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競馬回顧 2006年2回京都・1回東京

フェブラリーステークス(GⅠ)

カネヒキリ

馬体充実。ただ、直前の本馬場調教をやり過ぎた影響か、歩様が硬い。好発も、外の様子を見て、中段やや後方。道中も終始手応えに余裕。外を回ったにも関わらず、直線半ば前を交わす迄手前を替えないという楽な競馬で、時計も馬場状態勘案すれば恐ろしく速い。前走はそれ程強いとは思わなかったのだが、今日は文句無く強い競馬。クロフネ級とは言わないが、ゴールドアリュールよりは遥かに強いだろう。次走は胸を張ってのドバイ遠征だが、ピークの状態で行ける厩舎技量。それを許す馬主の度量も日本競馬の鏡。

シーキングザダイヤ

+8kg。決して悪くないが、馬体重の変動が激し過ぎる為、多少張りが無い様に映ってしまう。スタートは五分も、出脚が良く、ジワッと好位へ。前のトウショウギアとメイショウボーラーがやり合った為、坂下でユートピアと並んで先頭に立つ展開は多少早過ぎた嫌いは有るのだが、カネヒキリとの差はあまりに大き過ぎた。今日は近走の中では最悪のパフォーマンス。次走、これもドバイ遠征だそうだが、デキ落ち気配で期待はし辛い。

ユートピア

悪い時は硬さが出てしまう馬だが、今日はスムーズ。多少煩いが、この馬はこれ位で丁度だし、馬体の張りも上々。好発。内枠で包まれるのを嫌ってか、ハナへ行こうとし掛かっていたが、外のメイショウボーラーが引く気配が無かったし、トウショウギアがムキになっていた事も有って3番手で控えたのが正解。前がやり合っているだけで、そこから1秒近く離れたこの馬で平均ペース。シーキングザダイヤの項で述べた様に、抜け切るタイミングが少し速かったのは誤算だが、戦前期待した様に左回りのマイル戦は走る。今日は人気が無さ過ぎただけ。

ブルーコンコルド

-8kg。歩様に柔らか味が有り、馬体も絞れたが、ただ究極のデキだった今夏の阪神戦を思えばまだ90%。好発。前2頭と離れた好位。4角の反応が悪く、シーキングザダイヤやユートピアとは離され、モタついている間に外からカネヒキリに被せられてしまって、インへ潜る形。ただ、前が似た様な脚で競り合っているだけに、これが無くても着順は変わらなかっただろうが、このズブさが距離の融通性を生んでいる。まだ状態面本当では無い筈だが、本当では無い状態でこれだけやれるのだから強い。

ヴァーミリアン

-4kg。まだ重いが、張り自体はむしろ良い方。余程デキが良いのだろう。このレース、古馬のダート戦にしては気配の良い馬が多かったが、この馬も筆頭格に近い。芝馬だが、出脚で差が有って中段。直線向いて手前を替えるのが遅く、その間に前4頭と少し離されたが、最後は再び盛り返した。悪くない内容だが、一線級では無いのだろう。上とは少し差が有る。

アジュディミツオー

2人曳き。馬に集中力。ただ、南関2戦を思うと微妙に張りが落ちて来ている。ゲートも悪かったが、芝で出脚も付かず後方から。4角でも後方だったが、馬群を捌いてここ迄。追い込む馬では無いので、今日は余興の競馬だが、それここ迄来るのだから地力は相当。

タイキエニグマ

2人曳き。オーストラリアンブリンカー。バネの利いた歩様。1年前とは別馬。毛ヅヤが良いのも今季の特徴。ゲートも甘かったが、芝で置かれるのは条件時代から。直線、一番外へ出して来てはいるが、GⅠで前が総崩れになる程甘くは無かった。仕方が無いといえばそうだが、ファンは有馬記念のハーツクライを見て目が肥えてしまっただけに、何か引っ掛かるモノが。

リミットレスビッド

シープスキンノーズバンド。これも踏み込んだ時のバネが良い。馬体も充実。出が悪かったが、少し出して中段やや後方のイン。掛かる位の行き振りで、直線向いてインから一瞬伸び掛かったのだが、ラスト1F迄。これ以上判り易い距離の壁、中々見られるモノでは無い。

サンライズバッカス

馬体は前走でも良かったが、イラついていたのが気になった。好発も、カネヒキリをマークする策。4角でも射程圏だったが、追い出してからが案外。敗因不明。

農林水産省賞典京都記念(GⅡ)

シックスセンス

2人曳き。絶好調時を思うと踏み込みが本当では無いが、それ以外は満点に近い状態。好発。武豊騎手は外へ出したかったと思うのだが、馬が行きたがって引くに引けず、しかも後方で馬群が固まってしまい、4角では最後方へ下げて直線だけ外へ出す形。直線向いてサクラセンチュリーと併せ馬で来て、最後は首の上げ下げ。競輪のハンドル投げでは小倉竜二選手が有名だが、武豊騎手の写真判定も、毎回キッチリ馬の首が下がっていて、見事の一言に尽きる。

サクラセンチュリー

+10kg。多少緩い造り。硬さは有るのは何時もの事だが。隣のブルートルネードの作法が悪く、それを気にしたのか、出負け気味に最後方から。早目動いたマーブルチーフを目標に坂の下りで惰性を付けて直線へ。ラスト300m辺り迄手前が替わらずモタついたが、替えてからは良く伸びている。最後は相手が写真判定に強い乗り役だけに仕方が無かろう。今日は勝ちに等しい競馬。以前は坂の下りでモタつくところの有った馬だが、それが解消されていたのも良い傾向。

マーブルチーフ

造りは良いが、例に依ってトモの甘い歩様。道中は3〜4番手。坂の下りで早目に動く自分の競馬。直線入り口では先頭に立ち、押し切り態勢だったが、外から2頭。トモが甘く、一瞬の脚が無いだけに、坂の下りで惰性を付ける競馬しか無いのだが、冬場以外の京都は上がりが速くなりがちで、そうなるとこの馬には不向き。次走は見送り。

シルクフェイマス

造りはそれ程変わっていないが、今日はテンション高い。ハナへ行く選択肢も当然有った筈だが、暫く様子を窺って、外の馬が行ったので3番手で控える形。マーブルチーフが早目に動いて行った事も有って、内から併せて動いて行ったが、伸び案外。前走の中山戦時にも述べたが、まだ本当では無い。

デルタブルース

+4kg。毛ヅヤが良く、デキは有る筈だが。明らかに重い。ゲートアオって後方から。マーブルチーフが早目に動いた事に依って、最近にしては珍しく坂の下りで競馬が動いたが、そこでの反応が悪い。それでも最後来ている様に、地力は確かだが、絞れないと中距離に対応する機動力が出て来ない。

トウショウナイト

スカッと見せているが、ただそれだけといった印象。中身が多少薄い様に見える。中段やや後方。最後伸びてはいるが、これもデルタブルース同様、勝負どころの反応が悪かった。太いという言い訳の有ったデルタブルースとは違い、この馬の場合は一応出来ていただけに、不満の残る内容。2200mが短いのは確かだが...。

デイリー杯クイーンカップ(GⅢ)

コイウタ

気配は良く、毛ヅヤも上々。ただ、歩様が硬いのと、ここなら遜色無いが、一線級とはスケールで差。好発も、内のアサヒライジングが行った事も有って、好位で大名マーク。とはいえ、またイン有利になってしまった東京、1000m通過が60.9秒と遅い事も有って、逃げ切られた様に思えたのだが、上がり3F34.4秒で差し切った。ここなら一枚役者が違った印象。上位とは差が有るとは思うのだが、今年はその上位がまだ不在。

アサヒライジング

一息入っている分、多少緩いのだが、毛ヅヤが良くデキだけなら許容範囲。ただ、歩様に力が無い。ゲートはむしろ分が悪かった位だが、出脚利かせてハナへ。コイウタの項で述べた様に、1000m通過が60.9秒で逃げ切れるペースで行けたが、ラスト1Fで苦しがって逆手前になった分、甘くなってしまった。現状トモが甘いのでどうしてもこうなるが、それでも最後マチカネタマカズラは凌いでいて、前々走はGⅠで5着。基本性能が高い。

マチカネタマカズラ

スカッとした造りで好感持てるし、気配そのものも上々。好発。アサヒライジングとゲッタウェイが行って3番手のイン。今の東京で望み得る最高の競馬だが、上位2頭とは決め手の差が有った。相手が相手だが、今日は芝でもやれる事が解っただけでも。

ワイキューブ

-12kg。単に煩いだけならまだしも、馬体減って煩いのは頂けないが、トモの張りは結構目立つ。馬自体は意外に良い。道中はマチカネタマカズラの直後。これもインを捌いて伸びて来たが、上位とは差が有ったのと、ちょっと外へモタれ加減。まだ馬が若いだけに、止むを得ないのだが、この馬がヨレた影響でアイスドール、ルビーレジェンド、マルカアイチャンの進路が無くなってしまった。

アイスドール

2人曳き。歩様が硬いのが気になるが、この数字の割に造り自体は悪くない。ゲート悪くなかったが、出脚で置かれて後方に近い位置取り。直線は向いてからは進路が無く、仕方無しにインを突いたが、スローも有ってここ迄。大外枠に泣いた前走の阪神戦そして今回と、ツキが無い。

きさらぎ賞(GⅢ)

ドリームパスポート

気持ち余裕が有るが、気の良い馬なので、許容範囲。ただ、歩様はそこ迄では無いとはいえ、トモが薄く、坂に疑問。ゲートも良くなかったが、行く気も無かった様で最後方から。終始引っ張り切りの手応え。道中は外を回らず、コーナーワークで差を詰め、皆が外を回したのを確認してから直線だけギリギリ馬場の良い馬場の五分どころへ。直線切れたのは確かだが、今日は乗り役が上手く乗り過ぎた印象も。この馬場にしては時計もソコソコ速いが、過大評価はどうか。

メイショウサムソン

テンション高いのは何時もの事。毛ヅヤも目立つが、多少余裕残し。ゲートはそれ程でも無かったが、例に依って出脚が良い。主張したアスタートリッキーを行かせ、馬場の良いところを選びながら2番手。直線も7分どころへ出したが、内からドリームパスポートにコーナーワークでやられてしまった。こういう競馬は良い様に見えて、意外に失敗例が多く、今日はそれを思えば良く走っている方。決め手が無いのは確かだが、ドリームパスポートとは互角以上の評価をしておきたい。

マイネルスケルツィ

雪の影響を受けた前走の阪神戦と同じ数字。骨格がしっかりしているので、目立たないのだが、トモが薄く、メリハリが甘いのは確か。行こうと思えば行けた様にも見えたが、行く気が無く3番手。ただ、意外に折り合いが付いた。ハナへ行かなかった分、外から押し込められ、終始馬場の悪いところを通らされたが、それでここ迄来るのだからかなり強い。馬場がマトモなら勝っていた筈。

グロリアスウィーク

+6kg。元々がパワー不足で、これは良い傾向だが、上位と比較してしまえばまだまだ。道中は中段の外。メイショウサムソンが必要以上に外を回した為、この馬も外を回された分、ここ迄。ただ、そのメイショウサムソンには伸び負け。上位3頭とは力量差有る。パワー強化が先決。

アドマイヤメイン

2人曳き。馬体見栄えする。歩様に伸びは有ったが、多少硬さが有る。武豊騎手らしい騎乗だが、位置取り構わず馬群の切れ目を探して外へ。多少行きたがっていたのは確かだし、これもグロリアスウィーク同様、メイショウサムソンの影響で外を回され過ぎたのだが、追って案外。まあ、グロリアスウィークとは1馬身やられていない以上、コーナーワーク分を差し引けばそれ程差の無い計算は成り立つが、グロリアスウィーク自体がそれ程強いとは思えない。

ディープエアー

もう少し歩様に伸びが欲しいが、前走程の硬さが無くなったのは良い傾向。叩いて3走目。馬体も良くなってきた。後方のイン。ドリームパスポート同様に、道中は内を回って、直線だけ馬場の真ん中へ出す策。更に後方に居たドリームパスポートにはアッサリ交わされたし、力量差は相当有りそう。

タニノベリーニ

品評会をやっている様な造りで、走るとなると意外に使えないのだろうが、見栄えだけならGⅠレベル。道中は後方から。直線一番外へ回してサッパリ。頭の高いのもそうだが、大トビで回転が鈍く、上がりが速い競馬はダメ。必ず走ってくる筈だが、暫くは様子見。

ダイヤモンドステークス(GⅢ)

マッキーマックス

2人曳き。-10kg。絞れたと見て良いだろう。妙に歩様が硬かったが、元々トモの甘い馬が丸みも出て来て、これは良い傾向。バラけた中段で折り合いピタリ。2週目3角で不利が有ったが、トウカイトリックとは違って、外を回さなかったのが正解。直線も内からスルスル伸びて坂下では既に先頭、そのまま押し切った。イマドキのディスタンス戦は所詮その程度といえばそうだが、他馬があまりに走っていない印象。同じ条件ならもうちょっとメンバーが強くなっても100%近い確率で勝てるのだろうが、その条件が難しい。

メジロトンキニーズ

細手だが、だからこそ軽ハンデが活きる。気配を表に出していたし、毛ヅヤが良かったのが何より。中段のイン。2周目3角から前の馬のマクりに乗る形で直線は外へ。最後はトウカイトリックに捕まり掛かったにせよ、良く伸びて2着は確保。トウカイトリックとは明らかに力量差有るが、今日は適性の無い馬が多く、それに救われた面が大きい。

トウカイトリック

馬格の無い走る牝馬の様な独特の歩様。ただ、毛ヅヤは良かったが、流石に馬は見栄えしない。外枠だったが、スタンド前でインに入れて中段。マッキーマックス同様、この距離でも折り合い付いて上手く運べたが、2周目3角の不利が痛い。それで4角外へ回す羽目になったし、それでここ迄来るのだから相当に強い。勿論、中距離のダメさ加減は説明する迄も無い事で、これは単純に距離適性。最近珍しいタイプ。

ハイフレンドトライ

昨年もメリハリが欲しいと述べたが、今年も然程変わらず。雰囲気も昨年より地味に映る。勿論、今年の方が中距離志向の馬が多い影響も有るだろうが。道中は中段。2周目3角の件は、この馬にとっては多少ゴチャついた程度。トウカイトリックとは対照的にインを上がって来たが、昨年程の伸びは無かった。まあ、伸びていないといっても、昨年程度には走っているのだろう。今年の方がメンバーが強かったという事。

ファストタテヤマ

このメンバー、ディスタンス戦にしては珍しく、気配を表に出す馬が多いのだが、大人しい方の一頭。馬体の張り目立ち、今季は好調期間が長い。歩様も、トモの送りがもう一つに見えるのは何時も通りで、手先のバネが利いているのが良い。道中は後方2番手。外からジワジワ進出して、4角では圏内だったが、坂下で逆手前になってしまったし、そこ迄にもメジロトンキニーズとは伸びの差歴然。左回りはダメ。

ハイアーゲーム

遮眼革。-6kg。馬体絞れた。今季は元々悪くなかっただけに、これで文句無い状態となる筈だが、使い込んで多少歩様が落ち気味。この馬にしてはゲート良く、中段。多少行きたがっていたが、元々がそういう傾向の馬だし、マクりが頭に有って馬群の中という訳にも行かず、多少のロスは承知。戦前の報道通り、3角から動くパターンに持ち込んだが、坂下で先頭に立った迄。内田博幸騎手は陣営の指示通り乗っただけなのだろうが、右手前の方が良い馬が、何故左手前で走っている左回りのコーナーで動くのか? 最初の作戦が間違っている。

フサイチアウステル

2人曳き。判で押した様に前走の中山戦と同じ状態。従って、もう一皮剥けるにはトモにもう少し筋肉が付かないとという事になる。好発。誰も行かないなら自分がという選択肢も有っただろうが、シェイクマイハートが行く気を見せて譲る形。2番手でも折り合い付いた。多少早目に抜ける展開になったにせよ、それにしても直線は止まり過ぎ。イマドキ血統が距離適性に影響を及ぼす事は少ないとは思うのだが、父父Storm Catは素人でも判る短距離血統。最後は距離の壁かも。

オペラシチー

歩様も元々があの程度だし、前走の中山戦同様、デキ自体はそんなに悪い様には見えない。毛ヅヤが良くないのは確かだが。押してシェイクマイハートに乗る形で2番手。前に壁は無かったが、この馬にしては折り合っていた方。2周目3角手前でシェイクマイハートの脚が無く、しかもハイアーゲームがマクってと、苦しい展開になったのは確かだが、それにしても止まり過ぎ。近走、下見の気配程動けていない。

ルーベンスメモリー

遮眼革。2人曳き。メジロトンキニーズ同様、3400m向きの気配では無いかも知れないが、それを無視すれば好気配。馬体も充実。行こうと思えば行けたが、折り合いに専念して好位から。ハイアーゲームのマクりに連られた面は有るのだが、多少行きたがっていたのは他馬も似た様なモノ。隻眼の馬で、ラチを頼れなかったのは痛かっただろうが、それ以前にこの距離は長い。

シャドウビンテージ

-10kg。前走の中山戦を思えばこれでも大人しい方。毛ヅヤも良く、デキ抜群。中段やや後方。折り合いも付いたし、終始インで立ち回る策も目論見通りだっただろうが、追い出してからがサッパリ。今日は負け過ぎ。敗因不明。

シルクロードステークス(GⅢ)

タマモホットプレイ

毛ヅヤが抜群。多少トモが甘いのも何時も通り。道中は中段。3角では抑え切れない位 の手応えで、4角では前へ並び掛ける形。渡辺騎手、この時にそんな事は考えもしなかっただろうが、結果的にマイネルアルビオンに蓋が出来たのが大きかった。まあ、良馬場で期待通りに巻き返した形だが、昨秋マルカキセキには完敗していて、所詮はその程度。展開といっても、単純なペースや馬場状態云々だけ無く、細かい部分で勝ち負けが決まる如何にもハンデ戦らしい競馬。

マイネルアルビオン

-6kg。前走の中山戦を思えばマシだが、もう一絞り。今日はそれよりもテンション高過ぎる。向正面では外から行く気見せたアイルラヴァゲインに付き合っていたが、矯めて行った方が良いタイプで3角手前で引く形。ただ、結果的に外からタマモホットプレイに被されたのが最後の最後で響いた。直線入り口ではスムーズに捌いた様に見えるが、4角で勢いを付けられたし、外が伸びる馬場状態で、かなり利いている筈だ。今日は着差が着差だけに勿体無い。

アイルラヴァゲイン

チャカついていたのは然程気にならないが、気持ち余裕が有る造り。ただ、毛ヅヤが良い。ゲートは互角程度。ただ、ちょっとムキになっていたのか徐々に番手を上げて3角では既に3番手。待ち切れずに4角では前を捕まえに掛かったが、道中のロスの分、終いが甘くなった。マイルでこれならとは思うが、スプリントでこれだとこの先が辛い。

コパノフウジン

気配や造りは良い状態を維持しているが、歩様が落ちて来た。ギャラントアローとディープサマーに譲って3番手。流れには乗れたし、4角手応え充分のディープサマーに並び掛けて自分のパターンに持ち込んだが、直線向いてラスト200m位迄手前を替えず伸び切れない。手堅いが、詰めが甘い。

タイキジリオン

2人曳き。-10kg。絞れる。重心が低過ぎて不恰好に映るが、その割に手先が柔らかい。中段やや後方。3〜4角中間からタマモホットプレイの進出に乗って進出したが、直線半ば迄手前が替わらずモタついた1馬身分が、決勝線通過時にそのまま差になった。外有利の馬場だっただけに、次走人気になるなら...とは思うが、悪くない内容。

ディープサマー

オーストラリアンブリンカー。歩様は何時も通りで、集中力有った。ギャラントアローに行かせて2番手も、終始手応えに余裕。3角辺りではやったかと思った位の勢いだったが、直線向いて一気に外勢。ただ、そう大きく負けている訳では無く、今開催は外が良い分を考慮すれば上々の内容。歩様から道悪の方が良いと思っていたのだが、意外に良馬場向きなのか。

キーンランドスワン

今季は毛ヅヤが良く、歩様もスムーズ。馬体の張りに気合乗りも良く、非の打ち所が無い。道中は中段。オープンにしてはペースが遅く、行きたがっていた位だが、直線手前が替わらず伸び切れない。とはいえ、手前が替わらないのは回り問わない話で、意外さが有る。ただ、目下のデキは本物。揉まれ弱いという言い訳も有るので、この際、馬券になる迄追い掛けたい。

ギャラントアロー

+8kg。オーストラリアンブリンカー。今日は単純に重い。ただ、今季は歩様がスムーズ。近走通り、出脚良くハナへ。ただ、楽々単騎の前走とは違って、一枚重い分かディープサマーの方が行き振りが良く、その分道中楽をさせて貰えなかった。今日は仕方が無い。

共同通信杯(GⅢ)

アドマイヤムーン

2人曳き。馬に集中力が有ったし、皮膚を薄く見せてデキも抜群。ここに来て馬が見栄えする様になって来た。ゲート五分に出て中段。折り合いも付いた。直線向いてから進路だけ確保すべく外へ出したが、そこでも我慢させるだけ我慢させて追い出したのはラスト1F。デビュー当時は競馬が雑で、それを思えば成長著しいが、武豊騎手がこの策を採る時は自信が無い時。良い脚が長く続かないタイプかも。

フサイチリシャール

+12kg。2人曳き。明らかに余裕残し。もうちょっと気合が有ってもと思うのだが、この馬は最初からこんな感じ。好発。内のマイネルグロリアスに行かせ、向正面で引っ掛かったモエロタケショウにも行かせて3番手。ただ、道中は終始余裕の手応えで、直線向いた時には押し切れそうな感じだったが、最後は鋭さ負け。結果的には一枚重かった分とスロー過ぎたペースという事になるだろう。今日は相手の土俵へ自分から乗りに行った形。それが身に染みただけでも。

マッチレスバロー

スケールでどうかだが、スカッと見せて好気配。例に依ってゲートも悪かったが、出脚も無く後方。直線だけ一番外へ持ち出して良く伸びているが、アドマイヤムーンは追い出しを我慢した利が有り、フサイチリシャールは前へ行った利が有って、この馬が一番キツい競馬を強いられてしまった。今日はそれを思えば上出来。シンザン記念組なら楽勝級。フサイチジャンクとでもそれ程差は無いとは思うのだが、残念ながら骨折。

ショウナンタキオン

2人曳き。シープスキンノーズバンド。例に依ってトモが甘い。ゲートは出たが、出脚でやられ、行きたがってと競馬がチグハグ。4角から積極的に動いていったが、例に依って追ってからが甘い。それでも極端にやられた訳では無いが、一線級相手となるとトモの甘さがネックになる。

ブラックバースピン

寸の詰まった体型だが、トモはしっかりしているし、まずまず。道中は中段。内からモエロタケショウが行きたがっていた時にも連られず、中段から。外から早目進出のショウナンタキオンに併せて動いていったが、直線向いてからは決め手の差。現状オープンでは余程相手に恵まれないと。

小倉大賞典(GⅢ)

メジロマイヤー

-6kg。馬体絞れて今日は馬に集中力。今季は最初からデキが良かったのだが、更に良くなっていた。好発。出脚だけなら、ビッグプラネットの方が良かった位だが、そこは1角迄距離の無い小倉1800m。枠の利で上手い事1角へ逃げ込んだ。道中スローに落としてずっと単騎、ビッグプラネットの手応えが4角で無くなっていたのもこの馬には向いたが、陰のファインプレーは川田騎手が完璧にラチピッタリを走らせていた事。まあ、勝負服を間違えたのはご愛嬌としても、これで外の馬のプレッシャーがかなり軽減されていた。若手でこれが出来る騎手は意外に居ない。

エイシンドーバー

スカッと見せていたし、前走の京都戦同様にデキは良い。ただ、今日は少しチャカつき気味。行きたい馬に行かせて、ジワッと先行。向正面で上手く内に入れたが、結果的に4角前が壁になって仕掛けが遅れてしまった。とはいえ、イン有利な馬場状態だけに、外を回っていては2着も無かった訳で、乗り役は責められない。今日は展開のアヤ。

メイショウカイドウ

多少重いだろうが、毛ヅヤ良かったし、デキ自体は上々。中段やや後方。ソロッと出して、馬群を捌きながら外へ。多少掛かるとか、4角の反応が悪いというのは何時もの事で、今日はペースが合わなかった印象。59kgでも回避しないだろうと、ハンデキャッパーに足許見られたし、今日は仕方が無いが、この後佐賀の交流戦に行くという話も。確かに小倉が使うところが無くなって来ただけに、これも一つの手か。

アサカディフィート

この馬にしては歩様も良い方。集中力有ったし、今季はずっとデキが良い。8枠2頭がゲート速かっただけに、余計にそう見えるのだが、3馬身近い出遅れ。ただまあ、乗り役も手馴れたモノで、慌てず直線迄待ってから外へ。毎回述べている様に、常に使えている脚は一緒で、前が止まるかどうかで着順が違うだけ。今日も悪くない内容。

トップガンジョー

+12kg。多少重い程度。この中間は小倉に入厩しての調整で、落ち着いていたのは良い傾向。出脚は有る筈だが、無理しなかったのか1角では後方に近い位置取り。ただ、何処かで接触したそうで、そこから思い切り行きたがってしまった。結果的には、4角でマクりの形にはなったのだが、直線向いた時には既に脚が無く、今日は止むを得ない敗戦。

マイネソーサリス

毛ヅヤは冴えないが、造りはしっかり。ゲートアオる。これもメイショウカイドウの様に、捌きながら外を狙う策。向正面では既にメイショウカイドウの直後に居た。4角で手応えの悪いメイショウカイドウをマクり切った時には一瞬コレというシーンも有ったが、流石に強引過ぎただろう。直線、止まり過ぎにも見えるが、元々良い脚が一瞬しか無い馬だし、スローで一番速いところを一番外から動いているだけに、使わされた脚も相当。充分及第点をやれる。

ツルマルヨカニセ

非力な歩様が直って来ず、気配もパッとしない。張りや毛ヅヤもイマイチ。好発。中段やや後方のイン。直線もそのままインを突いたが、手前も替えなかったし、案外の内容。多少行きたがっていた分を差し引いても、インを立ち回った利が有るだけに案外の伸び。現状デキが無い。

ビッグプラネット

-4kg。前走の京都戦でもまだ少し余裕が有っただけに、良い傾向。気合も乗って下見だけならコレ。好発、出脚も良かったが、如何せん枠が遠過ぎて2番手から。とは言っても、折り合いは付いたし、逃げたメジロマイヤー自身が逃げ切っている位だからペースが速い筈も無いのだが、4角では既に手応えが怪しかった。不甲斐無い内容で、距離が長いのだろう。

ローマンエンパイア

稀に歩様の怪しい時が有るが、今日はスムーズ。馬体も悪くない。逃げたメジロマイヤーが直ぐ内に居て、これに乗るべくスタート直後は結構押していたのだが、外の馬に来られて結局は後方に近い位置取り。4角も一番外へ回されたし、今日は競馬がチグハグ。次走注目。

京都牝馬ステークス(GⅢ)

マイネサマンサ

歩様が頼りないのは何時も通り。ただ、造りは意外な程しっかりしていたし、前走の阪神戦同様馬に集中力。戦前は控える競馬をとの指示が有ったそうで、内の様子を窺っていたが、例に依ってゲートと出脚が抜群過ぎた為、腹を括ってハナへ。毎回、折り合い面が課題の馬で、京都向きの決め手という点でもどうかと思ったのだが、ハナ行って意外に折り合えてしまい、全部関係無くなってしまった。上手く行く時は得てしてこういうモノ。

チアフルスマイル

前走同様に馬体締まってキッチリ仕上げられた。中段やや後方。京都とはいえ、内枠で捌き損ねるシーンを案じていたのだが、4角上手く外へ出してここ迄。乗り役も上手く乗ったが、ヤマニンシュクルを交わしているのだから立派。前走、牡馬相手に好走したのは伊達では無かった。

メイショウオスカル

トモが甘い歩様は何時も通りだが、造り自体はそれなりに良くなっていた。好位の外に居たが、掛かり気味なのは毎度。直線は最後迄手前を替えなかった割に、最後迄良く伸びていて、今更ながら京都は走る。とはいえ、発揮したパフォーマンスは昨年とほぼ同様。今年は昨年台頭の飛び道具が不発に終わった分の3着で、程度は知れているが。

ヤマニンシュクル

2人曳き。テンション高いのはそれ程気にならないが、まだこの造りでは重く見せる。デキは良い筈だが。ゲートも良かったのだが、道中は中段。もっと追走に苦労するかと思ったのだが、スローも有るとはいえ、むしろ掛かり気味でこれも他馬と条件は一緒。それだけに追ってからが不甲斐無い。絞れないとこの馬本来の決め手が出せないのだろうが、なまじデキが良いだけに、削り難いか。

ディアデラノビア

2人曳き。-6kg。毛ヅヤももう一つだったし、イラつき気味。歩様もダメと良いところが無い。後方のインで掛かり気味。4角一番外へ回してここ迄。伸びていない訳ではないが、この馬本来の伸びでは無かった。下見は角居調教師自らが曳いていて、関係者は気合入っていた様だが、とにかくデキが戻らない事には。

レクレドール

見栄えしないのは仕方が無いだろうが、近走歩様が良くなっていただけに、それが無くなったのは痛い。珍しく好発も、無理せず中段から。終始外を回された分も有るのだが、それにしても伸びなかった。毎回述べている様に、勝てる展開の幅が狭く、中々普通の競馬では勝てない馬なのだが、近走この点がマシになっていただけに、案外の内容。デキが落ち気味。

根岸ステークス(GⅢ)

リミットレスビッド

シープスキンノーズバンド。前走の中山戦より今日の方が相手強化された分、下見の印象も埋もれてしまったが、この馬なりに良い状態。内枠の馬が殆ど行ってくれて中段のインで絶好の展開。シルヴァーゼットが無理やり前に行ってくれたのも大きかった。内でもがく先行馬の外へ出し、今日は勝って下さいの競馬。勿論、決め手が有るからこれが出来るのだが、ただこの馬、昨冬の京都で先行して失敗した様に、脚の使いどころが難しい。距離が延びれば延びるだけ、その危険は高くなる。

タイキエニグマ

オーストラリアンブリンカー。2人曳き。芦毛だが、毛ヅヤが抜群に良い。以前悪かった歩様も良くなってきたし、芦毛なのにメリハリ利いた造り。余程デキが良いのだろう。出負けして後方で馬群の中。直線だけ外へ出し、良く伸びてここ迄。1800mでも走れる馬が、1400mでこの決め手。マイルが悪い訳は無く、次走は当然狙い目。

トウショウギア

2人曳き。+10kg。気持ち重い様な気もするのだが、毛ヅヤ悪くなかったし、デキ自体は上々。今日は最初から行く気が無かったのだと思うが、無理せず好位から。頭を上げて行きたがっていたが、今日の展開ならこれで正解。排気量が多過ぎて、決め手の有る馬にやられる形になったが、悪くない内容。ただ、左回り限定の馬。賞金上積み出来なかったのは痛い。

サンライズバッカス

例に依って馬体は充実。煩いのも前走程度に収まっていて、一応は許容範囲。出負けして後方から。2100mの後だが、ちょっと頭上げ加減になる程の行き振りだったし、流れが流れでこれでも来れる展開だったが、インを突いたら前が詰まり通し。今日はこの不利が全て。これも次走狙い目。

シルヴァーゼット

これもタイキエニグマ同様、芦毛なのに毛ヅヤが良い。ちょっと煩いのは前走の中山戦同様。コーナーで外振られるのを嫌ってか、2番手取りに行ったが、結果的にハイペースを誘発してしまった形。ただ、それだけ前半ロスが有りながら、この差なら及第点は充分やれる。前走時にも述べたが、並んでからが渋太い。

ニシノコンサフォス

2人曳き。-6kg。まだ緩い様に見えるし、今日は歩様が頼りない。好位で流れに乗る形。ゲートはアグネスジェダイの方が良く、2番枠で何が何でもの構えで行ったが、出脚だけならこちらの方が遥かに余裕が有った。例に依って直線向いても中々手前が替わらないだけに、詰めが甘くなるのだが、それを除けば割と好内容。あまり地方遠征へ行かない厩舎&馬主だが、直線の短い地方なら化けそう。

メイショウボーラー

下見はほぼ完調。気合も乗っていた。縦の比較で文句無いデキと迄はどうかだが、過不足無い状態なのは確か。行きたい馬に行かせて好位で様子を見ながらの追走。ただ、直線向いても一瞬反応しただけで、伸びもせずバテもせずで終わってしまった。59kgも応えたし、今日は競馬にメリハリが無かったのも確か。一応、今日は言い訳の利く範囲。

ニホンピロサート

毛ヅヤ抜群で、馬体に張り。完全復活と言いたいところだが、気負っている分を差し引いても歩様が怪しい様にも映る。道中は中段。勝ち馬と前後する位置だから絶好の展開だった筈だが、4角で既に手応えが怪しい。とにかく揉まれ弱い。外枠引かない事にはダメ。

東京新聞杯(GⅢ)

フジサイレンス

2人曳き。近走同様のデキだが、気配を表に出すのも何時も通りだし、元々のデキが良かった。好発も、例に依って後方から。ずっと馬群の中で我慢させて、直線だけ外へ。ラスト200m迄手前を替えずに走っていたが、替えてからの伸びは強烈。前走の中山戦が象徴的だった様に、脚の使いどころが難しいタイプで、今日は江田照男騎手が上手く乗ったという事になるのだが、それよりも今開催の東京がイン一辺倒では無い事を覚えておきたい。

オレハマッテルゼ

気配自体は戻って来たが、まだ馬体に余裕が有る。好発。内の数頭が主張し、これ見ながら好位で流れに乗る形。従って、前走の京都戦とはレース内容に差は無いのだが、4角並び掛けた時の手応えが前走とは別モノ。抜け切るとソラを遣うそうで、どうしても飛び道具には弱いのだが、一応は納得の内容。

インセンティブガイ

2人曳き。多少気負い気味だが、これは何時も通り。毛ヅヤ良く、デキは上々。ゲート良かったが、外の馬を待って好位。内枠でそれなりに乗れたにせよ、折り合い面は相変わらず悲惨だが、それでもここ迄来たのだから下見の通りにデキが良い。何とかこのデキが有る内に結果に繋げたいところだが。

アルビレオ

前走の京都戦もそうだった様に、造りは悪くないが、歩様が硬い。押して好位のイン。ゲートが悪かったのを無理に取りに行った分は有るのだが、それ以上に展開利有った筈で、それだけにこの内容は案外と言えるモノ。デキが無いのは前走同様で、それでも走っていたのが前走。インが利かない馬場状態に敗因を求める外無いだろう。

ペニーホイッスル

毛ヅヤはこの時期の牝馬という事になるのだろうが、馬自体はここでも意外に差が無い。戦前はこの馬がハナへという予想も有ったが、距離を嫌って控える策。ただ、折り合いに専念するあまり、位置取り悪くなったが、枠の利でコーナーを上手く立ち回ってここ迄。札幌での成功体験から先行させる競馬がベストの様に思われているが、恐らくは短距離の差し馬。

キングストレイル

前走よりはマシになっているが、それでもまだ重い。出負けして中段やや後方。インが利かない馬場状態とはいえ、コースロス無く乗られたのは確かだし、似た様な競馬のペニーホイッスルに差されたのだから情けない。まずは馬体が絞れない事には。

マイネルレコルト

気配だけなら大分戻って来た様に見えるが、トモに力が無い分、姿勢が高い。鍛え方の問題。少し出して好位へ。少し行きたがっていて、デキも無いのだが、出して行ったのも良くなかった印象。最後は伸びずバテずで終わってしまった。従って、今日は言い訳有るが、まずはデキが戻らない事には。

キネティクス

毛ヅヤピカピカ。デキ良い筈だが、ちょっと今日はテンション高目。ゲート悪くなったが、外枠でも有り、無理せず後方から。ただ、結果的には終始外を回されてしまったし、直線手前も替わらず、馬が途中で諦めてしまった印象。今日は仕方が無い。