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競馬回顧 2012年5回阪神

第7回阪神カップ(GⅡ)

サンカルロ

+8s。最近は太い方が走る。毛ヅヤやトモの張りは良かった。今日は頭数も多いのだが、最近は出脚が鈍っており、後方のイン。13番枠だったが、コースロスのない競馬が出来た。直線だけ馬場の良い外目へ持ち出し、ここの捌きは少し雑にも見えたが、一気に抜け出した。阪神1400mがベストで片付けるのは簡単だが、時計の掛かる馬場と阪神1400m独特のペースが合うのは分からないでもない。1200mが忙し過ぎるのは当然だが、京都1400mはペースが極端に振れるケースが多く、その点阪神1400mはメンバー関係なくペースのブレが少ない。昨年の1000m通過が56.8秒、今年が57.0秒。それ以外にもこの馬が走る阪神1400mは1000m通過56秒から57秒の間に概ね納まっている。

ガルボ

気配は良かった。ただ、往時の張りはない。テイエムオオタカにシルポートが絡んでの3番手。出脚は有るので、この位置は楽に取れる。4角でテイエムオオタカが早々に失速、坂下でシルポートを捕えて完全な勝ちパターン。サンカルロの差し切りは許したが、この馬の理想はパンパンの良。これで自分の競馬は出来ている。状態面さえ戻ればこれ位はやれる馬。

ファイナルフォーム

オーストラリアンブリンカー。-6kg。前走京都戦と変わらず。キビキビ歩けていて、活気は有った。この馬の出脚で中段から。折り合いは付いていたが、3角手前でクラレントに先を越されたのか、一瞬手綱を引っ張る場面。経験が有ればまだ違うのだろうが、1400m初体験の馬にとってはこれが少し痛かった。直線スムーズに前が開いて伸びてはいるが、サンカルロの勢いは違っていた。悪い内容ではないが、不利がなければ2着は有ったか。乗り役の話ではこういった渋い馬場も良くないとのことだが。

オセアニアボス

少し腹回りに余裕も有るが、この馬何時もこんな感じ。この馬にしてはゲート出て、出脚も有ってで中段のイン。インを突くという点に関してはオーシャンブルー,エイシンフラッシュ級に上手い。最近はデキがなくて走れていなかっただけで、内からスルスルと伸びて来た。これも馬場さえ良ければといったところだろう。内が利く馬場なら常に3着は有るタイプ。

クラレント

+6kg。毛ヅヤピカピカ。筋肉も浮き上がって、デキは良い。出たなりで中段から。特に不利はなかった筈だが、追って一息。パワーの有る馬ではないにしても馬場はこなせる筈で、これも勝てる展開の幅が狭そうな印象は有る。ベストはスローの東京マイル。少なくともソコソコ速くなる阪神1400mは向かない。

ブライトライン

+8s。太い気もするが、馬体に張り。一応は上向き。落ち着いている点はどうかだが。例に依って後方から。前でファイナルフォームが手綱を引っ張る場面が有り、4角でも外のレオアクティブに内へ押し込められており、かなり道中はリズムを欠いた。本来はもっと切れるタイプだと思うのだが、今日は勿体ない競馬に。逆にいえば次走は狙い目。

第57回有馬記念(GⅠ)

ゴールドシップ

2人曳き。+6s。相変わらず気配には乏しい。馬体も前走京都戦とは変わらず。出脚が前走以上にサッパリで、後方から。向正面迄行ってから外へ持ち出して何時でも動ける態勢を整え、3角過ぎからマクる形。今日は前回程ペースが速くなく、4角での見た目はかなり苦しいのだが、坂下でハンデ戦並の横一線から突き抜けた。持久力が他馬とは圧倒的に違った。これだけ強い馬が東京でサッパリだったのは理解に苦しむが、要求される適性が違うということなのだろう。毎年述べていることながら、中山には中山の競馬が有る。「スタートが今ひとつで、いつもの通りに後方からのレースになったので、腹を括って乗った。最初の2つのコーナーは外を回らないようにして、3〜4角ではこの馬の力を信じて外を回って追い上げようと思っていた。そこでかなり外を回らされたという気持ちはあったが、それでもへこたれる馬ではないからね。自分が復帰してから初めて重賞とGⅠを勝たせてもらったのがこの馬。最後は名前の通りに『金』で締めることができてよかった。(内田博幸騎手・週刊競馬ブック)」

オーシャンブルー

2人曳き。チャカつくのは前走同様。ただ、トモのボリューム感はここでもむしろ上位。ゲート少し悪く中段やや後方から。道中はひたすら内で我慢。直線向いて馬場の6頭分目が開き、そこを決めてからの脚は一瞬やったかに思われた程。前走でも触れた様に、馬群を全く苦にせず、前が開きさえすれば必ず最後に一脚使ってくれるのが素晴らしい。東京が上手そうなタイプではないのがどうかだが、まだ4歳、来年は化ける可能性も。

ルーラーシップ

+6kg。また絞れず。ここへ出て来る以上、緩いということはないが、流石に重苦しい。ゲート内で立ち上がったところで開けられ、アオる1秒不利。それでも不幸中の幸いは1番人気が出脚がサッパリだったゴールドシップという点。各馬が目標を無くした感が有り、序盤のペースが遅く、比較的楽に馬群に取り付けた。もちろん、勝負どころでもゴールドシップは良い目標になった筈。コーナーの脚がないので一瞬は突き放されてしまうのだが、それでも向いてからは渋太くこの馬の脚は使っている。ゲート再審査を嫌って引退だそうだが、今にして思えば東京で何度か決め手負けしたのが痛恨だったか。

エイシンフラッシュ

もっと悪いかと思っていたのだが、意外な程維持出来ていた。出脚は有る馬だが、この距離で折り合いを意識して中段のイン。折り合って一旦は完全に抜け出しているのだが、良馬場回復ながら少し時計の掛かる馬場状態。元々良い脚が長く続かない馬が一瞬で終わってしまった。ミルコ・デムーロ騎手のアクシデントで急遽の乗り替わりとなったが、自分の競馬は出来た。恨むは馬場状態。

スカイディグニティ

2人曳き。ダラッとした造りは長距離の体型だが、気合乗りは文句なし。今日はゲート五分に出て中段の内目。上手く乗られて坂下では横一線の中に居たが、そこからがジリジリ。ただそれでもダークシャドウには先着し、スタミナは見せた。乗り役の話では手前を替えていないそうだが、確かにコーナリングが怪しく、中山向きでは割には良く頑張っている。広いコースのスタミナ勝負なら勝ち切る場面も有って良い。

ダークシャドウ

2度叩いて更に良化。昨年の状態に戻っていた。これも今日は普通に出て中段から。この距離でも折り合いは付く様になっている。1角辺りでスカイディグニティの外に付け、そこから1周弱併せていたが、最後に競り負けた。戦前は意外な程人気になっていた様に、デキは本当に良かっただけに案外感も。距離が長いと見るべきだろう。

第29回ラジオNIKKEI杯2歳ステークス(GⅢ)

エピファネイア

馬はまだ貧弱だが、全身バネ。下見から次元が違う。ゲートソロッと出してジワッと好位。前に馬を置かない状態で折り合えるかどうかをテストしていた様だが、かなり怪しい状態ながらも堪えてはいた。1000m通過66.0秒でこれなら及第点はやれる。4角で少し緩めて直線入り口で先頭。あとは相手に合わせるだけ。半馬身差ながら気合を付ける為に坂下でステッキを数発使った程度。上り切ってからはむしろ抑え気味だった。着差がないのはスローの競馬になった面も有るが、絶対に抜かれない自信が有るから出来る芸当だ。やはりこの馬が2歳No.1。コディーノが走る度に述べている様に走法がワールドクラス。あとは器用さの問題だ。性能そのものは2009年にここで褒めたヴィクトワールピサと同レベルの評価。ドバイだろうがロンシャンだろうが、勝てるポテンシャルは持っている。

バッドボーイ

大物感はないが、造りにメリハリは利いている。誰も行く気がない組み合わせでゲートが良くなったのかは不明も、外国人騎手で当然の先行策。ハナ行っても2角迄は少し掛かり気味だったが、向正面迄行って折り合いは付いた。道中から少し頭が高く、4角でエピファネイアの早仕掛けにキズナが内から呼応する形で、坂下では一旦3番手に落ちたが、そこから差し返して2着確保。集中力のなさそうな走りだが、併せ馬になってそうも行かず渋太さが生きた。この馬で例年の水準級。

キズナ

2人曳き。コロンとした体型。デキは良いが、恐らくはマイラー。ゲート少し悪かったが、少し出して好位。これも2角迄はかなり掛かっていた。前述の通りでエピファネイアに併せて動いて行ったが、坂を上がって苦しくなった。折り合いは皆似た様なモノで、これは言い訳にならず、やはりマイラー。この距離でも少し長いだろう。ただ、このスローで2000mが保たない様ではマイルでも一線級とは言えない訳だが。

アクションスター

毛ヅヤ冴える。もう少しトモがパンとして欲しい。背中の辺りが子供に見える。出脚は有りそうだったが、抑えて4番手から。折り合いはエピファネイアと同レベル、比較上まだマシだった。付いて行ったのは坂下迄で、そこから突き放されており、上位馬とは相当差が有りそうだが、成長の余地は残す馬体。古馬になって変わる可能性は有る。

アドマイヤドバイ

歩様キビキビ。数字はないが、まずまず。折り合いに専念して中段から。このスローでも最初から折り合いが付いていた。一瞬の脚がない様で、ところどころで置かれそうになっていたものの、小脚が利かないだけで内容は悪くない。スロー向きの馬ではないだけ。

ラウンドワールド

+18kg。数字の割に太く見せず。恐らくは成長分。集中力がないのは仕方がないところか。出遅れて後方から。着順はともかく、直線で差を詰められなかったのはやや頂けない。休み明けでも少し評価が下がる。

第64回朝日杯フューチュリティステークス(GⅠ)

ロゴタイプ

トモがパンとして、歩様の非力さがマシになっている。出脚も有ったが、外から暴走気味に行ったマイネルエテルネルに抵抗しつつ、好位で引く形。ただ、途中でコディーノが掛かり、一瞬連られそうにもなっていたが、ここで何とか堪えたのが大きかった。4角で一息いれて、坂下で先頭。父ローエングリン同様、トビが大きく、バテそうでバテないタイプ。持ち味を最大限に生かし切った。先週のローブティサージュもそうだが、今日はそれ以上でもない気はするのだが...。特にこの馬の場合は上がり33秒台の脚がなく、この点にも疑問が残る。

コディーノ

重量感の有る馬ではないが、相変わらず歩様にバネ。ただ、少しテンション上がり気味。この馬にしてはゲート出た方だが、初のマイルで出脚が怪しく、中段から。かなり速いペースで流れたことも有って前がバラけたところで、外へ持ち出したのが今日は裏目。3角過ぎにガツンと掛かってしまい、一瞬は先頭にも並び掛ける場面が有った。序盤ならまだ良いが、一番息を入れたいところで息が入らず、最悪の形に。逆に言えば今日の2着はムチャクチャ強い2着。追ってからも少し頭が高い走法だったのだが、最後に首がグッと下がって馬が初めて本気を出した。これも評価したい。ただ、繰り返しになるが、今週阪神で圧勝するで有ろうエピファネイアは強い上に競馬のセンスも有る。この相手に二度負けることはないにしても、手の内が見えたのは痛い。

ゴッドフリート

馬はまだ子供だが、気合乗りは良かった。出遅れ1馬身不利。それでも中山マイルの内枠、中段やや後方は確保したが、序盤は口を割って行きたがる場面も。コディーノを意識しての競馬で、坂下では1馬身差後方に居たが、坂を上がる脚で突き放され気味に。上手く捌いているが、やはりゲートのロスが痛かった。ただ、コディーノ相手にこれだけ食い下がれれば上等。重賞は勝てる。

フラムドグロワール

キビキビ歩けている点に好感。骨格の良い馬で、一番馬は良く見せた。これもゲートで後手踏まされていたが、出脚でカバーして中段から。折り合ってはいたが、徐々に前へ進出。4角で好位の射程圏に居たが、そこからのもう一伸びが利かなかった。悪い内容ではないが、少し上位とは差が有る。

ティーハーフ

2人曳き。寸詰まりの体型。少し腹回りは余裕が有る様にも見える。ゲートは出ているが、今日は思い切って後方から。武豊騎手らしく、最内へ突っ込んだが、暫くエーシントップが壁になったのは痛かった。所詮ギャンブル騎乗では有るものの、3,4着争いには加わっていただろう。逆に言えばこれでマイルをこなしたとはいえない訳だが...。

エーシントップ

2人曳き。こちらも少し腹回りがボテッと映ったクチ。落ち着いている点には好感が持てるが。スタート直後にクラウンレガーロと接触。この影響は軽微だったが、そのクラウンレガーロに行かせて2番手の筈が、外からマイネルエテルネル等に来られ、一旦好位のインに控える形。ちょっと今日は競馬がチグハグ過ぎた。距離経験のなさは有るものの、スムーズならここ迄酷いことにはなっていないはず。

第50回農林水産省賞典愛知杯(GⅢ)

エーシンメンフィス

-6kg。トモにボリューム感が有り、歩様が力強い。数字も有るが、馬自体が抜けている。一瞬の出脚はサンシャインの方が速そうだったが、トビが大きいだけで馬の気に任せてハナ。1000m通過64.5秒のスローを道中単騎で行けた上に、余程手応えが良かったのだろう。4角手前から後続を少し離し気味に。今日はこの段階で勝負有り。楽々逃げ切った。エリザベス女王杯がスローになり易いのと同様、中京2000mも2度の坂越えでスローになる下地が有ったが、トビは中々ダイナミック。出脚勝負にならない牝馬の中距離戦なら常に圏内。

サンシャイン

2人曳き。キビキビ歩けていた。小さい馬だが、馬体のバランスも取れている。前述した様に出脚では勝っていたが、無理せず2番手から。2角迄は少し宥めながらの追走だったが、向正面で折り合いは付いた。4角での手応えに大分差が有る様にも見えたが、それでも2着は確保。ダートを主戦場にしていたエーシンメンフィスは勿論、こちらもパワータイプ。展開も大きいが、この馬場に適性が有るのだろう。

オールザットジャズ

少しテンション高い。ただ、馬体は何時もよく見せていた。急かすと良くない馬で、ジワッと好位。このスローでも流れに乗れていた。前走京都戦で早仕掛けして失敗したことも有り、直線迄待ってからの追い出しとなったが、前も止まらず、ここ迄が一杯だった。悪い内容ではないが、勝てる展開の幅が狭い印象も。

アイスフォーリス

真っ白な馬体で毛ヅヤは分かり辛いが、馬体の張りはまずまず。もう少し歩様に伸びが欲しいところだが。サンシャインの先行策に乗りたかったところだが、少し引っ掛かりそうな素振りを見せた為、控えて中段やや後方に待機。前に馬を置いて折り合いは付いていたが、結果的に勝ちがなくなったか。内外前に馬が居て、4角でも動ける態勢ではなく、直線バラけてからは来ているが、少し脚を余した印象。スタミナは有るので、折り合いを調教で何とかして先行した方が好結果に繋がる筈だが...。今日も含めて、近走はチグハグ。

ゴールデングローブ

気配は文句なし。この時期の牝馬にしては毛ヅヤも悪くない。最内からサンテミリオンが押して先行。この後ろへ付ける形で好位から。勿論、ベストはサンテミリオンがハナへ行ってくれることなのだが、それでもまずまずの立ち回りが出来た。逆に言えば今日は力の差も感じた5着。パワー強化が先決だろう。

ピクシープリンセス

デキ自体は良いが、、少しトモが甘い歩様。例に依って無理せず中段やや後方から。スローの外目で良い展開ではなかったが、スムーズには運べていた。直線向いても、一瞬は伸び掛かっている。ただ、本当に一瞬で終わってしまった。前走京都戦は道悪の中で好走したものの、こういうパワーの要する馬場は向かない印象。

第64回農林水産省賞典阪神ジュベナイルフィリーズ(GⅠ)

ローブティサージュ

2人曳き。この数字の割にはドッシリと見せる。出来ればもう少し歩様に力強さが欲しいが。直ぐ左のタガノミューチャンが行き切って中段のイン。阪神1600mにしてはソコソコ流れたが、内から叩き出されてクロフネサプライズを競り落とした。枠を生かし切った感も強いのだが、前走京都戦から圏内の馬では有った。

クロフネサプライズ

+18kg。少しテンション高いが、馬はむしろ良くなった。成長分も相当。ジワッと2番手。前走京都戦でハナへ行った影響なのか、距離なのか、少し行きたがる場面も有ったが、4角で抑えが利いたのが不幸中の幸い。直線は止まりそうで止まらず、渋太いところを存分に見せ付けた。15番人気の2着だが、むしろ惜しい競馬に。今日の中では一番強い競馬をしている。

レッドセシリア

2人曳き。シープスキンノーズバンド。-10kg。スカッとした身体付き。テンションは少し高いが。出遅れ1馬身不利。最初から内に入れて後方から。折り合いは問題なかったが、少し4角でゴチャつく場面。ただ、それに怯まず、直線は最内に進路を取り、僅差迄追い上げて来た。ゲートと4角のロスを考えるとかなり勿体ない競馬に。新馬上がりの馬だが、能力は相当。あとは立ち回りの問題。年明けの中山で失敗する場面も普通に有りそうだが...。

コレクターアイテム

未完成感はまだ残るのだが、レース毎に良くなっているのも確か。少しずつゲートが上手くなっており、今日はむしろ速い部類。それでもしっかり中段で脚を矯めて、スムーズに乗られたが、安全策で外へ持ち出したのが結果的に裏目。少し前と離されて過ぎてしまった。土曜日の傾向から、内有利は見えていた筈だが...。ただ、一番人気の乗り役にコース取りを責めるのは酷。人気馬でも平気でインを突いてくる競馬はむしろ危険。

カラフルブラッサム

相変わらず馬は目立つ。歩様の柔らかさも特筆モノ。ゲートは出ているが、押しても進んで行かず、出脚がサッパリで後方から。直線は馬群の中から良く伸びてきているが、距離不足の印象。今年の2分23秒台で決着したオークスなら確勝級だが、そうならないのが例年のオークス。もう少し機動力は欲しいところ。

サンブルエミューズ

+10s。もっと増えても良い位。硬さも目に付いた。ゲート五分に出て、好位。向正面ではかなり行きたがっていた。大きくは負けていないものの、坂を上がる脚がなかった。経験のなさがモロに出た印象も。

第5回カペラステークス(GⅢ)

シルクフォーチュン

+12s。数字の変動は元々大きいタイプ。下見の基準は落ち着いているかどうかその一点のみ。今日はその点では合格。この馬にしてはゲート出たが、例に依って後方から。前走東京戦は折り合い面が悲惨だったが、今日はスムーズ。3〜4角中間から外へ持ち出し追撃態勢を整え、直線は右手前のまま突き抜けた。酷い時は前半3F32秒台も有る中山1200mだが、今日は極端なハイペースになっておらず、この相手では力が違った。今後もとにかく折り合い一つ。

エーシンウェズン

+4kg。オーストラリアンブリンカー。太いが、馬体の張りは良化。ダッシュ付かず後方から。道中外へ持ち出せず、直線は馬群の中へ突っ込む形。一瞬狭い場面も有ったが、悠々2着は確保。相変わらずゲートは不安定だが、前走東京戦で準オープンを楽勝。脚は持っている。

シセイオウジ

トモがパンとして来た。毛ヅヤも良かった。例に依って最後方から。シルクフォーチュンの後を追うように大外へ持ち出し、一瞬の脚はシルクフォーチュンだったが、ジワジワ伸びて3着に。1200mの差しに限れば堅実で、悪い内容ではないが、勝ち切るにはもう少し展開の助けが欲しいところ。

マルカバッケン

コロンとした体型だが、雰囲気は悪くない。しっかり踏めていた。ゲートは速い方だったが、無理せず先行集団を眺めながらの競馬。差し決着となったのは強い馬が来ただけの話で、今日のペースならほぼハマッているが、追ってからがジリジリ。この相手ではもうワンパンチが足りない。

ティアップワイルド

何時ものこの馬。多少緩く映るのも何時ものこと。アースサウンドに先を越される形となったが、立て直して好位。ただ、外からダラダラ脚を使わされる形になった。大きく負けている訳ではないのだが、重賞となると勝ち切れないのは毎度。

トシキャンディ

-8s。絞れて更に上昇。デキは文句なし。出脚では勝っているが、アースサウンドが徹底先行の構えを見せて、2番手から。この形では話にならない。坂下では一応先頭の形は造ったが、そこ迄だった。控えたことで大敗は避けられたが、勝ちに徹するなら逃げる競馬を。

第63回朝日チャレンジカップ(GⅢ)

ショウリュウムーン

-6s。絞れて馬に張り。デキ自体は良かった。もっと出脚が有る馬だが、距離を意識して中段から。1000m通過が58.5秒とソコソコ流れた割に、馬群が団子。それでも馬群の中で脚を矯めて、坂下で前が開いたところを一気に脚を使ってクビ差。追って少し内へモタれていた様にも見えたが、大きな問題ではなかった。距離も少し長い筈だが、上手く乗ってギリギリ凌ぎ切った。施行時期の移行はどうかと思わないでもないが、昨年迄は少頭数となる年も多く、移行して17頭が揃った。一応は成功なのだろう。

アドマイヤタイシ

毛ヅヤピカピカ。頭を地面に付ける様に歩いており、気合乗りは目立った。出脚利かせて好位のイン。上手く流れに乗った。内枠と出脚を生かした阪神1600m,1800mのお手本の様な競馬が出来た。ただ、逆に言えば勝たなければいけない展開だったか。前走福島戦からの1s増が最後の最後に出た感も。

タガノエルシコ

少しトモの送りが浅い。気配は地味。例に依って出遅れて、後方から。向正面迄は内に居て、3角から徐々に外。直線も上手くスペースが有り、ここを上手く捌いたのは大きいが、上位2頭は内を立ち回った組。着差が着差だけに惜しい。ただ、3角で少し力んだ場面も有った。能力は互角以上。

キングストリート

一息入って毛ヅヤが良化。休養前よりは良い状態。ゲートも少し分が悪かったが、この枠でも有り、腹括って最後方から。直線も大外へ持ち出し、ここ迄。阪神は元々得意としているコースで、ハンデも55sに減量。久々の好走となった。勝ち馬から殿まで、17頭が0.6秒差。有る意味、今年のベストレースだろう。

サンレイレーザー

+10s。太い印象はない。キビキビ歩けており、好気配。出脚が怪しいが、この枠で押して好位。スムーズだったが、直線は最後に一押しを欠いた。今日の展開で子の着は評価し辛いのだが、1800mは少し長い面も有るだろう。やはりベストはマイル。

フレールジャック

2人曳き。下見では落ち着いていた。歩様にもバネ。出遅れ気味だったが、押して前へ。こうなると案の定行きたがってしまう。前に壁がなかったのも痛かっただろう。直線入り口で先頭に並び掛けたところで終わってしまった。それでも折り合いは徐々にマシにはなっている。今日の雰囲気なら圧倒して欲しかった。少し案外感も。

ヒストリカル

-8kg。馬体も少し細いが、何度も後ろ蹴り放つ場面。出脚がなく後方から。乗り役は中段辺りに付けたかったとのことだが、これはこれで仕方がない。それよりも、直線向いてキングストリートに追い負け。これが頂けない。デキが本当ではないとしか考え様がなく。

ジャパン・オータムインターナショナル 第13回ジャパンカップダート(GⅠ)

ニホンピロアワーズ

シープスキンノーズバンド。重量感で優る馬は他にもいたが、造りにメリハリが利いていた。好発。出脚は速い馬で、外からスッと好位。かなり速いペースだったが、4角をほぼ持ったままで回って来て、直線も追い出しを待る余裕。追ってからは後続を離す一方だった。どちらかといえば出脚を生かして内枠から2,3着のイメージだったが、どうも砂を被ると良くなかった様で、ハイペースの外枠が見事にハマった。ただ、この強さは開眼した感も有る。次走は取捨に迷うところとなった。

ワンダーアキュート

2人曳き。+21s。数字は回復分だが、短期間でも馬は張っていた。イレ込みもこの馬とすればマシ。今日はゲート五分。出脚でニホンピロアワーズにやられていたが、何とか馬体をネジ込んで、好位のイン。こちらは砂を被っても全く気にしない馬だが、少し4角で前が壁になる場面。勢い付けて回って来たニホンピロアワーズに対し、直線向いてから一度立て直す場面が有った。ただ、今日の着差ならどう乗っても2着が一杯だったのだろうが、それでも力は見せた。前走川崎戦が大幅馬体減だっただけに、陣営も立て直しにはかなり神経使った筈だが、その点も評価したい。

ホッコータルマエ

2人曳き。叩いて馬体の張りが良くなった。これでほぼ満点。出脚でトランセンドを潰して2番手。ニホンピロアワーズとは大分手応えが違ったが、それでも直線向いて一旦は先頭。直線は中々手前が替わらなかったが、渋太く粘っている。出来れば2着で賞金加算したかったところだろうが、この馬らしさは見せた。

ローマンレジェンド

馬体の力強さは一戦毎に良くなっているが、少し硬さが出ていた。あまり出脚の速い方ではなく、中段のイン。一応はスムーズに運べている様にも見えたが、3角辺りから手応えが悪く、手応えの割には直線はむしろ頑張っている方。今日は完敗。力負けではないと思うのだが、使い詰めの疲れが大事なところで出てしまった感も。

グレープブランデー

2人曳き。元々馬はここでも最上位クラス。歩様もしっかり。ニホンピロアワーズの方が出脚は速かったが、立て直して中段から。トビが大きく、この外枠と流れたのは良かっただろう。直線向いて、ニホンピロアワーズの2馬身後方に居たが、そこからはジリジリだった。大分マトモに走れる様にはなったが、上位とは壁が有る。

エスポワールシチー

+9s。少し腹回りに脂が乗ってしまった印象。押してハナ。1000m通過が59.7秒とダートにしてはかなり速い流れだったが、道中は後続を2,3馬身離しており、気分良く運べた。ただ、4角で既に一杯。そこからは無抵抗だった。良く言えばピッチが利いた、悪く言えば少し完歩の小さい走法が気になった。若い頃はもう少しダイナミックなフォームで走っていた筈で、今の走法はどちらかといえば公営向き。少なくとも阪神の馬場には合わない気もするのだが。

第48回金鯱賞(GⅢ)

オーシャンブルー

2人曳き。数字はないが、トモのボリューム感は目立った。チャカつくのは毎度。東京2500mの後ということも有るのか、出脚がサッパリで後方から。ただ、流れに乗ってからはスムーズ、徐々に番手を上げて、4角で中段の内目。直線は狭いところをコジ開けて伸びて来た。レコードは春の時計が遅かったという話にはなるのだが、今週は開幕週の割に時計が掛かっており、パワーは有るのだろう。GⅠでも面白い存在。

ダイワマッジョーレ

+8s。少しコロンとした筋肉質の体型。悪くはない。スタートでアオりながら出てしまったが、上手く立ち回って、1角では既に中段辺りに取り付けていた。直線も内から一旦は抜け出しているのだが、同じところを通って来たオーシャンブルーにネジ伏せられた。出遅れた割には上手く乗られたが、オーシャンブルーとは少し力量差有るやられ方だった。

アドマイヤラクティ

柔らか味を感じさせる歩様。皮膚を薄く見せて毛ヅヤも上々。ゲートは出ているが、あまり行く気なく後方に近い位置。元々ズブさの有る馬だが、今日も3角辺りから押し通し。直線も一瞬の脚がないだけに、外へ持ち出さざるを得ず、コース取りの差も大きかった。惜しい競馬はしているが、もう少し機動力が欲しいところだろう。中山に使った方が良かったかも。

トウカイパラダイス

+4s。まだ少し線が細く映る。気配も乏しくて。この枠だが、出脚は有る馬で、ジワッと先行。折り合いも付いて、4角迄は上手く回って来れたが、直線向いてからの決め脚で見劣った。今日はほぼ最高の競馬が出来た筈。得意の中京でも有り、今日は少し値打ちが下がる。

クレスコグランド

2人曳き。-6s。元々見栄えするタイプだが、一応は出来ていた。筋肉が落ちているという訳でもなさそう。あまり出脚の速いタイプではなく、中段やや後方から。流石に序盤は少し掛かっていたが、2角では折り合いも付いていた。大トビなのでスパッと行かないが、ジワジワ伸びて入着。一応、力自体は維持出来ていそう。来春は再び重賞に手が届いても。

ダノンバラード

気配はこれで良いが、馬体の張りが甘いのと、歩様の硬さは少し気になった。この枠でも有り、ハナへ。ペース自体は悪くなかったが、慣れぬ逃げで物見したり、あまりスムーズではなかった様にも見えた。アスカクリチャンにびっしりマークされたのも辛かっただろう。直線はほぼ無抵抗のまま終わってしまった。

第46回スポーツニッポン賞ステイヤーズステークス(GⅡ)

トウカイトリック

今日は矢鱈よく見せた。歩様に硬さもなく、トモに張り。元々がパッとしない馬だけに、今迄で一番良かった位。この馬にしては出脚が良かった。1周目1角で内へ潜って中段から。2周目のホームでメイショウクオリアが故障したが、間隔が有った為、これも上手く避けられた。1周目回り切った辺りから出入りの激しい競馬となり、この馬は内でずっと我慢、2周目4角ではほぼ勝負有りの手応えだった。完勝。前述した様にデキが良いのが一番だが、引っ掛かる場面が一度としてなく、道中のロスがないのも素晴らしい。正に" 年の功"だろう。経験値がモノをいった。

ファタモルガーナ

馬体に重量感はないが、しなやかに歩けていた。出遅れ1馬身不利。1周目は我慢させて、2周目から徐々にに番手を上げて行く策。2周目の向正面からは結構速かったが、それでもそのまま行かせて4角で2番手。見せ場は充分だった。トウカイトリックには通った位置の差でやられたが、中々強い競馬はしている。故障なく使えれば、この馬が来年以降このレースを制していても何等不思議はない。

デスペラード

2人曳き。シープスキンノーズバンド。柔軟性が有って、如何にも距離が保ちそうなタイプ。出遅れ1馬身不利。これも1周目は最後方に居たが、ファタモルガーナが動くのに連れて徐々に進出。ファタモルガーナの方が4角の手応えが少し良かったのは確かだが、追っ掛けている以上は捕まえないと値打ちがない。尤も、今迄の最長距離が2000m。経験で変わって来る要素も残している。

セイカプレスト

+6s。少し太く映る位だが、馬体の張りは良い。出たなりで急かさず中段やや後方から。道中はトウカイトリックをマークしながらインを進んでいたが、各馬早仕掛けする中、4角で少し追い出すタイミングを待ってからの追い出し。直線右手前のままだったのが少し勿体なかったが、それでも最後迄脚は使えていた。かつてはハンデ戦だったこのレースも、別定戦になって以降は条件馬が意外に通用しないレースとなっているが、準オープンの馬としては悪い内容ではない。

ネヴァブション

馬体には年齢面も感じさせる部分有るが、妙に毛ヅヤが良かった。元々は出脚が有る馬だが、行きたい馬が多く、中段から。ただ、一度位置を取りに行った関係で、序盤は少し掛かっていた。そこからは上手く乗られたが、ロスが少し痛かったところ。ただ、意外に殿負けがない。元々がこの程度だから、力の衰えも殆どないだろう。そろそろ馬券になっても良い様な気もしないでもないが。