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競馬回顧 2012年4回京都

第146回天皇賞・秋(GⅠ)

エイシンフラッシュ

-8kg。馬体の張りはまだ甘いのだが、絞れた点には好感。大分筋肉の輪郭は見えて来た。基本的には出脚の速い馬だが、上手く馬群の中段が空いて、自然とラチ沿いへ。この段階で、枠の影響が消えた。ひたすらラチ沿いを通り、また見事に内が開いていた。この手の馬は実況に見逃されることが多く、抜け出してから名前が呼ばれるケースが大半だろうが、今日はそんなこともなく、坂を上った辺りから明らかに勢いが違っていた。勝つか惨敗かの馬が今日は吉と出た。毎度のことながら天覧競馬は千両役者が持って行く印象も。ルール上、故障でない限り、後検量前の下馬は審議対象になるのだが、蛯名騎手よりはデムーロ騎手だったか。

フェノーメノ

2人曳き。古馬と比較すればスカッとし過ぎているのだが、落ち着いていた点には好感。この枠で1番人気。先行する以外に手はなく、少し出して正攻法。ただ、基本的には矯めて瞬発力を生かす馬、出した分だけ行きたがるのは仕方がないところだろう。シルポートは誰も捕まえに行っておらず、実質的にはカレンブラックヒルを目標にほぼ理想的な競馬が出来たが、序盤のロスとエイシンフラッシュのギャンブルにやられた。負けるべくして負けているが、地力も示した。

ルーラーシップ

+18kg。デビュー以来最高体重。腹回りは少しボテッと映った。痛恨の出遅れ。これも人気背負っていたのと、トビが大きく内を突くタイプの馬ではないだけに、最初か外へ持ち出して直線は大外。ダイナミックなフォームで良く伸びてはいるが、今日の展開ではここ迄。2400mでも何とかなるとは思うのだが、今日負けた勝負運のなさは嫌なところ。

ダークシャドウ

オーストラリアンブリンカー。+8kg。昨年を思うと、やはり馬体の張りは落ちる。道中は中段馬群の中。これもラチ沿いを器用に立ち回って来る馬ではないのだが、エイシンフラッシュの様な120%の競馬ではないにせよ、比較的コースロスなく回って来れた。やただ、直線向いての伸びは昨年程ではなく、ジリジリ。最後はルーラーシップに捕まった。やはり昨年とは勢いが違ったということだろう。

カレンブラックヒル

前走と変わらず。歩様に伸びがないのも毎度。枠は遠いが、それでも行く以外に手がなく、2番手へ。外枠から無理した分も大きいが、この距離で目標にされたのも辛かったところだろう。ただ、今日はズルズル行ってもおかしくない展開だった。ダークシャドウとトーセンジョーダンが併せ馬になって、最後この2頭の差が1/4馬身差程だったが、この間に割って入り、掲示板確保しただけでも今日は満点の評価が出来る。マイルなら間違いなく現役最強。

第55回毎日放送賞スワンステークス(GⅡ)

グランプリボス

2人曳き。+10kg。また馬体増。それでも太い印象はない。好発も、折り合いに専念して中段。例に依って折り合いが課題になるのだが、前と外に馬を置いて、何とか我慢させていた。今日はスローだが、4角迄マトモに持って来れれば、あとは相手関係の問題。結局この馬以外は誰も差して来れず、今日の相手なら貫禄が違った感も有った。完勝。内田騎手とも手が合うのだろう。

テイエムオオタカ

筋肉が浮き上がっていた。非力だった歩様も大分マシに。出脚が速く、スッとハナ。ただ、600m通過が35.2秒。とにかく遅く、各馬引っ張り切り。乗り役の睨みが利いているのか、馬が行きたがって一見競り掛ける形にはなっているものの、あくまで並走迄。坂の下りもすっかり死語となった菊花賞の格言通り、ゆっくり下って直線だけの競馬に持ち込んだ。これなら粘り込んで当然。あくまでこの馬の能力は実質オープン特別レベル。

アドマイヤセプター

毛ヅヤは一息だが、歩様が力強い。ジワッと先行。スムーズでは有ったが、坂の下りでテイエムオオタカを越しそうになったのは、結果的にタイミングが早くなったのかも。直線向いてからは内にモタれ気味だった影響も有るが、テイエムオオタカが捕まりそうで捕まらなかった。もう少し矯めが利けば重賞でも何とかなりそうだが。

ダノンシャーク

2人曳き。テンション高過ぎる。馬体は数字以上に大きく見せるが。スタート直後はダッシュ付かなかったが、運良くスペースが開いており、押して中段。ただ、出した影響で少し掛かっていた様にも見えた。上位3頭はメリハリの有る競馬が出来たが、4角の段階で既に好位に取り付いており、結果的にダラダラした競馬になった印象も有る。それが1400m適性といえばそれ迄なのだが、ゲートを五分に出るだけでも大分違った筈。

オリービン

+6kg。馬体はこんなモノ。他馬と比較して、少し発汗がキツい気もしたが、許容範囲。出脚が速くスッと好位。これもスムーズには競馬が出来たが、掛かり気味。直線も伸びそうで伸びず。尤も、更に後ろに居たグランプリボスに差されており、役者の違いを見せ付けられた感も有ったのだが。

第73回菊花賞(GⅠ)

ゴールドシップ

2人曳き。3000mだからこれで良いのだが、今日も気配には乏しい。馬体は叩いて前走阪神戦以上。この距離なら中段辺りへは付けられるかとも思ったが、やはり出脚がなく後方から。ソコソコ流れた割には馬群が密集していたが、出来るだけコースロスを少なくする様、2周目向正面から徐々に番手を上げ、2周目3角で既に好位。4角ではほぼ先頭に立っていた。直線も右ステッキに反応して外へヨレる場面は有ったものの、案外ヨレ方は他馬の方が酷く、力が違った一戦となった。久々に菊花賞らしい菊花賞となり、力通りに決まった。まあ、SFの題材になっていたミスターシービーと同じ競馬となったのは偶然にしては出来過ぎだが。

スカイディグニティ

2人曳き。こちらは3000mでどうかだが、気配は抜群。例に依ってバランス取れた造り。ゲートも少し悪かったが、これも出脚が少し鈍く後方から。馬群には一応取り付いており、ゴールドシップを意識しつつ、2周目向正面辺りから馬群の中を進出して、2周目3角辺りで中段に潜り込む形。4角で直後に付けた際には乗り役からすれば"してやったり"の騎乗だった筈だが、そこからが遠い。直線で追っている最中に乗り役は脱臼してしまう程、激しく追っているのだが、力差を見せ付けられた印象。ただ、今日は前述した様に菊花賞の競馬となっての2着。乗り役が上手く乗った以外に、何かが恵まれた訳でもない。

ユウキソルジャー

2人曳き。少しチャカつき気味。数字の割には良く見せる馬。毛ヅヤも冴えていた。6枠2頭の先行策に乗り、好位から。ただ、馬群が密集して、横へ広がった際に自然と番手が下がり、コースロスはなかったものの、2周目2角では後方から数えた方が近い位置になっていた。直線は外へ持ち出したものの、前に居たベールドインパクトがフラフラ。一瞬、外へ行くタイミングとかち合ってしまいロスがあったのだが、この内へ切り替えて、最後の最後で3着に浮上。これも持久力は見せた。スカイディグニティ程は上手く乗られておらず、実力的には五分という評価も出来る。

ベールドインパクト

2人曳き。コロンとした体型。バネの利いた歩様だが、伸びはない。出脚は速い方だったが、折り合いに専念して中段のイン。ただ、かなり引っ張っており、一旦後方迄下げて立て直し、改めて向正面で外へ。ゴールドシップの進出からワンテンポ遅らせる形で動いたが、直線向いてからフラフラだった。ディープインパクト産駒の展開にはならなかったということだろうが、逆に言えばその中では最先着。そういう評価は出来る。

ラニカイツヨシ

毛ヅヤピカピカ。ボリューム感の有る馬ではないが、纏まった造り。スタート直後から行く気なく後方から。坂の下りで掛かる場面は有ったが、直ぐにスムーズに。2周目向正面でゴールドシップが動き、これに連れる形で動いて行ったが、最後は実質追っ掛けバテの形。それでも大きくは負けていない。持久力は十分見せた。

第15回サウジアラビアロイヤルカップ富士ステークス(GⅢ)

クラレント

-12kg。数字は絞れたモノ。相変わらず歩様に勢いがないのは気になるのだが...。枠が遠いのだが、出脚がソコソコ速いのと、今開催は内外公平な馬場状態。となれば自分の競馬に徹した馬が多く、自然と縦長の競馬となり、中段やや前から。前に馬を置かずとも折り合いの付く馬で、上がりの速い競馬を早目に抜け出してそのまま押し切った。今年はこの路線の3歳馬が異様に強いのだが、それをそのまま出した形に。総じてスンナリの流れになっているのも3歳馬にとっては良い方に出ているだろうが。

ファイナルフォーム

オーストラリアンブリンカー。+8s。胴長の馬体は目立つ。今日に限れば少し緩いが、休み明け緒戦としては及第点。あまり出脚の速い方ではなく、中段から。少し行きたがるのを宥めての追走。追ってからの反応が一瞬鈍かったが、ジワジワ伸びて2着浮上。今日は一度使った分と位置取りの差。気性面で暴発しないところを見せた点も評価出来る。次走思い切って本命に推す手も。

ヒットジャポット

馬体はメリハリが利いて悪くないが、気配に関していえば集中力がない。これもあまり出脚が速い方ではなく、中段やや後方から。4角回って、ファイナルフォームと併せ馬の形。前述の通り、一瞬の反応はこちらの方が良かったが、ずっと左手前のまま。東京で手前が替わらないのはどうしても最後の伸びに響く。東京は良績有る馬で、今春の東京新聞杯の際に、このレースで狙い目と述べたが、むしろ勿体ない競馬になってしまった。

ダローネガ

まずまずだが、春と馬が変わっていない。成長度には疑問も。少し出して中段から。多少行きたがっていた様にも見えたが、内で脚を矯めて、直線はクラレントの直後が一瞬見えたが、ここで少しモタ付く場面。そこで前が一度閉まってしまい、追い出しが遅れてしまった。逆に言えば最後は良く詰めている。

スピリタス

馬体が緩く映るのは何時ものことだが、今日も落ち着いていた。例に依って後方から。多少は怪しさも有るにせよ、最近は何だかんだで折り合いは付く。4角回って、ヒットジャポットの直後に出て来たが、そのヒットジャポットが前でフラフラ。スマイルジャックが右に居て、外にも出せず、マトモに追える様になったのはラスト100m程だった。以前思えば真面目に走れる様になった点は評価出来るが、近走は少しツキのなさも。

ガルボ

トモにボリューム感。歩様がもっと力強くなれば文句なしだが、春の状態はキープしている。この馬の出脚を生かし、好位で流れに乗る何時もの競馬。ただ、普段よりは少し力んでいたか。直線向いても伸びていない訳ではないのだが、坂を上がってからの脚で少し見劣った。叩いてもう少し道中楽に走れれば変われる筈だが。

コスモセンサー

もう一絞り有った方が良さそうだが、前走中山戦よりは良い。戦前の想定通りハナ。ただ、少し出脚は怪しかった。特にハナを切り掛けたところでツクバホクトオーに内から競られたのは痛かっただろう。デキの問題も有るだろうが、一番落ち着きたいところでやられた印象が有り、今日はデキだけを原因にし辛い。最初からスッと行けていれば、もう少し違った筈。

第17回秋華賞(GⅠ)

ジェンティルドンナ

2人曳き。同世代相手では馬のスケールが違う。その一言に尽きる。馬場入場時に乗り役を落とす粗相。輪乗りの段階でもかなり発汗が目立った。ヴィルシーナがハナへ行き、あまり離されるとマズいところだが、前述の状況。難しい舵取りを迫られたが、中段から。やはり多少掛かっていた。1000m通過が62.2秒のスロー、4角での反応も一息で、一瞬ヤバいかの場面だったが、辛うじて先着。着差は7cm差だそうだが、フワッとした分が有り、競馬としてはこれでも完勝だった。京都2000mはベストコースではなく、仕上げ過ぎたのが気性面で裏目に出た感も有るのだが、それでも勝つのが馬の底力だ。次走ジャパンカップだそうだが、少なくとも同世代の牡馬よりは上を行く印象。古馬も大概だけに、今日のダメージさえなければ本命視する手も。

ヴィルシーナ

2人曳き。増減なしだが、歩くスピードが大分速くなった。気合が全く違う。押して押してハナ。ジェンティルドンナのイレ込みは勿論意識しての策だろう。途中チェリーメドゥーサが奇襲に出た分だけ、少し早く動かす形になっているのだが、道中は折り合いも付いており、ほぼ最高の競馬が出来た。追い出してジェンティルドンナを確認して、外へ併せに行ったのも間違いではないのだが、最後は相手が一枚上手だった。今日も競馬では完敗。それでも相変わらずの競馬巧者ぶりは見せている。アパパネよりは案外強い気もしないでもないが。

アロマティコ

大分落ち着いて周回出来る様になった。歩様もバネを感じさせて力強い。出遅れ1馬身不利。ただ、枠の利で中段やや後方辺りから。スローで少し行きたがっていたが、4角で少しバラけた際に、多少強引ながらも外へ持ち出し、ジェンティルドンナの直後。ジェンティルドンナが4角でモタついたと表現せざるを得ない手応えだったことを思えばこの馬も手応えが良かったとは言い難いのだが、それでも直線は半馬身程差を付けられた程度。上がりが速いとはいえ、良く食い下がっている。ゲートは毎回の様に出遅れているが、決め手は中々。

ブリッジクライム

少しチャカつくのが減点だが、皮膚を薄く見せて、デキは良い。出遅れ1馬身不利。直ぐ内のアロマティコに良い位置を取られ、その後ろから。アロマティコは4角外へ持ち出せた分だけ勢い付けて回れたが、こちらは内を突くしかなく、直線迄待ってからの追い出しに。ただ、その割には際どいところ迄詰めている。折り合いもスムーズで、内容としてはアロマティコ以上の評価も。重賞にも手が届く馬。

チェリーメドゥーサ

少しトモの甘い歩様。もう少しトモに力が付けば。出遅れ1馬身不利。前走中山戦同様、途中、今回は2角手前辺りから出て行く形。ヴィルシーナがかなり押して行った関係で、他馬は控える外なく、1000m通過時には既に後続を数馬身離していたが、それでも62.2秒のスロー。4角でも後続に7〜8馬身程の差。上手く乗られたが、実際は出口で既に脚が上がりそうになっていた。ただ、この機動力は評価出来る。ゲートがマトモで最初からハナならアワヤの場面も有ったかも。

アイムユアーズ

良くも悪くも前走札幌戦と変わらず。数字は成長分だが、もう少し馬体に張りが欲しい。珍しくゲート入り梃子摺る。好発。それでもこの枠で、5〜6番手の外。このスローでは行きたがるのは他馬も似た様なモノだが、追っての決め手が甘い。渋太いというより、渋い馬だが、こういう瞬発力勝負になるとボロが出る。

第60回府中牝馬ステークス(GⅡ)

マイネイサベル

-10s。馬体スッキリながら、トモの丸みも残していた。歩様も落ちていない。この馬にしては好発。控えて中段。1000m通過が59.6秒とやや遅い位のペース。向正面でエリンコートに前をカットされ、少し引っ張る場面は有ったが、それ以外はスムーズな立ち回り。直線大外へ持ち出されると、トビの大きいフットワークで突き抜けた。力は有るが、少し一瞬の切れに欠く面も有る馬。脚の矯め方に難しさも有りそうだが...。ただ、今の東京は内一辺倒ではなく、少し力の要る馬場になっている様。この点は間違いなく有利に働いた。

スマートシルエット

トモにボリューム感。馬に迫力が有る。この馬の出脚でジワッと先行。ハナへも行けたが、シースナイプが行って2番手。坂下迄持ったままの手応えで先頭に立ち、押し切り態勢だったが、最後は決め手の差だろう。マイネイサベルにも言えることだが、この馬も、「トビは大きいものの、回転数の足らないタイプ」。新潟限定馬が好走する馬場状態になっていた。

ドナウブルー

-6kg。落ち着いていたし、これでも十分許容範囲だが、馬体が減って良い事はない。少し良い位置を取りに行って好位。このペースなら止むをを得ないとはいえ、少し行きたがっていたか。追い出した段階では既にマイネイサベルにやられ掛かっていたのだが、それでも渋太く脚を伸ばして3着は確保。上位2頭とは全くタイプの違う馬で、馬場状態不向きな中での好走。今日は能力を示した一戦だ。

レインボーダリア

+6kg。毎度の事ながら少し歩様が頼りない。馬体も少し緩い。枠も悪かったが、出脚が速い方ではなく、後方から。折り合いはスムーズで、最後は良く突っ込んで来ているが、今日は上がりの速い展開。外が利く馬場とはいえ、後ろ過ぎた面も有ろう。前走札幌戦で少し動いて失敗したが、今日は脚を矯めて悪くない競馬。勝てる展開の幅が狭いにせよ、同じ4着でも今日の方が内容は良い。

マルセリーナ

+10kg。馬体は少し余裕残し。それでも、歩様の力感は有った。ゲートは速い方だったが、折り合いも有って中段から。ただ、最内好きの岩田騎手、内にアプリコットフィズが居たのは居心地が悪かったか。直線捌きながらだったことを思えばまずまずの競馬。これもパワー勝負では若干分が悪い面も有り、その中では良く走っている方だろう。

オールザットジャズ

-12kg。少し煩い。歩様はしっかりしており、馬体も細い印象はなかった。やや出負けして後方に近い位置。下見の割に、道中は折り合っていたが、追ってからがジリジリ。4角回って、マイネイサベルの1馬身後方に居ただけに、少なくともその位置には来れた筈だが...。パワー不足も有るが、負け過ぎ。馬体減が応えた?

ホエールキャプチャ

2人曳き。馬体の張りが一息。歩様も少し力強さに欠く。今日はゲート五分。少し出して好位。多少行きたがるのは何時もの事。直線向いてからがサッパリで負け過ぎ感は有るのだが、この馬基本的に外枠は走らない。もちろん今日は休み明けでデキが足らなかったことも大きい。

第47回農林水産省賞典京都大賞典(GⅡ)

メイショウカンパク

左後肢の出が若干悪い気もしたが、気合が乗っていただけに微妙なところ。前走中山戦を叩いて馬は良くなっていたが。例に依って後方から。仕掛けのタイミングからすると、フミノイマージンをマークする様な格好。そのフミノイマージンが4角で少しモタついた印象も有り、仕掛けのタイミングとしては少し遅い位なのだが、それでもオウケンブルースリに競り勝った。文句なしの内容。時計に対応したのも収穫だろう。ベストは直線の長いコースだろうが、東京ならオルフェーヴル以外には通用して良い。

オウケンブルースリ

久々にこの馬らしいチャカつき。馬体も中々シャープ。道中は中段やや後方から。この馬の出脚で中段やや後方から。気分を損ねると良くないとのことで、3角過ぎから一気に進出。前を行くギュスターヴクライも交わし、一瞬フワッとし掛かったのだが、メイショウカンパクが来て更にもう一伸び。結果的には若さにやられた格好だが、ステイヤーらしさは見せた。余程ハンデがキツくならない限り、次走は何とかなりそう。

ギュスターヴクライ

少しボケた部分は有るが、この馬なりにまずまず。行ける出脚は有る馬だが、あまり無理せず中段から。ただ、2角で内ラチに接触する場面。ここでリズムを崩してしまい、そこから馬が一気に行ってしまった。4角で既に先頭。オウケンブルースリと内外離れたのもマズかっただろう。秋はこの手の馬が勝てる番組が少ないだけに、今日は特に勿体ない競馬になってしまった印象が強い。

フミノイマージン

2人曳き。+8s。はち切れんばかりの馬体。歩様の力強さも素晴らしいが、デキが良過ぎるかも。前走札幌戦でも太く映った。折り合いに専念して後方から。道中はスムーズに運べたが、4角で少し反応が悪く、直線もジリジリ。この相手なら通用して良い筈だが、今日は太かったのと、距離が少し長い印象。この馬については毎回歩様に触れる様にしているのだが、そういう馬は距離延長がプラスに働くことはない。

フォゲッタブル

歩様が少し良くなった程度。3歳時の方が遥かに良く見せていた。スタート直後は真っ直ぐ走らせていたが1角で内へ潜る形。4角では前が壁になって少し待たされたかにも見えたが、直線はジリジリ。近走になく、最後迄諦めずに走っていた点には好感。これも勝てる番組はないのだが、一応は復調ムード。

第63回毎日王冠(GⅡ)

カレンブラックヒル

+8s。馬体に大きな変化はないが、歩様の伸びが来た。例に依って出脚が速く、スッと3番手。シルポートが飛ばした関係で、前がバラけ、後続の目標にされたが、直線坂上で抜け出すと一杯一杯振り切った。古馬相手に頑張り通したのだから立派の一言。器用さ一本の馬だが、それでもここ迄一芸に秀でている馬も珍しい。2000mは微妙といえば微妙だが、面子は今日と然程変わらないだけに、圏内の1頭に。

ジャスタウェイ

+8kg。秋緒戦だが、馬体には張り。歩様が多少怪しい以外はまずまず。あまり出脚の速い方ではなく、中段やや後方。今日はソコソコ流れたが、少し引っ張る位の手応え。道中はコースロスなく回して、直線はタッチミーノットとの併せ馬の形で伸びて来た。自力で動くことが出来ず、どうしても展開に左右される馬だが、東京なら末脚は堅実。ただ、ゲートで失敗しないのが大前提になるが。

タッチミーノット

+8s。歩様が一応マトモ。この相手だと馬が少し貧弱には映るが。この馬の出脚で道中は中段。スムーズに運べたが、直線向いて追い出した時の反応がイマイチ。結果的にジャスタウェイに追い付かれて、そこから併せ馬になって伸びて来たが、最後の最後で競り落とされた。斤量も有るだろうが、これが現状の実力と考えた方が良いだろう。

リアルインパクト

2人曳き。+8kg。大分重量感が出て来た。漸く成長して来た感が有る。出ッパが若干怪しかったが、少し気合を付けて4番手。前とも離れていた影響も有ったのだろうが、少し力んでおり、乗り役のイメージよりは早目の進出となった。お世辞にも我慢強い方ではないだけに、こうなると最後の一踏ん張りが利かない。それでも古馬の中では一番中身の有る競馬が出来た。少なくとも昨年の様なことはないだろう。

ダノンシャーク

2人曳き。-8kg。少しイレ気味。デキ自体は抜群だが。出たなりで中段。この枠だが、馬群がバラけたことも有って、上手くインへ潜り込めた。一瞬はコレという瞬発力だったが、本当に一瞬だけ。カレンブラックヒルには簡単に突き放されてしまった。折り合いも問題なかっただけに、不満は残るのだが、距離が微妙に長いかも。

ストリングリターン

2人曳き。+8s。歩様はまだ我慢出来るが、少し中身が怪しいプラス体重。好発も、あまり行く気なく中段の外。少し行きたがる行き振りはこの馬本来のそれ。ただ、1800m自体が1F長いのと、縦長の展開で前に壁がなかったのが少し痛かったか。いうならば、この馬の負けパターンにハマッた形。悲観する内容ではない。

エイシンフラッシュ

+6s。昨年の方が遥かに良かった。良い時の研ぎ澄まされた感がない。出脚は速い馬だが、グランプリボスに叩かれる形となり、一瞬リズムを崩す場面。道中の折り合い自体は問題なかったが、カレンブラックヒル同様、器用さが身上の馬だけに、前で流れに乗れなかったのは痛いところだろう。基本的にはスローを好むこの馬にとっては、このハイペースも宜しくなかったか。この相手なら馬券圏内は確保したかったところだろうが、これもストリングリターン同様、負けるべくして負けた格好。

第47回デイリー杯2歳ステークス(GⅡ)

テイエムイナズマ

2人曳き。馬は良くも悪くも目立った。馬体は断然だった一方、チャカつきも酷かった。出遅れ1馬身不利。暫くして、馬がソノ気になったのをそのまま行かせ、3角では既にハナ。4角で外へ膨れ、決勝線手前でも少し外へモタれていたが、それでも楽勝だった。レース後は、乗り役を振り落す等、素行はオルフェーヴル。生産地では評価の高かったブラックタイド産駒、今日の競馬なら能力も有りそうだが、あとは厩舎技量の問題。お世辞にも上手いとは言い難い。

クラウンレガーロ

馬体自体がまだ成長途上。それでも、毛ヅヤは悪くなく、現状としては悪くないデキ。出脚でジワッとハナ。途中、テイエムイナズマが来たところで一旦引き、直線向いてから再び追い出す形。スムーズには競馬出来ているが、相手にあれだけロスが有ったことを思えば、規格自体がテイエムイナズマの方が上だったといった内容。一応、距離延びても問題なかった点は収穫だが、これ以上は成長待ちだろう。

マイネルエネルテル

一息入って、前走小倉戦の方が馬体の張りは良かったが、相変わらず歩様は力強い。出脚はクラウンレガーロだったが、枠の利も有って好位。これも小倉からの転戦だが、行き振りとしてはむしろオッツケ気味。このスローでも少し反応が鈍かった。追ってからもジリジリ。1200mとマイルで調整は変えているのだろうが、少し悪い方に出たかも。マイル自体は前走でも対応出来る雰囲気は有った。

コレクターアイテム

造りにメリハリがない。歩様もゴトゴト。ゲートは出たが、最後方迄下げて折り合いに専念。スタート直後は怪しかったものの、ここ迄下げれば折り合いは付く。直線向いて大外。着差が着差だけに、出口で少しサウンドアリーナが邪魔になったのが痛いところで、これがなければ2着は有った筈だが、何れにしても他馬とは1秒近く違う脚を見せた。ハーツクライ産駒らしく、馬体はまだ子供だが、上手く成長すれば大仕事も。

カオスモス

+6kg。もう一絞りあっても良いかも。気配は良かったが。道中は好位。1200mの後だが、これも以外に折り合っての追走。直線向いてマイネルエテルネルと同じ位置に出て来たが。追って少し外へモタれていた分も有って、伸びを欠いた。絞れればもう少し違うのだろうが、現状は速い上がりに対応出来ていない。

メイケイペガスター

-8kg。前走阪神戦が太かったことを思えば馬体は文句なし。ただ、少しイラついていた。出遅れ1馬身不利。テイエムイナズマに先を越される部分は有ったものの、そこからも口を割って、悲惨なことになっていた。この段階で今日は圏外。1戦1勝で1番人気に推された様に、力は足りる馬だが、まずはマトモな競馬が出来る様にならないことには。