1995年、トライアルを圧勝したライデンリーダーの桜花賞を思い出させる今年の皐月賞だが、中心は中央勢ブラックタイドだ。レース内容もそうだが、前走から馬体そのものが一気に良化。池江泰郎調教師、ここまで物差しで測った様なローテーション。話題になった「隠されたギア」こと、サンデーサイレンス産駒の本気モードがここで爆発しそう。
相手にそのブラックタイドを競り落としたマイネルブルック。シェルゲームがワンペースで逃げる中を敢然と一頭追い込んだ葉牡丹賞に、能力の片鱗を見せていたが、きさらぎ賞はブラックタイドに内から併せ、使った脚の長さ。ただ、目標をダービーに置いている様に、一瞬の鋭さが無い分、中山コースはパフォーマンスが一枚落ちるのだが、力で差し込んでくるシーンが有っても。
そして3番手評価がコスモバルク。前走にしても折り合いを欠きながらの勝利で、能力自体は相当。ただ、今回で4回目の長距離輸送となるが、毎回デキが落ち加減。大外枠の分と先週辺りから差し馬の台頭も目に付く中山だけに、この評価に留めたい。
マイネル軍団の名前が続くが、対照的に良い枠を引いたのが2歳チャンプ、コスモサンビーム。この枠なら朝日杯フューチュリティステークスと同様の策が可能だろうが、前走にしてもその朝日杯にしても歩様の硬さが気になった。前走引っ掛かったのもこの点が原因で、案外距離に融通性が利かないケースも一応考慮しておきたい。
一応の押さえが逃げるメイショウボーラー。人気に推されるコスモバルクがどうして慎重な騎乗になるだけに、今の中山でも無視は出来ないだろう。福永騎手、距離を気にせずワンペースの競馬が出来るならば。
中山記念を圧勝したサクラプレジデント急遽の回避は残念だが、その時の3着馬で、昨年のこのレースの覇者ローエングリンの逃げ切りに期待。その中山記念は正味70%のデキで、叩いての良化も見込んで良いだろう。一応、エースインザレースとの兼ね合いには注意したいが、2番手でも格好は付けてくれるだろう。
相手に中山記念2着馬サイドワインダー。東京新聞杯のやられ方を見る限り、トニービン産駒と言えども、東京コースでは直線が長過ぎる嫌い。乗り役が直線の坂を意識する阪神なら一瞬の決め手を要求する競馬になり易く、直線レーサーで且つ良い脚が長く続かないこの馬でも力を発揮し易い筈。
3番手評価も中山記念組マイソールサウンド。2200mの京都記念を勝ってはいるが、本質はどうやらマイル。そもそも中山記念はデキ自体がイマイチだったし、本気で勝ちに来たマイル戦なら上記2頭とも互角の勝負出来て良い。
イソノルーブル,ノーザンドライバー,スカーレットブーケ,ミルフォードスルー,そして勝ち馬シスタートウショウで5強といわれた1991年桜花賞を髣髴とさせるかなりハイレベルな争いだが、こういう時こそスケールの差が出ると信じてムーヴオブサンデーに期待。フィリーズレビューでは小倉1200mからのペースの違いの戸惑って行きたがるシーンこそ有ったものの、そこから折り合って伸びる爆発力がこの馬の本質。歩様の柔らかさも特筆モノで、距離延長はむしろ良い方に。
前述した通り、勝てばトウショウ牧場13年振りのGⅠになるスイープトウショウが相手。今年のエンドスイープ産駒は一味違う産駒が多いが、この馬の決め手は祖母サマンサトウショウ譲り。馬体細化傾向が有り、当日の気配には注意されたいが、ゲート試験もスムーズにクリアした様だし、上手く馬群捌いて来れるなら「デュランダルの池添」を再認識させられるシーン有っても。
一発有って不思議無いのが、2歳女王ヤマニンシュクル。前走は良くない負け方では有ったが、多少急仕上げ気味だった嫌いが。叩いての上昇度と、不利な大外枠だった筈がアッサリ展開が向き、そしてここ一番で良い枠を引いた強運。最悪でもオークスへ繋がる競馬を。
一応の押さえがダイワエルシーエロ。スイープトウショウには競り落とされた紅梅ステークスなんてのも有ったが、前走のクイーンカップが圧勝。確かに相手に恵まれた面も有るとはいえ、それでも確りとした末脚は流石にサンデーサイレンス産駒。逆転までは厳しいとしても、展開縺れるなら上位進出可能。
桜花賞とは対照的にレベルが低くて難解といった様相だが、7年前の覇者シーキングザパールを母に持つシーキングザダイヤが押し出されての本命。初重賞勝ちの前走でもフラフラだったが、ここまで相手が弱いとこの馬で何とかなってしまう筈。
相手が6年前の覇者エルコンドルパサーを父に持つコンドルクエスト。この馬も大した馬では無いとは思うが、この相手なら俄然クローズアップされよう。距離短縮も良い方に出そうで、この外枠を克服出来るなら。
面白いのがマイネルゼストだ。前走のスプリングステークスは、引っ掛かった2頭のマクリに遭い展開不向き。この馬も距離短縮が良い方に出そうで、ここは単騎逃げが打てそうなメンバー構成。2走前の時計で走れるなら単まで。
一応ナムラビッグタイムまでは押さえておきたい。前走はかなりタルい内容だったが、差す競馬はこの馬にとって良い経験になった筈。距離不安で嫌われているとはいえ、アイビーステークスは勝ち馬に一気に来られただけだし、差す競馬が出来るならこなせて良い筈。昨年はトーセンオリオンで前が詰まった安藤騎手、今年こそは。
割とメンバー揃った印象だが、稀代の鉄砲巧者バランスオブゲームが真骨頂を発揮して。仮柵外して異常な程前の止まらない阪神コース、枠は多少外だが、スンナリ先行出来るタイプで、アッサリ押し切るシーンが見られそうだ。
相手に逃げ馬マグナーテン。この馬も8歳になり、年齢の分人気を落としているが、少なくとも現状のこの馬にマイルは短く、秋一連の結果は度外視して良い筈。前述した通り、前が止まらないだけに、昨年同様の粘り腰に期待。
アッサリ上記2頭で決まってしまいそうな気配も有るのだが、一応ネオユニヴァースの仕上がりには注目しておきたい。昨年春無理をした影響で、秋はかなりツケが貯まっていた印象。このツケが何処まで払い終わっているかが今回のポイントとなるが、戻っているならそこはダービー馬。復活のケースも考えておきたい。
フェブラリーステークス6着、この相手ならばタイムパラドックスの力を信頼する外無さそう。何度も述べている様に、この馬歩様が硬く、今回距離短縮となるのはプラス材料。同様の理由で、不凍液撒かなくなってクッション利く馬場になっているのも良い。
不凍液云々をいえば、ツルマルファイターも同様。この馬も歩様の硬いところが有る馬で、昨年のこのレースは下が渋った分4着。本来は得意条件で、良馬場なら逆転の余地も。
面白いのがヒューマ。流石にマイルとなると1F長いのだろうが、7F戦なら当然一気浮上のケースも。意外なのだが、時計の掛かる馬場も合っている印象。前が止まってくれる展開ならば。
中々走ってくれないが、ニシノシタンのデキの良さは折り紙付きで、常にマークはしておきたい。まあ、走らない中でも一番内容が良かったのは同じダート1400mの根岸ステークス。今回、内枠で上手く脚を矯められるなら一発有っても。
前走の阪急杯は展開に泣いたギャラントアローが捲土重来を期して。とにかく、この絶好枠で前の止まらない馬場状態。単騎での強さはデビュー当時から折り紙付き。4角単騎で回って来れるならば逃げ切れる筈。
相手は当然デュランダル。要はこのコースで届くかどうかだが、この馬自身、落ち着きが出てズブくなった分、1200mは短い印象。一応その分評価を下げたのだが、ただ、渋太いギャラントアローを逆転出来るとすればこの馬の決め手以外には無い。
以下はあくまで連下の狙いだが、当然サニングデールはその筆頭格。キッカケ掴んだシルクロードSに続いて、阪急杯勝ち。まあ、その阪急杯は大して強い内容では無かったのだが、それでもこのコースに変わるのはプラス材料だろう。この枠も願ったり叶ったり。
中山戦の負け方は不可解だが、中間アクシデントが有ったという話も有り、ならばカフェボストニアンが巻き返すケースも。大型馬の割に器用さ有るタイプ、小回りもこなせる筈で、馬体さえ絞れていれば力を出し切れて良い。
シーイズトウショウも器用さ有るタイプ。現に中京でCBC賞勝ちも有り、スッと好位で流れに乗れる器用さは魅力。能力の絶対値では多少見劣る部分も有るのだが、展開縺れるなら連入も。
穴っぽいところではアタゴタイショウを挙げておきたい。前走は馬が喜んで行き過ぎた印象。ギャラントアローとやり合ってしまったし、あの展開で4着なら悪くは無い内容。上手く矯めが利くなら面白いだろう。
前走でマイネルブルックを寄せ付けなかったシェルゲームがいよいよ登場。そのマイネルブルックはブラックタイドを寸法に採っても明らかに世代最強クラス、この馬の肩書きはこれ一つで充分だろう。圧勝以外何が有るというのか。
2着はスケールだけなら5年に1度の逸材キングカメハメハ。見た目の良さは日本競馬史上最強シンボリクリスエス並だ。まだ馬体持て余し気味な分が◎馬との差だが、将来的にはこの馬が日本競馬を背負って立つ。