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競馬回顧 2008年5回阪神・5回中山

有馬記念(GⅠ)

ダイワスカーレット

2人曳き。今日は何時ものこの馬。無駄な仕草が無かったのが何より。好発。インからカワカミプリンセスが仕掛けて来たが、これを制してハナ。例に依って序盤の折り合いは怪しいが、今日は下見で落ち着いていたのと行き切って競られなかった分で我慢は利いている。3角過ぎからメイショウサムソンが並び掛けて来て、競馬が通常より早く動いているが、全て振り切って押し切った。この馬の肝は出脚の成長と乗り役の自信。中山2500mの外枠でハナへ行くにはこの2点が無いと無理。スタート直後の50mが1/4馬身速いだけで位置取りが数馬身簡単に違うが、競走馬のレベルが上がり前も簡単には止まらなくなった現代競馬で、他馬より数馬身伸びるのは簡単ではない。そういう意味では現代競馬の申し子と言えよう。「テンションの高かった天皇賞の時より落ち着きがあっていい雰囲気だったから、今日は安心していられた。逃げ馬のいないメンバー構成だったので、自分からハナへ行ったけど、それほどペースを緩めなくても終い、もうひと踏ん張りしてくれる馬だからね。馬の力を信じて自分のペースで運んだよ。4角で他馬がきた時も、まだ手応えは十分だったし、この馬の力を見せられたと思う。まだまだ先のある馬。今後も応援して欲しい。(安藤勝己騎手・週刊競馬ブック)」

アドマイヤモナーク

オーストラリアンブリンカー。今季絶好調。馬体に張りが有って、歩様に硬さが無いのが何より。毛ヅヤもピカピカ。ダイワスカーレットに連れる様に好発も、下げて最後方から。ダイワスカーレットを目標に、各馬早仕掛けして追っ掛けバテする中、4角外へ持ち出してバテない強みを活かし切った。前走東京戦も前が止まっていないだけで、上位馬とも同じだけ伸びていた。今季初っ端の京都戦で述べた様に、出脚が無い分着順が安定しないが、能力はGⅠでも足りる馬。

エアシェイディ

2人曳き。+6kg。少し太い様にも映るが、下手に減るよりは良い。今年何度も述べている様に馬体に重量感が来たのが大きい。行ける出脚は有る筈だが、中段やや後方で脚を矯める策。比較的コースロス無く回って来れたのと、マツリダゴッホがマクッて4角外へ出せるスペースが出来たのが大きい。最後アドマイヤモナーク相手に伸び負けたのは距離適性の差だろうが、以前は競馬を投げるケースも多かった馬。今年は精神面で強くなった。

ドリームジャーニー

2人曳き。+10kg。馬体は太目感無し。歩様が微妙な気もしたが、それなりのスピードで歩いているので許容範囲。出遅れ。折り合いに専念して後方のイン。一応我慢は利いていた。4角行き場が無く、多少強引だったが、マツリダゴッホとエアシェイディの間をコジ開けて伸びて来た。脚質だけでは無く、ステイゴールド産駒らしく馬体重が安定しないのがネックの馬だが、マトモならそこらのGⅢ級よりは遥かに強い。あとはデキの問題。

スクリーンヒーロー

2人曳き。シープスキンノーズバンド。今季は好調キープ。スタート直後は好位取ろうと出していたが、他馬がそれ以上に速く、諦めて待機。3角過ぎにマツリダゴッホがマクる素振りを見せたが、叩かれるのを嫌って一緒に動く策。ただ、流石にこれは早仕掛け。坂下迄は2着態勢だったが、そこで止まった。今日の経験を今後の糧に。

アルナスライン

2人曳き。+14kg。毛ヅヤも一息だったが、レースに影響しそうな腹回り。ゲートも少し悪かったが、出脚で負けて中段やや後方。4角の手応えも一息で置かれ掛かっていたが、直線はそれを思えば渋太く伸びていた。今日は評価の難しい内容だが、圧倒的1番人気に推された初っ端の京都戦を落とし、未だ重賞勝ちの無い馬。何が弱くて運の無さも感じるのは確か。

マツリダゴッホ

シープスキンノーズバンド。毛ヅヤは良くなって来たが、良い時はスカッと見せてトモに張りが有った。スタート直後の位置取り争いが激しくなり、外枠で折り合い課題のこの馬には無理は出来ず、後方から。それでも自分のレースはとマクりは打ったが、内からスクリーンヒーローに併されて、ダイワスカーレットの影も踏めずに止まってしまった。何度も述べている様に、奇襲はあくまで奇襲。毎年同じ様には行かない。

ラジオNIKKEI杯2歳ステークス(JpnⅢ)

ロジユニヴァース

+10kg。前走札幌戦が+26kgで悲惨だったが、更に増えて出て来た。ただ、今日は馬に張り。合計36kgが全て成長分。出脚というよりは掛かり気味に2番手。ただ、結果的にリーチザクラウンにプレッシャーが掛かり、リーチザクラウンがオーバーペース気味に。4角他馬が外から来た際に一旦脚を矯め、追い出してからはしっかり。馬体もそうだが、以前は追って頭が上がっていた事を思えばこの点でも成長が有る。ザッツザプレンティに似た馬。もう少し序盤の折り合いをスムーズにしたい。

リーチザクラウン

-4kg。また馬体減。馬振り良いので目立たないが、ギスギス感は有る。出脚速くハナ。ただ、ロジユニヴァースが掛かり気味に来て、1角落ち着くべきところでペースを上げざるを得なくなり、1000m通過が1分切るペース。今日の馬場でこれは速過ぎた。4角矯めるべきところでも各馬の追撃が早く、馬体減でパワーダウンしている中、阪神の坂は如何にもキツい。今日は負けるべくして負けた印象。基本が非力な馬にこの馬場も可哀相だったが、まずは馬体回復が先決。

トゥリオンファーレ

2人曳き。まだ弛んでいる印象。仕上がり途上。出脚五分で1角に突っ込んでしまい頭上げる場面も有ったが、そこからは離れた好位でスムーズ。真っ先に動いたイグゼキュティヴに連れて、最後止まったにせよ、リーチザクラウンには食らい付いていた。今日の状態でこれだけ走れれば上等。GⅢ辺りなら充分勝ち負け。

マッハヴェロシティ

-6kg。叩いて締まって来た。馬振り上々。1角でトゥリオンファーレと接触して後方から。3〜4角イマイチ反応が悪かった割には直線伸びているが、半ば競馬が終わった後だった。ただ、乗り役の話では3角でフォームがおかしくなったとの事。故障で無ければ良いが。

イグゼキュティヴ

2人曳き。-8kg。毛ヅヤとトモの盛り上がりが落ちて来た。出脚は有る馬だが、前走京都で控えて結果が出た事も有り、中段から。ただインを突いた前走とは違い、今日は思い切って早目の進出。最後は止まったが、この辺りは賞金面の余裕が有った分も有ろう。デキ落ちは気掛かりだが、上手く立て直せれば。

阪神カップ(JpnⅡ)

マルカフェニックス

少しイラついている様にも映ったが、一回使ってデキ自体は良化。トモの甘さもマシに。出脚は有るので好位から。この馬場で最内を避けつつ、外を回らされずに済んだ。4角回ってスプリングソングとの併せ馬に競り勝って、ファリダット以下も退けた。前走京都戦は外回ったにしても物足りなさ有ったのだが、それだけ良化していたという事だろう。名前だけで無く、体型的にもスズカフェニックスに似た馬で、マイルでも折り合い一つ。

ファリダット

2人曳き。落ち着いていて、馬体に幅が有る。ゲートは出たが、折り合いに専念して中段やや後方。何時もながら、リラックスして追走という訳には行かない。人気でも有り、大事に外を回って来たが、このクラスで道中にロスが有ると中々勝てない。大分マシにはなって来たが、まだタレント性優先の馬。

リザーブカード

パシュファイヤー。張りがもう少し。馬振りは例に依って悪くないが、デキだけなら及第点レベル。例に依って下げて後方から。マルカフェニックスを追う様な形で、馬場の良いギリギリを通って、ここ迄。この枠にしては最高の立ち回りが出来た感は有るが、力量自体もこの相手なら遜色無い馬。

スプリングソング

大物感は無いが、変わらずキリッとした造り。ただ、少し硬さが出て来た。今日はゲート五分。例に依って出脚も速いのだが、この枠とこの距離でも有り、ある程度折り合いも意識しながらの追走。ただ、今日は4角の手応えがイマイチで、その分追ってからもジリジリになってしまった。距離もギリギリだが、稍重の前々走京都戦辺りにしてもジリジリ感有っただけに、渋い馬場は良くなさそう。

マヤノツルギ

2人曳き。歩様に勢いが無いので地味に映るが、デキ自体は叩いて順当に良化。好発。出脚も速かったが、レッツゴーキリシマが行って楽に2番手。従って展開的には絶好だったが、その割に甘かった。距離も有るのだが、現状はこの程度の馬。

レッツゴーキリシマ

+10kgは気にならないが、歩様に硬さが出て来た。半馬身出負けも無理矢理ハナ。Bコース替わりとはいえ、渋化残る馬場でこの展開は如何にもキツかった。デキ落ち感有るので、一度立て直すのが条件にはなるが、今日は参考外。

エイシンドーバー

2人曳き。歩様に硬さが無いのが何より。雰囲気含めてゾーンには入っている。スタート直後に躓いて後方から。出脚勝負の馬がこの段階で辛いのだが、元々がこういう馬場では走らないタイプ。これも参考外。デキは良いので次走狙い目に。

朝日杯フューチュリティステークス(JpnⅠ)

セイウンワンダー

2人曳き。+10kg。相変わらず馬振りは抜群。毛ヅヤも良かったが、今日は一枚重い。ゲート五分。位置取り確保するのに頑張った分序盤少し行きたがったが、シェーンヴァルトより前で競馬出来たからこれで正解。4角インを突いて、坂を上がって先頭、フィフスペトルの猛追を凌ぎ切った。ただ、今日は追い出して頭が上がり気味。その分、良い脚が長く続かなかった印象も。中間一頓挫が有って満足な調整が出来なかったのは確かだが、前走新潟での強さを思うと物足りなさは有る。

フィフスペトル

寸詰まりの馬だが、トモの張りも良く、毛ヅヤもピカピカ。出脚で勝負するタイプでは無いので、出たなりに中段。この枠は外々回らされる展開も多いのだが、ソコソコ流れて外を回らされずに済んだのが今日は大きかった。4角、早仕掛けのブレイクランアウトを一旦行かせて坂下からの追い出し。キングカメハメハ産駒は良い脚が長く続かないという話も有るのだが、少なくとも持ち味は活かし切った。まあ、この馬も寸詰まりの馬体で距離に関しては2000m迄だろうが、マイラーとしては上級。

ブレイクランアウト

2人曳き。+10kg。まだ増えても良い位。気配も上々。出脚も無かったが、決め打ちの後方待機策。ただ、4角手前から外を回して、同馬主フィフスペトル迄叩いたのは如何にもやり過ぎ。前走東京戦の際に述べた末脚の持続性もこれなら問題無さそうで、自身は良く踏ん張っていると言えるのだが、フィフスペトルとセイウンワンダーとの差がもう少し際どくなっていた可能性も有った。リハビリでJpnⅠ、馬主にとっては堪ったモノでは無い気もするのだが。

ホッコータキオン

シープスキンノーズバンド。少しトモが付いて来ない感じが有るのがマイナス。人気背負って無理は出来ないのだが、先行したかったのは確かで、ジワッと好位。ただ、ハナ切れば別だが、このペースでソコソコ先行して、トモが甘い状態で坂を上れというのは流石に酷。今日は仕方が無いといったところだが、外枠に泣いたという論調がチラホラ。内枠から先行しても中山の坂越えは無理だった筈。次走人気になるなら良いお客さんに。

ピースピース

例に依って馬は条件級。ただ、今日は歩様に硬さが出て来た。1馬身出遅れたが、戦前から矯めて乗りたかったとの事で後方から。時々行きたがる癖を覗かせるのだが、今日は折り合っていた。4角外へ回して、一瞬はフィフスペトルとも変わらない脚だったが、坂を上がるところで突き放された。ただ、デキ落ちの現状では良く走っている方。成長すればの条件付だが、重賞も視野に。

ミッキーパンプキン

歩様が伸びるのが何より。完成度で他馬と差は有るが、現状のデキとしては最高に近い。この枠で逃げたかったところだが、乗り役の腰が落ちて出脚が鈍ったのと、更に速いツルマルジャパンやゲットフルマークスが行って好位で我慢させる形。まあ、これでも勝てる馬は勝てる筈だが、追って伸びる馬では無いので、雪崩込んだだけでここ迄。ただ、平和島よりはイン有利な中山マイル、戦前は逃げ馬の1番枠で人気になっていただけで、これでも良く走っている方。

シェーンヴァルト

毛ヅヤは良いが、姿勢が高くトモが甘い。好発も出脚が無く後方から。セイウンワンダーの項で述べた様に、セイウンワンダーの後ろでは流石に競馬が後手過ぎたが、この辺りは折り合いに課題有る馬の弱さ。追ってもジリジリ。乗り役の乗り方もマズかったが、前走京都戦の際にも触れた様に、今年は新潟戦組のレベルが高過ぎた印象。

ゲットフルマークス

2人曳き。相変わらず馬は抜群。ただ前走東京戦よりイレ込みがキツい。発汗も目立った。抑えの利かないツルマルジャパンがハナへ行っての2番手になったが、この形ではどうしても前を追い掛けてしまう。戦前述べた様に、行ってしまうツルマルジャパンが居たのがマズかっただけで、ハナさえ行ければ渋太い馬。今日は度外視。

農林水産省賞典愛知杯(GⅢ)

セラフィックロンプ

下見だけならコレ。皮膚を薄く見せて馬に張り。首でリズム取って気配も上々。出脚速く、出たなりで好位直後。折り合い課題の馬だが、スムーズに流れに乗っていた。結果的に通った位置が馬場の良いギリギリのところ。ここをスムーズに回って来れたのが大きかった。ただこの馬、トビが大きく、飛距離で勝負するタイプ。条件戦の芝は小回りコースが多く、この馬には不向きな面も有った。デビュー当時、長い距離も使われていたが、この走法なら納得の使い方。広いコースで折り合いさえ付けばもう一稼ぎ出来る。

チェレブリタ

これも下見で良く見えた一頭。バランスの取れた造りで、気配も良かった。出脚もイマイチだったが、ガッチリ抑えて後方から。腹括ってインに入れ、直線も内から。良い脚が一瞬しか無く、唯でさえ距離延長が良くないブラックホーク産駒、今日はこの策しかないのだが、それが軽ハンデでハマッた格好。小回り向きはそうだが、これはあくまで条件揃っての好走。ピッチ走法なので荒れ馬場も然程苦にしない。そう簡単に次は無いと見るが。

マイネレーツェル

トモの丸みも有って、前走京都戦の状態は維持。この枠でも有り行く気無く後方から。意外にコーナーの脚が無いステイゴールド産駒、勝負どころで外から追い上げる形は本意では無かっただろう。大外回った分も有るが、コーナーで他馬以上にガソリン消費している分、追ってからがジリジリだった。ハンデと今日の展開なら地力示したという見方で良いだろう。この辺りの相手なら性能上位。

アドマイヤスペース

イレ込み。姿勢高いのも気になった。ゲートは出たが、下げて後方から。ずっとマイネレーツェルの後を追う形でここ迄。重賞は今夏の札幌戦に続いての4着だが、4kg差有ればマイネレーツェルは捕まえて欲しいところ。基本は圏外の馬だが、これもセラフィックロンプ同様トビが大きくて不器用な面が有る。広いコースで是非一度。

トウカイルナ

2人曳き。毛ヅヤは仕方無いところだが、馬体の張りは維持していて、走れる状態には有る。内外に出脚でやられて中段やや後方。これもチェレブリタ同様ずっとインに居て直線もインから。一瞬オッという反応だったが、現実としてチェレブリタが同じ競馬をして先着した以上、高い評価はし辛い。平坦走るのは確かだが。

レインダンス

-8kg。今季歩様がしっかりして本格化。ただ、今日は馬体減にも関わらず、緩い様にも映る。デキ落ち。出脚でやられて中段やや後方。道中はスムーズだったが、追って一瞬反応したところで止まってしまった。。もう少し馬場が良いと話は違って来るのだが、基本線が決め手が甘く非力な馬で、位置取り厳しくなって、荒れ馬場ではキツい。デキ自体も落ちているだけに、一度立て直した方が。

農林水産省賞典阪神ジュベナイルフィリーズ(JpnⅠ)

ブエナビスタ

トモの張りは目立つが、それ以外は平凡な馬。出遅れて後方から。ジックリ乗って普通に外回って直線突き抜けた。逆手前で坂を上り、再び戻している辺りに、まだ甘さも見え隠れするのだが、兎に角強かった。1勝馬だけに、戦前は競馬にならないパターンも考えられたが、単純に次元が違った感。トモの駆動角度の広さがこの馬の肝。ただこの手の馬は故障が多いのも確かで、如何に無事に行けるか。

ダノンベルベール

2人曳き。シープスキンノーズバンド。この時期の2歳牝馬という面を差し引いてもトモが甘い。出脚悪くなさそうだったが、無理せず中段やや後方。中段のインがゴチャつく場面が有っただけに、これが大正解に。4角手前で外へ持ち出して、直線もしっかり伸びていた。まあ、ブエナビスタ以外はそこ迄の差は無い気もしないでもないのだが、トモが甘い現状でこれだけやれるのだから潜在能力は高い。

ミクロコスモス

シープスキンノーズバンド。馬はここでも上位だが、歩様に伸びが欲しい。ゲートは出ているが、行く気無く後方から。丁度ブエナビスタを追い掛ける形で4角外へ持ち出したが、暫くモタついている間にブエナビスタが遥か先に居た。それでも最後の脚は目立っていて、1戦1勝の馬がこれだけやれるだけでも上等。あとは揉まれた時がどうか。今日の競馬で人気になる様だと嫌ってみたい気持ちも有るが。

ショウナンカッサイ

一息入ったが、毛ヅヤ冴えて張りも有った。好調。一瞬はハナも覗かせたが、他に主張する馬が居て好位。この辺りの兼ね合いは上手く付いていて、ペースも大して速くなかったが、外から次々に3頭。今開催は比較的外が利くにしても、物足りなさは有る。時計に課題。

イナズマアマリリス

馬体が減らなかったのが何より。重量感が残っている。テンションの高さも前走京都戦よりはマシ。外から行った馬が多く、無理せず中段。ただ、マトモにゴチャつく位置に。直線も中々前が開かなかったが、相手からはジワジワ伸びている。前走京都戦は恵まれた印象も強かったが、今日の内容なら世代上位の存在と見て良い。

カペラステークス(JpnⅢ)

ビクトリーテツニー

バランスの取れた馬体。毛ヅヤも冴えていた。行かないだけで意外に出脚有る馬だが、何時も通り後方。道中はインに居て、直線だけ外へ。4角、もう少しタイミングが間違っていたら出せなかったのだが、ここでスムーズに出せたのが大きい。前半3F通過32.7は、ダートに限って言えば恐らくは日本競馬史上一番の猛ラップ。流石に前も止まってズブズブに。今日は展開利大。時計も馬場状態の問題だろうが、歩様の硬さも解消されて、この時計で走れるなら芝でもやれる筈。ダートの追い込みはアテに出来ないが相場、ダートで消して芝で狙い目に。

スリーアベニュー

-6kg。毛ヅヤがまだ一息。馬の造り自体は悪くないが、絶好調では無い。出脚も無いが、挟まれた分も有って最後方。それでも展開的にはハマッたが、前述した様にビクトリーテツニーに外へ持ち出されて、その後を追う形になったのが痛い。尤も、最後突き放された様に、まだこの馬自身も本当では無いのだが。

フジノウェーブ

2人曳き。オーストラリアンブリンカー。地方馬に有り勝ちなカリカリしたところが無いのは流石。馬体にも張り。出脚は少し分が悪い程度だが、無理せず好位でジワッと。4角前が詰まってロスは有ったが、この辺は58kgを背負って一瞬の脚が鈍くなっている分も。その辺り踏まえれば今日はかなり強い内容。流石JpnⅠ馬。地方馬がこの時計で走ったのも立派。

リミットレスビッド

-7kg。微妙に年齢を感じる部分も有るのだが、皮膚が薄く、現状望み得るベストの状態。歩様の硬さも気にならず。半馬身出負けも枠の利で中段。内で脚を矯め、直線馬群を割ってジワジワと。9歳馬がこれだけ走れば上等。

ナンヨーヒルトップ

毛ヅヤは良いが、少し太い。乗り役に言わせると砂を被って嫌がっていたとの事だが、頭が高く道中は追走で一杯。ただ、直線暫く前が開かなかった割に、追って伸びていた。今日はペースも有るが、距離も短いだろう。1400m辺りで改めて。

トロピカルライト

気配は上々。ただ少し太い様も見える。出脚では勝っていたが、ウエスタンビーナスとマトモに競り合って4角迄。ただ、それを思えば今日は踏ん張っている方だろう。次走ウエスタンビーナスさえ居なければスンナリ行ける筈で狙い目に。

中日新聞杯(JpnⅢ)

ヤマニンキングリー

元々見栄えする馬だったが、毛ヅヤが良く今日も変わらず良い状態。外枠の馬が皆前に行き、先行激化を嫌って中段。4角右手前で回り直線向いて左手前と、モタつく場面も有ったが、右手前に替えてもう一伸び。完勝といって良い内容。このパフォーマンスならGⅡ迄は何とかなりそう。

フサイチアソート

シープスキンノーズバンド。元々スカッと見せるタイプで、これでもしっかりして来た方。歩様が伸びていたのも好感。マンハッタンスカイに叩かれるのを嫌って抵抗している内に好位のイン。この枠にしては最高の競馬が出来た分も有るが、小回り向きの瞬発力が無く、その分の負け。この位の相手なら展開一つ。

イケトップガン

毛ヅヤは良いが、使い詰めで歩様に硬さが出て来た。出脚も無かったが、行く気も無く最後方から。小回りで大してペースも速くないのだが、にも関わらず前が開いてここ迄。インを突いた利は有るにせよ、良い決め手が有る。ただ、1000万を57kgで勝って52kgは通常より1kg恵まれていた状態。頭が高く、良い脚が長く続かない印象も有って、次走準オープンで人気になるようなら嫌ってみる手も。

オペラブラーボ

シープスキンノーズバンド。連勝馬らしい充実した馬体。絶好調。好発。ただ、外枠の馬に叩かれる展開になり、好位直後。これはこれで良いのだが、戦前述べた様に左手前での走りが怪しくて3角からの脚が鈍く、直線入り口でゴチャつく位置に。最後右手前に替えてから伸びている様に脚は持っているが、左回りなら広いコースの方が良い。

センカク

多少太いのかも知れないが、皮膚の厚さは感じさせず、決して悪くない。マンハッタンスカイの先行策に乗って2番手。スムーズに流れに乗っていても、最後は決め手の差だが、中京は走る。

ジャパン・オータムインターナショナルジャパンカップダート(GⅠ)

カネヒキリ

見た目は絶好調時のこの馬。馬体が締まって気配一変。持ったままで好位取れる出脚。いつの間にかインに納まっていた乗り役の判断も見事。恐らくは右回り初体験のティンカップチャリスが4角外へフクれたのも計算通りだっただろう。最後は詰められたが、サクセスブロッケンとの間を割って快勝。展開も向いたが、こういうところで勝てるのが底力。ただ、競馬では判定負けといったところ。東京マイルはベストコースだが、今回勝って目標感喪失の嫌いも有って。

メイショウトウコン

この数字でも太く見せず完全に本格化。例に依ってゲートモッサリで後方から。3角過ぎからヴァーミリアンを目標に動いて行ったが、以前にも述べた様に回り脚が速く、4角ヴァーミリアンの外を回って前に出るのだから中々。時々走らない時が有るが、今年は充実の一年に。

ヴァーミリアン

+12kg。ダートならこれでも力は出せるが、太いのは確か。元々ゲートも出脚も鈍い馬だが、更に1角でゴチャつき、中段やや後方。4角外を回って良く追い上げたが、僅かに届かず。ただ、今日は一枚太い分も有り、競馬では遜色無いと見て良い。考えように依っては、打倒カネヒキリという良い目標も出来た。これがこの馬を更に強くしてくれそう。

サンライズバッカス

毛ヅヤ含めて馬は悪くないが、歩様が硬く前に進まない。この影響なのか、出脚が鈍くて後方から。これもヴァーミリアン目標の競馬だったが、メイショウトウコンの様に強力な回り脚が有る訳も無く、差が詰まらぬまま終わった。これが現状の能力差だろうが、それでも4着。今日の好走で微妙な面は有るにせよ、意外に人気にならず、GⅢ辺りなら結構馬券的妙味の有る馬。

ブルーコンコルド

見た目は好調時と変わらず。取り立てて良いという訳では無いが。出脚速いフリオーソに叩かれ、立て直してからの競馬で中段。4角手前でカジノドライヴが動いた際に付いて行ければ良かったが、ここでモタついたのが痛い。直線はジリジリ来てはいるが、これも往時の脚は無い。

カジノドライヴ

2人曳き。数字の割に重量感が無い。良く言えばバランス取れた馬体という事になるのだが...。ソコソコ流れたが、むしろ掛かる位の行き振りで好位から。4角絶好の手応えで進出し、一瞬やったかもそこ迄。ダートの基本は経験値か勢い。この馬は若いだけで両方共が無かった。ただ、米国遠征もそうだが、今日の経験は当然今後に生きる。下見で感じる重量感の無さも、カネヒキリやサンライズバッカスの3歳時もこんなモノだった。来年は王者として君臨するシーンも。

サクセスブロッケン

2人曳き。頭が高く、まだトモに力が付き切っていない。ゲート少し悪かったが、行きたがって2角でハナ。これでは競馬にならない。今日の悲惨な競馬なら、むしろ良く粘っている方だろう。これも経験値積めば変われる筈。

農林水産省賞典鳴尾記念(GⅢ)

サクラメガワンダー

2人曳き。+6kg。多少太い気もするのだが、悪い時はギスギスしていた事を思うとこの方が遥かにマシ。出脚は一番速い位だが、この枠でも有り無理せず中段。毎回スローの阪神外回りにも関わらず、今日は珍しく流れた事も有るが、内に入れずに横綱相撲。ラスト1Fで先頭に立つとその後も脚勢乱れず3馬身差。馬場が乾いたのも良かったが、文句無く完勝。確かに今夏の阪神戦が一味違う内容だったが、今年はワンランク上のステージに。

ナムラマース

2人曳き。ツル首で集中力。多少太いが、毛ヅヤが良く力は出せる。ゲート出たが、出脚が鈍く後方から。この馬の場合はこれしか策が無いので止むを得ぬが、それよりも今日は4角の捌きが下手。ドリームガードナーが前でフラフラしていて、立て直している間にサクラメガワンダーとは途方も無い差が付いていた。この馬に今更器用さを求めても無理なので、もう少し乗り役が助けてやらないと。

ドリームガードナー

造りにメリハリが無い。毛ヅヤも一息。行ける出脚は有る筈だが、急かさず後方。丁度サクラメガワンダーを見ながらの競馬になったが、4角から坂下に掛けてフラフラしてモタつき、一瞬の内に離された。意外に渋太い脚という感も有るが、直線向いてからも手前が替わらず。もう少し成長が欲しい。

ノットアローン

下見は堪えが利いている。キレの有る馬体も変わらず。出たなりで好位から。ソコソコ流れたのと、前に馬が居た分は有るが、我慢はしていた。ただその割に、追ってからがジリジリ。先行勢では最先着だから悪くない内容という見方も有るのだが、微妙な物足りなさも残る。

スウィフトカレント

良い時の皮膚の薄さが戻って来た。大人しくなったのは年齢の影響が大。出遅れ半馬身,出脚の無さも半馬身で後方から。イチかバチかでインを突いたが、暫く前が壁になっている間に外から上位馬がチギっていた。ただ、良い時の掛かる行き振りが戻って来た上で、最後迄諦めずに走っていた点に好感。年齢的な衰えは否定出来ないが、完全復調。

キャプテンベガ

これでも歩様がしっかりして来た方。毛ヅヤが良く、現状としては良いデキ。出遅れて後方から。ただ、何時もと違う競馬に戸惑ったか、行きたがって全く流れに乗れず、4角も変に外に出して、全く競馬にならず。参考外。

スポーツニッポン賞ステイヤーズステークス(JpnⅡ)

エアジパング

寸詰まりで、腹回りも若干余裕残し。冬毛も出ていて、下見は一息。ここなら出脚上位だが、インだけ確保して中段で折り合いに専念。序盤は行きたがっていたが、丁度1周回った辺りでハミが抜けた。直線、フローテーションとの叩き合いに持ち込み、最後は道中ソツ無く回った分で先着。能力云々よりも立ち回りの差で決まった印象が強い。まあ今日は、同じくインに居たトウカイエリートやベンチャーナインよりは強いといった程度。以前はこの策が決まらない印象も強かったレースだが、これが決まるのは馬場が良い分も大きいだろう。このレース、最終週に施行した方が面白い気もするのだが...。

フローテーション

馬自体は然程変わらずだが、意外に歩様がしっかりしていた。この距離で他馬が折り合いに専念する中、馬なりで好位。道中も、ほぼ馬なりで走った結果、番手が上がり1周目3角でハナ。ただ、これが1番人気の辛いところで、後続もそれなりに付いて来て、ラスト1000mで競馬が動いていたのでは流石に楽ではなかった。それでも3着以下には3馬身差付けており、及第点は充分やれる内容。まだ肝心なところでモタれている様に、本質的には非力なタイプ、今後ハンデを背負った時が課題になるが、坂の有るコースをこなしてファストタテヤマの域は脱出。

トウカイエリート

-8kg。条件馬時以来の480kgだが、スカッと見せてこれはこれ。生きる化石、テイオーステップも何時も通り。エアジパングに出脚でやられ、インでこれを見ながらの競馬。この馬も少し行きたがっていた。ただ勝負どころの脚でエアジパングとは差。これで次走人気になるなら良いお客さん。

ベンチャーナイン

2人曳き。+18kg。見た目にはそこ迄太くない。集中して歩いていたのも好感。最初から行く気が無く、1周回った時点では最後方。道中インを回って、一旦トウカイエリートより前に出掛かったが、差し返された。折り合い課題の馬が、この距離でも我慢した形になるが、このパターンでは問題解決とは言い難く、今日はイン有利の馬場で賞金稼いだだけ。

ドラゴンファイヤー

近走と変わらず。毛ヅヤも落ちておらず及第点は充分。出たなりで中段やや後方。気負わずダラけずの走りで、道中は悪くなかったが、勝負どころで外回した上に、元々回り脚が無い馬。競馬が終わった後だが、最後の脚は1頭違っていて、まずまずの内容。気分転換の芝出走だったが、賞金迄付いて来たのだから言う事無し。