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競馬回顧 2012年5回京都

ジャパン・オータムインターナショナル 第32回ジャパンカップ(GⅠ)

ジェンティルドンナ

2人曳き。-14kg。少し細いのは確かだが、下見は落ち着いていた。外不利を嫌ったことも有り、果敢に先行。少し掛かったが、これは覚悟の上だろう。それでも向正面では何とか宥め切って直線へ。ただ、4角でオルフェーヴルが早仕掛けして、少し閉じ込められそうになったのが乗り役の焦りを生んだ。坂下でビートブラックの内が開いていたのに、無理にコジ開けて、オルフェーヴルを右後方のベクトルで弾く形に。接触としてはそこ迄珍しくない事象だが、タイミングと角度が最悪だった。後ろから伸びて、後方のベクトルなのだから、一瞬の脚は果てしなく強力。一応競馬でも勝っていると推測出来る。

オルフェーヴル

阪神戦と比較して+2kg。トモのボリューム感は流石だった。出たなりで中段やや後方から。この馬の何時もの競馬。折り合いも比較的直ぐに付いていた。仏国戦同様、今日も手応えが有り余っており、4角手前から動いて逃げたビートブラックを別にすれば実質先頭。押し切り態勢だったが、ジェンティルドンナの一瞬の脚にやられて、ハナでも前へ出られたのが痛かった。出ようとする度に当てられており、最後は乗り役の気迫負け。本来、ルールとしては降着が正解だろうと思うのだが、勝負ごととしてはあれ位激しさが有った方が。

ルーラーシップ

-8s。馬体は現役屈指の見栄えだが、まだもう一絞り。また出遅れ。イン有利な馬場で、ならばと腹を括り、最初から内へ。この策自体は間違っていないが、トビが大きい馬で、インが突けないのが痛い。今日の場合は、インを突いていれば坂を上がった直後に前が壁になっていただろうが、それでも勝ち負けを思うと出遅れた段階でそれしか手がなかった。結果的には3着を取りに行く競馬になってしまった感。仕方がないが、中山では厳しいだけに...。

ダークシャドウ

2人曳き。オーストラリアンブリンカー。-4kg。昨年の方が良いのは確かだが、叩いて前走以上。この距離で、折り合いを意識して中段やや後方から。前がソコソコ流れたことも有り、スムーズな立ち回りが出来た。直線向いても、暫く追い出しを我慢させ、前の2頭は別にしても、追って良い脚を使っているが、最後の最後で失速。ルーラーシップに交わされて馬券圏内を逃す形に。悪い内容ではないが、やはり距離が少し長いと見るのが妥当だろう。

フェノーメノ

2人曳き。シープスキンノーズバンド。相変わらず毛ヅヤは目立つ。もう少し馬体に迫力は欲しいのだが。大勢には影響なかったが、ゲートは少し躓き加減。これ自体は大した問題ではないのだが、少し出脚が鈍って1角で内外からサンドイッチになる場面。かなり馬が力んだのが痛かった。これもダークシャドウ同様、最高に運んで何処迄の馬。トビが大きいので、揉まれ弱く、最後は底力の差を見せ付けられた。

トーセンジョーダン

攻め馬サッパリだったが、見た目は悪くない。昨年の状態迄回復と見て良い。出脚は速い方ではないが、押しても掛からない馬。ジェンティルドンナの先行策に乗る形で好位。昨年同様、自分の競馬は出来た。ペースは昨年の方が遅いとはいえ、それでも時計は詰めた。結果は使える上がりの差だろう。戦前は良い報道が全くなかったが、本調子には有る。昨年よりは消耗度も少ないと考えられ、次走も少し面白い存在。

第57回京阪杯(GⅢ)

ハクサンムーン

2人曳き。下見だけパシュファイヤー。一度2歳時に期待した際より大分成長している。イレ込みもこれなら許容範囲。最内枠でも有り、比較的楽にハナへ行けた上に、テイエムオオタカの出脚が鈍っており、楽にハナ。600m通過が34.2秒の段階でほぼ勝負有った。4角でも手応え充分。内の馬場は少し悪いのだが、一杯一杯振り切った。戦前は期待した馬だが、今日は条件が揃い過ぎた感が強い。出脚自体は速いにせよ、コンマ零何秒の世界でも、もう少しゲートが速いともっと楽になりそうだが。出ッパ自体は今日でもテイエムオオタカの方が速かった。

アドマイヤセプター

+8kg。一応は前走と変わらず。集中して歩けており、気配は良い。出遅れ。今日の展開でこれは痛恨だったが、思い切って内へ入れたのが正解。4角で馬群が団子になったことも有り、何とか勝負圏内に居た。直線もスムーズに開いて、右手前のまま良く伸びているが、手前が替わっていない為に、審議対象にもなった最後で内にモタれる場面。惜しい2着。勿体ない競馬になった。

シュプリームギフト

下見だけパシュファイヤー。+10kg。見た目にはもっと増えても良い位。この馬の出脚で好位から。ずっと内々を立ち回って、4角でテイエムオオタカの直後、直線向いてからもジワジワ来てはいるものの、アドマイヤセプターの方が勢いは上だった。オープンへ上がっても堅実に走っているが、もう一伸び。ただ、矯めても意外に伸びないケースも有って、意外に難しい馬でも有るのだが。

テイエムオオタカ

+6s。今季は歩様が力強い。デキは文句なし。ゲートは一番速かった位だが、押しても微妙出脚が鈍く、2番手から。結果的に後続の壁になった面は否めないだろう。押して行かせている分、追ってからも伸び案外。審議対象にはなったが、脚が有ったらそもそも不利を被る位置に居ない。戦前懸念した通り、1400mをスローで逃げた後で、"後遺症"がモロに出た。

ハナズゴール

+16kg。数字は回復分。これ位が現状のベストだろう。少し硬さは有ったが、気配もまずまず。ゲートは出ているが、この枠で後方から。道中、少しずつ前へ押し上げて行ったが、4角も結局大外。今日はこの段階で圏外だが、外を回って組では最先着。最後の脚は際立っていた。ハイペースに越したことはないが、枠が替わるだけでもこの距離でやれそう。いきなりでこの脚なら、案外GⅠ級かも。

サドンストーム

2人曳き。踏み込みが力強い。気配も上々。出遅れ1馬身不利。4角でも後方。直線は何とか外に持ち出そうとしていたが、少し内にモタれる場面。ここがチグハグだったのが痛い。エンジンが掛かるのが遅かっただけで、直線最後は来ている。巻き返せる余地は残す敗戦だが、左回りの方が走りは無難。

パドトロワ

少し腹回りがボテッと映る。もう少し絞れた方が。出遅れ1馬身不利。押して好位には取り付いたが、斤量背負っているだけに、序盤の無理は見た目以上に厳しいところ。追ってから頭が上がってサッパリだった。今日は条件も悪かったが、気性的にも問題が有りそう。一度立て直した方が。

ジャパン・オータムインターナショナル 第29回マイルチャンピオンシップ(GⅠ)

サダムパテック

2人曳き。この中間は坂路で一番時計。少し太い位の造りだが、馬体に張りは有った。ゲートは若干分が悪かったが、出脚が速く、中段。折り合いは怪しいながらも何とか付いていた。4角で、最内がシルポート。ここを狙うのは危険過ぎると見て、外へ持ち出すのだが、こkはやや行儀が悪かったか。結果的には"皆が悪い"ということでお咎めなしだったにせよ、この馬が起点となっている感も否めなかった。それでも抜け切って、グランプリボスの猛追も凌ぎ切った。勝負には勝ったものの、競馬の勝ち馬はグランプリボスだと思うのだが、パワーは見せた。香港でも問題外ということはない筈。

グランプリボス

-2kg。理想はもう少し絞れて欲しかったところ。それでもこの馬にしては落ち着いている。気性面考えると、仕上げとしてはこれ以上は追い込み辛いかも。ゲートをソロッと出して中段のイン。ペースが少し落ち着いた面も有るが、やはり少し行きたがっていた。4角でも中段馬群の中。最後は脚を余しており、結局は直線の不利が痛かったということにはなるのだが、この枠から折り合いに専念すればこのパターンは決して珍しくはない。力は見せている一方で、課題は課題として残った。

ドナウブルー

上昇度では疑問も、毛ヅヤはキープ。近況一連のデキは有った。ジワッと乗られて中段。前走東京戦で少し気になった折り合いは一応付いていた。京都は脚を矯め過ぎて、外へ振られ過ぎるケースが有り、早目に動いて勝ちに行く競馬。確かに最後の脚は上がっていたが、直線の押し競饅頭状態を思えばこれで正解。ただ、馬場の良い外目だったとはいえ、力の要る馬場状態。上手く乗られたにせよ、力も見せてくれた。

シルポート

2人曳き。+4kg。デビュー以来、最高体重。少し腹回りはボテッと映った。珍しく好発。スッとハナにも行けたが、今回は川田騎手。大逃げは避けて、2000mの前走東京戦よりむしろ0.9秒遅いペース。雨上がりで、レースを追う毎に馬場が乾いて来ており、ラチぴったりを回って4角も手応え十分。一瞬は乗り役も夢を見ただろうが、決め手の有る馬が台頭して来た感も有り、結果的にはもう少し飛ばしても良かったかも。何れにしても、惜しい内容。今更ながら逃げ馬の距離短縮は常に怖い。

リアルインパクト

オーストラリアンブリンカー。-8kg。狙い通り絞れて来た。馬体の張りが甘く、絶好調とは思えないが、一応は及第点。珍しくゲートが悪かったが、出脚でカバーして馬で好位から。その分、折り合い面に悪影響は有ったが、一応はスムーズな競馬。直線、サダムパテックと接触するシーンは有ったものの、脚の差で負けた。東京のパンパン馬場なら別だが、この馬場だとこれがこの馬の限界だろう。折り合いがもう少しスムーズだったとしても、4着有ったかどうか程度だ。

ストロングリターン

テンション高いのは何時もの事だが、普段よりは集中力に欠いた。ただ、馬は文句なし。メンバー中一番良く見せた。あまりゲートの速い方ではなく、道中は中段から。このペースで折り合いが怪しくなるのは何時ものこと。ただ、4角になると急に手応えがなくなり、むしろ置かれ掛かっていた程だった。直線向いて伸び返してはいるものの、これでは競馬にならない。京都の下り坂がダメ?

ファイナルフォーム

オーストラリアンブリンカー。使って馬体は締まって来た。馬振りは素晴らしいが、もう少しトモに迫力が欲しい。ゲートが少し悪かったが、そのまま中段やや後方から。ただ、直線向いてエンジン掛かったところで例の不利。これでは競馬にならない。参考外だが、トラウマにならねば良いが...。

第17回東京スポーツ杯2歳ステークス(GⅢ)

コディーノ

一息入ったが、ほぼ出来ていた。キングカメハメハ産駒にしては、重量感に欠くが、その分完成度は高い。気配も前向き。スッと出て好位のイン。折り合いは付いていたが、ちょっと前向き過ぎる感も有った。直線向いて暫く壁になっていたが、前が開いてからは一気の伸び。意外に着差が少なかったのは、先頭に立ってからソラを遣って、手前が替わっていたから。レッドレイヴンが迫ってからはもう一伸びしている。ムチャクチャに強い。京都2歳ステークスを圧勝するで有ろうエピファネイアは別にして、重賞へ出て来た馬の中では抜けている印象。

レッドレイヴン

+6kg。コディーノとは同厩だが、完成度では大分差が有る。藤沢和雄厩舎の正常営業といえばそれ迄だが。ゲートは出ているが、折り合いに専念させて行く気なく後方から。直線だけ外へ持ち出す、競馬としては少し大味だったが、最後方からラスト100mで既に2番手に上がっており、良い脚は使っている。前述の通り、コース取り以上の能力差を見せ付けられたが、それでも例年なら楽勝の競馬だろう。相手が悪過ぎた。今年もこのレースからGⅠ馬を輩出することになりそうだが、最早何頭出て来るかの問題に。

インプロヴァイズ

迫力には欠くが、キビキビ歩いており、雰囲気は悪くない。毛ヅヤもまずまず良かった。ゲートが少し悪かったことも有り、中段やや後方からジックリと。直線向いてスパッと切れるという感じではなかったが、ジワジワ脚を伸ばしてここ迄。良いスタミナは持っていそう。一応この馬迄が水準級の評価をしたい。今日はとにかく相手が悪かった。

ケンブリッジサン

シープスキンノーズバンド。コロンとした体型だが、馬に幅は有る。ただ、少し今日は余裕残し。出脚速く2番手から。一瞬はブッ飛んで行きそうな掛かり方だったが、2F程で折り合いは付いた。直線向いて坂下で先頭。コディーノには一瞬で交わされた割には良く踏ん張っているが、最後はスタミナ切れ。2番手からこういう競馬が出来た点は収穫ながら、重賞でいきなり控える競馬は無理が有っただろう。賞金加算したい一戦だったにも関わらず、今日は準備不足。

バッドボーイ

馬体からはそんな印象もないのだが、歩様にもう少し力強さが欲しい。出遅れ2馬身不利。そのまま腹を括って最後方からの競馬。直線向いてどうするか一瞬迷って、レッドレイヴンを行かせてからの大外。これでは一手遅い。エンジン掛かってからの脚は悪くなかったが、今日は出遅れが痛過ぎた。

エリザベス女王即位60年記念 ジャパン・オータムインターナショナル エリザベス女王即位60年記念 第37回エリザベス女王杯(GⅠ)

レインボーダリア

少しトモの甘い面も有る馬だが、今日も似た様な雰囲気。ただ、馬体の張りは確実に良くなっていた。好発も、枠の関係で中段やや後方から。馬を前に置いて折り合い重視の競馬。3角手前でエリンコートが一気に動く場面も有ったが、これを行かせて坂下で少し惰性を付けてからの直線勝負。道悪も下手ではないが、それよりも今日は外枠だろう。馬場の良いところをずっと通れたのが大きい。距離も昨年5着馬。道悪の話と同様、他馬が苦しむ分だけ有利に働いている。

ヴィルシーナ

2人曳き。前走の方が気合が乗っていた気もするが、歩様は落ちていない。出脚は有る馬で、乗り役はハナも想定していただろうが、この距離では折り合い面が無視出来ず、ジワッと好位。4角で一瞬手応えを悪くしたが、エリンコートが奇襲を打って、これを捕まえに行かざるを得ない展開。キツい競馬になってしまったが、それでも直線はレインボーダリアに渋太く食い下がった。ワンテンポ遅らせていれば、結果は違っていた可能性も有ったが、単勝1倍台の馬。仕方がないところだろう。

ピクシープリンセス

2人曳き。首でリズムを取って気配はまずまず。馬体が見栄えしないのは仕方がないところだが。出遅れ1馬身不利。ただ、道悪を気にしたのは、全く前に進んで行かず。当初はインを通る予定だった様だが、馬場を嫌って3角から外へ。今日はこれが正解。少し外へ振られ過ぎた面も有るのだが、直線はしっかりとした脚取りで良く伸びて来た。これだけ時計が掛かると通った位置の差も大きく、能力面での論評は難しいのだが、少なくとも道悪が上手いという訳ではなさそう。今日は根性のみを評価したい。

マイネオーチャード

牝馬にしてはボリューム感が有る。歩様も力強い。出脚が鈍く、これも後方に近い位置。道中の手応えももう一つで、3角手前でレインボーダリアが外へ持ち出す際に、この馬が少し下がっていなければ結果が違っていた。4角もオッツケオッツケだったが、それでも渋太く伸びてここ迄。これもピクシープリンセス同様、評価が難しいのだが、根性と距離適性のみを評価する形にしておきたい。

オールザットジャズ

+14kg。数字は回復分。ただ、中身がどうかといわれれば微妙だが。後ろから行くとどうも伸びが甘く、この距離ということも有り、自然と前へ。3角迄は折り合いも付いて上手く行っていたが、外からエリンコートに来られ、ワンテンポ早く動かざるを得なくなってしまった。最後は完全に脚が上がっていた。途中迄がスムーズだっただけに、余計に勿体なさも。

ホエールキャプチャ

まずまず。全体的な雰囲気は前走東京戦以上。例に依ってあまり出脚の速い方ではなく、中段から。一応は過不足なく運べている筈だが、追って案外。距離も長いのだが、やはりこの馬は道悪が下手。

フミノイマージン

2人曳き。-2kg。気配は抜群だったが、少し立派過ぎる気も。例に依って後方から。今日の馬場なら何処かで外へ持ち出したかったところだが、ずっとエリンコートが壁になり、動いてくれたと思ったらマイネオーチャードが下がって来てと、外に持ち出せず終い。直線は苦し紛れにインへ突っ込んだが、案の定全く伸びず。道悪自体は下手ではないのだが、通った位置が悪過ぎた。今日は参考外。

第17回東京中日スポーツ杯武蔵野ステークス(GⅢ)

イジゲン

横から見るとそこ迄の迫力はないのだが、トモのボリューム感は流石。1番人気の利で、 ゲートで立ち上がった際にはスターターが待ってくれているのだが、それでも出遅れ3馬身不利。スローというよりは、ダートにしては珍しい中弛みの流れ。3角から外を徐々に追い上げて、4角で中段。乗り役の意図に反し、坂を上がった段階では3馬身程抜け出してしまっていた。最後詰められたのは、あまりに早く抜け出してしまい遊んでいたからだろう。呆れる程強かった。ただ、土曜日にテイエムイナズマが惨敗。当然ながら、このパターンは常に警戒しておく必要は有る。

ガンジス

少し気配は地味だったが、歩様にバネ。馬体にも迫力が有った。好発も、無理せず中段。1600mは実質初となるが、一応折り合いは付いていた。折り合いを付ける為に、馬を前に置いていた影響も有って、4角で一度イジゲンが一度前を越し、一度立て直してからの競馬。ここで少しロスは有ったのだが、直線盛り返してここ迄。最近にしては珍しい社台以外での同馬主ワンツーとなった。ダノンカモンにこれだけ着差が付けられればGⅠ級の評価が出来る。次走1800mに課題を残すのだが、マイラーとしてはかなりのレベル。

ダノンカモン

シープスキンノーズバンド。スカッと見せる馬体は毎度。毛ヅヤが良いので皮膚を薄く見せる。ゲート自体は出ているが、休み明けの影響なのか少しズブくなっている。ペースは大して速くない筈だが、道中は結構押していた。これもイジゲンに叩かれてから立て直しての競馬だが、直線向いてから手前が中々替わらず、尻尾振ってステッキにも抵抗していた。今日だけをいえばあまり良い内容とはいえないが、叩けば変わって来そう。

アドマイヤロイヤル

+12s。この馬何時もの見栄え。相変わらず強調点には欠くが、悪くはない。あまり行かせても引っ掛かる馬で、無理せず中段やや後方から。直線向いた段階では、前に馬が多過ぎてこの段階で競馬が終わっていたが、バラけてからは良く伸びてここ迄。しくじったダノンカモンには先着したかったところだろうが、この馬ももっと失敗している。勝ち切れないのは今更といえば今更だが。

ストローハット

+8kg。一息入った割にはまずまず。とりあえず迫力で負けていないのは何より。出遅れ1馬身不利。道中は結構引っ掛かっていた。直線も中々手前が替わらず、勢いが付かなかったが、最後に替わって何とかここ迄。殆ど競馬になっていない割には良く走っているともいえるが、もう少し競馬が上手くならないと。

シルクフォーチュン

-12kg。この位がむしろベスト。落ち着きも有ったが...。ゲートが悪いのは何時もの事だが、向正面でガツンと掛かってしまい、前の馬に追突しそうになる場面。これでは競馬にならない。参考外。

第17回KBS京都賞ファンタジーステークス(GⅢ)

サウンドリアーナ

2人曳き。+12s。結構攻め馬強かった筈だが、この馬体増。デキが相当に良いのだろう。モーニングコールが暴走気味の逃げを打ち、これに乗る形で2番手。向正面では少し口を割っており、折り合い面での怪しさは相変わらずの様だったが、それでも3馬身チギる圧勝。次走、距離が延びるのと、スロー必至の阪神マイル。厳しい気はするのだが、少なくともスプリンターとしては上級。

ローブティサージュ

2人曳き。馬に集中力。馬体も数字の割にボリューム感が有る。スタートして200m程走って、行きたがっていたメイケイペガムーンい前をカットされる形となり、一度立て直して後方から。それでも折り合いは問題なく走れていた。大外へ回す形にはなったが、直線もしっかり伸びて2着は確保。通った位置の差を思えば内容は悪くない。次走、距離延長で逆転迄。

アメージングムーン

2人曳き。一息入ったが、歩様はそれなりに力強い。まずまず。内からジワッと好位直後。3角迄はスムーズだったが、4角では少し抑えきれない感じで前へ。直線はその分、手前も替わらなかったし、伸びが甘くなってしまった。ただ、それでも3着争いは凌ぎ切った。頭の高い走法でも有り、距離は少し長いのだろうが、能力は秘めている。

プリンセスジャック

スカッとした馬体は確かにゴールデンジャック譲り。ただ、もう少し歩様はしっかりして欲しい。アオり気味に出て後方から。ただ、道中が結構行きたがっており、位置取りの問題も有るが、少し伸びが甘くなってしまった。もう少し器用さが欲しいところ。

タガノミューチャン

数字の割に馬がガレて映る。毛ヅヤも悪いのが余計に見栄えを悪くしており。少しゲートが悪かったが、出脚は速く、スッと好位。折り合いに専念している間に自然と中段に下がり、そこからの競馬となったが、追ってからはフォームがバラバラ。むしろこれで良く5着に残した印象も。経験積ませる為に控えたのだろうが、現状は行き切った方が結果は出そう。

第48回京王杯2歳ステークス(GⅡ)

エーシントップ

+10kg。今日は少し太いが、馬の造りは意外に上位。出脚が抜群に速く、スッと2番手。3角迄が近い東京1400m、この出脚は光った。コース形態は、スローも生むのだが、それでもしっかり折り合って、直線もダイナミックなフォームで押し切った。勝ち振りとしては例年より強い。揉まれてどうかだが、前へ行ける出脚と折り合いのスムーズさは中山向き。あとは大き過ぎるトビの問題。

ラブリーデイ

-14kg。まだ腹回りはコロンと映る位。マイラーだろう。出脚は若干怪しいが、この枠でも有り、押して好位のイン。東京1400mとしては枠を生かした最高の競馬が出来た。坂の途中でタイセイドリームの前をカットした場面は少し行儀も悪かったが、これも脚が有ってこそ。エーシントップとは馬のレベルが違うにせよ、この馬で例年の水準級。

カオスモス

+8kg。馬体は悪くないが、姿勢が高いのでトモが甘く映る。大外枠は不利だが、12番枠のエーシントップが行ってくれた分、まだ楽だったか。道中は好位の外で競馬が出来た。道中は前に壁がなく、少し行きたがっていたが、直線は渋太く脚を伸ばしてここ迄。今日は枠に泣いた印象。少なくともラブリーデイとは五分の評価が出来る。

タイセイドリーム

ディープインパクト産駒にしては珍しい大型馬。ただ、少しチャカついていたのと、もっと絞って良さそうな馬体。出脚があまり速い方ではなく、中段やや後方から。折り合いはスムーズだった。直線追い出した際に一瞬モタつき、ラブリーデイに進路を塞がれたのが勿体なかったが、最後の脚は目立っていた。この辺りはこの馬体で大トビの走法、止むを得ない面も有るのだろう。恐らくはこの距離が短い。

ノウレッジ

+10s。寸詰まりの体型。少し緩くは映った。出ッパ自体は少し悪かったが、出脚でカバーして中段。ただ、エーシントップが先行する展開でセンター枠の馬は一度立て直してからの競馬になってしまった。従って、今日はあまり良い展開ではなかったが、それでもカオスモスの直後からそれなりの脚は使っている。スローで皆止まってないとはいえ、着差も僅か。これもラブリーデイ辺りは展開一つで逆転出来る筈。

テイエムイナズマ

2人曳き。今日は落ち着いていた。馬振りも相変わらず中々。例に依って出遅れて後方から。前走京都戦同様、外から動いてはみたものの、無駄な脚を使っただけだった。この手の馬は、流れに乗るのが難しく、コンスタントに力が出せない。

第3回みやこステークス(GⅢ)

ローマンレジェンド

大分力強さが出て来た。ここへ来ても馬が見劣りしない。好発も、控えて中段のイン。序盤は少し掛かっていたというより、結構流れてオッツケ気味の馬も多い中、手応えの良さが目に付いた。岩田騎手らしく、4角も外へ回さず、直線は馬群の間を狙う形。前が壁になり、ちょっと危うい様にも見えたが、相手からは一気だった。ほぼ楽勝。月曜日にJBCクラシックも有ったが、ワンダーアキュートは展開が向いたとしても、シビルウォーは出脚のなさがネック。次走、現段階ではこの馬が最有力。

ニホンピロアワーズ

シープスキンノーズバンド。+11kg。思ったより悪くなかった。数字分だけ太いが、張りが有った。ホッコータルマエの出脚に乗っかる形で好位。前は出入りの激しい競馬になったが、連られることもなく、スムーズな立ち回り。4角の手応えも楽。勝ったかの雰囲気だったが、最後にローマンレジェンド。馬体が併さっていた形でやられただけに、力量差を見せ付けられた印象も。この馬自身の力は確実に出し切っているが。

ホッコータルマエ

一息入って、馬体の張りは完璧とはいえない。それでも及第点は充分。出脚は速かったが、内からサンライズモールが主張して、好位のイン。多少砂は被ったにせよ、そのサンライズモールも4角で早々にバテて、捌く手間も省け、何の不利もない競馬が出来た。その意味では、何とか勝ち切るか、悪くとも賞金加算したかったところだが、最後は古馬の勝負強さにやられた感。相手なりに走るとはいえ、この馬自身も少し4角で反応が悪くなる場面も有った。今年は厳しいだろうが、この経験をバネに来年改めて。

タガノロックオン

毛ヅヤが一息だが、歩様は力強い。出脚の速い方ではなく、後方から。ひたすらインを通り、捌きながら来ているが、最後は上位3頭が壁となりここ迄。特にラスト100mの脚は良いモノを見せていた。これを上手く乗ったというべきかどうかは微妙なところだが、この馬自身は真面目に走って脚は見せた。アテにはならない馬だが、ペースが厳しくなる次走は浮上の可能性も高まるところ。

グラッツィア

こちらは毛ヅヤが維持出来ている。少し脚長の体型だが、馬は見栄えする。あまり出脚が速い方ではなく、中段やや後方から。それでも目に前にはローマンレジェンド。立ち回りとしては悪くなかっただろう。直線も思い切り追えるという状況ではなかったが、とはいえタガノロックオンに後ろから差される形。これは頂けない。この相手ではちょっと能力差が有る。

グレープブランデー

馬は相変わらず見栄えするが…。歩様のバネも素晴らしいの一言。道中は中段の外。距離損は有るのだが、砂を被らず運べた。4角も手応え充分に回って来て、一瞬は先頭に立たんかの場面で止まってしまった。しかも、止まり方が急。故障ではないとのことだが、となると距離?

ハタノヴァンクール

全体に緩慢。歩様も少しダラダラした感じが有る。また出遅れ。向正面から進出する素振りを見せていたが、それでも中段迄。直線向いてからは殆ど追っていなかった。従って、着差程は酷くないのだが、負けは負け。叩けば変わるとは思うが、何れにしても次走は下見次第。

第50回アルゼンチン共和国杯(GⅡ)

ルルーシュ

-16s。前走中山戦が太かった。多少歩様は硬いのだが、攻め強化して絞っただけに、止むを得ぬ部分も。少し出して好位。1角迄が特に酷かったが、結構力んで走っていた。飛ばして逃げていたミッキーペトラには3角手前で追い付いてしまい、4角で先頭。東京2500mとしては典型的な消えるパターンの競馬だったが、そのまま押し切ってしまった。完勝。前走中山戦は道悪も大きかっただろうから、絞れて良馬場。これが本体の実力なのだろう。結果的にハンデ56kgも恵まれていたか。

ムスカテール

歩様が硬いのは相変わらず。ただ、もう少し馬体に迫力が欲しい。出脚が怪しく、押して中段のイン。直線向いて、ルルーシュと3〜4馬身差。一瞬の反応はルルーシュの方が良いのだが、左にモタれながらもジワジワ伸びてここ迄。反応の鈍さは新潟戦で指摘した通りだが、東京2500mなら誤魔化しが利いた。バテないのは強み。中山は微妙だが、3400mでも保つ筈で、来春改めて期待したい。

マイネルマーク

遮眼革。今日はイレ込みマシ。少し線は細いのだが、良く言えば研ぎ澄まされた馬体。やや出負けしたが、少し押しただけでカバーが利いて中段のイン。これも追われて暫くモタついていたが、バラけて右手前に替わってから脚を使って3着浮上。折り合いが付いて、キッチリ走ってくれるタイプ。この条件は向いている。

ビートブラック

良くも悪くもこんなモノ。一応は本調子。出脚が速い割には、そこから進んでいかなかったが、押して好位。その影響で道中は少し行きたがっていたが、一応最後迄諦めずに走れていたか。4着に落ちたのは59sが大きいだろう。天皇賞馬といっても、ほぼ奇跡に近い勝利。この馬の実力を考慮すれば良く走っている。

オーシャンブルー

2人曳き。少し煩いのは気になった。馬体もガサがないとはいえ、巻き気味。ゲートは出ているが、スタート直後に8枠2頭が先行。行き場がなくなって後方から。今日の展開で、最後方から大外というのは厳しいのだが、逆に言えばその中では最先着。ここでも通用する下地は示したが、もう少し前で戦える様にはしたいところ。

ギュスターヴクライ

-8kg。一度叩いてシャキッとしていた。歩様も問題なく、下見からは満点やれる。出たなりで中段のイン。コースロスを別にすれば一応はスムーズに運べたが、直線坂を上がってこれからというところで止まってしまった。案の定、故障が判明。これからの馬だったが、競走能力喪失では…。

第1回アルテミスステークス(新設重賞)

コレクターアイテム

-8kg。減って良いことはないが、落ち着いていた。ただ、相変わらず歩様に力がない。例に依って出脚が鈍いのだが、枠を利して何とか中段。直線向いた段階では、少し手応え怪しいのだが、追い出せばキッチリ伸びる。縋るアユサンが来るだけ伸びた印象。完勝。ただ、未完成馬同士の戦い。前走京都戦でも力の有るところを示していたとはいえ、新潟2歳ステークス時に毎回述べている通りの状況がここでも再現される可能性は低くない。

アユサン

コロンと映って、少し太い気もするが、それでも馬体に張り。デキ自体は良い。半馬身程出負け。行く気なく後方から。直線向いて躊躇なく大外。コレクターアイテムの馬体が併さってからの渋太さの方が目に付いたが、通った位置の差を思えば勝ちに等しい。この馬の方が完成度も高く、次走も圏内。

ウインプリメーラ

-8kg。輸送も有るが、テンション高いのと馬体減はマイナス。一応、トモの丸みは残していたが。出脚は一番速かった位だが、外からジーニマジックが行って好位に控える形。前に壁がない関係で少し行きたがってはいたが、それでも2歳牝馬にしては上手に走っていた方だろう。上位2頭がチギる展開でも3着は確保。こういう渋太さも評価出来る。

エイシンラトゥナ

+12s。少し姿勢が高く、チャカついていたが、数字は成長分。スッと出て好位。出脚が速いというより、馬が真面目に走り過ぎ。少し力んで走っていた。その割に追い出してからがサッパリで、馬群に飲まれそうになっていたが、ラスト200m辺りで突然真面目になり、盛り返して4着。新潟のあとで馬が戸惑ったとも考えられるが、能力云々は評価不能。

ナンシーシャイン

シープスキンノーズバンド。これもコロンとした体型だが、母父トウショウボーイからだろう。数字の割には歩様に力強さが有った。出脚は五分だったが、内外から来られて控える形となり、中段。差し有利の展開だけに、これでも立ち回りとしては悪くないのだが、直線はジリジリだった。ただ、ペースが違うとはいえ、前走とは1秒上がりが遅い。やはり距離面には疑問も。