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競馬回顧 2010年4回京都・3回東京

第27回エプソムカップ(GⅢ)

セイウンワンダー

2人曳き。この数字では一枚重いのだが、馬体には張り。デキ自体は良い。差し馬にしては出脚の有る方で、スッと中段やや前目。直線スムーズに捌いてはいるのだが、直線は左手前のままで、中々モドカしさも有ったのだが、並んで最後の最後で手前が替わってネジ伏せた。仮令ハナ差でも、並んでしまえば格の違いが出るところ。まあ、あのモドカしさは現状のこの馬の天井なのだが、この点も10kg絞れるだけで違う筈。

シルポート

少し硬さが有る様にも映るが、しっかり踏めていた。近走と然程変わらず。出脚は無いが、押してハナ。成り行きそれなりのペースで逃げる形。3角辺りから内を少し開けての逃げで、直線も3頭分程開けての競馬。以前にも述べた様に、逃げ馬がこの形で内をスクわれるのは乗り役の判断ミスだと思うのだが、最後は馬が頑張って二枚腰。出脚で苦労するので、序盤から他馬が競り掛けに来ないコーナー2つの1800mが合う。小回り1800mで人気背負った時が絶好の蹴飛ばし時。

キャプテンベガ

しなやかさの有る馬体と歩様。例に依ってゲートは少し悪いのだが、この枠でも有り、出してセイウンワンダーと前後する位置。ただ、セイウンワンダーが馬場の悪い内を開けており、枠順は逆だったが、この馬は内から突っ込んで、直線もインから。兄アドマイヤベガの産駒は道悪サッパリだが、この馬は意外にこなす。競走実績はこの程度でも将来的には血統買われて種馬になると思うのだが、この点を覚えておいて損は無いかも。

セイクリッドバレー

少し太い気もしたが、変わらず毛ヅヤはまずまず。ただ、出脚強化させる為にも歩様に柔らか味が欲しい。これもゲートが悪かったのだが、荒れ馬場で内が開いて中段から。この距離でこのペースなら折り合いは付く。直線も最内から。道悪はこなせるので、競馬にはなったが、最後追い負けた辺り、この相手では微妙に差が有りそう。

ゴールデンダリア

腹回りボテッと映るのはセイウンワンダーと同様だが、こちらの方が程度が酷い。良い様には見せない。ゲート出ているが、じっくりと後方から。ただ、内の馬が荒れ馬場嫌って外へ持ち出す展開、こうなると外枠はキツい。ずっと外を回されたが、それでも1馬身差迄詰めて来た。今日のデキを思えば充分と言える好走。少なくともセイクリッドバレーよりは遥かに強い。

第46回CBC賞(GⅢ)

ヘッドライナー

2人曳き。シープスキンノーズバンド。この馬にしては落ち着いている。造り云々は関係無く、これが何より。意外に出脚が鈍かったが、押してハナ。この手の道悪はラチ沿い1頭分だけが悪くない事が多く、今日もそのパターン。直線入口で突き放し、最後は尻尾振って苦しいところを一杯一杯粘り通した。今日は逃げ切りの競馬も多く、逃げ切った事自体は何等驚くに値しないが、出脚が甘かったのは気掛かり。前走1400mをスローで逃げた影響だとは思うが...。

ダッシャーゴーゴー

+6kg。馬体に変化は無いが、これも落ち着いていたのは良い傾向。気性的に脆いところが有るので、無理せず中段。直線は馬場の良い一番外から。スムーズなら力は有る馬。昨年のエイシンタイガーも外枠だったが、3歳馬が好走するにはハナ切るか外枠の方が確率は高い。ただ、決勝線手前で内にモタれて審議対象に。内枠では手が出し辛い。

ワンカラット

3歳時から馬の見栄えは定評。良くも悪くも変わらず。最初から外へ持ち出すつもりで、行きたい馬に行かせて中段。3〜4角中間で上手く外へ出せた。最後ダッシャーゴーゴーに外から寄られたのが無くても3着だっただろうが、良く伸びている。器用さの割に距離が保たないのは相変わらずなのだが、かといって1200mへ来るとパンチ力不足気味。この辺の矛盾を上手く解消したいところだが...。

メリッサ

後肢の力強さはもう少し欲しいところ。ゲートアオり気味だったが、外枠で立て直して中段。元々こういう馬だが、道中引っ張り切りの手応え。手応え良過ぎてその分甘くなった印象すら有った。現状は1200mでも長いかも。1000m戦で一発期待したい。

エーシンビーセルズ

+6kg。少し太い筈だが、ここでも馬は負けていない。ゲートは出ているが、下げて後方から。道悪は前走中山戦がサッパリだったが、ずっと馬場の良い外目を回しての追走。最後迄諦めずに伸びていた。ただやはり、今日の競馬で道悪こなせたとは言い難い。あくまで良馬場の馬。

シンボリグラン

硬さが無ければ力は出せる馬。今季はこの点が良い。道中は中段。この道悪で内外前に馬が居る最悪の展開。3角では口向きの悪さも見せており、直線も案外。全く力を出せていない。今日は枠順が仇。

アポロフェニックス

遮眼革。一息入ったが、デキは文句無し。ただ、オープンの相手ではあくまで互角の馬。好発。4角迄は悪くない様に思えたが、直線向いて下を気にする素振り。道悪は向くと思ったが、サッパリの様。

第15回ユニコーンステークス (タイキシャトルメモリアル) (GⅢ)

バーディバーディ

キビキビした歩様。デキも悪くない筈だが、馬振りはバトードールに劣る。そこ迄出脚が速い訳でもなさそうだが、ジワッと好位。落馬したコスモセンサーが造り出したハイペースを手応え良く追走、追い出しを待つ余裕も有った。ラスト200mでバトードールと併せ馬の形から突き放して2馬身半差。楽勝。昨年よりレースレベルも高い。あとは馬体がもう少し成長して欲しいのと、出脚でやられて内枠で包まれた時。この2点が今後どうなるか。

バトードール

チャカついているのはマイナスだが、馬振りは断然。この世代の中でも上位レベル。最内枠故、出して2番手。その分、序盤は少し行きたがっていた。直線外から来たバーディバーディとの併せ馬からラスト200mで脱落したが、悠々2着は確保。中山で惨敗した時もそうだが、コーナリングが下手なのでその辺りが今後の課題。もう少し全身使って走れる様になるとバーディバーディとも差の無い馬になる筈。

サンライズクォリア

トモの張り中々。例に依ってバランスの取れた造り。ゲートはむしろ速い方だったが、出脚がサッパリで後方に近い位置。内へ入れて砂を被ったとはいえ、道中の手応えもあまり良い様には見えなかったが、エンジン掛かってからの伸びは悪くなかった。対バーディバーディで2戦2敗だが、この辺りの距離では機動力で劣る。現状では同じ土俵で闘えていない。

スターボード

2人曳き。相変わらず煩い。ダート走る馬ならもう少し重量感欲しいが、デキ自体は悪くない。道中は中団やや前。もっと行きたがる筈の馬だが、砂を被せて折り合わせる策。この目論見は当たったが、直線中々手前が替わらず、替わった最後も止まり気味。この距離は微妙に長い。

ドロ

-6kg。毛ヅヤは良いが、まだ腹回りがボテッと映る。道中は好位。ただ、道中は手応えが良いというより遊びが無い印象。マイルとはいえ、あれでは終いが保たない。経験積んでどうかだが、現段階ではスターボード同様に距離が長い。

第60回農林水産省賞典安田記念(GⅠ)

ショウワモダン

馬振りで上は居るが、連勝馬らしい張りと気配。出脚は速い方だが、外のエーシンフォワードが迷わず行って中段。繰り返し述べている様に外枠の馬が先行するとハイペースになり易いのだが、今日も1000m通過が56.3秒。4角手応え良く進出、ワンテンポ待って追い出したが、最後は皆脚が上がっての凌ぎ合い。こうなると連勝の勢いが活きる。かつてのダイユウサクもそうだったが、この手の連勝馬は一息入れてからが試金石。見掛けの時計は速いが、ハイペースにも関わらず土曜日準オープンと同じ時計。時計も評価出来ず。

スーパーホーネット

今季では一番の状態。悪い時に出る歩様の硬さも無し。出遅れ1馬身不利。出脚も鈍いのだが、腹括って後方から。結果的にハイペースになり、ショウワモダンを見ながら絶好の展開。直線外からショウワモダンを目掛けて良く伸びているが、最後の最後で脚色が一緒になってしまった。それなりに復調して来たが、この馬の場合は良い脚が長く使えないのがネック。GⅠでも1番人気になった事も有る馬だが、千載一遇のチャンスを逃した格好。

スマイルジャック

2人曳き。最近下見は落ち着いている傾向。元々良く見せるタイプだが、馬体の張りも前走阪神戦より良化。出遅れ1馬身不利。今日はハイペースも有ったが、以前よりは折り合いに進境。インベタで昨年と違い、今年は前も開いた。ただ、前が開いたのはそれなりに内も悪かったから。外の勢いに負けた。前走時に述べた様に、負けた時に強い印象が有るのだが、それがこの馬の能力。現状GⅡを何処かで一回勝てばといった程度の馬。

トライアンフマーチ

2人曳き。少しチャカついていたが、トモにボリューム。遂に本格化。出脚速く、スッと好位。直線向いての追い比べの中、先行勢では一番粘っていたのだが、坂を上がって甘くなった。ただ、今日は展開に泣いただけ。見た目通りに本格化。秋はGⅠに手が届く筈。

サイトウィナー

2人曳き。挫石だそうだが、見た目には影響無し。歩様が少し硬いのは香港調教馬に良く有るパターン。出たなりで中段から。最後は伸びているのだが、直線向いて暫くモタついたのが痛い。時計に限界が有る様な内容。ビューティーフラッシュも手応え有った割に伸びなかったのだが、香港調教馬は1分31秒台の決着では辛そう。

リーチザクラウン

+4kg。細いよりは勿論マシなのだが、少し太い様にも見えた。ただ、デキ自体は間違い無く良い。半馬身出遅れ。出脚で好位確保したが、何か道中のリズムが悪く、直線向いた段階で既にアラアラの手応え。レース後故障判明したそうで、今日はこれに夢を預けるのも悪くないが、乗り難しさはどうしても付き纏う。

第124回農林水産省賞典目黒記念 (ウオッカメモリアル) (GⅡ)

コパノジングー

-10kg。数字は絞れた形。当たり前だが、春シーズンより毛ヅヤが良化。この馬の出脚で中段。折り合いが課題の馬だが、この距離なら前走京都戦でもスムーズだった。準オープン上がりだが、力は有るのは皆が認めていたところで、このハンデならアッサリは当然。あとは3000m超での折り合いと、秋に強い3歳馬と闘った時にどうか。現段階でもルーラーシップ,ペルーサクラスで圧勝されそうな世代格差が有る。ロートルは来年一掃されそうな雰囲気すら有るのだが。

イケドラゴン

馬体は地味だが、歩様が伸びていた。意外に出脚が速く、スンナリハナ。08年8月未勝利戦以来の逃げ。ミッキーペトラも控えてくれて道中は単騎。直線向く迄大してペース上がらず、美味しい展開だったが、最後はコパノジングーに決め手負け。ただ、トビが大きいのでノビノビ走らせれば力は出せる。あとは出脚が本物かどうか。ダービーもそうだが、近代競馬はトビの大きさが弱点になる事も多く。

フェニコーン

数字の割に大きく見せず。こういうタイプは得てして長距離向きなのだが。前走中山戦と違い、今日は何時も通りの好位追走。直線向いてコパノジングーとの併せ馬でジワジワ伸びてここ迄。1000万条件でも中々勝ち切れずに苦労していたが、この形では詰めの甘さが有る様。出来れば準オープンで1780万を確保したいところで、今日は3着がベストだが、1着を考えるなら前走の様に思い切って乗るのも一つの手。

スマートステージ

シープスキンノーズバンド。右側だけ遮眼革。デキだけならコレ。毛ヅヤも冴え、歩様も力強く伸びていた。折り合い怪しい馬で、無理せず中段やや後方。遮眼革利いたのか、意外に折り合って直線向いてもそれなりの手応え。ただ追い出して頭が上がっていた分、スパッと切れなかった。その辺りは逆に遮眼革の副作用という気も。相手が弱化するのは魅力だが、この距離は少し長い。

アルナスライン

オーストラリアンブリンカー。+6kg。元々とはいえ、腹回りがボテッと映る。ただ、毛ヅヤが一息で、デキ自体も決して良くなさそう。その気になればハナへ行ける出脚も有る馬だが、出たなりで好位から。折り合いも何等問題無い馬で、自分の形で直線迄持って来れた筈だが、追って案外。斤量も有るのだが、この後休養との話。デキが無かったと見るのが妥当。

第77回東京優駿(GⅠ)

エイシンフラッシュ

前走中山戦も意外に悪くなかったが、使って更に良化。今日は文句無し。この馬の出脚も悪くない筈だが、他も速く、中段やや後方から。乗り易さが有る馬なのだが、今日は内田騎手、3角からの捌きが素晴らしいの一言。4角手前でヴィクトワールピサを内に閉じ込め、4角を勢い付けて回っていた辺りが特に上手い。だから直線も切れた。幾ら馬が成長していると言っても、単純な決め手勝負なら辛い面も有った筈。繰り返しになるが、完璧な騎乗。

ローズキングダム

挫石との話だが、歩様に硬さが。馬体はこれでも良くなった方。ゲート速い方だったが、折り合いも意識しつつ中段。何時でも動ける位置に居て、直線向いて一瞬は抜け出し掛かったのだが、内からエイシンフラッシュが一閃。ただ、最後は差し返す脚を見せてもいた。戦前は色々有ったが、結局は2着。良くも悪くも橋口厩舎らしい結果。デビュー戦同様の瞬発力勝負でヴィクトワールピサに先着し、溜飲下げたのも確かだが...。

ヴィクトワールピサ

-4kg。欲言えばキリは無いが、これもトップクラスの見栄え。現状望みうる最高の状態。出脚速く、スッと好位。インに入れて向正面辺り迄はスムーズだったが、そこから少し行きたがる場面。ここで乗り役が消極的になり、直線向いてヨーイドンの競馬。トビが大きいだけに、前が開いても一瞬の反応が鈍く、この馬唯一の弱点を突かれた格好。ただ、3角から自分で競馬を造りに行けば結果は違った筈。要は自分から墓穴を掘った。前走中山戦もイン突いていたが、1番人気には1番人気の競馬が有る。ただそれだけの話。

ゲシュタルト

例年のレベルならこれでも悪くないが、まだ造りが甘い。上位馬とは差。外枠だが、ジワッと先行。前に居ても脚が矯められる馬で、過不足無く運んだが、最後は鋭さ負け。前走京都戦で述べた様にこの世代3番手グループの一角程度の馬。

ルーラーシップ

馬は元々最上位クラス。気配が表に出て来た。無理に急かさず中段。この枠で仕方が無いのだが、トビが大きいのに、スローで馬群の中。見た目にも窮屈な追走。直線向いても瞬時に反応出来ず、一旦は2馬身程先行されたヴィクトワールピサに対し、最後は同タイム迄詰めている。前々走阪神戦の件も有り、この競馬なら今日のところは最後迄諦めずに走っていただけでも収穫なのだが、これだけ走れれば本当に本物。生まれた年と展開が悪かっただけ。

ペルーサ

まだ厚ぼったさが残る。秋になればそれが良い方に出そうだが、現状は仕上げに差。痛恨の出遅れ。スロー嫌って3角手前から徐々に押し上げて行ったが、元々この決め手勝負は辛い上に、道中のロスも相当。仕方無し。

第46回金鯱賞(GⅡ)

アーネストリー

+4kg。少し太く映るが、馬体に張り。皮膚の薄さが有って、デキ自体は上々。中間一頓挫有ったという話だが、影響は無さそう。好発。出脚でスッと2番手。ナムラクレセントの掛かり方が酷く、連られる場面も有ったが、これが外へ流したら折り合えた。1000m通過61.0秒は超スローといえる流れ。ドリームサンデー程度なら差し切っても値打ちが有るとは言い辛い。とはいえ過去の競馬内容からGⅡ級は充分だが、今日の競馬ではそれ以上とも言えず。

ドリームサンデー

毛ヅヤピカピカ。キビキビした歩様にも好感。戦前の予想通りハナ。この馬の出脚でも楽に行けた上に、道中も競られる事も無く楽が出来た。それでもアーネストリーには捕まった辺りは能力差だろう。昨年暮れの中京戦もそうだが、今日でダメならといった展開で、現状重賞を勝ち切るだけの能力は無さそう。

スマートギア

シープスキンノーズバンド。前走から本調子。追い込み馬でもゲートは速いに越した事は無いのだが、アオり気味に出て後方から。3角過ぎから徐々に進出し、この馬としては早目に動いているが、前が楽をし過ぎていて、3着争い制するのがやっと。ただまあ、今日の展開ならこれで上等。オープン昇格直ぐ重賞でキツいイメージも有ったのだが、これなら今年中に手が届く場面が有って良い。次走も圏内。

ホワイトピルグリム

馬体はこんなモノだが、トモの甘さが相変わらず。出脚は無いが、出して中段。これも外目を進出し、4角で好位。一瞬はアドマイヤオーラに出られたのだが、その併せ馬を差し返したところが決勝線。出脚もそうだが、トモが甘いので瞬発力に欠ける嫌い。これが中々直らない上に、レースでモロに出てしまうのが辛いところ。

アドマイヤオーラ

長期休養明けだが、キッチリ出来ていた。季節的なモノも有るが、むしろ休養前より良い位。出たなりで中段から。折り合いは付いていて、4角の雰囲気も悪くなかったが、最後の最後で止まった。休み明けでこれだけ走ればとも思うが、相手がホワイトピルグリム。ダラシない印象も強く。

アクシオン

-6kg。話にならない状態。馬体に中身が無く、全体に緩慢。道中は中段から。前が楽をしているのを見越して、4角動いて行ったが、直線は伸びずバテず。まあ、下見を思えば良く走っている気もするのだが...。

ナムラクレセント

馬は元々良く見せる。歩様もこの馬なりにしっかりしている様に見えた。スタート直後から行きたがって2番手。馬群と離しても折り合わず、無理矢理内に入れて宥める形。ただ、追い出しても頭が上がって競馬にならなかった。参考外。

第71回優駿牝馬(GⅠ)

アパパネ

2人曳き。シープスキンノーズバンド。-10kgでも然程細く見せず。トモのボリューム感も一際目立つ。折り合いに専念して中団やや後方。それでも1角過ぎ迄は行きたがっていたが、これでもこの馬としては意外に早く落ち着いた印象。この馬場でも有り、ずっと外を回して4角も大外。一足先に抜け出したサンテミリオンを目掛けての追い出し。坂を上がって左手前になり、一旦抜け出したところをまた差し返されたのだが、クビの上げ下げで何とか同着に。後述する様に競べ馬では負けているのだが、この勝負根性。外枠を帳消しにする雨が降る辺り、勝負事に何より一番大事な運も有る。

サンテミリオン

+6kg。馬自体は悪くない程度だが、デキが良い。その点では一番。出脚は大して速くないが、折り合いは付く馬で出して中段。これも小細工無しで外を回し、同じ様にラスト200mで左手前で苦しいながらも、良く伸びているが...。結果的にはクビの上げ下げなのだが、アパパネの外から先行したロスが最後の最後に響いた感。痛い同着に思える。

アグネスワルツ

2人曳き。-4kg。少しスッキリし過ぎている様にも映ったが。持ったままで2番手。オーバーペースで飛ばすニーマルオトメをマトモに追い掛けてしまった分、終い甘くなったが、この馬場で前向きな気性が良い方に出た感も有り、プラスマイナスゼロといったところ。前駆の掻き込みのしっかりした馬で、そういう意味でもこの馬場は合う。恐らく単純な道悪適性だけをいえばメンバー中No.1だろう。

アニメイトバイオ

2人曳き。+14kg。まだ全身筋肉とは行かないのだが、一応馬体は回復。ゲートは出ているが、この枠で無理せず後方に近い位置。コースロス無くといえば聞こえは良いが、内外前に馬が居て、泥は相当被った筈。それでも4角アパパネの直後からそれなりの伸びは見せた。まあまあの内容。今季は前走阪神戦の大幅馬体減が痛かった。

オウケンサクラ

例に依ってトモの甘い歩様だが、馬体のボリューム感は有る。基本的に出脚が速い訳ではなく、ニーマルオトメに叩かれて中段から。折り合いは付いてそれなりの立ち回りだが、やはり追ってからの脚が甘い。トモの甘さが解消されればまた違う筈だが、現状は決め手不足。

アプリコットフィズ

-4kg。歩様が力強い。ただ、減り続けるのは最悪の傾向。出脚速く好位のイン。道中は少し行きたがっていた。それでも直線向いてから一瞬脚を使ったが、ガサの無いこの馬には馬場が合わなかった印象。ただ、一瞬でも脚が使えた辺り、競走センスは世代No.1なのだろう。立て直して秋に改めて。

第27回東海テレビ杯東海ステークス(GⅡ)

シルクメビウス

+6kg。まだ華奢さの残る馬。前走よりは良い。ゲートも悪かったが、出脚も無くて後方から。道中は枠なりにコースロス無く乗られる形。先にアルトップランに動かれたのはやや誤算だった筈だが、直線だけ外へ持ち出してトランセンドをキッチリ捕らえた。この時計で追い込み決めるのだから文句無しだ。ただ、逃げた馬が好位勢を追っ掛けバテさせたところを台頭する展開は、昨秋阪神戦でも見られた光景。ダートの追い込みはアテにならぬが基本線。好走出来る展開の幅が低い可能性も。

トランセンド

腹回りが多少薄いのは何時も事。ゲート自体は然程速くなかったが、押してハナ。得意の時計勝負に持ち込んで、後続を追っ掛けバテさせる展開。事実、好位勢はほぼ全滅し、パターンにハマッたかに思われたが、最後にシルクメビウス。相手を讃える外無いだろう。ただ、理想を言えばもう少し出脚が欲しいところ。出脚つまりパワーが来れば良馬場でも安定して走れる様になりそうだが、スピード優先の現状では斤量面も厄介に。

アルトップラン

ここでも大きくは見劣らないレベルの馬。出遅れも有ったが、行かせる気も無く、離れた最後方。向正面で外へ持ち出して徐々に進出、4角では好位に取り付く形。流石にそこ迄、脚を使っている分、そこからの伸びは一息だったが、3着は確保。こういう競馬は得意パターンなのだが、それがハマる確率が高いのは交流戦。出来れば本賞金上積みしかったところだろう。

マコトスパルビエロ

今年は高値安定。今日もまあまあの雰囲気。近走は出脚が甘い印象も有ったが、マイル戦の後でトランセンドとも変わらない出脚。そのトランセンドが主張したので、好位で折り合う形になったが、最後はスピードの差が出た印象。若い頃ならともかく、現状こういう馬場は分が悪い。

ダイショウジェット

例に依って太く見せるのだが、前走東京戦の通り、これで走れる。出たなりで中段。この距離なら難無くこの位置で追走出来る。砂を被っても平気な馬で、道中内で脚を矯められた筈だが、4角回ってシルクメビウスと同じ位置から伸びの差歴然。相手の決め手が凄いだけで、この馬もそれなりには伸びているのだろうが、もう少し決め手が欲しい。

フサイチセブン

2人曳き。相変わらず迫力のある馬体。特に減点材料は見当たらず。ゲート入り梃子摺る。出たなりで好位追走。道中の手応えも、むしろ良い様に見えたのだが、勝負どころからはズルズル。対トランセンドで同斤の勝負ならもう少し違う筈だが、今日の様な時計勝負の馬場では若干分の悪さが有りそう。