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競馬回顧 2023年2回新潟

第15回レパードステークス(GⅢ)

ライオットガール

前後肢にバンテージ。+2kg。減らなかったのはいい傾向。少し小走りは入っていたが、フックラと見せていた。牡馬相手でも迫力負けしていない。ゲートを真っ直ぐに出ず他馬と接触して、一完歩目は微妙に分が悪かったが、立て直して2番手。ルクスフロンティアが主張してハナへ行ったが、こちらの方が出脚に余裕が有った。飛ばして行ったルクスフロンティアに対し、道中は少し距離を取っての追走。3角からルクスフロンティアを目標に進出、4角で並走。直線は左手前のままだったが、最後迄力強く伸びて、ルクスフロンティアに対しては最後はネジ伏せる様に、猛追したオメガギネスも振り切った。このままだと古馬相手に通用しないが、競馬が上手いのがセールスポイント。ちなみにオグリキャップの勝負服ということで話題だが、この勝負服で重賞を勝つのは近藤俊典名義だったゴッドスピードが1998年京都大障害・春が最後で、25年振り。

オメガギネス

前後肢にバンテージ。横から見ると、494kgの割に大きくは見せないが、その分馬に幅が有る。ノンビリと歩けていた点は好印象。歩様も悪くない。出脚自体は速くなさそうだが、行き脚が付いてからが速く、1角で好位、ライオットガールの直後から。前述した様に、ライオットガールが早目に動いてくれて展開上もいい形になった。直線は外から来たエクロジャイトが一瞬壁になったものの、直ぐに進路を確保して猛追。こちらは手前がしっかり替わっていたが、ライオットガールが捕まえ切れず2着止まり。道中で少し力んでいたことも有るだろうが、今日の展開なら勝ち切らないと厳しい。2戦2勝の馬ということを考えれば良く頑張っているということもいえるのだが...。

ルクスフロンティア

オーストラリアンブリンカー。+6kg。胴長の造りで馬振りはいいが、まだまだ線は細い。歩様ももう少しシャキッとして欲しい。ゲート五分。出脚が抜群に速いという訳でもないが、主張してハナへ。1000m通過60.5秒と遅いペースではないが、後続が付いて来ず、単騎では回って来れた。4角でライオットガールに追い付かれ、そこからも渋太く粘っていたが、ライオットガール同様、直線で手前が替わらず、最後に甘くなった。先行有利の新潟で勝ち切らないと高い評価は出来ないが、飛ばして行ける先行力には見どころが有った。このパフォーマンスなら1000万は楽勝級。ただ、今日の反動も有るだろう。

エクロジャイト

腹袋の目立つ、如何にもダート馬といった体型。完歩は小さいが、一歩一歩に力強さが有った。このメンバーでは一番良く出来ていた。出脚はなさそうで、出ムチを入れて好位。その分、序盤はかなり行きたがっていた。向正面では折り合いが付いたが、3〜4角中間を楽に上がって行けたライオットガールやオメガギネスに対し、オッツケ気味。その分、直線も伸び切れず、3着馬とは5馬身チギられた4着。とはいえ、序盤のロスは外枠の分も有った。馬はいいだけに、これで人気を落とすなら次走狙い目に。

マオノアラシ

オーストラリアンブリンカー。496kg有る割にドッシリ感がない。現状のデキ自体は悪くないが、まだ完成度が低い。スタート直後にライオットガールと接触したが、出脚は速く、楽に好位。本気で行けばハナへも行ける位速かった。行けるモノを行かなかった分、道中は楽だったが、その割に追ってからが案外。4角ではライオットガールの1馬身後方に居たが、直線は離される一方だった。今日はいいところなし。これだと1000万でもキツい。

第28回エルムステークス(GⅢ)

セキフウ

シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。落ち着きが有って、如何にも滞在競馬らしい気配。均整の取れた造りで、歩様も伸びやか。高い厩舎技量を感じさせた。ゲートを真っ直ぐ出なかったことも有るが、鞍上にも行く気なく後方から。前が固まる中で、バラけた位置でジックリと乗られた。3〜4角中間から外を追い上げ、直線入口で中段。結果的に道中がノーストレスだったことが最後の伸びに繋がっているが、ペース自体は決してこの馬に味方しなかった中で、1頭だけ脚が違った。直線が右手前のままだっただけに、次走は何ともいえないが、今日のところはお見事という外ない。

ワールドタキオン

前後肢にバンテージ。横から見ると小ぢんまりとしているが、縦で見ると馬が張っている。歩様にバネが有って、連勝馬らしい気配。出脚は一番速かった位だが、タイセイサムソンが主張して、その番手から。出脚を使っていないことも有るが、折り合いはスムーズ。3角過ぎから少しずつ脱落して行く馬が居た中で、逃げたタイセイサムソンも4角手前で後退し、こちらは持ったままで先頭。一旦は完全に抜け切っているのだが、あまりに早く抜け出し過ぎて、一瞬フワッとしたところをセキフウの強襲に遭い、2着止まり。一番強い競馬をしており、実質的な勝ち馬。今の勢いの有る内に、タイトルを取りたいところ。

ロッシュローブ

遮眼革。シープスキンノーズバンド。後肢にバンテージ。少し全体に余裕は有ったが、滞在競馬で馬がゆったりとしていた分も有ったか。歩様に柔らかみが有って、デキは悪くない。出脚自体はそこ迄負けていなかったが、外から纏めて一気に来られ、引かざるを得ず中段やや後方から。基本的にはセキフウの一歩前からの競馬。外から進出するタイミングも、セキフウに先んじて動いたが、直線に向いてもう一押しがなかった。ルコルセールとの3着争いは僅差で、これに競り負けなかった勝負根性は評価出来るが...。渋った小回り1700mは得意条件だが、それでこの内容だと勝てるところがない。

ルコルセール

パシュファイヤー。馬体はキリッとして悪くなかったが、頭が高い。その分、完歩が小さく、歩様が硬く映る。スタート直後に躓いて出脚が鈍ったが、立て直して2角で外からジワッ好位。ほぼ持ったままで行けた。ただ、ここで脚を使った面は少なからず最後の粘りに響いたか。4角でマクり切る迄の勢いがなく、セキフウには並ぶ間もなく、最後はロッシュローブとの競り合いにも敗れ4着止まり。元々スタートが安定しない馬で、この点は課題だが、実力そのものはこのメンバーでも足りる。

シルトプレ

シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。このメンバーに入ると細身で、迫力負けする感は否めないが、馬に活気が有った。デキにケチを付けるところはない。中央勢のスピードに付いて行けず後方から。それでも行き脚が付いてからは流れに乗れていた。勝負どころの反応は鈍かったものの、セキフウを筆頭に、マクった馬が多く、直線に向いてからひと脚使って掲示板は確保。道営トップクラスの実力を示した。交流戦でも展開が向けば馬券圏内有りそう。

第71回北海道新聞杯クイーンステークス(GⅢ)

ドゥーラ

-14kg。賞金稼ぎ的出走で負けられない一戦だったとはいえ、少し出来過ぎ感は有った。気配も些か気負い気味。歩様は悪くないが。ゲート五分。出脚は速い方だったが、外からジネストラにいい勢いで来られて引かざるを得ず、中段で折り合いに専念。その折り合い面は我慢して走ってくれていたが、結果的に一番外を回される形。このレースは内しか来ないことが多く、その点では最悪の形だったが、早目進出から1頭だけ別次元の脚で差し切った。斤量差が有ったとはいえ、文句なしの強さ。本番の京都戦も外をマクる形にならざるを得ないだろうが、いい予行演習になった。あとは馬体減。状態面が安定しない面は以前から有る。

ウインピクシス

2人曳き。前肢にバンテージ。-10kg。緩んだところが一切なく、現状で出来る目一杯の仕上げ。この馬としては落ち着きが有って、一歩一歩の歩幅が広いのも好印象。一完歩目が遅く、ライトクオンタムに出脚で叩かれたが、立て直して好位のイン。少し押した分、序盤は行きたがっていたが、コントロールは利いていた。ハナへは行けなかったが、このレースの定跡ともいえるセコい競馬は出来た。4角も上手く捌いて一旦は抜け切っているのだが、ドゥーラの脚が違っていた。下見でイレ込まなくなった分、以前より出脚がなくなっているという話で、競馬は上手くなっているが、これで勝てなかったら重賞は遠い。

コスタボニータ

後肢にバンテージ。スッキリとした馬体。毛ヅヤも悪くなさそうだが、手先だけで歩いている分、歩様に力強さを欠く。ウインピクシスよりゲートは速かったが、頭を上げて引っ掛かりそうになっており、控えざるを得ず、ウインピクシスの後位。全体で6番手辺りから。1列後ろだった以外は上手く運べたが、ただその1列後ろだったことで4角で待たされた印象も。直線に向いてから少し外へ進路を探す形になったが、この時点でウインピクシスに対し1馬身のロス。最後はハナ差迄追い詰めただけに尚のこと勿体なかった。ただ、どちらかといえば広いコースで良績の多い馬だっただけに、小回りで結果が出たのは収穫。こちらはそのうちチャンスが回って来る筈。

ルビーカサブランカ

前後肢にバンテージ。少し歩様が硬い点が気にならないでもないが、良くも悪くも何時も通り。馬体も悪くない。例に依って出脚は速い方ではなく、中段やや後方から。ところどころでオッツケる場面が有ったのも仕方がないところだが、今日の展開でドゥーラの1馬身半後方では競馬にならない。しかも、直線はドゥーラが外へ張って来て、余計にロスが有った。何か一つ上手く行っていたら馬券圏内も有っただろうが、本質的に小回りの1800mは忙し過ぎる。今日はこれで充分といえる競馬。

イズジョーノキセキ

胸がい。前後肢にバンテージ。キビキビ歩けていて、気配は大分戻って来たが、まだ馬体の張りが甘い。若い頃より出脚がなくなっており、後方から。この鞍上らしく、直ぐにインへ寄せていた。4角の手応えも良さそうだったが、眼前に居たコスタボニータが進路を探すのに苦労しているのに、更にその後追いではどうしようもない。一応、最後の最後に脚は使っている。逆にいえば、レース内容は大分復調して来た。

サマースプリントシリーズ第3戦 第23回アイビスサマーダッシュ(GⅢ)

オールアットワンス

+18kg。昨年のこのレース以来。少し腹回りがボテッと映るが、馬自体は張っていた。気配も良く、ちゃんと出来ていた。ゲート五分。行く気はなく後方から。最初からの決め打ちだったとの話だが、暫く真っ直ぐ走ってから外ラチ沿いへ。思い切った競馬で脚は矯められたのだろうが、外からの差しは脚が有っても進路の選択が難しいところで、シンシティと接触する場面。しかし、そこから立て直しても1頭だけ脚が違っていた。完勝といえる内容。1年振りでもちゃんと出来ていたことも有るが、54.9秒の時計は如何にも遅い。メンバーレベルが低かったといわざるを得ない。

トキメキ

前後肢にバンテージ。下見は物見しながらの周回で、頭が上がり気味だが、馬体は小ぢんまりと纏まっていた。歩様も頭が上がっていた割に、しっかり踏めていた。出脚でやられて、一旦下げてから外へ。競馬は上手く行ったが、結果的には抜け出すのは早かったか。ラスト200mで先頭に立ってからがフラフラだった。オールアットワンスに交わされてからは渋太く頑張っているのだが...。ただ、オールアットワンスが強かったにせよ、この時計は如何にも平凡。1200mでもオープン特別ならソコソコ走れているが、あまり褒められる内容ではない。

ロードベイリーフ

+2kg。数字上はベスト体重だが、まだ少しゆったりとした造り。歩様は悪くないが、デキがいいと迄は言えないか。一完歩目で負けて、その瞬間から外へ。ただ、オールアットワンスの直後になってしまい、この馬の進路は残っていなかった。折角外へ出したが、仕方なしに再び内へ。一瞬の反応はオールアットワンスの方が明らかに良く、スムーズでも勝ちはなかっただろうが、2着は有った競馬。デキももう少し良ければ際どくなっていただろう。ただ事実上、1000m限定。かといって、この路線の王者だったライオンボスの凋落振りが示す様に、7歳になると苦しいところ。秋の最終週に組まれているハンデ戦で何とかしたい。

サトノファビュラス

オーストラリアンブリンカー。後肢にバンテージ。-8kg。数字はあくまで絞れたモノ。見た目にもこれ位で丁度。ただ、左後肢の出がイマイチ。ゲートは出たが、出脚で負けて後方。暫くはまっすぐ走っていたが、300m程走ってから外へ持ち出す形。進路という点では難しい部分も有ったが、この馬自身も反応が鈍かったか。結果的に不利こそ食らっていない形にはなったが、伸び出したのは競馬が終わった後。ただ、1000mが初めてだったことを考えれば良く頑張っている。一度でも走った経験が有れば馬券圏内有っただろう。少なくとも適性は有る。

レジェーロ

+4kg。数字はないが、馬体がキリッと仕上がっていた。歩様もスムーズ。デキだけならこのメンバーでも一番良かった様に見えた。出脚が抜群に速かったと迄はいえないのだが、枠の利も有り、先行グループの一角。その中での最外だから、展開上は一番有利だった筈だが、ラスト300m位から脚が鈍って、掲示板止まり。今年のメンバーだったら何とかしたかったところだが...。デキも良かっただけに意外な印象。昨年の4着馬だが、こちらは1000mに適性がないといわざるを得ない。