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競馬回顧 2024年7回京都

第75回朝日杯フューチュリティステークス(GⅠ)

アドマイヤズーム

2人曳き。トモが張って、馬自体は負けていないが、少し硬さは有った。とはいえ、大人しいのはいい傾向。ゲート五分。出脚も速かったが、内からダイシンラーが何が何でもの構えで行って、その番手。ただ、その過程で暫く連られた感は有ったが、ダイシンラーが行き切ってからは何とかリズムを立て直せたか。そのダイシンラーが3角から極端にペースを落としたことで後続が待ち切れず、それらが坂下から雪崩れ込む様に進出。一緒に動く形で4角先頭。直線は馬場のド真ん中へ持ち出し、抜け切ってからはオイデオイデの大楽勝だった。これ迄、京都マイルでしか走っていないのだが、新馬,未勝利と内回り。外回りでも強かった。ゲート以外はセリフォスの様な馬。来年は東京マイルを目標にする様だが、気性面の課題は有る。

ミュージアムマイル

2人曳き。500kg近く有る馬だが、トモが薄く、まだ線が細い。その分、品が有って、先々は見栄えのする馬になりそう。歩様も微妙に甘い。出遅れ1馬身不利。出脚もなかったが、各馬が内目を避けていたことも有り、スペースがずっと開いており、押して押して中段。アドマイヤズームの直後に付けて上手く立ち回ったが、直線はアドマイヤズームに突き放され気味の2着。出遅れの影響も有っただろうが、現時点での完成度の差も出たか。成長して来ればもっと走れそうだが、距離ももう少し有ってもいい。

ランスオブカオス

新馬は少し物見をしていたが、一度経験して、今日の方が集中力が有った。歩様も今日の方がシャキッとしていたが、馬は若い。ミュージアムマイルよりはマシだったが、これも出遅れ。押して行って中段。折り合い面は問題なかった。ただ、ミュージアムマイルと違い、道中は無難に少しずつ外を志向していた様に見えた。直線に向いて、外へ出し切れず、アドマイヤズームの後を追う様な形。ラスト100m辺りで右手前になり、少し苦しそうにしていたが、3着は確保。新馬から中1週でこれなら上々。ただ、枠が直ぐ外だったミュージアムマイルに内をスクわれた感も有り、ミュージアムマイルの進路だったら2着有ったかも。そこはジョッキーの差といわれても仕方がないところ。

ダイシンラー

前走中京戦とほぼ変わらず。トモが張って、2歳馬にしては良く出来ている。少し歩様が硬いのは気になったが、これも前走同様。ゲートは分が悪い位だったが、決め打ちで押してハナ。前述した様に、行き切ってからは極端にペースを落として、1000m通過60.4秒のスロー。早目に来られるのは仕方がないところだが、息は入っていた。最後は決め手の差だが、逃げ馬はラチが頼れないと逃げ切れないのは仕方がないところ。ただ、今後へ向けては、強行軍なのが気になるところ。ダメージがなければいいが...。

アルテヴェローチェ

2人曳き。前後肢にバンテージ。+14kg。前走東京戦も+10kgだったが、今日の段階では少し太いとしても、本当にいい馬になって来た。骨格のしっかりした馬で、馬振りの良さでは群を抜いている。歩様も悪くないが、今日は少しテンションが高い。ゲート五分。出脚は速かったが、引っ掛かりそうになり、引っ張っている間に内外から来られて、3角では後方に近い位置。ここで何とか折り合いは付いたが、今日の展開だと、この位置では競馬にならない。力負けではないが、気性面に課題が有るから、こういうことを招く。馬はいいので、来年改めて。

ニタモノドウシ

前後肢にバンテージ。前走札幌戦の方が明らかに良かった。今日は全体に張りがない。トモの甘さも目に付いた。ゲートも微妙に悪かったが、出脚もなく、後方から。馬も少し行きたがっていたが、丁度、行き脚が付いたタイミングでペースが落ちて、余計にゴチャついてしまった。今日は全く競馬にならず。参考外。

第10回ターコイズステークス(GⅢ)

アルジーヌ

前後肢にバンテージ。少し歩様が硬い点は気になるが、何時もこんな感じ。馬もそこ迄、目立たないが、皮膚を薄く見せて、デキ自体は良さそう。ゲート五分も、出脚が怪しく、押して何とか中段。最近、マイルを走っていないことも有り、道中も少しオッツケていた様に見えた。それでも直線で外へ持ち出されると、1頭だけ違う脚で差し切った。単純に力が違った。真っ直ぐ走れていた点も好印象。この厩舎にしては、出世の遅い方だが、まだ馬自体が良くなる余地を残している。成長すればG&8544;でも。

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ビヨンドザヴァレー

前後肢にバンテージ。前走京都戦と大きくは変わらず。骨格のしっかりした馬で、見栄えがする。歩様も悪くない。好発。出脚自体はそこ迄、速くなさそうだが、押して3番手。出して行って、壁もない状態だったが、折り合いは付いていた。4角から前のイフェイオンを目標に並び掛け、坂下で並走。この段階で右手前になっており、苦しいかに見えたが、坂を上る直線に左手前に戻し、大接戦の2着争いを凌ぎ切った。ハンデも利いているのだろうが、中々渋太い。今日が重賞初挑戦だったが、タイトル奪取は時間の問題か。ただ、トビが大きいので、東京だと決め手負けする危険は有る。

ドゥアイズ

+6kg。一息入った分、馬体の張りが微妙に甘い気もしないでもないが、この時期にしては毛ヅヤがいい。一歩一歩に力強さが有る。ゲートは微妙に後手も、ビヨンドザヴァレーの先行策に乗って、その直後。全体では4〜5番手辺りから。出脚は速そうだが、道中は少し行きたがっていた。そのビヨンドザヴァレーを前に置いて宥めようとしていたが、それでも頭が上がりそうになる場面。4角からビヨンドザヴァレーを追い掛けて行ったが、並走迄持ち込みながらも、最後は僅かに届かず。コーナーを左手前になって、少し外へ膨れたのは勿体なかったか。ただ、この着差なら、外枠は言い訳になる。力そのものは上位。

モズゴールドバレル

寸の詰まったマイラー体型だが、トモにボリューム感が有って、良く出来ている。手先が柔らかく、踏み込みが深いのもいい。ゲート五分。出脚自体は速くなさそうだが、押して好位。出して行った割には、道中はリズム良く走れていた。4角手前でイフェイオンが外へ行ってくれたことで、前も開いて絶好の形になったが、突き抜ける迄には至らず。今日の展開で勝てないと、どうやっても厳しい。

アドマイヤベル

2人曳き。前後肢にバンテージ。毎度のこととはいえ、トモの送りが硬い。前肢が勝ち過ぎている感も有り、まだ良くなる余地を残している。好発も、鞍上に行く気がなく中段のイン。道中はマイル戦が初めてということも有って、上手く流れに乗れていない様にも見えた。4角は上手く捌いて、直線は外へ持ち出せたが、追ってから頭も高く、ジリジリ。ただ、最後迄、止まってはいない。初のマイルだったことを考えれば良く頑張っている。1800m辺りなら何とかなりそう。

イフェイオン

2人曳き。前肢にバンテージ。煩いのは毎度だが、もう少し落ち着いて欲しいところ。数字はほぼ一緒でも、少し細く映った点も気になった。好発。出脚も一番速かったが、主張して来たマメコに行かせて、その番手。多少なりとも連られるのは仕方がないところだが、落ち着く迄に時間が掛かり過ぎたか。馬も待ち切れなかったが、ビヨンドザヴァレーの進出も有り、4角で並び掛けて行って、先頭。坂下迄は踏ん張っていたが、登坂力がなかった。この程度で引っ掛かっていては話にならない。まずは下見が大人しくならないことには。

第76回農林水産省賞典阪神ジュベナイルフィリーズ(GⅠ)

アルマヴェローチェ

2人曳き。前走札幌戦と数字は一緒だが、全体にドッシリ感が出た。首をグッと下げて、気配も良かった。歩様も悪くない。ゲートは微妙に分が悪かったが、外からジワッと好位直後。いいリズムで走れていた。直線入口でカワキタマナレアを起点として、メイデイレディが外へ膨れ軽く接触したが、馬は大して気にしておらず、直線は馬場の6分どころで、ビップデイジーとの併せ馬。ラスト100mで右手前になったが、脚勢自体は衰えることなく、突き抜けた。前走は内を突いて伸びて来たが、今日は外から。器用さは評価出来るが、人気馬が凡走した上に、今日は馬場のいいところを通れた利も大きく、能力の絶対値が分かり辛い。来年が試金石。

ビップデイジー

前後肢にバンテージ。新馬は数字通りの馬だったが、前走の+12kgで、いい馬になった。纏まっていて、割と迫力が有る。歩様も悪くはない。これもゲートは悪い方だったが、行く気もなく後方から。恐らく、最初から外へ持ち出すつもりだったのだろうが、馬群の切れ目を見付けるや否や、出して行って少し外へ。脚は使っただろうが、丁寧に乗られて、馬場の悪いところは避けられたか。直線も馬群がバラけて外へ持ち出すスペースが有り、アルマヴェローチェに対し、内から併せる形。上手く乗られたが、序盤に脚を使った分、最後は甘くなった。少なくとも力負けではなさそう。これも来年改めて真価を問いたい。

テリオスララ

2人曳き。前後肢にバンテージ。-10kg。このメンバーでも馬は上位だが、今日は少し細いか。歩様はこれでもいいが、気負っていたのも気になった。ゲート五分。ただ、進みが悪く、少し押して中段。その分、行きたがる場面が有った一方でオッツケる場面も有り、道中のリズムが悪かった。直線は内目から伸びて来た。スパッと切れた感はないのだが、ショウナンザナドゥを凌いだところに底力の一端は見せたといえるだろう。内目の馬場が影響も加味すれば、一番強い競馬をしている。来年に期待が持てる馬だが、距離はもう少し有った方が良さそう。関東馬でも有り、最初から東京戦目標の方が上手く行くだろうが、現実的には阪神戦が目標。となると、状態面がカギ。

ショウナンザナドゥ

前後肢にバンテージ。トモにボリューム感が有って、馬は目立つ。テンションが高いのは気になるが、これはデビュー戦から。発馬は正に五分といった感じだったが、少し押して揉まれない位置迄出して、好位。道中はスムーズに運べたことも有るが、折り合いも付いていた。ただ、直線は一瞬勝ったかの勢いで、最後はガス欠。結果的に気分良く行き過ぎたか。まずはもう少し落ち着いて欲しい。気性面が改善されれば、今日の展開でも、最後がもう少し違う筈なのだが。

スリールミニョン

2人曳き。全体に細身。もっと増えた方がいい。少し歩様が硬いのも毎度だが、かなり気になるレベル。気負っていたのもマイナス。ゲート五分。新潟マイルで行かせて力んだことが有り、今日は最初から行く気がなく、後方から。短手綱でガッチリ抑えていたことも有るが、我慢して走っていた。競馬が終わった後では有ったが、直線は大外から脚を伸ばしてここ迄。能力評価云々の競馬ではないが、マイルで我慢出来たのは収穫。あとはもう少し前で闘える様になりたいところ。

メイデイレディ

2人曳き。馬自体は日本調教馬とも互角。ただ、過去が良く分からないが、トモの送りが硬かった。好発。そのまま行かせて好位。道中のリズム悪くない様に見えたが、4角手前でアラアラ。鞍上は馬場を言い訳にしていたが、外を回っているだけに実際は違う気もしないでもない。左回りで調整していたが、ずっと右回りでやっていれば結果は違った感も有るのだが...。

ブラウンラチェット

-12kg。この馬体減は論外。完全にガレていた。歩様に硬さがなく、気負っていなかった点は救いだが...。ゲートで後手に回り、押して中段。道中は馬群の中で、追走が窮屈になり、頭を上げる場面も有った。坂の下りの手応えも悪かったが、直線入口で前が塞がってしまい、万事休す。今日は全てが上手く行かなかった。立て直して改めて。

第17回カペラステークス(GⅢ)

ガビーズシスター

前肢にバンテージ。北海道戦は割と大人しかったが、中山だと下見で煩い。ダート短距離の馬としては、かなり細身。ただ、一息入れて、歩様が良くなった。前走はこれで良く勝ったと思える硬さだった。ゲート五分。この馬の出脚で中段。前半3F通過が32.5秒と、芝以上のハイペースだったが、丁度馬群の切れたところで、砂は被ったとしても、揉まれずに競馬出来た。直線は小細工せず外へ持ち出し、一追い毎に伸びて、快勝。ダートに限れば、未勝利から5連勝ということになるが、全部差す競馬。末脚が安定しているのがいい。ちなみに父アポロキングダムは現役時代500万の馬だったが、アポロマーベリックが障害でJ・GⅠを2勝、今回で遂に平地重賞初制覇。中央での勝ち上がり率も4割近く有って優秀なのだが、中々渋い。

クロジシジョー

-6kg。元々太目に見せるタイプだが、馬体が締まって、これなら許容範囲。ガビーズシスターと似た様な話になるが、前走京都戦は熊の様な見た目だった。尤も、その分歩様に力強さが有る。ゲートは出ているが、芝での出脚がなく、中段やや後方から。眼前にガビーズシスターが居て、これはいい目標になっただろうが、4角の回り脚が速く、最後はクビ差届かなかったが、最後迄良く差を詰めていた。何時もこんな感じでは有るが、今日も惜しい競馬だった。流石にこのメンバーなら地力上位。更に賞金を加算出来た点も大きい。どうせ2着なら、GⅠ,JpnⅠに使いたいところ。

ジレトール

後肢にバンテージ。-4kg。下見は何時も良く見せる。今日も高値安定と言えるデキ。少し絞って、歩様もキビキビ。集中力も有った。ゲートがネックの馬だが、この中間は練習したとのことで、今日は五分。芝での出脚は微妙だったが、何とか中段から。4角でクロジシジョーと並走する形になり、内に居た分、こちらは馬群の中に突っ込んで行く形。良く伸びているが、捌く形になった分、あと一歩届かず。これも本当は賞金を加算したかったところで、痛恨の3着。次走は恐らく年明けの当地オープン特別になるだろうが、そこは確実に決めたい。

サンライズアムール

後肢にバンテージ。硬さはないが、少し完歩の小さい歩様は毎度。見た目だけをいえば、腹袋が目立つので、もう少し絞った方がいいだろうが、何時もこんな感じ。好発。出脚も一番速かった位だが、無理はせず3番手から。いいスピードの有る馬だが、それでもこのペースを追走するのは、流石にしんどい様で、向正面ではオッツケ気味。それでも4角の手応えは充分で、追い出しを待てる余裕も有り、直線は坂下で先頭。坂を上り切って一旦は完全に突き放す形になったが、最後は甘くなった。それでも見せ場は充分。一番強い競馬をしている。意外に重賞初挑戦だったが、直ぐにチャンスは回って来そう。

エティエンヌ

後肢にバンテージ。前走京都戦より、歩様の硬さがマシになった。518kgのほぼ真っ白な芦毛だが、その割にスカッと見せる。ゲートは出たが、そこからの行き脚が付かず、後方から。道中は内目を回って、直線に向いてから外へ。前に追い付く感じではなかったが、ジリジリ伸びて、掲示板は確保。これも重賞初挑戦だったが、通用する下地は有る。となると、これも早く賞金を加算したいということになるのだが...。

チカッパ

前肢にバンテージ。近走は地方交流戦だったが、デビュー当時と比較すると約20kg増。成長分が有るとはいえ、見た目は少し太く映る。一歩一歩しっかり踏めていて、歩様は悪くないのだが。ゲートは出ているが、芝での出脚が怪しく、中段から。これだけのハイペースは初めてで、しかも58kg。今日は全体に行き振りが悪く、特に4角は置かれ加減。上がり3Fは最速で、最後は良く差して来ているが、競馬に参加出来なかった。ダートスプリントでは現役最強クラスの馬だが、今日は仕方がないところ。とはいえ、これはこれでいい経験になった筈。来年改めて。

第60回中日新聞杯(GⅢ)

デシエルト

馬体の張りは前走京都戦の方が良かった気もしないでもないが、今日も良かった。気持ち一本で走る馬だけに、歩様がキビキビしているのがいい。ゲート五分。直ぐ内のタマモブラックタイも出脚は速かったが、今日は腹を括ってハナ。1000m通過58.8秒。ペース自体は少し速い程度だが、何時ものことながら、掛かり気味の逃げ。その一方で、他馬のマークも甘くなった面も有り、4角から突き放す形に持ち込めた。ラスト200mで3馬身程のリードが有り、そのアドバンテージを最後迄守り切った。自分の形に持ち込めば強い。ただ、出脚も決して速くないので、擦られた時は競馬にならない。操縦性が悪そうなのも気になった。今後もアテにし辛い。

ロードデルレイ

前後肢にバンテージ。戦前はデキが怪しいという話も有ったが、ちょっと馬体の張りが甘い。ただ、歩様も悪くなく、充分走れる範囲。ゲートは微妙に後手。最初から引っ掛かりそうな気配が有り、抑え気味に乗られていたが、それでも少しずつ緩めて向正面で中段。4角で好位。コスモキュランダを追う形で乗られた。直線に向いて、前に追い付く気配は全くなかったが、最後迄ジリジリ伸びて2着浮上。デキが甘かった割に渋太い。今日はハンデが全体にキツく、微妙に恵まれていた点が最後の後押しになった感も有るのだが、底力は有りそう。チャンスはその内回って来るだろう。

マテンロウレオ

半年振りだが、ほぼ出来ていた。腹回りが微妙に緩い気もしないでもないが、これは休養前もそうだった。トモが微妙に甘いのも毎度。ゲート五分。行こうと思えば行ける出脚は有る筈だが、無理はせず中段で待機。上手く内で脚を矯められた。4角でベリーヴィーナスが下がって来て、1馬身程、損した感も有るのだが、直線に向いてからはスムーズに間を割って抜けて来れた。坂を上り切って、一旦は単独2番手にも見えたが、最後は止まった。とはいえ、58.5kgを背負っていただけに、馬は責められない。別定戦なら充分勝てる能力を持っているが、ムラが有るので、いい時に決めたいところ。

トーセンリョウ

前後肢にバンテージ。小ぢんまりと纏まったタイプだが、緩んだところもなく、デキは良さそう。しっかり踏めていた点もいい。ゲートは出ているが、押しても進んで行かず、後方から。道中はジックリ内目で脚を矯め、4角でマテンロウレオの直後。ただ、ここから坂下辺り迄の捌きがマズかった。一旦は最内を狙ったが、諦めてコスモキュランダとロードデルレイの間。全部含めると、2馬身近いロスが有った。最後は一番いい脚で詰めており、最低でも2着は有った競馬。鞍上の失敗という以外にない。

キングズパレス

シープスキンノーズバンド。前肢にバンテージ。活気という点では前走東京戦の方が良かったが、馬体の張りは変わらず、デキが落ちたという印象はない。歩様も問題なさそう。ゲートは出ているが、全く進んで行かず離れた後方から。道中はずっとオッツケていたが、それでもハナのデシエルトに対し、1000m通過時点で4秒近く遅れていた。そこから何とか3角で馬群に取り付き、ブレーキが踏めないので、4角は迷わず大外。直線に向いてからはいい脚で差して来ているが、今日の展開ではこれがやっとだった。追走には苦労する方だが、今日は何時も以上に酷かった。これもアテにし辛い。新潟が一番無難か。

コスモキュランダ

オーストラリアンブリンカー。-8kg。絞れたのはいい傾向。ただ、トモも薄くなった様にも見える。毛ヅヤが落ちたのは仕方がないのだが、デキが本当ではないのかも。歩様は悪くないのだが...。ゲートの駐立が悪く、出遅れ1馬身不利。一旦は後方から。特に行きたがっていた訳ではないが、向正面で外を進出して、3角で5番手。ただ、58kgを背負っていると、ここからが続かない。直線は雪崩れ込んだだけだった。このハンデなら、もう少し丁寧に乗らないと。

ジャパン・オータムインターナショナル 第25回チャンピオンズカップ(GⅠ)

レモンポップ

2人曳き。前後肢にバンテージ。微妙に寸詰まり気味のマイラー体型だが、トモが張って、迫力満点。戦前は状態面にいい話がなかったが、歩様にも力強さが有って、昨年以上のデキ。好発。押してハナ。外からミトノオーに来られているが、内の利も借りながら先手は譲らず。序盤は決して楽ではなかった。ただ、スピードの絶対値が違った分、向正面に入って、少しリードを確保。直線で突き放す脚も有った。早目に来たペプチドナイルは並ばれる迄に脚がなくなり、一瞬はセーフティリードかに見えたが、最後にウィルソンテソーロの強襲。これも何とかハナ差凌いで、有終の美を飾った。調教が動かなかった部分とシンクロしているのだろうが、今日は行き振りが悪く、昨年の様な外枠だったら確実に負けていた。最後は底力だが、運も味方したか。ちなみに全くの余談だが、中京で引退式を行うのは、今年3月に行われた高松宮記念のメイケイエール以来。しかし、その前は1985年のハッピープログレス迄、遡るとのこと。

ウィルソンテソーロ

シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。-4kg。筋骨隆々といった感じでもないが、緩んだところが一切なく、デキは文句なし。以前より踏み込みにバネを感じさせる点もいい。ゲート五分。最近の行き振りから、頑張れば先行出来る筈だが、出して行った馬が多く、ならばと引いて中段から。有る程度、人気を背負っていただけに、イチかバチかのイン強襲という訳にも行かないのだが、内目で脚を矯めて、直線に向き切ってから外へ。ここでの捌きは少し強引だったが、前が向いてからの反応が抜群で、1頭違う脚で追い込んで来た。馬も鞍上も責められない惜しい2着。同馬主ウシュバテソーロとの兼ね合いも有るが、大井戦となると少しローテーションがキツく、年内休養、沙国かUAE遠征ということになりそう。引き続き有力。

ドゥラエレーデ

前後肢にバンテージ。-6kg。夏場は少し太かった。これ位の方が見た目はいい。脚捌きも軽くなった印象。ゲートも微妙に悪かったが、鞍上に行く気がなく、後方に近い位置。道中は少し行きたがっていた様にも見えた。只管インを回って、直線も前が開く迄、待って最内から。中京ダートの穴パターンでは有るが、最後に脚を使って3着浮上。芝からの転戦組で、砂を被ったらサッパリといった印象も有ったのだが、この鞍上の手腕というだけでなく、大分慣れて来た分も有るか。結果的に昨年と1〜3着が全く同じとなり、これは平地GⅠでは史上初とのこと。とはいえ、ウィルソンテソーロにしても、この馬にしても、この1年の過程を踏まえた結果で、戦法が全く異なるのが面白いところ。

ハギノアレグリアス

前走中京戦から大きく変わった部分はない。迫力でそこ迄負けている訳ではないが、もう少し歩様に伸びが来れば。レモンポップが速過ぎて目立ってしまった分も有るが、ゲートは微妙に後手。それでも内の馬が行ってくれて、何とか好位直後。いい位置は確保出来た。ただ、直線に向いてからのイマイチ反応が鈍く、追ってジリジリ。一瞬の脚が有ったドゥラエレーデに出られて、最後迄、その差が詰まらなかった。重賞が中々勝ち切れない様に、もうワンパンチ欲しい。

ペプチドナイル

シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。馬体にメリハリが有って、踏み込みも深い。デこれもデキは良かった。ゲート五分。マイルの馬だけに、積極的に乗られて好位。一瞬はレモンポップを煽る位で、序盤から行き振りが良かった。4角で外から来たサンライズジパングに併せて進出。直線入口では一瞬、勝ったかの場面だったが、レモンポップに突き放され、坂を上って脚が鈍り、5着止まり。最後は距離ということになるが、この馬のスタミナで勝ちに行ったのも失敗。あくまで結果論だが、もう少し大事に乗った方が良かった。とはいえ、馬を強くする競馬は出来た。来春の東京戦で連覇を目指すことになるが、有望。

サンライズジパング

+8kg。まだ3歳ということも有るが、造りがシャープ。それで増えているということは、更に成長しているのだろう。歩様にも勢いが有った。ゲート五分。出たなりで、中段やや後方から。他馬との兼ね合いも有るが、道中で外を回るのは仕方がないところ。ただ、前走京都戦もそうだったが、コーナリングが下手。直線で伸びなかったのは手前が替わっていない分も有るが、もう一列締めて回れていれば結果は違った。6着でも能力は示した。ただ、コーナリングは左回りならもう少しマシかと思ったが、そうでもなかったのは痛いところ。広いコースの方が良さそう。

第75回チャレンジカップ(GⅢ)

ラヴェル

前走の状態を維持。馬体に張りが有って、今日も集中して歩けていた。気性的な悪い部分が出なくなったのは大きい。ゲートが怪しかったが、鞍上に行く気なく、後方から。馬場が悪いので、どうしても馬群がバラけ気味になるのだが、それを利用して徐々に前へ。3角で中段、4角で2列目に居たが、直線は独走だった。道中で上手く番手を上げて、鞍上が上手く立ち回った面も有るとはいえ、一時の不振が何だったのかという内容。リバティアイランドに勝ったというのは伊達ではなかった。マイルが厳しそうなので、少し難しい部分も有るのだが、大きいところを取れる馬。

ディープモンスター

-4kg。少しでも絞れたのはいい傾向。一度使った分、馬体に張りが出て、全体にキビキビ。明らかに前走以上。ゲートは出ているが、出脚が苦しく、後方から。道中の折り合いがネックの馬だが、今日はスムーズ。ただ、リズム重視で乗っている分、外を回さざるを得ない。直線は良く伸びているが、内を上手く立ち回ったラヴェルには及ばず2着止まり。とはいえ、1馬身半差だから敗因は展開だけではなさそう。いい加減、タイトルが欲しいところだが、近くて遠い印象。

エアファンディタ

+12kg。馬体重の変動の激しい馬だが、見た目はそこ迄変わらない。歩様も悪くないが、逆にいえば、これだけ大敗が続いている中で、強調点もない。ゲートは出ているが、大して進んで行かず、後方から。前走東京戦は行き振りが悪くて、オッツケ気味だったが、今日の行き振りは良かった。終始、馬場のいいところを選んで、直線も大外。道中がスムーズだと最後が伸びる。このメンバーなら展開ひとつだろうが、現状だと追走が楽な2000m位の方がいい。

ボルドグフーシュ

+16kg。500kgを超える馬としては、少し細身に見せるタイプだが、腹回りが明らかに緩かった。歩様も力強さを欠く。ゲートで後手に回り、後方に近い位置。最初は押しても進んで行かなかったが、向正面に入ると一転して引っ掛かっていた。それでも3角過ぎから外を回って進出。この回り脚がソコソコ速く、最後迄ジリジリ伸びていた。流れに乗れておらず、道中がチグハグだったことを考えると相当強い。ただ、もう少し全身が使えるフォームになるともっと良くなりそう。次走は何処へ行っても人気になるだろうが、些か微妙。

セイウンハーデス

遮眼革。シープスキンノーズバンド。前肢にバンテージ。+14kg。エビが有って、1年半の休養明けだが、少し太いとしても、緩い印象はない。腹袋は元々目立つタイプ。しっかり踏めていた点も何より。少し伸び上がる様に出てしまったが、出脚が速く、スッと好位。ただ、2角辺りで外からルペルカーリアに来られて、連られ気味。4角は外から来られたことも有り、自分から先頭に立つ形になったが、流石に最後は苦しくなった。もう少し丁寧に乗っていれば違っただろうが、休み明けで馬をピリッと差せるには最高の競馬。2月の京都戦目標とのことだが、狙い目に。

ダノンエアズロック

前走東京戦よりシャープに見えたので、成長はしているだろうが、今日は少し集中力を欠く。初コースということも有っただろうが。トモの入りも少し甘い。ゲート五分。アウスヴァールの先行策に乗って好位。積極的に乗られていたが、道中の行き振りがもうひとつで、オッツケ気味。4角で前へ並び掛けて、見せ場は造ったが、直線はサッパリだった。鞍上人気も有って、1番人気に推されていたが、単純に弱い。

第58回スポーツニッポン賞ステイヤーズステークス(GⅡ)

シュヴァリエローズ

前肢にバンテージ。-4kg。前走京都戦は一枚太い状態。この距離でも有り、今日の方がスカッと見せて好印象。歩様も力強い。ゲート五分。この馬の出脚で好位。ここに出て来る馬は、流石に引っ掛かる馬は少ないが、かといってズブい印象もなく、道中はいいリズムで走れていた。2周目向正面辺りからペースが上がり、例年通りのラスト1000mの競馬。過怠金の対象では有ったが、この直前にゴールデンスナップを弾いて、前を開けておいたのは大きかった。アイアンバローズを目標に、坂下で先頭。最後はシルブロンに交わされたかに見えたが、首の上げ下げで凌ぎ切った。矛盾した話をすれば、このレースは勝ちに行かないと勝てないのだが、それでも勝ちに行っての結果だけに強い。次走未定だが、競馬が上手いのと、京都で勝っている点がいい。まだまだ稼げる。

シルブロン

2人曳き。オーストラリアンブリンカー。前後肢にバンテージ。+12kg。数字は回復分。トモの張りが明らかに良くなった。前走札幌戦は歩様にも硬さが有ったが、その点も解消。ゲート五分も、外枠だけに行く気なく後方に近い位置。序盤は少し行きたがっていたが、前に馬を置いて宥める形。ジックリ乗られて、好位〜中段勢が先に動く中で、ワンテンポ待ってからの仕掛け。外からジワジワ伸びて、ゴール前では僅かに交わしたかに見えたが、2cm差届かず。昨年7着から大きく前進した形になるが、前述した様に勝ちに行かないと勝ちがないレースだけに、どうしてもこうなるのは仕方がないところ。何処かでチャンスは有りそう。

ダンディズム

前後肢にバンテージ。前走福島戦と大きくは変わらず。脚が短い分、少しモッサリとした印象は有るのだが、歩様も悪くない。ゲート内の駐立が怪しく、出遅れ1馬身不利。しかし、枠の利が大きく、労せず中段は確保。内々を回っている間に、自然と番手が上がり、2周目のホームで5番手。2周目向正面辺りでシュヴァリエローズを相手と決めて、付いて行く形。狙い通りの競馬は出来たが、並走迄に至らず、坂を上って甘くなった。この相手だと少し足らないということになるが、これも昨年(6着)走って、その経験は生かせたということはいえるか。とはいえ、ゲートは五分に出たい。今日は内枠なので誤魔化せたが、外枠で出遅れると競馬にならない。

ゴールデンスナップ

2人曳き。-6kg。今日はマイナス体重だが、デビュー当時より20kg程増えているにも関わらず、見た目はむしろスカッと見せる。大分成長して来たとみていいだろう。この距離を走る馬にも関わらず、下見でチャカつくので手が出し辛い馬では有るのだが...。ゲートは出たが、外枠ということで、行く気なく後方から。リラックスして走らせることを重視していた様に見えたが、下見で煩かった割に上手く力を抜いて走れていた。折り合いにメドが立った為か、2周目1角から徐々に前へ。シュヴァリエローズをフタするところ迄は良かったが、前述した様に、2周目3角手前でシュヴァリエローズに弾かれ、進路を譲る形になったのが痛かった。2周目4角でもサンライズソレイユに外から寄られて接触し、怯む場面。直線は盛り返しているが、シュヴァリエローズとの1馬身差が最後迄詰まらなかった。鞍上、馬共、課題の残る内容。

メイショウブレゲ

小ぢんまりと見せるタイプだが、歩様に硬さがなく、キビキビと歩けていた。毛ヅヤも悪くなく、特に減点材料はない。ゲートも悪かったが、全く行く気なく最後方から。バラけた位置で折り合いは付いていた。2周目3角過ぎから進出。後方に居たにも関わらず、仕掛けが他馬より遅い位だったが、2周目4角の回り脚が速く、シルブロンの1馬身後方。直線に向いてからも伸びているが、手前を替えるのが遅く、一瞬モタついたのが痛かった。最後は詰めているが、結局これが経験のなさ。逆にいえば、来年出走してくれば狙い目ということもいえるのだが。

アイアンバローズ

前後肢にバンテージ。一息入ったことも有るが、今日は少し姿勢が高い。その分、歩様が硬い。馬体の張りはそれなりだが、昨年の方が雰囲気は良かった。何とか五分に出て、押してハナ。昨年は自分で競馬を組み立てて押し切ったが、今年は人気になっていた分、防戦一方。デキも甘かったか、直線は外にモタれ気味。昨年はテイオーロイヤルに勝っており、力は疑う余地のないところ。叩いて改めて。