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競馬回顧 2015年5回阪神

第60回有馬記念(GⅠ)

ゴールドアクター

2人曳き。下見では一番良く見せた。トモのボリューム感が有って、何より気配が良かった。好発。ゲートは五分も、内の馬を全て叩きつつ、6枠2頭に行かせて好位のイン。スローになり、結果的にここでラブリーデイを叩いていたのが大きかった。ここで折り合いを付け、ゴールドシップに呼応したマリアライトを行かせてその外へ。抜け出すタイミングなんてのも全て結果論だが、坂を上る脚で前を捕まえて、サウンズオブアースの強襲を凌ぎ切った。今日は全てが上手く行った形。何か一つが違っていたら勝ちはなかった。とはいえ、器用さが長距離戦で有利。結構出して行っているにも関わらず折り合いが直ぐに付く。来春は京都を目標にする様だが、最有力には間違いない。「今回の方が背中の弾み方が良かったですし、馬の内面からやる気が感じられました。中山の2500メートルは枠順に左右されると言いますが、この馬は競馬が上手で、人気馬を見ながらいい形で運べました。向正面では息が入っていましたし、2着馬に内に押される場面もあったのですが、根性があるのでヒルむことなく走ってくれました。4角を回ってくる時の手応えは抜群でした。後ろの馬たちがどれだけ伸びるのか分からないので、最後までがむしゃらに追いました。この馬にここへ連れてきてもらい、結果を出すことができて良かったです。来年もこのコンビでファンを増やしていきたいです。 (吉田隼人騎手・週刊競馬ブック)」

サウンズオブアース

2人曳き。シープスキンノーズバンド。毛ヅヤは冴えていたのでデキは悪くなさそうだが、毎度毎度トモが甘い。珍しく好発。1周目はゴールドアクターと似た様な位置に居たが、序盤は少し掛かっていた。ただ、4角前でリアファルが急に失速し、そこで前との距離が少し離れてしまったのが痛かった。メンバー中最速ではないものの、勝負圏内に居た組では一番良い脚を使っている。結果論でいえば枠の差も大きかった。相変わらずのトモの甘さが勝ち切れないレースに繋がっている様に思うのだが、今日は本当に惜しかった。ソロソロ単勝も警戒すべきなのかも。

キタサンブラック

前肢にバンテージ。高値安定。血統表のサクラバクシンオーを馬鹿にされるが、胴長のスカッとした造りで見た目はむしろステイヤー。リアファルには叩かれたくなかったところで、内のゴールドアクターが引いてくれたのを確認してハナへ。ハナへ立った途端に押さえに掛かり、1000m通過が62.5秒のスロー。ただ、叩かれなかったのは不幸中の幸いとしても、ゴールドシップが途中で動いて3角過ぎからペースが上がってしまった。上位2頭にやられたのは仕方がないところか。マリアライトに最後迄交わさせなかっただけでも充分評価出来る。これもゴールドアクター同様、器用さが長距離戦で武器になっている。

マリアライト

前肢にバンテージ。思ったよりデキが良かった。キビキビ歩けていて、この時期の牝馬にも関わらず毛ヅヤが良かった。大外枠でも積極的に乗られて好位から。中山2500mも経験が有り、折り合いも付いていた。強いていえば、ゴールドシップが動いた際にブロックして、競輪でいえば"横の脚"を使ってしまったのが少し痛かったかも。勢いではキタサンブラックを捕まえられそうだったが、最後迄交わせず終いだった。何れにしても、牝馬が真っ向勝負で良く走っている。

ラブリーデイ

今年10戦目。もっと悲惨な姿を想像していたが、前走東京戦の9割掛け程度。馬体の張りが落ちた程度。毛ヅヤは維持している。出脚で内の馬は叩いたが、引っ掛かりそうになり、ゴールドアクターを行かせる形。そのままゴールドアクターが行ってくれればまだ良かったが、抑えた為、想定より位置取りが後ろになってしまった。直線はそれなりに伸びているが、前も同じだけ伸びていた。強気に乗れば結果も変わった可能性も有るが、距離やデキに不安が有ると中々思う様には行かない。

ゴールドシップ

2人曳き。更に白くなったが、下見は何時も通り。ゲート練習の効果で、五分に出たが、そこからもゲート練習通りで、出脚がサッパリ。最後方から。途中からマクって行ったが、2周目4角でマリアライトに抵抗されて、その後が続かず。衰えといえばそれ迄だが、行くなら2角過ぎだったか。出来れば雨も降って欲しかったところだろう。

リアファル

2人曳き。並行首で、下見はゴールドアクターと並んで良く見せた。歩様も問題なかったが...。キタサンブラックの先行策に乗る形で2番手。乗り役の話では200mで既におかしかったとのことだが、3角迄は見た目に問題なく、4角でズルズル。今日はデキが良かっただけに残念。マトモなら勝っていた筈。

第32回ホープフルステークス(GⅡ)

ハートレー

馬体は悪くないが、手先だけで歩いている様に見えるのがマイナス。出遅れ1馬身不利。最後方から進めたロードクエストよりは出脚が有りそうで、道中は9番手辺り。道中は折り合いに専念して、ロードクエストの進出に併せて仕掛ける形。一瞬、ロードクエストに飲み込まれそうになっていたが、明らかに回り脚で分が良かった。直線も勢い付けて回って来れた分、直線もしっかり伸びた印象。中山だから勝てた気もしないでもないが、ロードクエストに勝てば文句なし。コーナーを左手前で回って、直線は右手前とディープインパクト産駒らしい馬。

ロードクエスト

2人曳き。8割のデキ。筋肉の付き方は流石だが、少し緩い。1馬身出遅れ。そのまま最後方待機。3角から少し番手を上げて、ラスト600mで動いて行く形。一旦は叩いた筈のハートレーに盛り返されており、回り脚はなさそう。直線は伸びているが、コーナーでの勢いが違っていた。力は見せたが、ベストは新潟マイルなのは間違いない。皐月賞スキップも一つの手では?

バティスティーニ

2人曳き。前後肢にバンテージ。この厩舎らしいシルエットだが、もう少し歩様に力強さが欲しい。半馬身程出負けして中段やや後方から。折り合いが付いて、コーナーではむしろズブい位。上位2頭にコーナー迄は食らい付いていたが、直線では決め手の差が有った。ただ、このメンバーで3着なら悪くない。重賞は勝てる。

ブラックスピネル

黒鹿毛で見栄えするが、腹回りが少しボテッと映る。もう少しトモに力が付いた方が見栄えが良くなりそう。好発。出脚も速そうだったが、掛かりそうになっており、宥めつつ2番手。4角手前から前へ並び掛けて、坂下では先頭だったが、最後は道中力んでいた分、踏ん張りが利かなかった。強いていえばオンザロックスが突いていたのも応えているのだろうが、今日のレースだけをいえば2000mは微妙に長い。

アドマイヤエイカン

-10kg。馬のスケールに差が有るが、絞れて順当に良化。出たなりで中段のイン。4角迄はジッとして、直線は最後の最後に追い込んで来た。コーナーで勢いが付いていたらもう少し結果が違ったかも。今年は札幌戦のレベルに疑問符が付くのだが、今日の内容は悪くない。

第10回阪神カップ(GⅡ)

ロサギガンティア

以前を比べると歩様は良くなった。数字の割にスカッと見せるのは毎度。内の馬があまり行かないのを確認しつつ、少し出して好位。急かした分、序盤は少し掛かっていたが、スマートオリオンの直後で矯めが出来たのは大きかったか。勢いで優っていたダンスディレクターに一旦は交わされそうになりながらも、差し返して久々の重賞制覇。前走東京戦も稍重だったが、少し時計が掛かる位の馬場の方が合うのかも。かつては出遅れの常連で、今日はゲートを決めたのも大きいが。

ダンスディレクター

骨折明けだが、出来ていた。チャカついているのも何時もよりマシ。ゲートが悪いのは何時ものこと。これでもマシだった方。序盤は後方に居たが、少し行きたがって4角で中段。勢いは完全に勝っていたが、壁がなくて掛かった分、最後の最後に差し返されてしまったか。惜しいレース。ただ、骨折明けでも能力減がなかったことと、賞金加算出来たのが何より。来年はマルチヒットが有っても不思議はない。

ビッグアーサー

増減なし。前走京都戦が太く、今日もそのまま。馬体に張りが有って、デキ自体は悪くないが。 ゲートも悪くなかったが、前走京都戦の轍を踏まぬ様、積極的に乗られて好位。内から脚は使っているが、外の2頭とは勢いが違っていた。今日のところは距離よりは、内目の馬場が悪かったのを敗因に採りたい。パンパンの良で改めて。

サンライズメジャー

+10kg。前後肢にバンテージ。数字分だけ少し緩い。歩様も少し非力。毛ヅヤは悪くないが。アクティブミノルに叩かれる形にはなったが、一瞬で抜けてくれてすんなり好位。内目が悪いとするなら、この馬の通った位置は絶好だった筈だが、前のテイエムタイホーが下がって来て、ダノンシャーク共々、そのアオリをマトモに食ってしまった。勿体ない競馬に。

ウリウリ

+10kg。キビキビ歩けていて、デキは悪くない。気配も良かった。一旦下げて、まずラチ沿いへ。直線は中々前が開かなかったが、サンライズメジャーよりは先に前が開いたのも関わらず、差し返されている。昨年もそうだったが、使える脚が短いのはネック。今日の様な力の居る馬場だと尚更だったか。

第67回朝日杯フューチュリティステークス(GⅠ)

リオンディーズ

前後肢にバンテージ。1戦のみの馬がGⅠで1人で曳けていた。この血統は下見で余計なことをしない。馬振りは説明不要。淡々と歩き過ぎていて、歩様の力強さが分からないが、バネは感じさせる。ゲート内で落ち着きがなく、ソロッと出して後方から。序盤は少しズブい位だった。直線で大外へ持ち出されると、右手前のまま坂を上ってエアスピネルを捕まえ、最後に左手前に替えてもう一伸び。楽に走っている間、手前を替えないのは父キングカメハメハの癖。完勝だった。トビの高さで化け物級だった父母の域程ではない気もするのだが、飛距離は有りそうなニュータイプ。母シーザリオは桜花賞で乗り替わりで吉田稔騎手が下手打って2着、兄エピファネイアもダービーで道中躓き痛恨の2着と、母方は何故か運がなかったが、新馬即GⅠは、何より出走出来る運が有ってこそ。その点でもニュータイプ。

エアスピネル

2人曳き。前後肢にバンテージ。トモのボリューム感は流石。馬振りはシュウジを含めた3頭で抜けていた。ただ、走る毎に下見のテンションが上がっている。この血統にしては出脚は有りそうだが、急かさず中段から。道中は折り合っていたが、4角で少し馬が待ち切れなかった様に見えた。直線も少し内にモタれ気味。リオンディーズとはその2点の差が出た。尤も、同日準オープンの時計や内容を考えると、古馬1000万相手でも楽勝出来そう。つまり、例年の勝ち馬クラスは有る。

シャドウアプローチ

2人曳き。上位2頭とは馬振りで劣るが、この馬でも2歳馬としては良く出来ている。バランスの取れた造り。出たなりでジワッと行かせて中段。道中は少し掛かり気味だったが、エアスピネルをマークする格好。4角でもエアスピネルと一緒に動いて行ったが、脚の差は如何ともし難いながらも3着は確保した。道中少し行きたがっている割に踏ん張っており、スタミナは有りそう。前走東京戦の様に決め手勝負となるとまた脆いのも事実だが。

ユウチェンジ

2人曳き。前後肢にバンテージ。+8kg。毛ヅヤ冴える。馬体も迫力が有るが、ちょっとトモが甘い。ゲートは決めたが、内の様子を窺いながら好位から。内目が少し悪いとはいえ、コースロスは最小限に乗られたが、直線向いて少し外へ持ち出そうとした際に出し切れず、立て直す場面が有ったのが痛い。僅差だけに3着有ったかも。まだ500万は使える馬で、勿論確勝級。

シュウジ

2人曳き。前のエアスピネルとは対照的に、落ち着いていたのは何より。スプリンターなのも間違いないが。ゲートの一瞬はエアスピネルより悪かった位だが、出脚でカバーして好位。ただ、そこで我慢させようとしたらかなり引っ掛かっていた。インに入れて、4角で前を壁にして我慢する形も造ったが、前の2頭からは遥か遠く、3着争いも逃してしまった。今日の内容だと距離が長い。ゲートを出て、スンナリハナならまた違うのかも知れないが、中々ゲートも決まらない。

第1回ターコイズステークス(新設重賞)

シングウィズジョイ

2人曳き。後肢にバンテージ。春を考えると大分成長している。数字通り、パワフルに見せる様になった。不利な中山マイルの外枠だったが、ゲートを決めたのと、オツウの逃げに乗る形で2番手。毎回述べている様に、外枠の先行策はハイペースとなり易いのだが、直ぐに隊列が決まってオツウがガッツリ抑えたことで、1000m61.1秒のスローになった。こうなれば前は楽。4角と手応え充分に回って、勝負圏内に居た中では一番強かったこの馬が見た目には力強く伸びて快勝。ただ、この時計では何とも。重賞格上げ初っ端がこれでは先が思いやられる。

ダンスアミーガ

トボトボ歩いており、気配一息。叩いて前走東京戦よりはマシになった程度。劇的に変わった印象はない。ハナへ行く気はなかっただろうが、オツウ相手に少し抵抗しつつ、好位から。折り合いは多少怪しかったが、今日のペースでこの位置を取れたのは大きかった。4角でシングウィズジョイの直後。ただ、前が開いてもシングウィズジョイ以外は似た様な脚で伸びていて、オツウが最後に止まって、たまたま良い位置に居たこの馬が2着に浮上した格好。余り評価出来る内容ではない。

オツウ

遮眼革。毛ヅヤがピカピカ。これも全く人気はなかったが、久々に良い時のこの馬。牝馬にしては珍しく、案外冬場の方が良さそう。戦前は逃げる想定だったノットフォーマルの出脚がサッパリで、押し出される様にハナ。隊列が決まるとペースと落として逃げ馬としては最高の形。4角でシングウィズジョイを引き付けて、追い出したが、坂を上る脚がイマイチ。最後の最後でダンスアミーガに捕まって3着に。実績ない中山でこれだけ走れば上等だが、賞金面で使いたいレースが使えない部分も有り、あそこまで行けば何とかしたかったところ。強いていえば、4角で後続を突き放しに行っても良かったか...。

レッドセシリア

シープスキンノーズバンド。スカッと見せて、キビキビ歩けていた。ゲートで若干後手。中山マイルで良く有るパターンだが、センター枠で少しでも出遅れるとリカバーが利かない。その典型で後方から。4角迄はロクに動けなかったが、直線で外へ持ち出してからは良く伸びている。極端な言い方をすれば実質的な勝ち馬。次走狙い目。

ペルフィカ

前肢にバンテージ。コンパクトに纏まった馬体。気配も悪くない。ゲートは少し悪かったが、行きたがって好位へ。似た様な馬は多かったが、この馬は特に酷く、口を割る位、引っ掛かっていた。ただ、4角でカフェブリリアントが制御不能になっていたのに対し、この馬は一旦矯める場面が有った。坂を上って甘くなったが、少しでも脚が残せた分の5着。

第67回農林水産省賞典阪神ジュベナイルフィリーズ(GⅠ)

メジャーエンブレム

前肢にバンテージ。馬振り最上位。まだ絞める余地は有りそうだが、歩様も伸びていた。好発。出脚も速く、一瞬で2馬身抜けた。ハナでも良かっただろうが、キリシマオジョウが行って2番手。控える際に少し行きたがった様にも見えたが、直ぐに折り合いは付いた。キシリマオジョウは4角手前で後退。直線入口では先頭だったが、影をも踏ませぬ独走だった。完勝。ゲートを決めて、上手く運んだ感は有るが、気性的に大人なのは牝馬にとって何よりだろう。あとは切れる馬との相手関係。今日はそういう馬が少なかった。

ウインファビラス

-12kg。チャカついていたのは気になったが、数字は絞った格好。前走東京戦は明らかに緩かった。ゲートが少し悪かったが、出脚でカバーして好位。序盤はちょっと掛かっていたが、3角では折り合いが付いた。内外の差が大きく、前のメジャーエンブレムとは離れてしまったが、渋太く脚を使って2着は確保。切れ味という点ではやや分が悪い面も有るが、長く良い脚を使える。広いコース向き。この手の馬は3,4着が多く、賞金確保に苦労して本番で出涸らしというパターンも有るが、賞金を加算出来たのも大きい。

ブランボヌール

2人曳き。-10kg。前走京都戦が太かったが、それでも数字の割に大きく見せる。歩様も幾らかマシになった。出たなりで中段から。3角手前で外から寄られる場面が有ったのと、4角でキリシマオジョウが逸走して、外を走らされるロスが有った。その中でも3着は悪くない内容。折り合いもスムーズだったら問題はなさそう。函館デビュー組は近年サッパリだったが、成長力が有りそうなのも評価出来る。

ペプチドサブル

多少寸詰まりだが、トモに張りが有って、デキは悪くなさそう。出脚は速そうだったが、抑え気味に好位。ただ、外から来られてゴチャついたのは痛かったか。ただ、内に居た分、キリシマオジョウの逸走から逃れられたのは大きかった。今日はその分の4着。ブランボヌールに先着していれば別だが、今日は値打ちがない内容。500万も心許ない。

アットザシーサイド

馬体はバランスとれているが、歩様が硬いのがマイナス。あまり行く気なく中段やや後方から。向正面でゴチャつく場面も有ったが、この馬は無関係な位置に居た。僅差の3〜5着は4角で外を回った分も有るだろうが、追い出して内からステッキを入れると、外へモタれていた。乗り役に言わせると緩い馬場を苦にしたとのことだが、まだ馬が若い。

クロコスミア

+4kg。増える分には問題なし。歩様も含めて、見た目には悪くない。出たなりでスッと好位。何時もより引っ掛かっていたが、4角ではインで脚を矯められていた様に見えた。追って直線案外。ちょっとヘバって来ている。立て直して改めて。

第8回カペラステークス(GⅢ)

キクノストーム

キビキビ歩いていた。馬体が締まって、毛ヅヤもまずまず。ゲートは出たが、例に依って後方から。前走東京戦が意外に伸びなかったが、今日は4角の手応えが抜群で、少し追い出しを待つ位の余裕が有った。直線もその通り伸びて大外一気。ハマった感は否めないが、着はともかく、脚の使いどころさえ間違えなければ、堅実に伸びる。

カジキ

気配絶好。馬体にも重量感が有る。戦前はハナかと思っていたが、シゲルガガとエーシントップが速く、好位から。前半3F32.5秒は芝でも最近ないハイペース。折り合って、良い感じで運べたが、勝ちに行って早目先頭。やられたのは仕方がないところ。実質的な勝ち馬といって良い。前走東京戦は外枠から先行したとはいえ、11着。1400mは少し長いが、1200mなら堅実。

マルカフリート

2人曳き。9歳馬だが、背中が枯れていない。まだ馬は若い。出遅れ1馬身不利。道中は最後方から。行き振りも悪くなかった。直線勝負で、勝ったキクノストームを追い掛ける様に伸びて来た。高齢馬は時計勝負が向かないというのは何度も述べている通りで、この馬も例外ではない筈だが、上がりが掛かったのが幸い。

アドマイヤサガス

前肢にバンテージ。毛ヅヤ冴える。歩様に伸びがないが、馬体も迫力満点。ゲートというより、。出脚で差が有って中段やや後方から。上位とは道中の行き振りにも差が有った。ジワジワ伸びているが、最後は失速気味。今日の内容だけだと1400mの方が良さそうだが、1400mは1400mで良績がない。ひとつだけいえるとするなら、こういったハイペースは向かない様。

トキノゲンジ

-12kg。そこ迄細い印象はない。寸の詰まったスプリンター。歩様が少し硬いが、ダートの短距離なら許容範囲。出遅れ1馬身不利。4角の手応えは結構良かったが、直線はもう一伸びがなかった。ただ、どちらかといえばハンデキャップホース気味の馬で、56kgでこれだけ走れば充分か、力を付けているのは間違いない。

第66回チャレンジカップ(GⅢ)

フルーキー

前後肢にバンテージ。毛ヅヤが冴えて馬体は良く見せるが、左後肢の出が悪い。最初からインを狙うつもりだった様で、位置取り構わずインにへばり付く策。道中は中段辺りに居た。直線は中々前が開かず、坂下辺り迄待たされたが、脚でコジ開けて来た。1番人気の馬にギャンブル騎乗されたのでは他馬はどうしようもない。能力云々は論じ辛いが、阪神は走る。

ヒストリカル

+12kg。数字は回復分。今日は落ち着いていたのも何より。ゲートが悪いのは昔から。少し促していたが、進んで行かず後方から。4角迄コースロスなく回して、直線も前が開く迄待ってからの追い出し。これも暫く待たされたクチだが、前が開いてからは伸びている。この手の取り溢しは止むを得ない脚質だが、勝ち負けは展開の綾だろう。これも阪神は得意。

シベリアンスパーブ

馬に集中力が有った。馬体に張りが有って、歩様も力強い。ジワッと出して好位から。折り合いは付いていたが、特に小細工せず、普通に回って来て、しっかり脚を使ってくれた。前走中山戦も中々強かったが、今日も評価出来る内容。昔と比較して歩様が良くなったのが大きい。馬格が有るので、斤量背負っても苦にならない筈で、別定戦でも足りるのでは?

ワールドエース

+12kg。腹回りがボテッと映る。キビキビ歩いていて、気配は抜群に良いが。押しても余り進んで行かず中段やや後方から。4角でシベリアンスパーブやヒストリカルと近い位置に居たが、大して伸びなかった。フォームがバラバラだった様にも見えたので、下が悪かった影響も有ったのだろうが、意外な敗戦。これで引退のこと。

タガノエトワール

-6kg。絞れたと見て良さそう。もうちょっと力感が欲しいが、歩様はスムーズ。出遅れたが、出脚でカバーして中段。内に居た分、ゴマかしが利いているが、少し掛かり気味。その分、伸びを欠いた印象。ただ、牝馬でこれだけ走れば上等。マイルに戻れば違った答えが期待出来る。

ジャパン・オータムインターナショナル 第16回チャンピオンズカップ(GⅠ)

サンビスタ

前後肢にバンテージ。デキ抜群。筋肉の輪郭がクッキリ浮いて、このメンバーでも見栄えする。好発。出脚も速かったが、内の馬だけ叩いて中段。前がやり合う中で上手く脚を矯められた。4角での手応えが引っ張り切り。直線もホッコータルマエの後を理想的な形で抜けて来れた。これ以上後ろだと、捌き損ねるか、ノンコノユメにやられていた可能性が高い。ただ、昨年4着もかなり上手く運んでのモノ。その分だけ強くなっているとはいえる。

ノンコノユメ

2人曳き。前後肢にバンテージ。力感はないが、何時ものこの馬。皮膚を薄く見せており、馬体が締まっている。ゲートは出ているが、例に依って出脚がサッパリで後方から。道中も向正面辺り迄は押し通しだった。腹を括ってインを突き、上手く捌いて来れたが、前でサンビスタが完璧な競馬をしていた。最悪も考えられた中京でこれだけ走れば充分だろう。勿論、外を回した方が威力は増すが、中京の最内枠ではこれしかなかった。毎度危なっかしいながらも、結果を出しているのは立派。

サウンドトゥルー

前後肢にバンテージ。淡々と歩いていた。腹回りがボテッと映ったのと、歩様に柔らか味が欲しい。これも出脚が全くなく後方から。ノンコノユメとの枠の差が大きかった様で、1番枠のノンコノユメが最内を突けたのに対し、2番枠のこの馬はイン狙いだとノンコノユメの後追いになってしまい、大外へ持ち出さざるを得なかった。ノビノビ走った分、キレにキレたが、あと一歩。この馬は最内を突いて伸びたかどうかはやってみないと何とも言えないが、ノンコノユメと同じだけの力は持っている。

ロワジャルダン

前後肢にバンテージ。ダート馬らしい感じではないが、前走京都戦同様、良く見せる。ゲートも悪かったが、最初から先行する気はなかった様で、バラけた後方から。3角辺りではノンコノユメの直ぐ前に居た。4角で少し外へ持ち出し、馬群を捌いてここ迄。あと一歩で3着だったが、大外枠にしては上手く立ち回っており、多少の能力差は感じる。ただ、馬群を捌けるのは強み。1角辺りでは砂を被ると嫌そうにしていた様にも見えたが、それでもちゃんと伸びて来る。

ホッコータルマエ

前後肢にバンテージ。+8kg。ちょっと太いが、コパノリッキーやグレープブランデーよりは締まっていた。スタート直後にクリノスターオーと接触。更にガンビットに叩かれて何時もより位置取りが後ろ。前から6番手辺り。それをコパノリッキーと相手を決めて、3角過ぎから勝ちに行った。コパノリッキーは叩いたが、今日は差しが届く流れで最後は失速。仕方がないといえば仕方がないが、ちょっと最後が呆気なかっただけに、展開だけでなく、単純に能力を出し切れていない感は有る。言い訳を探すとするなら、ゲート入りにニホンピロアワーズが梃子摺り、1分以上待たされている分だが。

コパノリッキー

+10kg。デキ自体は良いだろうが、数字分だけ太く映った。今日でも決して良かった訳ではないが、何とか五分に出てハナへ。コーリンベリーとは上手く兼ね合いが付いたものの、共倒れ覚悟で来たのがクリノスターオーとガンビットで、スタート直後の2F目を10.7秒。手前が替わっていなかった様に、こうなると逃げ馬は苦しい。4角でもホッコータルマエの目標にされて、坂を上がってバタッと止まってしまった。負ける時はこんなモノ。大井、東京と改めて。

第51回金鯱賞(GⅡ)

ミトラ

単純に一番デキが良かった。馬体に張りが有って、気配も上々。珍しくゲートが悪かったが、パッションダンスが有る程度行ってくれて、これに乗る形で好位の外。逃げたメイショウマンボが早目に潰れ、クラレントとパッションダンスが叩きに行く展開。ちょっと早い様な気もしたが、結果的にディサイファをインへ閉じ込めることが出来た。直線は他を寄せ付けず完勝。器用さ一本だった筈の馬が、少しずつ強くなっている。まだGⅠで通用するとも思わないが...。

ディサイファ

前肢にバンテージ。馬体はこんなモノだが、ちょっと歩様が硬い。夏場に良績有るタイプなのは確かだが。出脚は一番速かった位だが、メイショウマンボが行き切って好位のイン。ここ迄は今春と同じパターンだが、4角で早目に動いた馬が数頭居て、ちょっと追い出しを待たされた。バラけてからは伸びているものの、基本的にジリッぽい馬で、ここ迄が一杯だった。従って能力で負けた訳ではないのだが、3歳馬に負けるならいざ知らず、古馬にやられたのはちょっと情けない。

サトノノブレス

少し腹回りがボテッと映るが、毛ヅヤが良いので、デキ自体は悪くさそう。出脚が速くなく、中段やや後方から。道中はディサイファマークだったが、ディサイファが捌き損ねたのを察して早目に外へ。この読みは間違っていなかったが、ディサイファに差し返されて3着。同タイムアタマ差だが、能力差は大きい。現状は何とかGⅢの馬。

マイネルフロスト

シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。トモに力がなく、歩様が甘い。半馬身程出遅れ。外枠でも有り、そのまま後方から。4角で追い出しを待つ位の手応えだったが、追い出すとイマイチ甘い。内有利の馬場ではこれで良く走っている方なのかも知れないが、これも重賞は少し遠いと見るのが妥当なのだろう。

クラレント

+6kg。気配は何時も通りだが、500kgを超えると太い。外枠でも積極的に乗られて好位。ハナへ行くつもりだったのだろうが、メイショウマンボが主張して2番手から。見た目には折り合いも付いていた。最後は決め手負けだろうが、今日は外枠から行った分も有る。スッとハナへ行ける等、色々条件噛み合えば今後もチャンスは続く。

レーヴミストラル

前走東京戦でも触れたが、歩様が良くなったのが大きい。この馬としてはパワーアップ明白。行く気なく例によって後方から。これはこれで良いが、後方に居てもオッツケていた。内有利という以前に流れに乗れていない。最後は差している。更に成長すれば出脚が強化されてマシになる可能性も有るが、現状はもっと距離が有った方が良さそう。

第49回スポーツニッポン賞ステイヤーズステークス(GⅡ)

アルバート

下見から集中して歩いていた。トモにボリューム感が有る。歩様にもバネ。出脚もなさそうだったが、後方でジックリと。出入りの激しい競馬になったが、後ろで我慢していたのが大きかった。2周目3角過ぎから馬群の中を進出、バラけてからが5馬身差だから馬も強かったが、捌くところに乗り役の腕が有るのだろう。坂下で狭いところをコジ開ける脚も強烈だった。この厩舎らしい爆発力を持った馬。

カムフィー

緩んだところなく、デキ文句なし。歩様が力強い。ゲートは出ているが、これも後方から進めたクチ。インに入れて、徐々に番手を上げつつ、2周目4角で内がないと見るや否や外へ。外へ持ち出した際の勢いは直ぐ外に居たトゥインクルの方が良さそうだったが、ジワジワ伸びて2着。アルバートとはどうしようもない差を付けられたものの、良い脚を長く使えている。東京向き。

トゥインクル

2人曳き。前肢にバンテージ。今でもスカッと見せる方だが、デビュー当時を考えると、馬がしっかりして来た。歩様もマトモ。何時も通りの待機策。カムフィー同様、道中はインで我慢させて勝負どころで外へ持ち出す策。アルバートはともかく、似た様な競馬のカムフィーに競り負けたのは評価が下がるところ。勿論、経験値の差も大きく、先々は逆転可能だが。

マイネルメダリスト

遮眼革。毛ヅヤ冴える。歩様はこの馬としてはマシだが、もう少し絞れても良いかも。少しボテッと映る。少し急かして中段のイン。ゴチャつかないながらも、一番前で競馬が出来た。外へ持ち出すタイミングもバッチリに見えたが、追ってジリジリ。最近の中では一番好内容だったのは確かだが、現時点では重賞通用の馬ではない。

ネオブラックダイヤ

シープスキンノーズバンド。返し馬迄パシュファイヤー。ちょっと緩い様にも見えた。7〜8割のデキ。出ムチを入れて好位のイン。掛かり気味になるのは何時ものことだが、メイショウカドマツが引っ張った場面でこの馬が直後に居て、マトモにアオリを食ってしまった。それでも早目に外へ持ち出して、最後迄止まっていない。中々のスタミナを持っている。しかも今日は休み明け。上手く噛み合った時に何処かで一発有りそう。

メイショウカドマツ

シープスキンノーズバンド。歩様が伸びていた。馬も前走東京戦から好調持続。無理矢理行こうと思えば行けた様な気もしたが、内からユキノサムライに主張され、更に外からカノンが行って3番手から。ただユキノサムライがガッチリ押さえてしまい、1周目向正面で引っ張る場面が2回。諦めてユキノサムライは叩いたが、勝負どころでも追手が次々と来て苦しくなった。今日はこれででも良く粘っている方。