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競馬回顧 2021年4回小倉

サマー2000シリーズ第5戦 第57回農林水産省賞典新潟記念(GⅢ)

マイネルファンロン

-4kg。見た目に劇的に変わった印象はないが、元々そこ迄悪い印象もなかった。毛ヅヤ、馬体の張りを含めて、まずまず。ゲートをアオり気味に出て、出脚が鈍ったことも有るが、行く気もなく後方から。4角迄は可能な限り、馬を前に置いていたが、直線はクラヴェルに外へ持ち出されない様にフタをしつつ、トーセンスーリヤを目標に外ラチ沿いへ。頭が高く、お世辞にもいい脚を長く使える様な走法には見えないのだが、外ラチ1頭分の馬場が良かったことと、目標が有った分、届いた印象。鞍上が思い切って乗ったのが奏功した。次走となると厳しい気もするのだが、一瞬の脚が有るので、ローカル重賞には強いタイプ。あとはハンデの問題。

トーセンスーリヤ

+6kg。胴長の造りで見栄えのするタイプだが、今日は数字分だけ微妙に太いかも。手先のスナップが利いて、歩様も悪くはないが、満点はやれない。好発も、今日はむしろ抑え気味に中段から。ショウナンバルディが勝たない条件の場合、サマー2000シリーズは4着以上で確定という状況で、大事に乗られた。直線も馬場のいい外へ持ち出し、ハマったかに見えたが、更に外から来られるのは想定外だっただろう。マイネルファンロンとは2.5kg差も有り、仕方がないところ。今日は1着賞金より高いサマー2000シリーズのチャンピオンになれただけで充分仕事はしているともいえるが、何とかクラヴェルを捉えて2着死守したところに地力の一端は示した。

クラヴェル

シープスキンノーズバンド。+8kg。元々の体型も有るが、腹回りがどうしてもボテッと映る。ただ、この馬としてはチャカつきはマシ。もうちょっと行こうと思えば行ける筈だが、全く行く気なく後方から。これもマイネルファンロン同様、前に馬を置いて折り合いを付ける形。脚は矯められたが、まさか馬場の9分どころでマイネルファンロンにフタをされるとは思っていなかっただろう。3着ながら僅差だけに惜しい。ただ、この馬自身も完全に2着は確保の態勢に見えたが、最後の最後にトーセンスーリヤに捕まった。太い分、最後に甘くなった感も有る。

ヤシャマル

2人曳き。シープスキンノーズバンド。前肢にバンテージ。500kgを超える馬だが、見た目もパワフル。歩様も力強い。ゲートで分が悪く、一瞬は少し押していたが、直ぐに引いて中段から。道中は少しズブそうにも見えた。4角をほぼ枠なりに回っており、直線は上位の外枠勢よりは内目の馬場の5分どころから。直線も1頭になってしまった分、外に届かなかったが、マイネルファンロンとは0.1秒差。4着だけにこれでハンデがキツくなることも考え辛く、次走狙い目。

ラインベック

下見は最後方を周回。多少立派だが、馬に幅が有って、良くも悪くも重厚感の有る体型。毛ヅヤは良かった。ハナには拘っていなかったが、この馬の出脚でジワッと2番手。直線も最初から馬場のド真ん中に持ち出して残り400mで先頭。暫く我慢していたが、ラスト200m辺りから内にモタれて苦しくなった。ただ、今日の馬場で馬は責められないだろう。先行馬の中では最先着で、これも次走狙ってみたいところ。

第41回小倉2歳ステークス(GⅢ)

ナムラクレア

小ぢんまりと見せて目立つところはないが、皮膚を薄く見せて、現状のデキ自体が良さそう。集中力が有って、気配も良かった。好発。出脚も本気を出せば速いのだろうが、内からの行きたい馬に行かせて中段の外。このレースは過去にも何度か有るパターンだが、レースの直前に雨が降り、内目がボロボロの馬場状態になっており、躊躇なく大外、馬場の7分どころに出して差し切った。今日は展開と馬場が噛み合った感が強いが、急遽の乗り替わりで結果を出した点は馬、鞍上とも立派。前述した様に出世レースだけに、後々意外な形で稼ぐ馬になりそう。

スリーパーダ

+6kg。新馬が400kgを割っていただけに、少しでも増えたのはいい傾向。小さいなりに良く出来ていた。ゲートで半馬身程安目を売って後方。ただ、出遅れを挽回しようと押したところ、引っ掛かってしまい、苦し紛れに馬群の中へ突っ込む形。4角も外に馬が居て持ち出せず、ここでも内へ突っ込まざるを得なくなったが、直線に向いて抜け切ってから外へ。ナムラクレアには完敗だが、2着は死守。これはこれで強い内容。ただ、小さい馬が荒れ馬場を苦にしない場合は根性一本で走っているケースが多い。集中力の維持が今後のカギに。

アネゴハダ

+10kg。多少重目だが、緩い印象はなく、毛ヅヤも上々。デキ自体は良好。歩様もそれなりにしっかりしていた。スタート直後に大きく外へヨレて、出脚が鈍り、後方から。新馬の新潟戦がダートだった影響も有るのか、道中の手応えはお世辞にも宜しくなく、4角は置かれそうになっていたが、ラスト150mでエンジンが掛かってここ迄。ズブいのは距離がもう少し有った方がいいのか、経験の問題なのかは何とも言えないところだが、芝でもやれることは間違なさそう。

デュガ

前後肢にバンテージ。+12kg。流石に立派過ぎる面は有るが、確かに馬には迫力が有る。ただ、今日は前走以上にテンションが高いのがマイナス。好発。出脚も有りそうだが、ショウナンマッハに行かせて2番手から。これはこれだが、行かせた割に道中の手応えは良くなかった。4角でブレスレスリーに呑まれそうになっており、ナムラクレアには並ぶ間もなくやられてしまった。それでいて4着は良く踏ん張っているといえるのだが...。取り敢えずもう少し距離を延ばしてみるのもひとつの手。

インプロバイザー

-10kg。数字分だけ締まった印象。筋肉の輪郭が浮いて見える様になったが、その割に歩様が非力。出脚はショウナンマッハの方が速かったが、食らい付いて行って3〜4番手から。ただ、荒れ馬場で内外前に馬が居る状況はあまり得策ではなかったかも。馬も少し窮屈そうに走っていた。バラけてからはそれなりに伸びていたが、道中力んだ分、最後に甘くなった。スムーズに走れば500万なら何とかなりそう。

第56回農林水産省賞典札幌2歳ステークス(GⅢ)

ジオグリフ

メリハリが利いて、垢抜けた馬体。東京の新馬から一息入ったが、キッチリ出来ていた。ただ、少しテンションが高い。ゲートをポコンと出て最後方から。1000m過ぎから徐々に進出して、ほぼ持ったままで4角は好位。この段階で勝負有った。直線も追うところなしで独走。単純にモノが違った。クラシックを意識出来る馬なのは間違いないだろう。父Drefongはこの世代が初年度産駒で、久々に社台が買ったアメリカ調教馬とのことだが、内国産は大分血統が偏って来た印象も有り、面白い種牡馬になりそう。

アスクワイルドモア

シープスキンノーズバンド。+6kg。多少、腹回りがボテッと映ったが、元々がマイラー体型。歩様に力強さが有って。現時点での完成度が高いタイプ。出脚は良く分からないが、最初から行く気なく後方から。こちらは比較的内目を追走。ジオグリフが動いた際に、ワンテンポ待つ形になったが、それ以前に手応えそのものが違っていた。今日は最後迄脚が残っていた分の2着。とはいえ、展開が向いたというよりは、経験が生きたということもいえそう。先々も相手なりに入る渋太いタイプとして馬券に貢献してくれる筈。

トーセンヴァンノ

6月27日札幌デビューから今回で5戦目。流石に硬くなって来た気もするが、その分、無駄肉のない造り。スタートから馬にヤル気が有り過ぎて、引っ掛かりそうになっており、鞍上が直ぐにに抑えて馬を前に置く形。尤も、壁役だったクリノメガミエースが1角で前へ行ってしまい、それ以降は壁なしで我慢させる形になってしまった。道中がそんな状況だけに可能な限り、仕掛けを遅らせるということになり、その点で展開は向いたが、アスクワイルドモアとは決め手が違っていた。今日は使い詰めの影響も有るだろうが、道中をもう少し大事に走れる様にならないと先々苦しい。

オンリーオピニオン

2人曳き。+10kg。緩い印象はないのは救いだが、多少重目。それよりも、トモが甘いのが気になった。好発。そのまま行かせて2番手から。道中は折り合ってスムーズに走れていた。ジオグリフが強過ぎて苦しくなった面は有るにせよ、逆にいえばそれで伸びずバテずの4着は馬自体が甘いと言わざるを得ない。ただ、走法自体は変な癖はなさそう。成長して脚力が付いてくれば。

トップキャスト

前後肢にバンテージ。+8kg。今日の状態だけをいえば明らかに緩い。ただ、下見は外目を周回して、馬に活気が有った。新馬の前走函館戦同様ハナへ。ただ、出脚はオンリーオピニオンの方が余裕が有り、道中も単騎では行けたが、あまり行き振りが良さそうではなかった。直線もオンリーオピニオンに突き放されて2馬身差。ジオグリフからは1.3秒と大敗に近い。今日の内容だけだと500万でもキツい。

第41回新潟2歳ステークス(GⅢ)

セリフォス

2人曳き。前後肢にバンテージ。+6kg。今年のメンバーなら馬は上位。新潟に出て来る馬としては寸詰まりだが、その分、迫力が有る。ゲートは後手に回ったが、各馬がインを開けて走っており、そこを通って3角で中段。直線は一瞬だけ外へ持ち出そうとしていたが、馬が内にモタれ気味になっており、結局は内ラチ沿いから。ラスト200mで先頭に立ち、そのまま押し切った。ラチを頼る傾向は有るのだろうが、今日の馬場で内目を通って32.8秒は出色。素質は高そうだが、最後に右手前になってから右に張っており、結構課題も目に付いた。このレースを勝って出世するパターンは粗削りなタイプよりも、完成度が高いタイプで、その点でこの馬は該当しない。

アライバル

前肢にバンテージ。+8kg。歩様の力強さは目立った。これもマイラー色の強い体型だが、馬は良く出来ている。好発も、出脚は速そうではなく中段から。馬群の外でスムーズな競馬は出来た。ただ、直線に向いて追っても追っても中々反応せず、エンジンが掛かったのはラスト150m。一瞬ながらも他馬とは数馬身違う結構いい脚だった。反応の悪さは血統由来で、仕方がない面も。これも先々は走って来そうだが、前述した様に完成度が低いだけに、果たしてどうか。。。。

オタルエバー

2人曳き。これも完全なマイラー体型だが、その割に歩様には少し甘さも有ったか。鶴首で少し煩い位の気合乗り。好発。鞍上は2番手で我慢させたかった様だが、出脚が速いというよりは、馬がソノ気になってハナへ。ハナに立ってからも少し力んでいた様にも見えた。直線に向いて少し外へ持ち出したが、内へ外へとフラフラ。その割には3着で良く粘ったともいえるのだが...。マイルで新馬を勝った馬だが、もう少し距離は短い方がいい。

コムストックロード

数も使っている馬だが、コンパクトに纏まっており、完成度は高い。ただ、ちょっと歩様が硬くなって来た印象も。好発。一瞬は控えようとしたが、馬が行きたがって2番手。ただ、この位置でも壁はなかったが、我慢して走れていた。それだけに直線はもう少し伸びて欲しかったところだが、ずっと内にモタれており、鞍上も追い辛そうだった。経験で変わって来るだろうが、今日のレースだけをいえばラチを頼った方が安心感が有る。

スタニングローズ

+10kg。数字分だけ腹回りに肉が付いた印象も有るが、元々がコロンとした体型。歩様はキビキビ歩けており、一応は走れる状態だったか。ゲートは出ているが、直後に躓いてしまい、後方から。道中の行き振りは悪くなく、直線は大外へ。上がり32.9秒だが、勝った馬がインから抜けて来る展開で、大外ブン回しで届かないのは仕方がないところ。本来なら出脚は有る馬で、次走改めて。

サマースプリントシリーズ第5戦 第16回キーンランドカップ(GⅢ)

レイハリア

左だけオーストラリアンブリンカー。前後肢にバンテージ。+6kg。トモが張って、数字の割に垢抜けている。好発。出脚も速く、内の馬をスッと叩いてハナへ。途中から暴走したメイケイエールは想定していた筈で、無抵抗に譲って番手に収まる形。ここで鞍上だけでなく、馬も心得たかの様にスッと引いたのが今日の勝因。4角でカイザーメランジェにフタをされて、待たされたのはそれなりに痛かったが、軽量も手伝って一瞬の脚で捕まえた。前の馬を捕まえた際に、馬がフワッとした様にも見えただけに、結果的に脚を最後に使う形になったのもいい方に出たかも。これで前走中京戦の1〜3着馬が次走何れも重賞勝ち。課題は残ったにせよ、馬は強い。

エイティーンガール

休み明けの前走を叩いて順当に良化。毛ヅヤから良くなった。馬に活気も有って、文字通りの気配一変。出遅れ1馬身不利。押して挽回して、3角で中段。基本的にはミッキーブリランテの後を外から追う形。そのミッキーブリランテが不発となり、前は前で兼ね合いが付いていただけに、いい展開ではなかったのだが、1頭だけ違う脚で追い込んで来た。4kg差有って、アタマ差なら勝ちに等しい。流石に昨年の覇者で、北海道巧者といったところだが、他場では苦しい。北海道以外で好走するには時計が掛かってくれないとキツい。

セイウンコウセイ

+10kg。昨年春の東京戦と同じ数字でデビュー以来、最高体重タイ。ただ、当時と比べると今回の方が馬体に張りは有る。58kgの割には出脚が有って、何とか好位。急かすと良くない印象も有る馬だが、メイケイエールが暴走して好位勢が少し引く展開になり、脚が上手く矯められた印象は有った。得意とする時計の掛かる馬場で、直線で一脚使えたのが好走の要因。これも他場だと苦しいだろうが、58kgでの馬券圏内は中京戦以来、2年振りで、その部分の評価は必要。

カイザーメランジェ

シープスキンノーズバンド。前肢にバンテージ。このメンバーに入ると馬は少し足らない印象も有るが、これもエイティーンガール同様、前走を叩いて良くなっている。スタートして200m程で暴走して来たメイケイエールは別にして、レイハリアに付いて行く形。レイハリアを相手と決めて、先に仕掛けてフタをしつつ出し抜けを食らわすイメージで乗られ、完全にハマったが、最後に甘くなった。結果だけをいえばもう少し大事に乗った方が良かったということにはなるが、人気もなくイチかバチかの騎乗だけに仕方がないところ。引退迄に何処かでもう一発有りそう。

アストラエンブレム

一息入ったが、馬体に重厚感が有って、緩い印象もない。歩様にも問題はなく、ほぼ完璧に出来ていた。外枠勢の方がゲートが速かったことも有るが、この馬自身も1200mだと出脚が苦しく、後方に近い位置。4角を回り切ってから外へ持ち出し、エイティーンガールの後を追う形。競馬としては完全に後手後手だが、それで5着なら悪くないところ。ただ、この馬の場合は本質は1600〜1800m。集中力が続かない為にスプリントを使っているが、本職を相手に中々重賞で勝ち負けに持ち込むのは難しい。

メイケイエール

前後肢にバンテージ。+20kg。多少、馬体の張りに怪しさは有るが、馬体増は無条件で歓迎。下見は何時も落ち着いている。ゲートはソロッと出したが、馬が直ぐにその気になってしまいハナへ。ハナへ行ってからは上手く走れていた様にも見えたが、直線で踏ん張りが利かなかった。症状は全く改善せずも、調教再審査を食らわなかったのはせめてもの救い。今日は仕上げも手緩かった筈で、1200mの外枠なら何とかなりそうな雰囲気は有る。

サマー2000シリーズ第4戦 第57回札幌記念(GⅡ)

ソダシ

前後肢にバンテージ。前走東京戦と比較すればちょっと気負い気味。その分、馬体は締まっていたが。出脚は有る馬で、外からジワッと行かせて2番手。序盤は下見通り、ちょっと力み気味。向正面に入って一旦落ち着いたが、3角手前でブラストワンピースが外から被せに来て、ならばと逃げたトーラスジェミニを叩いてハナ。ラスト800mからの我慢比べの展開になったが、何とか振り切った。ホーム追い風が妙に強い日で、それも後押しになったことは間違いないのだが、渋太い面は流石というところ。ただ、今日も序盤に力んでいた。ここで競られていないのがラッキーだった面は有り、前走の様にそこを突かれる形になると苦しい場面も。

ラヴズオンリーユー

-8kg。良くいえばキッチリ出来ていたということにはなるが、休み明けの馬体減は歓迎材料ではない。気負っていたのもマイナス。ゲートは微妙に悪かった割には上手く立て直した方だが、序盤の行き振りが一息で中段の外。向正面で番手を一列上げようとした際に、内からサトノセシルが強引に出そうとして来たが、そのタイミングでブラストワンピースが外から押し上げて来て、少し接触する場面。4角も対ソダシを考えると大分外を回されてしまった。鞍上もレース後は猛省していた様だが、それで3/4馬身差なら馬は頑張っているといえるだろう。海外遠征に行く等、何かとコキ使われているが、牝馬としてはトップクラスの実力者。

ペルシアンナイト

+10kg。胴長の馬体で、馬体が増えても減っても目立たないタイプ。昨年から大きく変わった雰囲気はない。最初からそこ迄行く気はなかっただろうが、両サイドから挟まれる格好になり、1角進入時は後方に近い位置。ただ、この時点でかなり内目へ潜り込んでおり、この馬自身も掛かり気味になっていたことも有り、自然と前に追い付いて向正面でソダシの直後。先にブラストワンピースは行かせて直線はその外から。立ち回りは上手かったが、道中で力んでいる分、最後の一踏ん張りが利かなかった。昨年2着馬だが、昨年よりは内容が悪い。

マイネルウィルトス

シープスキンノーズバンド。ここに入ると馬は若干見劣るが、馬体に張りが有って、この馬としては悪くないデキ。ゲートは微妙に甘かったが、何とか粘って中段のイン。ラヴズオンリーユーと並走する形。ラヴズオンリーユーは途中から動いて行ったが、こちらは人気もないだけに道中はジッと我慢して直線もインから。ペルシアンナイトの後を上手く抜けて来れたが、最後は突き放され気味だった。重賞挑戦2走目にして初の掲示板ということにはなるが、今日の内容で人気になる様なら嫌って妙味。

ブラストワンピース

シープスキンノーズバンド。-8kg。見た目だけなら最近の中で一番良かった。数字通り、馬体が締まって、気配も上々。歩様も問題はない。例に依って出脚は速い方ではなく、後方から。ただ、前述した様に向こう正面半ばから一気に進出、3角過ぎにはソダシのところ迄押し上げて来ており、自力で競馬を動かす形。これはこれで有りだった筈だが、直線は伸びずバテず。強風を考えると動くべきではなかったところで動いたということにはなるのだが、そこを覚悟で行った以上はもうちょっと頑張って欲しかったところだろう。気性的に淡白になっている。

サマースプリントシリーズ第4戦 第56回テレビ西日本賞北九州記念(GⅢ)

ヨカヨカ

前肢にバンテージ。+4kg。使い込んでいるだけに少しでも馬体が増えるのはいい傾向。課題の歩様も一応は許容範囲。今日はゲート五分。その分、何時もより1列前で競馬が出来た。この馬場だけに内に寄せることはせず、道中はずっと外を回る形。結果的にモズスーパーフレアだけが飛ばして、前半600m33.2秒だから、そこ迄極端なハイペースにならなかった。追い出しを待つ位の余裕も有り、決勝線寸前で計った様に差し切った。このあと中山戦へ向かう様で、流石に図々しい感は有るのだが、熊本産馬としては初のJRA重賞制覇とのことで、歴史に名を残せたのは何より。

ファストフォース

遮眼革。前後肢にバンテージ。前走の時計が時計だけに反動を案ずるところだが、手先のスナップが利いて、歩様に硬さはなかった。馬体も悪くない。そこ迄出脚の速い馬ではない筈だが、他に行く気がなかった様で、押してスッと2番手。この馬場でも掛かる位の行き振り。馬場のいいところを選んでいたが、掛かり気味だった分、追ってからの瞬時の反応はヨカヨカに負けており、一瞬は馬群に沈みそうだったところから盛り返して2着。前走はフロックではなかったということだろう。これも中山戦に向かう様だが、折り合い一つ。

モズスーパーフレア

+6kg。緩んでいる印象はないが、全体に重目。500kgは切った方がスッキリ見せるのは間違いない。今日も徹底先行。56.5kgを背負って出脚は楽ではない筈だが、今迄頑張って逃げて来た分、他馬も遠慮してくれる存在にはなった。年明けの中京戦で変に外へ持ち出して失敗した経緯から、馬場は悪くとも腹を括って内ラチピッタリ。結果的にこれも正解だっただろう。最内枠のボンセルヴィーソは別にして、2番手以降が外へ持ち出してくれたことで、展開上も楽になった。最後は馬場状態とハンデ差だが、この2点はどうしようもないところ。勝つ確率だけをいえば、中京戦迄待った方が賢明だっただろうが、目標の中山戦から逆算すればこれも仕方がないところ。少なくとも力は落ちていない。

シゲルピンクルビー

前後肢にバンテージ。一つ間違うとイレ込む血統だが、今日は落ち着いていた。馬体の張りもまずまず。ゲートは五分か微妙に分が悪い程度だったが、前走札幌戦で1200mを使ったこともいい方に出たか、出脚は速く、好位直後から。鞍上は外へ持ち出したかった様だが、外に壁が有り、ほぼ出たなりに真っ直ぐ走る形。馬もそこ迄馬場を気にしている様には見えなかった。直線はファストフォースに内から併せて、それなりに頑張っていたが、あと一歩届かずの4着。もうワンパンチ欲しいが、展開ひとつで何とかなる範囲。出脚が強化されたのも今後に生きて来る筈。

レッドアンシェル

パシュファイヤー。前肢にバンテージ。-8kg。中間は一頓挫有ったとのことだが、見た目だけなら出来ていた。ただ、明らかにトモが付いて来ていない。外からジワッと中段。流れには乗れていたか。3〜4角はヨカヨカやファストフォースの直後と、展開的にも悪くない位置。ただ、いざ追ってからが全身を使えていない様なフォームでひと伸びを欠いた。58kgを背負って、こういう道悪は厳しい。

サマーマイルシリーズ第3戦 第56回関屋記念(GⅢ)

ロータスランド

前肢にバンテージ。-8kg。今年6走目、サマーマイルシリーズ皆勤だが、硬さがないのが何より。前走小倉戦がボテッと映っただけに、絞れたのもいい傾向。前走同様、出脚は速かったが、マイスタイルが主張して、その2番手から。道中が楽に見えた点も前走同様だが、小倉と新潟では実際のプレッシャーが違ったか。内回りとの合流地点でマイスタイルを捕まえ、そのまま押し切った。ソングラインが失敗したことも良かったが、集中力が続く条件になったことが最大の勝因。加えて勝つ時はほぼ稍重以下。今日も良馬場ながら雨で微妙に時計が掛かっていたが、馬場も向いた。

カラテ

前肢にバンテージ。-6kg。仕上げが適当だった前走東京戦を考えれば、かなりマトモになった。パワフルな馬体はこのメンバーなら単純に上位。ゲートは微妙に悪かったが、新潟の外枠だけに立て直しは容易で中段から。ソングラインマークは戦前からのプランに有っただろうが、キツいプレッシャーを掛けており、結果的にソングラインが止まって、前を楽にしてしまった分の2着。とはいえ、ソングラインが伸びていれば最後は斤量差で突き放されていただろう。今日は復調が明白だっただけでも良しとすべきところ。

ソングライン

前肢にバンテージ。+6kg。今春は少し細身だったので、増えるのはいい傾向。ただ、お世辞にも力強さが有るとはいい難い。ゲートは五分に出ているが、外に速い馬が多く、被されて引っ張る場面。ここで落ち着けばまだ救いは有ったが、直後にカラテが外から並び掛けて来て、ずっとプレッシャーを掛けられてしまった。道中、あれだけ力んでしまっては最後に伸びないのは仕方がないところ。斤量面で恩恵の有る3歳牝馬が人気になるのは当然で、このレースに限らず今後も夏の定番だろうが、ひとつ負かすパターンは見えた。とはいえ、馬は次走以降巻き返し必至。

マイスタイル

2人曳き。オーストラリアンブリンカー。後肢にバンテージ。一息入ったが、腹回りが明らかに緩い。歩様にも伸びがなく、イマイチ。外からジワッと行かせてハナへ。序盤は多少力んだ面も有ったが、1000m通過58.1秒。後続とは少し距離を取り、マイペースでは行けた。その分、ロータスランドが内から早目に抜け出されたのだが、それでも何とか掲示板は確保。何時走るか分からないのが厄介だが、時々最後迄頑張れる時が有る。

グランデマーレ

500kgを超える大型馬だが、迫力こそ感じさせないものの、緩みのない造り。歩様もキビキビしており、デキにケチを付けるところはない。ゲートは微妙に後手。これでアトミックフォースに前を抑えられたことも痛かったが、この馬自身も右へ結構張っていた。ただ、直線は暫く進路を探しながらだったが、馬群がバラけてからはジリジリ伸びていた分の5着。力自体はは足りそうだが、課題は多い。

小倉競馬場開設90周年記念 サマー2000シリーズ第3戦 農林水産省賞典第57回小倉記念(GⅢ)

モズナガレボシ

2人曳き。500kgを超えると、腹回りがボテッと映るが、ゴツいのは馬主の好みだろう。その点では他馬と比べれば歩様もマシな方。本気を出せば出脚は有りそうだが、毎度のことで、行く気なく最後方から。道中は只管ジッと我慢。並走していたスーパーフェザーが3角過ぎから内目を突いて動いて行ったが、こちらはワンテンポ遅らせてから大外へ。外が伸びる馬場だったことも有るが、それ以上に前が牽制し合う展開がハマった。ファルコニアやヴェロックス等に人気馬が前で固まっていたが、違う競馬をして突き抜けた形。従って能力評価が難しい。次走が試金石。

ヒュミドール

2人曳き。前肢にバンテージ。+6kg。少しでも回復したのはいい傾向。今週は本馬場で追ったが、緩い印象もなかった。ゲート五分。最初は内外の出方を窺っていた様に見えたが、外のヴェロックスが行ってくれて、これをマークする形。道中の手応えは時々怪しくなっていたが、それでも必死で食らい付いて直線は外から。展開的にはハマったが、更に外のモズナガレボシに捕まったのはアンラッキーだったという外ない。とはいえ、時計が掛かっての我慢比べには強い。

スーパーフェザー

シープスキンノーズバンド。皮膚を薄く見せて、デキ自体は良さそう。ただ、少し馬が細身には映った。こちらは出脚もないが、行く気もなく、1角は最後方から。前述した様に道中はモズナガレボシと並走。ただ、1角を内から入った関係で、モズナガレボシにフタをされる形。ただ、これで腹を括って3角過ぎから内目を進出。4角では既に先頭に立っていたが、最後の一踏ん張りが利かなかった。ただ、鞍上が失敗した訳ではなく、この馬自身がいい脚が長く続かない傾向。今日はこれでベストリザルト。

ダブルシャープ

シープスキンノーズバンド。毛ヅヤは悪くなかったが、もうちょっと腹回りがスッキリして来るとベスト。ゲートをアオり気味に出て、出脚が鈍って後方から。道中はズブい時も有る馬だが、今日はペースが遅く、比較的追走は楽。これもスーパーフェザー同様、内目からスムーズに捌いて来たが、最後が甘くなった。古馬となって初のオープン戦だったが、一応は好走の部類。ローカル重賞なら展開一つ。

ショウナンバルディ

前後肢にバンテージ。止め絵だと448kgなりの小ぢんまりした馬だが、動かずと全身を使って大きく見せるタイプ。出脚は有る馬で、ジワッと行かせて2番手から。ただ、1000m通過迄はゆったり行けたが、そこからファルコニアやヴェロックスといった人気どころが動いて、我慢比べの展開。3角過ぎには既に苦しくなって手が動いていたが、最後は盛り返して前述のファルコニアやヴェロックスには先着。前走福島戦もそうだが、中々渋太い。サマー2000シリーズチャンピオンを狙って、中2週で新潟戦とのことで、常識的には疲労を案じるところでは有るものの、陣営としては当然狙いたいところ。