Sakura Archives

競馬回顧 2010年2回阪神・3回中山

第70回皐月賞(GⅠ)

ヴィクトワールピサ

-4kg。何度も述べている様に5年に一度の馬なのだが、絞って来て成長の余地も見えて来た。ゲートも少し悪かったが、最初から行く気が無くイン狙い。馬の気に任せて、向正面で中段。直線向いて、坂下からの脚が速かった。やはり同世代なら力が違った。戦前述べた様に、次走東京戦こそ楽勝だろう。ただ、一番人気がイチかバチかでインを突く競馬。結果的に馬に負担を掛けない騎乗が出来たのだが、ギャンブルし過ぎといった印象も。

ヒルノダムール

-10kg。手先だけで歩いていたのは大分マシになったが、もう少し馬体に迫力が欲しい。出脚が無くてこの枠、仕方無しだろうが後方の外から。このレースは6〜7割の確率でハイペースになる傾向が有り、今年も例に漏れず差しが利く展開になったのだが、4角でゴチャつくシーンが有ったのが痛い。前がバラけたのは坂下ラスト200mの地点。そこからアリゼオ等の先行集団に対して5馬身程の脚を使っている計算に。ただ所詮は瞬発力だけの馬。馬体の成長無くして、これ以上は無い。

エイシンフラッシュ

ヴィクトワールピサの次に良く見せた。休養前とは毛ヅヤが一変。ただ、中間熱発が有ったそうで、少し腹回りに緩さも。ゲートはそれなりに出ているが、今日は折り合いが怪しく後方に近い位置。前の早仕掛けに乗り、4角上手く捌き、直線脚を伸ばしてここ迄。トビも大きく、本来は東京向きの馬。エイシンアポロンと使い分けるそうだが、折り合いも今回使った事で変わって来る筈で、次走も面白い存在。

ローズキングダム

-6kg。叩いて順当に良化。細い太いは別にして、デキだけを言えば文句無し。この一族にしては出脚が有る馬で、スムーズに中段。4角でヴィクトワールピサと併走。追い出しをワンテンポ遅らせた点も上手く行った様に思えたが、馬が応えてくれなかった。先々週のドリームジャーニーもそうだが、ガサの無い馬は現代競馬では辛い。

アリゼオ

2人曳き。今回からシープスキンノーズバンド。今日も落ち着いていた。毛ヅヤが抜群で、馬体も上位。今日はゲート五分。出脚は一番速い筈だが、控えて好位。ただ1角では頭を上げていて、道中も力んでの追走。早目に動いて形は造ったが、終いの伸びはどうしても甘くなる。ピンロク勝負ならハナだったが...。

リルダヴァル

2人曳き。-10kg。まだ馬が薄い。瞬発力は有っても、底力に疑問。出たなりで中段のイン。丁度ハンソデバンドの直後から。ただ、直線伸びそうで伸びなかった。瞬発力勝負の馬が一回壊すと馬が加減して走るケースが良く有るのだが...。

ハンソデバンド

2人曳き。デキは良かったが、テンション高過ぎる。出脚速く、好位のイン。スタート直後の多少行きたがるのは織り込み済みで、そこからはスムーズだったが、追い出してサッパリだった。リルダヴァルの様な馬とは違い、気性で走る馬は道悪走る筈だが、意外に道悪がダメ?

第41回読売マイラーズカップ(GⅡ)

リーチザクラウン

これだけ落ち着いていれば充分。ただ、デキだけをいえば悪くない程度の評価。もう少しトモのボリュームとそれに伴う歩様の力強さが欲しい。3角で多少行きたがったりも有ったが、ペース的にはひたすらワンペース。見た目は差し切りだが、速い脚が有った訳ではない。色々考慮すれば現状マイルがベストだが、マイルは出脚で苦しい。この点で大外枠が幸いした。今日はそれ以上でも無さそう。

トライアンフマーチ

2人曳き。+4kg。腹回り少し太く映る。ただ今季はトモの甘さがかなりマシになっている点が強調材料。出脚は例に依って怪しいが、道中は中段やや後方。枠なりの競馬から直線も最内へ。ここからの一瞬の脚が中々速かった。矯めて乗られると良い脚が使える馬で、その点だけをいえばもう少し長い距離の方が良い様な気もするのだが、リーチザクラウンとは対照的に今日は内枠が向いた。これも結局それ以上ではない筈。

キャプテントゥーレ

2人曳き。+12kg。数字は回復分。もっと増えても良い位。少し硬さは有るが、この馬とすれば許容範囲。ゲートが若干の後手。一瞬ハナへ行く素振りを見せたが、外からシルポートが来て控える形。ただ、この形で多少行きたがるのは止むを得ぬところ。リーチザクラウンが差せる展開、つまりは瞬発力の要らない展開で、それなりに伸びているが、上位馬とは底力の差が出た。

セイウンワンダー

+6kg。数字通り少し太いのだが、昨秋から物凄い馬になって来た。トモの迫力が抜群で、見栄えだけなら現役トップクラス。この距離でも出脚は平均以上だが、折り合い面も有って中段から。ただ長い距離を使われていた影響で、今日はむしろズブい位の行き振り。直線、馬群捌いてそれなりに差しているが、前も同じだけ伸びていて届かず。行き振り含め、叩けば変わって来そう。

スマイルジャック

2人曳き。馬は3歳時から定評。落ち着いていたのも好感持てた。これも折り合いに専念して中段から。以前思えば折り合いマシになっていて、今日も我慢は利いていたが、直線向いて思った程伸びず。前走も勝つは勝ったが、妙に時計が遅かった。負ける時は強い雰囲気出して負ける馬だが、ソロソロ底が見えて来た。

第70回桜花賞(GⅠ)

アパパネ

2人曳き。シープスキンノーズバンド。デキは文句無し。一言で言えばトモの迫力が他馬と違った。好発。3角過ぎ迄頭を上げていたが、前に馬を置いて何とか我慢させる形。直線迄待ってから外に持ち出し、最後は馬力で差し切った。昨年はマグレ感も有ったのだが、年が開けての上昇度が他馬と違っていた。折り合いは今更直りそうに無く、切れるだけの馬なら次走用無しだが、馬力で距離をこなす場面も。

オウケンサクラ

2人曳き。使い詰めでも落ちた印象は無い。ただ、相変わらず手先だけで歩いている印象。出脚というより、誰も行かないのを見てハナへ。それでもかなり楽に行けた。4角で一旦引き付けて、直線向いて一瞬フラついたが、2着粘り通した。決め手が無いので、現状はこの競馬が正解。ただ、内有利の差せない馬場だった利も相当。これ以上は無い気もするのだが。

エイシンリターンズ

増減無しだが、前走よりはフックラ。ジワッと好位。4角スッと前へ並び掛けて一瞬やったかの場面だったが、そこから頭が上がってフワッとする場面。アパパネが外から併せて来たら再び頭が下がって差し返しているのだが、勿体無い競馬になった。前走も含めて細かいミスが多いのだが、意外に強い。

ショウリュウムーン

寸詰まりの造りで、如何にもキングカメハメハ産駒。相変わらず歩様がしっかり。アプリコットフィズに出脚で叩かれて中段から。直線は最内からアパパネの外へと相当にモタれていたが、それでもここ迄来たのだから悪くない内容。前走も渋い馬場だったが、力の要る馬場は走る。

アプリコットフィズ

馬体はこの数字の割に見栄えする。デビュー以来の雰囲気はキープ。好発切って好位のイン。折り合いも問題無い馬で4角迄スムーズ。直線向いて前のオウケンサクラがフラついていて、この内か外かで一瞬逡巡した面は有るのだが、そのオウケンサクラを交わせなかったのだから案外感が残る。デビュー以来、現状維持が一杯だった馬。この中間も軽目の調整で、最後に鍛錬不足が出た印象。間隔開けて東京の決め手勝負なら結果は違う筈だが。

シンメイフジ

+6kg。叩いて馬体に張りが来た。順当に良化。中団やや後方の外。一瞬伸び掛かったのだが、坂を上る脚が案外。外が辛い馬場状態は勿論有るのだが、決め手活かすには平坦の方が良さそう。

第28回ニュージーランドトロフィー(GⅢ)

サンライズプリンス

2人曳き。この馬の場合は目標が違う筈だが、マイルなら気配抜群。馬体は現世代最上位クラス。踏み込みも今日はしっかり。出負け気味だったが、追っ付けて中段。というより、他馬のペース関係無く、マイペースで乗って、4角で先団。直線もそのまま押し切った。馬が強いからこれが出来るのだが、大トビの馬で下手にセコい策を考えるよりはこれが正解。ただそれにしても1分32秒台は速い。このトビで出脚が速いのはパワーの証で、大物の相。この反動が出ないのが大前提だが、この世代ナンバー2クラスは有る。

ダイワバーバリアン

-6kg。マイナス体重だが、馬に重量感が来て、ここに来て成長窺える。出脚が速いというよりは例に依って序盤は掛かり気味。ただ、以前より折り合いの付くタイミングが早くなっている。サンライズプリンスとは対照的にこちらはセコく回り、内から抜けて来たが、既にサンライズプリンスがマクり切った後。その差が最後迄詰まらなかった。勿論、サンライズプリンスとは能力差有るのだが、この馬自身も心身共に成長している。本賞金加算出来たのも大きい。東京はキツいが、3連単のトリ程度なら。

レト

毛ヅヤは良いので、デキ自体は悪くないが、造りにメリハリが欲しい。1200mでもハナへ行ける馬だが、行かせる気無く中段。先に動いたサンライズプリンスを行かせてから、改めてこれを目標にする競馬。絶対能力でもう少し欲しいところだが、前走阪神戦でも述べた様に、マイルがこなせる様になったのは学習能力の高さ。今年の3歳世代は強過ぎるが、逆に古馬混合になった時が狙い目。

キョウエイアシュラ

-8kg。テンション高いのだが、今季デキ自体はずっと悪くない。出遅れ1馬身不利。後方から。後方馬群がバラけ、上手く直線だけ外に持ち出してここ迄。この馬の場合は最後迄競馬を投げずに走っただけでも収穫なのだが、それでも4着では値打ちが無い。下見は良く見せるので、毎回飛び付きたくなるのだが...。

ニシノメイゲツ

馬体の形を言えばキリは無いのだが、デキは抜群。出脚が鈍く、この枠でも中段から。枠なりに回ってそれなりの伸びだが、使えた脚は前と同じ数字。もう少し前で競馬出来る様になれば良いが...。

第53回サンケイスポーツ杯阪神牝馬ステークス(GⅡ)

アイアムカミノマゴ

皮膚の薄さが有った。休み明け関係無く、文句無しの状態。もっと矯めて乗られるかと思ったが、好発を無駄にせず中段で折り合う形。直線スムーズに外へ持ち出し、坂下で追い出してからの伸びが強烈。デキも良かったが、単純に強かった。次走、相手が強いのは確かだが、圏内の1頭に。

プロヴィナージュ

2人曳き。毛ヅヤが良い。この馬とすれば歩様の硬さもマシに。ゲート自体は速い方だったが、この距離だと出脚で分が悪く、中段から。今週は内有利の傾向だったが、比較的外を回っていたにも関わらず直線しっかり脚を伸ばした。次走マイルで引っ掛かる可能性は有るが、今日だけを言えば悪くない内容。

カノヤザクラ

デキ云々は微妙な気もしたが、数字上は走れる状態。ただ、硬さが無いのは良かった。1000mでも好位確保出来る馬で、労せず好位。内有利の馬場でコースロス無く回って寸前で3着浮上。日曜日もそうだったが、内有利と同時にパワータイプが有利な馬場。デキが良かったというよりは条件が揃っていた印象。

ブロードストリート

瞬発力身上の馬で、これで良いのだろうが、欲言えばもう少し重量感を。中団で折り合いに専念。ただ、3角過ぎて少し掛かったのと、前述した様にパワー優先の馬場で、ガサの無いこの馬には辛かった。瞬発力身上の馬が最後プロヴィナージュに差される有様。東京なら違う筈だが。

ショウナンラノビア

少しテンション高いが、叩いて叩いて漸く本調子。ゲート少し悪かったが、出してハナ。外枠でも有り、この手のロスは結構大きい筈だが、寸前迄良く粘っていた。ゲートスムーズなら2着は有った筈。東京は直線伸びる代わりに、ユッタリ行ける。デキは間違い無く良くなっており、次走却って怖い。

ラドラーダ

数字は無いが、トモのボリュームは流石。ただ、今日は歩様が硬いのと、気負い過ぎ。例に依って後方から。折り合いはスムーズ。外回して前走東京戦と同じ脚を使えればといったところだったが、前と同じ脚だった。相手関係や内有利なトラックバイアスも有るが、繰り返し述べている様に、今日の馬場は数字の無い馬には辛い。

ワンカラット

2人曳き。-4kg。スッキリ見せて、好調キープ。この馬は時々有るのだが、痛恨の出遅れで、後方から。今日の馬場で4角大外でも何も出来ず。参考外。

第42回ダービー卿チャレンジトロフィー(GⅢ)

ショウワモダン

+4kg。更にプラス体重。毛ヅヤは良くなったが、今日も太い。好発。外のマイネルファルケは行かせて、サニーサンデーが引いたのを確認して2番手。ここで折り合って、坂を上がる途中でマイネルファルケを交わして3/4馬身差。スローで前に居た利も大きいのだが、瞬発力勝負は歓迎しなかった筈。中山は得意だが、この馬が走れる位に馬場も悪いのだろう。

マイネルファルケ

寸詰まりの作り。暖かくなった影響なのか、歩様の硬さが無くなった。昨秋より今の方が状態が良い。ゲートはショウワモダンだったが、行かせてハナ。この分のロスは有るのだが、道中の貯金も相当有っただろう。ただ、その割にショウワモダンにアッサリやられたのは頂けない。案外坂がダメ?

サニーサンデー

一歩一歩がしっかり。クビを水平に保ち、サラブレッドの見本の様な馬。ゲートも少し分が悪かったが、マイネルファルケとショウワモダンに行かせて3番手から。これに序に関しては乗り役も根性が無いのだが、折り合いが怪しかった分も有って仕方が無いところ。ただ、結果的に位置取りの差がモロに出てしまった。まあ、初めての競馬でもそれなりに伸びたのは収穫なのだが。

フィフスペトル

2人曳き。休み明けの前走から出来ていただけに、良くも悪くも平行線。この枠で乗り方が難しいところなのだが、掛からぬ様に出来る限り前へ。4角も早目早目で好位に取り付いていたが、この数頭分外回っただけで、着順がそのまま数頭分変わって来る。とはいえ、外回った組では最先着。関東のマイル路線なら上位の馬。

セイクリッドバレー

オープンへ入ると馬が貧弱。この馬のデキ自体は悪くないが。出脚は甘い馬だが、道中はサニーサンデーの直後。そのサニーサンデーが好位で控えたのは誤算だっただろう。その位置取りのまま雪崩込んだ格好。もう一つ前で競馬出来る様になればオープンでも馬券圏内有りそうだが。

タケミカヅチ

+12kg。シープスキンノーズバンド。腹回り多少ボテッと映るが、馬は張っている。今季のデキが良い証。出ッパ自体も少し悪かったが、更に寄られて後方から。直線手前が矢鱈替わっていたのは気になったが、伸び自体は悪くない。これで変わる筈。

第54回産経大阪杯(GⅢ)

テイエムアンコール

前走中山戦でも述べた様に、芦毛の割に毛ヅヤを良く見せる。ただ、元々がそういう傾向とはいえ、前走中山戦より歩様が硬いのがマイナス。出脚は無いが、この枠が却って幸いし、少し出して4番手。その分、序盤は行きたがっていたが、直ぐにスムーズに。3角でインへ潜り、4角若干強引ながら捌いて坂を上がって先頭。そのまま押し切った。瞬発力で甘く、スローの展開を早目早目で上手く立ち回った利は有るのだが、それが誤魔化しが利く程度には成長したという事。次走、硬さがディスタンス戦でマイナスに出なければ。

ゴールデンダリア

筋肉質の馬体は悪くないが、少し歩様が硬い。急かしても良い事の無い馬なので、出たなりで中段。3〜4角中間から外に持ち出し、ドリームジャーニーを制して直線へ。通常ならスローで外回したくないところだが、結構ゴチャついていて、結果的にこれが正解。コーナリングでドリームジャーニーに叩かれなかったのも大きかった。直線になれば当然斤量利が活きる。ギリギリ凌ぎ切って2着に。併せ馬の形で根性発揮した面も有ろうが、意外な好走。

ドリームジャーニー

2人曳き。-4kg。ガサの無い馬だが、前走京都戦が太かった。時々チャカついて何時ものこの馬。ゲートは何時も通りで後方から。折り合い云々は序盤が多少怪しい程度で問題無かったが、3角過ぎからマクる何時もの競馬。ただ、この回り脚が今日は甘く、4角でゴールデンダリアに弾かれ加減になっていた。とはいえ、前走時に述べた様に、この馬はこういうところは負ける馬。

フィールドベアー

+6kg。暑い時期の馬だと思っていたが、意外な程良く出来ていた。踏み込みしっかりしており、今期好調。少し出して好位。意外に折り合い付いていて、スローを道中スムーズに運び、4角で逃げたショウナンライジンを見切って先頭。そこからは瞬発力の差が出たが、自分の競馬は出来た。このデキが北海道戦迄維持出来れば見せ場が有りそう。

タスカータソルテ

毛色の関係も有るが、毛ヅヤピカピカ。歩様がしっかりして来たのは、前走中京戦で述べた通り。出たなりで中段。道中の雰囲気は悪くなく、直線向いても手応え有った筈だが、坂が上れず。下見は本格化ムードも有るのだが、まだまだ。

ヤマニンキングリー

+12kg。身体付きが少し緩い。休み明け差し引いても満点やれぬ。戦前述べた様に、出脚は一番速い位だが、無理せず好位のイン。直線前も開いて、一瞬伸び掛かったが、そこで止まってしまった。一応今日は休み明けを原因としたいが、叩いての上積みが相当無いと今季は苦しい。

エアシャトゥーシュ

チャカついているのは前走中京戦同様だが、今日は程度が酷い。その前走で述べた様に馬はオープンでも足る。道中は中段に居たが、3角手前迄行きたがっていた。それでも直ぐ外のゴールデンダリアに坂下迄抵抗していたが...。何れにしても力負けではない。

第40回高松宮記念(GⅠ)

キンシャサノキセキ

2人曳き。気性的に不安定な部分が無くなった。その分、馬体がしっかり。歩様もスムーズ。ゲートが少し悪く、出たなりで中段。この枠で外にも出せず、ひたすら枠なりの追走。ただ、4角の手応えが良かったし、前も開いて早目先頭の形。かなり苦しかった筈だが、一杯一杯凌ぎ切った。以前は堪え性の無い馬で、揉まれてダメ、折り合い付かずで難しい面も有ったのだが、4連勝は全てをクリアした結果。勝ち方がそれぞれ違う点を高く評価したい。

ビービーガルダン

+8kg。数字分、トモのボリュームが増した。前走阪神戦も悪くなかったが、更に上昇。好発。出脚も速い馬だが、この枠でも有り、無理せず好位。3角迄は良かったが、4角で外へフクれた分、位置取りが半馬身程悪くなったのが結果的に響いた感。ただ、ローラー云々が有るとはいえ、馬場の良い所を回って来れた利も有ろう。勝ち運が無かった。

エーシンフォワード

トモに張り。気配も良い。ゲートは負けていないが、出脚の差でビービーガルダンに叩かれて、中段。そのビービーガルダンが4角若干外にフクれ、間にグランプリエンゼルが噛んで、その外からの追い込み。この分のロスが痛い。ビービーガルダンと枠が逆なら間のグランプリエンゼルが居なくなって、勝っていた可能性も有った。1200mは久し振りだったが、良く走っている。

サンカルロ

馬体は例に依って目立たぬが、歩様にキビキビ感が有った。道中は中団やや後方。元々出脚は無いのだが、道中は初の1200mに戸惑っていた。3〜4角は勝負に行かず、そのまま回して直線勝負。位置取りの差でここ迄だが、ゴール前は一番伸びていた。これも経験で変わって来そう。

アルティマトゥーレ

多少毛ヅヤが怪しいが、デキ自体は良い方。昨秋の様な事は無い。現役屈指の出脚で中段迄持って来たが、スタート直後に痛恨の躓き。直線は突き抜けそうな脚を一瞬だけ見せたが、序盤のロスが響いた。ただこの馬場でこの不利が有りながら、これだけ走れば上等。これで引退だが、GⅠに縁が無かっただけで、力は見せた。

第17回マーチステークス(GⅢ)

マコトスパルビエロ

芦毛だが、意外に毛ヅヤが良かった。馬体もスカッと見せており、叩いて順当に良化。スタート直後に躓いて出脚が付かず、中段から。戦前の想定通り、結構流れたのだが、結果的に位置取りが一つ後ろになったのが大正解だった。先に仕掛けたウォータクティクスを目標に、坂を上がって突き放した。着差こそ2馬身半差だが、決め手では期待出来ず、基本的には仕掛けのタイミングを間違うと2・3着止まりという事も多い馬。

ナニハトモアレ

歩様がスムーズ。馬体に張りも有った。出たなりで中段。マコトスパルビエロを目標に、しっかり伸びて鮫島厩舎親子丼に。ハンデも利いているが、いきなりオープンでソコソコ行かせても脚が使えたのは能力の証明。ただ、前走東京戦がスタート直後に躓いて追い込み一気。次走どう乗るかが難しい。

シビルウォー

シープスキンノーズバンド。はち切れんばかりの馬体。デキは文句無し。出脚サッパリだったが、押して何とか中段。4角から外に持ち出して追い込んだが、ナニハトモアレの後を追う形に。出脚もそうだが、馬装の通り、追って頭が上がっていた。以前思えば馬込み気にしなくなっているが...。

モンテクリスエス

2人曳き。-6kg。大分絞れて来た。当然の様にゲートをロクに出られず後方から。4角大外は避けて、少し距離を稼いだが、それでもここ迄。中山1800mで追い込み一手の馬が1番人気になるのは無謀過ぎた。ただこれで、ダートだと堅実に走れる事も分かった。東京で巻き返したい。

マルブツリード

多少小ぢんまりと見せるとはいえ、デキが悪いとは思わないが、少し歩様が硬い。最近のパターン通り、後方から。伸びているが、ナニハトモアレやシビルウォーとはほぼ同じ脚。位置取りの差だけで着順が決まった形。休み明けだったので、叩いての良化分は有るだろうが、もう少し前に行く脚が欲しい。

第58回日経賞(GⅡ)

マイネルキッツ

トモが張って、意外に歩様が力強い。頭は高いが、気配が良い。出脚は速くない馬で、道中は中段やや後方のイン。中山では不器用なイメージだった、道中ひたすらインを回り、直線は一瞬の脚が有った。まあ、審議対象になった様に多少強引では有ったのだが、中山で勝ち切った点を評価したい。京都の様な広いコースに替わる点は当然好材料。当然、次走も上位争い必至。

エアシェイディ

かなり深い遮眼革。前走時思えば馬体の張りで落ちるが、そこは休み明け。いきなそれを思えば悪くない。ゲートは少し分が悪い程度だが、下げて後方から。インを突いた馬も居たが、この馬の場合は外回すのが何時ものパターン。ただ、今日は何時もより仕掛けが早く、4角で既に好位。要は内外の差だ。かなり強い内容。ただ、9歳になった今でも、関西への輸送が未知数。

トーセンクラウン

毛ヅヤピカピカ。ただ、相変わらず馬が薄い。出たなりで中段から。1周目のホームは行きたがっていたが、1角でスムーズに。2周目4角、ユニヴァースを目標に、外を回って進出。ジリッぽさは勿論有るのだが、着差は僅か。前走もそうだが、パワーとスタミナは有りそう。

ネヴァブション

歩様がスムーズ。落ち着いていて、馬体もしっかりした造り。少し出して中段。その分序盤多少行きたがったが、これはほぼ影響無し。道中セコく回る策は予定通りだったのだろうが、一瞬の脚が鈍く、マイネルキッツに入られてしまい、そこで接触。力負けではないのだが、ジワジワ脚を使う馬と一瞬の脚が有る馬、個性の差が出た印象。

トリビュートソング

もう一絞り有ればベストだろうが、雰囲気は悪くない。ゲート悪く、最後方から。丁度目の前に居たエアシェイディのマクりの乗る形での進出。坂を上がる脚で微妙に差は有るのだが、エアシェイディに1馬身差なら決して悪い内容ではない。東京で狙い目に。

ロジユニヴァース

+24kg。この相手では馬振りで圧倒。ただ、造りが緩い。出脚は相当速い筈だが、スタート直後に躓いて好位の外。キングストレイルが離し気味の逃げを打ったが、これはともかく1周目4角で実質ハナを切る形。道中は多少力んでの追走、2周目4角の雰囲気は悪くなかったが、然程伸びず、他馬が来た時に接触してしまい、そこで追うのを止めた。今日は無事に回って来れただけでも。

第57回毎日杯(GⅢ)

ダノンシャンティ

2人曳き。前走東京戦で述べた様に、馬体の成長急。ただ、テンションが高い。今日もゲートは少し怪しいのだが、出して中段。例に依って序盤は少し行きたがっていた。4角でも手応え充分。直線も決め手を遺憾無く発揮して快勝。スローで瞬発力が更に生きた感。ただ、折り合いだけではなく、コーナリングも下手。東京マイルは実に理に適った選択。

ミッキードリーム

2人曳き。胴長だが、造りはしっかり。踏み込みの深さも強調出来る。出脚速く前へ。シャイニーナイトが行くのか行かないのか中途半端な競馬で、通常なら行きたがっても仕方が無いところだが、道中はスムーズ。直線、坂下で先頭に立ち、良く頑張っているが、最後は決め手の差。器用さは有るので中山向きだが、レース後骨折が判明。

リルダヴァル

止め絵の体裁は整っていた。ただ、歩様の力強さがもう少し。意外に出脚が速く、好位の外。道中行きたがっていたが、これは仕方が無かろう。その分、追ってからも昨年のキレが無かった。これを叩いて変わってくれば。

シャイニーナイト

脚長で馬体の迫力に欠くが、成長すれば面白そうな骨格。好発。もう少しスッと行かせた方が良かった様な気もしたが、ジワジワと乗って3角でハナ。とはいえ、折り合いはスムーズ。要はこれも決め手負け。とはいえ、未勝利勝ったばかりの馬。相手なりは相手なり。

ルーラーシップ

トモの張りは流石。胴回りに余計な肉が無く、必要なところにのみ筋肉がついている印象。出遅れたが、出脚で中段。ずっと内を通ってセコい競馬だが、いざ追い出して手応えが有る筈なのに伸びない。事故続きの馬で、気性的なモノから来ていなければ良いが...。戦前述べた様に、フォームは本物。ノビノビ走らせて変わる方に期待したい。