Sakura Archives

競馬回顧 2006年6回京都・5回東京

ジャパンカップ(GⅠ)

ディープインパクト

2人曳き。前走仏国戦は張りが無い様に見えたが、今日は馬を大きく見せる。一応は及第点。ただ、手先は軽いのだが、トモの送りがどうか。例に依って最後方から。道中、一つ間違うとブッ飛んで行きそうな感じも有るのだが、この辺りは乗り役も慣れたモノ。何時も通りに一番外へ回して直線勝負。一応圧勝は圧勝なのだが、伸びが何時も程では無かった気も。今季は状態面本当では無いとは思うのだが、ハーツクライが居なくなった今、他馬とは力が違い過ぎるし、実戦での消耗が少ないのが今年の特徴。無論、中山は確実に向かないが、相手関係が相手関係。

ドリームパスポート

小さく纏まっているが、前走京都戦の方が雰囲気有った。出脚はフサイチパンドラだったが、馬群の切れ目を探してインへ潜りに行く策。道中もずっと内。直線向いて、コスモバルクが外へヨレたところも上手く捌いて抜けて来たが、外にディープインパクト。それでも充分に力は見せ付けた。以前より折り合いが付く様になって、乗り易さが来たのが大きい。ただ、コスモバルクが内へ戻って来た時に逆手前になってしまった。完歩の小さい歩様で、切れる代わりに末脚の持続性に課題が有るタイプ。本質はマイラー。ここに来てデキが落ち加減なのも気掛かり。

ウィジャボード

2人曳き。この時期の牝馬にしては毛ヅヤが良い。馬の造りも悪くなく、昨年以上。昨年、早目に動いて失速した分も有るのか、最初から行く気無く後方から。3〜4角中間で、ディープインパクトにマクられて、ユキノサンロイヤルが壁になり、1F程動けなかったのが痛い。まあ、そこが速いのがディープインパクト最大の武器と言えばそれ迄だが、最後は良く詰めていて、デットーリ騎手の言う「世界最強牝馬」の称号は間違っていないだろう。一応、ドリームパスポートとは五分かそれ以上。全盛期のスイープトウショウとでも差は無い能力有る。

コスモバルク

2人曳き。+10kg。気配を表に出しながら、ギリギリ堪えている辺りに好感。ただ、今日は重い。元々出脚の有る馬だが、今日は最初からの作戦でハナへ。上手くペースを落として、折り合いも付いた。直線もこの馬なりには頑張っていて、あとは相手関係だろう。ただそれよりも、毎回の様に右へ左へヨレて審議対象になっているのがどうか。馬の癖が有るにしても、ずっと同じ騎手が乗っている以上、少なくとも他馬に迷惑を掛けない程度の競馬を。

フサイチパンドラ

以前は見た目に頼りなかったが、造りが充実して来た。歩様面も、以前を思えばそれなりにマシに。出脚利かせて好位。勿論、力量差有るが、折り合っていたし、最後迄競馬を投げなかったのは評価して良いだろう。今日の反動は一応案ずるが、前走京都戦の際にも述べた様に、完全に本格化した。

メイショウサムソン

2人曳き。-4kg。まだ重いが、少しでも絞れたのは良い傾向。毛ヅヤも良く、デキ自体も悪くない筈。出脚良い馬だが、折り合い面も有り、無理に出さすに中段。道中、一生懸命過ぎる様にも見えたが、一応は折り合えた方だろう。直線向いて、内にモタれ気味。その割に、伸びもそれ程では無かった。元々、出脚と器用さで勝負するタイプの馬。2冠馬だが、何れも内を立ち回った利が大きく、外を回れば良くも悪くもこの程度。

ハーツクライ

造りは文句無し。ただ、昨年は歩様面もう少しマシだった。出脚が来て、好位のイン。4角の捌きを失敗して、中途半端に外回す形になったが、そんな事は無関係に直線はサッパリ。戦前は陣営自ら不安説を流すという珍しい状況だったが、ファンはそれでも使う以上は走れると思うのが自然だろう。これで引退だそうだが、興行面思うと頂けない敗戦。

京阪杯(GⅢ)

アンバージャック

+8kg。今日に関しては重いが、馬はここでも上位。歩様が硬く、出脚は平凡だったが、コパノフウジンが行き切ってくれた事も有って、好位のイン。4角もスムーズに捌いてコパノフウジンを差し切った。今日はコパノフウジンのお陰で前で闘えたのが大きい。前走内容から圏内の1頭では有ったが、能力最上位と迄は言えない。

コパノフウジン

気合乗っていて、少なくとも悪くは無い。ただ、見た目と能力が直結し易いスプリント戦で、この見栄え...。出脚は外の馬の方が多少良かったが、フサイチホクトセイ以外は引く形。ただ、このフサイチホクトセイの競馬が中途半端で、結局2頭で隊列決まらぬまま直線迄並んで行ってしまった。最後はアンバージャックに差されたが、流れに乗れていない上、早目に抜け切る展開になってしまった事を思えば、良く踏ん張っている。今日はしっかり手前も替えていて、今春よりは少し強くなった。

タマモホットプレイ

この馬にしては歩様が伸びていたし、張りも有って、デキは良さそう。例に依って出脚がそこ迄では無いのと、コパノフウジンの外で出脚の良かった馬があまり行く気が無く、結局は枠なりのまま4角へ。最内からは10頭分程外を回されていて、内回りでこうなるとキツい。イースターの前をカットして審議対象になっていたが、それ位一生懸命に走っていて、良く追い込んでいる方だろう。今日は一番強い競馬。

リミットレスビッド

+11kg。見た目は悪くないが、今年は馬体重の変動が激し過ぎる。好発。出脚も悪くなさそうだったが、控える競馬が頭にあったのか、無理に引っ張って道中はスムーズさを欠いた。ただ、4角回ってアンバージャックと同じ位置に出て来た訳で、道中のロスの差を差し引いても、着差が大き過ぎる。基本的に芝では二流。

ツルガオカハヤテ

物見しているのか、姿勢が高いのと、歩様に伸びが欲しい。ただ、毛ヅヤや張りが良く、使い込んでいる割にデキは良い。出脚悪くなく、道中はずっとアンバージャックに併せる形。スムーズさ欠く馬が多い中、この馬は距離損無くスムーズに行けた方だろう。ただ、それで居てアンバージャックに突き放されたのだから不満が残る。リミットレスビッドが二流なら、こちらは三流。

タガノバスティーユ

-4kg。相変わらず太く見せる。スプリント戦という事を思うと、気配も欲しい。ゲートは出ているが、例に依って出脚が無くて後方から。仕方無しにインを突いた形だが、4角ポッカリ開いて、しかも団子の展開。次善策としては悪くなかった筈だが、意外に伸びない。坂が無いと差し込み切れないか。

イースター

2人曳き。気合乗りは上々。ただ、相手がスプリントの馬という分も有るが、馬が寂しい。出脚は有る筈だが、折り合い面頭に有るのか、出して行かずに後方から。外へ回さず、捌く競馬を試みたが、スムーズだったとは言い難い。タマモホットプレイに前をカットされる不利は有ったが、その時には既に競馬が終わっていた。今日は力を出し切っていない。参考外。

ジャパンカップダート(GⅠ)

アロンダイト

2人曳き。+8kg。多少重い気もしないでも無いが、とにかく絶好調。気配も抜群。今日はゲート五分。ここへ入ると出脚で差が有るが、内の馬が有る程度入ってくれた事も有って中段のイン。ずっとシーキングザダイヤを見ながら競馬が出来た。直ぐ前に居たヴァーミリアンと、横に居たシーキングザダイヤが外へ行った事を確認して直線最内へ。上手く前も開き、直線坂上でシーキングザダイヤとの一騎打ちを競り落とした。出脚の差は、オープンでも特に良い馬が揃っていただけに、止むを得ぬ部分も有るが、東京2100mがベストなのは間違い無いだろう。次走、何処へ行っても危険。

シーキングザダイヤ

トモの送りが硬い。馬の造りそのものは悪いとは思わないが、良い時は普通にもっと良く見せる馬。出脚抜群。一瞬、フサイチリシャールを脅しておいて、中段の外。ずっと良い位置で競馬が出来た。切れる脚が無いので早目に動く策も予定通り。1番人気の馬としては最高の競馬をしているが、内から抜けて来たアロンダイトがに競り負ける形。武豊騎手は、メイショウバトラーが4角インを空けた事について憤慨していたが、この馬が外へ行って意識がそちらへ行った面も有ろう。ただ、状態面万全では無い事を思えば良く走っている。中央GⅠでは決め手不足に無くシーンも考えられるが、チャンスは続く。

フィールドルージュ

2人曳き。+8kg。もう少し歩様が伸びて欲しいが、生涯最高の状態。ただ、デキが良過ぎる為か、気負い過ぎなのと、些か重い。出負けして後方。尤も、大外枠でも有り、出脚も無いので、何れにしても後方からとなっただろうが。道中は無理に外へ回さず、直線だけ外へ。今日は比較的ペースが遅かったのも有って届かなかったが、力は充分に示した。ただそうは言っても、東京2100mで不器用さ全開の競馬。砂を被っても苦にしないだけに、インを突けないという訳では無いが、出脚はやはり欲しい。

ヴァーミリアン

+8kg。数字的には戻った形だが、休み明けを差し引いても張りが無いのがどうか。歩様のスムーズさは目に付いたが。最内枠で、良い位置取ろうとして出した分、前半は掛かり気味。ただ、向正面では既にスムーズ。4角何処を割ろうか迷った時に、アロンダイトに入られて、坂下迄ゴチャついたのが痛かった。あれが無ければ3着どころか、アロンダイトが消えて、2着も有っただろう。下見の感じはそうでも無かったが、今日は悪くない内容。今春の中京戦が不可解な負け方だったが、今なら大丈夫だろう。

サンライズバッカス

+6kg。今日は数字通りの造り。毛ヅヤが良くて、デキ自体は良い。ただ、多少寸の詰まった造りで、基本はマイラー。出負け。道中は最後方。砂を被って嫌気を出していた。直線入り口で、フィールドルージュと接触したのはお互い様だが、フィールドルージュが上手く立ち回った分、前が開かずに一回立て直すロスが有ったのが痛かった。この馬に関しては、距離が長いと思っているのだが、4着でも今日は競馬になっていないので、判定不能。ただそれよりも、道中集中して走っていない様に見えたのが一番気掛かり。

ブルーコンコルド

力強いといえばそうだが、歩様に硬さ。以前は、フサイチコンコルド産駒らしい胴長でスカッとした造りだったが、最近は結構パワフル。1年前とはかなり馬が変わって来た。ゲートも出脚も速い筈だが、内枠に先行馬が揃っていた事も有って、最初からインへ潜りに行く策。多少行きたがっていたが、この距離でペースを考慮すれば、上手く行った方ろう。ただ幸騎手、今日は4角の捌きを失敗。外へ出そうとして横に壁、前も壁と踏んだり蹴ったりで終わってしまった。幸騎手の進言で、ここへ使ったそうだが、中途半端に誤魔化しに行って失敗した印象。無論、だからといって、外回って勝てる訳では無いので、仕方が無いのだが...。

メイショウバトラー

中央戦の方が落ち着いている。馬体も変わらずシャープ。出脚はフサイチリシャールの方が速く、あまり行く気が無かった様だが、そのフサイチリシャールも控えてしまった為、押し出される様にハナへ。スロー過ぎた分、決め手の差が出た嫌いも有るが、東京2100mならこんなモノだろう。もう一つ言えば、最近、馬体重の変動が激しいので、状態面が見た目程では無い。

フサイチリシャール

2人曳き。歩様に伸びが無いのは元々。硬さが無ければ上出来。ただ、ここへ入ると、トモの造りで差が有る。例に依って出脚は現役トップクラスだが、シーキングザダイヤの挑発も有って、道中は掛かり加減。直線向いても、今日はサッパリだった。距離が長いのと、単純に弱い。

マイルチャンピオンシップ(GⅠ)

ダイワメジャー

何時も通り2人で曳いてもう1人。パシュファイヤー。歩様が硬いのも何時も通りだが、馬が抜群なのも相変わらず。この相手なら出脚は上位。戦前予想された通りに、ステキシンスケクンを行かせて、これを大名マークの形。坂下では抑え切れない手応えで、4角でステキシンスケクンを見切り、昨年の様な飛び道具を警戒して直線は外へ。マイネルスケルツィ、キンシャサノキセキ、そしてダンスインザムードが影を踏ませて貰っているが、それらが来ても来ただけ伸びて圧勝。ただ、あれだけ外へ出さなければならないところを見ると、飛び道具には弱いのだろう。今日に関していえば、ノド鳴りの馬で、湿気の有る天候、そして差せない馬場も良かった。外から被される展開にも課題が有り、注文は多いのだが、現状力が抜けている分、他馬が潰しに来ないのがこの馬に良い方に向いている。

ダンスインザムード

例に依って歩様が硬い。しっかり数字通りに造って有るが。ステキシンスケクンに叩かれる展開が見えていただけに、どう乗るかがポイントだったが、最初から無理せず中段やや後方で待機。道中も、真っ向勝負は避けてインを立ち回り、直線だけ馬場の良い外へ。上手く乗ったが、直線半ばでダイワメジャーに追い付いたところで脚色が一緒になってしまった。相手は先行馬なのに、あれだけ外へ出す余裕が有った訳で、着差以上に力量差が有った。毎回述べている様に、馬自体が2000mベストという事も有るのだが、前走で2000mでも差が露呈。微妙に衰えが来ている。

シンボリグラン

芦毛でしかも降雨と判断難しいのだが、毛ヅヤが無い様に見える。ただ、馬の造りや形は悪くない。時々出遅れる馬だが、今日はゲート五分。道中は中段。行きたがってはいたが、外の馬が何頭か行って、これを壁にする形。ただ、4角手前では馬群の切れ目を狙って、早目の競馬。直線は、伸びていない訳では無いが、それよりも後続が差せなかった印象。こういう馬場が上手いのと、早目に動く競馬も合っていた。距離は、折り合い面難しいだけに短い方が良いだろうが、それよりも相手関係でスプリントを走っていた気も。

マイネルスケルツィ

最近、馬がナーバスになっている嫌いも有ったのだが、今日はノンビリと。出脚はダイワメジャー以上だったが、無理せずマークの形。ずっと付いて回って、差せない馬場の先行の利で粘り込んだ印象。一時期よりはデキもマシになっているが、それでもまだ本当では無いだろう。暫く見送り。

キンシャサノキセキ

2人曳き。多少トモが甘いが、南半球産は無関係で、単にこの馬自身の問題。好発。控えようとはしていたが、結局引っ掛かって好位へ取り付く形。ただ、直線一瞬はダイワメジャーに並び掛かっていて、今日の差せない馬場ならもう少し踏ん張っていて欲しかったところ。トモが甘いだけに、こういう馬場は良くないのだろう。勿論、折り合いの問題も有るが、トモの甘さから来るパワー不足が現状の天井に。

コートマスターピース

2人曳き。スカッとした造り。皮膚を薄く見せ、デキ自体は万全。ただ、歩様が硬い。出遅れて後方。荒れ馬場で比較的バラけた分、4角中段迄持って来れたが、今日の馬場ではそれでもキツかった。しかし、終いの伸びは悪くなかった。欧州のマイル戦はスローになり易く、それ故に出脚やゲートの要素が比較的少ないのが日本競馬と違う部分だが、一応は力量見せた一戦。少なくともハットトリックやダンスインザムードとは五分の馬。

ハットトリック

+10kg。歩様には硬さが有ったが、今日は究極の仕上げ。攻め強化の効果有った様で、気配抜群だったが、今日はこれが裏目。ゲートで気負ってしまい出遅れて後方。しかも、勝負どころでズブさを出してしまい、直線向いても最後方。今日はこれでも良く捌いている方だ。まあ、ズブさ故に中々力が出し切れず、もどかしさも感じるが、ツキも無かった。

スーパーホーネット

2人曳き。前を歩くコートマスターピースとはスケールで差が有るが、トモの張りが良く、中1週続きでもむしろ充実。歩様も落ちて来ない。ゲートアオったが、各馬が荒れ馬場嫌ってラチ沿い避けた分、前が開いていて3角では中段へ。4角もそのままインを突いて、上手く乗っているが、今の京都は内が伸びない分とこの馬自身の馬場適性の分だろう。昨年でも、ダイアモンドヘッドにすら先着出来なかった訳で、渋い馬場は良くない。

マルカシェンク

2人曳き。前走時にも述べたが、まだ頼りなさは有る。出脚で置かれて後方から。4角でも後方だったが、もう少し伸びて欲しかった。この中間、妙に攻め馬軽かったが、まだ使い込めるだけの体力が無いのかも。

東京スポーツ杯2歳ステークス(GⅢ)

フサイチホウオー

2人曳き。シープスキンノーズバンド。ここへ入っても違う存在だが、頭が高いのと、もう少し張りが欲しい。出脚で好位の外も、乗り役に宥められながらの追走。終始、手応え良く競馬が出来たが、コーナーを右手前で回って、坂下で左手前に。今日は遊びながら走っていて、相手が来たので少し本気を出したといったところ。無茶苦茶性能高いが、手前の替え方が雑で、コーナリングには課題が残る。次走新装阪神はともかく、中山へ来た時がこの馬の正念場。

フライングアップル

一応は及第点だが、全体に重い様に映る。手先は軽いのだが、もう少し歩様に伸びが欲しい。出脚は五分だったが、枠を考慮して無理せず、中段の外。ただ、外枠の分が有ったにせよ、スムーズに折り合えたのは収穫。ただ、直線中々手前が替わらなかった分を差し引いても、フサイチホウオーとは器の差が有りそう。追っての渋太さが有るのは良いが、追い出して頭が上がっていて、距離にも限界が有りそう。

ドリームジャーニー

2人曳き。数字の割には大きく見せていて、毛ヅヤが良く、デキは抜群。ただ、結構チャカついていた。出負けも、引っ掛かって中段のインへ取り付く形。そのままずっとインを立ち回って、直線上手くスクッたが、最後はフサイチホウオーにネジ伏せられた。今の東京ならこの競馬でも然程有利とは言えず、前半のロスが痛いという事になるのだが、この気性が無いと、この馬格では走れない。スケールの問題は仕方が無いのだが、好調期間短いタイプ。

トーセンクラウン

2人曳き。歩様はスムーズだが、細い。引っ掛かってハナへ。スローで上がりが速いというのも有るが、今日の競馬で大きく負けていないのだから評価して良い。ただ、競馬を使う毎にテンションが上がっているのと、馬体細化傾向は気掛かり。

ニシノコンドコソ

+10kg。多少余裕残しだが、造りは雄大。歩様にバネが利いているのも良い。ゲートは出ているが、出脚が無くて後方から。スローで馬群が固まってしまい、動くに動けず直線も仕方無しにインを突く形。まあ、伸びていない訳では無いが、飛距離は長くとも回転が鈍いので、こういう上がりの競馬には対応出来ない。出脚が欲しい。

エリザベス女王杯(GⅠ)

フサイチパンドラ

2人曳き。+6kg。前走時でも馬は良かったが、毛ヅヤが来た。出脚利かせて中段の外。3〜4角中間は、早目に動いたというよりは、前がバテて自然と好位取り付く形。内から来たカワカミプリンセスとは末脚差が有ったが、スイープトウショウの追撃は振り切った。前述した様に、状態面上向いて来たのが大きい。競馬を投げなくなったし、漸くにして本格化。牡馬相手ならともかく、限定戦なら晩生で息の長い活躍が期待出来そう。

スイープトウショウ

+6kg。張りが無いのは今季最初からだが、覇気が無い。ゲートは五分に出たが、出脚の有る馬が行ったのと、1角迄に外へ出したら、丁度目の前がカワカミプリンセスで、これをマークする形。ずっと折り合い付いて、道中悪くなかったし、直線一番外へ出すのも、前日の雨の影響を考慮すれば当然だろうが、追ってからが案外。デキの無い牝馬がGⅠで3位入線出来るだから今更ながら底力は凄まじいが、とはいえ絶好調なら普通に突き抜けていても不思議は無い。過去の好走例が何れもスローで、その方が良いのは確かだろうが、3歳馬に引導渡された形。

ディアデラノビア

テンション高いのは何時もの事。毛ヅヤは怪しくなって来たが、馬体は充実。出脚でウイングレットに叩かれたが、馬群の切れ目へ潜り込んで中段のイン。折り合いは付いた。渋化馬場嫌って外へ持ち出す馬が多い中、ずっとインに居て一瞬の脚を生かす策。上手く乗って一旦は先頭迄有ったが、最後に外から3頭。元々末脚の持続性に難の有る馬だが、渋化馬場と距離で、余計に脆さがクローズアップされた印象。

アサヒライジング

2人曳き。多少チャカつく素振りも有ったが、充分許容範囲。歩様面悪くなく、トモの張りも上々。増減こそ無いが、叩いて締まって来た。好発も、出たなりに乗って離れた好位。早目に外へ出して、4角先頭。直線も外へ持ち出したが、競馬が正攻法過ぎた。渋化残る馬場で、結局はこれがベストチョイスなのだが、カワカミプリンセスはともかく、勝ち馬とは接戦。この相手で真っ向勝負の馬では無いのは皆が解っている事で、もう一工夫が欲しかった。

アドマイヤキッス

独特の伸びる歩様。前走同様に毛ヅヤが良く、デキは抜群。出脚は甘い馬だが、出して行ってアサヒライジングと前後する位置。ディアデラノビア同様に、インに拘ってイチかバチかの策。乗り易さ活かして上手く乗ってはいるが、一時の東京の様な外差しの利かない馬場ならともかく、今日の馬場と流れでは底力の差が出てしまう。乗り役も納得の敗戦だろう。

サンレイジャスパー

+6kg。更に馬体充実。歩様の硬さは有るが、目下絶好調。ゲートを上へ出てしまい出負け。最後方からとなったが、丁度スイープトウショウが目の前に居て、これをマークする様な格好に。そのスイープトウショウが2着に来ているのだから、位置取りとしてはこれでも良かった筈だが、追っての伸びで差が有った。今日は負け過ぎ。前走東京戦で55kgをこなしたのは収穫だと思ったが、そこからの1kgが応えたかも。

カワカミプリンセス

2人曳き。毛ヅヤ抜群。馬の造りも、メンバー中抜けてNo.1。出脚は有る筈だが、大外枠でも有り、むしろ行きたがるのを宥める様にして中段やや後方。ただ、前走同様、4角での反応が異様な迄に悪くて、その分フサイチパンドラの外を回す余裕が無く、しかも元々直線手前替えるのが下手。モタれてヤマニンシュクルをカットする形に。デキも馬も見た目には良いのだが、何かが弱いのだろう。ヒシマサルⅡを彷彿とさせる馬。ただ、この手の馬は切れる時が早い。それ迄に普通の競馬が出来る様にしておかないと、後で苦しくなるが...。

シェルズレイ

2人曳き。例に依って下見だけ口籠とパシュファイヤー。前走時と変わらず、落ち着いていたが、欲言えば馬を大きく見せて欲しい。もっとユッタリ行かせたかった筈だが、何故か同厩舎ライラプスが一瞬競り掛けて来て、馬がその気になって1000m通過が57.4秒。単騎は単騎だが、流石にこれでは厳しい。まあ、あの程度で行ってしまう馬も悪いのだが、防げた事象だけに。

京王杯2歳ステークス(GⅡ)

マイネルレーニア

-8kg。その割には全体にモッサリした造り。ただ、歩様に柔らか味が出て来た。好位の外。出脚とゲートが速かったサープラスシンガーがあまり行く気を見せず、首だけ突っ込む形。4角で逃げたシベリアンクラシカに並び掛け、これを競り落として、そのまま押し切った。人気馬が揃って出遅れ、ペースが上がらず、シベリアンクラシカが馬場のど真ん中へ出て来たのも後続に差せなくするという点で良かっただろう。今日は判定不能というのが正直なところ。

マイネルフォーグ

もうちょっと歩様が伸びて欲しい。馬もそこ迄では無いが、毛ヅヤは良く、デキ自体は良い筈。好発。3角辺り迄は前を追い掛けそうになっていたが、一旦引いて離れた4番手。直線迄待ってから追い出し、坂下でバテたサープラスシンガーとマイネルレーニアの間から追撃したが、ラスト200mで逆手前で一旦モタついた分、差し切れなかった。この馬の勝ち負けだけを思えば、もう少し早く動いた方がという事になるのだが、同馬主だけにこれは仕方が無い。枠が内外逆なら結果も逆だっただろう。要はその程度の差。

アロマンシェス

もうちょっと手先にバネが欲しい。ただ、小さいなりに馬を大きく見せている。開催後期の新潟の様に数頭分空けて乗られていたが、中段のイン。目の前に居たヒシプレミアは外へまわしたが、この馬は天皇賞のスウィフトカレントの様に、近回りして距離稼ぐ策。差せない展開で、今日はこれが大きいだろう。スウィフトカレントが評価出来ない2着だったのと同様、この馬も評価出来ない。

ゴールドアグリ

2人曳き。シープスキンノーズバンド。例に依って手先の軽さは目立つが、腹回りの厚ぼったさを思うと、トモが薄い。ゲートも悪かったが、出脚も無くて後方から。これならと腹括って直線迄待ってから追い出したが、4着確保するのがやっと。ただそうはいっても、今日の流れなら一応力は見せた形だが、次走中山は一番不適と思われるコース形態。来春の東京戦か、暮れの新装阪神なら。

アドマイヤヘッド

2人曳き。毛ヅヤが良く、デキに関しては問題無いだろう。相変わらずキビキビとした歩様にも好感が持てるが、スケール的にはどうか。外のサンダーアロングに連られる様にして出遅れ。ゴールドアグリとは違って出脚が有るので、早目に外回って追い上げて行ったが、逃げたシベリアンクラシカが馬場の4分どころへ出していて、この馬は馬群の一番外だから7〜8分どころ。今日の展開でこれでは厳しい。ゲートが全て。

サンダーアロング

2人曳き。気性面相当に悪いとの事だが、下見ではそんな素振りは無い。ただ、造りが重い。意図的との事だが、大きく出遅れて離れた最後方から。直線インを突いたが、伸びも案外。暫くは見送り。

KBS京都賞ファンタジーステークス(GⅢ)

アストンマーチャン

2人曳き。変わらずバネの利いた歩様。小倉戦の時はそう思わなかったが、限定戦なら馬も上位。好発。出脚も有りそうだが、直ぐに内へ寄せず、枠通りに走らせて好位。ただ、前半はかなり行きたがっていたのだが、直線は切れに切れた。最内枠だった前々走の小倉戦で逃げる様な素振りを見せていただけに、外枠が向いた面は否定出来ないだろう。時計が速過ぎるのも裏を返せば阪神適性の無さ。例年なら100%消えるタイプの馬なのだが、新装阪神は外枠利きそうで一概には。

イクスキューズ

横の比較では見劣らないが、GⅠを目指すとなるともう少し大きく見せて欲しい。テンション高いのもどうか。ゲートやや後手踏んで、折角だからと控える競馬がしたかっただろうが、アストンマーチャンが内へ寄せず、開いていたスペースへ馬が突っ込んでしまい2番手。今日はこの分踏ん張りが利かなかった。まあ、それでも2着に踏ん張ったという見方も有るが、前とは5馬身差。スプリント戦なら話は別だが、マイルでも黄信号。

ハロースピード

シープスキンノーズバンド。数字は無い馬だが、大きく見せて手先も軽い。ゲートも悪かったが、出脚も無くて後方から。道中も追走楽という訳には行かず、4角でも後方。直線伸びては来たが、後方グループの中では一番強いというだけで、それ以上では無い気も。休み明けという言い訳が有る上、馬が良いので、次走一概に消して良いと迄は思わないが、穴人気になりそうなだけに、積極的に狙うのはどうか。

ハギノルチェーレ

もう少し歩様が伸びて欲しい。ただ、造りとしては及第点以上。ゲートは出ているが、出脚で置かれて最後方から。4角も一番外へ持ち出してここ迄。通った位置の差を考慮すれば、少なくともハロースピードとは互角以上の競馬。マイルでも短そうな出脚の無さがどうかだが、これこそ次走の大穴。来春の東京戦でも面白い。

ニシノマオ

前走小倉戦の際にも述べた様に、腹回りは太いのだが、張りは有る。スプリンターなのだろう。アドマイヤフルートの出脚が抜けていたが、この馬も出脚が有って2番手。3角過ぎからイクスキューズが行きたがって絡まれたのには、然程連られる事無かったが、直線は手前が替わらず伸び切れなかった。単純に距離が長いのと、前走小倉戦でもアストンマーチャンに完敗。力量的にも差が有る。

マイネルーチェ

-6kg。馬が萎んだ印象。気配や歩様は問題無いが、デキは無い。内外の様子を窺いつつアストンマーチャンをマークする形。ただ、4角では既に付いて行けなくなっていた。まあ、時計に天井が有るにしても負け過ぎ。状態面が全て。

アルゼンチン共和国杯(GⅡ)

トウショウナイト

気配そのものは地味だが、今季絶好調。内外から行きたい馬が行ったが、この馬自身の出脚は悪くなく、中段待機。直線迄待ってから追い出すのが当たり前になった今の東京だが、ブリットレーンを締めて審議対象になろうとも、4角早目に動いて前を積極的に捕まえに行く、王者の競馬。対アイポッパーとはハンデ差有るだけに能力互角だろうが、それ以外とは力量差見せ付けた。ただ、王者の競馬は、この馬がチャンプになったという訳では無く、前走京都戦で見せた一瞬モタつく癖を意識しての策。出脚が来たのは良い傾向だとしても、脚元スクわれるシーンは当然覚悟を。

アイポッパー

変わらず毛ヅヤの良さが目立つ。歩様に硬さが無いのも良い。出脚が無くて、後方のイン。腹括って4角もそのままインを。直線入り口で一瞬狭くなったものの、然程影響無く伸びて来たが、並び掛かったところ迄。最後は斤量差だろうが、毎回追い込んで届かずの競馬で、この馬自身も末脚が頼りない印象。中途半端なGⅠ実績から来るハンデも大きいが、別定戦でも粗相が数回。勝てない馬には何が原因が有る。

ドラゴンキャプテン

気合が乗って馬に集中力。止め絵も悪くないが、歩様が硬い。好発。出脚も有りそうだったが、外から来られている内に結局は後方から。4角、中途半端に外へ回し、馬群を割ろうとしたが、ゴチャつくシーン。ハンデ差利いた面は否定しないが、着差が着差だけに一応は勝っていた競馬。乗り方がマズかった。

チェストウイング

2人曳き。もう少しトモに筋肉が付いて欲しい。この部分が天井になろう。ただ、皮膚を薄く見せ、デキ自体は相当高いライン。出脚で叩かれたドラゴンキャプテンが結局行かず、更に後方から。4角でも行くところ無く、最後方に置かれて、直線はドラゴンキャプテンの後を続くだけになってしまった。まあ、そのドラゴンキャプテンとは多少差が有っただけに、勝ち負け迄はどうかだが、オープンでも差の無いレベルは有りそう。

トウカイトリック

+8kg。馬格が無いだけに、増えるのは良い傾向。今春同様毛ヅヤも良いが、例に依って馬格の無い牝馬の様な歩様。出脚がサッパリで、後方に近い位置取り。道中もずっと追い通し。4角でも置かれ、何とか直線外へ出したものの、直線半ばで逆手前になってモタれ気味。今日は最悪の競馬だったが、それでも最後迄投げずに走っていた点は好感が持てる。ホットシークレットの生まれ変わりの様な馬で、出脚の無さから全幅の信頼は置き辛いが、気力が有るなら距離延長は良いだろう。次走注目。

ウインジェネラーレ

毛ヅヤが良いので、デキ自体は有りそうだが、腹回りをボテッ見せ、もう10kgは絞れない事には。ブリットレーンに叩かれる形になったが、関係無くトウショウナイトをマーク。そのトウショウナイトは早仕掛けした事を思えば、展開絶好だった筈だが、追って案外。前半掛かり気味だったにしても、意外な内容。太目が祟ったか。