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競馬回顧 2024年2回中京

サマー2000シリーズ第5戦 第60回農林水産省賞典新潟記念(GⅢ)

シンリョクカ

しっかり踏めていて、例に依って馬体も数字以上に迫力が有る。前走福島戦よりも、少しフックラと見せるのもいい。骨折も有ったが、見た目は完全復活。ゲート五分。出脚は決して速くなさそうだが、押して押して先行。アリスヴェルテから少し距離を取った2番手から。道中の折り合いは付いていた。最初から全体に内を開けて走っていたが、直線に向いて、馬場の6分どころ。ラスト400mを切った辺りで先頭に立ち、少し早い位のタイミングだったが、最後こそ苦しくなりながらも一杯一杯振り切った。先週の雨で、一気に馬場が悪化し、各馬が大事に乗ったのが前に居たこの馬にはいい方に出たか。とはいえ、渋太い面は長所。尤も、牝馬限定戦だと決め手不足という話になるのだが...。

セレシオン

遮眼革。物見をしながら歩く癖は元々。重心は高くても、歩様の非力さは感じない。馬体もスッキリと見せて、デキ自体も良さそう。出遅れ1馬身不利。ステッキを入れても進んで行かず、最後方から。最初は走る気が全くなさそうで、行き脚が付いたのは3角手前。直線で追い出してからも中々反応しなかったが、エンジンが掛かってからは馬群を縫う様に追い上げ、惜しいハナ差。何かひとつスムーズなら、勝っていたか。新潟外回りが得意というより、新潟しか競馬にならないタイプ。といっても、来年迄開催がないが、賞金も加算出来ただけに、秋の東京2500m辺りを狙ってみるのもひとつの手か。

キングズパレス

シープスキンノーズバンド。前肢にバンテージ。前走福島戦と変わらず。馬体に重厚感が有って、集中して歩けていた。それで居て、手先が軽いのもいい。ゲート五分。無理はせず、この馬の出脚で中段やや後方から。道中はジッと脚を矯め、枠なりにずっと外を回って、少し仕掛けを送られ、新潟の正攻法。追い出してからの反応も良く、一瞬は勝ったかの場面だったが、先頭に立たんかの場面から、少し甘くなった分の3着。この馬自身も、少し外へ張り気味では有ったが、この馬より上手く運んだ馬が2頭居たという外ない。やはり左回りの方が上手く、ここでも勝てる力は有るが、ツキが味方しなかったか。

ゴールドプリンセス

2人曳き。父のゴールドアクターに似て、胴長で良く見せるタイプ。下見で少しテンションが高いのも父同様。ただ、もう少し歩様が安定して来ると尚いいが。ゲート五分。出脚は有って、スッと好位。眼前のシンリョクカはいい目標になった筈で、そのシンリョクカさえ交わせばという競馬は出来たが、相手が中々渋太く、交わせずモタついている間に、こちらが疲れてしまった。ただ、ズルズル下がったという程でもなく、セレシオン,キングズパレスと両サイドから来られて、ひと踏ん張り有ったのは収穫。4着ならハンデも変わらない筈で、次走もう少し脚を矯める形なら通用していい。

レッドランディエス

シープスキンノーズバンド。前走福島戦が-8kgで、今日は+10kg。その前走は結構スカッと見せていただけに、今日の方が迫力は有る。歩様にも力強さが有って、デキにケチを付けるところはない。好発も、出脚が鈍く、後方に近い位置。こちらはキングズパレスを目標に乗られた。1000m通過58.9秒だから、数字上はそこ迄スローではないのだが、今日は淡々と流れて前が有利な展開となり、結果的に一手遅かったか。ただ、58.5kgのハンデは出脚とトップスピードを鈍らせた感も有った。今日はこれで仕方がないか。枠がもう少し内だったら違ったかも知れないが、馬は責められない。

第44回小倉2歳ステークス(GⅢ)

エイシンワンド

前後肢にバンテージ。2歳馬としては、ドッシリと見せて、如何にもスプリンターといった風情。このメンバーなら迫力は最上位。ただ、歩様が甘く、馬体にも緩さを残す。ゲート五分。この馬の出脚で、労せず好位。この枠の分、馬場のいいところをずっと通れた。直線に向いて、左手前のまま、かなり内にモタれてしまったが、鞍上がステッキを左に持ち替えて立て直してからは真っ直ぐ走って快勝。今日は力が違うといわんばかりの勝ち振りだった。馬体を締めて行けば、上積みもまだまだ見込めそう。今年は変則開催だが、毎年述べている様に出世レースになっており、今後も楽しみ。

クラスペディア

トモが張って、恵まれた馬体の持ち主だが、余りにも前駆が薄過ぎる。まだ成長の過程なのだろうが。好発。無理せず好位から。例の台風で馬場が悪く、内を空けながらの追走。それでも少し馬場を気にする素振りも有った。徐々に外へ持ち出し、4角でエイシンワンドの直後。そのエイシンワンドは内へモタれていたが、こちらは馬場のド真ん中を真っ直ぐ走って2着浮上。素質も秘めているのだろうが、後肢の力が強い馬だけに、馬場が渋ったのはいい方に出た。微妙な賞金加算で、暫くはキツい競馬が続くだろうが、成長してくれば。

アーリントンロウ

前後肢にバンテージ。-6kg。前走新潟戦は少し腹回りがボテッと映ったが、多少なりとも絞れて来た。馬体の柔軟性も有りそうだが、まだ芯が入っていない印象。ゲート五分。出脚は有りそうで、ジワッと好位。外だったとはいえ、道中の行き振りは悪くなく、むしろ引っ張り気味の追走。エイシンワンドを目標に乗られ、これもそのエイシンワンドが内にモタれたことでアテが外れた感は有るのだが、この馬なりの脚を使って3着確保。最後はクラスペディアに外から交わされた形だが、止まった印象はない。トビが大きいので、切れる脚がなく、最後はその差が出た。もう少し距離を延ばしても良さそう。

レイピア

+12kg。数字分だけ全体に緩い。背丈が低く、成長の過程としてはこれでいいのだろうが。歩様も少し窮屈で、煩いのも気になった。好発。少し押して、クラスペディアを制してハナ。4角迄は1頭分程、内を空けて走っていたが、直線に向いて坂下辺りで内ラチ沿いへ。坂を上り切った辺りでは2着かの場面だったが、流石に最後は苦しくなった。狙い通りの競馬だけは出来ただけに、相手を称える他ない。500万なら通用する。

アブキールベイ

前後肢にバンテージ。400kgソコソコの馬とは思えない位、本当にいい馬。歩様もキビキビとして、下見は目立っていた。出遅れ1馬身不利も、出脚で挽回して中段。クラスペディアが内を空けてくれたことで、追い上げが利き、4角で好位。直線に向いてからの反応も有り、一瞬は2,3着も有りそうな雰囲気だったが、この馬格で馬場の悪い内目を通ったことが響き、坂を上って失速。掲示板止まりだった。ただ、良馬場かゲート五分なら、面白い競馬になっていただろう。ピッチ走法で、いい決め手を秘めている。ガサはないだけに賞味期限は短いだろうが、何処かで一発有りそう。

第59回農林水産省賞典札幌2歳ステークス(GⅢ)

マジックサンズ

前後肢にバンテージ。-2kg。数字はほぼ平行線だが、函館の新馬で腹がボテッとしていたのがマシになった。馬振り自体もこのメンバーなら上位。歩様もしっかりしていた。ゲート五分も、その後が鈍く、押していたが、今度は引っ掛かりそうになり、宥めつつ中段。ただ、その間に1角で上手く外へ出せた。3角過ぎから、先に動いたマテンロウサンを目標に進出。今日はこの回り脚が速く、4角でほぼ先頭。内ラチ沿いのアルマヴェローチェも中々渋太く、コーナーワークも利いて、一瞬は突き放されたが、ラスト200mで左手前に替えて、さらに加速してハナ差勝ち。直線に向いて直ぐの反応の悪さはフワッとしたとのことだが、勝負強い。馬だけでなく、今夏ブレイクの鞍上にとっても、自信になっただろう。

アルマヴェローチェ

背中が少し薄くて、まだ馬が若い。歩様も悪くはないが、力強さはない。とはいえ、骨格自体はしっかりしているので、筋肉が付いて来ればいい馬になりそう。ゲートは微妙に分が悪かったが、コーナーワークで中段から。他馬が内ラチ沿いを空けて走る中、この馬だけは内ラチ沿いピッタリを回って来る形。4角だけ前の馬を捌く際に、少し外を回ったものの、直線も再び内ラチへ寄せる徹底振り。一瞬はハマったかの場面だったが、最後にマジックサンズがグイッとひと伸びして、惜しいハナ差2着。見た目の割に馬力が有って、自在性が有るのもいい。この回り脚はいい武器になりそう。

ファイアンクランツ

2人曳き。新馬の札幌戦は1人で曳いて煩かったが、今日は落ち着いていた。馬も幾らか締まって来たか。1完歩目で躓きそうになり、更に1角手前でレーヴドロペラに寄られて、後方から。道中はリラックスして走れていた様に見えたが、向正面に入ってジワッと進出。3角辺りからはマジックサンズを意識しつつ外を動いて行ったが、回り脚には少し差が有ったか。その分、直線に向いてからもスピードの乗りが甘く、その差が最後迄詰まらなかった。もう少し前で闘えていたらまた違っただろうが、現状だとこんなモノか。500万は楽勝級だが、重賞で勝ち負けに持ち込むにはもう一段の鍛錬が必要。

モンドデラモーレ

新馬からソコソコ出来ていたが、今日もほぼ変わらず。もう少し絞ってもいいだろうが、踏み込みも深い。五分の発馬から、アスクシュタインに付いて行く形で好位。然程、急かしている様子はなかったが、前に壁がなかった影響で、道中は少し良過ぎる位の行き振り。向正面に入って、鞍上も諦めたのか、徐々に前へ。3角でアスクシュタインの直後。ペースが遅いとはいえ、こうなると厳しい。直線入口で脚色が怪しくなり、4着確保がやっとだった。とはいえ、バタッとは止まっておらず、これでも良く頑張っているという見方も出来る。地力そのものは有りそう。マイル以下なら何とかなる筈。

レーヴドロペラ

新馬の東京戦から、あまり変わった印象はない。全体に少し緩さが有り、歩様にトモの甘さも感じさせた。ゲートで微妙に安目を売り、少し急かしたが、序盤は操縦不能に近い状態で後方から、尤も、2角迄には落ち着いたが、3角から今度はオッツケても進んで行かず、ズブさが目に付いた。直線に向いて、やっとエンジンが掛かったが、競馬が終わった後。マジックサンズとは1.1秒も離されており、高い評価は出来ないが、東京で下して、小回りの経験がなかった影響も有っただろう。次走改めて見直したい。

アスクシュタイン

前肢にバンテージ。前走だけ少しテンションが高かったが、今日は落ち着いていた。ただ、今日の方が明らかに馬が緩い。馬がゲートで潜ろうしていたタイミングだったが、 何とか五分に出て、ハナ。流石に出脚は速かったが、前走同様に掛かり気味。後続が競り掛けて来なかった点も前走同様だが、今日は1000m過ぎからが違った。徐々に差を詰められ、こちらには突き放す脚もなく、直線に向いて直ぐ一杯になっていた。内目の馬場が良ければまた違っただろうが、重賞で1番人気を背負い、更にデキも微妙に甘く、大事に乗ったのも裏目に出たか。今日の勝ち負けだけをいえば、もう少し飛ばして最初から後続との距離を取っても良かったが、まずはもう少し道中でリラックスして走る様にしたいところ。

第44回新潟2歳ステークス(GⅢ)

トータルクラリティ

前肢にバンテージ。+8kg。馬振りはこのメンバーだと上位だが、今日は少しテンションが上がってしまっていた。新馬の京都戦は落ち着いていたのだが...。好発。ジワッと行かせて好位。新馬の京都戦と違い、今日は気負っていたが、ケイテンアイジンを前に置いて、道中は折り合いが付いていた。直線に向いてからも手応え充分。内回りとの合流地点から追い出し、一瞬で抜け切ったが、その際に内へモタれてしまい、その際にコートアリシアンにクビ程出られてしまった。しかし、それを差し返して、最後は半馬身差。渋太いということはいえるが、気性面とモタれた点は課題。この両方を満たしてしまうと、先々出世しないジンクスも有るのだが...。

コートアリシアン

-4kg。こちらは煩かった東京戦から一変、今日は下見から雰囲気が良かった。何より重心の低さを感じさせるのがいい。歩様も悪くない。出遅れ1馬身不利も、押して挽回して、中段やや後方。下見で落ち着いていた割に、競馬では引っ掛かり通しだった。追って、流石にスパッと反応した訳ではないが、エンジンが掛かってからは一瞬の脚が有り、前述した様にクビ程出たのだが、最後に甘くなって、差し返された。馬はいいので、気性面さえ解決すればそれなりに走って来そうだが...。課題は多い。

プログレイア

2人曳き。+6kg。馬振りはこのメンバーならいい方。歩様にも力強さが有った。新馬からテンションは変わらずが、少し高い程度。ゲートも微妙に悪かったが、鞍上にも行く気なく、後方からジックリと。道中は何とか我慢して走っていた。道中は比較的内目を立ち回り、最初はそのまま内を突くつもりにも見えたが、前の馬が総じてフラついており、進路が怪しく、全部行かせてから大外。この段階でラスト1F程で、かなりロスの多い展開になってしまったが、最後の最後のひと脚使って3着浮上。前と少し離れてしまっており、スムーズでどうだったかは微妙だが、トビが大きく、重心の低い走りは好印象。メンバーレベルの問題は有るが、先々走って来そう。

マジカルフェアリー

+10kg。新馬がキッチリ出来ていて、見た目には少し余裕残し。ただ、先々を考えれば、増えたのはいい傾向。歩様は少し硬い。ゲート五分。出脚は速い方ではなさそうで、押しても中段やや後方。道中も普通に折り合っていたが、直線に向いてからもジリジリ。最後はプログレイアに捕まって4着の形だが、止まったというよりは、瞬発力がない。テンのスピードも含めて、ワンラップで走るタイプ。あくまで馬が気にしなければだが、ダートの方が良さそう。

ジョリーレーヌ

2人曳き。今日の方が馬体にメリハリが有る。小さいなりには纏まっていて、完成度は高い。ただ、もう少し歩様に伸びが欲しい。ゲートで少し分が悪く、中段やや後方のイン。道中の折り合いは付いており、直線だけ外へ。プログレイアのことを考えれば、上手く乗られた方だが、追って一瞬の脚は有ったものの、ラスト1Fで明らかに甘くなり、5着止まり。距離が長い様なやられ方。それが適性なのか、体力不足なのかはまだ何ともいえないが。

シンフォーエバー

前後肢にバンテージ。前走は下見で気負っていたが、今日は落ち着いていた。前走もそうだったが、馬は少し余裕残し。脚長でどちらかといえば、寸詰まりの体型。1馬身近い出遅れ。それでもと、果敢にハナへ。行き切ってからの折り合いは付いていた。新潟外回りだけに、誰も競り掛けて来ず、直線に向いてからの手応えも残っていた様に見えたが、ラスト400m辺りから後退。案外の競馬だった。何より、あのスタートでも行き切ってしまう辺りが現状の弱さなのだろう。まずは気性面の成長が欲しい。

サマースプリントシリーズ第5戦 第19回キーンランドカップ(GⅢ)

サトノレーヴ

2人曳き。+16kg。骨格がしっかりしているので、そこ迄目立たないが、全体に緩い。歩様もその分、窮屈。エトブプレがハナを切り、それに乗って、ジワッと好位。途中、セッションが先手を奪い、ビッグシーザーが続いて外の壁になっていたが、4角でビッグシーザーが後退して、壁がなくなり、直線に向いてからは一気の決め手。頭が高いので、直線の長いコースは向かないだろうが、今日の様な形なら持ち味が生かせる。中山戦も展開次第ということになるが、絞れればもう少し上積みは期待出来そう。

エイシンスポッター

2人曳き。少し気負うのは元々。結果は展開次第で、下見はあまり関係ないのだが、500kgに乗ると少し重たい様にも見える。歩様が少し硬い様な気もするが、これも元々。ゲート五分。それでも、出脚は速くなく、一旦は置かれそうになっていたが、押して3角で中段。ナムラクレアの直後に居た。ただ、4角でナムラクレアの進路が狭くなりそうなのに気付いたか、直線ではサトノレーヴの位置へ。決め手に疑う余地はないが、外を回してばかりの馬が上手く馬群を捌いて来た。進路選択を一瞬でも間違っていたら、3着もなかった競馬。鞍上はワールドスーパージョッキーズシリーズも制して、その賞金300万円も稼いでいたが、手が替わるとこうも変わるか。

オオバンブルマイ

国内戦を走るのは1年3ヶ月振りだが、小ぢんまりと見せるのは何時ものこと。下見からは積極的に狙い辛いタイプでは有るが、数字は増えているので、その分の成長は有る。歩様を含めて、減点材料はない。ゲートは何とか五分に出たが、スプリントの経験がなく、出脚が付いて行けず最後方から。小細工してもいいことはなく、直線も大外。他馬との兼ね合いで、馬場の7分どころ。今日の展開では勝負圏外だったが、1頭だけ違う脚で追い込んで来た。今日の結果だけでスプリントの適性云々を決めるのは早計だが、洋芝適性だけは間違いないところ。海外遠征で結果を出して来たのも頷ける。

モリノドリーム

シープスキンノーズバンド。前走函館戦からそうだが、少しボテッと映る。スプリント戦にしても、もう少し絞った方が。ゲートは五分か、少し分が悪い程度。道中もオッツケ気味で、付いて行くのがやっと。直線に向いて、エイシンスポッターの直ぐ内、馬場の2分どころが開いており、最後の脚はエイシンスポッターよりも目立っていた程。テンがもう少しスムーズなら際どくなっていたか。太目がなければもう少し動けた気もしないでもない。

ナムラクレア

前肢にバンテージ。+6kg。前走中京戦を考えると、ちょっと緩いか。とはいえ、GⅠ前の一戦としては及第点。歩様も悪くない。ゲートが微妙に悪く、少し押して好位。器用な馬で、どうにでも乗れる筈だが、人気を背負って、鞍上が妙に慌てて乗っていた。4角で直ぐ外のサトノレーヴが持ったままなのに対し、こちらは押し通し。それ故、直線に向いてから例の不利を招いてしまい、万事休す。スプリント戦なら相手関係なく常に勝ち負けの馬だが、次走中山戦が引退レースとのことで、義理人情の世界でなければ、乗り替わりを考えたくなるところ。

サマー2000シリーズ第4戦 第60回札幌記念(GⅡ)

ノースブリッジ

気負っていたが、これは元々。基本的に500kgは超えない方がいい馬だが、見た目に太い印象はない。上手く仕上げて来た。五分の発馬から、この馬の出脚で2番手。序盤は掛かり気味だったが、これは何時ものこと。それでも、逃げたアウスヴァールのペースが60.5秒とスローの中で、向正面に入って前との距離を取る場面も有り、途中から上手く息を入れられていた。3〜4角中間辺りから後続を気にせず、進出。直線に向いてアウスヴァールに並び掛けると、内ラチを頼りながら、悠々押し切った。尤も、勝つ時は鮮やか、負ける時はアッサリというタイプで、着差を鵜呑みには出来ないが、この手の馬にはこの鞍上が良く似合うということだけは間違いないところ。

ジオグリフ

2人曳き。以前は数字の割に貧弱な馬だったが、大分ドッシリと見せる様になって来た。今日は毛ヅヤが冴えて、デキも良さそう。歩様もマシになった。ゲート五分。出脚も 速かったが、最初から掛かり気味で、折り合いが付いたのは向正面に入った辺り。このスローで、インに居た利は大きかったか。4角でノースブリッジの外へ持ち出し、前を追ったが、中々差が詰まらず、むしろ最後は脚が上がり気味だった。集中力が続かないタイプで、その割には上手く乗られたが、切れる脚はない。

ステラベローチェ

前後肢にバンテージ。腹回りは少しボテッと映るが、今日は馬に活気が有る。その分、踏み込みが深い。ゲート内の駐立が悪く、出脚が鈍ったが、1F迄に内へ潜り込み、ジオグリフの直後。頭数が少なかったとはいえ、一瞬の隙を突いて、この捌きは上手かった。道中で楽が出来た割に、4角の反応が悪く、むしろ置かれ気味にも見えたが、内ラチピッタリを回って距離を稼ぎ、直線は最後迄止まることなく、走れた分の3着。トビが大きいので、コーナリングが上手い方ではないのだろう。今日はこれでベストの騎乗か。広いコースで改めて。

プログノーシス

前後肢にバンテージ。-6kg。馬体はこれでいいが、少し気負っていたのがマイナス材料。歩様にも少し硬さが有った。ステラベローチェ以上に、ゲート内で暴れていて、潜りそうになるところでゲートが開いて、1馬身出遅れ。そのまま後方から。とはいえ、鞍上が腹を括ってジッとしていたことも有るが、意外な程、折り合いは付いていた。4角手前辺りから外を進出したが、今日のスローではこれが精一杯。最後の脚は明らかに一番目立っており、少なくとも力負けではないものの、ゲートの粗相は防げる筈で、悔やまれる一戦に。

シャフリヤール

悪くいえば成長がないということになるが、小ぢんまりと見せるのは毎度。器用さ身上の馬とはいえ、このクラスで走るならもう少し迫力が欲しい。ゲート五分。出脚も有る馬で、ジワッと好位。ただ、3〜4角中間辺りから徐々に手応えが悪くなり、外から進出して来たプログノーシスに抵抗するのがやっと。それもラスト100m程で力尽き、5着止まり。サンデーレーシングの馬にこの鞍上は殆どいい結果が出ない。そもそも仕上げが甘い時にしか依頼していない感も有り...。

サマースプリントシリーズ第2戦 第60回CBC賞(GⅢ)

ドロップオブライト

+4kg。前走東京戦は少し馬が緩く映ったが、今日の方が馬が張っている。気配にも集中力が有り、デキは前走以上。ゲート五分。ただ、出脚は速い方ではなく、最内枠でも押して押して好位。行き脚が付いてからの行き振りは良かった。4角を手応え充分に回り、直線に向いて前へ並び掛け、坂を上り切った辺りで先頭。最後はスズハロームに詰められたものの、一杯一杯振り切った。最後に甘くなったのは、出して行った分も有るのだが、追って頭が高いので、末脚の持続力がない。今日は枠に恵まれた。ただ、中京1200mはスペシャリストが多いのが特徴。この馬も32.9秒の上がりを使った実績も有り、この条件で走る時は常にマークが必要。

スズハローム

少し物見をするのはこの馬の癖。迫力はないが、数字通り、スッキリと見せていた。頭が高い割に、キビキビと歩けていた点も好印象。一瞬で軽く1馬身抜ける程の好発も、そのまま行かせることはせず、好位直後のイン。無理していない割に、行き振りは怪しい様にも見えた。直線に向いてからの反応も鈍かったが、ドロップオブライトの外へ持ち出してエンジンが掛かり、猛追。もう2完歩有れば、勝っていたか。結果的に好発をそのまま行かせておけば良かった気もしないでもないが、鞍上の話では馬群の中での競馬を試したかったところで、今日は仕方がないところ。行き振りの悪さは今日の経験で変わる筈で、次走は負けられない一戦。

グランテスト

前後肢にバンテージ。-6kg。数字分だけ締まった印象で、馬体にメリハリが出た。しっかり踏めていて、歩様も良かった。前述した様にスズハロームが一瞬で1馬身抜けていたのだが、叩きに来ず、何とかネジ込んでハナへ。前半3Fが33.6秒だから平均ペース。グレイトゲイナーにピッタリ付いて来られたが、重賞だけにこれは仕方がない。直線に向いて、坂下で突き放す脚も有ったが、坂を上り切った辺りから甘くなり、3着止まり。内有利な今日の馬場なら、せめて賞金は加算したかったところ。ハンデ差も利いていただけに、千載一遇のチャンスを逃した感は有る。

メイショウソラフネ

寸の詰まった体型ということも有るが、完歩の小さい歩様は毎度。馬体自体は張りが有って、悪くない。出たなりで中段の外。終始、行き振りも良く、4角を回った段階では勝ったかの勢いだったが、直線で使えた脚はあくまで一瞬。坂を上り切った辺りで左手前になり、そこからは脚色一緒になってしまった。とはいえ、内有利の馬場で、外を気持ち良く行かせ過ぎた分も有る。上手く矯めて乗る形になれば、このメンバーでもいいところが有りそう。

ジャスティンスカイ

-16kg。見た目はまだ全体に重苦しいが、絞れたことはいい傾向。歩様にも力感が有り、雰囲気はいい。ゲートはやや後手。鞍上に急かす気もなく、後方に近い位置からジックリと。4画迄は内でジッとして、直線だけ大外へ。今日の展開で一番外は流石に厳しい。かといって、トビが大きいので、窮屈な競馬では勝ちがない。結果論だが、初手をもう少し積極的に行っても良かったか。

アグリ

前走京都戦より、馬体が締まって良く見せた。動きにもキレが有って、下見にケチを付けるところはない。ゲート五分。外枠,この斤量でも出脚は悪くなく、ジワッと好位直後。少なくとも3角迄は悪い雰囲気に見えなかったが、直線に向いてからがサッパリだった。鞍上の話では熱中症気味だったとのこと。今後にダメージが残らなければいいが...。少なくとも中山戦は厳しい。

サマーマイルシリーズ第3戦 第59回関屋記念(GⅢ)

トゥードジボン

少し物見をしていたが、トモにボリューム感が有って、馬は良さそう。歩様も姿勢の高さを考えれば悪くない。特に減点材料はない。ゲートは少し分がいい程度だったが、主張してハナへ。有る程度、見えていた展開では有るが、1000m通過59.6秒。このスローを誰も競り掛けに来ず、ずっと単騎。内回りとの合流地点辺りから突き放しに掛かり、好位勢がイマイチ伸びあぐねる中、悠々押し切った。能力判定不能。頭が高いので本来はいい脚が長く続かないタイプ。出脚も大して速い訳でもなく、前走京都戦に続いて儲けモノの重賞制覇という外ない。ディオ次第だが、これでサマーマイルシリーズのチャンピオンもほぼ当確。これ以上ない馬主孝行。

ディオ

前後肢にバンテージ。周回のスピードが遅く、気配は地味だが、馬体の張りは目に付いた。しっかり踏めていた点も好印象。ゲートは少し悪かったが、押して好位。出して行った分、掛かり気味の追走。これも追い出しは内回りとの合流地点辺り。全馬が伸びている中で、この馬もラスト200m迄は他馬と似た様な脚色だったが、そこから右手前に替えて、ひと伸びが有った分の2着。鞍上も、この手の馬を御すのが上手いが、この馬自身もトビが大きいので、簡単には止まらないタイプ。サマーマイルシリーズを狙って、次走中山戦とのことだが、決め手負けする可能性も。勝たないと権利がなく、確率は低い。

ジュンブロッサム

-8kg。馬体がキリッと締まって、これはこれで良く見せた。踏み込みにバネを感じさせて、気配も良かった。出遅れ1馬身不利。そのまま後方から。最初の行き振りも悪かったが、馬群にも取り付いておらず、イチかバチかのギャンブル騎乗。それでも、3角過ぎから行き振りが良くなり、徐々に追い上げて行ったが、結果的に外を回されてしまったか。1,2着馬と内外離れてしまい、今日の展開で外を回されるとキツい。逆にいえば、この形での最先着だから強い。重賞は勝てる馬だが、今日の様に展開に左右される点がネック。

ロジリオン

馬体は小ぢんまりとしているが、元々が良くも悪くもこんなモノ。ただ、今日は少し歩様が硬いのが気になった。1馬身出遅れも、出脚で挽回して好位。少し行きたがっていたが、出して行ったというよりは、このスローな流れの中で窮屈そうに走っていた様にも見えた。直線に向いて、、動くに動けない場面も有ったが、ラスト300m辺りで前が開き、最後迄諦めずに走れた分の4着。尤も、いい脚が長く使える馬ではない。この形だと勝ちはないのだが、色気を持って乗っていたら、止まっていた可能性の方が高い。今日のところは、内でジッとしていたのが良かった。

プレサージュリフト

下見所の外をキビキビと周回して、気配は絶好。馬体もスッキリと見せて、今日は何処にもケチを付けるところがない。ゲート五分。ジワッと行かせて、好位から。馬群の外でも、馬を前に置いて折り合いは付いていた。不利なく運んでいた反面、今日の展開で外を回すと少し厳しい様で、いざ追ってからが伸び切れず。レース後の検査で、脚元に少しダメージが有ったとのことだが、今日の敗因は、展開面のウェイトの方が大きいか。

サクラトゥジュール

-14kg。数字はこれでもいいが、少し馬体の張りが甘かった。少しテンションが高いのもマイナス。出遅れ癖の有る馬だが、五分の発馬から、枠の利を生かしてトゥードジボンの番手。ただ、道中はずっと力んでいた。このメンバーなら明らかに力上位だが、これでは流石に伸びない。休み明け,このスローと厳しい条件が重なる形になってしまったか。叩けば変わる筈で、次走狙い目。

サマー2000シリーズ第3戦 農林水産省賞典第60回小倉記念(GⅢ)

リフレーミング

-4kg。水平首をずっと保って、キビキビと周回。馬体も締まって来て、前走福島戦以上。今日の方が歩様も良かった。ゲート五分。出脚もそれなりに有る馬だが、油断すると引っ掛かる面が有り、行く気なく後方に近い位置。枠も良かったが、最近のパターン通り、コースロスなく乗られ、直線だけ外へ。早目に抜け切ると、ソラを遣う面も有る馬だが、内にモタれるのを御しながら、ラスト50mで交わして、重賞初制覇。上手く乗られたことも大きいが、それに応えるだけの力が馬に有った。開幕週とはいえ、レコードも立派。自分の力さえ出し切れば堅実に走ってくれるタイプ。次走東京戦とのことで、今日の様なセコい立ち回りが出来れば、掲示板程度は有ってもいいが、馬格がないので、58kgを背負い切れるかどうかが鍵となる。

コスタボニータ

-4kg。前肢にバンテージ。少し歩様が堅いのが気にならないでもないが、これは何時ものこと。少し太かった前走阪神戦も馬は張っていただけに、デキ自体はいい。五分の発馬から、少し出して行って好位。逃げたテーオーシリウスは掛かり気味の逃げで、1000m通過が57.6秒と中々のペース。序盤こそ前と距離を取っていたが、3角過ぎから自力で捕まえに行く形になったのはキツかったか。坂を上り切った辺りで先頭に立ち、好位勢は全て振り切ったが、最後に飛び道具のリフレーミング。牝馬で56kgを背負い、一番強い競馬はしている。秋は京都の限定戦が目標とのことだが、2200mさえこなせば面白い存在。

ディープモンスター

前走阪神戦を叩いて、順当に良化。馬体も少し締まって来たが、それ以上に落ち着きが出て来たのがいい。スタート直後から掛かり気味になっており、急かすことなく、ジワッと行かせて好位直後。ただ、道中は馬群の外でも、このペースで何とか我慢して走れていた。ただ、4角からの反応がイマイチ鈍く、目標にしていたヴェローナシチーは交わせたものの、そこからが続かなかった。折り合いがスムーズならもう少し違っただろうが、58.5kgも動きの鈍さに繋がっていただろう。メンバー的に、この相手なら何とかしたかったところでは有るが、同情の余地も有る。

ヴェローナシチー

-12kg。結果的に休養前と変わらない位の数字だが、中身は別物。馬を大きく見せる様になって、成長している。ただ、もう少し落ち着いてくれるといいが...。ゲート五分。出脚は決して速くなかったが、少し出して好位。以前と比べれば、これでも大分マシになったが、道中は少し力んでいた様にも見えた。基本的にはコスタボニータを意識して乗られ、正攻法の競馬。ただ、直線入口での1馬身差が最後迄詰まらなかった。3歳春の中京戦が強かった馬で、素質は秘めているが、もう少し道中リラックスして走れる様にならないと。

セントカメリア

2人曳き。+4kg。前走阪神戦は少し細く映ったが、僅かながら回復したか。水平首を保って、変わらず気配もいい。押しても進んで行かず、後方から。道中は折り合い重視で追走。4角で少し外に膨れそうになっていたが、外を押し上げて行った分も有り、仕方がないところ。直線もジリジリだった。このメンバーだと少し差が有る。