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競馬回顧 2002年5回京都・4回中山

ジャパンカップダート(GⅠ)

イーグルカフェ

この馬の場合、デキ自体はずっと安定していただけに、あくまで普段のこの馬といった印象。例に依ってスタートアオっているが、内枠の馬が前に行っている分、比較的楽に良い位置へ潜り込めた。ゴールドアリュールとアドマイヤドンが早目に仕掛けてくれたお陰で先行馬一掃、これもこの馬にとっては有り難かったが、とにかく4角まで自力で動かずに2番手まで押し上げて来れたのだから楽も楽。あとはコースロス無くインを捌いて来るだけだったが、内外均等でかつ重い馬場だとどうしてもこうなりがち。ラップはともかく、見た目は小倉のダート1700mで良く見掛ける展開。

リージェントブラフ

馬体増は好感が持てるし、毛ヅヤもこの時期にしては冴えていた。久々に良い時のこの馬をみた印象。最初から決め打ちして後方のイン。早目に先行馬が消えた事で4角団子の展開にならず外を回らずに済んだにせよ、こういう馬場はペース関係無しに皆が4角で既にバテて結果的に前残りになるケースが多いのだが、それでもあの大井で追い込んで帝王賞2着のあるこの馬の場合は、最後までバテずに伸びて来れる強みがある。久々に展開ハマったといって良いだろう。

アドマイヤドン

2人曳き。馬体に関しては今季最高といって良いと思うが、とにかく気配が地味で、本馬場入場でもこの雰囲気のまま。当然の様に相手をゴールドアリュール一頭と決め付けての競馬だったが、一昨年のトゥザヴィクトリーとフサイチエアデールのエリザベス女王杯の様に、こういう展開になるとどうしても第三者に漁夫の利を持って行かれてしまう。まあ、毎度述べている通り、今季はデキが足らない状態での好走続きでその反動も有った訳で、今日のところは一応納得がいく範囲の内容。

プリエミネンス

またしてもプラス体重だが、太い印象はない。ここへ来て更に成長しているのだろう。スタート決めるも、インの好位で我慢させる競馬。結果的には直線入り口で前が壁になったのが痛いということになるが、3角から上がって行けない辺りがこの馬の弱み。とはいえ、これで3年連続ジャパンカップダート掲示板確保。一昨年に「3年位ダート牝馬路線の頂点に立ち続けられるかも」と述べ、昨年は「今年がその一年目でその通りの結果。あと2年有るが、当面はその地位も安泰そう」と述べたが、ラストの1年は遂に牡馬相手のGⅠに手が届きそう。

ゴールドアリュール

一枚重い分を差し引いても、東京優駿時に述べた通りまだ馬が緩んでいる印象で、やはり本格化は先なのだろうが、デキ自体は良好。返し馬も一頭目立っていた。まあ、離して逃げている間は問題が生じて来ないのだが、とにかく控えてしまうと東京優駿の様に目標にされる不利が有る。戦前から展開不利が伝えられていたのと、武豊騎手自身この馬に自信が持てなかったこと (4角であれだけタメているのが何よりの証拠) で墓穴を掘ってしまった形。やはり当初の予定通り何が何でも行き切った方が。

トーホウエンペラー

2人曳き。毛ヅヤは毛色が毛色だけに度外視しても、気合面、馬体の張り等、マイルチャンピオンシップ南部杯以上のデキ。スタート一息も気合をつけて先行集団へ食らい付いていったが、4角虎視眈々のデットーリ騎手とは対照的にマクって行った菅原勲騎手。そういえばデットーリ騎手を横山典弘騎手に替えてみるだけで、2年前の朝日杯3歳ステークスで同じ展開があった様な...。

マイルチャンピオンシップ(GⅠ)

トウカイポイント

2人曳き。踏み込みの浅さは何時も通りで、今日は毛ヅヤが冴えていた。好発馬。一瞬行くのかと思ったが、他馬が来るのを待って中段。前走は行くとこ全て前が壁になったが、今日は直線向いた時には既に前が開いていたし、この馬一番の武器である瞬発力をフルに行かせる馬場と展開になってくれたのも利いている。まあ、終わってみれば全てが上手くいったという事になる訳だが、今日は外枠に先行馬、内枠に差し馬と、他馬が凡走し易い条件も揃っていた。

エイシンプレストン

天皇賞と比較すれば大分マシにはなったが、まだ歩様も硬くやはり春のデキには程遠い。枠順が枠順だけに最初から外に出すつもりで後方から競馬したのだろうが、結果的にはこれが裏目。直線良く伸びているが、あと一歩届かず終いだった。今日のデキでこれだけやれるのだからここでも一枚地力が違うという事なのだろうが、春の東京で外枠,京都で内枠と、GⅠになるとクジ運からして見放されているのもまた確か。無論それでも昨年のデキならばという気もしないでもないが、こういうキャラクターなのだと思って諦めるしか。

リキアイタイカン

2人曳き。デキ抜群! 例に依って多少トモの甘い造りだが、直線が平坦な京都では無関係。ゲートを遅らせて出して後方から。人気薄の気楽さも有っただろうが、外を回っては勝ち目が無いだけに、前が開くと信じて、最初からイン狙い。ただこれは京都外回りの定跡で、周知の通り比較的期待値の高い博打だが、如何せんこの馬自体決め手が持続しないタイプなのと、インを突いて叩き合いというケースは有り得ないだけに、抜け出してしまうと馬が気を抜いてしまう。確かに見た目には惜しいが、こういう競馬を続けている限りは中々勝つまでには至らないだろう。

テレグノシス

2人曳き。長距離輸送の分多少テンション高かったが、2歳時の阪神戦を思えば数段マシ。これも枠順を嫌って後方から。道中はリキアイタイカンより更に後ろで、しかも4角大外へブン回した。まあインを突いてもダメ、外へ回してもダメでは、今日の枠順だと勝ち筋が最初から無かったとしか言い様が無いのだが、あの位置取りから大外回した割には良く伸びているだけに、やはりタダモノではないという事だけは確実なのだろう。

メイショウラムセス

遮眼革着用、2人曳き。下見からテンション高いが何時も通り。これも後方で折り合いを付けて大外へブン回す策。それなりに良く伸びているが、この馬としては坂のあるコースで多少なりとも上がりが掛かってくれた方が差し届き易い。

テンザンセイザ

2人曳き。多少毛ヅヤが落ちてきた。展開の都合上、普段よりは早目に動いていて、一応その判断は間違っていなかったが、如何せんこの馬自体が早目に動くと良くないタイプ。脚が長過ぎるだけにマイル自体も疑問で、この馬も最初から勝ち筋が無かった。

アドマイヤコジーン

見た目は何処も悪くないが、何時もよりスカッと見せ過ぎる嫌いがあったのと、毛色が一段と白さを増してきた。レース終了直後は後藤騎手が何処か痛めたのではと心配していた様だが、それも問題無しということならば、恐らく敗因は右回り。フレッシュな状態だった阪急杯を除き、今年は全て左回りでの競馬。ボルトが埋まっている馬だけにやはりどちらかに良績が偏る可能性は否定出来ないだろう。

モノポライザー

更に底があるかどうかは解らないが、落ち着いているし、春のことを思えば成長も感じられる。最後方から注文を付けて、直線もイン強襲。この馬に関しては武豊騎手が常に強気だが、インを突かざるを得なかった段階で、それが嘘であることが判る。現状ではまだまだ。

デュランダル

初GⅠどころか、重賞も初挑戦。下見はともかく、返し馬の段階で雰囲気に飲まれてしまった印象で、そこからテンション上がりっ放し。

ブレイクタイム

何時もと変わらないデキ。スタート直後に躓いて、良い位置を取ろうとして気合をつけたら、外から来られて馬が完全にその気になってしまった。

グラスワールド

遮眼革着用。毛ヅヤも良かったが、特筆すべきはやはり歩様。実に柔らかみが有った。不利があったとはいえ負け過ぎだが...。

ゼンノエルシド

もっと気合を表に出して欲しいが、馬体だけをみれば何故走らないのか全く解らない程素晴らしい。道中もスローを前々で運び、手応え良かった筈だが、直線はサッパリ伸びず。まあペリエ騎手のコメントを聞くまでもなく、明らかに自分から競馬を止めているのが見た目からも解るが、これだけ走らないとはちょっと深刻。

ダンツフレーム

気合、歩様、毛ヅヤ、馬体の張り等、全てにおいて走れる状態では無い。

エリザベス女王杯(GⅠ)

ファインモーション

2人曳き。先週坂路で放馬し、今週はCWで持って行かれて6F77.9。デビュー以来、今日が一番気負っていた。まあ、今日は調整ミスといって良いだろう。例に依って1角までは引っ掛かって行く訳だが、相手も様子見ムードだけにスッと2番手。ユウキャラットや途中から掛かって行ったトーワトレジャーは元々問題外で事実上前にはただのラビット2頭。今日はこれ以上無い楽な展開だったが、この馬の強さがこの展開を呼び込んださえといえるだろう。この馬としては初めてステッキを入れて追われたが、追われた時 (ラスト2F) の10.8-11.2は、いくらスローで直線が平坦とはいえ、中々出せる数字ではない。今後の課題は、前走時に述べた通り「全能力を競馬へ振り向ける為の能力」ということになる訳だが、今日はそれすら無くとも最強なのではないかと思わせる程強かった。

ダイヤモンドビコー

2人曳き。輸送も問題無し。流石に落ち着いていると表現するのは嘘で、多少気負っている感は否めないが、昔の様にパニックにはならない。戦前はファインモーションよりも前で競馬するのではという予想も有ったが、ファインモーションがあれだけ行ってしまった以上、こちらには距離に不安があるという負い目が有るだけに、押さえざるを得ない。道中手応え良かった筈だが、恐らくペリエ騎手も騎乗しながら勝ち馬の強さを感じてしまっていたのだろう、4角でファインモーションが前を捕まえに掛かった時も、マトモに追い掛けることが出来なかった程で、結果的にここでワンテンポ待った分が2着。ただこの馬の場合、途中で競馬を投げてしまう癖が有っただけに、今日の様な競馬でそういった癖を出さなかったのはこの馬の成長。この馬も「全能力を競馬へ振り向ける為の能力」が足らない傾向が有った馬で、それが解消されてきたのは収穫といって良い。

レディパステル

久々に良い方のこの馬といえるだろう。ただこの馬、もっと良くなる余地が有る筈。オークス同様に中段のインで死んだ振りをした後で、外に出しながらの直線勝負。見た目には競馬が終わってから飛んできた様に見えるが、前に2頭次元の違うところで競馬していた馬がいただけの話で、一応この馬としては完全にハマった形。最後は久々にこの馬らしい凄い脚を使っている。馬体が物語る通り、漸くにして本来のデキが戻って来た。

トーワトレジャー

2人曳き。数字こそ増減は無かったが、若干馬が緩んでいた分かイレ込んでいた。スタートから力んでしまい、引っ掛かったファインモーションを2角で交わして2番手。そのあとも終始気負っていたが、この馬もダイヤモンドビコー同様にワンテンポ待ってファインモーションを行かせてから仕掛けたクチ。従って最後は良い脚で伸びているが、ハンデキャップホースの印象が強かった事を思えば、定量戦でのこの内容は悪くは無い。

ユウキャラット

2人曳き。見た目にはそれ程でも無いが、馬体重変わらず。やはり一枚重いと見るのが妥当だろう。行くだけ行って自分の競馬は出来た筈だが、武豊騎手の場合、スペシャルウィークのダービーやジャパンカップダートのクロフネの様に100%勝てると踏んだレースでは、ショーに徹する傾向があるだけに、3〜4角中間から一気に来られてしまった。こうなると辛い。

スマイルトゥモロー

2人曳き。かつてフラワーカップで思い切り持って行かれた馬、休み明けで出てくれば、当然テンションが高くなる。これも距離に不安が有るだけに、道中は矯めるしか手が無い訳で、その意味では中々上手くいった部類だろうが、この上がりではお手上げ。

チャペルコンサート

前走は仕上がり過ぎの嫌いが有ったが、フックラして更に良化。前で流れに乗っていた組では一番ダラしなかった。オークス2着馬だが、能力自体に疑問。

ローズバド

デキは相変わらず良いが...。追い込みに徹して漸く本来の伸びが見られたが、如何せん今季はとにかく運が無い。

ジェミードレス

2人曳き。多少イレ込んでいるが、とにかく毛ヅヤの良さが目立っていた。目下の成績がそのままデキに直結している印象。後方ママで終わってしまっただけに、やはり距離か...。

タムロチェリー

2人曳き。例に依ってデキは素晴らしいの一言に尽きる。戦前は追い込みに回る予定だった筈だが、道中引っ掛かってしまったのが痛い。毎回大穴開けそうな気配はあるのだが、現状ではマイル位の方が。

京王杯2歳ステークス(GⅡ)

ブルーコンコルド

初東上でもっとイレ込むかと思ったが、意外に落ち着いている。最内枠で好発切ると、頭数多いとどうしてもい無理に行ってしまいがちだが、この頭数ならば行きたい馬を先に行かせられる余裕が持てる。あとは何処を割るかといった感じで、狭いシーンも無理やりコジ開け快勝。この翌日にサーガノヴェルがタイレコードで駆けているだけに、時計は平凡といえる部類なのだが、とはいえ今日は中々面白い競馬だった。

マルブツタイクーン

+10kg。全て成長分だろう。デッパは遅かったが、馬がソノ気になってしまってペリエ騎手も宥めるので精一杯。直線も前が開いていて、馬が喜んで行ってしまった分最後は捕まったが、とはいえ坂を上がってもうひと伸びしているし、これだけ道中ロスが有りながら2着を確保したのは立派。気性が成長して、道中のタメが利けば、かなり切れる脚が使える筈。

カラメルアート

2人曳き。多少気負っているか。決め打ちして最後方からの競馬。直線まで待ってから外に出そうとしていただけに、捌くのに余計な手間が掛かってしまったが、それでもG前は際立つ瞬発力。如何せんトビが大きく中山向きの馬ではないのがネックだが、東京に替われば怖い一頭。

ロケットパンチ

ちょっと歩様が硬い気もするが、気配上々。スタート悪かったが、オッツケ気味で中段やや後方。直線狭いシーンも有ったが、道中仕掛け気味で行かなければならない分、追ってスパッと切れる脚が使えない。現状は1400m辺りの方が良いかも。

ナチュラルリーダー

ダートで勝ってきた馬だが、歩様は芝向き。道中は2番手から坂で止まったが、比較的楽に行けているし、スピードはここでも通用しそう。

タガノラフレシア

毛ヅヤ良くなかったし、とにかく地味。ナチュラルリーダーに終始突かれたのは確かだが、とにかくデキの無さが全て。

KBS京都賞 ファンタジーステークス(GⅢ)

ピースオブワールド

2人曳き。馬は例に依って見栄えがするし、中一週続きでも相変わらず落ち着いていた。好発。スタート直後は持って行かれそうになっていたが、何とか宥め切った。4角も持ったままの手応えで、直線は弾かれる様にして伸びてきた。とにかく強いの一言に尽きるし、今日のメンバーは意外にレベルが高かった点も強調しておきたい。

シーイズトウショウ

2人曳き。イレ込んでいたとはいえワナに比べたら雲泥の差だが、流石に毛ヅヤが落ちてきた印象。道中はピースオブワールドをマーク。当然、他にもマークしていた馬もいただけに、馬群の中で揉まれ通しだったが、それでも最後まで伸びてきた。サクラバクシンオー産駒だが、4角置かれ加減になっていただけにまだ距離が短いかも。

トーホウアスカ

この時期にしては毛ヅヤ目立っていたし、イレ込んでいるか全く気配を出さないかの両極端な馬が多い中、この馬はジワッと気合が乗っていた。ゲートで乗り手が沈む様になってしまって最後方から。大外ブン回しの直線勝負でここまで追い上げてきたが、今日のところは仕方が無いだろう。メガスターダムがきさらぎ賞でのアクシデントをバネにして一連のキャンペーンが有った様に、この馬も今日のアクシデントを生かす日が来れば。

ワナ

2人曳き。ちょっと稽古をやり過ぎたか...。下見からイレ込みっ放し。しかし、道中は何だかんだで折り合っていたし、直線もインから一瞬伸び掛かるシーン。今後はイレ込み対策が課題となってくるが、戦前にあれだけスタミナをロスしながらのこの根性、伊達に牡馬相手に重賞勝ってないということだろう。

ソルティビッド

シープスキンノーズバンド。太いが、落ち着いていたし、馬の造りは悪くない。昨年のカロスキューマを思い出させる大逃げ。終始右手前で走っていた分、最後は差されてしまったが、それでも上がりは36.1。決して止まってしまった訳ではないし、折り合えていた点も好感が持てた。

トーセンリリー

シープスキンノーズバンド。2人曳き。競馬にならない程イレ込んでいた。道中、前の馬に乗り掛かりそうになっていただけに。

カシオペアステークス

ビッグゴールド

妙に攻め手控えて人気を落としていたが、見た目には殆ど影響は無かった。中段からも、外を回っていたし、仕掛けもかなり早目。まあ、一瞬の決め手が有るタイプの馬では無いだけに、この策自体は正解だが、とはいえアッサリ勝ってしまうのだからここでは力が違っていたということなのだろう。

ゼンノショウグン

2人曳き。走るサンデーサイレンス産駒の典型的体型で、とにかく毎回良く見える。今日は珍しく出負け。勝ち馬とは対照的に、外を回っても勝算が無いと踏んで終始内々を立ち回る策だったが、周知の通り京都外回りはインが開くケースが多いので、やはりこの策が正解。良く伸びているが、あと一歩。

トレジャー

多少重い様に見える嫌い。多少行きたがっていた分もあったが、スローを嫌って途中からハナへ。結構早めに来られているのだが、最後まで良く辛抱している。

トッププロテクター

ソロソロ馬がコズんできたか。これも行きたがっていたのを無理に押さえず、前へ行ったクチだが、前半多少ロスしている分とデキが落ちてきた分伸び切れず。

エイシンルバーン

一枚重い様に見えるが何時もこんな感じ。気配を表に出さないのも相変わらず。前々で立ち回っているが如何せん決め手不足。

トゥルーサーパス

歩様硬いのは何時もの事。展開ハマッた筈だったが、直線の不利が全て。

エアエミネム

2人曳き。馬体は例に依って素晴らしいが、休み明けで気負っていたのと、二枚程太い分がマイナス。良い感じで追走出来ていたが、最後は息切れ。まあ、今日のところは仕方が無いだろう。