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競馬回顧 2001年3回京都・2回東

京王杯スプリングカップ(GⅡ)

スティンガー

多少余裕を持たせた造りだが、昨年のこのレースを勝った時が460kg。それから22kg増えている割には太く見せず、良い休養になった模様。掛かり癖の有る馬だが、今日はボロをしながらゲートに入る落ち着き振り。これならば無理に矯める事無く、何処ででも折り合える。従ってペース関係無しに、伸びる事伸びる事。昨年は酷評したが、今日に関しては文句無しだろう。だがこの馬、フレッシュさが持続しないのがネックなのだが...。

スカイアンドリュウ

トモの張り目立ち、バランス抜群。ブラックホークをマークしてかなり強気の競馬。一瞬、ブラックホークに突き放され加減になったが、それでもジワジワ伸びて最後に捕らえた。ただ、脚元に爆弾を抱えた馬。この経験自体は何物にも換え難いが、あとはその不安が出なければ。

ブラックホーク

戦前伝えられた通り、絶好調続く。最近の例に洩れず前で闘うが、やはり目標が無いのは辛い。スカイアンドリュウに目標にされ、それを目標にしたスティンガーに屈する。勝ち馬はともかく、2着馬とは斤量差と勢いの差が有って、GⅠならばこの馬の強かさが優っても、何故かGⅡ戦ではそこらが最後の詰めに響いてくるのだが。

タイキブライドル

数字は増えていても、調教量万全なだけに太く見せず、これもスティンガー同様に良いリフレッシュになった感。昨年同様のインを立ち回る策だが、前をカットされる不利。脚が有れば抜けて来れるという意見も有るが、今更この馬にそれを期待するのも酷な話。仕方が無い。

テスタロッサ

ゴツい。如何にもパワータイプ。あの位置でも流れに乗れたのは収穫、坂も無難にこなしたのも収穫。加えて、この高速馬場でもそれなりに詰めて来たのも収穫。これだけでも前途は明るいが、これから3週間でかなり馬場が荒れてくるだろう、馬場荒れてくれば力馬タイプのこの馬には更に好都合。

エイシンプレストン

漸くにして、昨春時の本調子に戻った。出負けも痛かったが、ここまでしか来れないのは、やはりそういう事だのだろう。

アグネスデジタル

プラス2kgだが、造り過ぎに加えて歩様硬い。ガツンと来るシーンが全く無かっただけにどうした事か?

洛陽ステークス

キングオブサンデー

時計が異様に速い状態の京都といえば、楽に逃げていた馬が気付いたらとんでもない時計だったというのが有りがちなパターンだが、短距離で前崩れになりダート馬が一変してくるのも散見されるパターン。この原因はダート馬の特性に有って、一般にダート馬は芝馬よりも瞬発力が劣る代わりにバテないというのが有る。要するに時計勝負を意識し過ぎて前崩れという事だが、人気馬が前にいて、他馬の息が入らなかったのも大きい筈。数字だけを見れば速くて前半のペースの方が遅い競馬なのだが、それでも息が入らない流れというのは得てしてこういうモノ。

クルーピアスター

スタート決めたのが全て。とはいえ人気で息が入らなくなったし、いくら中央でも百戦錬磨の安藤勝己騎手でも、地方所属の騎手はこういう流れに慣れていない気もする。ただ、一時期の脆さは消え、良く粘っている気もする。

エイシンダンズビル

これも前崩れで台頭のクチ。だが、勝ち馬はインでタメが利いていて、こちらは外を大事に回ってきた。その分、長い脚を要求されてしまって、僅かに届かず。

マヤノトライミー

暖かくなってきて確実に上向いてきた。良く伸びてきたが、これも外を回ってきてしまい、あと一歩が届かない。ただ、京都と阪神では7F戦のペースが全く違うだけに、その辺も関係しているだろう。

リビングデイライツ

やはり前で矯める馬が有利。前走も恵まれた印象で、ここでは...の感も有っただけに尚更。

オカノスピカ

行かないのか行けないのか良く判らないが、他馬を気にする傾向も有るだけに、控える競馬は合わないのだが。

タイキリメンバー

良く見えたが...。ハンデ背負って早め早めの競馬。こうなるとどうしても伸び切れない。

NHKマイルカップ(GⅠ)

クロフネ

大型馬にして手足の素軽さを指摘される事が多いが、芦毛にしてあれだけ皮膚の薄さを感じさせる馬も珍しい。加えて本馬場入場の際、ファンの歓声に全く動ぜず歩いていたのが印象的。スタートが悪いのはもう仕方が無い。とはいえフットワークの大きい馬、ストップを掛けるのだけは避けたい。無論、突き放したグラスエイコウオーを諦めずに捕らえた根性を貶すつもりは無いのだが、そういう意味では結構運も有ったと言えるだろう。そして、蛇足だが一つだけ。次走ダービーだが、過去の歴史が示す通り、この東京マイルGⅠの消耗度は相当。中2週はあまりにキツ過ぎるのではないか?

グラスエイコウオー

栗毛で有る事を差し引いても、毛ヅヤ目立つ。幾ら仮柵明けとはいえ、馬がどれだけ強くても東京マイルのGⅠでこの芸当は中々出来る芸当ではないのだが、それだけペースが(3F:34.2-5F:57.8)絶妙だった。勿論、キタサンチャンネルが控えてくれた事も大きい上、ブリンカーが利いたのも有るだろう。上手く出し抜けも食らわし、並の馬ならば諦めてしまうケースだったが...。

サマーキャンドル

出走馬唯一の牝馬だが、馬体はここでもの感。好発馬の後、グラスエイコウオーの2番手だが、グラスエイコウオーのペースが絶妙だった事、加えて早めに潰しに来る筈のネイティヴハートが大外に振り回される不利。これで大分楽にはなった。ただ、一瞬スティーマーがまともに持って行かれた時に連れて掛かってしまった。その事を思えば、この馬案外強いのではないか?

ネイティヴハート

馬体の成長という点も有るが、今日はそれよりも気負う。そういえば、京王杯3歳Sの時も気負っていて、そういう意味では東京コースとの相性が悪い。自力勝負でかなり早い仕掛けだが、それだけ手応え良かったのだろう。とはいえ、例の大外に振られる不利。最後相当に詰めているだけに、クロフネと併せていれば...。

メジロキルデア

これもチャカつく。大外枠で教科書通りに乗れないだけに、腹を据えて最後方待機。直線だけ外に出して来てはいる、でもここまで。この馬、何時もこういう感じ。

テイエムサウスポー

大分良くなってきた。ラチを頼らせつつ、インで我慢させていたが、直線は外にモタれ加減。デイリー杯3歳ステークスは外にモタれ、ならば左回りでと京王杯3歳ステークスは大丈夫だった筈だが、何故か今回は外へ。見た目にはもっと走りそうだが、この気性が相当に出世の妨げ。

シャワーパーティー

例に依って止め絵は文句無しだが、若干イレ気味。流石に今回はこのペースで折り合えたにも関わらず、全く伸びて来ない。立て直す必要が有りそう。

スティーマー

イレ込む。仕掛けたらまともに掛かってしまった。

キタサンチャンネル

ハイペースに巻き込まれるのを嫌ってか、差しに回ったが、それ自体は問題無い。ただ、いきなりそれをGⅠで実践するのはどうかと思うが、権利取りを優先すれば、安全策に走らざるを得なかったかも知れない。今日はそんな事よりも、ネイティヴハートに致命傷を与えた例の暴走。左回りに難が有るのか?

京都新聞杯(GⅡ)

テンザンセイザ

以前と比べれば落ち着きが出てきた。どうも京都内回りの2000mで多頭数になると紛れが多いが、今回も例外では無くなってしまっって、結局前崩れ。折り合いに不安の有った筈のこの馬もこうなると好都合。直線向いてからは、弾かれた様に伸びた。

エイシンスペンサー

イレ込む。ただ、2歳時を思えば大分落ち着いてきたし、馬体も締まって来た印象。これもハイペースを歓迎したクチ。ただ、今日はそんな事よりも真っ直ぐ走れただけでも収穫なのでは無いか?

オースミステイヤー

2歳時の様にゲートの心配は無くなったらしい。内回りでインを突くのは賭けだが、一応成功の形。ただ、抜け出した辺りで止まってしまった印象。時計面に課題は残した。

ワンモアバンクオン

追い込みハマったが、脚が一瞬。この平坦の軽い馬場で脚が一瞬というのは痛い。相当にゴマカして乗らないとこのクラスでは厳しい。

ボーンキング

可能性の有る馬なのは確かだが、イレ込みキツい。今日はスプリントの様な忙しい競馬になってしまい、こうなるとこの馬には辛い。とはいえ、これも良い経験。また、東京では巻き返して来よう。

ダイタクバートラム

ちょっと活気に欠ける印象。これも阪神のスローしか経験が無かっただけに、このハイペースは初体験。距離の壁という以前に、こうなるとダメ。

コイントス

何故走らなかったのか不思議な位の馬だが、3角でステッキが飛ぶ始末。輸送を敗因にする向きも有るが、見た目には絶好調だった。何処で歯車が狂ったのか...。

プリンシパルステークス

ミスキャスト

落ち着いてはいたが、流石にギリギリ。やはり史上最強の相手と闘ってきたのは良い経験だったのだろう。競馬が上手くなったし、狭い所を割っての叩き合いを凌ぐ辺りにその一片が出ている。この馬に限らず各馬に言える事だが、これが壮絶なまでの相乗効果を生み、反面無理が祟って故障馬続出。

ビッグゴールド

もう一時期の様な折り合いの心配は無くなった様だ。結構揉まれ込んでいた様に見えたが、そこらもキャリアの成せる技だろう。坂を上り切ってからの脚は中々だったが、インに勝ち馬。どうもツキが無い。

スパーブジュエル

好発も関係無くハナへ。青葉賞同様に離して逃げてのスローだから楽なモノ。3,4角中間でアグネスジャンボに来られたのは誤算だったが、この馬場を利し、寸前まで粘る。軽い馬場の方が良さそう。

トレジャー

まだ緩い。センスだけは良さそうな馬で、好位で折り合ってはいたが、いざ追い出してからが甘い。もっと経験を積んで成長して来ないと辛い。

パッピールック

待機策。外から来たが、馬場に泣かされて前も止まらず。

メイショウラムセス

馬体減でイレ込み。ただでさえイン有利な馬場で大外からなのに、こうなってくるとどうしても伸び切れない。

天皇賞・春(GⅠ)

テイエムオペラオー

多少なりとも重量感も戻ってきて、前走よりはマシというレベル。この距離で位置取りは関係無いのだが、だからこそ本命馬はどんな展開になっても対処出来るド真ん中。2周目3角では押しても反応せずヒヤっとさせたが、これが意外に直線向くと良く伸びる。やはり、馬がゴール板を知っているのだろう。出来過ぎたまでの好発馬、天候まで味方につけ、それにしてもアニメチック。

メイショウドトウ

馬場はそれ程気にしないタイプ。出遅れも有るのだが、ナリタトップロードがオペラオーの前ならば、当然こちらはその後ろに回った方が競馬はし易い。降雨の影響で、戦前予想された程息の入らない流れにはならず、その分自在性を要求される展開に。そうなるとこの馬には辛く、例の癖が出てしまう。それでも、悪いなりに伸びていてナリタトップロードは交わした。仕方が無い。

ナリタトップロード

デキ文句無し。これだけ人気にされると変化球は投げ辛く、昨年同様のストレート勝負。こちらも手応え悪くなかったが、そこからがアニメのヒーロー。叩き合いでは見劣ってしまう。まさか雨がここまで強くなるとは想定していなかっただろうし、とことんツイていない。

マックロウ

とことん押さえ込んで、いわゆる漁夫の利を得ようという乗り方。インを狙って良く伸びているが、この手のマークは外から早めに動いて行った方が、馬の心理面を考えると良い気がする。ただ、やはりGⅠともなるとそれが出来ないのかも知れないが。

アドマイヤボス

これもマックロウ同様に後方から。前走は併走してからが面白かったが、マックロウ同様にGⅠともなるとそれが出来ない。まだGⅠ級と呼ぶには程遠い。

エアシャカール

やはり気の短いこの馬には、3200mの我慢比べは辛い。雨も機嫌を悪くした一因だろう。

テレビ東京杯 青葉賞(GⅡ)

ルゼル

前走はクロフネの造った全く澱みの無い流れに気持ちが続かなかった。そして今回は絶好の一番枠。こうなれば、逆に自身でペースを造りにいって、息を入れる作戦。流石にトライアル、一部のマル外は別にして皆が3着以内でと思って乗るから、誰も競り掛けに来ない。その割に最後詰められたのが不満だが、それよりもダービーで同様に逃げを打ち、今日同様のチンタラしたペースならば、ワンペースでしか競馬が出来ないクロフネにとってある意味最大の脅威。

プレシャスソング

馬体目立つ。前走、チグハグな競馬だったので、折り合いにだけ注意する競馬。丁度、ルゼルが離しての逃げを打ってくれたのも大分楽にしてくれた。東京でこういう馬場になってしまうと、好位のインで脚を矯めた馬が俄然有利なだけに、そういう競馬が出来たのも幸い。やや恵まれた印象。

ユノピエロ

出来良さそうなのは確かだが、7F戦で掛かっていた馬が、11/2マイルで折り合えた事に驚き、追って伸びてきた事に更に驚き、そして外から来た事に一番驚いた。何という変身振り!

チアズブライトリー

良く判らないのだが、確かに発汗の跡。外からジワジワ来たが、どうも伸び切れない。幾ら何でももうちょっと強い筈で、やはり装鞍所かどこかでイレ込んで、その段階で終わっていたか。

シングンオペラ

馬体減。確かにスローも敗因の一つなのだが、この馬ももうちょっと来れる馬。やはり、デキという事。

ダイイチダンヒル

細い。前走時の印象から、良い脚が長く続かないイメージだったが、馬体減で更にそれが強調されてしまった感。

タイムトゥチェンジ

成長度案外。待望のパンパン馬場だったのに...。

サンケイスポーツ賞 フローラステークス(GⅡ)

オイワケヒカリ

前走時よりも成長している。逃げ馬の直後のインで脚を矯める競馬。抑え切れない手応えで直線向いてきたが、手応え通り伸びて快勝。前走時の様にスパっとは切れないがバテない末脚。この週、芝が長目で若干時計が掛かってくれたのも有るが、何せ今まで今まで道悪しか経験が無かった訳で、良馬場で勝ったのは収穫。

レディパステル

イレ気味。トモの送りが若干硬い気もするが、それよりも馬体を大きく見せる点を強調しておきたい。道中中段。デザーモ騎手に言わせると、多少行きたがっていたそうだが、それなりに折り合いもついていた。若干インがゴチャつきかけたので、直線は外へ。直線、フラついて追うのに苦労していたが、ここらは流石に世界の一流ジョッキー、立て直して伸びてきたが、ここまで。権利は取れたし、収穫は多かっただろう。

ローズバド

毛ヅヤ映えるが、細い。この大外枠で出遅れてしまったのも有って、ポツンと離れた最後方。大外から伸びて来たが、この馬場では届かない。この身体にして、良い脚を長く使っている点は好感が持てるが、オークスは再輸送。これで減ってくる様だと距離保たない可能性も。

タイムフェアレディ

馬体減だが、許容範囲。勝ち馬とこの馬の手応えが抜けていて、4角ではフラワーカップの再現濃厚かと思われたが、直線向いてからはインに刺さって伸び切れず。。確かにフローラルグリーンと接触は有ったのだが...。

ポイントフラッグ

桜花賞時と比べて、ちょっと緩い。その桜花賞時は出遅れた訳だが、あれ程後方からでは無いにしても、イメージは同様に差しに回る競馬。レディパステルと一緒に直線向いてきたが、そこまで。桜花賞組全滅だが、やはり中一週というのはキツいのか?

フローラルグリーン

イラついているのも有るが、どうも毛ヅヤが冴えない。明らかにデキが足らないと思われる。オークスは諦めて放牧だそうだが、賢明な判断だろう。

オーストラリアレーシングボード賞 オーストラリアトロフィー

ヒコーキグモ

イレ込みは何時もの事だが、暖かくなって馬体良化が目立つ。スタート決めた事も有るが、ロードアヘッドが控えてくれて、楽にハナへ。1000m通過が58.5秒では残られて当然。このパターンは、通常3〜4角変に矯めない方が好結果が出るものだが、矯めても勝ってしまった。それだけ楽だったという事。

センターフレッシュ

デキ良い。長手綱で、押しもせず引っ張りもせず、正に馬任せ。ジワっと仕掛けてよく伸びたが、あれだけ前に楽をされると辛い。京都1800mがベストで、パンパンの良馬場に強いというのは確かだが、しかしこの馬、開幕週の土曜日(つまり初日)に強いのは気の所為か?

レガシーハンター

これも暖かくなって良くなってきたクチ。センターフレッシュを見ながらの競馬で、かなり早めに仕掛けているのだが、センターフレッシュが仕掛けた時に一瞬にして突き離された。結局この差が最後まで響いた印象。勝ち馬は仕方が無いにしても、条件はお互いベストと思うが、センターフレッシュとではこちらの方が力量上位だった筈。それが結果が出ない以上、力が落ちてきているのか?

マイネルブラウ

イレ込みは大分マシになってきた。折り合いを気にして中段のイン。捌き損ねた訳でも無いのだが、一瞬の脚に欠ける嫌いが有るだけに、外から勢いをつけて来る馬には敵わなかった。

ルネッサンス

絶好調に見えるが、何時もそういう風に見えるのが逆に怖い。2番手から雪崩込んだだけ。やはりこういう馬場は辛い。道悪にならないと駄目なのだろう。とはいえ、ダートに使えば化けそうな気がするのだが。

ドラゴンライト

とにかく地味。伸びては来たが、前も止まらず。