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競馬回顧 2024年2回新潟

第16回レパードステークス(GⅢ)

ミッキーファイト

2人曳き。前後肢にバンテージ。数字通りの迫力が有って、馬は良く出来ている。新馬当時より、明らかに中身も良くなっている。トビが大きく、包まれるのを嫌って、出して好位。恐らくは外へ出すつもりだった様で、向正面に入ってサトノフェニックスの外へ。あとはそのサトノフェニックスを交わすタイミングだけ。トビが大きいので、スパッと切れる印象ではなかったが、ひと追い毎に差を詰めて、最後は力の違いを誇示する様な勝ち方。トビが大きく、高さも有り、素質は高い。ただ、頭が高いので、まだ推進力が全て前へ来ている状況でもない。トモに力がもっと付けば、GⅠでも。

サトノフェニックス

筋肉の輪郭が浮く様になり、デビュー当時とはすっかり別馬。遠征続きだった馬だが、何時の間にか、いい馬に化けた。逃げたブルーサンは別にして、行きたそうな馬が少なかったことも有るが、少し押して2番手。道中はリズム良く走れていた。直線入口迄、追い出しを我慢する余裕も有り、いざ追ってブルーサンを並ぶ間もなく交わして先頭。一旦は完全に抜け切ったが、最後はミッキーファイトにネジ伏せられた。上手く流れに乗れたことも有るが、単純に馬も良くなっていた。中央では数少ないの3歳限定ダート重賞の割に、出世レースではないレースだが、これも有望。

ミッキークレスト

前後肢にバンテージ。胴長の馬体。前走京都戦よりは馬体に重量感が出て来た。その分、歩様にも力強さが増した。ゲートも微妙に悪かったが、出脚もなく、後方から。向正面に入って、徐々に押し上げ、3角で中段やや前辺り。尤も、全体に動きはズブい。4角手前辺りから追い通しで、追い方の割には進んでいないものの、最後迄バテることなく走れた分の3着。500万からの競馬としては充分過ぎる内容。次走、1000万で人気になるだろうが、このズブさはネック。単勝が売れる様なら嫌ってみたい。

バロンドール

前々走東京戦と比較して+10kg。馬はその分、良くなっている。歩様にもブレがなく、気配も良かった。この馬としてはゲートを決めた方だが、出脚がなく、頑張って頑張って好位。押して行った分、序盤は掛かる位の行き振りだったが、3角過ぎから少しずつ手応えが怪しくなり、直線に向いて、伸びるというよりは雪崩れ込むという感じだった。とはいえ、ハピレに交わされそうになりながら交わされておらず、渋太い面は有る。ただ、1000万となると、ミッキークレスト以上に微妙。もうワンランク、力を付けないと厳しい。

ハビレ

前後肢にバンテージ。少しテンションの高い馬だが、大分集中して歩ける様になって来た。馬体自体はそこ迄、変わらず、、踏み込みが深いのもいい。スタート直後、バロンドールに寄られて出脚が付かず、後方から。3角辺りから内目を捌いて進出。上手く立ち回ったが、強いていえば直線半ばで一瞬ブレーキを掛ける場面が有ったのは痛かった。それがなくても4着が有ったかどうかだが、今日は位置取りが悪過ぎた。とはいえ、器用さが有るのはいい。これも1000万の馬だが、ゲートさえ決まれば、もう少しやれる筈。

ジーサイクロン

前後肢にバンテージ。縦の比較では悪くないが、上位馬と比較すると、少し迫力で負ける印象。手先が軽く、歩様は悪くないが。ゲートを躓き気味に出て、出脚が付かず後方から。道中も動くに動けない位置で、どうしようもなかった。4角12番手だったことを考えると、これでも良く差して来ている方。今日は参考外。

第29回エルムステークス(GⅢ)

ペイシャエス

前後肢にバンテージ。多少煩いのは何時ものこと。完歩の小さい歩様も毎度。見た目にはもうひと絞りあってもいい。ゲート五分。出脚は他に速い馬も居たが、押して好位。ドゥラエレーデ、ミトノオーが人気を背負った馬が先行して、それらを見ながらの競馬。前がやり合ってくれて、願ったり叶ったりの展開になった。3角辺りの手応えは少し分が悪い様にも見えたが、必死で食らい付いて、前が甘くなったところを捕まえた。漁夫の利といえばそうだが、ドゥラエレーデにしても、ミトノオーにしても、GⅠでもソコソコやれる馬。最近は振るわなかったが、まだまだ稼げそう。

ドゥラエレーデ

2人曳き。前肢にバンテージ。前々走東京戦と比較して、+8kg。少し腹回りはボテッと映る。皮膚を薄く見せて、デキ自体は良さそうだが。歩様も悪くない。ゲートは怪しかったが、流石に出脚は速く、スッと2番手。相手はミトノオーと決め付けて、ほぼ真横ビタ付けで、徹底的にマークする形で乗られた。これはこれで上手く行っており、直線に入って楽勝の手応えでミトノオーを交わしたが、後ろで楽をしていたペイシャエスに持って行かれた。結果的に気分良く走らせ過ぎたか。とはいえ、強い内容で有ることは確か。使い方が神出鬼没に近い馬で、次走は芝の札幌戦とのことだが、馬体が絞れさえすれば。

テーオードレフォン

数字は増減なしだが、今日の方が少しメリハリに欠く。少なくとも前走函館戦からの上積みはない。少し煩いのは元々。ゲート五分。ドゥラエレーデの先行策に乗る形で、ジワッと好位。こちらは行き振りが良く、ドゥラエレーデを突いた面も有ったか。ただ、能力差は有るのか、4角辺りから手応えが渋くなり、直線は伸びずバテずの3着。ただ、今日はメンバーが揃っていた。リスクは有っても勝つならハナの馬で、今日は自分でペースを握る展開にならなかったことも有り、悲観する内容ではない。

シルトプレ

シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。-10kg。ただ、昨年のこのレースと比較すれば+12kgとなり、腹回りには少し余裕が有った。今年は少し姿勢も高く、昨年の方が雰囲気は良かった。ゲートは出たが、行く気なく後方から。最初から入着狙いだっただろうが、今日は前がやり合って理想的な展開。3角から大外をジワッと進出。他馬との関係で、余計に外を回された感も有ったが、似た様な競馬をした馬も他に居た中で、差した馬としては最先着。中々渋太い。アナザートゥルースと並んで、道営最強クラス。上手く噛み合えば、交流重賞でもソコソコやれそう。

ミトノオー

パシュファイヤー。前肢にバンテージ。-12kg。数字が減って、張りがなくなった感が有る。歩様はしっかり踏めていていいのだが...。デキ落ち? ゲートは五分程度だったが、出脚が速く、スッとハナ。ただ、ドゥラエレーデの方がスピードに余裕が有りそうで、ほぼ真横でずっとマークされる展開。1000m過ぎからペースを上げて突き放そうとしていたが、それでもドゥラエレーデが付いて来て、余計に苦しくなった。最近のこの馬からすれば大敗といえる5着だが、並の馬なら競馬にならなかった筈で、今日は仕方がない。全くの度外視でいい。

サマースプリントシリーズ第3戦 第24回アイビスサマーダッシュ(GⅢ)

モズメイメイ

馬体は不調時も大して変化がなく、変わっていないが、硬さがないのがいい。今日は力強さも有った。前走小倉戦もそうだったが、ゲートで微妙に分が悪く、後方に近い位置。400m程で、外枠でも前が完全に塞がる格好になってしまい、諦めてラスト400mで内目へ振って馬場の6分どころ。結果的に脚が矯められていた分、ラストは1頭だけ脚が違っていた。今日は1000mの馬が全滅となったが、直前に少し雨が降ったのもいい方に出たか。ただ、前走に続いて、今日も展開や条件が噛み合った感は有る。サマースプリントシリーズチャンプを意識しつつ、中京戦へ向かうことになるが、相手が強くなることも有り、難しい面も。

ウイングレイテスト

遮眼革。輸送が有った分、前走函館戦よりもマシだが、500kgを超えると厚ぼったさは残る。ただ、動きにキレが有って、キビキビ歩けていた。ゲート五分も、出脚が苦しく中段から。初の1000m戦で59kgと厳しい条件となり、叩き過ぎで鞍上は過怠金+騎乗停止になっていた程で、道中もオッツケ通し。それでも、最後迄止まらなかった分の2着。モズメイメイには並ぶ間もなく交わされたが、競馬が違っただけに仕方がないところ。59kgを覚悟で使って来るのがまず稀で、3連覇が懸かっていたカルストンライトオですら4着に敗れた程。逆にいえば、GⅠ級の能力を持っている。中山戦直行とのことで、最早本命級。

テイエムスパーダ

前肢にバンテージ。こちらは少しスッキリとした見た目。スプリントなら、もう少し迫力が有ってもいいが。ゲート五分。マウンテンムスメがハナを切り、直ぐに外ラチへ寄せたが、それに対して真っ直ぐ走って番手に付ける形。直線半ばの雰囲気では手応えにも余裕が有り、一瞬は楽勝かに見えたが、追い出して一瞬の反応が鈍く、一方でその割には最後迄渋太く粘っていた。走りがチグハグだったのは、1000m戦の経験がない分か。一度使えば変わるだろうが、尤も走る機会は年1回。とはいえ、自分のリズムで走れれば、まだまだやれることを証明出来たのは何より。

ディヴィナシオン

前後肢にバンテージ。-8kg。前走小倉戦は少し腹回りがボテッと映ったが、今日は絞れたとみていい。歩様に硬さもなかった。ゲートも微妙に分が悪かったが、出脚もなく後方から。出脚が鈍かった割には流れに乗れていた方か。スパッと切れる印象ではなかったが、追ってから最後迄ジリジリ伸びていた。1200mの時にもいえることだが、もう少し決め手が欲しい。今日は外枠の利が有って、やっと4着。現状ではあくまで入着級。

メディヴァール

遮眼革。前肢にバンテージ。数字は似た様なモノだが、今日は少し余裕残し。腹回りがボテッと映った。歩様も少し窮屈。スタート直後からかなり押していたが、それでも中段。その分、今日は少し窮屈な競馬を強いられたか。脚は矯められていたが、マトモに走れたのはラスト200m。仕掛け遅れた感も有る。勿体ない競馬。とはいえ、前々走はスムーズに走れたものの、終いが甘くなって4着。脚の使いどころが難しい。

チェイスザドリーム

+20kg。前走が少し細かったとはいえ、見た目にはそこ迄増えた印象はない。気配や歩様も悪くなかった。マウンテンムスメには叩かれたが、出脚は速い方で好位から。ただ、500m過ぎから手応えが怪しくなり、雪崩れ込んだだけだった。デキ自体は悪くなかった筈だが、馬体増で走りのバランスを崩したか...。

JRA70周年記念 第72回北海道新聞杯クイーンステークス(GⅢ)

コガネノソラ

後肢にバンテージ。少し物見をする場面も有ったが、リラックスして周回出来ていた。馬体は目立つタイプではなく、良くも悪くも何時も通り。ただ、歩様は少し硬目。ゲート五分。出脚自体は有る馬だが、外枠だけに無理せず中段。道中の折り合いは付いていた。ただ、1000m通過60.3秒のスローで、まだ開催2週目。大事に乗り過ぎて、外を回されてしまった感も有った。それでも4角手前から自力で動いて、ラスト100mで先頭。最後に内から来たボンドガールの猛追も凌ぎ切った。前々走もそうだが、いい決め手が有る。ただ、51kgはかなり味方しただろう。小回りをこなしたことは収穫だが、次走京都戦は相手次第。

ボンドガール

+6kg。馬体に緩んだところが一切なく、単純にデキがいい。精神的にも良さそうで、集中してキビキビ歩けていた。一歩一歩にブレがないのが何より。ゲートが開く直前に馬が立ち上がっていたが、待ってくれて五分の発馬。それでも、鞍上は最初から行く気がなく、後方のインから。何処かで外へ持ち出すタイミングもなければ、最内は最内で馬が居て、捌き辛い展開だったが、コガネノソラの直後へ運んで、その内から併せてここ迄。惜しい2着。前走東京戦の様に、折り合いに不安が有る馬で、かなりフワッと乗っていたが、最内枠となればこれしか手がなかったか。ハンデやこの乗り方が上手く行ったのも確かだが、我慢が利いたのは収穫。

アルジーヌ

前後肢にバンテージ。-6kg。数字の割に胴が長く、スカッと見せる。手先のスナップも利いていて、下見にケチを付けるところはない。ゲートは分がいい方ではなかったが、押して好位。逃げたコンクシェルの番手に上手く収まることが出来た。出して行った割には、道中の折り合いも問題なかった。ただ、トビが大きい馬で、3角辺りからペースが上がって、コーナーでは付いて行くのがやっとの状態。直線に向いてからは盛り返しているのだが、上位2頭は有る程度、コーナーで勢いを付けて回っており、後追いの形になってしまった。セコい競馬は出来たが、この馬には向かない様。広いコースの方がいい。

ドゥアイズ

後肢にバンテージ。トモが張って、このメンバーに入れば、馬のスケールが一枚上。毛ヅヤが冴えて、踏み込みも悪くない。外枠、更にゲートを真っ直ぐ出ず、出脚が鈍り、後方に近い位置。ただ、ペースの割に行き振りが悪く、少しオッツケ気味の追走。3〜4角中間からマクり気味に動いているが、叩き切る迄の脚がなく、この馬自身が左手前になった上に、コガネノソラが少し外に張って来たことで、余計に外を回されたのも痛かった。逆にいえば、直線は良く差を詰めている。基本的には広いコースの方がいいが、1,2着馬とは斤量差も有り、この辺りのメンバーなら展開ひとつ。

コンクシェル

首が長く、寸詰まりの体型。硬さはないが、頭が高い分、少しトモが甘い様にも見える。こんなモノといえば、こんなモノなのだが...。出脚が抜群に速いという訳でもなさそうだが、注文を付けてハナ。ウインピクシスもいい勢いで来たが、ハナへ行く気はなかった様で、1角で引いてくれて、単騎逃げの形。前述した様に、ペース的にもスローで、番手に居たウインピクシス、スタニングローズ共、4角で止まってくれる理想的な展開。直線半ば迄は押し切り態勢かに見えたが、そこからが甘かった。自分の形だっただけに案外感が強い。斤量をこなすだけの馬力がないのか...。

スタニングローズ

下見で少し煩いのは元々。馬体はゆったりと見せて、踏み込みも力強さが有った。少なくとも下見だけなら、近況の不振を想像出来ない。直ぐ内に前に行く馬が居て、枠の並びも良かったが、この馬自身の出脚も速く、労せず好位。道中の行き振りも今日は良かった。スローを意識しつつ、1000m過ぎから進出。4角では楽勝の手応えだったが、直線に向いてからが案外。本来、この辺りのメンバーなら楽勝する筈だが、斤量差を考慮してもダラしなかった。下見が良かっただけに精神面を疑うところ。暫く掛かりそう。

ウンブライル

+4kg。直ぐ前を歩くボンドガールと同様に、雰囲気は良かったが、連られたかも。テンションの高さはネックの馬で、小走り迄入っていたのはマイナス。ゲートをアオり気味に出て、出脚が鈍り、後方から。マイルを使っていた馬だけに、序盤に多少力むのは仕方がないところ。我慢して走ってくれていた。ただ、コーナーでの手応えが悪く、脚がないので、外に居た馬をパス出来ず、勝負どころから余計に窮屈な競馬を強いられてしまった。直線も前を同じ脚色。ただ、器用なタイプではなく、小回りだとこんなモノか。このコースは適性外。