Sakura Archives

競馬回顧 2003年1回阪神・3回中山・1回中京

阪神大賞典(GⅡ)

ダイタクバートラム

トモに実が入ったということで今の飛躍が有る訳だが、現3歳世代の勢いに引っ張られた印象も。本格化前のこの馬が阪神コースでしか走らなかった理由は、末脚の持続性に難があって、坂の影響で一旦タメを造ることが出来るからということになる訳だが、今日も4角でインを突いて上手くタメを造っている。まあ、本格化してこの辺の問題も大分マシになった印象だが、それでも武豊騎手が見えないところでかなりゴマカして乗っているのもまた事実。果たして天皇賞でも同じ様に上手く行くかどうか、些か懐疑的なのだが。

コイントス

クロフネが勝った毎日杯以来の阪神コースとなる訳だが、今日は珍しくテンションが高目。道中は好位の外。上手く折り合いもついたし、勝負処からもノーリーズンを目標に競馬はし易かった筈。とはいえ、京都に続いて阪神でもインをスクわれた。京都はともかく、阪神でインから来る馬がいたとは安藤騎手、予想だにしなかっただろう。本当にこの馬、運が無い。

ファストタテヤマ

菊花賞時と同じ馬体重。これで細く見えないということは、今までが太かったということなのだろう。とりあえず日経新春杯の惨敗振りは余程安田騎手に堪えた様で、今日も自分からは絶対に動かない。とにかくこの競馬が出来れば、コースは問わず堅実で、今日もあと一押しの内容。今の阪神は前が止まらないだけに、外を通っていては勝ち目が無いのだが、とはいえこの馬はこれで良い。変に小細工したところで何にもならない。

ノーリーズン

この馬なりの仕上がりといった印象。まだ良くなる余地が有る筈。今日は上手く流れに乗っただけに、この結果は力負けということだろうが、レース後エビが判明しているだけに、むしろ力量以上に走った印象。それでこの結果なのだから、下方修正せざるを得ない。

マイネルプレーリー

スカッと見せて好気配。ただ毎回述べている通り、この馬は煩ければ煩い程走る。道中は中段から。しかし、流石に3000mで気負いながら走ると辛い印象。加えて決め手の差もあるだけに。

サンライズジェガー

メンコ着用の効果絶大で、落ち着いていた。馬体も絞れて連勝時のデキは完全に戻った。直線全く追えず終いで競馬にならず参考外。

フジテレビ賞 スプリングステークス(GⅡ)

ネオユニヴァース

2人曳き。きさらぎ賞時に述べた通り、まだ実が入る余地が有る。土曜日の大外一気が有っただけに、外枠でどう乗るかが微妙だたが、デムーロ騎手、意外に前には行かず中段待機策。3〜4角中段辺りから一気にマクって、直線もそのまま押し切る形。今日は着差以上に能力差が有る印象で、少なくとも対サクラプレジデントには決定的差を見出せる内容。ラントゥザフリーズのダラシなさが象徴的な様に、栗東美浦の所属を問わず、今年はどういう訳か関東圏で競馬してきた馬がどうもパッとしないのだが、このレースも終わってみればきさらぎ賞組。

サクラプレジデント

2人曳き。流石に弥生賞にも使えた状態だけのことはあって、キッチリ出来ていたが、ただこの馬も脚長のサンデーサイレンス産駒。非力な武幸四郎騎手、何時もの長手綱で馬の気に任せる競馬だったが、多少行きたがってしまった。4角を上手く捌いて、直線はネオユニヴァースに併せたまでは良かったが、結果そこまで。休み明けで行きたがった分を加味してもこの能力差は如何ともし難い印象。ただ、この馬の理想的な競馬は出遅れて追い込み一気になった朝日杯フューチュリティSという気もする。無論決め手は有るだけに、これを本番でされると脅威になるのだが...。

マイネルイェーガー

2人曳き。テンション高いし、トモが甘いのだが、デキ自体は良さそう。道中は中段のポケット。あのテンションで折り合いつくのだから勝負強いのだろう。4角からサクラプレジデントをマークするイメージで乗られ、能力差というよりは血統の差 (前2頭はサンデーサイレンス産駒で、こちらはマヤノトップガン産駒) といった印象で、置かれてしまったが、とはいえそこから盛り返してくるのもまたこの血統。

ブルーコンコルド

2人曳き。休み明けになるが。落ち着いている。中山1200mの京王杯2歳Sの覇者、距離を考えて矯めて乗る策は間違いでは無かったということだろう、直線だけで一気にここまで押し上げてきた。デイリー杯2歳Sの内容から距離を嫌われて人気を落としていた訳だが、この競馬が出来れば距離は保つ印象。しかし、バランスオブゲームを筆頭にフサイチコンコルド産駒、距離適性の掴めない馬が多いのだが、経験を積んでこなしていく所を見ると、総じて学習能力が高いのか。

ダイワセレクション

ユッタリと歩けているし、例に依って好馬体。中段ので、外々を回される形になってしまった。まあ、その分スムーズに競馬出来た印象も有るのだが、この馬のパンチ力では外を回って勝ち負けになる程甘くはないということだろう。

クレンデスターン

2人曳き。テンション高いのはデビュー当時からだが、休み明けで初コースということもあって今日は一段と酷い。後方ママで終わってしまったが、叩いて落ち着きが出れば。

時事通信杯 フラワーカップ(GⅢ)

マイネヌーヴェル

歩様は流石にブライアンズタイム産駒といったイメージだが、キッチリ造ってきた。まあ、テンションはあまり上がり過ぎない方が良いのだが。ゲートアオって後方。折り合いの難しい馬に運良く安藤勝己騎手という話が先週有ったばかりだが、今日は出遅れた馬に横山典弘騎手ということ。後方のバラけた位置で馬場の良いところを選びながらの追走、4角でもまだ最後方に近い位置だったが、そこから大外へ出して一気の伸び。上がりが掛かった分が有ったにせよ、決め手は強烈だったし、今の中山はイン一辺倒だったことを思えば、それなりに強い競馬といえるだろう。しかし終わってみれば、これも牡馬相手に闘ってきた馬。先週のレディパステルを除いて (つまりテンエイウイングも例外ではない!) 、牡馬相手というのが今年の古馬も含めた牝馬戦線のトレンド。その意味においては今日阪神で勝ち上がったアドマイヤグルーヴも例外ではない。

トーセンリリー

シープスキンノーズバンド。歩様が硬いのは元々だし、数字程は太くない印象。多少行きたがっていたが、そのまま馬の気に任させて行かせる形。結果、ワンラップで走ってきた印象で、これが門別でダート重賞勝ちのスタミナを生かすこととなったが、しかしとても良馬場の上がり時計とは思えない数字。パワーとスタミナに関しては確かに申し分無いのだろうが、これだけで勝てないのが近年のオークス。まあ、今日の様に自分からペースを造っていけば話は別なのだが、名誉を捨ててダートで活路を見出した方が余程カネになる筈。

セイレーンズソング

シープスキンノーズバンド。落ち着いていたし、馬の見栄えは元々上位。フルゲートの最内枠、加えてグラッブユアハートがゲート入りに梃子摺って外枠発走と不幸が続き、ゲートが悪くなってしまったが、これを無理に仕掛けて好位のイン。ただ、今日はトーセンリリーの造ったペースがサンデーサイレンス産駒向きのそれではなく、つまりは済し崩しに脚を使わされてしまったということ。中山芝コースは押し並べて内枠有利だが、今日のこの馬に関しては最内枠が裏目。

パッションキャリー

歩様の柔らかい馬で、確かに芝向き。外枠からジワッと上手く流れに乗ったが、直線はジリジリ。今日はこのペースが合わなかった分もあるだろうが、前走内容も加味すれば距離自体が長い印象。まあ、マイルで勝ち負けしようと思うならば、思い切って最後方から追い込む競馬をさせた方が。

マコトスズラン

一時を思えば歩様もマシだし、馬体も良化。漸く見栄えするサンデーサイレンス産駒らしくなってきた印象。1角で外からトーセンリリーに多少寄られたが、例の蛯名騎手と高市調教師の異議申し立てが有った通り、あれは仕方が無いところ。道中はセイレーンズソングにレマーズソングを挟んだ外。外々で脚を使わされるのを嫌ったのか、早目に動いていったが、結果的に中途半端になってしまった印象。思い切って向正面で行く手もあったか。

報知杯 フィリーズレビュー(GⅡ)

ヤマカツリリー

出来てはいたのだが、歩様に力強さを欠く。好発、折角メンコをつけて折り合い対策を採った筈だったが、ちょっと馬が喜んで行き過ぎた印象。ただ、今日はこの馬にとって運が良かったのは、この手の行きたがる馬に安藤騎手は最適任者だということ。安藤騎手ならば、少々行きたがっても必ず最後まで脚を残してくれる。まあ、直線スパッと切れない分が、前半のロスの分ということだろうが、それでもこの相手に完勝の内容。同じ競馬ならば本番で消える可能性も高いとはいえ、能力の高さは証明出来た。

モンパルナス

2人曳きも落ち着いていたし、シッカリ稽古をやっての馬体増は好感が持てる。速い馬に行かせて2番手の形だが、その速いデュアルストーリーがあまりに速過ぎて、後続を引き離してしまった為、これをマトモに追い掛けてしまった分が最後辛くなってしまった印象。それでも追っ掛けバテせず最後まで渋太かったし、最早「魔の桜花賞ペース」は死語になってしまった現状、今日の競馬が出来るなら本番でも面白そう。

レイナワルツ

使い込んでいるが、相変わらずギリギリのところで堪えているといった印象。好位のインで折り合いを付け、4角でもそのままインで我慢させて、抜け出しを図ろうとするのだが、阪神コースは中々前が開いてくれない。前が開いた後でも馬が逡巡してしまい、一瞬モタついてしまった。一応、今日に関しては権利も取れただけにこれはこれで良いのだろうが、この馬とにかく押せ押せで使ってきた馬、その点で体調の維持が最大の問題。

ユキノスイトピー

イレ込む。スカッと見せているが、これ以上は減らない方が。今日は今までと違ってとにかく前半から行き振りが悪い。4角で外に出してからは諦めずに伸びてきたが、競馬が終わった後。道悪がダメ?

ホワイトカーニバル

遮眼革。一時期を思えば歩様は良くなった。これも多少前を深追いし過ぎたクチだが、今日は前で決まっていて、逃げたデュアルストーリーを除けば、5着でも先行勢最後着。皆が行きたがっていたことを思えば、やはりこの馬の内容が一番悪いということになるだろう。マイルは距離が長いといわざるを得ない。

ワナ

2人曳き。流石に先週にも使えただけの状態だっこともあって、キッチリ造ってきた。どうも下見に来るとイラついてしまう印象もあるが、とはいえファンタジーステークスを思えば数段マシ。ただ、今日は道悪で全く競馬にならず。道悪を嫌ってチューリップ賞を回避したのだが、そのチューリップ賞が良馬場で、今回が稍重という運の無さ。こういう馬は本番では出番が無いケースが多いのだが...。

トーホウアスカ

数字通り一枚重いし、歩様に力強さが欲しい。最後方からになってしまったが、前半から全く走る気が無く追い通し。これも道悪だろう。

夕刊フジ賞 クリスタルカップ(GⅢ)

ワンダフルデイズ

流石にここへ来れば馬が一枚上だが、今日は歩様が良くなかった様に、デキ自体は本当ではなかった筈。アオってはないのだが、ダッシュがつかなかった様で後方から。まあ、追い込み有利の中山1200m、開き直ればどの位置でもベストポジションに変え得ることが出来る訳だが、その手の馬は完全な直線勝負という馬が多い中、今日のこの馬は4角からマクって既に中段に取り付いていた。良い脚をかなり長く使っている印象で、この時計も馬場状態を勘案すれば優秀。昨年のサーガノヴェル以上の内容といって良く、やはり血統の字面通りマイルは長かったということだろう。

ギャラントアロー

攻め馬バタバタになってしまったが、下見は全てにおいて抜けて良く見えた。先行グループでは一番外の枠で、内から相当来られているのだが、それでも行き切ってしまう。結果、4角で後続に1馬身程のリードが有った分、息が入った印象。この分の貯金を生かして最後まで粘り込んだ。まあ、方法論としてはショウナンカンプの競馬ということだが、才能が要求されるとはいえ、要件を満たせば不利を食らわないという点と道中楽が出来るという点でかなり確実性の有る手法。ワンダフルデイズの項で時計が優秀と述べたが、同じことはこの馬にもいえる。

タイキジリオン

攻め強化して望み通り絞れてきた。まあ、多少やり過ぎの嫌いも有ったが、歩様スムーズで見た目にはその影響も感じられず。道中は好位の外というより、ギャラントアローが速過ぎて行き切れなかった印象。従ってこの形は追っ掛けバテになり易いのだが、こういうところでバテずに伸びてくるところがダート馬の強み。丁度、昨年のシャドウスケイプも似た様な競馬で4着、昨年述べた通りこういう馬は芝ではアテに出来ない。

ニシノシタン

500kgもある馬だが、とにかくトモが非力過ぎる。これもワンダフルデイズ同様に出自体が悪かったのだが、道中の手応えは対照的。直線だけで伸びて来たが、如何せん前半のロスが大き過ぎる印象で、トモが甘い現状ではもうちょっと長い距離でジワッと流れに乗る競馬の方が合っているだろう。

トーセンオリオン

折角良い馬体をしているのだから、もうちょっとシッカリ踏み込んで欲しい。最内枠で行き切ってしまいたかっただろうが、外の馬が速過ぎて行き切れず。追っ掛けバテという程でもないのだが、伸びは案外。まあ、関東のオープン特別勝ちではこの程度ということなのだろう。

ローレル競馬場賞 中山牝馬ステークス(GⅢ)

レディパステル

下見で煩いのは何時も通り。レース後放牧に出したそうだが、ここ目標にしていただけのことはあって、キッチリ造ってきた。中段のインで我慢させて、4角で外へ出す競馬。何時もはモタつく筈のこの馬が持ったままで上ってきた。速くなりようが無い筈の中山1800mにも関わらず昨年同様のハイペース、この癖がネックで勝ち切れない競馬が続いていたが、それがこのペースで帳消しとなった形。まあ、戦前述べた通り、GⅢ1勝馬と同斤というのも恵まれていたということだろう。

テンエイウイング

シープスキンノーズバンド。それまでを良く知らないのだが、ダイヤモンドステークスでもデキが目立っていた一頭。好調持続。後方のインで折り合いを付ける策。長距離を使ってきたということで、追走に梃子摺るかと思ったのだが、むしろ行き振り良過ぎて宥めるのに懸命といった感じの追走。結果多少不利が有ったとはいえ、4角も下手に外へ回さずインを突いて、手応え通りに伸びてきた。一昨年デビューの大庭和弥騎手、レース後のコメントでこれまで長距離馬だと信じていたこの馬が実はこの位の距離を得意としていたことにショックと述べたそうだが、重賞初騎乗で2着という快挙には変わりがない。インを突かなければ2着も無かった筈で、今日のところは馬だけでなく乗り役の好騎乗も称えたいところ。

ショコット

シープスキンノーズバンド。下見で地味なのは今更だが、流石に重賞へ来ると見劣る印象。これもレディパステル同様にインで折り合いを付けていたクチだが、レディパステルとは対照的に終始インを突いてきた。持ち前の一瞬の決め手は生かし切っただろうが、今日はハイペースになってしまってゴマカしの利かない競馬になってしまった。まあ、ハンデ戦といえども、オープン特別でスローを我慢して我慢して漸く同着まで持ち込んだ程度の力ではここまでがやっとということだろう。

オースミコスモ

見た目それ程細くはないとしても、減るのは良くない傾向。前走時に述べた通り、完全に一皮剥けた印象は変わらないのだが。有力どころが後方からということで、前で流れに乗ろうという策は悪くない筈だったが、今日は如何せん中山1800mにしては珍しいハイペース。結果、目標にされてしまった分が伸び切れない。まあ、馬体減の影響も大分有るだろうが、こういうことがあると益々武豊騎手が追い込み一辺倒の騎乗スタイルに固執してしまいそうで、これからのクラシックシーズンが不安。

カネトシディザイア

この馬もあまり減るのは良くない筈。上位馬が全部内枠だったのが象徴的だった様に、外々を振り回されて位置取りが悪くなってしまった。直線も前が開かず、開いた時は競馬が終わった後。アネモネステークスのタイムウィルテルもそうだが、今の中山の馬場状態で外を通ると辛い。

ハッピーパス

完全に重目残り。これも枠順に泣いて位置取りが悪くなったクチだが、4角で既に圏外といった感じの手応え。太目の分も相当有るだろうが、小回りで済し崩しに脚を使わされる展開が合わないのだろう。

ノブレスオブリッジ

これも馬体減。これも終始外を回されたクチ。

ブルーリッジリバー

稽古を加減して漸く数字を維持している現状。近走とにかくデキが無さ過ぎる。これも外々を通らされた訳だが、レース内容以前にこの馬の場合はデキを立て直す方が先決。「終いを生かすレースをして脚は使ってくれたんですがね。1800mは微妙に長いのかもしれません。それに馬群の外々を回される形になりましたから。 (二本柳騎手・週刊競馬ブック)」

報知杯 弥生賞(GⅡ)

エイシンチャンプ

2人曳き。歩様が良くなって全能力発揮出来る様になったのが昨年のキャンペーン。今日もその点には好感が持てたが、明らかに馬が緩んでいた。距離こそ違えど朝日杯フューチュリティSと全く同じ、2頭が引っ張る展開を離れた好位のインで流れに乗って直線で抜け出す策。ザッツザプレンティを下した京都2歳Sが象徴的な様に、追っての渋太さは定評の有るところだが、問題はこの相手でこの競馬しか出来なかった点。スズノマーチを除いた3〜5着馬は全て底が割れた馬、今日は馬が緩んでいただけにこの分の上積みを否定しないが、ザッツザプレンティがアクシデントで消えた以上は、圧勝して欲しかった。

スズノマーチ

毛ヅヤ冴える。まだ緩いのだろうが、好馬体。実が入れば化ける筈。道中はエイシンチャンプと同じ位置にいたが、勝負所から遊んでしまって置かれてしまった分が届かない。横山典弘騎手、差し切れなかったことで自身を責める様なコメントをレース後に出していたが、置かれた時に慌てずインを回って来れる点がそこらの騎手とは違う点。まあ、前日に安藤勝騎手がペリエ騎手で動かなかったオースミハルカを無理やり動かしてしまった挙句、日曜の中京記念も持っていってしまい、今週は安藤勝騎手ばかりがクローズアップされる形になってしまっただけに地味な印象もあるが、流石に1300勝は伊達ではない。

コスモインペリアル

絞れて良化。こちらはスズノマーチとは対照的に後方からの決め打ち。上がり37.9の競馬だったとはいえ、仮柵明けではない馬場の悪いところを通っての伸びは素晴らしかった。一時太目が祟って伸び切れない競馬が続いたが、今日の内容で完全復活といって良いだろう。まあ、一線級との差は無視出来ないだろうから、GⅠで通用するにはもう一段の成長が無いと苦しいが。

テイエムリキサン

「寸の詰まった体型=短距離馬」だと一概に決め付けられないとはいえ、そういう傾向は確かに否定出来ないのもまた事実。悪い馬ではないのが。好位で流れに乗って早目の競馬。結果、エイシンチャンプの目標にされてしまった分が苦しくなったが、京成杯で述べた通り、完全に底が割れた馬。展開と距離適性を差し引いてもGⅠ級の馬ではないが、もっといえばこの馬と五分の競馬しか出来ない馬もGⅠでは用無し。

マイネルモルゲン

2人曳き。相変わらずイレ込んで、歩様が硬い。大外枠で馬が喜んで行ってしまう展開を危惧していたが、後藤騎手が必死に宥めて中段位置。結果的には雪崩れ込んだだけの形だが、こういう競馬はいきなりから結果が出ないモノ。それにしても、この馬のこの競馬で上位との差がたったこれだけという現実。つまりは現段階ではスズカドリーム+ザッツザプレンティ+きさらぎ賞組が抜けているということ。

ザッツザプレンティ

仕上がり上々。デビュー時を思うと馬体は素晴らしく良くなった。サンデーサイレンス2世種牡馬ではフジキセキの産駒が一番見栄えする確率が高いのだが、この馬は例外に属する様。ただ、今日はソエを焼いた跡が目に付いた様に歩様が悪過ぎた。先週の事故が有っただけに、最早無事に回って来られれば良いと思えた程。一周丸々右手前で走り、直線もインにモタれて競馬にならず。落鉄の影響が相当有った様で、今日は問題外。

チューリップ賞(GⅢ)

オースミハルカ

相変わらず煩いし、流石に多少細手に見せる印象。道中はスティルインラブの外。この馬の場合は戦前に述べた通り、勝負どころで置かれないかどうかという点が課題だった訳だが、今日は意外な程スムーズで、直線も手応え通りに伸びてくれて快勝。ただそれでも、追わせるタイプであることには変わりが無い印象で、本番で安藤騎手が確保出来なくなった点とギリギリの馬体は課題。今日はこの馬体になってしまったことで馬が鋭くなっていた分も多分に有る筈で、言い換えればフックラし過ぎていても結果が出ないということ。この先は厩舎技量が問われる。

スティルインラブ

この馬もオースミハルカ同様かなり使い減りしてきた印象だが、落ち着いていたし、歩様のスムーズさは買える。道中はオースミハルカのイン、つまりチアズメッセージを眺めながらの競馬。4角も仕掛けを我慢する余裕が有ったが、今日はこれが裏目。直線でポケットにハマってしまって、一旦立て直すロスが有った分が届かない。今日はワンラップの競馬でポケットが崩れる (=前が止まる) 可能性が低かったことを思えば、あの判断は明らかに間違いで、この点は明らかな騎乗ミス。11年前のこのレースでミスした佐藤正騎手を降ろしたニシノフラワーとダブるが、この馬の場合はこのまま幸騎手で桜花賞へ向かうという話。ならば幸騎手、ここは意義に感じて、絶対に結果を出さなければ。

チアズメッセージ

トモは甘いが減らないのは好感が持てる。武豊騎手ということで意図的に押さえた様に思われるかも知れないが、スマートボーイやホットシークレット同様、ダッシュ力の無い先行馬という印象で、行けなかったというのが本当のところ。とはいえ、行き切れなかったといっても、絶対的に競馬し易い阪神マイルの最内枠、上手く好位のインで流れに乗ったが、非力な分が追い出してから甘い。まあ、今日負かされた馬はこれ以上デキの上積みが望めないだけに、トモに力が付けば充分逆転可能。

シーイズトウショウ

とにかく煩い。道中はチアズメッセージの外。上手く流れに乗れている様に見えても、どうしても力んで走ってしまう分、終いが伸びない印象。まあ、このままでは何時まで経っても掲示板止まり、逃げるか追い込むか思い切った競馬をするか、スプリントへ回るかしないと厳しそう。

スターリーヘヴン

落ち着いていた。中段のバラけた位置を追走。ただ、手応えの割に伸び切れなかったが、手前を替えなかった分だろう。

阪急杯(GⅢ)

ショウナンカンプ

とりあえず歩様さえマトモならば力は出せるのだが、休み明けの割には馬体に張りも有って鬼に金棒。イシノグレイスがコスりに来るかどうかが戦前の焦点だった訳だが、やはりこの馬の次元の違うダッシュ力の前にはイシノグレイスも控えざるを得なかった。開幕週で前がとまらない馬場、単騎で行けただけに香港戦とは違い、息も入った。あとは手前すら替えずにオイデオイデの大楽勝で、今日に関して課題は何一つないが、高松宮記念が行われる最終週の中京コースという条件は他のローカル同様に馬場が悪くなりがち。昨年は天候と馬場造園課の苦労もあって、比較的馬場状態良好な中施行出来たとはいえ、中間ふた雨程来れば簡単に全てズボズボで決まってしまう中京1200m。とにかく馬だけではどうにもならないファクターがあるという現実だけは直視しなければならない。

サニングデール

テンション高いのは構わないとしても、スプリント戦だと思うと、ちょっとスカッと見せ過ぎる嫌い。まあ、結果が出せる以上当面は良いかも知れないが、先々を考えると不安が先立つ。ショウナンカンプを前に置いて終始マークする策だが、結局終始インを立ち回っただけで並び掛けるシーンすらなかった。今日は行ったモノ勝ちの馬場だったとはいえ、相変わらず器用貧乏な印象。高松宮記念は57kgと左回りで競馬出来る上積みがあるとはいえ、もうちょっと迫って欲しかった。

アグネスソニック

2人曳き。この馬、デビュー以来毛ヅヤが悪い時が無い。流石にスプリント戦だけあって、ここへ入るとテンションの高さがそれ程気にならないし、期待通り絞れてきた。道中は外から来た馬に被せて貰って折り合いを付ける策。一応、この距離ならば気持ちが切れずに競馬出来るが、前が開かなかったこともあって、今日は持ち前の一瞬の決め手が出せずに終わってしまった印象。ドバイ回避で高松宮記念回りだそうだが、これを経験したことで今度は違う筈で、怖い存在になってきた。

エアトゥーレ

2人曳き。これもアグネスソニック同様期待通り絞れてきた。この時期に絞るのは中々大変な筈だが、これが厩舎技量ということ。折り合いついて、道中は中段。結局のところ、4角反応が悪かった分、狭いところに閉じ込められてしまった印象で、つまりは距離が短いということ。今日は仕方が無い。

メジロマイヤー

今日に関しては重いだろうが、これこそがスプリンターの馬体で、血統が前面に出てきた印象。つまり本格化しつつあるということ。流石に今日は行けなかったが、インを立ち回ってここまで伸びてきた。この後、1800m辺りで逃げる競馬をするのか、スプリントで差す競馬をするのか分からないが、とにかく前途が明るくなったのは確か。

マンデームスメ

細い。相変わらず芦毛の割に毛ヅヤが目立つのだが。出遅れたこともあるだろうが、どちらにしてもオープンでは家賃が高過ぎる嫌い。

ゴールデンロドリゴ

2人曳き。外々を回り、ピカピカの毛ヅヤ。デキだけをいえばコレ。前走で前を深追いし過ぎた反省を元に追い込みに徹したのが裏目。ただでさえ前の止まらない馬場、終始外々を通らされたし、坂も良くないタイプ。今日は競馬になっていないだけに、次走平坦で変わり身の余地大。

ビリーヴ

2人曳き。攻め手控えて望み通りの馬体増。しかし所詮風船といった印象。中身が無い上にイラついていた。ゲート入り梃子摺った挙句、突進。こうなってしまっては競馬内容以前の問題だが、問題は今日の一件でゲート再試験という宿題が出来てしまったこと。この点は明らかに高松宮記念に向けてマイナス材料で、今日は全てが上手くいったショウナンカンプとは対照的な結果。GⅠを勝つ一方、今年の武豊騎手は年明けから変な負け方が多いのだが、如何にも今年を象徴する様な結果。

中山記念(GⅡ)

ローエングリン

攻め強化の効果歴然。叩いて順当に良化。仮柵明けのAコース、今日は逃げ以外の手は有り得ず、スタートにだけ注意を払ってスッとハナへ。前半1000m通過が59.5秒では後続は勝ち目が無いとはいえ、この馬に競り掛けて行けば勝ちどころか掲示板すら無くなってしまう以上はこれも仕方が無いところ。要はこの展開が呼び込める程この馬も強くなったということだろう。ゴール前押さえた以外は前後半ほぼワンラップで走っての逃げ切り。まあ、今日のペースが自分のペースだというならば、マイルは諦めた方が良いだろうが、しかしこの馬血統表の何処を見てもスタミナの塊。ワンペースで2400mを逃げる競馬を是非一度。

バランスオブゲーム

2人曳き。テンション高いのは何時も通り。まあ、一枚重いだろうが、全部が全部だとは思えない。道悪の分を否定しないが、近走長い距離を使ってきたのが良い方に出た様で、今日は完璧に折り合いがついた。道中4番手から伸びてきたが、しかしとにかく前が楽をし過ぎ。気の良いタイプで鉄砲でも問題無いタイプ。とりあえずGⅠ以外全勝の実力は見せた。

ダイワジアン

気付いてみればノーザンテースト産駒のオープン馬もこの馬位になってしまったが、如何にもそれらしい馬体。多少行きたがっていた様に見えたのだが、実績通り道悪走るということなのだろう。差し辛い馬場もあったが、前で流れに乗って渋太く脚を残した。

ファイトコマンダー

まだ重い印象も。中段の内々。終始仮柵明けの馬場の良いところを通ってきた。この馬、力の要る馬場は得意でも滑る馬場はダメというタイプだが、馬場の良いところさえ通ればこの馬もジャングルポケットに先着した札幌記念2着の実績。追ってバテない強みを最大限に生かした形。

ユキノサンロイヤル

休み明けになるが、こちらもダイワジアン同様に種馬の特徴をそのまま出した様な馬体。休み明けでも良く出来ていた印象。中段よりやや後ろといったところだが、終始インを立ち回ってきた。流石に中山実績は伊達ではないが、逆にいえば今日は条件が揃い過ぎていた中での5着だから、力量不足という現実を突きつけられた気も。

タイガーカフェ

毛ヅヤは良いだけにデキは良いのだろうが、とにかくトモが甘過ぎる。もうちょっと前で競馬したかっただろうが、トモが甘くてダッシュ力が無いだけに、外からバランスオブゲームに来られて位置取りが悪くなった。まあ、ユキノサンロイヤル同様、器用ではあるので、道中の無駄の無さでここまで来れるが、とにかく非力過ぎる現状を何とかしないことにはオープンでは通用の目が無い。

ラスカルスズカ

2人曳き。本当に今脚元の不安が無くなって、攻め馬で手加減しなくて良くなったのだろう。休養前と比べればデキが全く違う。中段から雪崩れ込んだだけ。叩いて変わる可能性を否定しないが、今日のデキならばもうちょっと走って欲しかった印象。デキは有るだけに、能力が落ちてなければGⅠでもやれる筈なのだが...。

テレグノシス

見た目はこれ位が丁度良いが、スカッと見せないと走らないトニービン産駒、その意味では一枚重い。この馬も動けなかったが、トニービン産駒でクルクル回る中山1800mという外無い印象。正直、もっとこの馬器用だと思っていたのだが、それはあくまでトニービン産駒としてはというエクスキューズが付くという前提だったのだろう。この馬もデキは有るので、東京ならば変わる筈。

デュランダル

近走デキが良い。加えて今日は落ち着いていた。これもテレグノシス同様にクルクル回る中山1800mということ。テレグノシスはともかく、この馬は阪神戦を使うべきだったと思うのだが。

トウカイポイント

太くもなければ、緩んでもいないのだが、とにかく歩様がガタガタ。直線入り口で競走中止して競走能力喪失だが、今日のデキではという印象も。

アーリントンカップ(GⅢ)

ウインクリューガー

あまり良くなった印象は無いのだが...。前半行きたがってしまったが、前を壁にして無理やり宥める形。これで一応折り合えたとはいえ、勝ち切ったのは立派。まあ、あまり距離延びて良いタイプではないだろうが、あの内容で勝ってしまうのだから能力と道悪適性は相当だろう。父のタイキシャトルは不良馬場の安田記念を勝った訳だが、確かに道悪適性の有る馬が多い印象。

エコルプレイス

2人引き。馬振り、毛ヅヤは目立っていたが、馬が硬い。枠順生かしてハナへ。上手くスローに落とせたし、突かれるシーンも無かったが、それでも今日は勝ち馬の強さが一枚上。戦前述べた通り、阪神の開幕週は先行馬有利ということ。

ニシノシタン

トモは甘いが、落ち着いていた。これも前で流れに乗ったクチ。トモが甘い分上位馬とは道悪適性の差が有って、それが結果に響いた印象だが、とはいえそれでも3着なのだから立派。馬の形は悪くないので、上手くやれば化ける可能性も。

ワールドセイハ

尾が短過ぎて不恰好に見えるが、良く見れば中々形の良い馬。道中は5番手。追ってからジワジワ来たが、如何せん今日はペースも馬場状態も前有利。今日のところは仕方が無いだろう。

ワンダフルデイズ

今日は抜けて良く見えた。ワールドセイハと似た様な位置にいたが、追ってからサッパリ。今日のデキなら勝てた筈で、敗因を道悪か距離に求めるしか無さそうだが、朝日杯フューチュリティSの内容を思うと距離なのだろう。

ゴールデンキャスト

数字は出来ているのだが、中身が無く、毛ヅヤ冴えない。追って伸びてはきたが、前で決まる展開だったのが痛い。このデキの割には走っているだけに、骨折での能力の減退は無さそうなのだが。