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競馬回顧 2006年3回阪神・5回中山

有馬記念(GⅠ)

ディープインパクト

2人曳き。前走東京戦よりテンション高いが、今日は環境が違う分も有るだろう。その前走で指摘した歩様が良化。手先が軽かった。造りとしても及第点やれる。今季緒戦の仏国戦を思えば雲泥の差。最近ゲートを出る様になっているが、何時も通りに後方から。今日は折り合いもピタリ。2周目3角過ぎから動こうとしていた時に、前に青ランプの常連コスモバルク。武豊騎手、一瞬躊躇していたが、4角一気に動いて、今日はこの脚が速かった。坂下では既に先頭。坂上では抑える余裕が有った。前走東京戦の際に述べた様に、今年は実戦での消耗が少ないのが良かった。禁止薬物云々も有ったが、その辺りも含めての調教技術。この馬もそうだが、ダイワメジャー辺りにしても、それに乗った部分は有ろう。競馬界の発展を思えば、強い馬が安定して強い競馬をする方が良く、一概に全否定というのもどうだろうか? 「道中はジックリと構えるレース。ディープインパクトの良さを生かす競馬を心掛けていたし、またそれに彼の方もうまく応えてくれた。この2年間はこのような名馬の主戦を務めることが本当に幸せだったし、最後のレースをこのようにいい形で締め括ってくれて良かった。多くのファンからレース後に有り難うと言われたが、こちらの方が逆に感謝したいくらい。彼にご苦労様と言いたい。(武豊騎手・週刊競馬ブック)」

ポップロック

腹回りは巻き気味だったが、トモに張りが有って、むしろ充実。何時もよりはテンション高いが、ディープインパクトの項で述べた様に、今日は仕方が無かろう。相変わらず出脚が無かったが、最内の利とペリエ騎手という事も有って、積極的に。道中はスムーズだったが、直線でデルタブルースとメイショウサムソンの間が開かず、立て直して外から。トビの大きい馬だが、割と器用さが有るのだろう。まあ、一応は及第点やれるが、毎回テイエムオペラオーとメイショウドトウで決まっていた2000年と違い、ディープインパクトが古馬になってからの競馬は毎回2着馬が違っていて、ちょっと展開が特殊になる嫌いは有る。今日も、力を出し切れていないか、競馬を間違えた馬が数頭。これで暫定チャンプだが、防衛戦は過剰人気が確実。空位が簡単にそのままこの馬へ転がり込むとは思えないのだが。

ダイワメジャー

2人で曳いてもう1人。パシュファイヤー。+6kg。皮一枚分厚いが、この馬にしては歩様もマシ。出脚がデルタブルースと同じレベルだったが、向こうが引いてくれて2番手へ。マイルでも引っ張り切りの馬だが、今日もそれを思えばスムーズだった方。厩舎と乗り役が完璧な仕事をしたのだろう。流石に坂を上がって脚色鈍ったが、条件面考慮すれば、2着以下ではこの馬が一番強い競馬をしている。ただ、勝負に勝って競馬で負けるタイプの馬。出脚の無さから外枠志向も相変わらずで、混戦番組で単勝狙うと痛い目も。

ドリームパスポート

+12kg。前々走の京都戦が今季の中では一番良かった。太くは無いが、馬体のキレが無い。スタート直後に躓いたのか、乗り役の腰が落ちるシーンも有ったが、立て直して中段から。最近はこの距離でも折り合う様になっているが、今日は内に拘り過ぎて、バラけたのは坂下。仕掛けが遅れた分の負け。戦前の下馬評通り、2着馬とは能力差無いだろう。ただ、何度も述べている様に、本質はマイラー。今日にしても気を使って乗る分が裏目に出ている。

メイショウサムソン

+4kg。流石に重い。暫く行きたがっていたが、宥めて好位の外。早目に動いて、4角ダイワメジャーに並ぶシーン迄は造ったが、そこからが案外。早目の競馬で差されたのは止むを得ぬとしても、距離適性で差が有るダイワメジャー位は捕まえて欲しかった。出脚の良さは変わらず有るが、もう一つのセールスポイントで有る並んでの渋太さが無くなって来た。下見は割と落ち着いていたが、今春の中山戦の様にチャカつく位の気合が有った方が良いのかも。今日は課題の残る敗戦。

デルタブルース

歩様が伸びていたが、今日は造りにメリハリが無い。もうちょっと造り出脚利かせて好位から。審議対象になった様に、直線接触するシーンは有ったが、割って入る脚も無かった。2500mでも短い分も有るだろうが、日本では機動力が課題になる。ここがポップロックとの差に。

スイープトウショウ

-8kg。細いとは思わないが、良い時は牡馬相手でも下見から圧倒出来る馬。ゲート入り梃子摺る。大きく出負けして後方から。ディープインパクトに付いて行けないのは仕方無いにしても、内でも潰し合いをしている訳で、掲示板には来て欲しかった。やはり往時の力が無いと見るのが妥当。

ラジオNIKKEI杯2歳ステークス(GⅢ)

フサイチホウオー

2人曳き。シープスキンノーズバンド。胴長でスカッと見せるタイプの多いトニービン系だが、松田国英厩舎に係ればこの厩舎の造り。それで居て手先が軽いのも好感が持てる。出脚は良い馬だが、前半行きたがった事も有って、ガッチリ抑えて中段。アサクサキングスが待ち切れないとばかりに3角過ぎに動いて行ったが、一旦待ってから外を進出。4角の勢いでは既に楽勝ムードだったが、安藤騎手の左ステッキに反応して内へモタれて審議対象に。その分着差も僅かになってしまった。前走東京戦の際に述べた様に、コーナーを逆手前で走ってみたり、頭が高かったりと、不器用さは相変わらず。ここに来て、競馬に余裕が無くなって来たのも宜しくない傾向だろう。今日は2頭居たアグネスタキオン産駒を負かしただけで、何の収穫も無い一戦になってしまった。ジャングルポケット産駒に中山適性を期待するのは無理な話なのかも知れないが、せめて他馬の邪魔をしない程度の矯正は必要。

ヴィクトリー

2人曳き。歩様がブライアンズタイム産駒だが、造りは悪くない。テンション高いのは血統だろう。出負け。武豊騎手独特の、馬群と離して折り合わせる策だったが、それでも引っ掛かって2番手へ。道中も口を割って中々頑固だったが、後方で色々小競り合いが有って、結果的に行かせたのが正解。あれだけ道中ロスしながらの2着だから、勿論性能は高いのだが、不利の有った2頭も只者では無いだけに、それらとの比較は何とも言えないところ。直線ずっと逆手前のままだったのも気掛かり。

ナムラマース

2人曳き。-6kg。データに依ると福島信晴厩舎の休み明け緒戦はサッパリとの事らしいが、細い位の造り。キッチリ出来ていたといえば聞こえは良いが、2歳戦という部分を考慮すると、あまり良くない傾向だろう。相変わらず出脚は無さそうだが、それなりに立ち回って好位には付けられた。折り合いは付いたが、前走札幌戦の際にも述べた様に、トビが独特でコーナリングの上手いタイプでは無く、アサクサキングスに急かされる形になった上に、直線当てられたのも痛かった。最善手がディープインパクト戦法なのだろう。不利が無くてもフサイチホウオーには負けていただろうが、道中も手先が鞭の様に撓っていて、本物は本物。あとは陣営が何時それに気付くか。

マイネルソリスト

2人曳き。-10kg。中々の馬振り。ここでも上位だろう。歩様の力強さがもう少し。出脚良く、好位のイン。多少行きたがっていたが、他にも行きたがっていた馬は多く、一応は許容範囲。絶好の展開になったが、直線、マイネルダイナモとヴィクトリーの間が割れず、外へ持ち出そうとしてフサイチホウオーを起点とした接触。まあ、脚が有れば無理矢理でもコジ開けて来る筈で、決め手には課題が残ったが、今日の展開に持ち込んだ出脚は評価して良い。単勝はともかく、連勝式の押さえには必ず要るタイプ。

アサクサキングス

2人曳き。-10kg。初コースの分も有るだろうが、前走東京戦の方がリラックス出来ていた。数字は絞れたモノだが、いざ絞ってみると他馬とは完成度で差が有る。出脚でマイネルダイナモに叩かれて中段から。フサイチホウオー相手の末脚勝負では分が悪いと思ったのか、早目に動き、結果的にナムラマースを潰したところ迄。不利は有ったが、早目に動いて後方からの馬にやられている訳で、その段階で勝ち目は無かった。出脚の無さがどうかだが、行かせた方が良さそう。

阪神カップ(GⅡ)

フサイチリシャール

2人曳き。今日は妙に気配が良かった。ただ、相変わらずトモが薄いのがどうか。例に依って出脚は現役屈指。一瞬ハナを覗かせたが、控えて4番手から。このパターンは過去に何度も失敗していて、却って行きたがるケースが多かったのだが、1400mなら話が違う様で折り合いが付いた。ずっと前を射程圏に入れながらの競馬。直線はスパッと切れた訳では無いにせよ、ジワジワ伸びて前のマイネルスケルツィを捕まえたところがゴール。以前にも述べた様に、父クロフネの豪快なイメージは捨てた方が良い。あくまで母フサイチエアデールに似た出脚と器用さで勝負するタイプの馬。ステキシンスケクンが出走取消になって、それが活かせる展開になったのも良かった。まあ、最近こういう展開ばかりといえばそれ迄だが、基本的には地力に期待して狙うタイプの馬では無い。

プリサイスマシーン

手先のスナップが利いていた。馬体に張りも有り、今年は充実の一年。出脚を言えばフサイチリシャールやニューベリーという事になるのだが、内枠を活かすべく出して行って好位から。4角で丁度フサイチリシャールの直後に付いたが、外へ出せなかった事も有って、これを後追いする形。結果的にはフサイチリシャールが勝った分の2着。出脚と末脚のバランスが良く、大して強くないにも関わらず展開を拾えている。デキが有る分も大きい。

マイネルスケルツィ

デキ一変! 今は毛ヅヤからして違う。ゲート少し悪かったが、出脚で2番手へ。更に出脚の良いフサイチリシャールの前に行くのだから、多少なりとも脚を使わされている筈。オレハマッテルゼが早目に来て、これに動かされたのも微妙に痛かった。今開催は前に居なければ競馬にならず、それを思えば...の印象も有るが、今日はそれなりに楽では無い展開。及第点は充分にやれる。ただ、折り合い面思うと、現状は1400mがベスト。

アサクサデンエン

もうちょっと歩様に柔らか味が欲しい。馬はこんなモノだが。出脚でやられて後方から。道中はインに入れていたが、直線外へ出そうとして、暫く開かず、バラけたのはラスト1F。これでは今日の展開と馬場ではキツい。むしろ良く追い込んでいる方だろう。勿論、全盛期ならこの程度の不利も跳ね返した筈で、それを考慮すれば加齢に依る能力減は有るが、完全に圏外という訳でも無さそう。ただ、最近1400mに使っていなかった影響も有るにせよ、この出脚の無さは気掛かり。

シンボリグラン

毛ヅヤはこの馬独特のモノ。造りは決して悪くない。枠なりに中段の外。多少行きたがっていたし、道中ずっと外を回されてメリハリの無い競馬になってしまった。最後は雪崩込んだだけ。枠に泣いた形。前走京都戦の際にも述べた様に、折り合い面の難しさは課題だが、能力そのものは殆ど差は無い。

コートマスターピース

変わらずスカッとした造り。ただ、歩様が独特。またしても出負け。戦前のコメント通り、それでも押して中段位置へ。4角、上手く捌いているのだが、その割に直線サッパリ。恐らくはスタート直後から押して前に行く経験は過去に無かった筈。そうしないと勝てないから仕方が無いのだが、これが遠征の辛さ。

コスモシンドラー

腹回りもう少し締まってくれても良いが、一応は走れる状態。スタート直後に躓いて後方から。道中掛かり加減で、4角も大外。今日の展開でこれでは厳しい。参考外。

オレハマッテルゼ

+6kg。メリハリの無い造りは以前から。何時も通りといえば何時も通りだったが...。内の馬を見ながら、好位の外。割とスムーズに行けた筈だが、直線向いてからがサッパリ。デキに疑問。

フェアリーステークス(GⅢ)

アポロティアラ

+6kg。一息入れた効果は有りそう。歩様が伸びていて、造りも悪くない。1人で曳いていたが、集中力も有った。中段のイン。距離を思えばそこ迄速い訳では無いにせよ、ずっと手応え良く追走出来た。4角も上手くインが開き、直線は逆手前のまま突き抜けた。道中無理するシーンが一度として無く、恵まれに恵まれたとはいえ、同じ競馬をしていたニシノマオよりは確実に強い。内枠の利は有ったが、道中のスムーズな立ち回りも目に付いた。時計平凡で過信は禁物だが、スプリントなら牡馬相手でも。

サンタフェソレイユ

脚の長い馬で、全体に華奢。トモの送りが硬いのもどうか。出脚有る筈だが、今日は決め打ちして後方から。道中クーヴェルチュールが外に居て、鬱陶しそうに見えたが、4角そのクーヴェルチュールが早目に動いてくれて、立て直して更に外から。下見のイメージとは違った全身使った走法で、良く伸びてはいるが、アポロティアラに最高の競馬をされてしまった。メンバー全体のレベルは低いにしても、ここへ入れば力量上位。

ニシノマオ

2人曳き。馬に集中力。造りもしっかりしている。出脚利かせて好位のイン。上手く流れに乗っている筈だが、坂下では既にアポロティアラに交わされていて、3着に来るのがやっと。今日は言い訳無しの敗戦。直線、手前が替わらないのも課題。

シベリアンクラシカ

-8kg。連闘になるが、絞れたモノ。出来ればもう少し歩様に伸びが欲しいが。出脚良く、ハナと思ったところへ、出負けしたメジロアダーラが無理やり来て、譲らざるを得なくなると同時に、ずっとラチを頼れなかったのが痛い。前述した様に、メンバー全体のレベルは怪しいが、見掛けの展開よりは遥かにキツい筈。500万なら楽に勝てる。

カノヤザクラ

2人曳き。造りは文句無しだが、如何せんテンションが高過ぎる。好位の外。シベリアンクラシカを見ながら絶好の展開だったが、4角外へ逃げる様な素振りを見せていて、逆手前のまま伸びを欠いた。レース前のイレ込みが応えたか?

クーヴェルチュール

オーストラリアンブリンカー。トモの張りが有って、毛ヅヤも上々。気負い過ぎの嫌いは有ったが、距離を思えば許容範囲。これもサンタフェソレイユ同様に、出脚は有る筈だが枠順を嫌って控えたクチ。外を早目に動いて行ったが、直線手前が替わらずサッパリ。敗因不明。

農林水産省賞典愛知杯(GⅢ)

アドマイヤキッス

流石に毛ヅヤは落ちて来たが、今季は歩様の伸びが特筆出来る。デキだけを言えば今春よりずっと良い。スタート直後に躓いたが、然程影響無し。外枠をどう乗りこなすかが注目だったが、3走前同様、まず内へ入れる策。皆が距離を意識して乗っているも有るのだろうが、何故か前が開いていて、1角進入時には既に3番手。出脚の有る馬では無い筈だが、この枠から殆ど出さずに行っていて、勝って下さいの競馬になってしまった。またしても、GⅡ,GⅢは全勝、GⅠは全敗の珍記録が更新された訳だが、GⅡ以下は他馬が余計な事を考えて自爆している印象も。

コスモマーベラス

+6kg。伸びが欲しいといえばそうだが、歩様は元々こんな感じ。張りも有って、この時期にしては毛ヅヤも悪くない。出脚有る馬だが、前半多少行きたがったことも有って、抑えて中段やや後方。4角外へ回して追い上げたが、流石に前のアドマイヤキッスを逆転するのは厳しかった。差しに徹した前走中山戦の競馬が生きたと言えばそうだが、競馬が消極的過ぎた。ただそうはいっても、今季はそれ迄より一段上のパフォーマンス。今日はデキで2000mを克服した形。1800mならアドマイヤキッスを逆転するシーンが有っても。

ソリッドプラチナム

数字の無い馬だが、小さいなりに造りは充実。アドマイヤキッスをマークしようと、1角迄は上手く付いて行ったが、前が開いていたアドマイヤキッスとは対照的に、前に馬が居て、付いて行けなくなった。結果的にはこれが痛かったという事になるのだが、これが無くても行かせても良くないタイプでは無いだろう。更に後方に居たコスモマーベラスに差されたのも不満。近走積極的な競馬が続いているが、少なくとも良い負け方では無い。

レクレドール

毛ヅヤ冴えないのは仕方無いにしても、歩様の硬いのがどうか。元々そういう傾向の馬では有るが、何時も以上に悪かった。ゲート五分も、出脚サッパリで後方から。道中はずっとインに居て、直線だけ外へ。それなりに来てはいるが、前も結構強い馬で、この馬自身もハンデ背負っている事も有り、ここ迄。悪くない内容だが、掲示板外した馬は、重賞とは程遠い馬か、距離不適のどちらか。札幌以外はこんなモノなのだろう。

ヤマトマリオン

2人曳き。-6kg。細くは無いにせよ、小さく映るのは良くない傾向。出脚の良い馬では無いので、無理せず中段のイン。折り合いも付いた。外も回らず、上手く立ち回っている筈だが、結局は雪崩込んだだけ。重賞勝ちの割にハンデ恵まれ過ぎていた位だったが、案外の内容。ハンデキャッパーが正しかったか。

ニシノフジムスメ

トモの造りは悪くないが、もう少し大きく見せて欲しい。ジワッと出して好位のイン。道中はアドマイヤキッスをマークする形で競馬が出来た筈だが、3〜4角中間では既に付いて行くのがやっと。案外の内容。失望。

朝日杯フューチュリティステークス(GⅠ)

ドリームジャーニー

2人曳き。多少チャカつくが、これは何時もの事。前走時にも述べたが、馬が小さいだけで、デキに関しては良い。出負けして最後方から。前走東京戦で急かして失敗したので、全く出すところ無く、折り合いに専念。4角大外へ回し、直線右手前のままで差し切ってしまった。今日はオースミダイドウが競馬を失敗して、展開が向いたのが大きい。時計も平凡。前走東京戦の際にも述べた様に、こういう馬格の無い馬は気で走らざるを得ず、それ故に好調期間の維持が難しい。ゲートも課題で、上手く行けばデュランダルになれるが、そうで無ければ今日が最後の花火だろう。新進気鋭の池江泰寿調教師の管理馬だが、こういうところで厩舎技量が出る。

ローレルゲレイロ

+14kg。多少太い気もするが、成長分が相当。はち切れんばかりの造り。気配も良く、下見だけならコレ。好発切ったアドマイヤホクトに乗る形で、好位へ。一瞬はオースミダイドウに連られたが、そこからは折り合えたし、そのオースミダイドウを目標に勝ちに行く競馬。オースミダイドウも中々渋太かったが、それでも競り落としたところを更に外からドリームジャーニー。頭の高さは、以前より気にならなくなっているが、相手が違うだけで、結局は同じやられ方。内容そのものは悪くないが、良い脚が長く続かないタイプ。

オースミダイドウ

2人曳き。長距離輸送でイレ込みが懸念されたが、一応は堪えていた。馬自体は相変わらず良い。ゲートと出脚は特別速かった訳では無いが、馬と喧嘩するのを嫌ってハナへ。行かせれば一応折り合うのだが、4角早目に来られて、気の悪さを出していた。出脚で抜けて、道中離していれば良かったのだが、ハナへ行くのに脚を使って、早目に来られてと、今日は最悪のパターン。テン乗りの弊害だろう。ただ、それを思えば強い競馬をしている。最初からスプリンターとして育てて行けば良い所迄行ける筈だが、レース後骨折が判明。

フライングアップル

+6kg。例に依って頭が高いのだが、歩様は悪くなかった。ただ、もう少し馬を大きく見せて欲しい。決して悪くは無いが、数字思うと物足りない。アドマイヤホクトに出脚で叩かれたのを、立て直して好位から。うまく立ち回ってはいるのだが、どうしても追って頭が上がる分、決め手に欠く印象。結果的には位置取りの差も大きかった。この馬自身は出脚の悪い馬では無いが、1200mの馬の出脚では流石に適わない。今日はツキも無かった。

マイネルレーニア

+8kg。前々走新潟戦の数字に戻った形だが、前走東京戦ですらモッサリ見せていた訳で、そういう印象はどうしても残る。気配は良いが。一瞬はハナを覗かせたが、出脚でアドマイヤホクトが出て、控えざるを得なくなる形。悪くない競馬だが、これもフライングアップル同様、微妙に位置取りが悪くなって決め手の差が出た。現状はハナがベスト。

ジャングルテクノ

2人曳き。-6kg。毛ヅヤが良くて張りが良い。デキそのものは文句無し。ただ、頭が高いのと、もう少し歩様が伸びて欲しい。この辺りは成長の余地が有る。好発。上手く好位で立ち回れているが、イザというシーンで、割って入る脚が無かった分の負け。この辺りはジャングルポケット産駒なのだろう。東京で改めて。

農林水産賞賞典鳴尾記念(GⅢ)

サクラメガワンダー

2人曳き。+8kg。悪くないが、今日は妙にトモの甘い歩様。まだ本当では無いのかも。外枠で好発切った馬が何頭か居たが、出して行って逃げたマルカシェンクの直後。1000m通過61.2秒のスローで、今日はこの位置を確保出来たのが最大の勝因。直線は、暫く前が開かなかったが、コジ開けて、最後はマルカシェンクを力でネジ伏せた。弱い馬では無いが、競馬が上手く行き過ぎた嫌いが有るのも確か。次走人気になるなら嫌ってみたい。

マルカシェンク

ここへ入れば馬も上位なのだろうが、今日は意外な程良く見えた。トモに張りが有って、歩様自体も割としっかり。ゲートで乗り役の腰が落ちていたが、押して行ってハナへ。流石にこのクラスの馬が主張すると他馬も競り掛けて来ず、上手くスローに落とせたが、サクラメガワンダーが徹底マークの形になり、最後は底力の差でやられてしまった。微妙に不満の残る敗戦だが、完成度の低さも有ろう。差し当たっては、中距離で出脚を活かす競馬が出来たのが収穫。あとはゲート難を解消出来れば。

ホッコーソレソレー

シープスキンノーズバンド。今季絶好調。何時もは頭の高い馬だが、今日はこの点も改善。歩様も伸びていた。出脚で差が有って中段やや後方。結構行きたがっていた様にも見えたが、四方を馬に囲まれて馬も我慢していた。直線向いても、中々前が開かず、視界が開けた時には競馬が終わっていた。今日は1,2,4着馬以外は皆そうだが、この馬も力を出し切っていない。出脚の甘さに泣くシーンは今後も続くだろうが、重賞級の性能は有る。

ローエングリン

馬は何時も良いのだが、姿勢が高いのと、歩様が硬い。好発。その気になれば行き切る出脚も有りそうだったが、マルカシェンクに行かせて2番手で控える形。道中は折り合い万全とは行かないが、一応は堪えが利いていた。展開良かっただけに、最後は決め手の差という事になりそうだが、それにしては着差が大き過ぎる嫌いも。今秋一連のパフォーマンスは悪くなかった筈だが、相手関係も有ったのか...。

メイショウオウテ

2人曳き。煩いのは相変わらずだが、これで実戦行くと案外折り合える。ただ、馬自体は良く見せない。グロリアスウィークにゲートで叩かれた事も有るが、3〜4角外を回されるのを嫌ったのか、最後方へ下げて少しでもコースロスを削る策。ただ、直線は大外。来てはいるが、これも大勢決した後だった。今日は競馬にメリハリが利いていた分の入着。

アサカディフィート

歩様に柔らか味が出たのが今季最大の特徴。勿論、発馬にも影響しているだろう。馬体の張りも目立った。これで3走連続ゲート五分。そうはいっても出脚は無いので、中段やや後方。ずっとホッコーソレソレーを見ながらの競馬で、直線向いてもホッコーソレソレーが暫く邪魔に。まあ、京都の方がキレが良い様な気もしないでも無いが、展開面の方が利いているだろう。

ブライトトゥモロー

+10kg。前走がデキ落ち気配だったが、持ち直して来た印象。特に歩様のキレが目立った。出負けして後方。早目に外へ出し追撃体勢造ったが、ずっと外を回されて苦しくなった。直線は雪崩込んだだけ。京都戦の内容から、スズカフェニックスとは差が有るにしても、ホッコーソレソレーよりは強い筈。重賞級は有る。

サンバレンティン

+8kg。前走福島で初重賞制覇となったが、今季絶好調とは言い難い。出脚の無い馬だが、出して行って中段。ずっとインに居て、直線もインを突いたが、前の馬が同じタイミングで下がって来て、全く追えなかった。今日は全く力を出し切っていない。バラける京都は良い筈で、次走狙い目。

オースミグラスワン

チャカついていたが、馬は例に依って迫力満点。例に依って後方。これもサンバレンティン同様にインを突いたが、前も壁。ラスト200m辺りでは追うのを止めていた。トビの大きい馬で、こういうセコい競馬も向いていないが、乗り役に言わせるとノメっていたとの事。

阪神競馬場芝外回りコース新設記念農林水産賞賞典阪神ジュベナイルフィリーズ(GⅠ)

ウオッカ

-10kg。元々の形が良い馬で細くは見せない。改装後、しかもGⅠという事で、下見もファンが大勢居た筈だが、一人で曳いていても落ち着いていたし、手先も軽い。好発。暫くルミナスハーバーを脅しておいて、好位に引く形。3角でアストンマーチャンに入られたのは結構痛かった筈だが、4角で外へ持ち出して坂を上がって先に抜けたアストンマーチャンを力でネジ伏せた。坂を上がって逆手前になる辺りが、まだ若いのだが、今日は完勝。時計も無茶苦茶速い。折り合い面スムーズだったのも良い傾向。例年の覇者と比べても、前途明るい方の馬。

アストンマーチャン

2人曳き。気配文句無し。馬体で他馬を圧倒。ただ、それが距離延びて良いとなる疑問。好発。3走前の小倉戦で、最内枠から馬群を嫌うシーンが有って、この枠がどうかと思っていたのだが、それ迄が行きたがっていたのに、ラチ沿いに入れてからがスムーズ。直線も、ルミナスハーバーがインを空けてくれて、一旦は完全に抜け切っているのだが、外からウオッカ。上手く3角でウオッカの前に入ったのは、ウオッカにとっては痛かった筈で、その相手に差されたのだから、不満が残る。ただ、後続とは3馬身1/2差。距離が長いにしても、直線延びた阪神コースで寸前迄頑張っていた訳で、相当に強いのも確か。

ルミナスハーバー

-6kg。先週同様、調教師自らが不安説を流す異例の事態だったが、そこ迄細い訳では無い。毛ヅヤも悪くなく、一応は及第点。好発。行くと思われた最内枠テンザンコノハナがスタート直後に躓いた事も有ってハナへ。遅くは無いとはいえ、このペースならもうちょっと踏ん張って欲しかったところだが、最後は完全に脚が上がっていた。下見は及第点だったが、攻め馬は加減が有る筈で、その分が最後に出た印象。性能は間違い無く高い筈。また来年改めて。

ローブデコルテ

2人曳き。大きく見せていて見栄えがする造り。枠なりに後方から。今日はずっと外を回された。今日の馬場でこの展開は想像以上にキツい。それで居てルミナスハーバーと差が無いのだから、かなり強いだろう。馬もしっかりしていて、折り合い面不安無く、距離延びても良さそう。これは来年相当期待出来る。

イクスキューズ

-6kg。悪くないが、前走京都戦の際にも述べた様に、GⅠの馬では無い。気配はこれでも良いが。ゲートをソロッと出してインへ潜りに行く策。後方からにはなったが、ウオッカが外へ回し、坂下ではアストンマーチャンの直後。折り合いも付いて、この枠にしては最高の競馬が出来た筈だが、直線は突き放された。現状、上位とは性能差有る。馬体の成長が課題に。

ハロースピード

-8kg。シープスキンノーズバンド。トモが薄くて、歩様もイマイチ。出脚が無くて後方から。4角、無理に外を回さず、馬群を割る形になったが、伸びも案外。後方待機組の中では、良く差している方だが、前走京都戦の際にも述べた様に、差せる脚は有るにしても、前半のロスを挽回出来る程では無い。ここに来てデキも落ち加減なのもどうか。

ピンクカメオ

2人曳き。-14kg。シープスキンノーズバンド。数字の分、多少トモが淋しくなった印象。デキそのものは有りそうだが。出脚で差が有ったにせよ、好位のインはキープ...の筈だったが、アストンマーチャン等が前ヅケに来て、あれよあれよの内に4角では後方に。直線も、手前が替わらず伸び案外。ツキも無かったのだが、能力面も疑問。辛うじてGⅢレベル有るかどうか。

中日新聞杯(GⅢ)

トーホウアラン

+4kg。前走京都戦を思えば張りは出て来たが、今季絶好調と迄はどうか。出脚は有るが、行きたい馬に行かせている内に、色々来られて結局は中段から。ずっとインを立ち回り、ルメール騎手のコメント通り、4角多少捌き辛かった面は有ったのだが、インティライミの抜けたところを通って、内から併せて何とか捕らえ切った。内々立ち回った利は有るのだが、着差以上に強い競馬。GⅡ級は充分に有る。

インティライミ

-6kg。メリハリ利いた造りで、悪い訳では無いのだが、小さく見えるのが気掛かり。成長が無い。ジワッ出して行って、好位のイン。トーホウアランが引いてくれたのは大きかっただろう。直線向いて前を行くワイルドファイヤーとスターイレブンの間を割って、完全に勝ちパターンだったが、それでもトーホウアランに差されてしまった。今日は情けないの一言。余程下見が変わって来ない限りは、今後全てノーマークで。

マヤノライジン

2人曳き。休み明けになるが、造り,気配共に、キッチリ出来ていた。トビが大きくて、出脚はそこ迄でも無いが、馬任せに出して中段から。ずっと外回される展開になってしまったが、時計勝負の馬場でこの着差なら上等。今日は外枠がアダ。今季デキが有るのも良い。

イーグルドライバー

シープスキンノーズバンド。張りが無い訳では無いが、毛ヅヤが一息。ゲートは出たが、出脚が無くて後方から。ずっとトーホウアランの後を追い掛けてここ迄。開幕週の馬場で雪崩れ込んだだけ。

トウショウシロッコ

+10kg。気配は悪くないが、数字通り重い。半馬身程出負けし、ワイルドファイヤーに叩かれて、最後方。しかも4角大外。開幕週の馬場で、これでは厳しい。直線、多少内にモタれ気味だったが、これは一枚重い分も有って、仕方が無かろう。今日は良く詰めている方。ハンデ差有るとはいえ、ここなら力量上位だが、ゲートのポカが多過ぎるのが気掛かり。

スポーツニッポン賞ステイヤーズステークス(GⅡ)

アイポッパー

今季は最初からデキが良かった。歩様が伸びていて。毛ヅヤもずっと良い。内外から出脚の良いメジロコルセア,ゴーウィズウィンド,ルーベンスメモリーが行って、これらを行かせてから立て直して4番手。後続が割と早目に動いて来たが、それらを引き付けてから追い出す形。坂下では既にセーフティリードを保ち、そのまま押し切った。後ろから追うとイマイチ甘く、先々週のダイワメジャー同様、力量差を生かしての正攻法が正着手だった。出脚も良い方では無く、今迄通り勝ち切れない競馬が続きそう。

トウカイトリック

多少硬いのだが、一応は許容範囲。小さい馬だが、毛ヅヤも良くて、まあまあといったところ。とにかく出脚が無くて、後方から。ファストタテヤマが動いてマクり合戦になる中、上手くインを立ち回っているのだが、追ってそこ迄の馬では無いだけに、前にアイポッパーが居ては辛い。出脚が無いのが全て。

チェストウイング

2人曳き。欲言えば、歩様にもう一伸びだが、決して悪い方では無い。緩んだところも無くて、馬格が無いなりの造り。出脚で叩かれて5番手から。道中は、アイポッパーとは差が有ったのだが、2周目3角辺りから差が無くなって、自然に付いて行く形になったのが良かった。今日はこの分の3着。弱いとは言わないが、少なくとも評価は出来ない。

グラスポジション

これも歩様がスムーズ。気配も上々。これも後方から。行かれたか、意図的だったかはともかく、ファストタテヤマにマクられて、直線迄待ってから追い出した分の4着。チェストウイングの項で触れた様に、3着以下は乗り方一つ。次走、人気になるなら良いお客さんに。

チャクラ

-6kg。歩様に柔らか味が有るのは好感が持てる。一息入って、張りがもう少しだが、毛ヅヤが良くて、合格点やれる。出脚も無い馬だが、乗り役も行く気が無くて最後方から。2周目3角からマクりに行ったファストタテヤマの更に外から行って、競馬が厳しくなったが、休み明けの3600mを思えば上出来。妙味無さそうだが、一応は次走狙い目。

ファストタテヤマ

2人曳き。+8kg。今年はずっとデキが良い。トモがパンとして、一戦毎の消耗度が少なくなっている。例に依って後方から。真っ先にマクりに行ったが、直線向く迄に終わっていた。中山は向かないにしても、負け過ぎ。敗因不明。