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競馬回顧 2021年2回新潟

第13回レパードステークス(GⅢ)

メイショウムラクモ

オーストラリアンブリンカー。+12kg。この時期のダート馬だけに馬体増は無条件で歓迎。重いだろうが、馬は張っている。歩様も悪くない。出脚は決して速くなかったが、外からジワッと行かせて1角で好位3番手。出脚がない分だろうが、序盤に多少行きたがったのは仕方がないところ。1000m通過61.4秒だからペースは平均レベルだが、3角で既に手応えが怪しくなっている馬が多い中で、こちらは余裕充分に前へ並び掛け、鞍上がステッキを落としながらも、ラスト200mでレブンカムイを競り落とすとあとは独走だった。完勝。トビが大きいので揉まれた時にどうかという面は有るが、その分、スケールは大きい。タイプ的にはチュウワウィザード。

スウィープザボード

遮眼革。トモの送りが硬く、歩幅が狭いのだが、前走っ中京戦も似た様な感じだった。馬体も目立たないが、キッチリとは出来ていた。ゲート五分。出脚もメイショウムラクモより速かったが、1角で行かせて中段の外。新潟ダートで外を回ることは得策ではないケースも多いのだが、今日は揉まれない様にリズムを大事にしつつ、メイショウムラクモをマークする形で乗られた。そのメイショウムラクモには良く食らいついており、直線入口の脚色は届いても良かった位の勢いだったが、ラスト200m辺りから頭が上がって甘くなった。前走中京戦は稍重で誤魔化しが利いたが、良馬場で1800mとなると多少距離が長いかも。

レブンカムイ

前後肢にバンテージ。まだ力が付き切っておらず、子供っぽい。ただ、芝馬の様に手先が柔らかいのは特筆モノ。好発。出脚が一番速かったのはオセアダイナスティだったが、枠の利でこれを制してハナへ。最初の3Fが35.9秒だから、ここだけ少し速かったが、前述した様に1000m通過時点では61.4秒と息は入っていた。単騎で逃げて、メイショウムラクモだけは競り掛けて来たが、ラスト200m迄は抵抗。そこからスウィープザボードが並び掛けて来た際も、一瞬は抵抗する素振りを見せていた。結果は3着だが、中々渋太い。馬が良くなれば古馬相手の重賞でも足りる。

ノースザワールド

前後肢にバンテージ。+4kg。今日は腹回りがボテッと映った。トモが薄く見せて、バランスがイマイチ。1完歩目は出ているが、例に依ってそこから進んで行かず後方から。外の馬に叩かれる形になったが、立て直して馬群の外。基本的にはスウィープザボードの後を追う形。これもも直線入口は付いて行けるのだが、そこからの脚が続かなかった。ただ、ダート転向2走目。初ダートで勝つだけでも素質は持っているといえそうで、今後の成長次第。

ハンディーズピーク

前後肢にバンテージ。骨格の良さは目立つ。ただ、歩様に非力さが残る。本当に良くなるのはかなり先。内のテイエムマジックから多少寄られたことも有るが、この馬自身も出脚がなく後方から。上位4頭は何れも外を回った馬だが、こちらは向正面迄は比較的内目を追走。3角から外を追い上げて行ったが、前と似た様な脚色で雪崩れ込んだだけだった。馬はいいので先々は走ってきそうだが、現状は準オープンでも微妙。

第26回エルムステークス(GⅢ)

スワーヴアラミス

遮眼革。前後肢にバンテージ。ボテッと映った馬が多い中で、スッキリ見せていた方。踏み込みの深さが目に付いた。徹頭徹尾ズブい馬で、スタート直後からステッキが飛んでいたが、枠の利も有り、何とかネジ込んで好位を確保。例に依って道中もずっと手が動いていたが、外から進出して来たソリッドサンダーを何とか堪えたのが最大の勝因。直線は内にモタれてラチにへばりついていたが、何とか押し切った。ズブいのは直りそうになく、それを踏まえて乗るしかなさそう。東京2100mがベストだろうが、昔と違って重賞がなくなったのが残念といえば残念。

オメガレインボー

シープスキンノーズバンド。毛ヅヤピカピカ。数字の割に腹袋が有るのは元々。歩様に硬さがなければ力は出せる。ゲート五分。可能な限り、1一直線へ1角へ突っ込んで1〜2角は出来る限り、内目へ。向正面に入ってから外へ持ち出し、3角過ぎからソリッドサンダーを追い掛ける形。コーナーでの脚は速く、直線入口ではスワーヴアラミスより前に出ていた様にも見えたが、追ってから相手の渋太さが一枚上手だった。前走は1.5kg差でハナ差だったが、今回は同斤で半馬身差。相手の弱点が見えている中で、2回続けての敗戦は能力差がそれなりに有るとと言わざるを得ない。

ロードブレス

-10kg。数字分だけスッキリ。気配に活気が有って、歩様もキビキビ。下見の雰囲気はこれが一番良かった。出脚は五分だが、外枠だった分、中段やや後方から。ただ、58kgを背負っていた影響も有ったか、道中の手応えがどうもイマイチ。オメガレインボーを外に出させない様にしたかったところだが、3角辺りからズブさを出して追い通し。結果的に内目を回る形となったが、それでも直線に向いて何とか前が開き、渋太く脚を伸ばして3着に。斤量を背負う関係で、毎回確実に走れる訳ではないが、能力は持っている。昨年の様に、交流戦のJpnⅡでタイトルを取りたいところ。

ウェスタールンド

オーストラリアンブリンカー。-10kg。前走小倉戦が太かった。ただ、何となく緩い。年齢分も有りそう。最近はそれなりにゲートを出る様になっているが、例に依って後方から。小回りで前が流れた分、何時もより置かれていた印象も有った。3角過ぎからマクりに出たが、マクり切るには至らず、最後はロードブレスに差し返されていた。前走小倉戦、今回とどうも内容がイマイチ。年齢なのか、デキの問題なのか、良くなるにしても暫く掛かりそう。

レピアーウィット

パシュファイヤー。今回に限ったことではないが、550kgを超える大型馬の割に緩いところがないのがいい。ただ、今日は歩様が多少重苦しいかも。ゲートはアオり気味だったが、二の脚が速く、楽に好位。道中も流れに乗れていた様に見えたが、いざ追ってからが案外だった。今日のメンバーだともうちょっとやれていい筈だが...。小回りが向かないのかも。

第69回北海道新聞杯クイーンステークス(GⅢ)

テルツェット

2人曳き。前肢にバンテージ。数字は前走東京戦と変わらないが、中身が良くなった印象。もっと増えた方がいいが、歩様も良くなっていた。一完歩目は出ていたが、そこからが例に依って進んで行かず後方から。この頭数の割に馬群が固まり、ずっと一団。コーナーでも動ける形ではなく、 折角の回り脚も生かせる形にはなっていないのだが、今日は直線に向いて1頭分だけ綺麗に開いて、一瞬の脚を生かし切った。各馬が慎重になってくれたお陰で決め手勝負になったのがいい方に出たか。ただ、直前に土砂降りになったのは宜しくなかった筈で、馬は強くなっている。あとは毎回述べている様に一戦毎の消耗が激しい点が課題。

マジックキャッスル

シープスキンノーズバンド。これももう少しフックラして出て来て欲しかったが、数字通り、良くも悪くもキッチリ造ってあった。ただ、歩様の硬さは珍しく解消出来ていた。今日はゲート五分。出脚も意外な程速く、好位4番手、2列目から。序盤だけ少し行きたがっていたが、前を壁にして我慢は出来た。眼前のドナアトラエンテが4角で既に手応えがなく、下がって来たのは誤算だっただろうが、後方の仕掛けが遅かったことが不幸中の幸い。内から抜けたフェアリーポルカを捕まえたが、最後にテルツェットにはクビ差捉えられた。同じ負けるにしても、前に届かずの2着よりはこの方がまだ納得だろう。デキが戻ったのも何より。

サトノセシル

+10kg。デビュー以来、最高体重。今日だけをいえば少し太いだろうが、札幌に滞在してのもので体調自体は良さそう。馬体に張りが有る。ゲート五分。出脚もそこ迄悪くなかったが、外枠故に行き切れず後方に近い位置。テルツェットの一歩前から。序盤は少し行きたがっていたが、4角で馬群が密集し、内目に居た分、前が壁。テルツェットとは脚が違っていたが、前が止まる展開となり、最後迄脚を残していた分の3着。ただ、今日の展開なら2着は欲しかったところ。現状だと自己条件でも入着有るかないかのレベル。

フェアリーポルカ

歩様に力強さが有って、例に依って馬体も迫力充分。下見でケチを付ける部分はひとつもなかった。ゲート五分。直ぐ外のローザノワールに叩かれる展開になったが、何とか抵抗してその番手は確保。折り合い面には不安のない馬で、道中は内ラチ沿いのいい形で流れに乗れた。3角過ぎからローザノワールが後続を突き放しに掛かり、馬群と離れたタイミングで進出。ラスト100mを切って先頭に立つ理想的な展開だったが、そこからの踏ん張りが利かなかった。今日は完全な勝ちパターンだっただけに、案外感が残る。鞍上は馬の決め手不足を理由にしたが、3走前の中山戦から直前の土砂降りで滑る馬場になっていたのが良くなかったかも。

クラヴァシュドール

前後肢にバンテージ。+14kg。デビュー以来、最高体重。競走馬としては多少立派だが、その分、馬が張って見栄えがする。気配も上々、毛ヅヤも冴えていた。ゲートのタイミングが合わず、半馬身出遅れ。行く気もなく、そのまま後方のイン。4角迄はスムーズだったが、函館でこの形はコーナーで勢いを付けて、外をノビノビ走って来る馬に利が有るのは仕方がないところ。何とか捌いて掲示板は確保するのがやっとだった。それでも一時の不振を思えば最悪は脱した。何処かでもうひと稼ぎ出来そう。

サマースプリントシリーズ第3戦 第21回アイビスサマーダッシュ(GⅢ)

オールアットワンス

+8kg。馬体増は無条件で歓迎。それでいて張りも有った。歩様は多少硬いが、何とか落ち着いていた点も好感。スタート直後にライオンボスが締めて来た関係で、外枠勢は少し窮屈になる場面。引っ掛かる馬だけにあまり宜しくない場面だたが、それでも1000m戦だけに引っ掛かる形にはならなかったのが幸い。400m通過地点で前が開いたが、追い出しをワンテンポ待つ余裕も有った。ラスト200mで先頭に立ってそのまま押し切った。先々は1200mで折り合って走れるかどうかが焦点。結果的にこの馬が一番人気で、意外と本命サイドで決まることの多いレースだが、適性,斤量,外枠と条件の揃った馬が単純にそのまま走る傾向。

ライオンボス

オーストラリアンブリンカー。前肢にバンテージ。+6kg。もうひと絞り有っても良かったが、ここ目標だけ有って、緩い印象もない。歩様もこんなモノ。好発。押して外ラチへ寄せつつ300m程要してハナへ。もっと楽に行けるに越したことはないのだが、一応は想定の範囲。自分の競馬は出来た。ただ、オールアットワンスにラスト200mで並ばれ、それを振り切る余力はなかった。別の競馬だった3着のバカラクイーンは別にして、4着以下とは3馬身差。斤量差はルール上どうしようもないところで、これで負けたら仕方がない。

バカラクイーン

前肢にバンテージ。このメンバーに入れば迫力上位。歩様にも力強さが有って、デキは文句なし。落ち着いていた点も好印象。最初からの決め打ちで内ラチ沿いへ。2006年の第6回から開幕週に移行して今年で16回目だが、企画の意図を理解した開拓者がやっと現れた。内外離れた関係で先頭に立つ場面が有ったかどうかは分かり辛いのだが、最後は甘くなった様にも見えた。これも適性が有って斤量利が有った馬。内枠の不利を逆手に取って消した形。馬は実際に現級の1000万が限界だろうが、今後もこういう馬が出て来ることを期待したい。

トキメキ

前後肢にバンテージ。+6kg。毛ヅヤがイマイチ。馬体も全体に緩い印象。歩様も明らかに力がなく、ブレが有った。枠の関係も有るが、出脚も速くなさそうで後方に近い位置。馬群の内目で前に馬が居て、宜しくない形だったが、ラスト200m過ぎに進路を確保してからは1頭いい脚で伸びていた。準オープンに上がって伸び切れない競馬が続いていたが、道中で色々有って結果的に最後に脚を使う形になったのが良かった。ただ、繰り返しになるが、2着とは3馬身差。何処へ行っても勝ち負けに持ち込むのは厳しい。

ジュランビル

+4kg。少しフックラと見せる程度。重心の低いタイプで、見た目はスプリンター。歩様もしっかりしていた。普段は1000m戦を走っていないことも有り、前に馬を置かない様に、有る程度真っ直ぐ走り、外の馬群が形成されてから馬群へ寄せて行く形。ジワッと乗られて道中は何とか付いて行けた。最後迄ジリジリ伸びた分の入着。経験の問題だけで適性は有りそうだが、実際は1600〜1800mを先行した方が無難。

グレイドゲイナー

前後肢にバンテージ。少し気負っていたが、これでも前走よりはマシ。歩幅は狭いが、硬さもなく、馬体も悪くなかった。ゲートでソワソワしている時に開いてしまい、半馬身出遅れ。出脚でカバーして中段から。7番枠だった割に、意外な程前がずっと開いていた。積極的に前を追い掛けたが、最後は明らかに甘くなった。今日はゲートが痛恨。マトモなら4着は有った。実際にレースになれば斤量の軽い牝馬が有利なのだろうが、この馬自身の1000m適性は高い。