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競馬回顧 2022年3回小倉

サマーマイルシリーズ第2戦 第70回トヨタ賞中京記念(GⅢ)

ベレヌス

-6kg。小回り向きではないだろうが、胴長でバランスの取れた造り。物見はしていたが、それだけゆったりしていた。好発。積極的に出して行ってハナへ。内枠のベステンダンクも先手が欲しかった筈だが、先行争いに一瞬の内に決着を付けた。2番手グループのコルテジア、べステンダンクがガッチリ抑えたことで、ペースが上がらず1000m通過が59.9秒と、スローペース。そこから自分でペースを上げ、息を入れることなくそのままロングスパートを決めて後続の追撃を振り切った。序盤で楽が出来たことが最大の勝因だが、マイラータイプが多かった影響でロングスパートに耐え切れなかった馬が続出したことも勝因のひとつ。先行争いがヌルかったのも、元を正せば距離に不安の有る馬が多く居たということの裏返し。次走が試金石。

カテドラル

パシュファイヤー。寸の詰まったマイラー体型だが、馬に幅が有って迫力満点。歩様にも力強さが有り、気配も良かった。出遅れ1馬身不利。行く気もなく、そのまま後方から。序盤は内目に居たが、向正面に入った辺りから何時でも動ける外へ。全体に仕掛けが早かった中では、後方に居たにも関わらず追い出しを我慢した方だが、それが上手く行った。鞍上が戒告を受けていた追って内へモタれる件も何時ものこと。昨年と同じ2着でも、頭数が増えてハンデ1kg増だっただけに今回の方が価値は高い。次走は連覇の懸かる中山戦を捨てて再度小倉へ向かう様だが、この内容なら距離も保つ筈で、引き続き有望。

ファルコニア

水平首を保ち、気配に集中力が有った。これもどちらかといえばマイラー寄りの体型。歩様もバネが利いていた。枠の並びはベレヌスの外だったが、ベレヌスに付いて行けるだけの出脚はなく、中段の外。道中の折り合いは全く問題はなかった、当然、鞍上はスローに気付いており、人気を背負っていたことも有り、早目早目の進出。4角でベレヌスに対してほぼ並走に近い状態迄押し上げていたが、直線に向いてからが伸び切れず。昨秋阪神戦の様に、内枠を引いてセコい競馬をしていたら違っただろうが、外枠からの真っ向勝負だと距離が1F長い印象。今日はこれで仕方がないところ。

ミスニューヨーク

前走東京戦から増減はないが、これが自己最高体重。馬体的には悪くないが、強調材料にも欠く。本当にいい時はもう少し歩様がスムーズだった気もしないでもない。ゲート五分。ただ、出脚のない馬だが、内枠ということも有って、頑張って中段は確保。ハナを切ったベレヌスが1角で内へ寄せ過ぎた関係で眼前で割を食った馬も居たのだが、この馬はスムーズ。3角過ぎから前がバラけ出したことも有り、上手く外へ持ち出して追撃態勢も整えたが、コーナーでの回り脚が怪しく、直線も伸び切れなかった。カテドラルに寄られる不利は有ったが、その前に伸びていれば不利を食らわない位置関係だった。デキが本当ではないのか、今日は案外感が残る。

ヴァリアメンテ

前後肢にバンテージ。-4kg。まだ腹回りはボテッと映るが、少しでも絞れたのはいい傾向。良くも悪くもノンビリと歩いていたが。出遅れ1馬身半不利。そのまま後方から。最初は枠の並び通り、並走していたカテドラルは内に居たが、向正面に入ってカテドラルが外から追い上げて行ったのに対し、こちらはずっと後方のまま。仕掛け自体も遅目ながら、回り脚も甘く、更に外に居たカデナにマクられそうになっていた程だったが、最後の最後にエンジンが掛かって掲示板は確保。この相手でも通用する脚は有りそうだが、小回りだと展開の助けが要る。広いコース向き。

サマー2000シリーズ第2戦 農林水産省賞典第58回函館記念(GⅢ)

ハヤヤッコ

後肢にバンテージ。+4s。少し間隔は開いたが、キッチリ出来ていた。白毛でも筋肉の輪郭が浮いていた。デビュー当時からだが、歩様にも柔軟性が有った。お世辞にも出脚が速いという訳ではないが、この一族としてはゲートを決め、押して好位直後。枠なりのインを通り、3〜4角で馬群の切れ目が出来たタイミングで外へ。ここからの回り脚が速かった。4角で並走迄持ち込んでいたマイネルウィルトスを直線入口で突き放し、そのリードを最後迄守り切った。ただ、何処迄が能力で、何処迄が馬場適性だったか、良く分からない部分も多い。次走が試金石。

マイネルウィルトス

シープスキンノーズバンド。悪くはないが、もう少し腹回りがスッキリしてもいいかも。淡々と歩く姿は何時も通りだが、満点はやれない。出遅れ1馬身不利。出脚もサッパリで後方から。小回りが向いていないのは戦前から分かっていたことで、最初から外へ持ち出して、ラスト1000mから動く力任せの競馬。3〜4角でほぼ先頭の位置迄追い上げ、直線でハヤヤッコにはには突き放されたものの、2着は確保。1番人気の責任は果たしたといえる競馬だった。基本的に広いコース向きの馬では有るが、強引ながらも勝ち負けに持ち込んだ点は地力の高さを証明したといえるだろう。サマー2000mシリーズを狙って、新潟へ向かう様だが、賢明な判断。ハンデが57kgで止まってくれれば勝ち負け必至。

スカーフェイス

2人曳き。少し頭が高い面は有るが、それで居て歩様には力強さが有った。毛ヅヤが冴えて、デキ自体も上々。アオり気味にゲート出たことも有って、出脚が付かず後方。マイネルウィルトスとは対照的に、こちらは最初から内ラチへ寄せていた。ただ、3角でバテて来た馬が多く、動くに動けない展開。ここで待たされて4角手前から外へ行ったが、一手後手に回った感が有った。その分、最後はいい脚で詰めているのだが、前とは離された3着。鞍上の話通り、これだったらイチかバチかでインでジッとしていた方が勝つ可能性が有った。何れにしても着差程、能力が劣っている訳ではない。前走阪神戦の6着はそれなりに本物だった。

ウインイクシード

−6kg。馬体に迫力が有るというタイプではないが、メリハリの利いた造り。歩様も含めて、特に減点材料はない。ゲートが微妙に分が悪く、後方。スカーフェイスを内に置く形だったが、これも3角過ぎにマイネルウィルトスにマクられて、一手分だけ後手に回っているのだが、そのマイネルウィルトスに付いて行く形は造れており、上手く立て直せた。ただ、付いて行く脚が微妙に甘かったのと、直線に向いて手前が替わらず、伸びあぐねてしまった。重賞でも入着実績が有る様に、絶対能力自体にそこ迄の差はなさそうだが、細かい部分で競馬が下手。

サンレイポケット

遮眼革。前後肢にバンテージ。-6kg。馬体充実。馬だけならこのメンバーでも上位。歩様にも推進力が有って、デキは文句なし。ゲートは出たが、出脚がなくて後方から。これ自体は何時ものことだが、序盤はともかく、勝負どころの行き振りがサッパリだった。直線は舌がハミを越しており、明らかに苦しがっていた。小回りが向かないというのは確かでも、マイネルウィルトス程度には走って欲しかったところ。現状で昨秋のパフォーマンスを期待するのは酷なのか...。今日は案外感が強い。

第54回函館2歳ステークス(GⅢ)

ブトンドール

-8kg。新馬の前走が太かっただけに、絞れた格好。全体に筋肉が付けば父ビッグアーサーに似て来そうな雰囲気は有る。ただ、歩幅が狭かったのはマイナス。これもゲートは速かったが、序盤が少し行きたがりそうになっていたこととも有り無理はせず、中段で折り合いを付ける形。4角も他馬と比較してワンテンポ待ってから追い上げを開始。直線に向いて、暫くはモタついていた様にも見えたが、ラスト100mで左手前になると、もうひと脚を使って突き抜けた。今日のところは文句なしの快勝。出脚も有りそうだが、ここ迄2走共道悪だっただけに、まずは良馬場で走ってみてどうか。

クリダーム

2人曳き。テンションが高過ぎるのは気になるが、これは前走同様。あくまで短距離馬だが、現状の2歳馬としては、重量感が有った。好発。出脚が抜群に速いという訳でもなさそうだが、内枠だったことも有り、引くことはせずハナを主張。序盤は多少擦られた印象も有り、前半600mも34.5秒と馬場状態を考えればソコソコ速いのペース。4角で後続を振り切って、一旦は完全に抜け切ったものの、ラスト1F辺りから内へモタれて甘くなった。良馬場だったら押し切れていたか。ただ、最後が微妙に甘いのは前走も同様。オープンで戦って行くとなると、、もう少し体力強化する必要が有る。

オマツリオトコ

シープスキンノーズバンド。-8s。現状でも未完成感は強いが、前走が緩かっただけに、絞れたのはいい傾向。落ち着いていて、歩様に柔軟性が有るのはいい。出遅れ1馬身不利。更に出脚がサッパリで付いて行けず、初芝の影響からなのか、一時は馬群から5馬身以上も離れてしまっていた。当然ながらずっと押していたが、前との差が縮まり出したのが3〜4角中間。大外へ持ち出して、直線に向いた段階でも最後方だったが、ラスト100mを切ってから左手前に替えてからの脚が強烈で、最後はクリダームともクビ差。これで芝をこなしたとはいい難いが、ダートの新馬にしてもいい脚を使っていた。アテには出来ないが、個性派として面白い存在になるかも。

ゴキゲンサン

2人曳き。このメンバーの中では迫力を感じさせた方。手先のスナップも利いていたが、見た目を考えるともう少し歩様の力感が欲しい。ゲートは分が悪かったが、出脚には余裕が有って、スッと好位。ただ、コーナーで外から動いて来た馬が多く、ジックリ構えている間に4角でブトンドールに被されてしまって後手に回ってしまった。更に後方に居たオマツリオトコに差されているだけに、見た目は悪いのだが、一旦はアクセルを緩めてからの追い出しだっただけに同情の余地が有る4着。ブトンドールとは回り脚の差が有るにしても、このメンバーなら大差はない。500万ならメドは立つ内容。

ミスヨコハマ

前肢にバンテージ。皮膚を薄く見せて、単純にデキが良かった。横から見ると大きく見せないが、それだけ馬に幅が有る。もう少しトモがパンとすれば化けるかも。ゴキゲンサンとは対照的に、ゲートは決まったが、出脚が足りずに中段やや後方から。道中は内外前に馬が居て、ずっと動けない展開。直線は苦し紛れにインへ。一瞬は2着争いかに見えたが、直ぐに脚が止まってしまい、掲示板止まり。3着馬とはそこ迄差はない筈だが、今日のところは能力判定不能。前走内容から素質は感じるのだが、一度、良馬場で改めて。

サマー2000シリーズ第1戦 第58回七夕賞(GⅢ)

エヒト

前後肢にバンテージ。馬体に迫力が有って、数字以上に馬を大きく見せる。毛ヅヤも良かった。少しテンションが高いのも許容範囲。今日はゲート五分。ゲートがアテにならないだけで、出脚は元々悪くなく、外から馬の気に任せて好位。1000m通過58.5秒だからソコソコ流れていたことになるが、終始手応え良く追走。後続を待たずに3角過ぎから早目に動いて、4角で先団グループの外。直線は独走だった。鞍上は約3年振りの重賞勝ちだったが、悪く言えば掴まっていただけだった。前述した様に、ゲートがアテにならないので、流れに乗れない時が苦しいのだが、これで力量の高さは証明。GⅢならチャンスは続く。

ヒートオンビート

胴長の造りで、小回り2000mが向くタイプには見えないが、歩様がスムーズなのが一番。高値安定。3200mのあとで、出脚が付いて行けず後方から。早い段階で何時でも動ける外へ持ち出していた。道中はそこ迄、追走に苦しんでいる訳ではなかったが、向正面半ばから更に外を他馬に被され、後手に回ったのが痛かった。3角過ぎから追い上げようとしているのだが、中々前には追い付かず、4角でやっと中段。最後は底力で差して来たが、前とは2馬身半差の完敗だった。ただ、馬も鞍上は責められないところ。近況は3着が多く、賞金が加算出来ていなかっただけに、これはこれで収穫の有った一戦。

アンティシペイト

成績が示す通り、夏場になるとデキが上向くタイプ。毛ヅヤがピカピカで、緩んだところが一切なく、ケチを付けるところがない。若干ながら、ゲートで後手に回って後方。こちらは外枠の分、終始動き易い位置に居て、ヒートオンビートの壁の一角にもなっていた。勝負どころでも、エヒトを目標に動いており、展開的にはドンピシャだった筈だが、直線に向いて伸び切れず、ヒートオンビートに掴まって3着止まり。ただ、本来は前走の様にもっとマクる脚が有るタイプ。今日はその点も甘かった。ハンデが少し見込まれていたとはいえ、少し壁も感じるところ。

エヴァーガーデン

水平首でしっかり踏めており、馬体も充実。馬自体が負けている印象はない。歩様もしっかりしていた。好発。最初は内の馬を全て叩こうとしていたが、逃げる形となったロザムールに粘られて、1角進入時はその番手。そのロザムールが飛ばしたことで、前はバラけた上に、更に外から行った馬も居て、向正面では離れた4番手から。ただ、この形でもハイペースに巻き込まれ気味。更にエヒトのマクりの影響で、4角でフタをされる形になり、一瞬ここで後手に回ったのも痛かった。逆にいえば、それで4着なら悪くないところ。限定戦に出て来れば馬券圏内有っても驚けない。

ヒュミドール

前肢にバンテージ。+6kg。一言でいえばパッとしない。馬体に緩さが有り、物見をして気配にも乏しい。スタート直後に躓いて出脚が鈍り、エヴァーガーデンに叩かれる形となり、中段のイン。道中はエヒトと並走する形。従って、展開的にはいい位置だったということになるのだが、4角手前でトーラスジェミニが下がって来て、これをパスするのに待たされたのが痛恨。ここがスムーズなら最低3着は有った内容。ローカル重賞ならソコソコ実績の有る馬だが、引き続き有力。

第27回プロキオンステークス(GⅢ)

ゲンパチルシファー

後肢にバンテージ。-4kg。もうひと絞り有ってもいいが、叩き2走目で順当に良化。手先が柔らかいのも好印象。お世辞にもゲートは速い方ではなかったが、有る程度出して行って中段やや前から。先行争いが異様に激しくなったが、それらには付き合わず、丁度いいところに収まっていた。3角辺りで何時でも動ける外へ持ち出し、あとは叩かれない様に馬の気に任せて乗って、直線入口で先頭。ヒストリーメイカーの猛追は有ったが、そのまま押し切った。鞍上も上手かったが、今日の競馬が出来るなら交流戦でもソコソコ勝負になる筈。重賞1つでは賞金が足らない可能性も有るが、上手く軌道に乗れば息の長い存在となりそう。

ヒストリーメイカー

前後肢にバンテージ。水平首を保って、気配良好。馬格の割に歩様の甘い馬だが、その点も今日は許容範囲。出脚も速い方ではないが、鞍上にも行く気はなく、後方に近い位置。兎に角、揉まれない様に乗られ、外を早目に動く形。4角ではゲンパチルシファーに並走迄持ち込み、最後も際どく迫ったが、あと一歩届かなかった。とはいえ、大事に乗ってもいいことはない馬で、騎乗自体はこれで正解。ただ、過去には2000mで強引に動いて止まったことも有り、距離も合っていたのだろう。小回りなら何処かでもう一発有っていい。

サクラアリュール

遮眼革。-8kg。数字分だけスカッとした印象。ダート馬としてはかなり軽い造り。テンションが高いのは毎度のこと。ゲートのタイミングが合わず、後方から。出脚も怪しかったが、2角過ぎから馬がヤル気を出し、向正面で中段。ここからはヒストリーメイカーと並走となり、内目を進出した分、4角で少し待たされた面は有ったが、渋太く食い下がり。僅差の3着。鞍上の話では遮眼革効果とのことだが、道中の行き振りが良くなっていたのが好走の要因。ただ、前走のジックリ乗れる東京2100mなら遮眼革は不要だが、小回り1700mだと工夫が要るのは確か。

ロードレガリス

オーストラリアンブリンカー。前後肢にバンテージ。+6kg。1年以上の長期休養明けということを考えれば良く出来ていた。歩様にも力強さが有って、下見はほぼ満点。この馬の出脚で急かさず中段。出入りの激しい競馬になったが、ところどころで壁に阻まれながらも内目を進出。最後迄良く伸びており、惜しい競馬だった。序盤のフォームがバラバラだった点は休み明けの影響なのだろうが、地力は示した一戦。ままだ稼げる。

ヴェルテックス

2人曳き。遮眼革。このメンバーに入れば、馬体の迫力は上位。歩様は硬いのは今に始まったことではない。ゲートを躓きながら出てしまい、出脚が付かず後方から。道中も58kgを背負っていた分の鈍さは有り、更に内目を通っていたことで捌く手間も有ったが、最後迄ジリジリ伸びていた。前とは少し差が開いたが、斤量を考慮すれば決して悪い内容ではない。この辺りのメンバーなら展開ひとつ。

第71回ラジオNIKKEI賞(GⅢ)

フェーングロッテン

遮眼革。最近の重賞では年に1回のレベルで歩様が硬いのは気になった。特に左後肢の出が悪い。馬体は迫力という点で目立たないとしても、出来てはいた。好発。それでも出脚はなかったが、押して何とか中段。押した分、序盤は行きたがっていたが、向正面で落ち着いて、直線もそのままインから。回り脚にも余裕有った訳ではないが、追って一瞬の脚を生かした印象。ただ、頭が高い走法は気になった。かつての開催3週目に行われていた時代は、マクり合戦になることが多く、結果的い菊花賞でも通用する様なスタミナタイプが好走することも多かったが、開幕週に移動してから小回りローカル重賞タイプしか走らなくなった。その点でこの馬は典型。余談だが、人気になっていたボーンディスウェイの敗因もそれに尽きる。

ショウナンマグマ

+8kg。皮一枚太い気もするが、一応は走れる状態。これもフェーングロッテン程ではないにせよ、少し歩様が硬い。これも好発。少し押した程度で行き脚が付き、ハナへ。1000m通過58.8秒だから、ソコソコ飛ばしながらの逃げだったが、単騎で行けたのは大きかった。4角で後続を一旦引き付けて直線で突き放す形は造ったが、内で死んだ振りをしていた馬にやられたのは仕方がないところ。競馬としてはこちらの方が好内容。ただ、前走東京戦で全く行けなかった様に、出脚が抜群に速いというタイプでもない。如何に序盤をスムーズに運べるかが鍵となる。

サトノヘリオス

-12kg。毛ヅヤ上々。トモに丸みも有って、馬体減は然程気にならないが、歩様が落ちて来たのがマイナス。ゲートでフェーングロッテンにやられたことも有り、その直後。全体では8〜9番手辺りから。今日のソコソコ流れたペースでも、少し引っ張り気味の追走だったが、元来が行きたがる気性だけにこれでも許容範囲。フェーングロッテンが早目に追い上げてくれたことで進路も出来、4角の捌きだけ少し強引だったが、ここ迄。最後は良く差を詰めていたが、追って一瞬は少しモタついた様にも見えた。フェーングロッテンよりはマシだが、頭の高い走法も相変わらずで、折角の素質を生かし切れていない。

ソネットフレーズ

前肢にバンテージ。皮膚を薄く見せて、デキ自体は上々。物見をして、姿勢は高かったが、キビキビ歩けていた。枠は外だったが、出脚は一番速い位で、持ったままでスッと2番手。ただ、逃げたショウナンマグマとは数馬身離れていたが、それでも少し力んでいた。向正面半ばから徐々に差を詰め、4角で並走迄持ち込んだが、直線入口で突き放されて、4着止まり。開幕週でなかったら、着外に消えていただろう。これ迄マイルしか経験がなく、現状だと1800mを走るには乗り方に工夫が要る。

ゴーゴーユタカ

前肢にバンテージ。+8kg。横から見ると大きく見せないが、それだけ馬に幅が有る。手先のスナップを利かせつつ、歩様も力強い。眼力が有って、気配も良かった。何処にもケチを付けるところがない。ゲートは出たが、位置を取りに行くと外を回されそうになるのを嫌ったとのことで、後方に控える形。道中は比較的、コースロスなく乗られたが、4角は行くところがなく、仕方なしに大外。最後の最後にエンジンが掛かって外を回った組では最先着。道中も追走に苦労していたが、トビが大きいので小回りは向かない。距離ももっと有った方がいいだろう。スピード勝負だと厳しいかも知れないが、化ける可能性は有る。

サマースプリントシリーズ第2戦 第58回CBC賞(GⅢ)

テイエムスパーダ

前後肢にバンテージ。3歳牝馬としてはドッシリと見せて、馬体が減らなかったのが何より。歩様もスムーズ。出ッパ自体は怪しいが、48kgを生かすべく、押してハナ。前半600m31.8秒の猛ラップだったが、単騎で行った利が大きく、後続も追走に汲々となっており、追い付ける状況ではなかった、直線入口で更に突き放してしまうと、最後迄止まらずオイデオイデの大楽勝。1分05秒8のレコード迄叩き出した。ただ、鞍上の重賞初騎乗、初勝利の記録にケチられないとはいえ、ハンデ戦で2着タイセイビジョンに0.6秒差。ハンデが間違っていた感も有る。次走もハンデ戦とのことで、恐らく53s前後が見込まれるが、ここが試金石。

タイセイビジョン

前肢にバンテージ。スプリントを走る馬としては、少し軽目の造り。ノンビリ歩いていたのは何時ものこと。歩様も悪くない。ゲートは出ているが、例に依って出脚は速い方ではなく、ジックリと後方から。更に、時計勝負を見越して最初から外を回す気はなく、内へ潜って、イチかバチかの策。今日はこれが正解。ただ、この馬自身もテイエムスパーダとは9kg有りながら、直線に向いてからの加速が抜群に速かった。追い込み一手故にハマらない時も有るのだが、今日は強い内容。ナランフレグが一点突破でGⅠ馬になれるのなら、この馬もその可能性は有る。

アネゴハダ

436kgの割には良く出来ている。毛ヅヤも冴えて、デキ自体も良好。この馬としては歩様も維持出来ていた。出脚でテイエムスパーダに負けていることはない筈だが、今日は鞍上の気合負けで、その番手から。とはいえ、このハイペースだけに、この判断自体が間違っていたと考えるのは結果論。テイエムスパーダが速過ぎて、道中は少し距離が開いたが、それでも頑張って良く食らい付いていた。最後に甘くなったのは仕方がないところだろう。ただ、テイエムスパーダと同じ1000万条件を52kgで勝った形にも関わらず、何故か1kg差。今日の内容から斤量差が結果に影響したとは思えないが、この点でもハンデに疑問符が付く。

スマートリアン

寸の詰まった体型。カッコいいというタイプの馬ではないが、一歩一歩が力強く、気配に集中力が有った。ゲートで微妙にアオってしまい、ダッシュが付かず後方から。1200m自体も初めてで、余計に位置取りを悪くした印象も有ったが、4角で各馬が頑張っている中で、大外を通りながら回り脚は速い方で、ここで勢いが付いた分、最後迄伸びていた。前とは大分離されたが、外を回った組では最先着となる4着。初の1200mはこなせたといえる範囲だが、キズナ産駒らしく少し頭は高いながらも全身を使って走れており、距離はもう少し有った方がいいだろう。

メイショウチタン

2人曳き。隊列の後方を周回。+4kg。かなりチャカついていたが、スプリント戦ならこれはこれ。ただ、微妙に太いかも。好発。出脚にも余裕は有った様に見えたが、鞍上がそこ迄急かす様子はなく、自然と番手が下がり、3角で中段。これも外を回されていた中で、スマートリアンには伸び負けたとはいえ、最後迄渋太く脚を伸ばしていた。休み明けということで人気は全くなかったが、このあたりのメンバーなら展開一つといえるだけの力は有る。