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競馬回顧 2023年2回京都

競馬法100周年記念 第168回天皇賞・秋(GⅠ)

イクイノックス

2人曳き。激走続きだけに、歩様の硬さだけどうかと思っていたが、今日もスムーズ。世界最強クラスの割に少し非力に映る時も有るが、前走阪神戦より頭が低い分、力強さも有った。馬体も問題ない。ゲート五分。今日は最初から行き振りが良く、労せず3番手。頭数も少なかったが、バラけた位置でリズム良く運べた。1000m通過57.6秒はそこ迄速い訳ではないが、ラスト400mで持ったまま先頭。後続を全く寄せ付けず、ステッキ2発で1分55秒2のレコード。世界最強の看板に偽りなしの強さだった。ただ、次走は春からの焦点だったリバティアイランドとの対戦。純粋なパワー勝負ならイクイノックスの方が上だろうが、速く走るという点では微妙な面も。4kg差も大きいところで、実質は五分か少し分が悪いかも...。

ジャスティンパレス

腹回りはスッキリと見せつつ、トモに張り。今日も良く出来ていた。少し煩いのも毎度。馬体に柔軟性が有るのもいい。仮に五分の発馬だったとしても今日は同じ競馬だっただろうが、例に依ってゲートでアオッて最後方から。イクイノックスは気にせず、直線で自分の脚を使うことに専念。前走阪神戦もそうだったが、直線に向いてから加速し出すのが早く、最後迄いい脚を使って2着確保。左手前になるのが早く、決して真っ直ぐ走っていた訳ではないが、それでも持続力は優秀。次走は中山戦へ向かう様だが、有力馬の1頭。

プログノーシス

前後肢にバンテージ。しっかり踏めていた。バランスの取れた馬体で、迫力充分。前走札幌戦から高いレベルで安定。スタートしてジャックドールと少し接触したことも有るが、この馬自身もゲートで後手に回っており、後方。ジャスティンパレスの1馬身前からの競馬。勿論、今日の展開ならこれで正解。ずっとリズムも良く走れていた。追い出してからの反応も悪くなかったが、持続性の点でジャスティンパレスに利が有った。やはり東京向きではない。次走は香港へ向かう様だが、中山2500mも距離不適だけに最善の選択か。

ダノンベルーガ

2人曳き。-8kg。少し煩い位の気合乗り。前走札幌戦も決して太かった訳ではないが、数字分だけスッキリとした印象。少し完歩が小さい嫌いは有ったが、ブレがなく、今日の方が歩様はいい。出脚が苦しく、後方から。行き振りも決していい方ではなく、4角は圏外の手応えにも見えた。それを考えれば、直線は良く頑張っているのだが、2〜4着争いの追い比べで、プログノーシスより一瞬前に出ながら、最後に甘くなって差し返された様にも見えた。底力で負けた印象。GⅠだと能力の絶対値が足りない。

ガイアフォース

+6kg。ほぼ真っ白になった芦毛だけに、分かり辛い部分も有るが、太くは見せない。完歩の小さい歩様は毎度。今日はゲート五分。前走中山戦同様、積極的に乗られて2番手から。ジャックドールに付いて行って、このペースに一役買っていた。坂下でジャックドールを捕まえて先頭。あとは何処迄粘れるかといったところだったが、イクイノックスに並ぶ間もなく交わされてキツくなった。今日は自爆覚悟の腕試しに近い。掲示板に残れただけでも良しとすべきところだろう。今日は馬を強くする競馬。GⅡ以下なら幾らでも勝てる筈。

ドウデュース

+4kg。この中間は色々有ったが、デキは満点。馬体の張りが有って、歩様もスムーズ且つ力強い。気配も抜群に良かった。今日はゲート五分。出たなりで中段から。内外に馬が居たことも影響したか、道中は結構力んでいた。直線に向いてからも一瞬は反応したが、そこ迄。競馬にならなかった。例の乗り替わりが痛恨。本来の鞍上を蹴った馬がこの馬と同馬主という話も有る様だが、ツキに見放された印象。次走試金石。

ジャックドール

-10kg。目一杯仕上げて来た印象。その分、馬に気合が乗り過ぎて、かなりチャカついていたが、先行馬ならこれはこれでいい。最初からの決め打ちだった様で、外から押してハナ。外枠からの先行だったが、前述した様に1000m通過57.6秒だから、そこ迄速くない。ただ、自分のペースで逃げているというより、押す場面は多少なりとも有った。その分、直線も伸びない。スピード自体が落ちている感も。

第12回アルテミスステークス(GⅢ)

チェルヴィニア

2人曳き。+4kg。480kg有るが、骨格のしっかりした馬で、それ以上に馬を大きく見せる。見た目の完成度も高い。一歩一歩しっかり踏めていた点も好印象。ゲートは微妙に悪かったが、出脚は悪くなく、労せず好位。内外前に馬を置いて、しっかり折り合いも付いていた。この位置に居た分、直線は中々前が開かなかったが、ラスト300mで先に眼前のスティールブルーが抜けてくれて、少し強引ながら進路を確保。そこからは1頭だけ脚が違っていた。下見の迫力から違ったが、能力も抜けていたか。ただ、抜け切って重心が上がり気味。昨年の2着馬、リバティアイランドがチラつくレースだが、そこ迄を期待するのは酷。

サフィラ

-4kg。コンパクトに纏まっていて、極端に細い印象はない。非力さもそこ迄感じないが、このメンバーと迫力負け気味。好発も、出脚が速い方ではないのか、徐々に番手が下がって3角で中段。道中の行き振りも、そこ迄いい方ではなかった。追ってからの反応も決して俊敏だった訳ではなく、それがチェルヴィニアに進路をやる形にもなってしまった一因となったが、ラスト100mからジリジリ伸びて2着確保。馬格がないので、成長力に疑問符も付くが、現時点ではもう少し距離が有っても良さそう。

スティールブルー

前後肢にバンテージ。432kgの割に、垢抜けた馬体の持ち主。良くいえば柔軟性が有りそうだが、頭が高く、まだ全体に非力。ゲートは五分程度だったが、押して好位の外。チェルヴィニアの外に居た。壁がない状態でも折り合いは付いており、チェルヴィニアの進路を潰す様に、タイトに乗られ、追い出しも待つ余裕が有ったが、最後は決め手の差か。止まった印象はないのだが、トビが大きく、回転数が足りなかった印象。鞍上は完璧に乗ったといえるが、もう少し距離が有った方が着には結び付き易いか。新馬即の参戦だったが、500万は楽勝級。

ライトバック

前後肢にバンテージ。少しチャカつく。少し寸詰まりながら、品のいい馬。歩様から体幹の強さは有りそうだが、まだ線が細い。ゲートでアオって1馬身不利。そのまま後方からの競馬だったが、道中は口を割って行きたがっていた。並の馬なら、そのままズルズル行くところだが、それでも最後迄しっかり伸びて来ていた。能力は相当高い。ただ、牝馬で最初からこの状態だと、鍛錬の域迄持って行くのが中々難しい。開業3年目のまだ実績のない厩舎だが、これから調教技量が問われる。

ショウナンマヌエラ

下見は最後方を周回。+12kg。舌を括る。成長分も有るだろうが、元々が骨格のしっかりした馬で、太くは見せない。落ち着いていた点も好印象。ただ、馬格の割に歩様の力強さがない。好発。出脚も有ったが、誰も行く気がなく、少し押した程度でハナ。1000m通過60.0秒は、今日の馬場だとスロー。直線迄、単騎で回って来れたが、直線入口で突き放す脚がなく、坂下で捕まって苦しくなった。前走新潟戦と似た様なペースで逃げて、時計が0.5秒遅くなったのは頂けない。前走の時計だけ走れば、2〜3着有ったが...。良く分からない負け方。

第66回MBS賞スワンステークス(GⅡ)

ウイングレイテスト

遮眼革。胴長でゆったりとした体型。歩様,気配と、前走中山戦から大きく変わったところはなく、ほぼ平行線。その気ならハナへ行ってもいい勢いだったが、外のトウシンマカオが徹底先行の構えで来て、2番手のイン。1000m57.0秒と、そこ迄スローだった訳ではないが、絶好の形で運べた。4角で進路を確保して、ラスト250mで抜け出すと、一気に後続を突き放して、このリードを辛うじて守り切った。競馬も上手かったが、遮眼革が利いているのか、前走の力をそのまま発揮して初重賞制覇。ただ、その前走で相手がソウルラッシュとはいえ、ひと踏ん張りが利かなかった点から、現状だと平坦の方がいいだろう。

ララクリスティーヌ

一息入ったが、数字通り、キッチリ出来ていた。ここ目標だったことも有るだろうが、馬体の張りや毛ヅヤ等、デキ自体が良かった。歩様の力強さも特筆モノ。この枠にしてはコースロスも最小限で済んだ。ただ、京都のコース形態も影響しただろうが、4角の出口で少しモタついたのが痛かった。ここでウイングレイテストに対し、2馬身位ロスしている。最後が猛追してクビ差迄追い詰めただけに尚のこと惜しかった。尤も、馬は責められない。鞍上のコース経験の少なさが出た格好。次走阪神戦とのことだが、今度こそ決めたいところ。

ロータスランド

前後肢にバンテージ。+16kg。この馬体増は好印象。少し太いかも知れないが、馬が張っていた。歩様の力強さも目立つ。ゲートは出たが、最初から鞍上に行く気がなく、最後方待機。向正面で中段位置がゴチャついて、一気に下がって来る馬も居たが、上手く避けていた。3角から内ラチへ寄せて、4角は少し勢いが付き過ぎて捌き損ねそうになっていたが、この鞍上お馴染みのイン強襲。良く伸びたが、いい脚は一瞬だけ。最後は明らかに止まった。現状だと1200mだと忙しく、1400mだと末脚が続かない。もうワンパンチ欲しい。

ルガル

前後肢にバンテージ。-6kg。寸詰まりのマイラー体型だが、トモが張って古馬相手でも馬は負けていない。気配,歩様も悪くない。出遅れ1馬身不利。そのまま後方のイン。直線だけ内ラチ沿いではなく、少し外へ持ち出し、伸びて来たが、ジリジリとしか伸びずここ迄。特に自分より後方のロータスランドにやられたのは頂けないところ。ゲートが決まっていれば、ウイングレイテストの位置が取れた筈で、また結果も違ったのだろうが...。追える鞍上と追えない鞍上の差は有るが、古馬相手だと、微妙に足らないか。

ウインマーベル

2人曳き。叩いて3走目。今季はそこ迄デキがいい訳ではないが、その中では一番いい。集中力が有って、気配もいいが。歩様はこんなモノ。ゲート五分。ララクリスティーヌに付いて行く形で、好位直後。そのララクリスティーヌを壁にして折り合いを付けようとしていたが、少し力んでいた。直線に向いてからも、暫くはララクリスティーヌの1馬身後方で食らい付いていたが、ラスト200m位から甘くなり、掲示板止まり。器用さは有るので、1400mも立ち回り一つだが、距離が微妙に長い。今日の様に折り合いを少しでも欠く場面が有ると苦しい。

グレナディアガーズ

前後肢にバンテージ。骨折明け。数字はほぼ出来ていたが、馬が少し萎んで見えた。いい時はもっと大きく見せるタイプ。歩様にも硬さが有った。半馬身程、出負けして後方から。リズム良く走らないとダメな馬で、インに入れられず、包まれることのない様に乗られた。これはこれで何時も通りだが、京都で4角大外ブン回しは如何にも苦しい。最後の脚は目立っていたが...。とはいえ、このデキでこれだけ走れば上等。阪神戦が目標とのことで、人気にもなるだろうが、本命級。

第84回菊花賞(GⅠ)

ドゥレッツァ

シープスキンノーズバンド。前肢にバンテージ。+12kg。前走新潟戦の段階では、通用する馬には見えなかったが、見違える程成長。僅か2ヶ月弱で別馬になった。それで居て、柔らか味の有る歩様が如何にも長距離向き。ゲートはむしろ分が悪い方だったが、ジワッと行かせて1周目の4角でハナ。恐らく何かに行かせる気だったか、そこから極端なスローに落として、結果的にそこからはリビアングラスにハナを譲り、自身は好位のイン。ラスト2000mから好位待機の競馬をやり直す様な格好に。距離損をなくす為にには、思い切って乗るしかなかったが、この変則的な形でも上手く折り合いを付けたことが最大の勝因。最後の直線で内から抜け出して、あとは独走だった。尤も、この競馬では能力面での評価はし辛い。馬が良くなっていたことは間違いないが、ここからGⅠ常連となれるかどうかは何とも。

タスティエーラ

+2kg。緩んだところも一切なく、数字通りキッチリ出来ていた。少し気負っていたのと、伸びやかな歩様も何時もと一緒。ゲート五分。出脚を使わず、最初から折り合いに専念して中段やや後方。可能な限り外に馬を置かず、インベッタリではなかったが、必ず前に馬を置く形。結果的に2周目の3〜4角は少し包まれる格好になり、一瞬、外からファントムシーフやソールオリエンスに出られる場面。直線に向き切ってから前が開いて、先を行くドゥレッツァを追い掛ける態勢は造ったが、最後は1頭になってしまった分も有るにせよ、明らかに脚が鈍っており、2着確保がやっとだった。展開の差は有ったとはいえ、3馬身半差は完敗に近い。器用さでここ迄来たタイプだが、距離適性の差は否めないところか。東京戦時にも述べたが、良くも悪くもシャフリヤールと同レベルの馬。

ソールオリエンス

+4kg。前走中山戦が少し緩かったが、今日も些か微妙。悪くはないが、そこ迄良くなった印象はない。歩様もこれでいいが、絞れればもっと伸びやかだった筈。例に依って出脚の速い方ではなく、後方に近い位置。タスティエーラを意識しながら乗られた。折り合いは付いていたが、外をずっと回された感も有る。タスティエーラより先に仕掛けて、馬群の中へ閉じ込めようという狙いは当然だが、京都の場合は直線に向くと自然とバラける傾向。最後はこの馬の方が先に苦しくなってしまった。馬も3000mが向かないのだろうが、鞍上も工夫が足りなかった感は有る。

リビアングラス

迫力を感じさせるという程ではないが、コンパクトに纏まって如何にも長距離向き。皮膚を薄く見せて、デキ自体も良さそう。気配に集中力が有ったのも良かった。この馬もゲートは出た方だが、直ぐ内のパクスオトマニカが更に速く、譲らざるを得ない形。更に外からドゥレッツァが来て序盤は3番手から。1000m通過した辺りでドゥレッツァがペースを落とし、パクスオトマニカと一緒にハナへ。2周目の向正面に入ってパクスオトマニカがまた単騎のハナと、それぞれ引っ掛かっていた訳ではないが、出入りの激しい競馬になった。それでも2周目の坂の下りで内から先頭。そこからが長かったが、見せ場充分の4着。最初からの単騎逃げだったら馬券圏内迄有っただろう。まだ準オープンにも使える馬だが、長距離の逃げ馬として、常に一発期待したい馬。

サヴォーナ

+8kg。走れない状態でもなかっただろうが、数字分だけ腹袋が目立つ。ただ、歩様に柔らか味と力強さが有って、デキ自体はいい。ゲートで分が悪く、後方に近い位置。1周目のホームではソールオリエンスのほぼ真横。一旦ハナに立ったドゥレッツァがペースを落としたことで、スローを嫌って前を目指した馬も多かったが、この馬も2角辺りから外を進出して2周目3角で好位。直線入口ではドゥレッツァも射程圏に入っていたが、流石にそこからの脚が続かなかった。それでもこの競馬でソールオリエンスと0.1秒差。大健闘といえる内容。更に力が付いて、追って頭が上がる場面がなくなれば、重賞にも手が届く筈。

ハーツコンチェルト

前肢にバンテージ。+6kg。数字分だけ少し立派だった気もしないでもないが、問題ない範囲。馬に活気が有って、歩様も悪くない。出脚は速い方ではないが、少し押して好位直後。前に壁がなかったことも有るが、少し行きたがっていた様にも見えた。それでも徐々に内へ寄せて、2周目の3〜4角は上手く脚を矯めることが出来たが、2周目の4角で他馬と接触する場面が有ったのが痛恨。直線は何時も程の脚は使えず、ジリジリだった。尤も、今日は外枠に泣いただけで、前走阪神戦よりは動けている。もどかしいレースも多いだろうが、この手の馬は息の長い活躍が期待出来る。

サトノグランツ

+4kg。数字は増えたが、スッキリと見せていた。一歩一歩しっかり踏めていた点も含め、これなら文句なし。水平首を保って、気配もいい。ゲート五分。少し出して中段やや後方から。序盤のペースが遅い場面ではそうでもなかったが、レースが動いた2周目の向正面辺りからはオッツケ気味。本来なら距離を稼がないといけない坂の下りで置かれていては競馬にならない。淡々と流れる競馬なら違っただろうが、今日の様な展開だと付いて行けない。国内戦は距離が有ってもこの馬には不向きな展開になりがちで、海外へ勝機を求めた方がいい気もしないでもない。

第26回富士ステークス(GⅡ)

ナミュール

+6kg。この馬体増は素直に好感。馬体減に苦しんでいた3歳春とは全くの別馬。落ち着きが有って、歩様も力強い。ゲートも微妙に分が悪かったが、折り合いに専念してそのまま後方から。道中は可能な限りコースロスなく回して、直線に向いてから進路を探す形。今日も決して広いスペースが開いていた訳ではないが、イルーシヴパンサーとジャスティンスカイの間をコジ開けて来た。前さえ開けば、あとは決め手が違う。レッドモンレーヴの追い上げも有ったが、1馬身後方迄迫られてからは、余裕充分に相手が来たら来ただけ伸びていた。今春は不利続きだったが、今日は憂さ晴らしとなった一戦。ただ、これでGⅠに勝てるかといえば、また別問題。春にあれだけの不利を食らいながらリスクを背負った競馬をせざるを得なかった点自体に疑問符が付く。馬は本当に良くなっているとはいえ、直行組相手だとワンパンチ足りない可能性も。

レッドモンレーヴ

下見の隊列は本来の位置と違ったところを周回。今季初戦となるが、見た目はキッチリ出来ていた。歩様のブレもなかった。今日はゲートは五分に出たが、今日は出脚がなく、後方から。これはこれで何時ものことだが、道中の行き振りも悪く、オッツケ気味。直線に向いてからも伸びてはいるが、何時ものフォームではなく、走りに硬さが有った。ナミュールにまだ余裕が有ったとはいえ、それで1馬身1/4差の2着なら馬は強いのだが、下見程はデキが良くないのかも。硬さの問題は叩けば変わる筈だが、良くなったとしても京都向きではなさそうで、次走は苦戦か。

ソーヴァリアント

2人曳き。左だけオーストラリアンブリンカー。-4kg。数字は僅かながら減ったが、前走札幌戦の方が少しスッキリ見せていた気もしないでもない。とはいえ、歩様も含めて、デキに問題はなさそう。これもゲートは出ているが、行き振りが悪く、後方に近い位置。ダノンタッチダウンが外から先行したことで1000m通過56.7秒と東京マイルにしてはソコソコ流れたことも有るが、これも追走に汲々としていた。追ってからもモタつき気味で、レッドモンレーヴに外からほぼ無抵抗で交わされてから伸びて来て3着。尤も、こちらはマイルが未経験だったことを考えれば、力を示した内容ともいえる。ただ、これも京都が向く様には見えない。

イルーシヴパンサー

前肢にバンテージ。例に依ってスカッと見せる。下見で舌がハミを越していたのは何時ものこと。少し歩様が硬い点も毎度で、休養前から大きく変わった印象はない。ゲートも出たが、戦前からの作戦だった様で、押して好位。前述した様にペースはそれなりに速かったが、この馬としては積極的に乗られた。その分、道中の行き振りはいい様には見えず、直線も追って本来の脚が使えず、ここ迄。後方から大して伸びなかった近走と比較すれば、4着という結果は悪くないということもいえるのだが、これだと勝ち切るのは難しい。手が出し辛い馬になって来た。

マテンロウオリオン

-6kg。数字分だけスカッと見せる。どちらかといえば、動きの鈍いタイプだけに、絞れたことはいい傾向。歩様は悪くない。ゲート五分。これもこの馬としては強気に乗られて中段。ただ、こちらは道中で少し力んでいた様にも見えた。直線に向いて内目に居た割には上手く捌いて来れたが、追ってからの伸びは一息。イルーシヴパンサーとの併せ馬で追い負けていた。この辺りのメンバーなら何とかなっていい馬だが、評価が下がる一戦。

ステラヴェローチェ

2人曳き。前走UAE戦は未計測だが、前々走中京戦と比較して+10kg。馬は流石に立派だが、今日は少し重たい。馬体に張りは有った。デキ自体はいい。好発。出脚も有る馬だが、今日は馬が走りたくて仕方がない様で、好位の外でずっと引っ張り切り。直線に向いてからも、最後こそ息切れしたものの、ラスト200m位迄は差し返そうとする根性も見せていた。折り合いさえ付けばまだまだやれそう。次走狙い目。

第28回秋華賞(GⅠ)

リバティアイランド

前後肢にバンテージ。+10kg。全体に少しずつ緩さが有った。変に気負うよりはこの方がいいのも知れないが...。それでも馬振りが別格なのだが、デキの点ではデビュー以来、最低。ゲートは微妙に分が悪かったが、この馬の出脚で好位直後。引っ掛かる面は常に意識する必要の有る馬だが、鞍上も戦前の談話程は気にしていないのか、意外と緩めて乗られていた割に折り合いも付いていた。向正面迄は外に馬が居たが、3角手前で外の馬が居なくなった際に外へ持ち出し、4角手前から動く強気の競馬。今日はこの回り脚が抜群に速かった。直線入口で先頭に立ち、ラスト200mで鞍上がビジョンを確認すると、あとは流すだけ。着差は1馬身だが、今日も圧勝だった。縦位置から見た際に、1頭だけ真っ直ぐ走れていたのも印象的。馬が違ったとしかいい様がない。取り敢えず歴史に名を残すことは出来たが、それでも牝馬三冠は過去に6頭。次走は東京戦だそうでイクイノックスと戦うことになるが、唯一無二の存在への旅はまだ道半ば。今日のデキで勝てるなら、それが出来る馬。

マスクトディーヴァ

今日も数字の割に重厚感が有って、良く見せる。ただ、メンバーが強化されたことも有って、前走阪神戦の方が雰囲気は有ったか。何処か気になる部分が有るという訳ではないが、デキは良く見て平行線程度。出ッパ自体はリバティアイランドよりも速かった位だが、出脚がなく、後方から。捌き損ねだけはしたくないが、かといって外を回してもリバティアイランドに勝てる見込みはなく、難しい競馬を強いられた。3角手前でリバティアイランドが動いた際に、内目から少し番手を上げ、コーナーも距離ロスを嫌って内目。ただ、4角をもう少し上手く捌ければ良かったが、狙ったところが開かず、全部行かせてから外へ。リバティアイランドが最後流していたとはいえ、それで1馬身差迄詰めたのだからこの馬も強い。年内休養だそうだが、何処かでタイトルは取れる馬。

ハーパー

オーストラリアンブリンカー。+14kg。いきなりからキッチリ出来ていた。緩んだところが一切なく、全て成長分。皮膚を薄く見せて、気配も上々。歩様も含めて、下見は文句なし。ゲートでヨレた割には上手く立て直していたが、少し押して好位のイン。枠の利を最大限に生かす競馬。序盤はスローだったので問題なかったが、3角辺りから少しオッツケ気味。その分、馬群を捌く脚がなく、直線に向いて前がバラけてからジワジワ伸びて来た。決め手というより、機動力が足りない。もっと距離が有った方が楽。取り敢えず京都戦へ向かう様だが、200mでも距離が延びる点と外回りに替わる点は歓迎。尤も、リバティアイランドが強過ぎて、それ以下のレベルが良く分からない部分も有るが...。

ドゥーラ

+20kg。前走札幌戦が大きく減っていただけに、数字上は回復分ということになるが、少し腹回りに余裕を感じた。気配に乏しいのは、その前走が気負っていただけにむしろいい傾向だが。ゲート五分。出脚が甘い面も有るが、今日は最初からの決め打ちでリバティアイランドをマーク。3角手前でリバティアイランドが動いた際に、一緒になって動いて行く強気の競馬。ただ、4角で既に脚がなくなっており、直線は雪崩込んだだけだった。それでも、前走札幌戦の内容を考えると、もう少し粘れていてもいい。毎回、同じことを述べているが、馬体重の変動が激し過ぎて、デキが安定しないのがネック。

モリアーナ

2人曳き。パシュファイヤー。+4kg。細身に映るタイプだけに、増えて出て来たのはいい傾向。マイラー体型だが、今日の方がトモが張っていた。歩様も力強さが増した印象。ゲートも悪かったが、鞍上に行く気もなければ、馬の出脚もなく、後方から。前走中山戦同様、インを突いて何処迄来れるかという競馬。ただ、出来れば良馬場でやりたかったところか。ボコボコした内目を通っていた分、少しノメる場面が有った。直線も過怠金を取られながら狭いところを割って来た割に、5着止まり。とはいえ、一瞬の決め手は武器になる。GⅠ云々の馬ではないが、GⅢの限定戦なら。

第71回アイルランドトロフィー府中牝馬ステークス(GⅡ)

デヴィーナ

好調持続。428kgと、小柄な体型だが、馬体にメリハリが利いている。数字の割に脚が長いことも有るが、歩幅が広い点もいい。ゲート五分。最初は好位で折り合いを付けるつもりだった様だが、行きたがってしまい、馬と喧嘩するよりはと、そのまま行かせてハナ。1000m 60.0秒だから、むしろ遅い位の流れだが、誰も付いて来ず、結果的に大逃げの形。4角で少し引き付け、坂下で突き放し、そのリードを最後迄守り切った。とはいえ、1番人気の馬をこれだけ楽に逃がしてくれたのは僥倖という外なく、初重賞制覇ながら、今日の内容はむしろ評価が下がる。マイルならまた違うのだろうが、少なくとも1800mは長い。

ルージュエヴァイユ

+4kg。胴長の体型で、スッキリと仕上がっていた。水平首を保って、馬に集中力が有り、小気味良く歩けていた点も好印象。出遅れ1馬身不利。そのまま後方から。折り合いは付いていたが、スローを嫌って3角手前辺りから手綱を緩める程度で外をジワッと進出。4角で中段。このスローで全馬が伸びている状況だったが、最後はハナ差の惜しい2着ながら、力強い脚でジワジワ差を詰めていた。今日は勝てるレースを落とした格好。何処かで重賞の一つ、二つは勝てる筈だが、東京1800mがベストなのも確かで、痛いハナ差。

ライラック

+18kg。デビュー以来、最高体重だが、ギスギス感がすっかりなくなった。緩い印象もなく、ほぼ成長分。好発。出脚は速い方ではないが、ゲートが決まったことに加え、誰も行く気がなかったことで、楽に好位。上手く流れに乗れた。セコい競馬は出来た。直線に向いて、少し内にモタれ気味だったことも有り、エンジンの掛かりが悪かったが、ラスト100mから追い上げて3着。当然ながら、距離はもう少し有ってもいい。坂が有った方が追い込みが利き易い面は有るが、2200mになる次走京都戦は狙い目に。

フィアスプライド

シープスキンノーズバンド。牝馬にしては腹袋もしっかり有って、ドッシリとした造り。ただ、見た目の割に歩様が頼りない。もう少し歩様に力感を感じさせて欲しい。ゲートが微妙に分が悪く、外枠ということも有り、無理せず後方で折り合いに専念。馬群の外ではなく、バラけた位置迄下げて、前を壁にして乗られたが、それでも少し力んでいた様には見えた。直線だけ外へ持ち出して、道中でロスが有った割には最後迄しっかりと伸びていた。届かなかったのは展開も大きい。気性的な問題は解決する必要は有るが、このメンバーでも通用する力は有る。

プレサージュリフト

少しトモが甘く見える歩様は毎度。馬体も含めて、その点では良くも悪くも変わった雰囲気はないが、今日は気合乗りが良かった。ゲートで安目を売って後方から。これも少し力みながらだったが、我慢は利いていた。ただ、今日はそれよりも直線の捌きを失敗したのが痛恨。抜け出そうとしたタイミングで眼前のライラックがヨレる等、実質はマトモに追えたのがラスト150m程度。勿体ない競馬になってしまった。逆にいえば、これも力負けではない。

イズジョーノキセキ

-10kg。数字分だけスッキリとした程度だが、前走札幌戦も太いと迄はいえず、許容範囲。歩様も落ちていない。ゲート五分。この鞍上にしては珍しくいきなりから抑えていたが、最初から行きたがっていた。内外前に馬を置いて何とか宥めようと工夫しているのだが、1周丸々ずっと引っ張り気味。こうなると直線も全く伸びないのも仕方がないところ。今年に入って気性的に難しくなってしまった。

シンリョクカ

+20kg。少し緩さは有ったが、太い印象はなく、ほぼ成長分。元々細身だったことも有り、馬体増自体はいい傾向。全身を使って歩けていた点も好印象。ゲート五分。この馬の出脚で中段。もう少し行ける出脚は有りそうだが、壁がない状態は微妙に応えた印象も。直線もサッパリだった。鞍上の話通り、競馬にメリハリがなかった面も有るが、距離も長いか。次走試金石。

第58回農林水産省賞典京都大賞典(GⅡ)

プラダリア

+6kg。緩んだところもなく、キッチリと出来ていた。最近の中では一番いい状態。重心が低く、歩様にもバネを感じさせた。ゲート五分。出脚が速かったというより、油断すると引っ掛かりそうな気配が有り、鞍上も喧嘩を避けつつジワッと行かせて好位。上手くアフリカンゴールドの番手にハマった。ペースは遅かったが、大事に乗られ、前を可愛がるだけ可愛がって、追い出しは直線に向いてから。ただ、結果的は勝ったとはいえ、仕掛けはワンテンポ早くても良かった。ボッケリーニも強引では有ったが、内から迫られて進路をやる形になって、直線は併せ馬。一旦はボッケリーニに出られながら、最後は根性で差し返してネジ伏せた。勝負強さを感じさせる内容。ただ、次走東京戦は相手が強過ぎる。良くて掲示板だろう。

ボッケリーニ

+4kg。例に依ってスッキリと見せていた。首でリズムを取って、一歩一歩しっかり踏めていた点も好印象。好発。出脚にも余裕有ったが、鞍上に行く気はなく、好位直後。ただ、前がバラけ気味だったことも有り、全体では5番手から。インを只管回ってセコい競馬は出来た。直線に向いて、前が壁になり、外へ持ち出す際にプラダリアと接触する場面も有ったが、激しい追い比べ。一瞬は出たかに見えたが、あとひと踏ん張りが利かなかった。鞍上の話ではソラを遣ったとのことだが、下が渋った馬場も向くタイプで、今日は条件が揃っていただけに何とかしたかったところ。GⅡだと、もうワンパンチ欲しい。

ディープボンド

前後肢にバンテージ。+6kg。腹回りがボテッとし易いタイプだけに、馬体増は歓迎しない。一応は許容範囲だが、どうしても歩様が窮屈になりがち。好発も、鞍上に行く気はなく、中段やや後方から。これはこれでいいが、中段勢が固まったことも有り、向正面から外へ。元々がズブいタイプで、今日は一枚重かったことも有り、何時も以上に動きが鈍く、前との距離が離れ過ぎてしまった。最後は猛追したが、競馬が終わった後。内目を立ち回れていれば、また違ったのだろうが...。

ヒンドゥタイムズ

+16kg。これ位でも走っていた馬で、少なくとも太い印象はない。テンションは少し高いが、この馬としてはマシな方。歩様もそこ迄非力な印象はない。ゲート五分。内外の出方を窺っている間に外から来られ、後方に近い位置。1角手前で少し窮屈になっていたが、この距離はあまり走っていない割に、折り合いも付いていた。インに拘ってイチかバチかの競馬だったが、前がプラダリアとボッケリーニで、上手く進路も確保。ディープボンドとは底力が違った分の4着だが、ドンピシャの展開を上手く生かした。アテにし辛い面は有るが、イレ込みがマシだと全能力が発揮出来る。

アフリカンゴールド

下見は最後方を周回。+4kg。馬体は問題なく出来ていたが、歩様の硬さは気になった。少し煩いのは何時もとそこ迄変わらないが。ゲート五分。出脚はそこ迄速くないが、他馬にハナへ行く気はなく、ジワッとハナ。1000m61.6秒と、スローに落として単騎の逃げ。道中も誰も競り掛けに来ず、1頭で回って来れた。強いていえば、もう少し直線入口で突き放す形が造りたかったところか。良く粘っているが、上位2頭に併せ馬で来られて掲示板を確保するのがやっと。少なくとも雨は味方した筈で、今日の競馬で馬券圏内迄来れない様では少し厳しい。

ヴェラアズール

+6kg。もう少し絞った方がいいのだろうが、気配は悪くなく、一応は走れる状態。少しトモが甘い歩様は何時ものこと。ゲートに悪かったが、無理する気もなく、後方から。ただ、59kgを背負って外を回ると、今日の展開は競馬にならない。最近、こんな競馬ばかりという気もしないでもないが、一応は参考外。

ヒートオンビート

+6kg。キリッとした造りで、下見は抜群に良く見せた。伸びやかに歩けていた点も好感が持てる。気配も良かった。ゲートはソロッと出した割に引っ掛かりそうな雰囲気も有ったが、上手く宥めて中段から。多少外を回された分も有るが、更に外を回ったディープボンドには並ぶ間もなく交わされてしまい、直線はサッパリ。不利も有ったが、その時点で既に脚がなかった。今日のデキで動けなかったのは意外。道悪がダメ?

第74回毎日王冠(GⅡ)

エルトンバローズ

前肢にバンテージ。+6kg。前走福島戦とほぼ同様。馬格が有って、見栄えはするが、少し腹回りはボテッと映る。歩様も悪くはない。ゲート五分。出脚が速い訳ではないが、少し押して好位のイン。道中はリズム良く走れていた。直線に向いてからも手応え充分だったが、ウインカーネリアンとバビットが壁になり、暫く待たされる場面。これはこれで結果的に良かったか。1頭だけで抜け出す形になり、片や相手は3頭で追い掛ける格好。決して楽ではなかったが、一杯一杯振り切った。器用さがモノをいった形では有るが、中々あの形で踏ん張るのは地力が少なからず有るからこそ。中山辺りで何時か一発が有りそう。

ソングライン

2人曳き。前後肢にバンテージ。+10kg。太いというより、少し緩かった。ただ、米国遠征を控えている身としては、これで上等。変に気負っていないのもいい。五分の発馬から中段。完璧だった訳でもないが、この距離でも折り合いは問題なく、追走出来ていた。ただ、折り合いに専念するあまり、道中でデュガを先に行かせたのが失敗。直線に向いて直ぐ、デュガとエエヤンの間で狭くなる場面が有り、ちょっと待たされた。そこで鞍上が慌てなかったことがいい方に出て、最後は猛追したが、僅かに届かず。取り溢した競馬。馬は頑張っている。米国遠征でも勝ち負け必至。

シュネルマイスター

+10kg。毎回述べているが、500kgを超えると太く映る。今日は特に腹回りが厚ぼったい。歩様,気配等、他は問題ないが。ゲートは微妙に分が悪い程度。出脚もなく、後方に近い位置。恐らく最初からソングラインを意識して乗られていた。ただ、ソングラインが捌きに失敗しているのに、その内に居て、更にキツい展開になってしまった。無理矢理外へ持ち出したが、競馬が終わった後。それで居て同タイム3着は相当強い。この馬の場合はこの形が多いのだが、今日は評価が上がる一戦。次走京都戦は本命級。

アドマイヤハダル

前後肢にバンテージ。-6kg。このメンバーに入ると、馬のスケールで少し見劣るが、デキ自体は悪くない。歩様もしっかりしていた。ゲートで安目を売って後方から。結果論だが、馬群から離れた位置でジックリ乗られたのが正解。直線に向いてから外へ持ち出し、距離損こそ有ったが、ソングラインやシュネルマイスターと違い、不利なく回って来れた。ただ、ラスト200mで左手前になってしまい、そこから明らかに甘くなった分の4着。着差はハナ+ハナ+アタマと、僅差だが、高い評価はやれない内容。実績通り、オープン特別を勝てるかどうかのレベル。もう少し末脚の持続性が欲しい。

ウインカーネリアン

シープスキンノーズバンド。パシュファイヤー。-2kg。数字が示す通り、キッチリ出来ていた。伸びやかな歩様も何時もと同様。好発。同型バビットの方が徹底先行色が強いが、ゲートが決まったことも有り、そのままハナへ。道中は1000m通過59.5秒と遅い位のペースだったが、楽々単騎。何故か3角辺りから少しオッツケ気味になっていたが、それでも直線入口で突き放す場面。この馬らしく、渋太く粘っていたが、ラスト250m辺りから明らかに脚色が鈍り、掲示板を確保するのがやっと。陣営が語った通り、微妙に距離が長いか。

ジャスティンカフェ

シープスキンノーズバンド。-4kg。休養前の前走がデビュー以来、最高体重だったが、太くは見せなかった。今日もスッキリとした仕上がり。ただ、少し歩様が硬いのは減点材料。出遅れ1馬身不利。そのまま最後方から。これはこれでいいのだが、同じ競馬だったアドマイヤハダルに並ぶ場面すらなかった。前走は早仕掛けがたまたま当たっただけで、兎に角ジリッぽい。

第9回サウジアラビアロイヤルカップ(GⅢ)

ゴンバデカーブース

明らかに新馬の時より馬が良くなっていた。少し寸が詰まり気味のマイラー体型だが、キリッとした造りで完成度が高い。この体型の割に歩様にも硬さがなく、気配も良かった。ゲートは五分に出たが、鞍上に行く気がなく後方から。抑え過ぎたのか、3角手前では最後方迄下がっており、コーナーはむしろオッツケ気味になっていた。それでも直線で少し外へ持ち出されると、ラスト200mで先頭。左手前になるのが早く、直線はフラつき気味では有ったが、1頭だけ脚が違っていた。完勝。ただ、道中で流れに乗れていない点は気になった。更にいえば、人気2頭が道中で引っ掛かっており、能力の絶対値という点でも微妙。GⅠになるだろうが、次走が試金石。

ボンドガール

後肢にバンテージ。+8kg。数字分だけ重たい印象。全体的に緩さが残っており、明らかに攻め量が足りていない。歩様も新馬の方が良かった。半馬身出負け。挽回しようと少し出したが、頭を上げて行きたがってしまった。それでも3角過ぎから徐々に折り合いが付き、ゴンバデカーブースの脚は違ったが、シュトラウスとの争いには競り勝って2着確保。新馬がセンスを感じさせる内容で、引っ掛かったのは意外だったが、デキの甘さも影響したか。次走は阪神戦直行とのことだが、デキさえ有れば巻き返せる筈。

シュトラウス

2人曳き。前後肢にバンテージ。+10kg。少し余裕残しだが、馬振りは一枚抜けたモノが有る。一歩一歩しっかり踏めていた点も好印象。ただ、如何せん気負い過ぎ。これも出遅れ。最初から抑えようとしているのだが、それでも力んで頭が上がる場面。内目に居て、進路がなかった分、3〜4角はまだ我慢していたが、直線に向いて切れる脚がなかった。ただ、ゴンバデカーブースやボンドガールが直線でフラついていたのに対し、この馬は比較的真っ直ぐ走れていた。体幹の強さは有りそう。馬体のスケールからいっても、気性面さえ解決出来れば大化けするかも。

レーヴジーニアル

下見は直ぐ後ろのマリンバンカーがかなり煩かったが、それでも集中して歩けていた点は好印象。ただ、馬の完成度は低い。歩様も頼りない。好発。人気どころが出遅れており、出脚が本当に速いかは微妙だが、スッとハナ。1000m通過59.2秒だから、そこ迄速くはないが、道中は少し力みながらの逃げ。それ故、直線入口で突き放す形に持ち込めず、シュトラウスとハッピーサプライズに早目に来られて苦しくなったが、それでもバタッとは止まらず、ゴンバデカーブースから0.4秒差で踏ん張った。悪い内容ではない。500万を即勝てるかといえば微妙だが、鍛錬が積めば先々走ってきそう。

エコロマーズ

前後肢にバンテージ。-6kg。皮膚を薄く見せて、デキ自体は良さそうだが、後肢が勝ち過ぎた体型で、まだ馬が若い。上位3頭と比較すると、歩様にもブレが有る。ゲート自体は五分に出ているが、直後に引っ掛かりそうになり、宥めている間に番手が下がり、3角で後方2番手。下げてからはリズム良く走れていた。ただ、追い出されてからの重心が高く、上手く全身が使えていない。これも要は鍛錬不足。