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競馬回顧 2023年4回阪神

第56回スプリンターズステークス(GⅠ)

ママコチャ

-2kg。前走小倉戦は少し重たい気もしたが、今日は馬体が締まっていた。歩様も例に依って力強い。ゲート五分。今日のメンバーだと出脚のアドバンテージはないが、行き脚が付いてからの行き振りが良く、3角辺りで3〜4番手、4角でほぼ先頭の勢い。正に自分から勝ちに行く競馬。流石に気持ち良く行き過ぎた様で、ジャスパークローネを交わしてから突き放す脚がなく、最後は苦しくなったが、首の上げ下げの勝負を凌ぎ切った。尤も、負ければ早仕掛けを責められることにになるが、不利なく乗って勝った以上は好騎乗。前走小倉戦の内容からは、あくまで圏内の1頭といった程度だったが、馬も力を付けている。

マッドクール

前肢にバンテージ。休養前の中京戦は歩様に硬さが有ったが、それがなくなった。ハナは望めないにせよ、この馬の出脚で何処迄行けるかがポイントだったが、ゲートを決め、少し強引にテイエムスパーダの直後。4角の手応えは決していい様に見えなかったが、テイエムスパーダが早目に動いてくれたことで、1列前へ行けた。直線に向いてジワジワ差を詰め、坂下辺りから先に抜け出したママコチャを猛追。一瞬はハナだけ出たかに見えたが、首の上げ下げで負けた形。少なくとも競馬で負けた訳ではない。もう少し枠が内だったら、勝っていたか。

ナムラクレア

道悪で激走した前走札幌戦のダメージを心配していたが、見た目には影響なさそう。歩様に硬さがなく、馬体もドッシリと見せていた。出遅れ半馬身不利。押して先行も、マッドクールに外から寄られてテイエムスパーダの後位を取られたのが痛恨。切り替えて外へ持ち出そうとしたが、マッドクールとメイケイエールにフタをされ、そこでも後手に回ってしまった。そのロスを考えれば直線はこれでも良く伸びているといえる。少なくとも馬は責められない3着。出遅れたことは仕方がないとしても、鞍上が腹を括って乗っていれば、また違った気もしないでもないが...。

ジャスパークローネ

前後肢にバンテージ。思ったより歩様は落ちていないが、完璧でもない。馬体の張りも含めて、8割程度のデキ。ゲートは五分程度。ここ最近の中では悪かった方だったが、それでも前半3F33.3秒と楽なペースで行けたのは、出脚が速いからこそ。GⅠともなると、各馬の仕掛けが早くなるが、それでも直線入口で一旦は突き放す場面。流石に最後は苦しくなったが、大健闘の4着。テイエムスパーダはともかく、ママコチャも早仕掛けしていなかったら、今のデキでもこの馬が勝っていた可能性も有った。間違いなくGⅠを勝てる馬。

メイケイエール

下見だけパシュファイヤー。前後肢にバンテージ。下見は何時も落ち着いている。迫力の有る馬体ながら、スッキリと仕上がっていた。ゲートは微妙に安目を売ったが、掛かり気味に好位。それでも一時のこの馬よりはマシ。途中でナムラクレアと接触する場面も有り、更に馬を怒らせてしまった感も有ったが、そのまま行かせた。本質がスプリントの馬ではないので、勝ち切れるだけの脚ではないが、最後迄、伸びていた。今日のところは最後迄諦めずに走れたことが収穫。現状だとベストは1400mだろうが。

ウインマーベル

2人曳き。前走札幌戦と比較して、叩いた分、少し馬体が締まった気もするが、大きな変化はない。歩様も許容範囲。出遅れ1馬身不利。一旦は最後方迄下がっていたが、直ぐに最内へ潜って挽回、全体に早仕掛けの展開だったことも有り、追い上げが利いて4角でマッドクールの直後。直線も伸びてはいるが、出遅れが痛恨。ここでも圏内の馬だが、ゲートを出ないことには。

アグリ

均整の取れた馬体の持ち主で、馬振りはこのメンバーでもトップクラス。一歩一歩しっかり踏めており、下見にケチを付けるところはない。ゲート自体は出ているが、出脚がなく、鞍上にも行く気がなく後方から。道中の行き振りも今日はイマイチ、前走中京戦の様に脚を矯める場面がなかった。陣営の話では馬場を気にしたとのことだが、1200mはベストではなさそう。

第27回シリウスステークス(GⅢ)

ハギノアレグリアス

毎回、述べている様に、ダート馬としては軽い造りの馬だが、その中では良く出来ていた方。歩様もそこ迄悪くなかった。ゲート五分。外枠ということも有り、無理はしていなかったが、芝での出脚が有って楽に中段。1周目の決勝線辺りで一瞬、引っ掛かりそうになっていたが、アイコンテーラーを前に置いて宥める形。1角で折り合いが付いてからはスムーズで、アイコンテーラーが動いた際もワンテンポ待つ余裕が有った程。直線に向いて、アイコンテーラーに対し3馬身程の差が有ったが、右手前のまま最後迄伸びて完勝。58.5kgを背負ってこの内容は強い。次走はGⅠということになりそうだが、このパフォーマンスなら通用してもいい。ただ、馬格のなさが天井になる可能性も有る。

アイコンテーラー

今日はダートにしては筋骨隆々といったタイプが少なく、迫力で負けている印象はない。少し完歩の小さい歩様は気になったが、ダートなら許容範囲。スタート直後にヨレてしまい、出脚が鈍り、逃げたサンマルレジェンドに叩かれたが、立て直して好位。折り合いは付いていたというより、珍しく3角で少し置かれそうになってオッツケる場面。そこからは問題なく、4角先頭の形に持ち込めたが、坂を上ってハギノアレグリアスに楽々交わされ2着止まり。とはいえ、形の上では勝ちに行く競馬をして3着に3馬身半差と強い内容。置かれたのは、右回りと微妙に見込まれていたハンデの影響も有るだろう。ただ、次走大井戦も右回り。本命級の扱いだろうが、嫌って妙味という気もしないでもない。

ヴァンヤール

+4kg。数字の割にスッキリ見せていたのは好印象。首でリズムを取って気配も悪くなかったが、姿勢が高く、トモが甘い。好発も、ハナへ行く気はなく、好位のインで脚を矯める形。ただ、砂を被るのが得意ではないのか、少し行き振りが悪かった。それでも3角でアイコンテーラーが動いて、1列番手が上がり、先行グループの直後に付けられたことで、砂を被らない位置迄上がり、そこからはスムーズ。外からハギノアレグリアスと一緒に上がって行ったが、食らい付いていたのは坂下迄。底力の差を見せ付けられた3着。とはいえ、これで5戦連続馬券圏内。手堅いは手堅い。

フルヴォート

-6kg。骨格のしっかりした馬ということも有るが、これだと少し細い印象も。気配や歩様は悪くないが。ゲート五分。例に依って出脚も速い方ではないが、その上に1角手前で前に乗っかかりそうになり、下げざるを得ない場面。鞍上は行く気もなかった様だが、ここは少し痛かった。それでも内をセコく立ち回って、そこからは不利なく捌いて来たが、エンジンが掛かるのも遅かった。初距離だが、意外に適性は高そう。次走狙い目。

カフジオクタゴン

遮眼革。550kgの割に、背丈が有るタイプではないが、胴が長いのが特徴。その分、歩様も伸びやか。可動域が広い。この馬自身も出遅れ気味だったが、直ぐ外のトウセツに寄られて更に出脚が鈍り、後方から。それでも行き脚が付いてからの行き振りは悪くなく、向正面で中段。そこで軽く接触する場面も有ったのも少し痛かったか。直線も伸びはジリジリ。これもスムーズだったら、もう少し違う筈だが...。

第69回産経賞オールカマー(GⅡ)

ローシャムパーク

2人曳き。前肢にバンテージ。-4kg。雄大な馬体の持ち主だが、基本的には緩慢に見えるタイプで、絞れたのはいい傾向。一歩一歩しっかり踏めていた。ゲートは微妙に悪かったが、外枠だけに立て直しが利いて中段から。後述する様に、タイトルホルダーの逃げは意外とスローだったが、向正面でハヤヤッコが動いてくれた際に連られることなく、いい目標が出来た。4角で先行グループの直後。登坂力、上り切ってからも脚色が衰えることなく、快勝。今日の内容だと掛け値なしのGⅡ級だが、GⅠで通用するかどうかは何とも。良績に小回りコースが多い点も気になる部分。東京で一度見てみたい馬。

タイトルホルダー

シープスキンノーズバンド。前肢にバンテージ。-2kg。競争中止の後だけに少し緩いが、大事に造った部分も有るだろう。従って、本当にいいのか悪いのか何ともいえないが、今春より歩様もマシになった。珍しく好発。枠の利も大きく、押して一瞬でハナ。1000m通過が61.1秒。道中は数馬身離す場面も有り、ペースも含めて、序盤はこれ以上なく楽に行けた。ただ、これだけスローだと後続も黙っていないところ。そこから直ぐにハヤヤッコが並び掛けて来て、むしろキツい競馬になってしまった。直線入口で突き放したかったところで突き放せず、最後はローシャムパークに捕まった。序盤が楽だっただけにダラシがないという話になるが、その一方でローシャムパークは別にして好位勢を振り切った点は評価出来る。また、競走中止の後で攻めて乗れなかった分も有るだろう。落馬ではなく、故障で競走中止の馬が重賞で1番人気だったことが前代未聞。良く分からないことが多く、次走が試金石。

ゼッフィーロ

+8kg。チャカチャカしていたが、明らかに馬が良くなった。馬体の小ぢんまり感がなくなって、成長している。最近は出遅れる場面も多かったが、ゲート五分。急かすことなく、この馬の出脚で中段のイン。ローシャムパークが外鞍上に動く意志が有ったかどうかも微妙だが、位置的にもずっと動けない位置。4角でもその状況は変わらず、直線も進路を探しながらの追い出し。序盤スローからのロングスパート戦となり、結果的に終いの脚を残す形になったともいえるのだが、何度か狭くなりながらも渋太く馬群を割ってここ迄。この馬も少しヨレ気味では有ったが、根性は買える。次走狙い目。

マリアエレーナ

小さい馬だが、何時も良く出来ている。今日もケチを付ける部分はない。悪い時には気になる歩様も今日は良かった。出脚は有る馬だが、最近の詰めが甘い内容を意識したか、中段からジックリと。少し行き振りが良過ぎる気もしないでもないが、馬を前に置いて我慢して走っていた。ローシャムパークを追い掛ける形も、展開としてはハマっている筈だが、やはり坂が上れない。坂が上れるなら2着有った筈。現時点で次走未定だが、東京2000mよりも京都2200mの方が向いている。

ガイアフォース

良くも悪くもスッキリ見せるタイプ。数字通り、キッチリ出来ていた。完歩の小さい歩様は毎度。今春にマイルを使っていたことも有ったか、出脚が有ってスッと2番手。ただ、外からノースブリッジに来られて接触、序盤は少し馬が怒っていた様にも見えた。途中からでもこれで我慢出来ればまだ良かったが、前述した様に途中からハヤヤッコに来られて、息を付く暇がなかった。逆にいえば今日は展開が向かず。直線で手前が替わっていない中で、2着と0.2秒差なら、良く頑張っている方だろう。とはいえ、過去の戦歴からGⅠだと厳しい。あくまでGⅡ級。

ジェラルディーナ

良し悪しは別にして、この馬としてはイレ込みはマシな部類。馬体も緩んだところはなく、良く出来ていた。昨年とほぼ同等のデキ。ゲートをアオり気味に出て、出脚が鈍り、後方に近い位置。休み明けが走らないという話も有るのだが、マリアエレーナの後ろから仕掛けたのはあまりに消極的過ぎた。単に仕掛け遅れただけでなく、4角で外を回されたのも応えた印象。今日は参考外。

第71回神戸新聞杯(GⅡ)

サトノグランツ

+2kg。攻め馬はパッとしなかったが、レースでズブい馬だけに関係なし。数字通り、キッチリ出来ていた。更に体幹がしっかりした様で、歩様にブレがないのがいい。意外にも好発。出脚が速い訳ではないが、労せず中段のイン。何時もより道中の行き振りは悪くなかったが、それでも4角からは置かれ加減。内に包まれて尚のこと苦しい位置だったが、坂下辺りからエンジンが掛かり、登坂力の違いでアタマ差捕まえた。鞍上が慌てなかったことも有るが、ズブいだけでこの馬の能力も相当。ただ、次走京都3000mはこの手の馬が敗れるケースが多い。色々鞍上の工夫が要る。

サヴォーナ

+12kg。デビュー以来、最高体重。元々ボテッと映る体型では有るが、今日は尚のこと重たく映った。歩様に窮屈さがないのは救いだが。ゲートで安目を売り、直ぐ外のファントムシーフに叩かれる展開にもなったが、立て直すスペースと出脚が有り、スッと好位。ファントムシーフの番手に付けて、上手く流れに乗った。直線入口でファントムシーフが突き放しに掛かり、一瞬差が開いたが、坂下辺りからジワジワ差を詰めて一旦は先頭。完全に押し切り態勢だったが、追って頭が高く、最後の最後に甘くなったところをサトノグランツに捕らえられた。競馬は上手い。次走、直線が平坦になる京都はプラス。ただ、ゲートがアテにならないので、内枠が欲しい。

ファントムシーフ

途中から2人曳き。+12kg。500kg超はこの馬の適正体重ではなさそう。特に今日は太いというよりは、少し緩く映った。完歩の小さい歩様も気になった。好発。戦前から選択肢のひとつにしていた様だが、そのまま行かせてハナへ。この鞍上だけにペース判断は的確で、1000m通過61.1秒-2000m通過120.6秒と、絶妙のスロー。前述した様に、直線に向いてから突き放す脚も有ったのだが、坂が上り切れず3着止まり。鞍上は時計面を敗因に挙げていたが、今日は馬が緩かった影響も有るだろう。今日、披露した先行力はこれ以上ない武器となる筈。

ロードデルレイ

前後肢にバンテージ。このメンバーに入るとまだ線が細い。トモも少し甘い。尤も、ロードカナロア産駒だけに、この線の細さが距離を保たせているのかも知れないが。ゲート五分も、両サイドから挟まれる形となり、少し掛かり気味になりながら好位直後のイン。道中はずっと力んでいた様に見えたが、それでも直線に向いて一瞬は2番手も有りそうな脚色。坂が上り切れなかった分の4着だが、道中のロスを考えれば強い内容。デビュー3連勝は伊達ではなかった。序盤がスムーズだったらと悔やまれる。京都戦は諦めて一旦は放牧に出したとのことだが、準オープンは楽勝級。

ハーツコンチェルト

前肢にバンテージ。-2kg。胴長の造りだが、緩んだところもなく、いきなりからほぼ完璧に出来ていた。伸びやかな歩様も好印象。ゲートも微妙に悪かったが、大外枠だけに無理せず後方に近い位置。道中はスムーズだったが、このスローで外をずっと回されたのが痛かった。先頭のファントムシーフが直線入口で突き放しに掛かる展開で、前に追い付きそうで追い付かないまま。トビが大き過ぎて回転数の少ないタイプで、今日は仕方がないところ。これで人気を落とす様なら次走狙い目に。

第77回朝日杯セントライト記念(GⅡ)

レーベンスティール

2人曳き。前走福島戦同様、完歩の小さい歩様。元々良く見せないタイプでは有るが、小ぢんまりとした馬体も含めて、成長した印象はない。ゲート五分。直後に周囲の馬と接触していたが、大した影響はなく、行きたがる面も出さず、中段のイン。道中の手応えも良く、鞍上が4角で勝利を確信したのか、外へ出す余裕も有った。直線に向いてからの伸びも強烈で、坂でドゥラエレーデに追い付いたかと思えば、一瞬の内に突き放していた。完勝。ただ、下見が冴えないだけに先々は何とも言えない。取り敢えず京都3000mを1回走るだけなら馬格がなくてもいいが、古馬になってからがどうか。

ソールオリエンス

数字は前走東京戦と大差ないが、微妙に緩いかも。気配も少し大人しい。とはいえ、トライアルとしては充分。ゲート五分。ただ、外枠ということも有り、無理も出来ず中段やや後方から。道中の折り合いは付いていた。ただ、例に依ってコーナーリングは上手い方ではなく、今日は他馬との兼ね合いで余計に外を回された分も有るが、回り脚のなさで更に損していた印象。直線に向いた段階で、前のレーベンスティールと3馬身程の差。これが最後迄詰まらなかった。元々中山向きではないが、今日は位置取りで負けた印象。トライアルだからこれでいいという見方も有るが、京都3000mはもっと器用さが求められる。次走を考えるなら、失敗する可能性が有っても鞍上に工夫が欲しかった。

シャザーン

前肢にバンテージ。+4kg。大物感はないが、コンパクトに纏まっていた。緩んだところもなく、デキは良かった。歩様も問題ない。今日はゲートは五分。ただ、出脚でやられ気味だったことも有り、無理せず好位直後。基本的にはレーベンスティールの一歩前から。4角手前から強気に前を追って行ったが、直線で手前が替わらず、直線に向いてからの伸びがもうひとつ。レーベンスティールの脚が違い過ぎたことも有るが、先に動いた以上は2着は死守したかったところ。取り敢えず権利が取れたことは何よりだが、重賞を勝つにはもうワンパンチ欲しい。

セブンマジシャン

キビキビと歩けており、馬体もバランスが取れて上位。少し物見をする場面も有ったが、下見にケチを付ける部分はない。ゲートの上手い方ではないが、今日は五分。それでも急かさず中段から。道中もスムーズに運べたが、3〜4角で内外前が詰まってしまい、4角で外に持ち出さざるを得なくなった。インを捌けていれば軽く数馬身違った筈。追って少し内にモタれており、今日はどう乗っても3着が一杯だろうが、何より権利が取れなかったのが痛恨。まだ1000万にも使える馬で、条件からやり直すことになるが、広いコースの方が安心感は有る。

キングズレイン

+6kg。気配は文句なし。デキ自体も間違いなくいいが、まだ鍛える余地を残している。少しトモが甘そうな歩様も気になった。ゲートも微妙だったが、出脚もなく後方から。道中の行き振りもいい方ではなかったが、ラスト1000m過ぎから内目を通って進出。直線に向いてからはエンジンが掛かって、一瞬は脚を使っている。坂が得意ではないという面も有るだろうが、道中でもう少し流れに乗れていれば、末脚の持続性も違った筈。現状だともう少し距離が有った方が楽。

ドゥラエレーデ

前後肢にバンテージ。+18kg。太いというより、少し緩い。本来は500kgを超える大型馬の割には、スカッと見せるタイプ。ウィズユアドリームがそこ迄強気にこなかったことも有るが、ゲートを決めてハナ。結果的にずっとウィズユアドリームにプレッシャーを受ける形になった感も有るが、1000m通過60.1秒とスローに近いペース。飛ばし方が足りなかったと言われても仕方がないだろう。それでも坂下では一旦突き放す場面。ただ、坂が全く上れず、一瞬の内に追い付かれてしまった。ただ、デキがマトモだったら、もう少し違った気もしないでもない。叩いて改めて。

第41回関西テレビ放送賞ローズステークス(GⅡ)

マスクトディーヴァ

前後肢にバンテージ。444kgとしては、垢抜けた馬体。歩様もしっかり。下見から並の馬ではなかった。ゲートで分が悪かったことも有るが、出脚もいい方ではなく、中段やや後方から。ただ、行き脚が付いてからの行き振りは良く、鞍上も宥めながらの追走。道中はずっと外を回されたのだが、直線に向いて追い出されると、内回りとの合流地点を前に楽勝と思える脚だった。あまりにも早く抜け出し過ぎて、ソラを遣っていたが、1分43秒0は強烈に速い。この競馬を連続することが難しいことも確かだが、リバティアイランドを負かせる可能性の有る馬なのは確か。

ブレイディヴェーグ

-6kg。胴長というよりは、少し細身。これ以上は減らない方がいい。キビキビ歩けており、所作は良かったが。ゲートが開いた際に、乗り役の腰が落ちて出遅れ。そのまま後方から。道中の折り合いはスムーズ。脚を矯めて直線に向いたが、内外前に馬が居て暫く進路がなく、捌きながら前が完全にフリーになったのはラスト200m。そこからの脚は明らかに一枚違うモノだったが、マスクトディーヴァが遥か前に居た。これも強い競馬をしている。ただ、ゲートが悪いとこういう事態を招くのは仕方がないところ。次走京都戦も出遅れると中々難しいプラットフォームでも有り...。

マラキナイア

+14kg。数字はほぼ成長分。現状でも442kgだから、もっと増えてもいい位。歩様に窮屈さがなく、一歩一歩踏めていた点も好印象。ゲート五分。出脚はあまり速いほうではなさそうで、中段やや後方。前にマスクトディーヴァ、後ろにブレイディヴェーグを置く形。ただ、3角過ぎ辺りから手応えが怪しく、付いて行くのがやっと。置かれそうになっていた。モタついている間に直線迄来てしまい、前の馬をパス出来ず、余計に外を回されてしまった。阪神1800mでこれだと京都2000mは少し苦しく、次走は出走するだけになりそう。京都なら坂の下りを利して動いて行ける外回りの方が向いている気もしないでもない。

アンリーロード

2人曳き。下見でパシュファイヤー。落ち着いて歩けていたが、まだ前駆が弱く、後肢が勝った体型。まだ成長途上。ゲートで安目を売って後方から。道中は問題なく運べた。ただ、馬群を割る形となり、狭いながらもずっと進路は有ったが、坂を上り切った辺りでココナッツブラウンに外から寄られたのが痛恨。3着マラキナイアとはクビ差だけに尚のこと悔いが残る。ただ、まだ馬が未完成過ぎる。権利を取って次走京都戦へ向かうとなると、勝ち負けはダメージも相当有りそう。先々を考えたら、これはこれでいい方に出そう。

ココナッツブラウン

2人曳き。-14kg。数字程、細くは見せないが、少し腹が巻き気味。発汗が少ないのは救いだが、テンションも高い。ゲート五分。決して出脚は速くないが、押して中段から。道中はリズムよく走れていた様に見えた。直線に向いて、マスクトディーヴァには並ぶ間もなく交わされていたが、それでも一旦は2番手迄有りそうな場面。しかし、登坂力がなくて、内外から次々交わされて5着。状態が良ければ権利も取れただろう。準オープン迄は楽勝級の能力が有る。馬体回復を待って改めて。

ソーダズリング

前後肢にバンテージ。馬は例に依って、見栄えがする。馬体に張りが有って、デキ自体も問題なさそう。集中力も有った。ゲートを決め、出脚も速く、好位のイン。一旦はハナへ行きそうなところをユリーシャに譲る形になったが、この際のブレーキでずっと行きたがっていた。その分、直線も全く伸びず。力量的には互角の筈だが、気性面が難しい。

サマーマイルシリーズ第4戦 第68回京成杯オータムハンデキャップ(GⅢ)

ソウルラッシュ

遮眼革。+4kg。スッキリと仕上がっていたが、トモが張って、このメンバーなら流石に馬は上位。歩様も悪くない。好発。59kgを背負って、出脚は楽ではなかったが、枠の利は大きく、何とか好位。行き脚が付いてからは流れに乗れていた。ただ、グラニッドの大逃げは開幕週だけに気になるところで、早目に押して追い掛けて行く形。坂下で道中2番手のウイングレイテストがグラニッドを捕まえ、そのウイングレイテストも渋太かったが、登坂力でネジ伏せた。決して楽ではなかっただろうが、今日は底力で掴んだ勝利。先週のユーキャンスマイル同様、重賞はGⅡ,GⅠばかりを使われていた馬だが、GⅢでは格が違った。逆にいえばGⅠとなる次走が試金石。

ウイングレイテスト

遮眼革。如何にもマイラーといった馬が多い中で、胴長でゆったりとした造りは良し悪し別にして目立つ。馬体の張りも悪くなく、歩様もスムーズ。ゲートは五分程度だったが、押して2番手。遮眼革は今回からということで、積極的に乗られた。勝負どころも後続を待たずにグラニッドを捕まえに行く形。結果的にソウルラッシュのいい目標にされた感も有ったが、前述した様に最後は底力の差が出た。ハンデも2kg差有っただけに、言い訳は出来ないが、相手はGⅡ級。GⅢなら、その内チャンスが有りそう。

ミスニューヨーク

馬体は何時もこんなモノ。ギスギス感がなければ走れるタイプ。歩様も多少硬さは有ったが、この馬とすれば許容範囲。微妙に出負けしたが、押して中段。中山巧者の割に、コーナーでの回り脚が有るタイプではないが、直線に向いてからはこの馬なりに脚を使っている。開幕週でなければもう少し際どくなっていた可能性も有るが、牡馬だとこんなモノか。着順は相手関係や展開にも依るが、中山なら自分の脚は常に使えるのが強み。

メイショウシンタケ

前走新潟戦よりは良くなっていた。468kgの馬としては良く出来ている。ただ、少し発汗が目立ったのと、頭が高い。歩様だけをいえば、前走の方が力感が有った。前走同様、ゲートで安目を売って後方から。眼前に居たインダストリアをアテにしていた部分は有っただろうが、コーナーで動いてくれず、切り替えてインを突く形。競馬が終わった後だけに高い評価はし辛いのだが、脚が有った分の4着。ただ、これだと中々馬券圏内がない。何処かでハマっても不思議ではないが、確率は低い。

ミッキーブリランテ

-4kg。少しでも減って出て来たのはいい傾向だが、まだ全体に太い。気配に乏しいのは何時ものこと。ゲートの駐立が悪かったが、上手くタイミングを合わせて五分の発馬。ただ、出脚は速い方ではなく、グラニッドにはアッという間に1馬身行かれ、無理せず後方に近い位置。ミスニューヨークを眼前に置いて、内からジリジリ伸びて来たが、メイショウシンタケには捕まって5着止まり。決め手がないので前に居ないと厳しい。マイルでは中々難しいのだが、無理矢理でも行った方がいい気もしないでもない。

インダストリア

-6kg。494kgの割には大きく見せないタイプだが、良く言えば垢抜けた馬体。キッチリと出来ていた。歩様にも勢いが有って、下見は抜群に良かった。出脚が速いタイプでもないが、鞍上にも行く気がなく後方から。これはこれでこの馬のパターンだが、コーナーで全く追い付く気配がなく、直線もひと脚すら使えなかった。中山巧者というよりは、1分32秒台で走れない馬なのかも。

サマースプリントシリーズ第6戦 第37回産経賞セントウルステークス(GⅡ)

テイエムスパーダ

前後肢にバンテージ。+4kg。3歳時と大きく変わった様子はないが、ゆったりとした造りで、下見は何時も悪くない。歩様も問題はない。ゲート五分。近走はジャスパークローネにアッサリハナを譲っていたことも有るが、出脚は大して速くなく、押してハナ。600m通過33.5秒だから、決して遅い訳ではないが、2番手が競り掛けに来ず、楽に行けた。坂下で突き放す脚が有り、開幕週の馬場も利し、33.7秒で纏めて押し切った。この形なら強いのは当然だが、要はこの形に如何に持って行くかがポイント。唯でさえゲートが不安定な上に、ジャスパークローネが居れば、出脚の違いでやられている様では厳しい。今後もアテにし辛い。

アグリ

海外遠征帰りとなるが、皮膚を薄く見せて、デキは良さそう。一歩一歩しっかり踏めていた点も好印象。この馬自身もそこ迄出脚の速い方ではないが、内外から来られる枠の並びで、無理も出来ず後方の内目。土曜日も中山で同じ戦法で決めた鞍上だけに、道中は全く動かなかったともいえるが、動ける位置でもなく、直線に向いてから進路を探す競馬。外へ持ち出す際に右手前になっていたが、1頭だけ脚が違った。開幕週とはいえ、坂の有る阪神で上がり32.4秒は出色。GⅠ級の能力を持っている。あとはマイルがこなせるかどうか。1200mだと今日の様な展開が多くなりそう。

スマートクラージュ

+12kg。腹回りを見る限り、少し立派という気もしないでもない。歩様も硬さが有る訳ではないが、重たい分、伸びがない。ゲートで微妙に安目を売ったが、外枠だけにリカバーが利いて、3角で中段。道中の行き振りは良かった。4角もいい雰囲気で回って、直線もボンボヤージと一緒にいい脚で伸びて来たが、アグリの脚は別格で一瞬の内に交わされて3着止まり。とはいえ、外枠からこの競馬なら充分といえる内容。近走、3着続きなのは武器がない故でも有るが、噛み合えばタイトルに手が届いてもいい。

ボンボヤージ

後肢にバンテージ。夏場はデキがいい。トモが張って、448kgの割に馬を大きく見せる。踏み込みが深いのも強調材料。ゲートは決めたが、出脚は速い方ではなく中段から。少しオッツケ気味の追走。道中は少しオッツケ気味だったが、この馬とすればこれでもまだマシな方だろう。直線も他馬との比較で伸び負けした形ながら、この馬の脚は使っている。今日の相手でこの内容なら、何処かでもう一発有っても驚けない。

ロンドンプラン

前走小倉戦もある程度は出来ていたが、叩いて更に締まって来た。ただ、ケガが有った馬だけに、もう少し歩様に伸びやかさが欲しい。ゲートは元々怪しい馬だが、今日は出た方で、何とか中段やや後方から。行き振りはともかく、道中はスムーズに運べた。直線に向いてからも馬群を割ってジリジリ伸びているが、外の馬に勢いが有り、ここ迄。着は良くなったが、この内容だと前走小倉戦からパフォーマンスが上がったとは言いづらい。もう少し時計が掛かった方がいいか。

ビッグシーザー

+4kg。3歳馬とはいえ、休養前の京都戦が太かっただけに、馬体増は歓迎しない。どうしても腹回りがボテッと映る。微妙に出負けしたが、この馬の出脚で好位。人気を背負って、3〜4角中間から前を追い掛けに行ったが、そこで追い付ける気配がなく、直線も雪崩込んだだけだった。太目が残ると機動力がなくなる傾向。

第8回紫苑ステークス(GⅡ)

モリアーナ

パシュファイヤー。前肢にバンテージ。悪くいえば少し力感に欠ける嫌いも有るのだが、伸びやかな歩様。馬体も少し細身ながら、キッチリ出来ていた。ゲートでアオったことも有るが、鞍上の決め打ちで後方から折り合いに専念。開幕週のトライアルだけに、どうしてもレース全体の動きが早いのだが、そこでもワンテンポ待ってからの直線勝負。この段階では前とは10馬身以上、離れていたが、結果的に前との差が有ったことでコース取りが明快になったか。迷うことなく馬群を割って、ヒップホップソウルの勝ちパターンを並ぶ間もなく差し切った。2000mをマイルの競馬で勝った様な印象。マイルならこの勝ち方でいいが、次走京都戦となると高い評価がし辛い。尤も、次走はリバティアイランドが相手。今日の競馬の方が2着を取れる可能性は高いということもいえるが。

ヒップホップソウル

少し物見をして、頭が高くなる場面も有ったが、馬は迫力充分。このメンバーなら最上位クラス。姿勢の割に歩様も悪くない。ゲート五分。出脚が抜群に速いという訳ではなさそうで、少し出していったが、その分、序盤は掛かり気味にも見えた。インに居た分、我慢は利いたのだが、向正面でもまだ力んでいた。4角手前で内に包まれるのを嫌って、ソレイユヴィータとアマイの間を割って直線入口で先頭。坂の途中では完全に抜け切ったのだが、最後にモリアーナの強襲。馬は強い競馬をしているが、気性的な課題は残った。今日は例年の様なマクり合戦にならなかったのもいい方に出なかったか。ただ、京都2000mの方が向く筈。

シランケド

前後肢にバンテージ。全体に造りが厚ぼったい印象。極端に太い訳ではないが、牝馬にしては腹回りがボテッと映る割に、トモが薄い。要はメリハリがない。歩様もブレが有る。出負けして後方からジックリと。ずっと外を回っていたとはいえ、コーナーでの動きは決していい方には見えず、直線で大外へ持ち出してからも暫くモタついていたが、ラスト1Fの伸びが強烈。500万の前走小倉戦もいい脚だったが、今日のメンバーでも同じ脚を使っている。単騎放牧に出してこれも京都戦へ向かう様だが、中々難しい。20年に1回位はサンドピアリスやブゼンキャンドルの様な馬が現れても不思議はないのだが...。更にいえば、この手のタイプは何度も同じ脚が使えない。早い段階で賞金を稼がないと、オープンに上がることすら厳しくなる。

キミノナハマリア

494kgと馬格は有るが、スカッとした造り。しっかり踏めていた点も好印象。首でリズムを取って気配も良かった。ゲート五分。この馬の出脚で好位。道中はヒップホップソウルを眼前に置く形。ヒップホップソウルは掛かり気味だったが、こちらは逆にオッツケ気味で、少し行き振りが悪かった。4角で更に置かれ気味になり、直線に入ってからは盛り返しているが、切れる馬には太刀打ち出来ず、ここ迄。この馬には時計が早過ぎたか。この馬場ならもう少し距離が有った方が良さそう。

ミシシッピテソーロ

2人曳き。+4kg。少し緩い気もしないでもないが、馬格がないだけにガレて出て来るよりはマシ。背丈は低いが、トモは張っている。気配も抜群に良かった。ゲート五分。出脚を使わず中段の内目。道中の行き振りは悪くなかった。4角手前からキミノナハマリアを目標に動いて行ったが、いい時のピリッとした脚は使えず、雪崩込んだだけだった。経験の問題も有るが、やはり2000mは長い印象。その中で賞金を咥えて来るのだから力は持っているともいえるが。

エミュー

+4kg。出来ればもっと成長した上で出て来て欲しかったが、小さいなりに緩んだところもなくキッチリ出来ていた。一歩一歩しっかり踏めていた点も好印象。ゲート五分。出脚の有る方ではないが、押してやっと中段。行き脚が付いて、向正面迄はまだ良かったが、3角辺りから手応えが苦しくなって、直線も伸びず。敗因は良く分からないが、強いていえばこの馬場が合わなかったか...。