馬だったが、鞍上に行く気がなく、後方に近い位置。只管、内を回って距離を稼ぎ、4角でハギノアレグリアスの直後。ここ迄は上手く行ったが、直線で一瞬外へ出そうとして壁にブチ当たり、再び戻って来たのが勿体なかった。ここがスムーズなら、馬券圏内有ったか。状態面はまだ上向く余地が有り、先々は重賞にも手が届く馬。

ハピ

前後肢にバンテージ。+4kg。スッキリと見せて、何時ものこの馬。ただ、前走小倉戦もそうだが、歩様が硬い。大外枠だったことも有るが、少し出脚が怪しく、押して好位。外だったことも有るが、押している分、道中は少し力んでいた様にも見えた。4角でオメガギネスを追ったが、坂下迄だった。内枠を引いてもう少し矯めが利いていれば、幾らかでもマシだった可能性も有るが、根本的にデキがないかも。

第70回産経賞オールカマー(GⅡ)

レーベンスティール

2人曳き。前肢にバンテージ。トモが張り過ぎている分、マイラー寄りの体型にも見えるが、馬振りは目立つ。ただ、例に依ってもう少し落ち着いて欲しい。ゲート五分。最初から頭が上がりそうになっていたが、柔らかく宥めつつ、好位の内目。道中は何とか我慢していたが、少し窮屈そうには見えた。直線に向いても、前が壁になり、中々進路がなく、前が開いたのはラスト200mを切ってから。この時の一瞬の脚は次元が違った。強い勝ち方。ただ、今日は明らかに相手が軽かった。次走は東京戦ということになるが、GⅠのメンバーでどうかという面は有る。

アウスヴァール

-12kg。今日は絞れて雰囲気が良かった。気配自体は大して変わらないが、歩様にキレが出た。少しゲートでアオッたが、主張してハナ。誰にも絡まれることなく、1000m通過61.0秒とスロー。4角でレーベンスティールが動けなかったのも、この馬へのマークが甘くなるという点でいい方に出た。今開催は内目の馬場も良く、逆にいえばそれで逃げ切れないのだから救いがない。10番人気の好走では有るが、今後は余程恵まれないと苦しい。

リカンカブール

数字は前走函館戦と一緒だが、今日の方が馬体が締まって見える。踏み込みが深いのもいい。ゲート五分。外枠だったが、馬が最初からソノ気になっていて、鞍上も特に引っ張ることなく、そのまま行かせて2番手から。序盤のアウスヴァールを前に置く形を取り、まだ我慢して走ってくれていた様に見えた。ただ、追ってアウスヴァールに並び掛ける脚がなかった。あうまで前有利の展開だった分、粘り込んだだだけ。これも人気薄の好走では有ったが、あまり高い評価はし辛い。

サヴォーナ

-4kg。馬体に重厚感が有る。前走函館戦を考えると、些か締まって来た。歩様も今日は重苦しいというより、ドッシリといえる範囲。ゲートの上手い方ではないとのことだが、五分の発馬から出脚も有って、ジワッと好位。思いの外、楽に行けた。道中も流れに乗れていたが、この決め手勝負は流石にキツい。直線は雪崩れ込んだだけだった。置かれる感じではなく、一緒の脚が有っただけ、まだマシな方だろう。基本的には東京で上がりが掛かる展開が理想。ベストは新潟か。

アルビージャ

均整の取れた造りで、見栄えはする。歩様も滑らかで悪くないが、今日は少しテンションが高い。発馬の態勢が悪く、それで馬が前を追い掛けてしまい、序盤は少し掛かり気味に中段。馬群の中で何とか宥めたが、スローは分かっていても大事に乗ってしまうのは仕方がないところ。その分、外をを回され、直線で伸びて来たのも競馬が終わってから。初重賞挑戦としては良く頑張っているが、能力よりも器用さが欲しい。

ステラヴェローチェ

前後肢にバンテージ。骨格がしっかりして、例に依って馬振りはいい。ただ、今日は何時もより歩様が少し硬い気もしないでもない。ゲート五分。この馬の出脚で好位直後。ペースは遅かったが、道中の折り合いは付いていた。勝負どころからサヴォーナを追い掛ける形になったが、サヴォーナですら動きが悪いのに、前に並び掛ける場面すら造れず、直線もそのままの位置関係で終わった。距離も微妙に長いのだろうが、やはり広いコースの方がいい。

第72回神戸新聞杯(GⅡ)

メイショウタバル

中山戦と比較して-4kg。やはり500kgを切った方がすっきりと見せる。取消明けだが、丁寧に造り込まれていた。気性面がネックの馬だが、何時も下見は落ち着いている。手先の捌きが軽いのもいい。好発。外枠の分が有るとはいえ、出脚は決して速くなかったが、少し頭を上げながらの走りで、鞍上も抵抗せず、決勝線辺りでハナ。1000m通過60.0秒だから、ペース丁度良かったということになるが、この手の馬はそれ以上に絡まれないことが大事。少し引っ張り気味の逃げだったことも有り、誰も鈴を付けに来なかった。直線に向いて前と4馬身差。今日はデキも良かっただけに、こうなれば簡単には止まらない。ジューンテイクも力は有る馬だが、半馬身のリードを残して押し切った。渋った馬場は強い。次走京都戦も単騎で行けるかどうかに尽きる。普通に考えれば、余程恵まれないと、逃げ切れないだろうが。

ジューンテイク

シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。+12kg。気配は地味だが、流石に馬振りは目立つ。この点では世代トップクラス。毛ヅヤが冴えて、デキ自体も良さそう。ただ、今日は微妙に立派。珍しく好発。出脚も速かったが、前に馬を置きたかった様で、一旦はインテグレイトを前に置く形。折り合いは付いていたことも有り、向正面でインテグレイトを前に置く形は止めて、相手はメイショウタバルと決めていたが、とはいえ次走が3000mということを考えると、直線迄動けない。結果的に相手を楽にしてしまった。逆にいえば、半馬身差迄追い詰めたのは能力の証明。一瞬の脚はないが、いい脚が長く使えるタイプで、距離が延びて良さが出て来た。次走も有力。

ショウナンラプンタ

-6kg。東京戦以来だが、その東京戦が太かった。この位の方がスカッと見せて、良さそう。ただ、トモが微妙に甘い歩様が直っていない。半馬身程、出負けして、そのまま後方から。引っ掛かる面が有る馬だが、この馬場はその点でいい方に出たかも。敢えて内目を回っていたが、スムーズに走ってくれていた。4角でジューンテイクの直後。ただ、食らい付いていたのは坂を上り切ったところ迄。そこで甘くなった。折り合い面が良くなっていれば収穫ということになるが、まだまだパワー差は大きい。重賞では厳しい。

オールセインツ

-6kg。前走新潟戦は少し腹回りがボテッと映ったが、僅かながら絞れた様に見える。ただ、少し寸が詰まった体型。歩様に硬さがないのはいいが。ゲートも微妙に悪かったが、押しても進んで行かず、後方から。折り合いは付いていたというより、こういった馬場が得意ではないのか、道中はところどころでオッツケる場面。4角も手応えが悪く、苦し紛れに内目へ誘導されたが、渋太く伸びて来ていた。馬場は向かないが、根性が有る。前走の上がり3Fが32.3秒と、良馬場での決め手も有り、今後も楽しみ。

メリオーレム

2人曳き。前肢にバンテージ。馬体は垢抜けていて、このメンバーでもヒケは取らない。ただ、歩様が少しバラつく。その点では前走小倉戦の方が良かった。ゲート五分。馬の気に任せて中段馬群の中。トライアビット着用の馬で、モタれる面も有る様だが、今日は馬場を気にする素振りもなく、比較的真っ直ぐ走れていたか。ただ、直線に向いてから大して伸びておらず、坂を上ってオールセインツを捕まえられたかと思いきや、最後の最後に止まって5着止まり。距離が問題ないことは過去の実績から明らかで、この馬場は向かなかった様。最初から馬場のいい外を走っていたら、また違った可能性も有るが、今日は意外とインが強い馬場で、これで仕方がないところ。

第77回朝日杯セントライト記念(GⅡ)

アーバンシック

前肢にバンテージ。-2kg。今季初戦だが、数字通り、スッキリと出来ていた。当初は甘かった歩様も大分良くなって来た。ゲートでヨレて出脚が鈍ったことも有るが、引っ掛かりそうな気配が有り、無理せず中段やや後方から。枠なりにインを回っていたが、4角手前でも引っ掛かる場面が有った。直線でコスモキュランダが抜けたところから外へ。暫く右手前で走っていたが、坂の途中で右手前に替えて、グイッとひと伸び。上手い立ち回りが出来た。ただ、追って頭が上がり気味。この鞍上なら何とかしてしまう可能性も有るとはいえ、ところどころで行きたがっていたことを考慮しても、京都3000mが向くとは思えない。

コスモキュランダ

このメンバーだと馬のスケールで抜けている。緩んだところもなく、仕上がり的にもほぼ出来ていた。歩様,気配も良さそう。出遅れ1馬身不利。少し押して中段。出した割には折り合いが付いて、道中はリズム良く走れていた。この鞍上らしく、4角手前からのスパート。坂下で先頭に立って、押し切り態勢だったが、最後にアーバンシック。それでも、自力で勝ちに行った競馬で、強い内容。強いていえば、ゲートが決まっていれば、結果は違ったか。次走京都戦も有力馬の1頭ということになるが、ゲートが悪い点だけは何とかしたいところ。

エコロヴァルツ

前後肢にバンテージ。これもキッチリと仕上げられていた。元々が小ぢんまりとしたタイプだけに、もう少し成長が有ってもいいが...。とはいえ、落ち着いていたのは何より。ゲート内での駐立が怪しく、ヨレながらも好発。出脚も有って、一旦はハナへ立ったが、ヤマニンアドホックが行って、その2番手から。この手の馬を御すのが上手い鞍上では有るが、1角過ぎには折り合いが付いた。逆に4角で少しズブい位の手応えで、その間にコスモキュランダに先を行かれてしまったが、坂を上って盛り返して権利は確保。気性面が課題の馬だったが、進境が有ったといえる内容。流石に京都3000mは厳しい気もしないでもないが、登坂力は高く評価したい。今後は中山巧者として注目。

ヤマニンアドホック

パシュファイヤー。馬体はそこ迄の迫力ではないのだが、皮膚を薄く見せて、デキ自体は悪くない。踏み込みが力強いのがいい。出脚はエコロヴァルツの方が速かったが、馬が最初からソノ気になっており、そのまま行かせてハナ。折り合いは付いていたが、ずっと一生懸命に走っていた様に見えた。最後迄、止まってはいないが、道中で息の入りが甘い分、伸び切れなかった。現状だと距離はもう少し短い方がいい。適距離で1000mなら楽勝級。

スティンガーグラス

2人曳き。少し寸詰まりの体型。歩様も少し硬目で、見た目だけをいえばマイラー色が強い。気配やデキに問題はないのだが。出遅れ1馬身不利。そのまま後方から。道中は折り合いが付いていたというより、行き振りが怪しい。4角でコスモキュランダに付いて行く形が出来ず、仕方なしに狭いところを狙ったが、坂下辺りでアスクカムオンモアと接触。そこを捌いてからは伸びて来たが、競馬が終わったあとだった。見た目はマイラーだが、機動力が甘い。現状だと馬力不足。

アスクカムオンモア

オーストラリアンブリンカー。数字は一緒でも、一息入った分なのか、今日は少し緩く映った。それでも、バランスが取れて、馬自体はヒケを取らない。歩様も問題ない。ゲートは五分か少し分が悪い程度で中段から。これもあまり行き振りがいいとはいえなかった。4角もモタつき気味で、前述した様にスティンガーグラスとの接触は有ったにせよ、直線は雪崩れ込んだだけ。叩いての変わり身待ち。

第42回関西テレビ放送賞ローズステークス(GⅡ)

クイーンズウォーク

前後肢にバンテージ。数字は休養前の東京戦と一緒だが、馬体にメリハリが出て、馬体は良くなった。ただ、歩様の甘さは直っていない。ゲートをポコンと出て、出脚が付かず、中段のイン。序盤は少し行きたがっていたが、向正面で折り合いが付いた。直線だけ外へ持ち出し、1頭だけ違う脚だった。特殊な展開になったが、強い内容。トモが甘く、下見からは手が出し辛い馬だが、次走京都戦も有力。ただ、過去の戦績から左回りの方が明らかに結果がいい。トビが大きく、小回りも向かないだろう。マトモに走れば上手く行かない可能性も高く、何かしらの工夫が要る。

チェレスタ

前肢にバンテージ。少しチャカつくのは前走小倉戦同様。大物感はないが、皮膚を薄く見せて、スッキリとした仕上がり。一完歩目だけ遅かったが、そこからの出脚が速く、スッと3番手。バラけた位置で、逆にいえば壁がない状態ったが、折り合いは付いていた。ただ、回転数が足りないタイプで、大逃げのセキトバイーストに中々追い付かず、坂を上って先頭に立つ前にクイーンズウォークに交わされていた。そこから渋太く粘っていたが、瞬発力不足は否めないところ。外回りなら話は別だが、京都内回りで一瞬の脚を求められると厳しい。

セキトバイースト

前後肢にバンテージ。+14kg。元々が胴長でスラッとした馬だが、今日もその印象は変わらず。逆にいえば、数字分だけ成長している。手先の捌きも軽い。ゲート五分。出脚が一番速かったのはレディーヴァリューで、そのレディーヴァリューが一旦はハナへ立ったのだが、何が何でもの構えで1角でハナ。1000m通過60.3秒だからペース自体はそこ迄、速くなかったが、いい勢いで行った分、他馬が控えてくれて、結果的に楽な逃げになった。直線に向いてからも突き放す脚が有り、坂下辺りで5馬身程のリード。流石にそこからは苦しくなったが、何とか権利は確保。序盤がもっと楽で、内目がいい馬場状態なら、更に面白くなっていた。次走京都戦は内目有利の馬場になりそうで、要注目。

タガノエルピーダ

+12kg。数字の割に迫力が有るタイプ。腹回りには少し余裕も有ったが、ほぼ出来ていた。何時も通り、気配も良かった。歩様も悪くない。ゲート五分。この馬の出脚で好位のイン。序盤は少し行きたがっていたが、向正面に入ってからはリズム良く、折り合いは付いていた。それだけに、直線は馬券圏内迄、持って行きたかったところだが、追ってもうひとつ伸び切れず。鞍上の話では内目の馬場が悪かったことを言い訳にしていたが、距離が少し長い気もしないでもない。パンパンの良馬場ならこなせるとしても、こういう馬場になると保たないのかも。

レガレイラ

2人曳き。+10kg。一歩一歩の歩幅が広く、馬体に柔軟性が有りそう。毛ヅヤが甘く、少し馬が緩い気もしないでも無いが、トライアルとすればこれで充分。ゲートをアオり気味に出て、元々の出脚もなく、最後方から。道中は急かすことなく乗られ、スムーズだったが、今日の展開で最後方からの直線大外は流石に工夫がなさ過ぎた。次走は京都でも外回り2200mを狙う様だが、鞍上の都合だけではなく、仕方なしの選択か。

サマーマイルシリーズ第4戦 第68回京成杯オータムハンデキャップ(GⅢ)

アスコリピチェーノ

数字は一緒だが、馬体の張りは前走東京戦の方が明らかに良かった。歩様や気配は似た様なモノ。デキとしては8分程度。ゲートはやや後手。少し促して中段から。ゲートで失敗した分、外を回される格好になったか。それでも鞍上には余程自信が有った様で、4角手前から自力で進出。坂下で先頭へ並び掛けると、登坂力の違いで突き放した。3歳牝馬のハンデ55.5kgは結構見込まれていた感も有ったが、文句なしの勝ち振り。次走は高額賞金を狙って豪州遠征だそうだが、昨年のオオバンブルマイで勝てるレースだけに、楽勝級。

タイムトゥヘヴン

シープスキンノーズバンド。前肢にバンテージ。歩様が硬いかどうかが全ての馬だが、不調が続いていた近走も決して悪くなかった。今日も踏み込みが深い。ただ、馬体には少し年齢も感じるところ。出遅れ1馬身不利。出脚もなく、そのまま後方の外。同じく外に居たアスコリピチェーノは、いい目標になったか。外を勢いを付けて回り、直線に向いて一瞬の脚はアスコリピチェーノの方が良かったが、如何にも中山巧者らしい登坂力を生かして2着浮上。アスコリピチェーノが各馬の想定よりも強く、追い込み有利になったのが味方したか。滅多にハマらないだろうが、今後も展開ひとつ。

サンライズロナウド

-4kg。腹回りは少しスッキリとし過ぎている感も。気配はこれでいいが、少し歩様にも硬さが有った。ゲート五分。そのまま行かせて好位から。ただ、折り合い面が怪しく、向正面ではリズム良く走れていたが、4角手前で掛かり気味。内に潜れていた分のアドバンテージは有っただろうが、一旦は2番手に浮上しながら、アタマ差で捕まっただけに悔やまれる。2000mでも勝っている馬だが、最近は短距離主体で、少し距離が長い様なやられ方。今年ダービー制覇の鞍上だが、得意技で負けただけに鞍上の衰えも感じるところ。

セルヴァーグ

2人曳き。パシュファイヤー。例に依って、発汗が目立ち、かなり気負っていた。小さいなりにトモが張って、いい馬なのは確かだが...。発馬は五分だが、外枠だったからか、今日は珍しく無理せず中段。道中は力みながらの追走。早目に動いて、形は造ったが、流石に切れる脚は使えず、直線はジリジリ。最後の最後に甘くなった様にも見えた。とはいえ、慣れない競馬で4着なら上等。これが板に付いて来れば。

ジューンオレンジ

前後肢にバンテージ。馬体そのものはバランスが取れて良く出来た馬だが、トモが甘いのが中々解消されない。ゲートは出ているが、出脚が鈍く、後方から。道中は外だが、アスコリピチェーノをマークする形で、展開上はベストの位置。直線に向いてからも暫くは食らい付いていたが、登坂力が案外。ディオと接触する場面も有ったが、それ以前の問題だった。阪神でも勝っているが、当時は1000万条件。オープンでの戦績が示す通り、基本的には平坦コースの方がいい。

ディオ

前後肢にバンテージ。今日も気配は地味。ただ、数字はほぼ一緒でも、前走新潟戦を考えると、少しボテッと映った。スタート直後から操縦不能に近い状態だったが、鞍上が必死で宥めつつ、好位の内目。前走新潟戦の様に、馬群の外ならまだ違っただろうが、最後迄、外に壁が有り、何も出来ないまま終わってしまった。今日は内枠がアダ。逆にいえば、6着でも能力は相当。次走、外枠なら狙ってみる手も。

サマースプリントシリーズ第6戦 第37回産経賞セントウルステークス(GⅡ)

トウシンマカオ

前後肢にバンテージ。-6kg。ビッグアーサー産駒らしく、少し太く見せるタイプだが、今日は丁度いい位に見えた。一歩一歩しっかり踏めていて、下見は文句なし。ゲート五分。ママコチャは先行したが、こちらは無理せず中段待機。結果だけ見れば内も利いていたが、先週の大雨の影響で内目の馬場が悪く、馬場のいい外目で、上手く脚を矯められた。直線に向いて、追い出されてからの脚が違っており、ラスト200mで左手前になりながらも、アッサリと突き抜けた。中京コースとの相性の悪さが指摘されていたが、展開さえ?み合えば、力は上位。ただ、トビの大きさの問題も有り、外枠がいい方に出たことも確かだろう。その点で中山戦は注文が付く部分も有る。

ママコチャ

+10kg。休養前がスッキリと見せていただけに、これはこれで悪くない。歩様の硬さがなくなったのが何より。ゲート五分。外枠から少し押して先行。道中は少し掛かっていた。それでも、今日はデキが良かっただけに、直線に向いて後続を待たずにスパート。坂を上り切った辺りで先頭に立ち、一瞬は勝ったかの場面だったが、最後にトウシンマカオが飛んで来て、2着止まり。掛かったのが敗因だが、馬の問題というより、鞍上が1角迄、距離がない中京1200mを意識し過ぎたか。次走は本来の鞍上にも戻る筈で、主役級の評価が必要。

モズメイメイ

馬体は良くも悪くもこんなモノ。歩様がネックの馬で、その割に最近はマシだったので、走れているのだが、前走新潟戦と比較すれば少し落ちて来た感も有る。ゲート五分も、出脚はアネゴハダの方が速く、これにだけは叩かれまいと押して好位。その分だけ、道中は行きたがっていた様に見えた。4角で馬場に脚を取られる場面も有り、通常なら失速してもおかしくない場面だったが、直線に向いて内から一瞬の脚が有った。前のピューロマジックを交わした段階で、既にママコチャが前に居たものの、見せ場充分の3着。デキが維持出来ていれば、際どくなっていたか。次走は流石に厳しい。

アネゴハダ

+6kg。馬体はこれでいい。歩様も少し硬さは有るが、休養前の東京戦が悲惨だったことを考えると、大分マシになった方。好発。出脚も速かったが、ピューロマジックに譲る際に、一瞬待ったところでモズメイメイに内から粘られ、その真横に付ける形。これはこれでもいいのだが、ピューロマジックに付いて来たアサカラキングがずっと壁。直線で外へ立て直す場面が有り、一手遅れてしまったのが痛かった。最後は伸びていただけに尚のこと惜しい。次走狙い目。

トゥラヴェスーラ

+4kg。馬体重が安定しない馬だが、これ位が丁度。前走小倉戦は少し煩かったが、気配面でも、落ち着きが有った。歩様に硬さもない。ゲートは五分も、行く気なく、後方から。何時も通り、ジックリと乗られ、4角でトウシンマカオの外へ。流石にトウシンマカオとは脚が違ったが、この馬なりに脚を使って掲示板は確保。今日はソコソコ相手が揃っていたが、オープン特別辺りならまだまだやれそう。

ピューロマジック

2人曳き。下見は最後方を周回。前走の小倉戦を考えれば、まだマシだが、かなりイレ込んでいた。馬体は数字の割にトモが張って良く出来ているのだが...。ゲート五分も、出脚の違いでハナ。掛かり気味の逃げだった。坂下辺り迄は良かったが、坂を上り切る前に失速。これなら小細工せずに飛ばしても良かったか。GⅡともなると、相手も付いて来て、簡単ではないのだが...。

第9回紫苑ステークス(GⅡ)

クリスマスパレード

均整が取れて、品のいい馬だが、見た目に春からの成長はない。ただ、休養前の東京戦が下見で煩かったことを思えば、落ち着いていたのはいい傾向。ゲート五分。出脚は負けていなかったが、内からイゾラフェリーチェが主張して、その2番手から。序盤は少し掛かり気味にも見えたが、2角迄には落ち着いていた。1000m通過58.8秒と、ソコソコのペースだったが、3角過ぎから前へ少しずつプレッシャーを掛けて行って、直線入口で先頭。結構、力任せに乗られた感も有るのだが、今日の止まらない馬場を生かして、一杯一杯振り切った。例年通りの高速馬場とはいえ、コースレコードは立派。ただ、それ程、パワーが有るタイプではないだけに、今日の馬場が向いた感も有る。次走も開催2週目だけに、有る程度速くなりそうだが、今日の様に自分の競馬に徹することが出来るかどうか。少しでも色気を持つと、何かが来てペースが乱れる可能性が高く...。

ミアネーロ

2人曳き。前後肢にバンテージ。トモに張りが出て、非力さが大分なくなって来た。歩様も良くなっているが、テンションの高さは相変わらず。ゲートは決まったが、出脚がなく、押して何とか中段やや後方。行き脚が付いてからの行き振りは良かったが、今日はこのレースにしては珍しく、誰も動かない展開となり、馬群の中に居たこの馬も直線迄、何も出来ない状態。内に居た分、脚を矯められていたとはいえ、直線の脚は1頭だけ際立っていた。一番強い競馬をしている。下見のテンションの割に、実戦で折り合いが付くのは長所。あと中京戦組や直行組との相手関係だけ。

ボンドガール

-10kg。前走札幌戦が抜群に良かったが、今日も数字分だけスッキリとした程度。変わらず下見は文句なし。ゲートが微妙に悪く、距離面を考慮すれば無理も出来ず、そのまま後方から。ただ、前走同様、折り合い面は序盤に無理しなかった分、上手く息を入れながら走れていた様に見えた。ずっとミアネーロが眼前に居る形で、4角で一瞬最内を狙ったが、開きそうになく、結局ミアネーロをずっと後追いする形。そのミアネーロですら一手遅い展開なのだから、今日はどうしようもなかった。これでも充分過ぎる内容。ただ、もっと積極的に乗らないと、中々勝ちには結び付かない。

レイククレセント

2人曳き。-4kg。数字がないのは寸詰まりの体型の影響も有るが、これ以上は減らない方が良さそう。ずっとチャカついていて、落ち着きも欲しい。ゲート五分。ピッチ走法の分、出脚は有りそうで、宥めつつ好位。馬群の外でも、折り合いは付いていた。眼前のクリスマスパレードがいい目標にもなり、スムーズに運べたが、そのクリスマスパレードとは登坂力で差が有った。ジリジリ離されて、坂を上って2頭に捕まり、権利獲得ならず。力量差を見せ付けられた格好だが、競馬が上手いのはいい。まだ500万の馬で、自己条件なら楽勝級。

フォーザボーイズ

休養前の東京戦を考えれば、幾らかマシだが、まだトモの甘い歩様。馬体の成長も期待程ではない。ゲート五分。出脚自体が速いという訳ではなさそうで、押したら、逆に少、し行きたがる場面も有ったが、直ぐにコントロールが利いて中段。基本的にはレイククレセントに付いて行く形で、今日の展開なら、そこ迄悪い位置ではなかったが、直線に向いて伸びずバテずの5着。まだ馬が若いので、決め手がなさそう。こちらは1000万の馬だが、自己条件でも疑問符が付く。

ホーエリート

前肢にバンテージ。+6kg、重心が低く、歩様にブレがない。馬体もキッチリと出来ていた。ゲート五分。出脚も速い方ではなく、後方からジックリと。ただ、外枠だった影響で、ずっと外を回されてしまい、4角でミアネーロと並走する形だったが、内枠の分、大外を避けられたミアネーロに対し、こちらは4角も大外。この時計勝負でこうなるとキツい。この馬自身、時計面にも限界が有るのだろうが、今日は誰も責められないところ。能力は高く、次走改めて。