Sakura Archives

競馬回顧 2020年1回京都

第61回アメリカジョッキークラブカップ(GⅡ)

ブラストワンピース

2人曳き。シープスキンノーズバンド。仏国遠征で惨敗したが、見た目にはダメージなし。馬体の張りもそうだが、何より気配が死んでいない。ゲートや出脚は決して速くなかったが、外枠でリカバーが利いてジワッと好位。最初は掛かる位の行き振りだったが、3角過ぎから手応えが渋くなり、更に眼前でマイネルフロストが故障した影響も有った。外を回している様な状況ではなく、苦し紛れに内へ切り替えた様にも見えたのだが、そこからが強かった。不器用なのは血統由来で仕方がないところ。今後も取り溢すことは多いだろうが、今日のところは海外遠征帰り初戦でちゃんと勝った点を評価したい。

ステイフーリッシュ

昨冬よりはトモの張りが良くなったのは確かだが、惨敗の前走阪神戦から変化が有るかとなると、取り立てて変わった印象はない。このレースは行きたい馬が少なく、この馬やスティッフェリオとてお世辞にも出脚が速い訳ではないのだが、枠の並びでスティッフェリオが行って、この馬が2番手から。馬場が悪いとはいえ、1000m通過62.4秒はやはりスローと楽が出来た。勝負どころから各馬が内を開けて走る中、インへ寄せて結果的に故障馬のアオりも食わず、理想的な形となったが、最後はブラスとワンピースにネジ伏せられた様な形となった。ただ、他馬が苦しい条件になればなる程強いのがステイゴールド産駒で、これが出来れば成長力を秘めていることが多い。この馬がそうなると断言は出来ないが、ソロソロ化けても良い頃。

ラストドラフト

+6kg。コンパクトな造りはデビュー当時からそこ迄変化はないが、トモがパンとした印象。大分歩様に力強さが出て来た。出たなりで中段から。道悪は得意といえず、実際に手応えもずっと悪かったが、それでもインから動かず、外へ持ち出したのは3角過ぎから。勿論、鞍上に意図が有って乗っているならそれはそれで良いのだが、残念ながらマイネルフロストが故障したアオりを食ってしまった。ブラストワンピースやステイフーリッシュがインを突いていたことも有るが、横位置で10馬身位離れてしまっており、馬場差が有っても挽回し切れなかった。今日は仕方がないところ。ただ、こういう馬場で走れる様になったのは馬がしっかりして来たからこそ。

ミッキースワロー

前後肢にバンテージ。+6kg。多少緩い程度で、これだけなら充分走れる状態だっただろうが、今日は珍しく歩様がイマイチ。鳥脚気味になる時が有った。これも出脚はそれ程速い方ではないが、この組み合わせで、折り合いを意識しつつで中段から。道悪は間違っても上手くない筈だが、内目を通って、勝負どころから外へ持ち出したら、マイネルフロストのアオりを食ってしまった。リズムを大事に走らないとダメな馬で、今日は参考外。

サトノクロニクル

1年半振りの割に攻め馬は多少手緩い感も有ったが、外厩でキッチリ乗り込んでいた様で、緩んだところもなく、むしろ休養前より良くなっている。歩様も力強い。ゲートで外にヨレた影響も有ったか、掛かり気味に中段やや後方から。前に馬を置いて何とか宥めたのは向正面に入ってから。4角でこれも不利が有ったが、最後は脚が上がった様にも見えた。休み明けとしては良く走っているといえなくもないが、3着位ないと値打ちがないところ。次走が試金石。

第37回東海テレビ杯東海ステークス(GⅡ)

エアアルマス

シープスキンノーズバンド。パシュファイヤー。後肢にバンテージ。皮膚を薄く見せて、毛ヅヤピカピカ。少し寸が詰まったマイラー体型だが、馬体の張りは文句なし。好発。砂を被るとアウトの馬で、外の馬を牽制しつつ、好位から。1角辺りは少し内を開けていた程。ずっと手応えは良く、4角は控える競馬だったインティに合わせて進出。直線入口で先頭に立ってそのまま押し切った。やはり条件が揃えば強い。あとはゲートをいかに決められるかどうか。前走東京戦の様にちょっとでも外から被されると怯んで止めてしまう。マークされるという点で、今回勝ったのは少なくともプラスにはならない。

ヴェンジェンス

+6kg。昨年2月戦以来の500kgだが、中身が全く違う。目下充実一途。馬体に張りが有って、キビキビした歩様。出脚は有る馬だが、外枠で無理することなく中段から。基本的にはインティをマークする形で乗られた。ただ、前走は同じ1800mでも流れていたことも有って折り合っていたが、今日はペースが落ちて少し掛かる位の行き振り。インティを交わせば充分立派なのだが、前走程の脚は使えなかった。外枠を嫌って行かせたのは間違いではないが、本質的にはもっとメリハリを付けた方がベスト。その点でマイルに替わるは悪くないが。

インティ

前後肢にバンテージ。GⅠの後だが、馬体に重量感が有って、疲れは感じさせない。歩様も落ちていない。前々走でスマハマとやりあっており、今回は共倒れを避ける形で中段待機。勿論、出脚は速いが、ゲートで少し躓き掛けた影響も有った。ただ、外枠で砂を被らなかったことで、行き振り自体は悪くなかった。ペースが落ちた向正面で少し行きたがった以外は、折り合いも問題なかった。4角の手応えも充分で、前で楽をしていたエアアルマスを積極的に捕まえに行ったが、直線は手前が替わらず伸びあぐねた。初めて控える競馬で形になったことは良かったが、これでGⅠが勝てるとも思えない。次走東京戦は鞍上の手腕が問われる。

アングライフェン

ダート馬としてはスカッと見せる方だが、昔と比較すればかなり馬を大きく見せる様になって来た。この血統にしては手先のスナップも利いており、何より今日は気配が良かった。スマハマに叩かれる形だったが、元々出脚も速くなく中段から。砂を被っても平気な馬で、特に気にせず行き振りは悪くなかった。ただ、4角で一瞬壁になり、そこで付いてしまった差が挽回し切れずに終わってしまった。このメンバーでも充分圏内の馬だが、手前も替わっておらず色々助けは要る。

キングズガード

+12kg。緩いという程ではないが、数字分だけ、腹回りがボテッと映る。ただ、歩様は問題なく、気配も良かった。出遅れ1馬身不利。最後方でも序盤は結構力んでいた。向正面でやっと落ち着いて、そこからはスムーズだったが、今日の展開ではどうしようもないところ。前とは約5馬身差だが、これでも良く頑張っているだろう。これも展開一つの馬。

第60回京成杯(GⅢ)

クリスタルブラック

2人曳き。+4kg。新馬即重賞だったが、集中力が有って気配良好。馬体も垢抜けており、充分オープンクラス。ゲートを出て直ぐ内へ飛び、最初は操縦不能に近い状態。まずは只管引っ張って後方から。1角辺りでは前の馬に乗っかかりそうになっていた。マトモに落ち着いたのは2角だった。更に後方にもう1頭居たが、馬群からは離したことでそこからはリラックスして走れた。前に居た馬が4角で外へ持ち出して来たことで、この馬も無駄に外を回される形となったが、1頭違う脚で差し切った。序盤のロスを考えれば単純に強い。馬も良さそうでクラシックでもソコソコやれる筈だが、あとは気性面に尽きる。

スカイグルーヴ

良血馬らしい均整の取れた馬体。ただ、最近は馬格のない馬でも走るケースが有るとはいえ、父母共、もっと迫力の有る馬だっただけに、444kgしかないと見劣る部分も。出脚は有りそうだが、外枠で掛からない様に気を付けながら、ジワッと先行。道中は壁のない外ながら折り合いが付いており、抜群の手応えで4角を回って来たが、逃げていたロールオブサンダーが外へ張って来たことで、直線で馬場のド真ん中を走る形になってしまった。1頭でフワッとしたところをクリスタルブラックに差された形。少なくとも馬は責められない。あとは目標を何処に置くか。牝馬が新馬,今回と2000mを使ったということは阪神へは行かないという意思表示なのだろうが...。

ディアスティマ

前後肢にバンテージ。馬自体は成長途上だろうが、雰囲気の有る馬体。毛ヅヤ、気配とも良かった。スタート直後に内へヨレて出脚が鈍ったが、少し押して中段やや前辺りから。基本的にはスカイグルーヴを意識して乗られたが、4角でトモを滑らせた様で、中々直線で手前が変わらず、もがいている間にクリスタルブラックに並ぶ間もなく行かれてしまった。左手前に替えてからはそれなりに伸びている。見た目通り、まだ馬が若いが、成長すれば先々は走って来そう。

ビターエンダー

前肢にバンテージ。+12kg。馬体に張りがない訳ではないが、腹回りはボテッと映る。歩様も少し重たい分、窮屈。ゲートは決して速い方ではなかったが、急かさず中段から。常に前に馬を置く形で、道中はスムーズに走れていた。途中から3着ディアスティマに付いて行く形で、4角も上手く捌いて来たが、直線向いてからは決め手の差が露呈。クリスタルブラックには一気に交わされてしまった。オルフェーヴル産駒にしては操縦性の良さそうな馬だが、一瞬の脚がない。勝ち負けに持ち込む為にも、せめて前走東京戦の様に、ゲートは決めたいところ。

キングオブドラゴン

498kgの割に馬が貧弱。歩様も一見しっかりしている様に見えるが、ブレる時が有って、まだまだ力が付き切っていない。ゲート内の駐立が悪く、ダッシュが鈍ったが、少し出して行くとアッサリ行き脚が付いて、好位のイン。上手く逃げ馬の番手に付けることが出来た。前の馬が4角から外へ持ち出した様に、内の馬場が悪く、ちょっと脚を取られたか、手応えが怪しくなっていたが、最後迄頑張っている。500万なら充分通用。

第67回日経新春杯(GⅡ)

モズベッロ

+8kg。前走中山戦が-10kgで数字は回復分。ドッシリとは見せていたが、決して太くはない。気配はおっとりしていて、下見は内目を周回したが、眼には気合が入っていた。あまり出脚が速いという訳ではなさそうだが、少し促して中段のイン。道中の折り合いは付いていた。坂の下りから徐々に進出。直線は内にモタれながらも、鋭く伸びつつ、脚取り自体は最後迄確かだった。ハンデ52kgとはいえ、完勝といえる内容。あとは如何に真っ直ぐ走れる様になるかだろう。今日はメンバー低調だった感も強く、このままではGⅠで通用しない。

レッドレオン

前後肢にバンテージ。休養前は細く映った馬だが、大分馬がしっかりして来た。あとはもう少し歩様に力感が欲しい。出脚というか、行き振りの良い馬で、手を動かさずとも楽々好位のイン。道中は全く問題なく、向正面で徒に動かなかったことも確実に吉と出た筈だが、直線でインを突こうとした際に、この動いた馬数頭が壁になり、外へ切り替えている間にモズベッロが3馬身抜けていた。マトモでもどうだったかというところだが、内から併せる形になっていたら、相手はモタれて追い辛かった筈で逆転の目も有った。勿体ない競馬。ただ、今回のメンバーレベルの問題は有るにせよ、競馬センスの有る馬で、チャンスは続く。

エーティーラッセン

馬体の迫力ならこのメンバーでも負けていない。気性面が散漫というのか、テンションが少し高いのも毎度のこと。戦前から想定されていた通り、誰も行かない組み合わせだったが、この馬自身の出脚も速く、スンナリハナへ。1000m通過61.6秒とスローに落とし、流石に向正面半ばでロードヴァンドールに絡まれる場面は有ったが、再び突き放して直線迄先頭。頭が高い走法で流石に二の脚は使えなかったが、何とか3着には粘り込んだ。スタート直後からフォームがメチャメチャな馬で、マイペースで行かないと話にならない馬だが、それが叶ってこれだとタイトル迄は厳しい。

タイセイトレイル

+14kg。元々スカッと見せる馬だが、決して太くは見せない。それよりも今日はちょっとテンションが高いのがマイナス。毛ヅヤも一時と比べると落ちて来た。出脚も昔から速い方ではないが、油断すると引っ掛かる馬で、行く気もなく中段やや後方から。それ迄はインに居たが、前述した様に、エーティーラッセンの逃げがスローだったことも有り、向正面で外へ出して中段へ。これ自体は間違っていないが、京都で外を回ると、直線入口で内の馬との差が他場以上に付いてしまう。今日で前と7馬身位だったが、挽回出来るだけの決め手はない。デキ落ち気配も有り、一回立て直した方が。

プリンオブペスカ

2人曳き。-6kg。叩いて順当に良化。馬体に張りが出た。基本的に休養が多く、大事に使われている馬だが、歩様にもむしろ柔らか味が有った。大外枠で目立たなかったが、1馬身出遅れ。とはいえ、押して馬群には取り付いていた。これもスローを読んで向正面で一気に好位へ。決して手応えは良くなかったが、早目に動いたことでコースロスが少なくなった。切れる脚はないが、渋太い。

第57回農林水産省賞典愛知杯(GⅢ)

デンコウアンジュ

前肢にバンテージ。この中間はこの馬としては結構攻め強化されていたが、牝馬としてはドッシリ見せる。この時期にしては毛ヅヤも良かった。元々出脚の速い方ではないが、2000mということも有り、後方からジックリと。コーナーでも内ラチから離れず、直線に向いてから進路を探す形。直線も上手く前が開いて、一瞬の脚を生かし切った。ハンデ差も有るとはいえ、最後はアルメリアブルームに差し返されそうになっていただけに、本当に使えた脚は200mなかった筈だが、お見事。道悪でも難なく内が突けたのが勝因。鞍上はこれで中央競馬全10場制覇へ、函館を残すのみとなったが、今年はオリンピックに依る日程変更で、例年なら札幌の牝馬限定戦が函館で行われる。斤量はキツいが、何時もの開幕週でもないだけに一雨来ればチャンス充分。

アルメリアブルーム

-4kg。東へ遠征するとガレる馬だが、同じ遠征でも何故か小倉だと馬体が減らないのは昔から。手先のスナップも利いていた。少し行きたがりそうな気配も有り、あまり行く気はなく、中段やや後方から。基本的にはデンコウアンジュの一歩前での競馬。道中は特にノメッている様子はなく、4角でレイホーロマンスが仕掛けたタイミングで外へ。立ち回りとしてこれ以上ケチは付けられないが、イチかバチか更に内で我慢していたデンコウアンジュに差されたのは仕方がないところ。前述した様に最後は差し返そうとしており、ハンデ差を無視すれば一番強い競馬をしている。クラブの馬でもう1回使って引退ということになりそうだが、これもチャンスは続く。

レイホーロマンス

-4kg。中1週でも、硬さがないのが何より。424kgの馬だが、寸が詰まって背丈が低いものの、馬体のメリハリは利いている。3600m,3000mと走った後で、出脚は全くなかったが、押して中段から。出して行った分、行き振りは良過ぎる位で、4角手前から一気に動いて直線入口で先頭。押し切りを図ったが、最後に内外から2頭に捕まった。結果としてもう少し大事に乗っていれば、若しくは1800m辺りからの転戦で最初の出脚が有ればというところ。ただ、中京だと中々坂が上れない中で、小回り平坦の小倉でやれたのは良い方に出ただろう。

フェアリーポルカ

数字は+2kgだが、ガレているという程ではないものの、もう少しフックラ見せてもというところ。歩様は悪くない。出脚をあまり使わず、ジワッと行かせて中段やや後方から。出来る限り、コースロスなく乗られたが、道悪を特に苦にしている様子はなかった。4角手前でパッシングスルーが外から仕掛けて来るところを上手く進路を確保して、直線もそれなりに脚を使っているが、上位3頭とは枠の差が大きかった。前走京都戦はサッパリだったが、これなら充分走っている。限定戦なら上位。

センテリュオ

胸がい。前後肢にバンテージ。小走りが入っていて、テンションは高かったが、皮膚を薄く見せてデキに問題はなさそう。歩様にも硬さはない。出ッパも悪かったが、行き振りも悪く後方から。ノメるという場面こそなかった様に見えたが、道中の手応えもずっと怪しかった。直線に向いて外へ持ち出してからはそれなりの脚を使っているが、4着フェアリーポルカで4馬身差は頂けない。トビが大きく、こういう馬場は絶望的に不向き。

第36回フェアリーステークス(GⅢ)

スマイルカナ

2人曳き。前肢にバンテージ。+4kg。420kgの馬で少しでも増えた方が良いのは確かだが、見た目には決して非力な印象はない。もう少し落ち着いてくれるとベスト。ゲートで半馬身抜けて、出脚も抜群に速く、一瞬で2馬身抜けてハナへ。1000m通過59.0秒は馬場状態を考慮すればスローといえる程ではないが、楽に行けたことで道中で息を入れる余裕が有った。直線向いて、タレる好位勢を尻目に突き放し、坂を上り切る辺りでヨレる場面は有ったが、オイデオイデの楽勝だった。枠とゲートを出たことも大きかったが、出脚も速く、スピードが違った印象も。あとは今日は少しイレ込んでいた様にも見えただけに精神面。相手が自爆覚悟で競って来る様だとボロが出る可能性は高い。

チェーンオブラブ

前肢にバンテージ。-10kg。トモにボリューム感が有るので目立たないが、数字分は細い。歩様がしっかりしていて、落ち着いていた点は何よりだが。出脚自体も決して速くないが、内外から来られる形となり、一旦引いて中段やや後方から。アヌラーダプラが眼前に居て、基本的には付いて行く形。坂が上れず止まる馬が多い中で、1頭だけ低い重心で脚が違っていた。これで2戦連続でメンバー中最速の上がり。今日は展開が向いた感も有るのだが、良い決め手を持っている。軽い馬場の東京と力の要る中山で両方脚が使えた点も大きい。

ポレンティア

前肢にバンテージ。+4kg。新馬の札幌戦以来だが、出来ていたというよりは、まだ成長途上で線が細い印象。ただ、踏み込みの力強さに素質の一端が露出している。半馬身程出遅れたが、押して好位直後。出した割には折り合いも付いていた。4角は勝ちに行ったシャインガーネットを目標に、ジリジリ伸びて3着浮上。札幌1500mしか走ったことのなかった馬だが、ちゃんと坂が上れてマイルもこなしたのは立派。前走も2番手で折り合って抜け出すというセンス有る内容だったが、兎に角余計なことをしない。馬体の成長は欲しいが、先々も楽しみ。

シャインガーネット

前後肢にバンテージ。460kgでも、雄大な馬体。歩様も悪くないが、全体に緩慢に映る。締まってくればもっと良くなりそうな馬。出脚が速いという訳ではなさそうだが、外を回されるのを嫌ったか、積極的に乗られて2列目へ。勝負どころも結構強気に乗られたが、最後は甘くなった。もう少し丁寧に乗れば2,3着は有っただろうが、テン乗りの外国人ジョッキーで勝ちに行った競馬を求められていただけに仕方がないところ。能力面での評価を下げる必要はない。

ソーユーフォリア

前後肢にバンテージ。-12kg。寸が詰まったマイラー体型。しっかりした骨格の馬だが、少し腹が巻き気味。ただ、毛ヅヤは冴えていた。スマイルカナの出脚には敵わなかったが、ジワッと行かせて好位のイン。マイルは今回が初めて、前走中京戦は1400mで行きたがっていたが、意外と折り合いは割と付いていた。直線も一旦はスマイルカナに並びそうなところ迄行っているのだが、坂を上り切ってからの一踏ん張りが利かなかった。距離が1F長いということも有るだろうが、現状だと力不足。

アヌラーダプラ

胴が短目の体型。緩んだところがなく、現時点での完成度が高い。歩様にもスムーズさが有り、気配も何とか堪えている様に見えた。出脚を使わず出たなりで中段やや前辺りから。多少行きたがっていた。4角外を回って前を追ったが、直線は伸び案外。中山マイルで有り勝ちだが、内から楽に先行されると外の馬には厳しい。距離や今の力の要る馬場が向かなかったこと等、細かい悪条件が重なった印象。次走が試金石。

第54回日刊スポーツ賞シンザン記念(GⅢ)

サンクテュエール

胴回りはスカッとしているが、トモに厚みが有って、可動域が広い。京都は初出走だったが、時々物見もして、落ち着きも有った。出遅れ1馬身不利。ただ、この馬自身が出脚が速く、更に運良く内が開いていたことも有って、300mで好位に取り付いていた。道中の折り合いも全く問題はなかった。直線で逃げたヴァルナとプリンスリターンの間を突き、相手も渋太かったが、最後迄しっかりした脚取りで競り勝った。内ラチを頼れて上手く行った部分も大きいとはいえ、フラフラだったプリンスリターンに対し、真っ直ぐ走れていた点は好感。牝馬が勝った場合の将来は、40数年前のラブリトウショウは別にして、上手く行けばジェンティルドンナ、アーモンドアイ、最低でもシーキングザパール、フサイチエアデールということになるのだが、今後は破壊力を付けて行きたいところ。今のところだと、まだフサイチエアデールのレベル。

プリンスリターン

+10kg。多少腹回りがボテッと映るが、緩んだ印象はなく、この時期としては許容範囲。馬に活気も有った。好発も、ハナへ行く気はなく、ヴァルナに行かせて2番手から。出脚は使っていないが、道中の折り合いは付いていた。直線入口から追い出し、内から来たサンクテュエールとの併せ馬。一旦はこの馬が抜け出した様にも見えたが、前述した様にサンクテュエールに差し返された。スタート直後もそうだったが、最後もフラフラ。どうも真っ直ぐ走れないのがネック。とどのつまりはサンクテュエールに内から来られていなければこの馬が難なく勝っていた。鞍上の差といえばそれ迄だが...。

コルテジア

前肢にバンテージ。コンパクトに纏まった造り。馬体の張りは有ったが、手先だけで歩いている印象も。サンクテュエール程ではないが、半馬身出遅れ。出脚が抜群に速いという訳ではないだけに、最近のパターンと違い、ハナでないのならと5〜6番手の内目。意外と何の不自由もなく、リラックスして走れていた。4角でプリンスリターンの直後。ただ、そこから直線だけで4馬身差も付けられた。完敗としか言い様がない内容。500万なら何とかなる筈だが、人気になる様なら嫌ってみたいレベル。

オーマイダーリン

-6kg。元々がスカッとした造りだが、更にガレた。これだと流石にマズいレベル。歩様も、手先の柔らか味は有るのだが、力強さに欠く。2馬身近い出遅れ。その後も全く進んで行かず、行き脚が付いたのは200m程走ってから。只管インを走ってここ迄。3角過ぎと4角で手綱を引っ張る場面が有り、特にこの手のダラダラ走る馬にとっては余計なブレーキとなるところだが、その割には最後迄良く頑張ったともいえる。まずは馬体回復が優先ということになりそうだが、2000m位なら500万は勝てる筈。

ヴァルナ

前を歩くサンクテュエールとは明らかに馬の差が有って、数字の割にメリハリのない造り。歩様も少し硬目。毛ヅヤは良くて、現状のデキ自体は悪くなさそうだが。ゲートはプリンスリターンの方が速かったが、行く気がなく、ならばと主張してハナへ。出脚は有りそうで、道中も折り合いは付いていた。4角先頭では回って来たが、直線はほぼ無抵抗。前々走東京戦からもう少しやれても良いのだが、パワー不足の現状で踏ん張りが利かないのは致し方ないところ。

ルーツドール

胴長の馬体だが、トモに厚みが有って、素質は有りそう。ただ、今日は下見から気負い過ぎている印象も有った。最初から折り合い重視で乗られて中段から。道中は少し力んでいた程度で、これだけ見ればもう少し走れても良さそうだが、それ以上にレース前に消耗していた様。1頭だけ発汗が目立っていた。下見所からゲート入り迄に相当イレ込んでいたのだろう。今日は全く力を出せておらず参考外。

第58回スポーツニッポン賞京都金杯(GⅢ)

サウンドキアラ

坂が上れない馬だが、下見で特にトモが甘い印象はない。馬体に張りが有って、デキ自体も良さそう。気配も上々。行こうと思えばもっと行ける馬だが、あまり急かす様子もなく、ジワッと行かせて好位6〜7番手のイン。恐らく手応えに自信が有った様で、4角でボンセルヴィーソに付いて行く形で一列番手を上げ、早目先頭からダイアトニックの追撃を振り切った。実績通り、やはり平坦だと踏ん張りが違う。1分34秒0は力の要る馬場故だが、これで京都マイル4勝の内、最速が1分32秒8で、最遅が1分37秒2。これだけストライクゾーンが広ければ坂が上れても良さそうなモノだが...。

ダイアトニック

シープスキンノーズバンド。+12kg。484kgはデビュー以来、最高体重。骨格のしっかりした馬で然程目立たないが、多少緩い程度。気合も乗っていた。この馬としてはゲートを出た方で、何時もより前に付けて中段から。外枠から後方迄下げざるを得なかった前走と違い、今日は理想的な競馬が出来た。インでしっかり脚を矯めて、直線に向いてからサウンドキアラの外へ。前走はラスト1Fで内にモタれて、今回もそんな素振りが有って、ムチを持ち替えたところ、外へ大きくヨレてしまった。苦しがってのモノで、やはり1F長い。勿論、ハンデ差を考えれば実質的勝ち馬ということもいえるのだが。

ボンセルヴィーソ

前後肢にバンテージ。下見は何時も良く見せるタイプ。淡々と歩いていたが、その分、一歩一歩がしっかり踏めていた。好発。押して行ってハナを覗かせる程だったが、マルターズアポジーが無理矢理主張して2番手から。道中は引っ張り切りの手応えで、直線向いた段階では勝ったの雰囲気だったが、意外な程甘かった。GⅠ3着馬がハンデ54kgは明らかに恵まれており、あそこ迄行ったら何とかしないと話にならない。マイルは明らかに1F長い。

ソーグリッタリング

+10kg。小走りが入って、テンション高目。数字分だけ太いだろうが、然程目立たないのは、馬格がしっかりしているからこそだろう。好発。直ぐ内でメイショウショウブは出遅れ気味だったが、これを待って中段から。外を回ったとはいえ、出脚を使っていない割には行きたがっていた。馬を前に置いてもイマイチリズムが悪く、4角もフクれ気味。外枠が応えたといえばそれ迄だが、成績が示す通り、オープンだともっと道中をスムーズに運べる様にならないと。

ブレステイキング

初西下だった前走阪神戦に引き続き今回は初京都だったが、それなりに落ち着いていた。馬体が緩んでいないのも前走同様だが、ちょっと歩様が硬くなった。ゲートは五分に出たが、行く気はなく後方に近い位置。マイルが初めてだった割には行き振りは悪くなかったが、4角でも動く気はなく、出来る限り内を回って直線迄待ってからの追い出し。流石に前を離れ過ぎていたが、最後は良い脚を使っている。前走も含めて追い込んで届かずの馬を現代競馬でどれだけアテにしていいかは微妙なところだが、展開一つの馬なのも確か。

第69回日刊スポーツ賞中山金杯(GⅢ)

トリオンフ

2人曳き。気配は地味だが、1年半近くの休み明けだった前走阪神戦からキッチリ出来ていた。今日も緩んだところはなく、歩様も落ちていない。行きたい馬が多く、戦前は先行激化が予想されたが、こういう時の典型で結局誰も行く馬が居らず、ブラックスピネルが押し出されて、この馬が58kgでも少し押しただけで楽々2番手。1000m通過60.2秒は唯でさえ遅いが、楽に行けたので更に有利になった。4角でブラックスピネルを捕まえて、早目先頭からウインイクシードの猛追を辛うじて凌いだ。もうちょっと突き放して欲しかった感もない訳ではないが、58kg故に仕方がない部分も。昨年のウインブライトも58kgで勝って2019年の最優秀4歳以上牡馬となったが、今日のパフォーマンスだけをいえば大差はなく、次走以降も有望。急遽の代打で決めた形となった鞍上も、昨年絶不調だっただけに大きい勝利となっただろう。

ウインイクシード

前後肢にバンテージ。498kgの割にはスカッとした造り。馬に集中力が有って、手先のスナップも利いていた。出脚には余裕有りそうだったが、内のトリオンフが位置を取りに行ったのを確認すると、マーク策に切り替える形。道中の手応えも良く、只管トリオンフに付いて行って、4角では勝ったかの雰囲気だったが、トリオンフの渋太さが一枚上。特に登坂力がなかった。3kg差貰って負けたら、救いがない。中山に良績集中している馬だが、器用さと小回り適性が有るというだけで、平坦コースの方が本当は良いのかも。

テリトーリアル

-4kg。今季は休み明けからデキが良い。多少腹回りが太く映るのはあくまで体型。重量感が有って、馬体もはち切れんばかり。歩様も一歩一歩が力強い。ゲートも微妙に悪かったが、出脚もイマイチで、枠の利が有ってやっと中段。これも道中の行き振りは良く、4角から直線はコジ開ける様にウインイクシードの外から伸びて来た。基本的に上がりが掛かってくれた方が良いタイプで、33秒台どころか34秒台でも前半となると厳しい馬だが、今日はそういう展開になってくれた、前走阪神戦がサッパリだった様にアテに出来ない馬だが、チャンスが回って来た時を如何に逃さずに走れるかが焦点。重賞だとそんなに出番は多くない。

ノーブルマーズ

シープスキンノーズバンド。気配に乏しいのは何時ものこと。腹回りがボテッと映るのも昔から。歩様の甘さも相変わらず。突っ掛け気味に出て、結果的に好発。ただ、2000mとなると出脚で苦しいところだが、押して逃げたブラックスピネルの番手へ。道中の行き振りも決して良い様には見えなかったが、内から渋太く脚を伸ばしていた。これもテリトーリアル同様、上がりが掛かってくれないことには話にならない馬で、今日は流れが向いた。

マイネルハニー

前後肢にバンテージ。休み明けの前走よりは上向きだが、年齢分だけ馬が落ちている。毛ヅヤもそうだが、何より歩様が以前より硬い。今日の誰も行かない展開でも出脚が苦しく、押してやっと好位勢に付いて行けたという程度。インに居ながら道中の手応えも渋目だったが、4角を上手く捌けたことが大きかった。これも上がりが掛かる展開が向いた感も強く、高い評価はし辛い。