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競馬回顧 2002年4回京都・3回中山

天皇賞・秋(GⅠ)

シンボリクリスエス

2人曳き。デキについては文句無いが、多少気負っている様に見えた。ただ、3000mを回避しての2000mだけに意図的にそうしてきたのだろうが。スタート決めて好位のイン。4角でもインに閉じ込められて動くに動けなかったが、ここでタメた脚を生かして、直線は馬群の狭いところを割ってアッサリ抜け出す形。まあ、ゴーステディの逃げが極端に速くならなかったのも幸いしているし、細かく見れば展開に恵まれた面も否定出来ないのだが、スタートをシッカリ決めることで、展開利を得易くする努力を怠っていなかった点も強調しておきたい。毎回述べている通り、青葉賞がこの馬のターニングポイントで、あの競馬を教えた武豊騎手の功績も偉大。

ナリタトップロード

中山でこれだけ毛ヅヤの冴えたナリタトップロードを見るのは今まで一度も無かった筈。今季こそが生涯最高の状態。スタート直後、外からドッと来られ、行き場を無くして後方から。ただここで、ゆっくり時間を掛けてでも、外に出しておいたのが好判断。フットワークが大きい馬だけに、インにいたままでは馬が気を使ってしまって、精神的に参ってしまう可能性があった。次走ジャパンカップとのことで、中山の外回りは成し崩しに脚を使わされる分がこの馬にとって不利だが、今日は中山にも関わらず落ち着いていた分で何とかカバー出来ないモノか。

サンライズペガサス

2人曳き。中山も2回目。流石に落ち着いていたし、今日はデキが際立っていた。この馬としてはゲートマトモに出た部類で、何時もの後方からではなくて、中段位置で道中抜群の手応え。結果的にはこれに騙されて勝ちに行った分、坂を上がってから甘くなってしまったが、ラスト1F11.5秒を差されたのだから、この点に関してはナリタトップロードの底力を讃えるべきだろう。まあ、戦前の想定とは違って思った程ペースも速くならなかったのも痛かったし、まだGⅠを自力で勝ち切るだけの底力も無いが、展開一つで充分チャンスがあることが判っただけでも収穫だろう。

エアシャカール

2人曳き。歩様が硬いし、スカッと見せ過ぎる嫌いは有るが、気負うのは毎度。今日は注文を付けて後方からの競馬。後方からの競馬になった場合は、マクリに行くのがこの馬の常套手段だが、今日はタメて直線一気。直線も菊花賞を思い出させる様な狭いところをコジ開ける様にして伸びて来た。まあ、最後は展開と底力の差だが、この馬としては能力通り駆けている印象も。

トーホウシデン

歩様は流石に一息だったが、ここまで良く立て直したというのが正直な感想。道中は前で流れに乗っていたが、外からイブキガバメントやサンライズペガサスが仕掛けた時にインで我慢していた。この分が相当利いている印象。

エイシンプレストン

悪くなった印象もないのだが、前走と比べて良くなってもいない。ただ、他馬の良化度が目立っていただけに見劣る。中段から全く伸び切れなかったが、この馬意外に好不調の波が激しいタイプだけに、ひょっとしたら今季は完全にダメかも。

ツルマルボーイ

これもエイシンプレストンと似た様なイメージ。とはいえ京都大賞典は生涯最高クラスのデキだったが。最後方からこの馬なりに伸びているが、道中前が速すぎてついて行けなかった。やはりもうちょっと距離伸びた方が。

テイエムオーシャン

2人曳きで-20kg。気負っていたが、伝え聞くところに依るとフケだという話。前に行って伸び切れず、不可解と表現出来る程の負け振りだが、フケだというならば全てが片付く。

ダンツフレーム

2人曳きで+14kgだが、数字が戻っただけで中身が全く無い。今日はついて回っただけ。

毎日放送賞 スワンステークス(GⅡ)

ショウナンカンプ

歩様にスムーズさを欠くのは前走同様。まだ本調子では無いだろうが、元々こういうタイプの馬では有った。とにかくハナ切ってナンボの馬、戦前指摘した通りやはり1400mの方が楽にハナ切れる分、競馬がし易かった。道中全く危なげなく、4角でも手応え充分で、最早直線は離す一方。

リキアイタイカン

2人曳き。叩いて絞れた分もあるが、漸くCBC賞を勝った時のデキが戻ってきた。距離を意識したのか、何時もよりも後方からの競馬。坂の下りから仕掛けて4角大外だが、ショウナンカンプがブッちぎった展開にも助けられ2着確保。右回り云々はあまり関係無かった様で、要は平坦向きということなのだろう。

ネイティヴハート

数字程ではないが、一枚重いのは否定出来ないだろう。こちらはリキアイタイカンよりも更に後ろからの競馬。ただ、ただリキアイタイカンが坂の下りで仕掛けているのに対して、こちらは良い脚が一瞬しか無いだけに、直線向くまで待たなくてはならない分が辛い。最後は良く伸びてはいるが、毎回述べている通り、とにかく良い脚が長く続かないのが出世を妨げている最大の要因。

ダンツジャッジ

一息入った後の連闘。馬体は締まってきたが、多少のイレ込みは仕方の無いところ。道中は好位にいたが、前が壁になり行き場を無くすシーンも。あまり決め手のあるタイプでもないだけに、あの不利で位置取りが悪くなってしまったのが結果的には応えた。

モノポライザー

元々迫力を感じさせる様な造りではないだけに、この馬としては上出来の部類。スローの差し馬だけに、距離短縮を歓迎しないタイプ。前半から追走に骨を折っていたが、ただその割には最後まで諦めずに伸びていた点は評価しておきたいところ。

アローキャリー

相変わらず素晴らしいデキ。最後方に近い位置から伸びているが、ここへ入ると如何せん決め手不足。

ゼンノエルシド

完璧! 落ち着いていたし、素晴らしいデキだったが、気ムラな面を見せてしまいアウト。

ゴッドオブチャンス

まだ太い。今日はそれ程気負わずに走れていたし、直線向いた時に手応え有った筈だが、バッタリ。やはり一枚重かった分だろう。

東京中日スポーツ杯 武蔵野ステークス(GⅢ)

ダブルハピネス

多少テンションが高いのも相変わらずで、夏の小倉から好調持続といったところ。ロングカイソウとスマートボーイがブッ飛ばし、前半1000m通過が59.7。願っても無い展開で、あとは他馬が勝手に止まっていく中を外からバテずに伸びてきた。結果的にはローカルのダートで良く見掛ける様な展開になってしまったが、この馬は小倉で実績の有った馬。時計の掛かるダートで力を発揮。

マイネルブライアン

2人曳き。腹袋の大きい馬でどうしてもボテッとみせてしまうが、この馬はこれが普通。これもこういう馬場を歓迎するクチだが、折り合い難しい馬がこのハイペースで流れに乗り切った。4角流れに乗って、外からダブルハピネスと叩き合いに持ち込んだまでは良かったが、距離適性の分か僅かに見劣ってしまう。惜しい。

グラスエイコウオー

芝ならまだしも、この馬場を思うとスカッと見せ過ぎかも。イレ込んではいなかったが。完全に後方待機策がハマったが、如何せんこういう力の要るダートが不向き。前2頭が叩き合いになってしまったのもこの馬としては運が無かった。

ジョウノブラボー

馬体回復。これもハイペースで折り合えたクチ。中段から徐々に進出して良い感じに見えたが、そこまで。流石に中山は走るが、上位馬とは決め手の差があるか。

エアピエール

例に依ってシープスキンノーズバンド着用。スカッとみせて好気配。中段やや後ろの内々を立ち回っていたが、こういう展開になってしまうと、内々の馬は精神面での消耗が激しい。

ハギノハイグレイド

2人曳き。多少煩い様に見えたし、珍しくゲート入りを嫌っていた。単純な馬場適性の問題というよりは、上位馬は順調に使えていた組だけに、休み明けでこういう極端な馬場になってしまうと辛いのか...。

スマートボーイ

一息入った影響なのか、多少太い印象。前半から派手にコスられた上、ハナすら切れなかった。今日のところは仕方が無い。

菊花賞(GⅠ)

ヒシミラクル

まだ緩んでいて非力。結果的にはこの馬が勝ち馬になった訳だが、馬体だけをいえば下から数えた方が早い。道中は馬群から離れた後方位置。馬群の後方で構えていた組は殆ど一桁着順だが、ここまで乱ペースになってしまうと、馬群の中にいては精神的に消耗が激し過ぎる。無論、最終的にこの馬が勝ったのはあのスパートに耐えられるスタミナがあったからだが、だからといってこの馬が一番スタミナがある訳でもなければ、一番強い訳でもない。あくまであの馬群の中にいなかった組で一番マシだったということ。それにしても、武豊騎手が消えただけでこれだけペースが乱れる長距離戦。乗り手の経験不足は想像以上に深刻。

ファストタテヤマ

こちらは逆にデキ目立った一頭。まあ、多少トモが甘い以外は元々良く見せる馬では有るのだが。例に依って後方から。ヒシミラクル同様に、という訳ではなく、普段通りの完全に直線まで待つ競馬。ヒシミラクルの項で述べた通り、この競馬が今日はたまたま当たりだったという外無いだろう。安田康彦騎手、面目躍如といったところだが、捕まえ切れない辺りもらしいといえばらしい。

メガスターダム

例に依って馬体は素晴らしいの一言に尽きるし、春と比べれば下見で気負わなくなった。こちらは馬群の中、しかもヒシミラクルと一緒に動いて行ってしまった割には良く頑張っている。戦前は血統云々の話を懸念されていたが、今時の調教技量を持ってすればそれ程でもないのだろう。最初に述べた通り、下見で気負わなくなったのも良い方に向いているが、何れにせよこの展開で3着は非常に評価して良い。これで、瞬発力がもうちょっと強化されれば突き抜けられるのだが...。

アドマイヤドン

2人曳き、シープスキンノーズバンド。春の事を思えば別馬だが、札幌記念と比較すればあくまで平行線止まり。本当に良くなって来るのは来年だろう。これも連られて動いたクチ。最後までこの馬なりに伸びてはいるが、デキが足らない分ここまで。

バランスオブゲーム

2人曳き。落ち着いていて好気配。道中は好位で折り合いをつける策。4角でインに閉じ込められたが、こういう展開だけにこれはこれで正解。追って渋太い強みを生かして入着。

レニングラード

2人曳き。数字こそ前走時と変わらないが、馬体は締まってきた。これも後方から。ただ、不器用な分、自分から動けない上、ペースの緩急に脆い。

ヤマノブリザード

本当に良くなった。後方で構えて一瞬はコレというシーンも有ったが、最後は距離か...。今日の結果が距離かどうか確かめる為にも、次走注目。

アドマイヤマックス

踏み込みも浅かったし、馬が全体的に緩んでいて、張りが無い様に見えた。元々そういう風に見せる馬とはいえ、前走の反動は否定出来ないだろう。道中、突っ張った様に走っていただけに道悪も良くない。

タイガーカフェ

戦前、陣営が吹いていた馬、確かに馬体は戻ってきたが、相変わらずトモに力が無い。当時述べた通り、皐月賞はあくまでフロック。

ローエングリン

初コースでイレ込まないか懸念していたが、その点は問題無し。あくまでこの馬としてはだが、スタートして内からダイタクフラッグに思い切りコスられ、前半1000mが完全なオーバーペース。しかし、このあとダイタクフラッグが鼻出血を発症して、何時もの楽逃げに持ち込んだ筈だったが、この時前半のロスを挽回すべくあまりにスローに落とし過ぎた為、後続が昨年の轍を踏まぬ様にと早目のスパート。こうなれば止まって当然で、ちょっと岡部騎手にしては競馬が雑だった。

ノーリーズン

歩様も良くなった、トモに張りも有った、戦前指摘した返し馬も上々。流石は池江泰郎調教師の仕事といった印象。結果的には左前を滑らせてスタート直後に落馬したが、今日のデキなら大崩れは無かった筈。

富士ステークス(GⅢ)

メイショウラムセス

遮眼革。イレ込んでいるが、この馬としてはむしろマシな部類。中段の馬群で折り合いをつけ、直線だけ外に出す競馬。坂上で多少インへササったが、この時計で走ったのは褒めて良いだろう。得意の阪神マイルと似た様なコース形態の中山マイル、スローと他馬のデキの無さにも助けられたが、とにもかくにも嬉しい初重賞制覇。

ミデオンビット

遮眼革。好調持続。セオリー的には不利な中山マイルの大外枠だが、この馬の場合は2番手でも全く問題無く折り合える点が強み。好発切るも内のエイシンコジーンに譲って、マイペース。勝負どころでも我慢して、エイシンコジーンを可愛がるだけ可愛がって追い出したが、坂上でメイショウラムセスに捕まっての2着。中々惜しい内容。

グラスワールド

2人曳き、遮眼革。使い込むとコズむ傾向の有る馬で、その意味では休み明けはプラス。内枠の利とスタートの良さで好位のイン。ただ休み明けの影響なのか、4角微妙に反応が悪く、インに閉じ込められてしまったのが痛い。最後は最内を突いて良く伸びているのだが。

テレグノシス

もうちょっと成長が欲しい気もするが、トニービン産駒は古馬になってもこんな感じだけに、好仕上がりといって良いだろう。これも好位にいたクチだが、この馬の場合は多少引っ掛かっていた。トニービン産駒としては器用なタイプだが、中山で高速馬場、しかもスローとなってしまうと中々上手く行かないか。

トウカイポイント

馬体増は戻っただけで、決して太くない。中段からインを突いたが、直線半ばで前が壁。上がりの速い競馬になっただけに、この不利は痛い。

秋華賞(GⅠ)

ファインモーション

2人曳き。前走時に述べた通り、このメンバーでは馬振りを論ずる以前の問題だが、張りは前走時の方が有ったし、多少気負い気味。稽古軽い分を案じていたのだが、その不安が的中してしまった印象。例に依って好発決めて好位。前半掛かり気味になるのも毎度の話だが、相変わらず滞空時間の長いフットワークで、スムーズに走れる外枠は有り難かった。あとは3〜4角中間から持ったままで進出して、ステッキを全く使わずに3馬身半差。まだ、全てにおいてお嬢様といった印象が拭えないが、この相手では調教代わりにしかならないだけに、牡馬を相手にした時がこの馬の本当の勝負。競馬が能力だけでは勝てないのは今日のシャイニンルビーが示す通りだ。

サクラヴィクトリア

2人曳きだが、実に落ち着いている。馬体増も好感が持てるし、京都競馬場への早目入厩は成功したといって良さそう。確かに普段よりは前で競馬しているが、今日も2着狙いに徹した競馬。戦前から予想された通りファインモーションがブッちぎる展開になったとはいえ、馬群を割って来れる点は強みだし、スタンド前からの発走 (しかも大外枠!) でも全く動じない気性、同厩のプリエミネンスではないが、中々強か。

シアリアスバイオ

2人曳き。流石に気負っていたが、細い印象はない。スタート決めて好位のイン。多少掛かり気味だったが、ちょうどファインモーションと全く同じ位置。インを突く競馬となると多少は仕方が無い気もするのだが、4角で多少捌き損ねた分が惜しい。しかも、どちらかといえば良い脚を長く使うタイプで、一瞬の決め手を持つタイプではないだけに、尚の事応えている。

カネトシディザイア

2人曳き。フジキセキ産駒の例に漏れず、トモの甘いところがあった馬だが、大分シッカリしてきた。これもファインモーションと前後する位置。持ったままのファインモーションに連れて動いていったが、流石に手応えが違い過ぎた様で、追っ掛けバテ。得意の平坦ということもあるが、本質はあくまでマイラー。今日のところは良く走っているといえるだろう。

トシザダンサー

2人曳き。馬体減は気にならないし、今日は眼が前走とは違っていて、集中力が出た。最近結果を出している音無厩舎、流石といった印象。この馬もファインモーションをマークする競馬。しかし、前走で指摘した通り如何せん決め手不足。追っ掛けバテするどころか、思い切り置き去りにされてしまった。現状ではもっと上がりが掛からない事には。

ユウキャラット

2人曳きとはいえ、物見する余裕も有ったが、今日は明らかに重目残り。上手く単騎で行けた筈だが、追い出してから外にモタれ気味。突き離すシーンも無かったし、やはり太かった分だろう。

オースミコスモ

馬体の成長こそないが、春と比べて落ち着きが出てきた。掛かり加減の追走は何時も通りだが、道中はファインモーションのイン。この枠だとどうしてもこういう競馬になってしまうだけに。

チャペルコンサート

有る程度は仕方が無いが、チャカつき気味。ただ、ノーリーズンを稽古でアオったのは伊達ではない様で、毛ヅヤピカピカ。前で流れに乗って、ファインモーションに連れて動く形。勝ち馬はともかく、この馬があのタイミングで動いては辛い。

マイネミモーゼ

2人曳き。落ち着いていたし、春と比べて背が伸びた印象だが、その分非力に映る。後方から雪崩込んだだけ。良化途上。

ブルーリッジリバー

2人曳き。一応、栗東に置いた甲斐は有った様で歩様はマシになったが、また馬体減。何時もより前へ行ったが、終始外々を通らされる展開。枠順が枠順だけに外を回るのは仕方が無いとしても、やはりこの距離では矯めるだけ矯め込む競馬の方が。

タムロチェリー

多少気負っていたのは確かだが、デキだけをいえばコレ。「意表を突いて先行策。しかし新味は出ず。」といったところだが、何かやろうとするのは悪い事ではない。

シャイニンルビー

桜花賞時同様に、1回何処かで競馬してきた様な馬体。ゲートで暴れて外枠発走。岡部騎手、大歓声に文句をいう前に、動じない馬を造るべきだろう。それを乗り越えてこそ、GⅠ馬になれる資格が有ると思うのだが。

デイリー杯2歳ステークス(GⅡ)

シルクブラボー

大型馬だが、中々スカッと見せる。スピードの違いで、というよりは誰も行かないのでハナへ。デビュー以来初めてハナを切る形になったからか、道中は相当行きたがっていたが、それでも直線向いて追われてからは弾かれる様にして伸びてきた。ハナ切る事が悪いとは思わないが、今日のレース振りを見る限りにおいては、ハナ切るならば大逃げ打った方が良い気もする。

ブルーイレヴン

全体的に馬が緩んでいる印象。意図的、とこのことだが、ゲートゆっくり出して後方から。京都外回りは必ずインが開くと信じてイン強襲。良く伸びているが、新馬勝ちの阪神2000mは数字以上にペースが遅いだけに、このペースの差にアッサリ対応出来たのはかなり評価出来る。

マイネルモルゲン

好馬体。歩様もシッカリしていたし、毛ヅヤも冴えていた。デキは良さそう。これも後方から。ただ、最後に仕掛けてインを突いたブルーイレヴンとは対照的にこちらは大外を追い込んで来た。上位2頭は外枠を克服すべく、極端な戦法を取ったのが功を奏しただけに、逆に言えばこの馬の勿体無さが際立つ。

エイシンチャンプ

歩様が流れていた事も有るが、下見では地味。好位で流れに乗り切ったが、最後は決め手の差がモロに出てしまった。もっと上がりが掛からない事には。

ブルーコンコルド

歩様一息。多少太く見せるが、スプリンターは得てしてこんなモノ。シルクブラボーに行かせて2番手で折り合っていた筈だが、結果的には雪崩れこんだだけ。距離が長いとは思わないだけに、これも瞬発力が足らない印象。

ヨシサイバーダイン

遮眼革着用。馬体は良かったが、イレ込みキツい。中段から全く伸びず。

シルクコジーン

一息入ったが、馬体は出来ている。多少太くみせるのはあくまで体型。どうも内枠で揉まれてしまったのが応えたか...。

農林水産省賞典 京都大賞典(GⅡ)

ナリタトップロード

老いても下見で煩いのは相変わらず。昨年とは違って今年は毛ヅヤも冴えている。スタート悪い様に見えるが、トビの大きい馬でダッシュが付き辛いタイプの馬、この辺は仕方が無いところ。道中は中段位置も、包まれるのを嫌って早目に外へ。例に依って坂下からジワッと仕掛けて4角先頭。普通の競馬をして普通に勝ったイメージだが、一時自信を喪失していたこの馬からすれば、この勝ち方が何よりの薬だろう。7歳になる来年も現役続行という噂も流れている程頑丈で、しかも毎回自分の能力をキッチリ出し切る馬だが、逆に言えば反動が出る程究極な状態で走った事が無いということ。前にも述べた通り、サッカーボーイ産駒は年齢を重ねて強くなっていくタイプだけに、来年、いや今季こそはそういうシーンが見たいモノ。

ツルマルボーイ

+12kg。全てが成長分だろう。今年はとにかく充実一途。相手をナリタトップロード一頭に決め付け、徹頭徹尾マークしての競馬...と行きたいところだったが、4角でインに閉じ込められ、ナリタトップロードを見失ってしまった。開幕週で上がりの速い競馬だけに、こうなると辛いが、そこからタップダンスシチーを寸前で捕らえた瞬発力が今年のこの馬の真骨頂。春一連のキャンペーンが決して勢いだけのモノではないことを再認識。

タップダンスシチー

2人曳き。前走減っていた反動を案じていたが、この点も気にならないし、気合も乗っていた。前走の様に外へ回すと勝ち目が無いと踏んだのか、終始インでの立ち回り。まあ、この相手では多少ゴマカしがないと通用する目が無いとはいえ、この形は追って渋太さを生かすこの馬としては不本意な競馬で、今日もワンテンポ仕掛けが遅れてしまった分、ツルマルボーイが届いてしまった。ただ、この馬も今季充実しているクチ。以前は晴雨兼用のイメージも有ったが、本格化した今ならば、パンパンの良馬場の方が良いだろう。

テンザンセイザ

2人曳き。それなりに出来ていたとは思うが、元々は気配を表に出す馬だけに、その分が物足らない。この馬もツルマルボーイ同様に、ナリタトップロードをマーク。4角もスムーズに捌いてきたが、直線の伸びは一息。元々叩き良化型だし、休み明けの分も有るだろうが、成長力に欠ける嫌いも。

スエヒロコマンダー

2人曳き。札幌戦を見てないのだが、60kgで逃げ切ったのは伊達では無かった様。何時の間にか逃げないと競馬にならない馬になってしまったが、今日も大逃げ。最後は地力の差ということになるのだろうが、昨年並には駆けているといえそう。

ホットシークレット

前走もそうだが、今季はデキ良い。年々ダッシュ力が無くなってきた気もするが、ジワッと流れに乗って好位。追って案外に見えるが、スパッとした脚が無い事を思えば、この馬なりの競馬はしている。

毎日王冠(GⅡ)

マグナーテン

前走、集中力が出てきた事を褒めたが、流石にファンの多い中山へ来るとそういう訳にも行かない様。ただ、相変わらず皮膚の薄い造りでデキは絶好。スタート直後、アメリカンボスが「冷やかし」に来てスタンドが沸いたが、枠順の差も有ってハナへ。今日は中山でコーナー4回、しかも結局アメリカンボスも最初に冷やかしただけで誰も来ない楽逃げ。普段は気負い気味に走る馬が完璧に折り合って走っていたし、開幕週の前の止まらない馬場ということもあって、最後まで脚勢は衰えず悠々逃げ切り。

エイシンプレストン

歩様は一息だが、安田記念を思うと良い頃の活気が有る。若い頃スタート悪かった事を誰も気にしなくなった程ゲート上手くなったが、控えて第2集団の先頭。もうちょっと固まった展開になって欲しかったし、誰かが先に動いて欲しかったところだが、サンライズペガサスやダンツフレームが来ない以上、例え59kgでも動けない。この展開の中、今日は良く2着へ持って来た部類で、流石の地力といったところ。天皇賞へ向けて上々の滑り出し。

アメリカンボス

シープスキンノーズバンドは昔からだが、今回は遮眼革を着用。最近に記憶に無い程良く見えた。スタート直後にマグナーテンへ冷やかしに行って2番手。マグナーテンとは適度に距離を取りつつ、上手く折り合っていた。まあ、この馬の決め手の無さを思うと、3角辺りから自力で出て行っても良かった気もするが、前が岡部騎手だけに中々そうは行かない面もあるだろう。デキも有ったが、前の止まらない馬場を利して良く頑張っている。

サンライズペガサス

2人曳き。数字が示す通りキッチリ仕上げて来たが、初東上で周回を重ねる毎にテンションが上がってきた。まあ、スタート悪いのは何時もの事だが、結果的にはこれがモロに響いてしまった。元々、瞬発力で勝負するタイプで、あまり強さを感じさせる馬でも無ければ、気性的にタフな馬でもないので、一つ歯車が狂うとこんなモノという気もしないでもないが、逆に言えば展開さえハマればGⅠでもアッサリ突き抜けて不思議は無い。

ダンツフレーム

他馬と比較すると細くは見えないが、元々太く見せる状態でこそ走っていた事を思うと、この馬としては細い。今日は全く動けなかったが、相変わらず山内厩舎の馬は夏場の過し方が下手過ぎる。近年、2歳馬以外で秋に重賞勝っていないのが何よりの証拠で、今年も看板馬がこれでは話にならない。

トラストファイヤー

太いのは否定出来ないが、馬体に張りが有って、休み明けとしては上々。他力本願なこの馬が、最後は自分から動く形になってしまって伸び切れなかったが、メンバー中最速の上がりで詰めているし、この相手でも通用する目は有る筈。

大原ステークス

ゼンノショウグン

2人曳き。如何にも良く見せるサンデーサイレンス産駒。この馬が地方デビューだとは俄かに信じ難い程。好発切るも、アドマイヤロードに行かせて2番手。この馬としては珍しい先行策だが、インで立ち回っていたしペースが遅いだけに道中は楽。それにしても、直線は凄まじく切れたし、ヨレていたのも本気で走る様になった証拠。サンデーサイレンス産駒が本格化すると手が付けられなくなるだけに、昇級でも。

ダンツシェイク

2人曳き。毛ヅヤ冴えていただけにデキが良過ぎるのだろう、多少重目残り。これも枠ナリでインを立ち回っていたクチ。ただ、前走の轍を踏ませない様、スタートに気を使って五分にゲート出たのは大きかっただろう。多少掛かり気味だった分と、例に依って勝負どころでモタつく癖を出してしまった分届かなかったが、最後は中々良い脚が使えているし、現級にメドは立てた。

トゥルーサーパス

前走時にも述べたが、馬体重の変化が無い割にはスカッと見せる様になっているだけに、体高が伸びたということなのだろう。例に依って後方から。外からマクって行こうとしたが、少頭数とはいえ、それでもこの馬場で外を通られると辛い。まあ、この馬なりに伸びてはいるし、着差が着差だけに惜しいが、どうしてもこういう脚質の馬はこの手の取りこぼしが多い。

ダービーレグノ

2人曳き。馬体締まってきて、漸くマトモに闘えるといえるゾーンまでデキが上向いてきた。後方のインで我慢して、直線勝負に賭けたが、デキが戻ってきた分良く伸びた印象。ソロソロ怖さも出てきたか。

アドマイヤロード

2人曳き。気負っていたし出来過ぎ。思い切ってハナへ行ったが、瞬発力不足。

マヤノアブソルート

2人曳き。毛ヅヤ一息でイレ込みキツい。引っ掛かっていた分も有るのだが、全く動けなかっただけにデキが落ちてきたのだろう。