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競馬回顧 2015年5回京都

第60回京阪杯(GⅢ)

サトノルパン

無駄肉一つなく、コンパクトな造り。歩様もキビキビ。昔からゲートが悪い馬だが、今日も半馬身位の出遅れ。ただ、枠の利で上手く好位にネジ込んだ。出脚が成長だろう。前走は1400mで引っ掛かったが、今日は1200mで折り合いが付いたのも大きかった。元々一瞬の脚は持っており、最近多い京都1200mのスローでこのリードを何とか守り切った。能力では明らかにビッグアーサーの方が上だが、ゲートを失敗しても前に行ける出脚が有った点は評価したい。

ビッグアーサー

テンション高いの何時ものこと。多少太いが、馬は迫力満点。この馬にしてはゲートを決めて出して行ったが、取りたい位置をサトノルパンに取られてしまい、結局その直後から。伸びているが、ワンテンポ待たされた上に、前の馬にあの脚を使われると仕方がない。比べ馬では勝っているが、勝負に負けた格好。ただ、GⅠ級の能力を持っているのは間違いない。腹括って待機策というのも一つの手。

アースソニック

前肢にバンテージ。歩様が伸びている。毛ヅヤ冴えて、デキは上々。微妙に出負けして後方から。後ろの馬にはキツいペースだが、直線迄待ってから外へ。前2頭との差はどうしようもなかったが、それでも3着に来れたのは立派。差し一手でアテに出来ない筈だが、5月から5走して全て馬券圏内。有る意味勝負強い。

ベルカント

2人曳き。前後肢にバンテージ。+8kg。馬体も緩かったが、それ以上に毛ヅヤが冴えない。スタートは五分程度だったが、最内枠でも有り、迷わずハナへ。単騎で前半3F34.0秒は言い訳なしのペースだが、直線でサトノルパンに交わされると、前とは離される一方だった。デキの問題が有るにしても負け過ぎ。成長がない。

エイシンブルズアイ

前後肢にバンテージ。多少緩い気もするが、一応は及第点。良くなった印象はない。出脚がそこ迄速いタイプではなく、内から来られて何時もよりは後ろから。見た目には伸びていないが、数字上はこれでこの馬の脚は使っている。恐らく上がり33.5秒が限界。これだったら強引でも自分で競馬を造った方が良かった。

ジャパン・オータムインターナショナル ロンジン賞 第35回ジャパンカップ(GⅠ)

ショウナンパンドラ

前後肢にバンテージ。好調持続。大分寒くなったが、馬体に張りが有って、毛ヅヤが落ちていないのが何より。出脚は期待出来ない馬で、外から行きたい馬に行かせて中段から。コース形態と早目に立て直せている分、前走よりは前に行けたのは大きかった。眼前のラブリーデイを意識しつつ、直線もラブリーデイが抜けたところを伸びて外から差し切り。外枠のロスを最小限に乗れたのが大きいが、前走が酷かったのも確か。今年のメンバーなら単純に強かったという評価で良い。何度も述べている様に、3歳時はヌーヴォデコルトに敵わなかった馬だけに、成長力が何より素晴らしい。

ラストインパクト

多少、非力な部分も有るが、この馬なりに良かった。前走と比較しても馬体が締まった様に見える。スタート直後に結構押していたが、大して進んで行かず、後方に近い位置。ムーア騎手はこの日、只管インを突いて結果を残していたが、このレースもそのパターン。最内からスルスルと抜けて来ると一旦は先頭。最後はショウナンパンドラの決め手に屈したが、あと一歩だった。レース後、乗り役は敗戦を嘆き、調教師は2着で大喜びだったそうだが、流石に勝つ迄は図々しいところとしても、最後に甘くなった様にも見えた。札幌で負けた様に洋芝は論外だが、2400mは微妙に長いのかも。

ラブリーデイ

増減なし。毛ヅヤが冴えて、今日もデキ自体は文句なし。好発。ジワッと行かせて好位のイン。元々がそういう馬で、1角で少し窮屈になった影響も有っただろうが、道中は少し力んでいた。4角でも、外からゴールドシップ等が来て、早目に動かされる形。何れも大きな不利ではないのだが、距離に不安が有る馬だけに、全部が揃わないと中々勝てない。外枠から行った馬が多く、ちょっと流れたのも差し馬有利になっている。しかし、今後も展開一つ。楽には勝たせて貰えないとしても、チャンスは続く。

ジャングルクルーズ

しっかり踏めていた。馬体もゆったり見せており、確かに東京向き。全くの人気薄で、イチかバチかの後方待機。前を壁にして折り合わせる形。狙い通りに乗れて、ジワジワ伸びているが、結果的に前に居たラストインパクトが2着。枠が内だっただけに、上手くラストインパクトの位置を取れていればというタラレバは有る。

サウンズオブアース

2人曳き。3歳時を考えると大分パワーアップしているが、ここらが限界かも。馬体は結構見栄えするが、手先だけで歩いている様に見える。外からミッキークイーンに寄られたが、抵抗。ミッキークイーンは直ぐに引いてくれたものの、更に外からイトウが来て、接触して頭を上げる場面。坂下迄は何とか踏ん張っていたが、苦しくなってショウナンパンドラにVロードを譲ってそこ迄。能力そのものはラストインパクトと大差はないだろうが、上手く乗れたかどうかが明暗を分けている。

第2回ラジオNIKKEI杯京都2歳ステークス(GⅢ)

ドレッドノータス

-6kg。まだ緩く映るが、新馬が太かった。テンション高いのはマイナス。出脚は一番速かった位だが、思い切り引っ掛かりそうになっており、2番手で無理矢理に控える形。怪しいながらも向正面で折り合った分、競馬になったか。直線は逃げるリスペクトアースとの追い比べ。僅差だったが、何とか制した。2戦目で重賞勝ちなら文句なしだが、馬体が締まって来れば更に走れそう。ただ、折り合いは血統由来。休み明けでもしっかり仕上げる筈の厩舎で、この緩さは気性面を考えてのモノだとするなら、余程の矯正が必要となるが...。

リスペクトアース

前後肢にバンテージ。+4kg。落ち着いているが、大型馬の割に随所が貧弱。未完成感アリアリ。好発決めてスッとハナへ。外から来た馬も居たが、ドレッドノータスが壁になってくれた。1000m通過61.7秒なら何とかしたかったところだが、ドレッドノータスに競り落とされた。現状では能力差相当。ただ、馬体はステイヤータイプにも見える。クラシックに間に合うかどうかはともかく、成長してくれば逆転も十分だろう。

アドマイヤエイカン

2人曳き。+10kg。少し太いが、皮膚を薄く見せて、馬体には張りが有る。ただ、今日はテンション高い。これも最初から掛かりそうになっており、中段に控える形。前の方で馬群が固まったが、後方馬群の先頭。早目に外を押し上げて、直線入口では先頭に立たんかの勢いだったが、流石に脚を使い過ぎたのか、直線で一踏ん張りが利かなかった。ただ、既に賞金は足りている立場。回り脚タイプなのは確かだが、これを叩いて変われば。

ジョルジュサンク

2人曳き。ツル首で気配は良い。馬体もメリハリが利いている。ゲートが多少分が悪かったことも有り、内の方が速く、後方でジックリと。アドマイヤエイカンをマークする形。マークする相手を間違えてここ迄だが、今日のところは差して競馬になった点を評価したい。500万は通過点に出来るだろう。

ケルフロイデ

前後肢にバンテージ。コンパクトに纏まった馬体。歩様もしっかり。気配も良かった。リスペクトアースに出脚でやられてその直後。上手く運べた様に見えたが、追って鋭い脚が使えず。この相手だと能力そのものがこんなモノかも知れないが。

第20回東京スポーツ杯2歳ステークス(GⅢ)

スマートオーディン

2人曳き。前後肢にバンテージ。-6kg。絞れたと見て良い。このメンバーでは馬振り断然。落ち着いていたのも何よりだが、ダノンシャンティ産駒は下見だけ落ち着いているパターンも多い。武豊騎手らしく、折り合いに専念して後方から。超スローで仕方がないとはいえ、それでも少し行きたがっていたか。それでも直線は外へ持ち出されると、坂下で勝ったかの手応え。最後は抑える余裕が有った。内にササりながらの上がり3F32.9も出色。ここでは馬が違った。ダノンシャンティ産駒は正にダノンシャンティで、揉まれた時等、気性的な課題を残すが、性能そのものは相当。

プロディガルサン

2人曳き。-8kg。シャープな造り。完成度は高いが、迫力不足。出たなりで中段の外。この馬が一番行きたがっていたが、コーナーで馬を置いて何とか宥め、直線勝負。スマートオーディンには外から寄られながらも、何とか2着は死守。賞金を加算出来たのは大きい。恐らくリアルスティール的イマイチさは有るのだろうが、マイネルラフレシアとは器の差を見せた。

マイネルラフレシア

前後肢にバンテージ。+8kg。トボトボ歩き過ぎ。馬体もまだ緩い。ゲートはアグレアーブルの方が速かったが、枠の利で制してハナ。ただ、逃げる気がなかったとのことで、無理矢理抑えてキラージョーに行かせる形。折り合いは一応付いていた様に見えたが、決め手負け。ハンドリングは良いとしても、スロー過ぎた格好。先々を意識している競馬だけに仕方がないが、そのままハナなら2着の可能性も有っただけに。

キラージョー

まだ歩様に力がない。トモも薄い。当初、マイネルラフレシアが主張した様に見えた為、2番手で我慢させる形になりそうだったが、そこでマイネルラフレシアが無理矢理抑えた為、仕方なしにハナへ。行き切ってからは折り合っていたが、序盤に脚を使わされた。僅差の4着。スムーズなら3着は有ったか。強いていえば、もう少し出脚が有れば競馬が楽になる。

ハレルヤボーイ

前肢にバンテージ。コンパクトに纏まった馬体。気配は良かった。この馬も出ているが、周囲の馬の方が速く、後方から。ただ、直線向いてスマートオーディンの外では一手遅い。一瞬の間に5馬身位離されており、それ以上に決め手の差は有るのだが、3着争い位迄は有ったかも。前走から折り合いに進境見せた点は評価出来る。同じ5着でも内容は良くなっている。

京都競馬場開設90周年記念 ジャパン・オータムインターナショナル 第32回マイルチャンピオンシップ(GⅠ)

モーリス

明らかに緩い。気配にも乏しく、8割程度。今日もゲートを決めて中段の外。馬群の外だが、馬を前に置いて、折り合いも付いていた。毎度のスローながら、例年と違って内目の悪い馬場状態。一番良い位置に居た面は有るが、それでもこのデキで突き抜けたのだから大したモノ。単純に強かった。このあとは香港遠征だそうで、力は充分通用しそう。課題を探せばスローが多い点だが、折り合いを考えると悪い方に出るとも考え辛い。

フィエロ

キビキビ歩いていて、馬体も見栄えする。下見は減点材料なし。出脚がない馬だが、今日はゲートが他馬より半分程出たのが幸いして中段位置を確保。中枠は一つ間違うと後方に置かれることも多く、大きい半馬身になった。直線はロゴタイプに締められそうになったところをコジ開けたが、モーリスの決め手が一枚上だった。何時もより不器用さがマシになっていた気はするが、結果は2着。後述するイスラボニータもそうだが、運命的なモノを感じなくもない。

イスラボニータ

+4kg。良く見せる馬だが、今日も文句なし。気配も良かった。出遅れ1馬身不利。出脚は速い方だが、内枠でカバーし切れず、中段やや後方。4角でも動けず、直線も捌きながらの追い込み。スローだが、例年より馬場が悪いのも応えている。出遅れた中では、今日はこれで最良の結果。今秋、1戦毎に内容は良くなっているが、3着はあくまで3着。

サトノアラジン

雄大だが、全体に緩慢。まだ10kgは締める余地が有る筈。これも上位2頭と似た様な感じで、中段から。折り合いは何とか付いていた。直線は進路を探しながら、馬群の切れ目で外へ。モーリスが抜けた後だけに一手遅いのだが、自分の脚は使っている。この相手だとこんなモノだろうが、堅実は堅実。

アルビアーノ

2人曳き。少し緩いが、歩様が良くなったのは大きい。ハナには拘らなくなったが、出脚は速い方で好位から。ただ、道中でフィエロと接触したとのことで、力んでしまう場面が有った。直線も馬場の悪い内目に入ってしまい、伸び案外。それでも、この路線での牝馬最強は間違いないだろう。来年は王者となれる筈。

ジャパン・オータムインターナショナル 第40回エリザベス女王杯(GⅠ)

マリアライト

前肢にバンテージ。-10kg。細い印象はない。毛ヅヤもピカピカ。少し出し気味に中段。向正面では、前のウインリバティ、リラヴァティが飛ばし3番手以下が大きく離れる形となり、2009年を彷彿とさせる展開で場内が沸いたが、ラスト200mで捕まえると後続の追撃を振り切った。直線は芝の切れ目を気にしたのか、手前が逆になる場面も有ったが、ラスト100mで戻ったのも大きかったか。馬格の割に道悪は走る。ただ、前の2頭は馬場が馬場で突き放せなかっただけで、良馬場だったら6年前の再現も有った。このレースは何か危なっかしい。

ヌーヴォデコルト

前肢にバンテージ。ちょっとトモに力がない。今季は微妙にデキが怪しい。好発も、大外枠だったのと、出脚が速い方ではないだけに、後方に近い位置。それなりに外は通らされたものの、折り合いも付いて、上手く運べた様に見えた。4角も回り切ってから外へ持ち出しており、直線向いた雰囲気では届きそうだったが、前に届かない上に、後ろには差されそうになっており、案外感が残る2着。下見通り、今季は本当ではないのかも。

タッチングスピーチ

前後肢にバンテージ。こじんまりとした馬だが、歩様が伸びている。何時もよりは出脚が良さそうで、中段やや後方から。コーナーでの手応えが悪いのは何時ものことで、直線向いた段階では窮屈な位置に閉じ込められていたが、前が開くや否や一気の伸び。スローで届かなかったが、一番強い競馬をしている。現状は直線レーサーだが、コーナーが曲がれる様になれば世界でも通用しそう。

ルージュバック

2人曳き。完璧ではないが、充分出来ていた。トモに迫力を感じさせる分、少なくとも春よりは良い。馬が横向いた際にゲートを開けられ、アオってしまい後方から。序盤はともかく、すぐに折り合いも付いた。ヌーヴォデコルト目標は間違っていなかっただろうが、決め脚で見劣った。タッチングスピーチとの差は相当有ったのも確かだが、今日のところは休み明けは言い訳になるか。

スマートレイアー

前後肢にバンテージ。芦毛で細かい部分は分かり辛いが、見た目には前走東京戦と変わらず。例に依って後方から。この距離は元々長い上に、良い脚が長く続かないタイプ。直線迄待ってから外へ持ち出す形。この形で勝ちはないのだが、入着迄持って来れたのは馬場が外有利だった分か。

ラキシス

前後肢にバンテージ。下見は昨年以上。歩様の硬さもない。ゲートも少し悪かったが、押しても出脚が鈍く、後方から。外へ持ち出す余裕がなく、内へ入ってしまったのが結果的に裏目に出た。4角迄はまだしも、直線向いて直ぐに行き場がなくなり、引っ張る場面。バラけてからは伸びているが、外の馬に勢いが付いてしまっていた。少なくとも今日は力負けではない。

第50回デイリー杯2歳ステークス(GⅡ)

エアスピネル

2人曳き。前後肢にバンテージ。雨を気にしていたが、トモのボリューム感が他馬と全く違う。ゲートが少し悪かったが、外枠でも有り、リカバー利いてジワッと中段。前に壁がない状態でも折り合いは付いていた。4角の手応えが抜群で、直線もオイデオイデの楽勝だった。母エアメサイアだから、ここ一番の勝負強さに若干の疑問が有るにしても、ここ迄の2歳馬ではロードクエストと双璧。

シュウジ

+10kg。迫力は有るが、流石に立派。ただ、馬のスケールではエアスピネルの方が明らかに上。今日は好発。出脚も速い馬だが、序盤は外に逃げ気味。コーナーもリズムが悪かった。直線は馬場の悪い内を避けて、少し外へ持ち出したが、エアスピネルには大きく水を開けられた。エアスピネルも強いのだろうが、今日はそれ以上に自爆感が有る。

ノーブルマーズ

シープスキンノーズバンド。落ち着いて周回出来ていたが、馬体がまだ緩い。シュウジの方が出脚もゲートも速かったが、押して2番手。4角をゆっくり下って、良い形が造れたが、直線向いて一瞬離されたのが痛かった。乗り役の話ではソラを遣ったとのことだが、再び盛り返す脚を見せているだけに勿体ない。真面目に走れば重賞でも足りそうだが。

ナイトオブナイツ

+8kg。シープスキンノーズバンド。気配抜群。馬体も悪くないが、歩様に力がない。好位馬群の中で掛かり気味。直線は内目を選択したが、上位3頭からは突き放されてしまった。乗り役の話では道悪を気にしてノメッていたとのことだが、上位と力差有るのも間違いないだろう。今日の内容だけだと自己条件も怪しい。

リッチーリッチー

2人曳き。+8kg。かなりイレ込んでいた。ただ、寸詰まりながら馬体は目立つ。あまり行く気なく中段から。道中は少しノメッていた様にも見えた。4角で少し外へ持ち出し、エアスピネルを追い掛ける形が出来たが、直線は突き放された。これも自己条件が怪しい。

第20回東京中日スポーツ杯武蔵野ステークス(GⅢ)

ノンコノユメ

前後肢にバンテージ。春と変わらぬ姿。ダートの差し馬で見栄えしないのは何時ものこと。例に依って芝での出脚がサッパリで後方から。ダートへ入っても、向正面辺り迄は押していた。直線向いても、チャーリーブレイヴに一瞬カットされそうになりながらも、何とか捌くと、一気の追い込み。3歳馬が58kgを背負って勝ったのだから強いの一言。追い込み一手が中京で届くかどうかという問題は有るが、ダート現役最強。

タガノトネール

前肢にバンテージ。歩様に伸びがないが、馬体は迫力が有る。好発。あまり急かす気はなさそうだったが、出脚を使わず楽に好位。むしろ引っ張り気味の追走だった。4角でも手応え十分、坂下で前を捕らえたが、流石にそこからの400mは長かったか。ノンコノユメにハナ差捕まった。陣営に言わせるとマイルは微妙に長い様とのことだが、今日の様にゲートさえ決まれば問題ないだろう。今日はノンコノユメが強かった。

モーニン

馬体から連勝馬らしい勢いは感じるが、ちょっと硬くなって来た。芝スタートでダッシュが一息に見えたが、ダートに入ってからは行き振りが良く、好位。4角でも、ニシケンモノノフを締めて回れる脚が有った程だが、追って一伸びを欠いた。終わってみればちょっと強気に乗り過ぎたかも。4連勝で1番人気になった馬だが、いきなりのオープンでこれだけやれれば良く走っている方だろう。

ニシケンモノノフ

多少踏み込みが浅いのと、馬体が緩い。馬のシルエットは悪くないが。8枠2頭がゲートを決めたが、出脚で2番手。上手く流れに乗ったが、4角で外へ持ち出そうとした際に、モーニンに締められたのは痛かったかも。直線も前でタガノトネールがフラついており、追えることは追えたにしても、やり辛いレースになってしまった。上手くやれば3着は有った競馬で、このメンバーでも充分通用する。

グレープブランデー

前後肢にバンテージ。腹回りに年齢は感じさせるが、バネは流石。道中は4番手辺り。何故かスタート直後から行きたがっていた。追ってからも頭が上がり気味。今日は競馬になっていない。それで5着だから力は有るということにはなるのだが...。精神面が良くないかも。

第6回みやこステークス(GⅢ)

ロワジャルダン

前後肢にバンテージ。パワフルな芝馬といった風情。歩様も伸びている。イメージとしてはローマンレジェンドの直後だが、ローマンレジェンドがそこ迄行かなかった為、後方に近い位置。兎に角最内をコトコト回り、4角をコーナーワークで差を詰めると、一瞬の脚を使って抜け出し、カゼノコの強襲を凌ぎ切った。全てが上手く行ったとしか言い様がない。この内容で次走云々は論じ辛い。

カゼノコ

トボけた気配は何時ものこと。トモに丸みが有って、及第点。格好だけは押しているが、例に依って前に進んで行かず後方から。直線で少し外に持ち出されると強烈な伸びを見せた。この頭数で内外の差については文句の言えないところで、最後はむしろ斤量の差が出たと考えたい。この馬主さんは中央所属馬に関してはこの1頭のみだが、堅実に走っている。中京は差しが利き辛いが、ジャパンダートダービーを制した大井戦選出なら狙ってみたい。

ローマンレジェンド

雄大な馬体は流石。衰えも有るが、一応出来ていた。スッと出て好位のイン。上手く脚を矯められた様にも見えたが、一踏ん張りが利かず。ほぼ完璧の競馬だった筈だが、それでやられたのだから言い訳なし。58kgもカゼノコと同斤量だけに...。毎回述べている通り、時計勝負は高齢馬に不利。馬の能力以外に理由を探すなら、これになるが。

アスカノロマン

腹回りがボテッと映る割にトモが薄い。まだ完成途上。出脚は差が有るが、クリノスターオーに押して付いて行く形。直線は少し外に持ち出されたが、カゼノコに交わされる際に少し狭くなる場面が有ったのが痛かった。結果的にインがガラ開きになっていただけに尚のこと悔いが残る。尤も、今日はどう乗っても4着。良馬場のパワー勝負では分が悪いのも明らか。

クリノスターオー

2人曳き。前後肢にバンテージ。馬体は見栄えする。毛ヅヤも良かった。出脚は速い馬で、外枠でもスッと3番手。並走していたモンドクラッセが先に動き、一緒に付いて行ったが、4角で既に手応えが怪しくなっていた。こういう馬場は向かなかったとしか考えられない。

第53回アルゼンチン共和国杯(GⅡ)

ゴールドアクター

2人曳き。馬体は断然。3歳時と比較して成長も感じさせる。ただ、ちょっとイレ込みキツい。メイショウカドマツの先行策に乗る形でジワッと好位。下見でチャカついている割には折り合いが付く馬。スローで外を回った格好だが、道悪と内の馬場が悪いのは助かったか。坂を上がって手前が替わった際には少し苦しいかに見えたが、それでも一追い毎に差を詰めると最後はアタマ差。名前の通り、魅せるレースを披露した。完勝。父スクリーンヒーローは2008年にこのレースを制して、ジャパンカップを制覇。この馬も、次走ジャパンカップという話も有る様だが、今年のメンバーなら今回に続いての親子制覇が有って不思議ではない。何よりラブリーデイより距離が保つ。

メイショウカドマツ

シープスキンノーズバンド。+14kg。多少太い程度。それでも張りは有って、気配も良かった。スズカデヴィアスが逃げて2番手。スズカデヴィアスが1角を変な格好で進入してしまい、これで各馬が抑えに掛かった影響が大きく、1000m通過が63.4秒のスロー。雨を考えてもペースが遅い。これを2番手でガッチリ追走。直線は少し外へ持ち出し、出し抜け気味に決めたかに思えたが、最後にゴールドアクター。シープスキンノーズバンド着用で、頭が高いのが響いた感も有るが、馬は良く頑張っている。この走法でも何故か東京の方が粘りが良い。

レーヴミストラル

春は貧弱なだけの馬だったが、最早別馬。キビキビ歩けている点にも好感。1馬身程出遅れて後方から。馬を前に置いて折り合いも付いていた。4角回った段階では内目に居たが、内目は避けて馬場の良い外へ持ち出したのが正解。スローでここ迄だったが、メンバー中最速の上がり、唯一の33秒台で追い込んた。ペースに泣いただけで良馬場だったら際どくなっていただろう。来年3月で定年となる松田博資調教師だが、今更ながら厩舎技量が高い。これは今後が楽しみになった。

サトノノブレス

初遮眼革。-6kg。見栄えがしないのは毎度のこと。満点はやれないにしても、これで走れる状態。メイショウカドマツに叩かれる展開だったが、何時もより出脚が有って好位直後。折り合いもそれ程問題なかった様に見えた。解釈に依っては遮眼革で行き振りが良くなったとも受け取れる。ただ、直線向いてからはジリジリ。58sは一応言い訳になるが、重賞では少し迫力不足。

スーパームーン

もう少し左後肢がちゃんと出て欲しいところ。少しバランスが悪い。それ以外は減点材料ないが。出脚は速そうだったが、スズカデヴィアスを行かせて好位のイン。ずっと悪い内目を通らされたが、その辺りに居た組では最先着。昨年の3着馬ながら、今年のメンバーだと少し家賃が高い気もするが、馬場適性は間違いなく持っている。

レコンダイト

歩様がしっかりして来た。馬体も迫力がないだけでコンパクトに纏まっている。今日はデキ一変! 中段のインで折り合わせる形。直線もインへ突っ込んだが、追ってサッパリ。こういう馬場が向かない上に、インを通らされる展開でどうしようもなかった。馬は良くなっており、次走改めて。

第20回KBS京都賞ファンタジーステークス(GⅢ)

キャンディバローズ

+6kg。チャカつくのはマイナスだが、馬体はスカッと見せて悪くない。好発も、控えて好位の外。この形は前をどれだけ追い掛けるかが難しいところだが、イメージとしては直線迄待ってから追い出す形。前有利な流れで一瞬の脚を生かし切った。今日はルメール騎手が上手く乗っただけで、それ以上の評価がし辛い。他馬から急かされると少し厳しい様な気もするが。

メジェルダ

これも少しチャカつく。牝馬でも筋肉の輪郭が浮いて数字以上にパワフル。内枠から出脚を利かせてハナへ。東京程ではないにしても、スローだったが、それ以上に直線向いても単騎で行けたのが大きかった。決め手勝負で僅かに見劣ったが、渋太く残して2着。キャンディバローズ同様、能力には疑問符が付くが、出脚が有る逃げ馬というのは強み。

ブランボヌール

2人曳き。+10kg。数字は増えているが、皮膚の薄さを考えると成長分。歩様も幾らかマシになった。今日はゲートを出て、好位のイン。ただ、これはこれで引っ掛かっていた。岩田騎手の何時ものパターンで最内を突いて伸びて来たが、伸びそうで伸びず。今日は成長も感じたが、やはり1400mはちょっと怪しい。

ワントゥワン

2人曳き。+14kg。これも毛ヅヤから成長分と断定出来る。気配も良かった。ゲートが少し悪く、中段やや後方から。折り合いに問題はなかったが、今日の展開では位置取りが後ろ過ぎたか。後方に居た組では最先着。デビュー1戦のみの馬でも有り、今日はその決め手を評価したい。先々走って来るだろう。

タガノヴィアーレ

前後肢にバンテージ。腹回りがボテッと映る。馬振りは断然に近いが。外からスッと2番手。力んでいた分、伸び切れなかったが、アタマ、ハナ、クビ等のカタカナ圏内には残っており、大きく負けていない。馬振りも目立っており、今後大化け有っても。

第51回京王杯2歳ステークス(GⅡ)

ボールライトニング

-6kg。まだボテッと映るが、少しでも絞れたのは良い傾向。歩様に勢いが有る。馬鹿の一つ覚えで述べている通り、東京1400mは兎に角スローが多いのだが、今日も1000m通過が1分を超えるスロー。ただ、8番のレッドラウダが逃げて、大外枠のこの馬にとっては幾らか戦い易くなった。好位で流れに乗って、早目に抜け出すと危なげなく押し切った。前走京都戦もそうだが、センスが有るのが何より。ダイワメジャー産駒は東京のスローだとディープインパクト産駒に決め手負けする場面も多いが、上がり33.4秒も評価出来る。距離も保ちそうで先々明るい。

アドマイヤモラール

2人曳き。シープスキンノーズバンド。数字の有る馬にしては完成度高い。また、この馬にしては落ち着いている。ゲートは出ているが、急かす気はなく中段の外。道中はかなり引っ掛かっていた様にも見えたが、コーナーで馬の気に任せて進出。この辺りのコントロールが利いていたのは末脚が残せる要因だったか。一瞬の脚ではボールライトニングと差が有る様にも見えたが、際どくなった2着争いを渋太く制した。内枠だったら折り合いも付く筈で、まずまずの内容。距離ももう少し延ばしても問題ないだろう。

シャドウアプローチ

前肢にバンテージ。最初はイレ込んでいた様だが、周回を重ねる毎に落ち着く。寸詰まりの体型で、歩様が硬目。好発。内枠からレッドラウダに少し抵抗しつつ、好位のイン。スローのこの位置は絶好だった筈だが、追ってからアドマイヤモラール同様、ボールライトニングとは瞬間の反応が違っていた。前述のアドマイヤモラールにも追い負け、瞬発力不足を露呈。

レッドラウダ

2人曳き。雄大な馬体だが、明らかに皮膚が厚く、まだ身体を持て余している。出脚は速かったが、乗り役に行かせる気がなく、押し出される形でハナへ。超スローの逃げとなり、良く伸びているが、ラスト100mで甘くなった。乗り役の話ではこのペースに持ち込んだとのことで、それが正解だとするなら未完成の馬体をシェイプアップするのが先決か。

トウショウドラフタ

2人曳き。シープスキンノーズバンド。しっかり踏めている。馬体もスッキリ。ゲートは速かったが、引っ掛かりそうになっており、少し位置取りを下げて折り合いを付ける形。それでも4角手前で少し頭を上げる場面。位置取りを考えたら良く伸びているが、勿体ない印象は残る。マイルよりは1400mの方が向いているだろうが、ベストは1200mかも。