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競馬回顧 2012年2回阪神

第72回皐月賞(GⅠ)

ゴールドシップ

-8s。間隔開いたが、狙い通り絞れていた。気配自体は変わらずも、馬体が締まって来たのが大きい。中山2000mの外枠は出方が難しいのだが、思い切って下げて最後方から。向正面迄は馬場の良い外目を通っていたのだが、3角からガラ空きの内を通り、4角で3番手。坂下で一気に抜け出してそのまま押し切った。少しズブい位の馬で、こういう馬場も上手い。ワールドエースとは競馬が違い過ぎて何とも言えないのだが、ここ迄6戦オール連対。勝負強さは評価しておくべきなのだろう。

ワールドエース

2人曳き。腹袋のしっかりしたタイプ。前走阪神戦と然程変わらず。後方からの競馬は毎度だが、スタートして100m程で他馬と接触して躓く場面。ただ、それでも馬は気にせず、道中はリズム良く走れていたのは不幸中の幸いだっただろう。4角でディープブリランテが外へ持ち出した影響で、最後に外へ回したこの馬は内ラチから20頭分以上の大外。内をスクッたゴールドシップにはやられたものの、通常なら有り得ない位置から追い込んで2着は確保した。強いの一言だ。運のなさは気掛かりながら、次走東京戦は中心に。

ディープブリランテ

これなら落ち着いている方だろう。馬体も迫力十分。道中は離れた3番手グループ。懸案の折り合い面は1角迄は頭を上げて悲惨な状況になっていたが、そこからは意外な程折り合っていた。4角思い切って外へ持ち出し、これはこの馬より外を回した馬を殺す格好にもなったが、ペースがソコソコ速かった事も有り、この馬にとっても厳しい展開になってしまった。逆に言えば今日は良く頑張っている様にも思うのだが、折り合いはマシになっただけで距離延長が良いとは言えない。評価が難しい。

コスモオオゾラ

2人曳き。チャカついていたが、毛ヅヤが良化して、馬体に迫力が出ていた。ゼロスに叩かれる格好にはなったが、この馬の出脚で好位から。3角からディープブリランテを目標に動いて行ったが、直線手前が替わらず、ディープブリランテが捕まえられそうで捕まえられず。この辺りが馬の器の差。ただ、この馬としてはもっと馬場が渋って欲しかったと同時に、ゴールドシップがあの競馬。少し悔いが残った面も有ろうか。

グランデッツァ

前走攻め不満だったが、叩いて順当に良化。歩様にバネが利いていた。後方で折り合いに専念。繰り返しになるが、4角でディープブリランテが外へ持ち出し、ついでに言えばサトノギャラントもワールドエースとこの馬を殺すべく弾いており、かなりキツい競馬を強いられたのは間違いないのだが、後ろからワールドエースに交わされたのは頂けない。他馬はともかく、ワールドエースとの能力差は認めざるを得ないだろう。ちょっと案外の内容。血統から距離も長いかも。

第17回アンタレスステークス(GⅢ)

ゴルトブリッツ

多少硬いのは何時もの事で、トモの張りは目立つ。掛かり気味に行く馬で、その気なら先行出来た筈だが、アイファーソングが行く構えを見せており、無理せず中段やや前辺り。変に折り合っており、この馬としては行き振り悪く見えた程だったが、追い出してからはしっかり伸びて、終わってみれば楽勝だった。ただ、砂を被って良いタイプではない筈。基本は先行した方が無難な様に思えるのだが。

アイファーソング

気配の乏しい馬が多い中、元気さは目立った。毛ヅヤやトモのボリューム感が抜群で、デキは文句なし。好発。戦前はトーセンアドミラルがハナへ行く展開予想が大半だったが、何が何でもの構えを見せ、トーセンアドミラルを1,2角中間で引かせてハナ。従って、楽に行けた訳ではないのだが、行き切れば渋太いという事なのだろう。前述した様に、ゴルトブリッツが普段より後ろでの競馬となり、4角先頭といった事態にはならず、この枠順も結果的に上手く作用した。今後も、ハナへ行けるかどうかが全てとなりそうだが、出脚だけをいえばかなり甘い部類。手の内バレたのは痛い。

シルクシュナイダー

前走中山戦を思えば気配は地味になったが、馬自体は変わらず。スタート直後に躓く場面も有ったが、出脚は鈍らず中段やや後方から。道中はコースロスなく回して、前の空いた外目へ持ち出したが、この馬としては伸び案外。アイファーソングは捕えて欲しかったところだろう。今日は内を回った分、まだ誤魔化し利いていたが、、3〜4角での手応えが悪いのは前走と同様。この点が直らないと、東京以外で勝ち切るのは中々難しい。

クリールパッション

遮眼革。特に強調点はないが、減点材料もない。歩様もこの馬にしては悪くない。この馬としてはゲート出て、中段から。ずっと内を回って、一瞬狭い場面は有ったものの、そこをコジ開けて来た。勝てる競馬ではないが、砂を被っても全く苦にしない持ち味は出せたか。この競馬が出来れば重賞でも馬券圏内十分有りそう。

ニホンピロアワーズ

妙にトボトボ歩いていたのは気になった。馬体も少し余裕残し。ゲートが少し悪かった影響で、中段から。ただ、スタート直後にゲート分をカバーしようと押して少し掛かり、早目に外へ持ち出して動いて行ったら、直線は頭が上がって伸び切れずと、力を出し切っていない様な負け方。砂を被らず先行する競馬がベスト。

トーセンアドミラル

前走中山戦から馬は良かった。今日も変わらず。アイファーソングが何が何でもの構えで来て、1〜2角中間で引いて2番手。道中はスムーズに追走出来ている様に見えたが、4角でアイファーソングに追い付いたところで脚が止まってしまった。やはりハナ行かないとダメ。アイファーソングと枠が逆なら別だが、内枠で引いただけに悔いも残るところ。

第72回桜花賞(GⅠ)

ジェンティルドンナ

2人曳き。今日は完璧。ディープインパクト産駒はトモを甘く見せる馬が多い中、迫力が有った。ゲートは一番速かった位だが、折り合いに専念して中段から。その折り合いもスムーズ。直線は馬場のド真ん中に持ち出されるとディープインパクト産駒らしいフォームで切れた。前走全く動けなかったが、デキが一変して完勝。ただ、このトビのディープインパクト産駒は間違いなくマイラー。オークスはマイラーでも能力の違いで何とかなってしまうケースが大半ながら、他馬が付け入る要素は出て来た。

ヴィルシーナ

2人曳き。これもトモにボリューム感。馬を大きく見せる。この枠でも出脚でスッと好位。外から叩かれたアラフネに一瞬連られる場面は有ったものの、それ以外は折り合いも付いていた。直線向いてアイムユアーズとの叩き合いを制したところを外からジェンティルドンナにやられたが、この辺りは「マイルでの決め手の差」といったところだろう。母ハルーワスイートは短距離志向ながら、器用さが有るのは過去に述べた通り。今日の段階では、次走これが最有力。

アイムユアーズ

前走と然程変わらず。馬は相変わらず目立たない。ゲート入りに梃子摺る。そのゲートは若干分が悪かったが、出脚で好位。上位2頭を思えば多少力んでいた様にも見えたがが、この馬とすれば堪えていた方だろう。坂はしっかり上れたが、上がってからが甘くなった。この辺りはマイルでもギリギリなのだろう。次走はほぼ用なし。

サウンドオブハート

2人曳き。一息入った影響はゼロとは言えないだろう。少し張りに欠く面は有った。ゲートは出たが、折り合いに専念して中段。前に馬を置かない形にも関わらず、意外な程折り合っていたが、追ってからは前走京都戦の脚は使えず。引っ掛かって伸びないならばともかく、あれだけ上手く運べたなら、もっと切れる筈なのだが、少し意外な印象。レース後、骨折判明したそうだが、休み明けプラスこの点に影響求めるしかないのだろう。

メイショウスザンナ

+8s。数字は回復分。もう少ししっかり歩いてくれれば文句なしだが。もっと行ける筈の馬だが、あまり行く気がなく中段から。直線は馬場の真ん中に持ち出されてジワジワ来ているが、この馬の決め手ではここ迄が一杯だった。この消極的騎乗が次走良い方に出る可能性も高いのだが、今日のところは決め手負け。

ジョワドヴィーヴル

-4kg。攻め馬動いたが、馬体減は宜しくない。例に依って後方から。外回っていたにせよ、内の馬場状態も決して良いとはいえず、脚が有れば来れた筈だが、追っての一伸びが利かず。ただ、これもレース後骨折が判明。フォームの良さで飯を食っている馬が故障して元に戻るケースは考え辛く、現役続行しても今後は苦しい。

プレノタート

2人曳き。変わらずシャープにメリハリが利いている。何時もの様に後方待機。直線は案外だったが、4角で少し動く場面が有ったのが良くなかったのかも。待って待って追い出さないと良い脚が使えないのだろう。そういう意味では東京はベストだが、それでは勝てないのも確か。次走はあくまで連下止まり。

第30回ニュージーランドトロフィー(GⅡ)

カレンブラックヒル

迫力はないが、バランスのとれた造り。ただ、歩様が伸びないのでマイラーだろう。出脚は速い方だったが、内からバンザイが主張し、控えて好位のイン。4角で包まれるのを嫌って早目に動き、坂下では既に前を捕まえていた。今年は雨に祟られ続けたが、良馬場となり何時もの中山に戻った印象。逆に言えば、1000m通過が57.6秒のハイペースだった事も有り、時計の評価は難しい。新馬の内容が素晴らしく、ここ迄は想定出来たが、GⅠでどうかは何とも言えず。セイクレットレーヴよりは遥かに強い、これだけは間違いないのだが...。

セイクレットレーヴ

少し煩いが、馬体はまずまず。出ッパは少し悪かったが、ハイペースで前がバラけ、自然と追い付いて3角でカレンブラックヒルの直後。直線向いても、前述カレンブラックヒルの後を追う様に伸びて来たが、最後は逆に止まり気味。ブライトラインに交わされそうになっていた。札幌で1800mの未勝利戦を勝っているが、今日の内容だけなら距離はマイルでも怪しい。

ブライトライン

前走中京戦と良くも悪くも変わらず。重心は高いが、馬振りは中々。最初から折り合いに専念して、後方待機。ただ、このハイペースでもかなり行きたがっていた。4角でも外へ持ち出そうとして出し切れず、苦し紛れに馬群へ突っ込む形。上手く前が開いたとはいえ、これだけのロスが有りながら最後の脚は一際目を惹いた。折り合いが何とかなってくれればいう事ないのだが、パワーは本物。競馬行っての着順はともかく、マイル路線なら能力は最上位。

オリービン

-8s。また馬体減。少し細く映った。長距離輸送に弱い? 大外枠も有るが、出脚が怪しく後方から。隣のブライトラインはかなり鞍上が引っ張っていたが、こちらは折り合いスムーズ。ただ、4角で大外へ振られてしまい、全部合わせれば5馬身程のロスは有っただろう。示したパフォーマンスは勝ちに等しい。あとは馬体減の問題。反動出なければ良いが...。

サドンストーム

-12s。輸送で減ったのだろうが、相変わらず馬体に迫力。スタート直後に乗り役の腰が落ち、実質半馬身程の出遅れで後方から。コースロスはなかったが、直線向いて暫くの間、前が壁。待たされている間に競馬が終わってしまった。朝日杯フューチュリティステークス時もゲート悪かったが、五分に出てカレンブラックヒルとセイクレットレーヴの間に居たら、着順は100%違っていた。

第55回サンケイスポーツ杯阪神牝馬ステークス(GⅡ)

クィーンズバーン

今日は落ち着いていた。馬体はそれ程細くは映らず。好発。カトルズリップスが出遅れ、フォーエバーマークがスタート直後に躓き、出脚で1馬身抜ける形。外枠ながら、そのままハナへ。4角では前述カトルズリップスが競り掛けてきたものの、スタート直後に楽が出来たのが大きい。直線向いて突き放し、一杯一杯逃げ切った。前々走京都戦で、重賞でも足りる力が有るとは述べたが、今日は展開利も有った。GⅠの前哨戦で、実績馬が何れも差し馬。「らしい」結果になった印象も。

マルセリーナ

-12s。スカッと見せて、これが本来の姿。昨秋は太かった。スタート直後に挟まれて控えざるを得ない面も有ったが、出脚も速くなく中段から。ただ、1400m2戦目。道中は前走思えば楽に追走出来ていた。直線向いて追い出したら、外にモタれてしまい、フミノイマージンがアオりを食っていたが、立て直してからはしっかり伸びてクビ差。追って直ぐがスムーズだったら勝っていた。相変わらずパワー感はないものの、メドの立つ内容。

フミノイマージン

一息入ったが、問題なし。一歩一歩が力強い。この距離では出脚がサッパリで後方から。道中も少し追走に骨を折っていた。直線は大外へ持ち出したが、坂下でマルセリーナに寄られる不利。前述した通り、この不利がない場合はマルセリーナが勝っていたのだろうが、着差が着差だけに惜しい。戦前は期待した馬だが、終わってみれば1400mは短かったのだろう。逆に言えば東京マイルはベストコース。引き続き中心に。

エイシンリターンズ

-10s。数字程は細く映らないが、妙にテンションが低い。馬がボケッとしていた。この下見の影響なのか、妙に出脚がなく後方から。道中も気合を付けられる場面。直線は馬場の7〜8分どころから、直線右手前で内にモタれながら伸びて来た。最後の脚は確かに際立っていたが、本来は先行していた馬。これを叩いて行き振り変わってくれば先行するスタイルに戻る事も考えられ、今日は参考外としたい。

スプリングサンダー

-6kg。気配は悪くないが、少し線が細くなった様に映る。この枠で、少し出して中段。出した影響なのだろうが、少し行きたがっていた。直線も、内から一瞬伸び掛かったのだが、そこ迄。前走が示す様に、阪神1400mはベストコースだが、重賞ではワンパンチ足りないのは確か。勿論、もっと矯めた方が良いのも間違いない。

アパパネ

シープスキンノーズバンド。+8kg。少し太いが、馬体に張り。最近の休み明けとしては一番。出脚は元々良い方ではなく、中段から。折り合いは最近問題なくなっており、むしろ今日は4角の手応えが怪しい位だった。直線向いても伸びは一息。叩けば変わる筈だが、この馬の休み明けは休み明けだった。

レディアルバローザ

+8s。前々走京都戦思えば張りは有ったが、この数字だと多少太目に映る。どんな競馬でも出来る筈の馬が、今日は最初から行き振りが悪く、追走に汲々としていた。追ってからも全く伸びず。太目が祟った? それにしても負け過ぎ感は有るのだが。

第44回ダービー卿チャレンジトロフィー(GⅢ)

ガルボ

例に依ってトモにボリューム感。手先のスナップも利いていた。出脚は有る方だが、この枠でこのハンデ、無理せず中段で折り合いに専念。道中も最内に居た訳ではないが、4角で大外へ。今開催は外も利く馬場状態とはいえ、最後は力でネジ伏せる様な競馬だった。正直、今年のマイル重賞では最低のメンバー構成だったとは思うが、この相手では地力が一枚上だったか。トップハンデで勝ち切ったのも本格化の証。

オセアニアボス

少しチャカつくが、歩様は落ちておらず昨秋から好調期間長い。例に依って出脚がなく後方から。道中はコースロスなく回すのも毎度の事だが、京都とは違い、中山のあの位置から内を突く訳に行かず、ガルボの直ぐ内へ。恐らくガルボの石橋脩騎手が余程自信持っていたのだと思うのだが、1頭分だけ開けてくれて、そこをコジ開けてここ迄。追い込み一手で着順は運次第だが、常に展開一つの馬。

ネオサクセス

短足で馬体は不格好だが、歩様は一歩一歩が力強い。これも後方待機組。ただ、距離短縮しての一戦だったにも関わらず、ちょっと道中宥められていた。4角手前で動いて大外。良く伸びているが、上位2頭の方がセコい競馬をしていた。ハンデ差は無視出来ないが、マイル自体はむしろ向きそう。あとはもう少し前で闘える様になれば。

ツクバホクトオー

腹袋しっかり。多少太くも映るが、張りは有った。出脚は怪しかったが、枠の利を生かし押してハナへ。絡まれる事なく、道中はずっと単騎で行けた。坂を上がって一瞬突き放す場面、やったかに見えたが、坂を上がって後続が殺到し、4着に。ただ、脚勢的には止まった様には見えなかった。あくまで決め手の差だろう。従ってこの馬としては良馬場回復したのが悪い方に出たという事にはなるのだが、渋太いのは確か。

ダイワファルコン

遮眼革。毛ヅヤが良くて、前走以上。気配も良かった。好発も、この馬の出脚で好位。ちょっと道中力んでいた様にも見えた。直線向いても前がスムーズに開いていた筈だが、伸び案外。重賞1番人気で勝き切れる様な馬ではないのは過去に述べた通り。少なくともハンデ57sの馬ではない。

テイエムオオタカ

デキだけならコレ。前走から悪くなかったが、叩いて更に良くなっていた。外からジワッと3番手。前に壁がなかった割には我慢して走っていいた様にも見えた。4角の手応えも悪くなかったが、いざ追ってからがサッパリ。折り合いが付くのでマイルでも何とかなる馬では有るのだが、基本は1200m,1400mだろう。

第56回産経大阪杯(GⅡ)

ショウナンマイティ

2人曳き。馬体は悪くないが、少しトモが甘い歩様。最初から行く気なく後方。道中はひたすら脚を矯めて、4角出口で仕掛けて大外へ。尻尾振ってステッキには抵抗していたが、他馬とは1秒違う脚で突き抜けた。前有利の競馬が多い最近では珍しいパターンだが、ハマった感は強い。頭数少なくなったのもこの馬には向いていた様に思えるが...。

フェデラリスト

馬体に関しては文句なし。初コースで物見は仕方がないところ。それ程出脚の速い方ではないのだが、好位の外で正攻法。4角の手応えが抜群で、人気通り楽勝の雰囲気だったが、外から1頭ショウナンマイティの脚が違っていた。スローでこの時計、今日のところは別の競馬をした馬が居たと判断すべきだろう。トーセンジョーダンに最後迫られたのは若干懸念材料ながら、トーセンジョーダンには道悪適性も有り、次走良馬場で改めて。

トーセンジョーダン

2人曳き。戦前は状態面に良い話がなかったが、昨夏札幌戦と同水準。悪くない。出脚はコスモファントムだったが、誰も行く気がないのを見てハナへ。今年は何処も彼処も馬場状態悪いのだが、それを差し引いても1000m通過65.2秒は遅い。例に依ってコーナーの脚がなく、4角ではコスもファントムにも出られた位だったが、直線向いて差し返し、最後フェデラリストにも食い下がっていた。底力は見せたが、この馬の特徴も出てしまった。

ローズキングダム

+14s。数字は回復分。迫力有る馬体に戻っていた。スタート直後から少し掛かる素振りが有り、最初から内へ入れて中段。今日のスローでは直線向いてから追い出していては少し遅いのだが、最後迄ジワジワ伸びていた。勿論、ベストは良馬場なのだろうが、近況のこの馬としては力を出し切っている。

ナカヤマナイト

昨春とは別馬。馬体に実が入った。道中は中段。スタート直後にトーセンジョーダンに前をカットされて手綱を引っ張る場面が有り、1馬身のロス。道中は少し力んでいた様にも見えた。直線だけ外へ持ち出して格好は付けたものの、伸び切れず入着止まり。乗り役の話では良馬場がベストとの事だが、それは他馬も同じ事。まだ現状は一線級とは力の差が有る。

アーネストリー

この数字でも走っているが、腹回りボテッと映る。前走中山戦が逃げてサッパリ、ハナへは行きたくなかった様で、中段で折り合いに専念。この馬のこの位置にしては折り合っている様に見えたが、勝ち切るにはもっと積極的に乗らないとダメ。直線はジリジリとしか伸びず、決め手の差が出てしまう。ハナ行く競馬を教え込んだ方が早い様な気もするが...。

グローバルスプリントチャレンジ第2戦 第42回高松宮記念(GⅠ)

カレンチャン

少しテンション高いが、一度使って上昇。毛ヅヤが良化。エーシンダックマンの先行策に乗って2番手。池添騎手は枠順決まった段階でこの展開を読んでいた筈だが、思い通りとは正にこの事だろう。坂下で先頭に立ち、後続の追撃を一杯一杯振り切った。タイトル防衛的側面となると、格の違いという話になりがちだが、今日は上手く行った印象の方が強い。内容としては昨年中山戦の方が強かった様にも思うのだが...。

サンカルロ

-6kg。狙い通り絞れて来た。テンポ良く歩けていて、気配も上々。最近、出遅れるケースが多いのだが、この馬にしてはマシな部類。中段やや後方で脚を矯めて、直線外へ。流石に坂を上る脚は速く、放たれた矢の様に1頭違う脚で飛んで来たが、カレンチャンに上手くやられてしまった。惜しいは惜しいにしても、GⅠで勝ち切るにはもう少し前で闘える様にならねば。

ロードカナロア

2人曳き。毛ヅヤピカピカ。デキに関しては文句なし。好発も、エーシンダックマンが主張し、無理せず好位。ただ、その隙にカレンチャンが2番手に付け、前述した様に一番スムーズな競馬をされてしまった。直線も、エーシンダックマンを交わす手間だけはなく、最後はカレンチャンにも寄られ気味。多少のパワー不足を感じない訳ではないのだが、競馬自体も不完全燃焼だった。結果的に最内枠が仇。

ダッシャーゴーゴー

+6s。歩様が怪しいのは何時も通りだが、腹回りが少しボテッと映る。この枠だが、ゲートをスッと出て好位。4角少し掛かった様に見えた位の行き振りで、手応えは抜群だったが、追ってからがもう少し。外回ったロスもそうだが、今日のところはデキに原因を求めたい。アクシデント続きで運に見放されている馬だが、デキさえ万全なら能力落ちはなさそう。秋に改めて。

マジンプロスパー

-8s。数字分スカッとしたが、相変わらず馬体はパワフル。ダッシャーゴーゴーの方が出脚に余裕も感じられたが、押し気味に好位から。少し行きたがっていたのも確かだが、直線向いての追い比べで僅かに見劣った。悪い内容ではないが、上位とは明らかに差を感じさせる競馬。今日のところは経験不足も。

第19回マーチステークス(GⅢ)

サイレントメロディ

2人曳き。オーストラリアンブリンカー。-6kg。休み明けになるが、何より毛ヅヤが良かった。いきなりから完璧に近い状態。元々テンに行ける方ではなく、後方でジックリと。砂を被ってというよりは、少し行きたがって、頭が上がり気味だったが、上手く脚を矯めて、直線大外へ。芝でも走っていた位の馬で、時計の速い馬場で一瞬の決め手を生かすタイプ。ハンデの後押しも有って、持ち味を生かし切った。昨年のテスタマッタ程の迫力は感じず、GⅠの底力勝負が課題になるのだが、末脚は確か。

メイショウタメトモ

パシュファイヤー。+6s。テンション高かったが、馬はスカッと出来ていた。好発。少し出して中段のインへ潜り込む形。道中は只管ジッとしていたが、直線入口で上手く馬群が切れて、スムーズに外へ持ち出せた。そこへサイレントメロディが来て、併せ馬の展開になったのも願ったり叶ったり。着差だけを言えば惜敗だが、今日は兎に角上手く行った。ただ、そうはいっても川崎記念2着の実績。55sは恵まれていた。

バーディバーディ

遮眼革。馬体は元々上位。首を使って自らリズムを取っており、好気配。最近ゲートと出脚が悪かったが、今日は五分に出て積極策。外で3番手の外で流れに乗って、4角では勝ったかの手応えだったが、追ってからはトーセンアドミラルとの併せ馬を首の上げ下げで制するのがやっと。外2頭とは勢いが違っていた。ただ、遮眼革効果なのだろうが、行き振りが戻って来たのは大きい。直線の脚もハンデ差は無視出来ないだろう。一応は復調ムード。

トーセンアドミラル

一息入れたが、馬が張っていた。むしろ良くなっている。好発。ゲートで1馬身抜けてそのままハナへ。ペース自体は決して速くないのだが、アイファーソングに終始併わされて、息の入り辛い展開に。序盤は口も割って少しリズムも欠いていた。直線向いて後続の強襲には無抵抗だったが、この状況下では良く粘っている。ハナなら重賞でもチャンスは有る馬。

ナムラタイタン

馬体の張りが一息。馬に集中力は有ったが。枠不利の一戦、出ッパも多少怪しかったが、出して好位直後。2角でもエイシンダッシュにコスられる場面は有ったが、我慢して走っていた。砂を被るとダメな馬で、今日はこの騎乗しかないのだが、追ってもどかしいのは距離とハンデの両方だろう。以前思えば競馬を投げなくなったが、「砂を被るとダメ」というのは昔から。

シルクシュナイダー

-8s。手先のスナップが利いていて、デキに関しては問題なさそう。スタート直後から結構押していたが、出脚案外で後方に近い位置。今日は4角での手応えが悪く、ここで半分叩かれたのが痛かった。直線向いて立て直してからは伸びているが、もう少しコーナーで勢い付けて回れないと中山では厳しい。ベストは東京。

第60回日経賞(GⅡ)

ネコパンチ

馬体に張り、歩様も伸びていた。走られて納得。ケイアイドウソジンの方がゲートは速かったが、最初から逃げると決めていたのだろう、枠の利で制してハナ。1000m通過、61.4秒は馬場状態考慮するとまずまず速く、成り行き大逃げの形に。ここからは1F13秒前後にペースを落とし、4角で再加速。そのまま逃げ切った。馬場状態や枠順 (ケイアイドウソジンの外では厳しかった) 等、色々恵まれた面は有るのだが、ラップは中々芸術的。穴男江田輝男騎手、面目躍如といったところ。

ウインバリアシオン

-8s。数字はこれでベストだが、まだ馬体の張りが甘い様にも映る。今日も下げて最後方から。向正面で外へ持ち出し、3角で動いたルーラーシップを目標に動く形。今日はルーラーシップだけを潰す競馬。ネコパンチ迄は意識が回らなかったのは止むを得ぬところだろう。ちょっとライスシャワー的雰囲気も出て来た。

ルーラーシップ

馬体は相変わらず迫力満点。今日も文句なし。好発も、無理せず中段から。折り合いには不安のない馬で、スムーズに運べていたが、1番人気の責任感から、大逃げのネコパンチを3角から自力で捕まえに行く格好に。元々中山が得意な馬ではなく、これだけコーナーで脚を使わされると流石のこの馬と言えども厳しい。最悪でも連は確保しないといけない一戦だったが、今日は参考外。

コスモロビン

皮膚を薄く見せて毛ヅヤは中々。ただ、後ろを歩くルーラーシップとは迫力で差が有り過ぎる。最初からルーラーシップをマーク。向正面辺りから行き振りが怪しくなって来て、3〜4角でもルーラーシップには付いて行けなかったのだが、直線向いてからが中々渋太い。あの行き振りを思うと馬場適性は怪しいのだが、中々根性が有る。

ネヴァブション

オーストラリアンブリンカー。地味は地味だが、馬体は纏まっており、特に年齢は感じさせず。出遅れ1馬身不利。中段からひたすら内ラチ沿いを追走。今の中山は馬場が酷いのだが、最内が意外に利くのも特徴の一つ。内からジワジワ来て入着果たした。往時の力はないにしても、中山は得意。

トーセンラー

もう少し歩様に力強さが欲しいところ。馬体はこんなモノだが。道中はルーラーシップをマーク。1周目4角迄は掛かり気味に見えたが、1周目直線向いた辺りから何度もノメる場面。元々パワーがないのでこうなると辛い。勝負どころでは既に一杯になっていた。戦前から分かり切った事だが、こういう馬場はダメ。

第59回毎日杯(GⅢ)

ヒストリカル

メリハリの利いた馬体と歩様。この時期のカンパニーを思えば出脚はかなりマシ。それでも後方で脚を矯める形になったのだが、直線向いて進路がなく、全部行かせてから外へ持ち出す形。思い切り追える状態になったのは坂下近くだった。この段階では圏外に思えたが、前走京都戦同様の決め手。1頭だけ次元が違う脚だった。瞬発力だけを言えば世代トップ。この馬場で走ったのも馬がしっかりしているからだろう。追い出して途中で手前が替わるので見た目には危なっかしいのだが、無事に行ってくれれば東京戦で突き抜けても。

マウントシャスタ

キビキビした歩様。もう少しトモにボリューム感が出れば満点。出遅れ1馬身不利も、外枠で事なきを得て中段から。ずっと馬場の良いところを通り、手応え通りに坂下で先頭。スムーズに運んだが、結果的に早かった印象も。最後は内にモタれて自分から馬場の悪いところへ突っ込んでいた。今日はヒストリカルの凄さばかりが目立ってしまったが、これも重賞級は有る。

スピルバーグ

少しチャカつき気味だが、馬体は纏まっている。ゲートも少し悪かったが、無理せず後方から。3角で少し番手を上げて、マウントシャスタを目標に動いて行ったが、そのマウントシャスタとは一瞬の脚で突き放され、さらにその外をヒストリカルが一気に交わして行った。今日の展開だと、競馬としてはほぼ完璧だった筈で、現状上位馬とは力量差見た方が良いだろう。逆に言えばこの差は共同通信杯組ときさらぎ賞組の差。この点も無視出来ない。

フジマサエンペラー

毛色に騙されるのだが、張りが一息。休み明けの影響は有りそう。出たなりで中段のイン。内は勿論悪いのだが、こういう馬場は比較的苦にしないタイプで、ひたすらコースロスなく回していた。前とかなり離れた上に、今日は明らかに状態面一息だっただけに、能力比較が難しいのだが、決して通用しない馬ではない。

クロスカップリング

気配自体は中々だが、もう少し踏み込みに力強さが欲しいところ。出遅れ1馬身不利。3角で外へ持ち出し、直線向いた段階ではスピルバーグと同じ位置に居たが、追って案外。上位とは決め手の差がかなり有りそう。500万も危なっかしいというのが正直な印象。