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競馬回顧 2008年4回京都・4回東京

天皇賞・秋(GⅠ)

ウオッカ

前走時と変わらず。現状のデキの良し悪しは別にして、成長度で劣る。好発。出脚速い馬で、無理せず好位直後。リラックスしてという訳には行かないにせよ、前に馬が居ない割には折り合っていた方だろう。4角で外へ持ち出して来たディープスカイと直線は併せ馬。ディープスカイを競り落として、対ダイワスカーレットでも一旦は出た様に見えたが、振り切って2cm差。競馬史に残る名勝負といったムードが早くも漂っているが、この馬が完璧に運んで且つ、休み明けのダイワスカーレットが最悪の展開になって、漸く2cmだけ前に居られた形。勝負には勝ったが、競馬では完全に負けている。気性面で苦しい部分が有り、調整の方向がそちらに向かざるを得なかった面が有って、3歳時から能力的な上積みが無い。今後は嫌って妙味有りの馬になりそう。

ダイワスカーレット

2人曳き。多少でもイラつく素振りが有ったのは何時もとは違ったかなといったところ。悪くは無いが、万全では無い。好発。例に依って馬が行きたがってハナへ。ただ、通常は暫くして落ち着くのだが、そこでトーセンキャプテンに来られる最悪の展開。一度として矯めるシーンが無く、しかも追っ掛けて来た2頭は併せ馬。微妙に内外離れているのだが、一旦は出られたのを差し返している。これで勝っていたら化け物級だろう。相変わらず人気でウオッカに勝てないが、実力は完全に上。

ディープスカイ

2人曳き。まだ満点はやれないが、前走阪神戦思えば雲泥の差。その前走が40点なら今回は85点。この枠でも有り、出して行って好位のイン。少し行きたがったのは誤算だが、この枠ならこれがベスト。スムーズに外へ出し、ウオッカへ併せて伸びては来たが、寸前で脱落。坂を上がって逆手前になっていて、相当苦しかったのだろう。2000mでも行きたがっていた訳だから、距離を嫌っての菊花賞回避は正解だったが、相手が悪かった。使って叩いて良くなった馬で、まだ良くなり切っていなかった面も有ろう。ダイワスカーレットの居ない次走は中心視。

カンパニー

+10kg。減っていた数字が戻っただけ。この1ヶ月で一気に冷え込んだとはいえ、前走有った妙な発汗は納まっていた。半馬身程出負け。腹括って後方待機。イン突くのも最初から決めていた策だろう。前も開いて良く伸びて来たが、上位3頭は自力で競馬を造っていて、最後は凌ぎ合い。この差が意外に遠い。京都戦回りで次走人気になりそうだが、却って危険。

エアシェイディ

2人曳き。今年は充実の一年。馬体に重量感が出て来た。ゴチャつく展開だけは嫌って、立ち位置主張しつつ中段。丁度ディープスカイを見ながらの競馬。直線向いて坂下の脚で、ウオッカやディープスカイとは一気に突き放されたが、盛り返してここ迄。これもカンパニーと似た様な事が言えるのだが、次走は暮れ中山戦との事。人気になりそうも無く、距離も長くで出番は無し。

毎日放送賞スワンステークス(GⅡ)

マイネルレーニア

元々大きく見せる馬だが、一番馬に迫力が有った。ゲート最後入れで好発。出脚はローレルゲレイロだったが、出してハナへ。隊列決まり掛かったところでステキシンスケクンに来られて、1000m通過56.3。少なくとも楽では無かった筈だが、上がりを纏めて一杯一杯逃げ切った。翌日の天皇賞もそうだが、逃げ馬は序盤如何に楽に行けるかが最大のポイント。結果的には行った行ったでも、リスク背負って自分からハナへ行った結果だから評価出来る内容。今季余程デキが良いのだろう。

ローレルゲレイロ

2人曳き。気持ちは来ていたが、馬体はまだまだ。今春はもっとメリハリが有った。出脚では勝っていたが、マイネルレーニアが主張して好位から。途中、ステキシンスケクンが行きたがった際にも関係無く折り合いスムーズ、今日は完璧に運んだが最後迄交わせず。休み明けの影響は少なからず有っただろうが、今日の結果だけを言えば力負け。

ジョリーダンス

少しイラつき気味なのは減点だが、今季はデキが良い。少し出して好位のイン。揉まれるシーンも無く、スムーズに回って来れたが、内を捌いただけで抜け切る迄は行かず。前述した様に今日はマイネルレーニアが単に逃げ切っただけでは無い強い競馬。そして2着も4歳馬。スズカフェニックスは立ち回りの差で押さえ込んだにせよ、世代交代の時期。

スズカフェニックス

+10kg。時期的なモノが有るにせよ、増えた分緩慢に映る。毛ヅヤは悪くないが。馬装を替えたそうだが、多少マシになっただけで出遅れは出遅れ。横山典弘騎手、この枠を活かして積極的に5,6番手からの競馬だったが、追って案外。逃げたマイネルレーニアが34.5で上がっていて、行かせて正解だったが、それでも相手が強くて届かなかったという見方が正しいところだろう。ジョリーダンスの項で述べた様に、そろそろ引き際かも。

ファイングレイン

+6kg。スカッと見せるのは以前から。気配も出て来て、漸く復調成ったか。ジワッと中段。1400mなので折り合いピタリという訳には行かないが、それでもジワジワとしか伸びず。馬格が無く、決め手で勝負の馬なので、59kgは他馬以上に応えるのだが、それにしてもイマイチ感は残る。基本はGⅢ級。

タマモサポート

トモの甘さが解消されて、今季は歩様がしっかり。見た目にもトモに筋肉が付いて来た。ジワッと好位。1400mなら折り合いスムーズ。最後は決め手の差だろう。この馬には時計が速過ぎる事も有り、現状の力は出し切った筈。

ファリダット

+10kg。デキ自体は良いだろうが、今日は一枚重い。位置取り構わず折り合いに専念の筈が、3角手前から行きたがって中段へ。流石に今日の時計でこれでは競馬にならない。今日は太い分も有ったが、もう少し競馬が上手くならないと。

菊花賞(JpnⅠ)

オウケンブルースリ

下見は前走阪神戦から良かった。とにかく馬振りが良い。出脚無かったが、出して中段やや後方。折り合いは付く馬。2周目の坂の下りで早目のスパート。これで勝ち切ったのだから力が違ったという事だろう。首を使わない走法から、戦前は距離に不安が有る様に思えたが、相手がそれ以上に弱かった。ただ、この距離が不適なだけで、適距離ならブラックシェル級は有る。

フローテーション

ダラダラの馬だが、ファストタテヤマもこんな感じだった。これが案外長距離向きなのかも。ゲート出たが、無理せず中段やや後方。丁度オウケンブルースリと前後する位置。1000m58.8秒-2000m125.5秒と中弛みの流れだったが、ずっと長手綱でブラブラ。この馬の上がり3F34.6秒はデビュー戦以来自身2番目に速い数字。見た目にもしっかり伸びていた。近年の菊花賞は鍛錬で距離をこなす印象が強かったが、上位数頭を別にすれば馬インフルエンザの影響で未だに仕上がり切っていない馬が多く、それで血統が出て来た印象。安定して走るには、もう少しこの馬自身にも鍛錬が必要。

ナムラクレセント

2人曳き。テンション高いのはこの距離で減点材料だが、今日は馬がシャキっとしていた。1周目坂の下りで行きたがったが、それ以外はスムーズ。スマイルジャックが前のペースに連られていたが、これらを見ながらの競馬が出来た。最後は現状の能力差だろう。力は出し切った。

スマートギア

シープスキンノーズバンド。+10kg。少し重心が高く、馬体回復に専念した影響も。この馬にしてはゲート出た事も有り、何時もよりは前から。丁度オウケンブルースリをマークする形。直線向く迄は上手く立ち回ったかに見えたが、そこから手前が替わらず伸び案外。距離はこなせる筈だが、この馬も完成途上という事になろう。

マイネルチャールズ

今季はずっと良い状態。ただ初コースの影響なのか少しイラつき気味。好位直後。道中は結構折り合いに気を遣っていたが、インに入れて直線一旦は先頭に立ったが、そこ迄。この馬の場合はこれが完成形の筈で、距離が長い。

スマイルジャック

2人曳き。+6kg。気配絶好。良い馬になって来た。行きたがるのを無理に喧嘩せず好位から。これはこれで良いのだが、ただ前で暴走したノットアローンを追い掛けてしまったり、2周目4角で既に先頭とロスの多い競馬になってしまった。距離も長いのだが、これなら喧嘩覚悟でガッチリ押さえ込んだ方が良かっただろう。スマートギアやマイネルチャールズは同じ負けるにしても、自分の競馬は出来ていただけに、悔いも残る。

サウジアラビアロイヤルカップ富士ステークス(GⅢ)

サイレントプライド

2人曳き。シープスキンノーズバンド。CFにも出られる馬で、止め絵は悪くないが、歩様に力が無い。ジワッと2番手。今日はこの位置を取ってレッツゴーキリシマを押さえ込み流れに乗ったのが大きい。今春にも述べた様に元々重賞でも楽に掲示板下位の能力は持っていて、持ち前の器用さで押し切った格好。ただ、ヨレたのはデキが甘くてトモに力が無いから。フローテーションの様な馬が来れる京都だけに何ともいえない部分は有るが、基本的には次走用無し。

リザーブカード

ホライゾネット。しっかりした馬体。関西馬ならともかく、関東馬でこれだけ筋肉がしっかり付いている馬は稀。歩様も力強い。中段のイン。出脚では完全に負けていたが、好位勢が固まって流れ、上手くそれらを見ながら競馬が出来た。サイレントプライドが少しモタついて待たされた感は有ったが、バラけてからラスト200mの脚でここ迄。インで脚が矯められた利は相当有るが、前走中山戦はハイペースに潰された感も有り、この辺りなら展開一つ。

バトルバニヤン

背丈の低い馬だが、490kgの馬体。見た目にも張りは有ったが、馬体に幅が有る。コンゴウリキシオーを煽って好位から。サイレントプライドを見ながら、岩田騎手が必死に追っていたが、ジリジリ。新潟で勝った際も今回と全く同じ1.32.8。時計に限界が有る。

エイシンドーバー

-8kg。見た目には問題無い様に映るが、マイナス体重で出て来る辺りがこの馬の難しさ。基本的に夏場は越せない。出脚速い馬だが、レッツゴーキリシマ等も居て無理出来ず6,7番手から。この馬としては位置取りが後ろだった分も有るのだが、それにしても追って案外。年が明けてからだろう。

レッツゴーキリシマ

+12kg。今季は皮膚を薄く見せて毛ヅヤが冴えているのが特徴。ただ、微妙に太い。抜群の出脚で、コンゴウリキシオーの2番手...の筈が、位置取り決まる迄押さえている間にサイレントプライドが2番手を取られ、3番手から。今日はこれが全て。直線、審議対象になった不利も痛かったが、それ以前にもサイレントプライドに蓋をされていた。今日は勝てた競馬。以前思えば折り合いも付く様になり、厩舎の大先輩ダイタクヘリオス程度には出世しそうな雰囲気は有る。次走狙い目。

ショウアンアルバ

シープスキンノーズバンド。キッチリ出来ていた。鞍下の発汗は気になったが、この馬としては仕草に堪えが利いていた。半馬身出負け。多少行きたがっていたが、腹括って後方。直線もイチかバチかでインへ。前が中々開かず、時々ブレーキ踏みながらになってしまったが、際どく迫った。距離延びて良いとは思わないが、追って伸びるイメージが出て来たのは収穫。これも先々明るくなった。

ドリームシグナル

前走阪神戦からデキの良さが目立っていた。また出遅れ。スローで勝ち負けの圏外だったにせよ、伸びてはいるのだが、ショウナンアルバの方が良い脚を使っていて、性能自体に差が有る印象。オープン特別級。

マルカシェンク

-6kg。良い時はもっと馬を大きく見せる馬。今日は迫力不足。1馬身出遅れも、出して中段から。ゲートは時々ポカが有る馬で、それでも脚は使える筈だが、今日はサッパリだった。デキ?

秋華賞(JpnⅠ)

ブラックエンブレム

2人曳き。シープスキンノーズバンド。攻め強化して+4kg。栗東滞在の甲斐は有った。毛ヅヤも良くて馬体の張りも前走阪神戦以上。ただ戦前述べた様に成長度では疑問も。イマイチ出脚が鈍いのだが、出して行って好位のイン。以前は暴走するイメージも有った馬だが、出して折り合えたのは厩舎技量だけでは無く、岩田騎手が前走で一回乗っている分も有ろう。4角早仕掛けするトールポピーとは対照的にジックリ脚を矯め、そのままインを突いたら前が見事に開いた。戦前は期待した馬だが、これだけ時計が速くなると外を回っていては間に合わない。能力そのものはあくまで五分、下手したら少し劣る位の馬。

ムードインディゴ

やはりこれ位の数字で丁度。毛ヅヤも良く、前走阪神戦と見た目は変わらず。出脚で差が有って中段やや後方。道中、徐々に番手を上げ、4角ではブラックエンブレムの直後に居たが、ここでインを突いたブラックエンブレムとは対照的に外へ持ち出したロスが。最後良い脚だっただけに惜しい。戦前は時計勝負でどうかと思われたが、難無く対応出来た。ただ、これも勢いで走っただけで力量自体は五分といったところ。

プロヴィナージュ

2人曳き。歩様も含め、体裁はダート馬。デキ自体は悪くないが。1角の進入は出して2番手も、向正面で果敢にハナへ。結果的にワンペースの競馬になり、小回りで外を回る馬には辛い流れに。自身もダート馬で少しでも上がりが掛かった方が良いタイプ、骨を切らせて肉を断つ競馬になった。同厩ブラックエンブレムもどちらかといえばそういう競馬の方が良い馬。しかも自身3着。小島茂之調教師は佐藤哲三騎手に足を向けて寝られないだろう。

ブライティアパルス

2人曳き。意外に落ち着いていた。トモの張りも良く、中々のデキ。出脚が速く、持ったままでも行けそうだったが、プロヴィナージュとエアパスカルが主張して3番手。道中は折り合いに専念。勝負どころで馬がその気になって少し引っ張るシーンも有ったが、ここで矯めた分、バテたエアパスカルを直線迄交わせなかったのが痛い。その分見た目には終い迄しっかり伸びているのだが、痛恨のハナ差。今日は小島茂之調教師に運が有った。それ以外に無い。

エフティマイア

-14kg。気配自体は悪くないが、多少細い。ジワッと出して好位から。道中はブラックエンブレムと前後する位置。折り合い面は何等問題無い馬で、道中もスムーズに運べていたが、追ってジリジリ。力は当然上位の馬だから、間隔開いて馬体減が敗因になるのだろう。

リトルアマポーラ

+10kg。成長したというよりは単に太い。毛ヅヤや張り含めてデキ自体が悪いという訳では無いのだが。また出遅れて後方から。ただ、人気馬がコーナーで動かざるを得なかったのに対し、直線迄待ってからの追い出し。それでも大外へ持ち出して、競馬が終わった後だったが、最後の脚は一番良かった位。馬体の成長は無いが、能力の一端は見せた。

ソーマジック

+8kg。今日に限って言えば多少太いが、馬振り自体はこの世代上位。毛ヅヤも悪くなく、休み明け思えば上出来。出脚でブラックエンブレムにやられて中段。インに居て、ずっとブラックエンブレムを見ながらの競馬。従って立ち回りとしては悪くなかった筈だが、直線然程伸びず。敗因不明。デキ?

レジネッタ

2人曳き。相変わらずテンション高い。馬振りや手先の軽さも流石と思わせるだけのモノは有るが。折り合いに専念して中段やや後方。ただ、道中一度としてインに入れる場面が無く、向正面で動く最悪の展開。戦前述べた様に、元々良い脚が長く続かない馬、今日はこれでも良く頑張っている方。この8着は底力を見せた8着と見たい。世代レベルの問題は有るが、今日は走れない条件が揃い過ぎただけで、この世代では一番強い。

オディール

2人曳き。毛ヅヤが良く、数字の割にはボリューム感有る造り。出たなりで中段。ただこれも中途半端というべきか、外を回されただけで終わってしまった。安藤勝己騎手もレース後同様の感想を持った様だが、今日の結果だけを言えば極端な乗り方をした方が良かったかも。

トールポピー

2人曳き。-4kg。まだ本当では無さそう。中身が無い。道中は好位直後。1角では頭を上げて行きたがっていたが、2角ではスムーズに。結構積極的に乗られていたが、追って伸びず。この乗り方が合わない可能性も高いが、基本的には今季デキが無い。

府中牝馬ステークス(GⅢ)

ブルーメンブラット

+10kg。多少テンション高いが、この馬とすれば許容範囲。今春辺りから馬体に重量感が出て来たのが何より。出遅れも、上手く馬群の中へ潜り込んで徐々に番手を稼ぐ策。3角では中段やや後方には取り付いていた。ただ4角の手応えは抜群、坂下迄前が開かず苦労していたが、コジ開けてからの脚は見事だった。まあ、GⅠでこの脚が使えるかどうかは怪しいところだが、一つ取り柄が有るのは大きい。

カワカミプリンセス

2人曳き。+12kg。多少太いが迫力有る馬体。それなりに落ち着きも有り、最悪の状態は完全に脱した。陣営が調整を手の内に入れた様子。出脚というよりは行きたがるのを馬任せに行かせた形。アサヒライジングにハナは譲っての2番手だったが、折り合いは付いていた。ただ、アサヒライジングがあまりにも早目にタレてしまい、坂下で既に先頭に立たされてしまったのは如何にも不運。その分、マトモならやられない筈のブルーメンブラットにやられてしまった。今夏の阪神戦を回避せざるを得ないアクシデントも有ったが、状態面に関しては問題無しと見て良さそう。今年の弱い3歳勢なら次走は負けられぬ一戦。

ベッラレイア

+10kg。数字は戻っただけ。中身も有りそうで悪くないデキ。歩様も、多少の硬さは有るが、何時もこの程度。出たなりで中段やや後方。道中は枠なりにインに居たが、坂下迄大人しくしていたブルーメンブラットとは対照的に、外へ持ち出したロスが最後の差になった印象。ただ、ブルーメンブラットとは捌きの差を差し引いても半馬身位決め手の差が有った。同じ+10kgでも、馬体が戻っただけのこの馬と、成長していたブルーメンブラットとでは違ったという事だろう。

レインダンス

ピリッとしない感じも有るのだが、この馬何時もこんな感じ。毛ヅヤが良くて、縦の比較なら良い方。好位直後の外。流れに乗るだけなら二桁着順続きの今春でも出来ていたが、今春は直線で自分から競馬を止めていたのに対して、最後迄諦めずに走っていた。それでも上位馬とは決め手の差が有るのだが、これならメドは立たったと見て良い。

キストゥヘヴン

2人曳き。シープスキンノーズバンド。+6kg。少し太い位にも映るが、それだけ今季はデキが良い。歩様もしっかり。枠順を嫌ったのか積極策。ただその分少し行きたがっていた。直線も意外に伸びず。基本がマイラーという事なのだろうが、調子に乗って行かせ過ぎた分も。

ヤマニンメルベイユ

+6kg。相変わらず歩様が伸びる。前向きな気配にも好感。内からカワカミプリンセス、外からアサヒライジングが行って3番手。一応は道中宥め切った様には見えたのだが、この馬これでは味が無い。ただ、ゲートが少し悪くて、叩く迄は行けなかったのも確か。元々ゲートは速い馬で、注文さえ適えられればここでも通用の馬。

アサヒライジング

2人曳き。元々がそういうタイプだが、今日は何時も以上にテンション高い。馬体はいきなりから出来ている。ゲート五分。逃げ馬の割に出脚が甘く、この枠からカワカミプリンセスを叩いてのハナは苦しい展開だった。ただそれにしても、最下位は負け過ぎ。乗り役に言わせると直線入り口でバランス崩して脚元を気にしていたとの事だが...。

デイリー杯2歳ステークス(JpnⅡ)

シェーンヴァルト

+10kg。下見でホライゾネット。多少太いが、馬は張っていた。前走札幌戦で目立っていた馬っ気も治まり、イレ込みもマシに。出脚甘いが、出して中段。道中は少し行きたがっていたが、インに居て一応我慢が利いた格好。結構流れたが、それでもしっかり伸びてレコード勝ち。まだ折り合い面万全とは行かないが、追ってスッと反応した様に、一戦毎にレース内容が良くなっている点が評価出来る。あとは新潟戦組との相手関係だけ。

ホッコータキオン

シープスキンノーズバンド。デキは間違い無く良くて、上位の馬では有るが、この馬が一番人気に推されるのは正直疑問。出脚鈍かったが、押してハナ。その分、馬が行きたがって1000m通過が57.9秒。ただ、このペースで行った分、他馬に絡まれる事も無く、差し引きゼロといったところだろう。最後は内で上手く脚を矯めた馬にはやられたが、一応スピードで押し切る態勢を造っただけでも上等。下見の雰囲気含めて、そこ迄の馬では無いとは思うのだが、内容は悪くない。

キングスレガリア

数字はほぼ変わらずだが、一息入った影響は有りそう。腹回りをもう少しスッキリさせて、この分をトモに回したいところ。出遅れて後方。インに入れてずっとシェーンヴァルトを見ながらの競馬。位置取りの差だけでシェーンヴァルトと同じ脚は使えている。まだ馬はダラダラに近いのだが、それでこれだけ走れるのだから素質は相当。重賞の一つ位は間違い無く勝てる。

ピースピース

馬体の張りが有って、バランスの取れた馬。ただ、馬振り自体が500万級。出遅れたというよりはアオッて出脚が付かずに後方から。道中は当然内に居たが、直線は大外へ。馬場自体も内有利だったが、レコード決着で外を回っていては余計に厳しい展開。それでここ迄来たのだから評価出来る。見た目は平凡だが、意外に強い?

アラシヲヨブオトコ

2人曳き。下見は堪えが利いている。良く見せる馬が多いマンハッタンカフェ産駒だが、雄大な馬体は今日のメンバーでは抜けた存在。出たなりで中段。ただ道中の手応えがイマイチ悪く、オッツケ気味で直線もジリジリ。恐らく距離もまだ短いのだろうが、時計も速過ぎるのだろう。長い目で見たい。

農林水産省賞典京都大賞典(GⅡ)

トーホウアラン

+8kg。上位馬と比較して、歩様に力が無い。馬も迫力不足。道中は中段のイン。多少行きたがっていたが、ずっとアイポッパーを見ながらの競馬。開幕週でインを立ち回った利が相当有るとはいえ、アイポッパーも同じ様にインに居た訳で、それを差し切ったのだからまずまずの内容。ただ、こちらには一回叩いた強みが有った。アイポッパーもGⅠの馬では無くなっていて、過大評価もどうか。

アドマイヤモナーク

チャカつく。ただ、レースに行けばズブい位の馬で、むしろこれ位の気合で丁度。ゲートは五分だが、下げて折り合いに専念。3角でアルナスラインだけ閉じ込めて、自分は何時でも動ける位置。アルナスラインにやられる展開だけは避けようとポケットを壊さぬ様にしていた分、仕掛けが遅れた印象。最後、良く伸びてはいるが、コースロス無く立ち回ったトーホウアランには僅かに届かず。今日の様に他のアドマイヤの人気馬に隠れ、過少評価されがちな馬だが、今日は上等の内容。もう少し出脚が来るとGⅠでも面白い馬なのだが。

アイポッパー

東京のサクラメガワンダー同様、悪い時にはコズミが出易い馬。この歩様なら文句無し。毛ヅヤもピカピカ。ポップロックには出脚で勝っていたが、枠順の関係も有って無理せずこれを見ながら。一旦は先頭に立って自分の競馬は出来た。トーホウアラン程度にやられたのは不満だが、休み明けを差し引いても現状の力がこの程度。これで良しとすべき馬。

メイショウカチドキ

バランスの取れた馬だが、馬振りでは差。出遅れて後方から。折り合い付いて、道中はずっとイン。4角外へ出そうとしたのを出し切れず、切り替えて結局は内から。余計な事が有った割には僅差迄追い上げて来た。フロックでも何でも無く、実力馬が完全に復調成ったという事だろう。今年から産駒がデビューのネオユニヴァース世代の馬だが、3年間休養していた事も有った。幾ら素質が高くて、調教技量の進歩も有るにせよ、生産頭数に比例して馬自体のレベルが確実に落ちて来ている。

アルナスライン

+6kg。多少太いが、最近はこういう馬。緩んだところも無く、休み明け思えば上々。出遅れて後方。何時でも外へ出せる様に外へ持ち出した筈が、外にアドマイヤモナーク,前にアドマイヤジュピタでポケットに嵌められる形。最後は良く追い込んでいる方。ただ逆に言えば乗り役からも一目置かれる存在の馬という事だろう。中々重賞一つが勝てないが、GⅠでも充分勝てる馬。

ポップロック

馬が軽いというべきか、少し重心が高い様に映るのは気になったが、見た目は決して悪くない。アイポッパーとの出脚競争では負けそうになっていたが、押して何とか2番手。ただこの影響も有って道中ずっと行きたがっていた。4角も、待ち切れずに前へ並びかけて行った格好。地力で0.3秒差には踏ん張っているが、大敗に近い。トールハンマーやグリーンアラモードの様な短距離馬も多いエリシオ産駒、距離適性が短目にシフトして来た可能性も有るが、出脚が鈍っていただけに単なる衰えという気も。

アドマイヤジュピタ

2人曳き。-14kg。数字程細いとは思わないが、中身が無い様な造り。それよりも今日はイレ込みが目立った。好発も、直後にトーホウアランと接触して躓く。この分出脚が鈍く、道中はトーホウアランと前後する位置。ただ、追ってからが全く伸びず。このスローで1秒以上負けていては話にならない。結局、立て直すという話だが、賢明だろう。

毎日王冠(GⅡ)

スーパーホーネット

完歩の小さい歩様は相変わらずだが、キッチリ出来ていた。好発。最悪はハナも覚悟していただろうが、ウオッカが行ってくれて好位から。インでずっと脚を矯め、坂下からウオッカ目掛けて追い出す格好。ウオッカもラスト1F12.0秒だから決して止まっておらず、この馬の瞬発力で捕まえた。この相手で勝てば上等と見て良いが、この馬あくまでトライアルホース。本番は良くて2着迄。

ウオッカ

まだ貯金は残っているのだが、成長の無さが露呈して来た。実況の慌て振りはともかく、出脚が抜群に速い馬でこの枠、しかも武豊騎手なら充分想定内のハナ。一応道中はこの馬にしてはスムーズに映ったが、基本的に早目に抜け切った経験の無い馬で、最後捕まったのはその分も有ろう。従って、この辺りの距離なら変わらず現役屈指の存在となるのだが、今日の競馬で、次は確実に差しに回らなければならなくなったのと、前述した様に成長度に欠く点。この2点が本番でどう出るか。

アドマイヤフジ

+8kg。ユッタリした造りに好感。これだけ踏めていれば歩様も充分。1800mの出脚では無いが、出して行ってウオッカとスーパーホーネットの間から。最後は瞬発力の差だが、人気が示していた通り、良く走ったといえる方だろう。中々良いデキが維持出来なかったり、馬場が合わなかったりで、色々煩い面も有るのだが、GⅠで掲示板下位、GⅡなら勝てる力は充分持っている。

サクラメガワンダー

悪い時は歩様に硬さが出る馬、それが無いだけで上出来。ただ、多少余裕の有る造り。アドマイヤフジの位置で競馬したかった筈だが、好発切ったスーパーホーネットが控えて中段から。この馬なりに伸びてはいるが、流石にスーパーホーネットと同じ上がりは使えず。出脚で器用さ活かすだけの馬で、真っ向勝負ならGⅢが一杯。

カンパニー

-16kg。発汗の跡は有るが、ガレた印象は無い。頑張って出したが、この枠では中段やや後方。行って差したで決まる展開、中段より後方に居た組では最先着。3F33.2秒で上がっているのだから仕方が無かろう。このレース、開幕週だから特にそういう傾向だが、「府中千八展開要らず」は完全に死語。

オースミグラスワン

-16kg。これ位で丁度に映る。ただ、太い状態でも条件揃えば走っていたのも確かで、判断し辛い。珍しく好発。例に依ってトリプルジャンプの様な走法だが、道中も10番手位だから何時もよりは俊敏に動けていた。直線もしっかり伸びている。また別の弊害が有るのかも知れぬが、機動力だけを言えばこれ位の数字の方が良い。